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屋久島の森 (画像参照:Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第7回 『日本のプログレ』Ver.2.0■お久しぶりですVoyager6434です☆さて、数カ月ぶりの更新となりました今回は又々楽天ブログ最大級となる、本文で7万文字、画像、アフィリエイトを加えて9万文字もの文章を駆使し約8年(!)前の 2012年12月12日に更新した『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】第7回の大幅な改定と増量した文章によりwほぼ新作となったヴァージョンアップ版をお送りします。なぜ、今この記事なのか? というのは、特に理由はなくW平素からアクセスの多い過去記事のリンク切れを修正し読み返すのも苦痛な拙い文章を人知れず修正し更新し続ける中で、こんな時代に「おうち時間」を使って修正している内に当時のサクッと書いてパパッと上げていた頃のお手頃仕様の更新が現在の大量文章を嫌がらせの様にお見舞いする出版仕様で執筆してしまい特に「美狂乱」のパートが、楽曲の紹介というよりも「美狂乱」を通して見た、「音楽と地域の関係性に於ける表現としてのロックのあり方」というお茶を飲みながらせんべいをサクッと食べようとして北京ダックが出てきたかの読んでいて吐きそうになる大量の文字数を駆使した評論まがいの文章となりそれ以前に、INTROパートの「ブルース」の説明が本記事の約半分を有する大量文章となり、果たしてメインの記事に辿り着けるのかという近所の無料スポットのイルミネーションを眺めながら今年をしめやかに振り返るつもりがペルーのウルバンバ渓谷に沿った山の尾根にあり世界一の標高チチカカ湖を見下ろす空中都市の異名を持つ世界遺産「マチュピチュ」で15世紀のインカ帝国の繁栄と衰退に壮大な思いを馳せる事になる様なmailで商談する情報をTwitterで収集してるとInstagramに上げた写真がLINEで炎上してTikTokがカオスになるこんな時代だからおうち時間を使って観たAmaz◯n Primeビデオで今頃「逃げ恥」のダンスにハマる様なライザップでコミットしてサンバするマツケンの筋力に人生100年時代を見る様な時代に逆行(テネット)するブログの大量文章に疲弊するある種の達成感に浸る日常が健全に見えてくる様な一生聴き続けたいマニアにとっては「永遠に鑑賞するまでがテーマ」となる一生聴く事のない一般人にとっては「鑑賞するまでが永遠のテーマ」となるそんなプログレッシブ・ロックを紹介する今回はプログレカテゴリー発祥の地「日本」のプログレ に再度スポットを当ててみようと思いますそれではスタート☆-----------------------------------------------------------------------------------■ もくじ ■- INTRO 前枠解説 -■「形から入る」形で認知された日本のロック■1.「不良の代名詞だったROCK」2.「オーセンティックでは無い日本独自のビジュアル系ROCK」3.「ブルースの影響と欧米音楽の変移」4.「ブルース黎明期の多様性と統合への近代化」5.「ブルースが停滞した大恐慌」6.「エレキ時代に埋もれゆくブルース」7.「逆輸入で再評価されるブルース」8.「社会に影響を与えるブルース」9.「原点回帰を促すブルース」10.「ブルース体験と正統派ROCKとの関係」11.「日本に上陸したブルースと定着しなかった要因」12.「日本のROCKの特異な発展とその脆弱性」13.「サブカル化するROCKと見限られる邦楽界」- 楽曲解説 -M1(1984)NOVELA『調べの森』M2(1985)難波弘之『ブルジョワジーの密かな愉しみ』M3(1982) 美狂乱『二重人格』1.「レコード会社の事情に振り回された当時のバンド事情」2.「音楽的個性の根付きと偏狭性との関連」3.「地方型音楽を形成する音楽的地盤」M4(1974) 四人囃子『おまつり』M5(1986) PRISM『TAKE OFF』M6(1982) 高崎晃『逃亡 ~STEAL AWAY~』M7(1983) TAO『Hello Vifam』- OUTORO 後枠解説 -■新世代音楽の個人化とコラボとの関連性■1.「バンド形態が廃れた欧米事情」2.「誰も語らない、Tic Toc以外の『香水』のヒットの背景」■楽天市場■▲目次へ▲------------------------------------------------------------------------------------ INTRO - ■「形から入る」形で認知された日本のロック■-----------------------------------------------------------------------------------The Spiders (画像参照: wikimedia)それでは まず、「日本のロック」に付いていつもの偏狭な視点で、時にはお得意の「妄想」を交えて少しばかり紐解いてみたいと思いますロック黎明期の60年代の日本はカントリー&ウェスタン、JAZZなどが開いた洋楽の扉をその後ロカビリーブームを経由した「ベンチャーズ」人気がGSブームへと押し広げる中にありましたが、これらの音楽はライターが楽曲を書き歌手が唄う「洋楽ポップ」の様式をベースとした「芸能人」による音楽中心の時代でした。それが64年のビートルズの登場によりシンガー・ソングライターによるオリジナルの音楽に世の中の興味が移行するとブリティッシュ・インヴェンション(英国音楽の侵攻)の波が米国にまでとどろきビーチボーイズの様なサーフミュージックバンドが刺激を受けて変貌し「ペット・サウンズ」の様なコンセプト作品をリリースするまでに影響を与えたのに対して日本でも米国同様にビートルズに刺激を受けながらも、GSが歌謡曲化した時期の日本の歌謡界で「ロック・ミュージック」にオリジナル性をもたせるという様な世間の期待に応えるだけの楽曲を輩出する音楽的基盤は無くGSブームも終焉して行きます。という訳で今回は、音楽的基盤の無い日本のロックという話を中心に如何にブルースがロックの基盤となり得たのか、ブルースの歴史と共に、日本のロックの今の姿をお話しして行きます。曲紹介を挟んだ後後半では、今やボーダーレスとなった音楽業界で流行りつつあるものと廃れつつあるもの更には、誰も語らない「香水」のヒットとネット新世代との関係を紐解いて行きたいと思います。さてやがてこの期待は「フォーク・ブーム」の方にスライドして行くのですが60年代後期にはこの「フォーク・ミュージック」を一つの切り口として68年に 加藤和彦率いるフォーク・クルセダーズが放った『帰ってきた酔っぱらい』の様なフォークの造りで「楽曲の存在」に「ロック」を感じる作品が登場する事でようやく日本の音楽に「ロック」の精神が根付き始めて行きます。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------1.「不良の代名詞だったROCK」-----------------------------------------------------------------------------------Kanda Quartier latin1968/06/21 (画像参照: wikimedia)折しも「ベトナム戦争」反対運動を通して、「学生運動」が再び盛んになってきた時期でもあり「ロック」と言えば激しいサウンドというイメージからその様な運動に熱狂する若者達が共鳴するカルチャーとして怒れる若者達が好む音楽が「ロック・ミュージック」という形で世間一般の知る所になって行きますしかし学園闘争が過激さを増し、暴力や死傷事件へと発展するとこれまでこれらの運動に共感してきた世論からの求心力を失いそれと同時に「ロック」も、「ロックは反抗」「ロックは暴力」「ロックは不良」という反社会的イメージが定着する様になり70年代に登場したハードロックも ヘビメタも プログレも音楽ジャンルとして一般的に 認知されない一部の愛好者が聴く マニアックなものとなり欧米に比べてロックが定着しづらい土壌が作られます。当時の日本のミュージシャンの中でもロック支持派のミュージシャン達は、ロックが定着しない当時の音楽業界で創作意欲の表現先を求めてネットはおろか Youtubeも無かった時代に何とか国内にロックを発信する為に、楽曲を聴きやすく妥協した形に変えてリリースするか歌謡曲に許容範囲内でハードなアレンジを施すか様々な要素が渾然一体となった流行歌の素材の一部とするか、或いは、ハナから売れない事を承知で本格ロックを演り、食べる為の職は他に持つか「ロック」はその様に「異端」なもの扱いを受けながらそれを甘受する中で作られて行きます結果、そうしたロック的な音楽によって徐々に「ロック」が浸透し受け入れられる土壌が作られて行くのでした。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------2.「オーセンティックでは無い日本独自のビジュアル系ROCK」-----------------------------------------------------------------------------------BOØWY 1984 (画像参照: wikimedia)80年代に入りますと BOØWY のブレイクもありロックは徐々に一般層の認識に至るまでになりますが音楽性よりも「ファッション性」の方が大きな話題として取り上げられX JAPAN の登場後の「J-Pop」全盛期に入りますと日本独自のサブカルチャー文化を背景とした「ビジュアル系」と呼ばれるスタイルのバンドが多数登場しいわゆる見た目から入る形で日本のロック黄金期の到来となり欧米には無い独自のビジュアルとサウンドは「異なる肌触り」がするエキセントリックで魅力的な音楽として欧米からも注目される様になりいきなりジャンルとしての到達点に達します。一方で、この「ビジュアル系」ロックは欧米の音楽シーンでのムーブメントで、70年代後半にチャートを賑わせた「商業ロック」に対する反発として「ブルース」から派生した 正統派なロック への回帰を目指して登場した「オルタナティブ」などのジャンルとは異なり「ブルースから派生した正統派ロックに影響を受けたバンド」を輸入盤で聴いて影響を受けるという、コピーしたものをファックスして受け取る様な形で「ロック」に触れた日本のロックの歴史が投影された様な、「ロック」から「ブルース」が・・・では無く「ロック」から「ブルース体験」が 抜け落ちたオーセンティック(正統派) なものとは言えないものでもありました。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------3.「ブルースの影響と欧米音楽の変移」-----------------------------------------------------------------------------------Eric Clapton & Roger Waters (画像参照: wikimedia)「ブルース」では無く、なぜ「ブルース体験」が抜け落ちると「正統派」とは言えなくなるのか・・・を語る前にここで「ブルース」の歴史を少しばかり紐解いてみたいと思いますw「ブルース」はエリック・クラプトンなどのブルースギタリストが中心となって演奏するバンドで演奏するスタイルが有名ですが、元はアフリカが起源の、17世紀から19世紀中期にかけての時代に農業が盛んな米国南部地区で、大規模農園での奴隷として従属を強いられ奴隷解放後も人種差別などの迫害を受けてきた黒人達の為す術も無く苦境に立たされて来た受難をベースにした憂鬱でふさぎ込んだ気持ちを歌にして癒やしとする「黒人霊歌」「労働歌」などが発展した、ギター1本で弾き語る黒人のローカルな伝承音楽で地方によって異なるスタイルで発展したものや時代と供に変化したもの現在のバンドスタイルとなったものなど、これら全てを含めた総称を「ブルース」と呼んでいます。ブルースの音楽的な特徴は西洋音楽の音階から外れた「ブルーノート」と呼ばれる音階を加えた5音階の「ブルーノートスケール」で構成される「ブルース形式」と呼ばれる独特の反復されるコード進行と「シャッフル」と呼ばれる跳ねるリズムに乗せた独特の節回しのフレーズで構成された演奏に、奴隷解放が成立した後も準奴隷システム「黒人取締法」「ジム・クロウ法」などの悪政が続いた当時の米国南部で暮らす黒人達の、いわれのない罪で投獄された監獄で過ごす理不尽さや作物の被害を受けた自然災害に遭う成すすべもない苦難や「♪俺はお前の奴隷さ」の様に男女の関係を「奴隷」の立場に置き換えて迫害への抗議の念を唱える、二面性の意味を持たせたものなど、白人と黒人を平等に扱わず階層社会の底辺に封じ込め様とする当時の米国社会への反発を原動力とした「ブルース」ならではの表現を使った自傷的な歌詞に乗せてレイドバックした雰囲気で唄うのが様式で、ミシシッピ・デルタ地帯で発生したアコースティックギターの伴奏で唄う「デルタブルース」やシカゴで流行したピアノの伴奏で唄う「ブギウギ」形式のものなど、地方によって様々なスタイルを持った多様なものが知られています。この様な、黒人のローカル音楽の「ブルース」が普及したのは米国の場合は、50年代以前メインストリームのラジオから流れる事すら無かったブルースがその後「アフリカ系アメリカ人公民権運動」をきっかけに50年代中盤以降からチャック・ベリーなどの黒人スターのブレイクを通して根付いて行き、英国の場合は、第2次世界大戦中 英国に駐屯した米軍兵からブルースが渡りやはり50年代からブルースが根付いて行ったという歴史があります。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------4.「ブルース黎明期の多様性と統合への近代化」-----------------------------------------------------------------------------------W. C. Handy - The "St. Louis Blues" - First page (画像参照: wikimedia)さて、「ブルース」の歴史ですが、いつ、どこで、誰が、どうやって、ブルースを誕生させたのかは定かでは無いそうですが1900年代初頭、「ブルースの父」と呼ばれるW・C・ハンディという人が米国南部を旅して耳にした地元に根付いた音楽を譜面(シート・ミュージック)にして広めたものが「ブルース」の始まりと言われております。そうして広まった「ブルース」が南部各地で根付いて行き米国南部のミシシッピ州デルタ地帯やテネシー州メンフィスなどで発生したギター弾き語り哀歌が1920年代以降、チャーリー・パットンやロバート・ジョンソンの登場で黒人の間で人気の高いジャンルとなり「デルタ・ブルース」として世に広まったとされてます。加えて、「ミシシッピ・デルタ・ブルース」「メンフィス・ブルース」「ジョージア・ブルース」「テキサス・ブルース」の様な地域によって違うスタイルのブルースもレコードの普及によって地域を越えて広く知られて行く様になりレコードを通して各地のミュージシャン達も異なるスタイルのブルースに影響を受ける様になって行きます。又、大都市では、レコード普及より前から先行する形で、様々な地方から都市へと集まって来た各地のブルースミュージシャン同士がお互いのスタイルに影響を受け合いギター、ピアノなどの異なる楽器、スタイルのコラボが流行した「シティー・ブルース」と呼ばれるムーブメントが発生しシカゴの様な都市で徐々にブルースが、洗練されたものになって行きます。一方で、南部での迫害を逃れて北部へ移住しそれぞれの地域で活躍するブルースミュージシャン達がこぞって都市へと進出したり、レコードを通したりして異なる地域のブルースに影響を受ける事でそれまで地域ごとに異なるスタイルとして存在していた地域性が失われて行き様々なスタイルが混在した地域性に於いて多様性の無いものになって行きます。それと引き換えに「ブルース」は全国のミュージシャン同士の切磋琢磨によってより洗練されたものへ進化する事になったと言えます。やがて「ブルース」が全国的に知られて行く様になりますと、人の心の闇を赤裸々に語る内容や歌詞の中に良く出てくる「呪い」のワードなどブルース特有の表現に反応して敬虔なキリスト教徒などの中で嫌悪感を抱く人々が現れたり元説教師のブルースマン、サン・ハウスの様に宗教とブルースの間で葛藤しながら活動を続ける者が現れる事でブルースは「悪魔の音楽」や「スピチュアル」といった神秘性を帯びたものとして語られる様になります。これは、当時の米国内でブルースへの関心が高くなった風潮に対し白人社会に黒人が進出する事を憂慮する白人達が偏見故に歪んた形で拡めた現れとも言えるものがありますが、1929年10月に発生した「大恐慌」によりレコード業界が大打撃を受けブルースは30年代の前半に停滞の憂き目を見ます。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------5.「ブルースが停滞した大恐慌」-----------------------------------------------------------------------------------Crowd gathering on Wall Street after the 1929 crash (画像参照: wikimedia)・・・ちなみに「大恐慌」の原因は ざっくり言いますと第一次世界大戦中の戦争景気で大きな利益を上げた1920年代の米国は大都市にはビルが立ち、自動車が普及し、大量消費時代に入り世はバブル経済景気にありました。そんな当時の米国の企業も消費者も世の中の好景気に熱病の様に浮かれて、消費者側は、散財はステイタスとばかりに、消費に明け暮れて、企業側は、巨大な利益は巨大な投資とばかりに、過剰な設備投資と過剰な生産をし続けていました。やがて消費と供給の均衡は崩れて供給が消費を上回ると世の中に物が溢れて売れ残り、結果、物価が急激に下がり始めます。折しも企業への投資がブームだった事もありこれまで企業へ過剰に投資して来た投資家達は世の中がデフレ傾向にある事に過剰に反応し、投資が回収出来なくなる危機感から一斉に企業株を手放した事により株価が暴落し恐慌を引き起こしたと 言われていますが、元々この時代の好景気は、かつて大農園や工業の企業主が多くの黒人労働者達を奴隷同然の低賃金で雇った事による、黒人側から見れば、白人達によって搾取された理不尽な利益によって支えられた経済でもたらされたものでありその経済がバブル景気にほだされる様に高コスト化に陥って社会に還元出来ない程の高価格商品で溢れてしまった事による実物資産の収益率が低下した事で引き起こされた価格低下による結果であるので当時の理不尽なシステムの中で米国経済を支えた黒人労働者達の、働けども報われないこの様な資本主義的理不尽さも、ブルースの原動力の一つとなった訳です。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------6.「エレキ時代に埋もれゆくブルース」-----------------------------------------------------------------------------------Gibson L-5 (1928), Maybelle Carter, CMHF (画像参照: wikimedia)さて、時代は「エレキ」の時代に入りまして・・・・・・所で、ここまで読んでくださった方の中で、「ブルースへの脱線が過ぎるのでは?」と思ってる方がおられると思いますが、これがこの先ちゃんと「プログレ」に繋がって行きますのでwなのでここでブルースとロックの関係をある程度掘り下げておかないと理解に繋がらない という事でどうかもう暫くお付き合い頂ければと思いますwww・・・・・・ともあれw、1930年に登場したエレキギターによりギタリストはバンドや楽団の中でも埋もれない大音量を獲得しそれまで楽団の主役だったサックスやトランペットなどの管楽器と並びギターはソロ楽器として楽団の前面に出る様になります40年代に入りますと、第二次大戦後米国北部のシカゴやデトロイトで南部の「ブルース」をバンド形式へ発展させてエレキギターを導入した「シカゴブルース」が登場しマディ・ウォーターズ などのスタープレイヤーを輩出して行きます同時期に、北部、西部、東部で「ブルース」「ブギウギ」から発展し「ゴスペル」「JAZZ」を加えた都市型ブルース「R&B (リズム&ブルース)」が誕生し、これらのムーブメントが南部のクラシック・スタイルなブルースマン達にも影響を与えて行きます。エレキギターの登場は「JAZZ」や「ブルース」でのギタリストの役割を前面に押し出したばかりでは無く、新たなサウンドを求める動きにも好都合のアイテムとなりました。50年代には「R&B」に「カントリー」と「ブルース」を加えてエレキギターで演奏する「ロック&ロール」が誕生し、チャック・ベリー などの黒人のロックスターを生み10代の若者の間で人気を博す一方で、南部メンフィスでは「ロック&ロール」に先行する形で「ブルース」「カントリー」にアイリッシュの伝承音楽「ブルーグラス」などが加わった「ロカビリー」のムーブメントが発生し「ロックンロールの誕生」と呼ばれる『ロック・アラウンド・ザ・クロック』のビル·ヘイリーや歴史的大スター エルビス・プレスリー が登場し「ロック&ロール」人気を牽引して行きますが先程のチャック・ベリーを始めとした黒人のブルースベースのものを「ロック&ロール」プレスリーを中心とした白人のカントリーベースのものを「ロカビリー」とジャンル分けしながらもこれらは多義的に「ロック&ロール」と呼ばれ供に人気を博しながら次々と大ヒット曲を飛ばし、音楽界が活気づいて行きます。一方「ブルース」は、ロックンロール人気に押されながらも50年代に入りますとバディ・ガイなどの新鋭ギタリストがこれまで伴奏楽器だったギターをリード楽器として使う「ウェスト・サイド・サウンド」と呼ばれた、現在もバンドでブルース演奏をする際に良く聴かれるスタイルを確立させますが結局ロックンロール人気に潰される形で「ブルース」のムーブメントは活気を失って行き、1950年代半ばから黒人の権利と平等を求める「公民権運動」が盛んになりその動きに呼応した様に生まれた「ソウルミュージック」が流行り始めた頃には、厳しい差別のある南部を離れ北部へと移住した黒人達が生み出し「奴隷」だった時代の故郷でもある南部への想いを乗せた「ブルース」は記憶から消去してしまいたい屈辱に満ちた歴史を象徴するものとして米国内で自由と権利を主張する新たな時代を切り開いて行こうとする黒人達にとって過去の亡霊とも言うべき忌み嫌われるものとなって行きます。しかし、チャック・ベリーがインスピレーションの源と語るマディ・ウォーターズのブルースに影響を受けて音楽を始めた様に「R&B」に「ゴスペル」的要素を拡大させて、強力なリズムに乗せ人種問題を定義し解決の道を叫ぶメッセージ性の強い「ソウルミュージック」にしてもこれらの音楽を育んだのは「ブルース」の力があっての事でした。■ブルースが忘れられた音楽となった60年代初頭、ブルースマン達は海を渡って英国に上陸しマーティン・スコセッシ監督がプロデュースした2003年のドキュメンタリー『レッド、ホワイト&ブルース』でも描かれた1962年に行われた『アメリカン・フォーク・ブルース・フェスティヴァル』に出演した事でブルースに転機が訪れます。この時、生のブルースに触れた英国や欧州の若者達が衝撃を受けそれがブルースのブームとなって英国や欧州へと拡がって行きそれが、折しも英国での新しいサウンドを求める動きにも合致した事でロックサウンドでブルースを演奏する「ブルース・ロック」が誕生しフリートウッド・マック、ローリング・ストーンズなどのブルースに影響を受けた多くのバンドを生み出します▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------7.「逆輸入で再評価されるブルース」-----------------------------------------------------------------------------------Fender Precision Basses / Fender Jaz Bass (画像参照: wikimedia)・・・ここで「ロック」に付いて少しだけ説明しますとw「ロック」は「ロックンロール」「ブルース」「カントリー」などから派生したジャンルですがラブソ・ング主体の歌を唄う「ロックンロール」「ロカビリー」や愛国心や故郷への想いを唄う「カントリー」とは異なり「激しい男女関係」「体制への反抗」「社会問題への憤り」など多義に渡るテーマを扱う所に大きな特徴がある非常に幅広いジャンルと言えますが最も大きな音楽的特徴としてはベースパートにアコースティック・ベース(ウッドベース)を使用していた「ロックンロール」「ロカビリー」「カントリー」の編成に対し、ベースには「エレキ・ベース」を導入してエフェクター、アンプ機材で楽器音を歪ませたエレキ・ギターに乗せたラウドなサウンドで演奏する3ピースバンドを主体とした編成に大きな違いがあると言えます。さて、ブルースに影響を受けた英国の音楽界が60年代中期辺りから ビートルズ の登場を皮切りに「ブリティッシュインヴェンション」と呼ばれる英国ロックの新たな潮流を世界に拡げて行く中で、今度は米国で、ビートルズ、ローリング・ストーンズの渡米をきっかけにこれら英国の音楽が実は米国で忘れられた「ブルース」に影響を受けて生まれたものだという事を英国人によって逆輸入の様な形で知らされますそれによって「ブルース」再評価の動きが全米に広がって行く事になります。これにより「三大キング」と呼ばれたB・B・キング、アルバート・キング、フレディ・キングを筆頭としたブルースの名手達が新たなマーケットとなった「ロック」のカテゴリー中で再びスポットを浴びる事になるのでした。忘れられた名手達にスポットが当てられる中で「ブリティッシュ・インヴェンション」の余波は米国の音楽界の図式を書き換え作詞家作曲家が書いた楽曲を歌手が唄う「芸能」から自作の楽曲を自ら唄い演奏する「創作」が主流となるアーティストが活躍する流れを生み出します。その様な波の中、ブルースに強い影響を受けエレキギターで短いパターンを繰り返す「リフ」を核としたヘビーサウンドを確立しこれまでのギターミュージックを覆すプレイで多くのミュージシャンに影響を与えたロック・ミュージックのパイオニアジミ・ヘンドリクス の登場と共に新たなサウンドを支えるエフェクター類、音楽器機の発展に加速がかかり、新しいサウンドを求める動きが活性化し60年代末にはレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル を始めとする歪んだ巨大なギター音をフィーチャーしR&Bをフォークミュージックの文脈とラウドなロックの形態で演奏する「ハード・ロック」が登場します加えて、シンセサイザー、メロトロンなどの最新楽器を使用し「ロック」に「JAZZ」「クラシック」などの音楽様式を掛け合わせた実験的サウンドと文学的理念をエモーショナルに表現する高度で先進的な音楽を演奏する「プログレッシヴ・ロック」も同時期に登場し、ピンク・フロイドやキング・クリムゾン、ジェネシス、イエス、EL&Pなどのプロクレッシヴ・ロックを代表するバンドが次々と誕生して行きます。ここでようやくプログレが出て来ましたが、これがオチではありませんので、もう暫くお読み下さいw▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------8.「社会に影響を与えるブルース」-----------------------------------------------------------------------------------この様にロック時代を牽引した「ブルース」がある一方で、レイ・チャールズ、サム・クック、ジェイムズ・ブラウンアリサ・フランクリンを生み出した「ソウルミュージック」は「ブルース」から発展したR&Bが生み出したジャンルで白人社会にブラックミュージックの存在を認めさせた音楽でもありました70年代に入りますと「ニュー・ソウル・ムーヴメント」と呼ばれるソウルミュージックよりも更に社会問題へ言及する形でジャズやフォーク、民族音楽などの異なる要素の音楽を加え化学反応させた複雑で高度な音楽性を内包した楽曲を輩出する新世代ブラックミュージックが誕生しマーヴィン・ゲイ、スティーヴィ・ワンダー、カーティス・メイフィールド、ロバータ・フラック、ダニー・ハサウェイなどのアーティストの登場でブラックミュージックは全米音楽チャートを賑わせるメインストリームの音楽として米国の音楽界で揺るぎない地位を獲得する事になります。続いて、70年代中期から後期にかけてファンク、ソウルミュージックをベースに強力なダンスビートが加わった「ディスコミュージック」が一斉を風靡しスウェーデンのPOPグループ ABBA のブレイクや元はソフトロックデュオグループだった ビージーズ がディスコティックサウンドへ大胆な変身を遂げ音楽を担当したジョン・トラボルタ主演1977年の映画『サタデーナイトフィーバー』の大ヒットなどのきっかけで一大ブームが巻き起こります。ブルース界でもエリック・クラプトン、ジョニー・ウィンターなどの白人ブルースマンの登場など、ブラックミュージック界での白人ミュージシャンの進出が目立つ様になって行きます。これらは先程も出てきた「公民権運動」に呼応した動きと言えますがこれは当時の米国白人社会の中で黒人が地位を獲得した事を意味するだけでは無く白人社会の中に黒人が生み出した音楽が根付いた事を象徴する動きだと思われます・・・・・・かつて40年代、50年代の米国の音楽界では、黒人ミュージシャンによるR&Bのヒット曲を白人ミュージシャンがリメイクし黒人ミュージシャンのヒットを上書きする様なヒットを遂げて大ヒットした事実を白人のものへとスライドさせる、音楽界での黒人の台頭を許さないとばかりにあからさまなまでに功績を横取りしてきたという歴史がありました。現在でも人種問題で全米が分断される中、日本では「都会風」と訳される「アーバン」という言葉が白人音楽界の「ポップ」の対極にある差別的な言葉であるという問題が浮上しポリティカル・コレクトネスの見地から使用の是非が問われ米グラミー賞では「アーバン・コンテンポラリー」という名称を「プログレッシブR&B」に変更しようという名称問題が音楽ファンの間でも取り沙汰されましたが名称問題の是非はともかくとしてこの騒動の要は、現代の米国音楽界に人種問題のメスが入った所にあるのでは無く黒人アーティストの功績を軽視する傾向が40年代、50年代はおろか、80年経った現在に於いても未だ米国の音楽界に 根強く残っていた事を浮き彫りにした点にあると言えます・・・▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------9.「原点回帰を促すブルース」-----------------------------------------------------------------------------------80年代に入りますと、音楽器機がアナログからデジタルへ移行しアース・ウィンド&ファイアー の様なファンク・ソウル・バンドやアレサ・フランクリン、ティナ・ターナー などの大物ソウルシンガーがアナログ時代には存在しなかったクリアで綺羅びやかでゴージャスなデジタルシンセサウンドをバックにスタイリッシュなコンテンポラリー・ミュージックを唄うアーティストへとこぞって変貌を遂げ音楽配信TVサービス「MTV」人気やハリウッド作品の主題歌起用ラッシュによって景気低迷で停滞していた音楽界は再び活気を取り戻しますしかし90年代に入りますと、経済を立て直す経済再建策レーガノミクス疲れが出たのか「癒やし」を求める風潮が拡がり音楽界で新しいサウンドを求める動きが行き詰まり始めます一方で、媒体がアナログレコードから CDへ移行 した事を期にレコードで揃えた愛聴盤をCDに買い換える「リバイバルブーム」が起こり世の中のその様な動きに呼応する様に派生した「オルタナティブ」ムーブメントに代表される、原点に立ち帰る動きが音楽界の中で広がって行きます。ロック界でも「ヘビーメタル」ブームが収束した反動の様にアンプ機材を使用しない、アコースティック楽器のみで演奏する「アンプラグド」ブームが起こり、その流れから数多くのアーティスト達が自身のルーツとなる「ブルース」へ回帰 する作品をリリースしました。21世紀を迎えますと、インターネットの普及とCDパッケージ販売からダウンロード販売への移行で音楽業界は激変し大手レーベルの資金力と機動力を借りなくてもネットでのダウンロード販売とSNSによる拡散でプロダクションレベルでのリリースが可能となった事で音楽界はそれぞれのアーティスト力を糧とする業界の多様化が加速して行きます。■農業革命ではノーフォーク農法の普及で穀物生産を増大させ経営に資本主義的理念を導入し産業革命後は、手工業に替わる機械への移行とそれに伴う生産技術の革新と、それを支える石炭などのエネルギーの変革を起こし小品種大量消費が社会の主流の世の中となり、音楽業界もそれに倣い大衆が好むとされる音楽を大量消費させるやり方を推進させる資金力と機動力のある大手メジャーレーベル独占体制が続きましたしかし、20世紀の最後に登場したインターネットによる第三の波 情報革命によりかつて黒人を低賃金労働者として隷属させ「ブルース」を過去のものとしてきた歴史を持つ米国は大衆音楽をリリースし続ける大手メジャーレーベル主導の図式を崩壊させ21世紀に入り人種問題で国を分断させ個人の価値観が主導する時代へと変化した事で現在の様な大きな岐路に立たされる事になるのでした。そしてこの様に先の見えない世の中になった時は初心の気持ちで原点に立ち返り自分探しの旅を行ったり原点回帰からの再起を図るなどの行動を取ったりするものなのですが、ジャンルが行き詰まった時、自身の原点に回帰しようとするのは音楽も同様で、ロックアーティストの場合も 自身が影響を受けた音楽の中に全てのロックの源泉となる「ブルース」を見出してそれが、自身の音楽性を見つめ直して起死回生を目指したりあるいは本格的にブルースに取り組んだり新たなジャンルを生み出す「原動力」となったりする訳です。これは、「影響を受けた音楽」の中に「ブルース」を発見する作業、という文字通りの「源泉探求」の作業を指す他に「影響を受けた音楽」を通して自身のDNAの中に「ブルース」を体験していた自分を「発見」するという、元から自分が持っていたものを「再確認」する行動を指し、それにより自身の音楽的基盤が「正統派」なものであると捉える音楽的「指針」を見出す行為を指す事を意味し、これが、ジャンルが行き詰まった時に再起する為にリセットし原点回帰しようとする動きの原動力になるのだと言えます。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------10.「ブルース体験と正統派ROCKとの関係」-----------------------------------------------------------------------------------ここで「ブルース」では無くなぜ「ブルース体験」が抜け落ちると「ROCKの正統派」とは言えなくなるのかという最初の話に戻りますが、「ROCKの正統派」のベースに「ブルースを聴く体験」では無く「ブルース体験」があるのは欧米の人々が生活する中で蓄積されて行く知識、経験に基づいた「体験」の中に、「ブルース」の様に人々の営みから派生して根付いて行った音楽が生活をして行く中で自然と体の一部となる様な音楽体験が含まれているとするなら、同じ様に人々の営みの中から派生した「ROCK」も音楽体験という形でブルースとの繋がりがあるのでその様な音楽的基盤のある音楽から派生した「ROCK」は正統派な音楽だと言う事になります。つまり「ブルース体験」という形で「ROCK」は欧米人の体の一部となっているので「正統派」な「ROCK」のベースには「ブルース体験」があると、いう事になる訳です。それに対して日本の場合は戦後欧米の様に「ブルース」が体の一部となる「ブルース環境」が作られる様な音楽的地盤も機会も無かったので70年代に「ブルース・ブーム」が起こっても数年の短期的なブームで終焉し日本の音楽界にブルースが定着する事はありませんでした。その後、日本のROCKが大きく欧米に遅れを取る事になったのは正統派なブルースが日本の音楽に根付かなかった所に大きな要因があったのではないかと思われます。この「ブルース環境」とは何かという事ですが、コレを日本の音楽に置き換えると理解しやすくなると思います日本人が演歌のこぶしと「和」の手拍子の「間」を理解する事に何の理由も必要なく、DNAの中に演歌と「和」をいつの間にか体験していた自分を発見して音楽的基盤が正統派な邦楽にある事を自覚して「邦楽体験」を理解するのと同様に欧米人がブルースのノリとインテンポのリズムを理解する事に何の理由も必要なく、DNAの中にブルースを体験していた自分を発見して自覚して理解出来るのでその様な社会的な環境の中で音楽的基盤となるものが体の一部となり生活レベルでブルースが根付いた環境が「ブルース環境」という訳です故に日本人はROCKのインテンポ(リズムの裏)を取るのが苦手でブルース特有の歌いまわしが理解出来なくて欧米人は演歌や民謡の手拍子の「間」を取るのが苦手で演歌特有のコブシが理解できないという事になる訳なのでした。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------11.「日本に上陸したブルースと定着しなかった要因」-----------------------------------------------------------------------------------B.B. King (画像参照: wikimedia)さて、日本でブルースがブームになったのは欧米から遅れること10年1971年、B・B・キング初来日公演をきっかけに起こりました加えて1974年に開催されたブルースフェスティバルでB・B・キングを通して生のブルースに触れた当時の日本の音楽ファンやミュージシャンが正統派シカゴブルースを演奏するスリーピー・ジョン・エスティス&ハミー・ニクスンと、ロバート・ジュニア・ロックウッド&ジ・エイシズに衝撃を受け日本でブルースのアルバムのセールスが一気に伸び竹田和夫率いるブルース・クリエイションや憂歌団などのブルースバンドが人気を博す様になりますこのフェスティバルの模様は75年に発売されたライブ・アルバム『ブルース・ライヴ! ロバート・Jr.ロックウッド&ジ・エイシズ』で聴く事が出来ますがこのフェスティバルが翌年75年まで3回開催された後は日本のブルースブームは まるで潮が引く様に収束するのでした。これは、1930年代にロバート・ジョンソンの様な人物が存在していた米国や第2次世界大戦の米軍駐屯で米兵を通して拡がった英国の例の様に「ブルース」が浸透する音楽的地盤が 日本には無かった事や、欧米で「ブルース」が定着した50年代中期は日本では戦後からようやく復興した時期に当たり戦時中洋楽は敵性音楽として鑑賞禁止となり音楽的な鎖国状態が続いた後に戦後進駐軍を通してようやく洋楽体験をするという、欧米の音楽の潮流から大きく外れた事などが要因となりブルースが定着する基盤を作れなかった所に理由があったように思われます。これにより日本の音楽界は世界の潮流から10年遅れて日本にブルースが根付く土壌を作ることが出来ないまま今後もこの差が埋まる事がなかった所に日本のROCKが欧米に対して大きな差が付いた要因となったと言えます。加えて日本では、「ブルース」から派生した「R&B」から「ロックン・ロール」を経由して新しいサウンドを求める機運の中で「ビートルズ」が登場する という欧米が体感した順当な「音楽的体験」をしないまま、戦後入ってきた「白人音楽」で突然洋楽を体験した後に64年に「ビートルズ」を体験してから70年前半の「ブルースブーム」となっているので、欧米の場合「ビートルズ」を聴いた人々がビートルズを通した「ブルース体験」を体感しながら『ブルース、R&B から発展した新しいサウンド』という様にビートルズの「画期性」を理解して行った事に対して、当時の日本の音楽的状況ではビートルズを真の意味で理解できない状況だった事が分かります。それに加えて、例えば・・・欧米の音楽に触れながら洋楽に対しての「音楽的情緒」というものが形成されていく、「民族的成長因子」がというものがあるのだとしたら・・・この時点でビートルズを理解出来なかった事は「世界的音楽の潮流」から10年乗り遅れただけでは無く本来なら60年代前後の時期に「ブルース」を体験してその後にビートルズを体験して一様に衝撃を受けた後に欧米のロックに触れて、「ロック」の中に「ブルース」を発見する「正統派ロック」の因子が定着するというそれらの音楽的情緒が育っていく大事な時期に、「ブルース」を聴いた時に受けるべき衝撃を体験する前にいきなり「ビートルズ」という発展形に触れて日本中が衝撃を受けた事で日本民族から「ブルース」という因子がゴッソリ抜け落ち「ロック」から「ブルース」を感じられない状態が日本では「ロック」のデフォルトとして定着した事になります。後にブルースがブームになってもブルースへの関心が5年と保たなかったのも、「ブルース・クリエイション」の様な本格ブルースバンドが世界の潮流とは異なった日本の音楽界で居場所を模索しながら「ニュー・ミュージック」のムーブメントに押される形で81年に「クリエーション」と改名してサウンドをポップ化しシングル「ロンリー・ハート」で奇しくも自身最大のヒットを飛ばす事になったのも、昭和の歌謡界で「ブルース」と名の付いた楽曲が「ブルース」とはかけ離れたものだったりするのも、そもそも日本のロックが欧米のものとはサウンドも仕様も大きく異なるのも、日本人の音楽的情緒から「ブルース因子」が抜け落ちた所に理由があった様に思われます。■この様に原点回帰出来る様な歴史的音楽基盤の無いまま発展した日本の音楽は廃れたら消えて、新しいものが「根無し草」の状態で生まれて又廃れる、を繰り返す「体力のないジャンル」となり日本の音楽界の「10年の遅れ」はその後も埋まる事無く21世紀を迎える事になります。一方で、「ビートルズ」を体験した後に音楽をマニアックに学問的側面から捉える日本人ならではの「探究心」が昂じてピンク・フロイドやディープ・パープルやブラック・サバスの様などれも「ロック・バンド」ではあってもサウンドも演奏理念も全く異なるこれらのアーティスト達を全て「ROCK」というひとつのジャンルで括りレコード店の同じ棚に置いて販売していた当時の欧米の音楽業界とは異なり、「フォーク・ロック」「ソフト・ロック」「ハード・ロック」などの音楽用語で差別化し、レコード店でも細かくジャンル分けして販売管理する「音楽ジャンルの細分化」が行われる事に繋がりその様な中で後に世界的なカテゴライズとなる「プログレッシブ・ロック」という 日本独自のジャンルを生み出す事にも繋がるのでした☆これはいうなればブルース因子を持った欧米人には体感出来ない「ブルース体験」が無く「ブルースの因子」を持たない日本人だからこそロックミュージックの多様化に気付けたという事であり日本人だからこそ可能となった、ロックミュージックのカテゴライズの中で欧米では「ROCK」と一括りとされたピンク・フロイド、ジェネシス、EL&P、キング・クリムゾンなどがジャンル分けされプログレミュージックとして分離できたと言う事だといえます。という訳で、これでブルースの話がプログレに繋がりましたW▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------12.「日本のROCKの特異な発展とその脆弱性」-----------------------------------------------------------------------------------L'Arc en Ciel (画像参照: wikimedia)・・・さてここで再び80年代「ビジュアル系」の話に話を戻しますが・・・これまで話してきた「ブルース」とロックミュージックの関係から「ブルース」から派生したロックを「正統派」とするとして先程説明した様に日本の音楽界は「ビジュアル系ロック」の様なジャンルが、正統な道筋を通らずに派生した音楽的土壌があり欧米とは異なった特異な発展を遂げた事から日本のロックは近年欧米に注目される様になっても音楽的には「根無し草」に近い派生しても廃れたら消えてしまう体力の無い脆弱なジャンルとなったと語りました。これは思うに、ロックミュージックもポップスも同等に捉える欧米の音楽の評価とは異なりこれまで語ってきた70年代に「ロックは不良」90年代に「ビジュアル系」といった、本来の音楽性とは異なった「見た目から入る」捉え方が一般的な評価のあり方だった所にこの様なブルース体験が抜け落ちた国民性となった一つの大きな要因があったのかもしれません。■日本では、90年代にROCKが音楽ジャンルの一つとして世間に認知されましたが当時のバブル景気も相まって音楽界はこれをひとつのビジネスチャンスと捉え「ロック」でも何でも無い曲をラウドに演奏した「企画物」からロックをネタにした「ネタ物」に至るまで様々な音楽を「ロック」と称して量産しヒットを飛ばし話題となるのですがそれによって音楽市場は玉石混交の飽和状態となって行きます。やがてバブルが弾けると同時に、そうして世に出たバンドの多くは姿を消すか、タレント化して行く中で「ロック」はコアなジャンルとしてインディーズ化したり、ロックとも歌謡曲とも違うノンジャンル音楽へと姿を変えて存続して行きます。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------13.「サブカル化するROCKと見限られる邦楽界」-----------------------------------------------------------------------------------影山ヒロノブ (画像参照: wikimedia)そんな90年代後期、バブル期以前から存在したロックバンドのアーティスト達はバブル景気を経て態度を硬化した日本の音楽界の洗礼を受けながら、音楽界の中で生きる術を模索していた頃日本特有の発展を遂げてきたという点では日本のロック文化と酷似する日本のサブカルチャー文化を代表する「アニメ」文化から派生しすべてのジャンルの音楽を貪欲に吸収してきた「アニソン」が表現の可能性を求めるロックアーティストの受け口となって行きます。元々アニソンは作品の劇伴(BGM)「サウンドトラック」としての性質を持っている事もあり、「ヘビーメタル」の重厚感に「ハードロック」の攻撃性と「プログッシブロック」の先進性物語性などを兼ね備えたロックの楽曲はエモーショナルに作品の世界観を表現する楽曲が求められる「アニソン」との相性も良く日本のロックは新たなマーケットとして登場した「アニソン界」という巨大な渦の中に糾合されて行くことになります。アニメの大ヒットによりブレイクしたロックアーティスト達はアニソン界での成功を受けて今度は封印していた自身のバンドを再結成しアニメの劇伴制作を通して学んだグローバルな視点とクレバーな観点で日本の音楽界にこだわらない音楽活動を開始しロック・ミュージックのメッカとなるドイツでレコーディングをして欧州のロックシーンを見据えた海外での活動を展開して行きますこれは欧米ロックの「ブルース」への回帰とはいささか異なる動きではありますが、こうして日本のロックは日本のサブカルチャー文化を通して音楽活動の原点に立ち返り再びロック・ミュージックに回帰して行くのでした。■日本のロック元年となった60年代後期から数えて約半世紀が過ぎこれまで日本のリスナーや業界は偏狭な見立ての中、果ては「アニソン界」へと流れて行く様になるまで様々な形で「ロック」を冷遇してきましたが21世紀に入り「ネット社会」の誕生で表現場所を選ばない発信が可能となり米国は「POPS」欧州は「Hard ROCK、METAL」日本は「アニソン」といった世界的な「音楽シーンのエリア化」が進み全ての物事がより良い環境を求めて多様化が始まりますが、この様な新たな潮流の中豊かな文化があっても経済の目線でしか物事を捉えず、文化を推し量るフレームワークが成っていない 日本では訪日外国人によるインバウンドブームが過ぎて「観光公害」が叫ばれる事態に陥る事も予期できなかった様な、「会社を立て直す」名目で「技術」を売払い「金」の代わりに会社を「空」にしてしまう様な、「必要ない」という理由で過去の技術が次々と海外(主に中国)に流出させている様な、この様な日本の社会問題同様に日本のロックのこの動きは音楽を文化の一環と捉えて国策として推進してきた欧米諸国とは異なり日本が昔から音楽文化の発展に無関心だった事で、遂に「ロック」の方に見限られた 形で日本から「ロック」が離脱しつつある事を意味し本格的に音楽の「根無し草化」が加速している状況に陥っている証の様にも見えます。その様な形で「柱」となる音楽ジャンルが次々と空洞化し日本と欧米との音楽文化の遅れが「格差」として拡がっている現れとして、演技にもルックスにもそんなに特徴の無い俳優でもある歌手がドラマの最後にダンスする懐かし風の曲がなぜか大ヒットしたりメインストリームから外れた香水の曲がTikTokでバズリ突如話題になったりする予測不能の「異常気象化」がよく見られる様になっております。これは日本の音楽界の多様化が形骸化し将来メインストリーム不在の暗黒の時代 を迎える事になると言っても過言ではない状況にある現れなのかもしれません。・・・その真偽はさておき(※あくまで個人の偏狭な意見の妄想ですW)・・・その様な中でも「ロック」は 表現の場を求めて隙間を縫う様に形を変えながら生存し育って行く地に根の生えた木々の様に力強く、雑草にも勝る生命力で開花する「生きるカルチャー」だと思えるのでした。 それでは、順番に聴いて行きましょう♪▲目次へ▲------------------------------------------------------------------------------------ 楽曲解説 ------------------------------------------------------------------------------------△▼△▼△▼NOVELA - 調べの森 (1984)収録アルバム 『サンクチュアリ(聖域)』Forests in Yakushima (画像参照:Wikimedia)ギターの平山照継率いるプログレッシブロックバンド「NOVELA」のめくるめくダンジョンの世界に足を踏み入れたかのダークファンタジーを思わせるマジカルなナンバーですNOVELAは元祖ビジュアル系バンドとしても多田かおる の漫画 『愛してナイト』 のモデルとなった事としても有名なバンドで当時関西系ロックバンドの実力派『シェラザード』から平山照継(Gr) 五十嵐久勝(Vo) 永川敏郎(Key) 秋田鋭次郎(Dr)『山水館』から 高橋ヨシロウ(Vo/Bs) 山根基嗣(Gt)の2バンドが合体しデビューした選ばれた精鋭によって強化されたスターバンドでもありました。しかしそうなった背景にはプログレ というジャンルに難色を示したレコード会社が話題性をという付加価値を付け足した企画バンド としての結成という実情がありこの様に当事者達が望まない形で新人バンドがデビューするのは当時の音楽業界では珍しくない事でした。■ノヴェラのサウンドは、初期のジェネシスの様な寓話性に溢れた内容をツインギターによるハイレベルな演奏でドラマティックに表現するのが特徴でまだビジュアル系という言葉が無かった時代に少女コミックの主人公たちが画面から飛び出してきた様な美しいルックスのミュージシャン達がそれに相応しい美しく幻想的でドラマティックなロックを演奏する美形バンドとして話題となりイギリスのグラム系バンド GIRL の前座を演っていた時メインのGIRL を見ずに帰る客も居たという伝説を残している程の女性ファンからの支持の高かったバンドでもありました。3枚目のアルバム「PARADISE LOST」ではもうひとりの中心人物でボーカルも担当したベースの高橋ヨシロウの音楽性を全面に押し出した様なハードロック的なアプローチが際立つ内容となりこれまで以上にパワフルな楽曲作りは「ハードプログレ」と称される程の進化を遂げるのですが中心人物が二人いるバンドとしての限界点に達したのかこのアルバムでの成果が結果としてハードロックバンド「ACTION」結成の手応えへと繋がり高橋ヨシロウ(Bs) 山根基嗣(Gt) 秋田鋭次郎(Dr)の脱退劇を生み出す事になります■本曲はそうした山水館組の脱退後新たなメンバーとして 笹井りゅうじ(Bs) 西田竜一(Dr) 招き新体制となったNOVELAの、更なるプログレ色を強めたアルバムからの表題曲的ナンバーでテクニカルでエモーショナルな演奏のNOVELAらしい語り口で富野由悠季監督作『聖戦士ダンバイン』を思わせるジャパニメーションの映像が浮かぶ様なダーク・ファンタジー的な世界へ誘いつつある種の寓話的世界を現代へと投影させる世界観で自己啓発を誘う様な内容になっております。これまで比較的オリジナル色のある楽曲を排出してきたNOVELAが本曲では冒頭のドラムがGENESISの『Wot Gorilla?』そのままだったり別曲では『One For The Vine』を模した導入など「静寂の嵐」時の GENESIS を露骨なまでに模したアプローチが多数聴かれサウンド的には進化というよりはリーダー平山の音楽性が色濃く投影されたマニアックな内容になった様な印象の作品となりましたが元々少女コミックから抜け出した様なビジュアル系バンドという触れ込みの実力派バンドだった事もあってかファンタジーコミックをベースにした印象の現在の「アニソン」を思わせるサウンドに仕上がっている所に、日本特有の「アレンジ文化」の最たる姿が見て取れると共に現在の邦楽界の源流を感じさせるものがありそういう意味においても本作は非常に興味深い作品と言えると思います。▲目次へ▲△▼△▼△▼難波弘之 - ブルジョワジーの秘かな愉しみ (1985)収録アルバム『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』KORG Mono Poly (画像参照:Wikimedia)山下達郎のバックとしても、プログレ好きとしても知られる日本屈指のキーボーディスト難波弘之が、これまで関わってきた日本の歌謡曲、ポップスを自身の解釈でプログレミュージックで昇華させた作品集からの表題曲です。難波弘之は70年代後半からスタジオ・ミュージシャンとして活躍してきた人気キーボーディストでアカデミックで確かな音楽的背景と、クラシックからジャズ、ポップス、歌謡曲まで網羅する幅広い音楽性とキース・エマーソン率いるEL&Pを始めとする欧州ロックに傾倒する音楽的個性を兼ね備えたミュージシャンで山下達郎を始めとする様々なアーティストが絶大な信頼を寄せる事でも有名なミュージシャンです又、SF作家として小説を発表したりタレントとしても番組司会をする多才な人物でもありますソロでは自身のバンド『センス・オブ・ワンダー』での活動を数十年に渡って続けており大きな影響を受けたキース・エマーソン同様の3ピースバンドで今もプログレッシブ・ロックを演奏するこだわり様でセンス・オブ・ワンダーの25周年記念ライブではゲスト出演した山下達郎にムーディー・ブルースの「サテンの夜」を唄わせた程の徹底ぶりを見せ付けデビューから一貫したスタイルで演奏活動をし続ける数少ないミュージシャンの一人と言えます。■本曲はフランスの監督 ルイス・ブニュエル の代表作『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』を題材にしたイメージ曲でドラマティックな変拍子のイントロの後、トレブリーで重いベースサウンドでリフを奏でるインタープレイの無い構築されたアレンジで曲が進行し上流階級の精神的退廃と衰退を非現実的な視点で語る歌詞を難波の個性的な歌唱でリリカルに歌い上げながらハイライトとなるメカニカルで緊張感溢れるソロパートへと流れていくというミュージシャンとしてアレンジャーとしての音楽活動で培われ作家活動を通して身に付けた確かな構成力に支えられた多分に文学的でエモーショナルな楽曲として仕上がっており自身が傾倒するプログレッシブ・ロック・サウンドをベースにフランス象徴派の退廃的で耽美なモチーフを歌謡曲とロックに昇華した80年代中期までの活動に於いて、ある種の到達点に達した聞きやすくドラマティックでスリリングな音楽が堪能できる難波弘之の代表作的楽曲になっております。■本曲の作詞を担当した森雪之丞は、布袋寅泰作品、氷室京介作品などで知られる「ビジュアル系」と呼ばれる日本特有のロック・ミュージック生誕に関わり歌詞のスタイルを確立させた一人として日本ロック史に於いても重要な音楽家と言える人物で本曲では耽美主義的文学が持つ「退廃」さをスタイリッシュな形でロックに昇華させた「ビジュアル系」ロックの原型が伺える小説家でもある難波弘之が作る音楽の文学的側面を支える傑作に仕上がっております。難波弘之によると、森雪之丞が作詞する歌詞はアーティストや音楽プロデューサーが方向性のみを伝えて後は作詞家の作家性にお任せする、ありがちなやり方で作られたものとは違い作曲者やアーティストに楽曲にまつわる様々な事を「イメージ」として語ってもらい時には一見楽曲とは関係のない、脈絡の無い会話の中から必要なイメージをアーティスティックな形で引き出しその様にして受け取った様々な濃密なイメージからインスパイアされたものを再構築して楽曲へと転化させる、エモーショナルなものだと語り言わば、バンドに於いての「セッション」を重ねた末に生み出される様な極めて「音楽的」なものではないかと思います。▲目次へ▲△▼△▼△▼美狂乱 - 二重人格 (1982)収録アルバム『美狂乱』日本のお面 (画像参照:Wikimedia)リーダーでギタリストの 須磨邦彦 率いる「和製キング・クリムゾン」と呼ばれた 超個性派音楽ユニット美狂乱のデビュー・アルバムから東洋的神秘感漂う静寂さと英国ロックの躍動感を併せ持った息苦しい程の緊張感が全編を覆うオープニング・ナンバーです。このバンドは音楽性もそうですが、デビューに纏わる話が変わっており、先程の「NOVELA」のメンバーが、プロミュージシャンとして世に出る為に紆余曲折を経て「混成バンド」としてレコードデビューを果たした事に対してこの時代にプロ・ミュージシャンを目指したセミ、アマ・ミュージシャン達の最たる例を見る様な美狂乱のレコードデビューには「MOVELA」とは全く違った紆余曲折がありました。という訳で、美狂乱の紹介は楽曲に付いてはそこそこに・・・w主にバンドがデビューするにはそのバンドがどれだけ魅力があるのかという点よりもその様なバンドを排出する周囲の音楽環境と音楽的土壌がより重要になってくるという、人気バンドがレコードデビューに至るまでの音楽事情に目を向けてよりディープな見地から作品を捉えてみたいと思います☆▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------1.「レコード会社に振り回された当時のバンド事情」-----------------------------------------------------------------------------------美狂乱のレコードデビューは同レーベル所属で先行デビューしたNOVELAが一定のファンを持ちレコードセールスが順調だった事でクリムゾン・コピー・バンドとして名を馳せた「まどろみ」時代から音楽コンテストで高い評価を受けていた事から鳴り物入りで浮上するのですがこの時 美狂乱はレコーディングのリハーサルまで漕ぎ着けながらメンバーの離脱に遭い、残ったメンバーとでは、音楽で生計を立てるかどうかで悩み当時傾倒していたクリムゾン・フリークを貫きたいリーダー須磨はプロ活動を諦め、最期のメンバーも美狂乱から離脱美狂乱は事実上の解散状態となり、レコーディングは頓挫します。美狂乱はキングレコードのプログレ部門だったNexusレーベルから2枚のアルバムをリリースしていますが、それは唯一のメンバーとなった須磨がレコード担当者からの再打診を受諾し実姉がコーラスで参加した経緯から「トランザム」のチト河内をプロデューサーとして迎え、ドラムとベースは静岡時代の仲間に声を掛け 集めて、ゲストミュージシャンとしてチト河内の紹介で当時芸大の学生だったバイオリニストの 中西俊博 と「HeavyMetalArmy」 のキーボーディスト 中島優貴 の協力を得て解散したバンドのメンバーの一人が身内の力を借りて ソロアルバム を制作した様なレコードリリースでした。美狂乱もそうでしたが、当時のセミ、アマ ミュジシャンが 一様にプロを目指す中でライブバンドとして名を馳せながら、地方から都市進出を目指す途上でメンバー間との方向性の相違による脱退や、疲弊したメンバーのリタイヤなどに遭いながら失意の中で帰郷するというケースは多々有り、バンドブームと呼ばれた80年代後半に活躍した「十二単」や「ハリースキュアリー」の様な人気バンドがCDデビューが無くその後なぜかメンバーのソロアルバムだけがリリースされるという現象が見られたのはレコードデビューが決まり契約した直後に様々な理由でバンドが解散状態となりせっかくの契約を破棄したくない、又は契約不執行にならない様に 残ったメンバーでの代替えリリースとなったというのが主な理由ですがライブで名を馳せながらもプロとしての力量に欠けるバンドや人気の無くなった有名バンドの「解散」を一つの話題としてCD化させる、などの辛辣な理由も含めて、CD全盛のバブル時代には、好景気に日本中が浮かれていた事も相まって次々と立てた企画が直様通り、CD化が決まる様な状況にあり出せば売れる世の中だった事もあり、次から次へとCDが量産され音楽業界は玉石混交の飽和状態と化していました。その様な中でデビューしたバンドの多くはまともな販促も受けられ無いままCDをリリースされライブ活動をする予算もプロモーションも無いまま飼い殺し状態となり在庫のCDを抱えて全国をどさ回りに近いライブ活動を行い手売りでCDを捌いた挙げ句、疲弊したメンバーの相次ぐ脱退に遭い残ったメンバーは身内のミュージシャンやセッション・ミュージシャンで脱退の穴を補填しながら契約分のアルバムをリリースした後は解散しその後スタジオ・ミュージシャンになったり、リタイヤしたりするというのはバブル時代の音楽界では良くある話でした。美狂乱の場合も、レコーディングの為にメンバーを補填して契約分のレコーディングと数回のライブをこなした後は解散しているので表面上は良くあるバンドの顛末だったと言えますが殆どのミュージシャンがたとえ一人になってもアルバムリリースをチャンスと捉えてプロとしてアーティスト活動をして行く橋頭堡としてレコーディングに挑む事に対して、美狂乱の場合は、リーダーの須磨がこれまで積み上げてきた楽曲の披露とクリムゾン研究で費やした実験成果を記録するという個人的理由の目的でレコードリリースを承諾したらしく、音楽で身を立てる事を止めた一介の一般人ギタリストが純粋にアマチュア精神で取り組んだ音楽的成果を披露する為に商業音楽を利用したという、Youtube全盛の現在ならともかくバブル時代以前の厳格な音楽界に於いて、極めて珍しいケースと言えます。結果的に美狂乱の代表作となったこの2枚のアルバムは、リーダー須磨邦彦の個人的嗜好性が反映された「キング・クリムゾン」そのままのサウンドとなりコアなファンの間で話題となりました。80年代初頭は「真似」も再現度が高ければ評価されていた時代で再現は不可能と思われたクリムゾンが美狂乱で再現されたばかりで無く日本の音楽と融合したクリムゾン的な完成度の高いサウンドがより高い評価を得る事に繋がるのですがこれは「ロックギタリスト」を目指した当時のミュージシャン達が一様に判で押した様に「ブルース」に傾倒した後、やがて音楽性の不足感を感じて流行りの「フュージョン」にのめり込む定番の流れに対して、須磨自身はそうした当時の風潮を含めて忌み嫌い定番で人気の演奏を強いられる「プロ」の立場では不可能な、自己の表現の道を「アマ」の立場で見出して「ブルース」を徹底排除し独自の音楽を嗜好した一つの結果だったと言えます。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------2.「音楽的個性の根付きと偏狭性との関連」-----------------------------------------------------------------------------------ロックを演る上で「ブルース」とは言わばロックの基盤に当たる避けては通れない楽式なのですが、チョーキング(弦を指で引っ張り音程を変える奏法) すら否定する須磨のこだわりは尋常では無く60年代後半から殆どのセミ、アマミュージシャンが R&Bに傾倒し「魂」をウリ文句としながら「流行」としての「R&B」に陶酔する状況や70年代後半に「フュージョン」がブームになると日本中がのめり込んだ様を「堕落」に映ったと語る須磨の感性は、一見極端で偏狭なものに映りますが当時のバンド事情は現在の様に、アーティストがサウンドを求める事に何の縛りも、ジャンルにも捕らわれる事無く、何をするにも全てのジャンルにお手本となる名盤、名手が存在し奏法、手法が確立され、求めるままに自由に音楽を追求出来る情報溢れる21世紀の時代とは異なり登場したミュージシャンの作品が後世のジャンルとなり名盤となって行ったロック未開の日本の60年代後半から70年代初頭に至っては、ロックがブルースから派生した音楽である限りロックを志す者がブルースから入るのは当然の流れでありこの後「ハードロック」「プログレ」の様なロックから派生した音楽が登場する以前の世の中で音楽の入り口が皆一律同じになるのは当然で、それが当たり前な事なんだと、誰もが疑問に思わない世の中にありました。又、学生運動が収束する最期の時期と重なっていた事もあり商業音楽に手を染める事は堕落を意味するという一部 極端な風潮が根付いておりフォーク音楽の大御所、吉田拓郎が「結婚しようよ」を大ヒットさせた時フォーク歌手がメジャーな音楽を演ったという理由で世間に媚びた音楽としてコアなフォーク・ミュージック・ファンから怒りを買う様な世相の中にあり音楽を嗜好する事が思想の一部と捉える考えがまだ残っていた時代でもありました。当時は、「ギターはカッティングしか演らない」「ジミヘン以外は音楽じゃない」の様な偏屈な考えを持ったミュージシャンは数多く居ましたが80年代がマニュアル重視の 管理社会 となるのと同時に音楽界でも型にはまった「教則」「理論」「手法」が重視される様になり結果 無個性の時代 と呼ばれる様になって行った事とは逆の理由で、70年代に活躍したミュージシャン達のルール無用の極端な捉え方が音楽を通して影響を受ける際の ある種のフィルターとして機能して楽器音を聴いただけで誰が演奏している事が分かる程の独特の個性を持つ要因となって行ったとも考えられるものがあります。その様な60年代70年代の時期に、情緒が形成される少年期青年期にかけて音楽に触れ続けた事が少なからず須磨少年の独特な感性を決定付けた要因となって行ったのかもしれません。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------3.地方型音楽を形成する音楽的地盤-----------------------------------------------------------------------------------美狂乱のアルバムはリーダー須磨のソロ・アルバムと呼べる個人的嗜好性が収録されたものでしたが同時に、一般人ミュージシャンとなった須磨の音楽活動のベースとなった故郷 静岡の音楽シーンとそこで活躍していたプロ、アマ、含めたミュージシャン達の存在が反映された地方型音楽 という側面を持ったプロジェクトでもあった様に思われます。リーダー須磨は1970年の中学時代、地元静岡県沼津でギタリストとして頭角を表しスタジオ・ミュージシャン時代の「一風堂」土屋昌己の目に留まり、土屋昌巳がプロデュースするバンドのメンバーに抜擢された事をきっかけに静岡県に在住する凄腕ミュージシャン達との長年に渡る交流が始まりギタリストとしての音楽的な基盤が形成されて行きます。美狂乱の2枚のアルバムから感じる、クリムゾンとは違ったある種の懐かしさと突き放した様な疎外感が同居した様な美狂乱特有のサウンドが生まれたのは学生時代からギタリストとして活動して来た須磨が東京とも大阪とも違う、メインストリームから離れた地方特有の情報が偏りがちな音楽環境の中で知り合った才能ある様々な地元ミュージシャン達との交流とジミー・ペイジに傾倒しながらブルース・フィーリングが肌に合わずラテン系ミュージックやワールドミュージックに表現の糸口を求めて模索しロック・ギタリストとしては行き詰まっていた須磨がクリムゾンのギタリスト、ロバート・フリップとの出会いで活路が開かれクリムゾンの研究に明け暮れて来た「まどろみ」時代の1977年に折しも日本中のミュージシャンが夢中になっていたフュージョンブームの台頭でメンバーすら感化された事に失望した体験が背景となりその様に混沌とした静岡の音楽シーンが須磨の感性で切り出した様な所に美狂乱特有のサウンドへと繋がって行ったという印象があります。ある意味「美狂乱」とは 須磨に音楽的刺激を与えてきた静岡のミュージシャン達全てが関わってきた成果の呼称であり美狂乱がメインストリームで流行しているサウンドを嫌いあくまでアマチュア精神に固執するのも70年代当時に於いては、音楽の入り口を自ら狭めている業界の風潮を嫌い、21世紀の現在に於いては、音楽の間口が拡がり過ぎた事から売れる為には考えうる限りの全てを導入し結果中身の無いものを排出する業界の実態に迎合したく無い事に加えて、自ら求める音は可能な限り追求し最後は限られた時間内にどこまで完成度を高められるかで如何に折り合いを付けるのかという プロの世界で結果、商品価値の高いサウンドを輩出するのが「商業音楽」である事に対して、無制限の時間と、自らが求める音をとことん追求出来る環境の中で納得行くまで音作りが出来るのがアマチュア精神であり結果、プロでは出来ない採算度外視の究極のサウンドに到達するのが「嗜好の音楽」と言えるので、一般人ミュージシャン という立場に行き着いた所に大きな理由があると思います。「夢の様な環境」と語る音楽スタジオを自宅に持ち何時間も籠もって音楽に没頭するのは音楽を嗜好する「オタク」的な印象を受けますがその頂点にいるのは山下達郎というハイレベルな世界でもあります。山下達郎が商業音楽の世界に居るのは山下達郎が「商業音楽」が好きだからだそうですが山下達郎の音楽には自身が傾倒する「オールディーズ」への回顧する想いが反映されている所があります。対して美狂乱が一般人の立場で音楽を追求しているのは一見「キング・クリムゾンサウンド」の再現の為の様に見えますが、美狂乱の成り立ちが、これまで話してきた様な背景があるのならば須磨の音楽を育んだ かつての静岡の音楽シーンへの回顧する想いが投影されている様に思われます。故に美狂乱は、Youtube以前の時代から一般人ミュージシャンの立場で音楽を発信し80年代には2枚のアルバムをリリースし90年代には再結成し独自の環境で独自の音楽を追求し続けて2003年にはアニメ『魁!!クロマティ高校』の音楽に抜擢されるという日本の音楽界の中で一般人ミュージシャンの音楽が、商業音楽で起用される唯一無二のユニークな存在だと言えるのかもしれません☆▲目次へ▲△▼△▼△▼四人囃子 - おまつり (1974)収録アルバム『一触即発』日本のお祭り (画像参照:Wikimedia)ドラマーでリーダーの岡井大二と、初代「プリズム」ギタリスト 森園勝敏を中心とした日本屈指のプログレ系バンド「四人囃子」の気怠い耽美的幻想美とロックのダイナミズムがアングラ劇テイストな切り口で括られた70年代の日本のロックのみならず、当時の日本の世相を彷彿とさせるサウンドの響きを持っている点に於いても非常に重要でユニークな作品で占められているアルバムからの人気作となっております。■四人囃子はGSブームを経て世の中が「ビートルズ」の時代になって行った50年代60年代の音楽に触れてロックが現在の形へと進化して行くその空気を知るミュージシャンの集団で日本では数少ない、巨大な音でドラムをプレイする「ハード・ショット」正統派ロック・ドラマー岡井大二と、「ブルース」ブームにあった当時の日本の音楽界で十代の若さで頭角を表した天才ギタリスト森園勝敏のユニットとしてスタートし当時の洋楽ファンも納得する高い音楽性と演奏力、構成力を持つ日本のオリジナル・ロックを目指して一般には「和製ピンク・フロイド」と知られる単にプログレの枠組みでは語れない 多才な楽曲を発表し現在も活躍している音楽ユニットです。■本曲は「和製ピンク・フロイド」の名の通りの幻想的で揺蕩う様な気怠いサウンドが特徴の作品ですが演奏はブルースベースでありながら、欧米のものとは響きが異なりまだロックの黎明期にあった60年代後期から70年代初頭の日本の音楽界で「GS」ブームで登場した歌手、バンドを含めて「芸能人が唄う音楽」とは異なる「ビートルズ」が登場した以降の「オリジナル作品」を求めるムーブメントに呼応した現実と幻想が交差する様なシュールな世界感で日本の粛然とした伝統と、激しさを秘めた混沌が同居する極めて日本的な音世界をロックに昇華させた初期の日本のロックを代表する楽曲だと思います。■本曲の持つシュールさは60年代以降の学生運動が収束した後70年代の政治的に無関心となった当時の「しらけ世代」と呼ばれる若者文化を反映した様な「フラワームーブメント」「サイケデリック・ミュージック」「アングラ劇」テイストを感じる作詞の末松康生による歌詞に依る所が大きい様に思われます末松康生は四人囃子、森園勝敏作品ゆかりの作詞家で自身もアングラ劇経験がある事が当時の若者文化を肌で感じる様な、気怠さと狂気が入り乱れたこの時代特有の表現を持った作風へと繋がった様な印象があります。■四人囃子の中心人物のひとり、ギタリストの森園勝敏は四人囃子が「和製ピンク・フロイド」と呼ばれる事に対して異論は無くても、元々「ピンク・フロイド」には興味が無かったらしく、ドラマーの岡井大二に勧められるまで、その存在すら知らなかったと言いますむしろブルース・ロックに傾倒する見地から「オールマン・ブラザーズ」の様なサウンドを目指して「サンタナ」の様な仕上がりになったとの事で、ロックの音楽史に精通し曲作りに於いて必然性を重要視し、後に音楽プロデューサーとしても成功する岡井と何となく思って作った結果がたまたまイケる形となれば良しという感性を重んじる森園とのまるで水と油の様な取り合わせが、サウンドに絶妙な緊張と弛緩を与えて、本曲「おまつり」から感じる、気怠さの裏に潜む攻撃性と狂気を抱えた演奏に繋がったのかもしれません。それ故に、この奇跡のユニットは短命で終わり森園勝敏は脱退し、その後四人囃子はセカンドアルバムで加入したベーシストでBOØWY、ザ・ブルーハーツ、GLAY、JUDY AND MARY、エレファントカシマシ、くるりのプロデューサーとなる佐久間正英を中心人物に据えて活動を続け作品ごとに方向性を変え、企画力の高さを見せますがバンドとしては迷走していく事になります。脱退した森園勝敏は1976年に当時結成間近だったフュージョンバンド「プリズム」に合流するのですが 1978年には脱退していますので、これにしても理由は「何となく」だったのかもしれませんw▲目次へ▲△▼△▼△▼PRISM - TAKE OFF (1986)収録アルバム 『DREAMIN』Korean Air Airbus A380-800 with contrail (画像参照:Wikimedia)ギタリスト和田アキラとベーシスト渡辺健を中心とした音楽ユニットで過去に元 四人囃子の森園勝敏が在籍しツインギター、ツインキーボードのインストゥルメンタル・バンドとしてスタートし高い演奏力とジャンルにこだわらないロックベースのオリジナル曲が話題となりデビューライブでは最寄り駅から長蛇の列が出来るなどの伝説を残し森園勝敏 脱退後は 激しいメンバーチェンジを繰り返し「カシオペア」「T-SQUARE」の様なグループがポップ化して成功して行く中でその度にプログレッシブ・ロック色を増して行き唯一無二の音楽活動を続ける音楽集団 プリズム のサポートメンバーとしてドラムス木村万作、キーボード松浦義和ゲストにシンセ・ミュージックで名を馳せた 深町純という強力布陣となったTDKレコード移籍 第二弾アルバムで青空に飛行機雲が印象的な マイルドセブンのCM曲としても採用されシングル・カットされたこの時期のプリズムを代表するヒット・ナンバーです。■本アルバムはベースの渡辺健がボーカルも披露する意欲作でインストの本曲では 渡辺のハイレベルなスリリングで縦横無尽のベースプレイに圧倒されるナンバーとなっておりベースソロから始まるという珍しい構成で清々しい朝の光を表現する会心の演奏で幕を上げると同時に曲が一気に加速し、大空を飛行する様なスピード感溢れる演奏となり再び、大空に心を馳せる様なロマン溢れるベースソロへと繋がるというベースソロを取り、ハイテンションなリフをプレイし、ギターの様に和音でカッティングをするなどの7色のプレイでほぼベースの渡辺健の独壇場とも言えるフュージョン・ミュージックの枠内では語れないエモーショルな演奏が堪能できます■現在唯一のオリジナルメンバーとなったギターの和田アキラはグループサウンズで音楽に目覚め、ベンチャーズを経験した後 ブルースに傾倒しハード・ロックにのめり込んだ当時の典型的な「ギター小僧」の一人で高校には進学しないで音楽の世界に飛び込んだロックな人生を歩むロックギタリスト中のロックギタリストな人物でロックギタリストの代名詞の「速弾き」ギタリストとしても知られていますが只の「速弾き」ギタリストとは違いプリズムのメンバーだった森園勝敏によれば、和田アキラのギターの練習は尋常では無く毎日何時間も集中して練習し、その練習量はギターのフレットが変色する程のものだったそうでその様な凄まじい練習量に裏付けられた確かなプレイでアル・ディ・メオラの様な流麗で複雑なスケールを高速で演奏するおおよそロックギタリストの範疇では語れない多彩なテクニックと幅広い音楽性を持ったギタリストと言えます。そんなロックギタリストの和田アキラがフュージョンバンドの体でインストミュージックを始めた背景には60年代後半から70年代前半に掛けての日本の音楽界がGSブームからフォークブームにシフトした時期に当たり正統派本格ロックを排出する様な音楽的土壌が無かった事と、和田アキラが先程の美狂乱の須磨邦彦とは違って音楽ジャンルや楽式に対して拘りが無くどんなものにも興味を持つギターを弾く事そのものに拘る「ギター小僧」だった事が要因となりそれまで「インストミュージック」を形容する言葉が無かった時代に折しも世界的ギタリストでロックスターのジェフ・ベックが75年にリリースした「ブロウ・バイ・ブロウ」を大ヒットさせフュージョン系インストミュージックを認識させた事で日本でもインストミュージックが認知されヒットに繋がった事を受けて和田アキラが当時傾倒していたサンタナ、アル・ディ・メオラの様なラテン、ジャズミュージックの他「グランド・ファンク・レイルロード」や「レッド・ツェッペリン」の様なハードロックや当時登場し始めた「イエス」や「キング・クリムゾン」の様なプログレッシブ・ロックなどの異なる音楽性を持ったこれらの欧米音楽を日本人が理解できる形で受け入れる日本のお家芸でもある「アレンジ文化」の精神でフュージョンミュージックへと融合した「ハイブリッド」な音楽を追求した事で和田アキラの音楽性が爆発的に開花した事が大きな理由としてあった様に思います。その様な「ハイブリッド」な音楽を追求する精神は演奏する機器にも向けられ本作「ドリーミング」リリース当時、井上堯之が司会するFMラジオ番組にプリズムが出演した時スタジオに持ち込んだ機材は、同時期に活動していた他のフュージョン系バンドと比べてベース、ドラム、ギターの機材のに加え、二人のキーボーディストが所有する機材の量は尋常では無い多さだったそうで、この反動から数年後この大掛かりなユニットの解散後は、ベース、ドラム、ギターの3ピースのシンプルな構成に切り替わる事になるとして、wこの時期のプリズムの余りの機材の多さに泡を吹いた井上に『こんなに機材がなければ音楽が出来ないのか』 と言わしめた当時の日本が誇る最高のスタジオ・ミュージシャンの最先端のサウンドを聴く事が出来るという意味に於いても、本アルバムは非常に重要で興味深い作品と言えると思います。▲目次へ▲△▼△▼△▼高崎晃 - 逃亡 ~STEAL AWAY~ (1982)収録アルバム『ジャガーの牙』高崎 晃 (画像参照:Wikimedia)日本屈指のヘビーメタルバンド LOUDNESS のギタリスト高崎晃がLAZYの解散後、プログレ系ミュージシャン笹路正徳をプロデューサーに迎え制作したソロ・アルバムから、作曲の笹路正徳らしい変拍子を多用した非常にプログレ色の強い楽曲です。■このアルバムが制作されたのは、元々ソロアルバム制作の話が先にあって、アルバム制作を通して後の「LOUDNESS」結成へと繋がるという当時アイドルグループとして人気のあった「LAZY」解散後の活動の一環、という流れと、高崎自身が 元「LAZY」という肩書から逃れ、ロックギタリストとして本格的な活動を始めた、という現れと、高崎自身が 元「LAZY」という肩書があっての、自由な采配のソロアルバム制作となった、という相反する実情が背景にあったものと思われます。それらを物語る様に本アルバムは、日本で本格ロックギタリストを目指す高崎晃が志を同じにする若きミュージシャン達と共に制作したロックギタリストのアルバムであると共にマライア、ナスカの笹路正徳によるプログレッシブ・ロックを思わせる内容という同時期にリリースされた「BOWWOW」のギタリスト山本恭司のソロアルバム「Horizon」同様にコアなロックでは無く、サンタナ やエリック・クラプトン、ジェフ・ベック の様なロックギタリスト主体によるアルバムが音楽ファンに受け入れられ大ヒットした世の中の流れを汲んだ方向性で制作された様な印象がありロックギタリストのジェフ・ベック がフュージョン・ミュージックのカテゴリーでインストアルバムを制作しキーボーディストのヤン・ハマーに楽曲の作曲を依頼して自作にこだわらない新たなエレクトロニック・ミュージックの可能性を見出している所に共感する様な形で既に「LAZY」時代に楽曲を自作してきた高崎が敢えて全曲自作にしないで外部のライターとして笹路正徳に楽曲依頼をするなど、まだ海とも山とも言えないロック黎明期にあった日本の音楽界に於いて本格ロックを追求しようとする若きミュージシャン達が正に手探り状態でブリティッシュ・ロック、アメリカン・ロック更にはプログレッシブ・ロック、ラテン・ロック、加えて「LAZY」時代に培った「歌謡ロック」の方法論まで詰め込んで日本に於ける本格的なロックアルバムのあり方を模索する姿がそのままアルバムとなって生み出された様な造りになっている点に於いても非常に興味深いアルバムだと言えます。故に、本格ロックを期待したロックファンは詰め込まれた内容に肩透かしを食らったり全体的に笹路色の濃い内容になった事で『これはギターのソロ・アルバムでは無い。ギター・ソロのアルバムだ。』 と揶揄されるなど「LOUDNESS」誕生以前の日本の音楽シーンであらゆる意味で話題となった作品でもありました。■本曲は作曲 笹路正徳のペンによる変拍子が多用されたプログレッシブ・ロックな仕上がりとなった楽曲で笹路正徳のスリリングなオルガンプレイがフィーチャーされた作品に仕上がっています。過ぎ去った想い出を回顧する様なオルゴールから曲は始まり進撃するイメージと闇夜の疾走をイメージする2つのパートを終わりを予感する様なミステリアスなオルガンリフと何かの誕生を見る様な変拍子のセクションで繋いだ、曲名通り、繋ぎ止める何かから「逃亡」をする苦悩を描いたドラマティックなナンバーになっています。本曲は「ペテンの唄で未来が消えて行く」「名声は恥辱によって荒廃させる」と唄われる様にかつて本格ロックグループとして「Free」のポール・ロジャース描き下ろしによる楽曲でデビューを約束されながら、その約束を反故にされるばかりか当時日本でも人気のあった英国のバンド「ベイシティーローラーズ」の日本版としてアイドル活動を強いられた「レイジー」時代を回顧する様な内容になっており人気が出る程、演りたく無い音楽を強いられる事への不満とそれによって、演りたい音楽から遠のいて行く焦りと演りたく無い音楽が、実は高度な演奏力を必要とする事を思い知らされる力量不足の実感とそれが売れる事で、ロックバンドとして周りが認めてくれなくなる事への苦悩と売れなくなれば、苦悩の日々から救われる代わりに全てを失う事への恐れなどのストレートなロックでは表現出来ない様な、複雑に入り組んだ深くて巨大な感情をプログレッシブ・ロックが持つ欧州音楽の陰りとアカデミックなアレンジに裏打ちされたフュージョン・ミュージックの洗練さとロックが持つ破壊的な衝動を併せ持つハイブリッドな演奏をバックに表現したい全てをぶつけた様な 高崎晃のギターソロが圧巻でレイジー デビュー後リリースしたシングルが振るわず、3枚目が不振となれば契約解除となる中で、逆に考えれば 売れなければロックバンドに戻れると安堵していた矢先に「赤頭巾ちゃん御用心」の大ヒットで アイドル活動が決定的となった苦い経験を苛まれる悪夢から逃れようとする逃亡者として描いた様でもある点に於いても日本のヘビーメタル・ミュージックが開花する夜明け前にその中心となるギタリストの瑞々しいプレイが堪能できる日本のロック史に於いても非常に貴重な「名曲」と呼べる楽曲だと思います。■本曲のボーカルは二井原実が担当し、他の曲ではベースに山下昌良、ドラムにレイジーの樋口宗孝が参加するなどこのソロアルバム制作が後に日本のロックが1985年に『Thunder in the East』で初の「全米アルバムチャート」ランクインを果たす快挙を遂げる本格ヘビーメタルバンド「LOUDNESS」結成に繋がって行きますその「LOUDNESS」も、世界進出で全米チャートインを果たす代わりに「LOUDNESS」の代名詞だった複雑でコアなメタルサウンドを封印し米国のロックファン向けのシンプルなアメリカン・ロックサウンドを強要されるという「レイジー」時代の苦悩が再び繰り返されるという皮肉を経験する事になるのですが今回その苦悩は既に経験済みとして、高崎晃はメンバーと共に乗り越えて「LOUDNESS」は世界に羽ばたくバンドへと成長して行くでした。■本曲の冒頭の 『DANCE!』 という二井原実の出だしにドラムの辻野リューベンは 鳥肌が立ったという未確認の話が残っていますがwそのドラムのリューベンは テンポが変わった唄の出だしで笹路の変拍子アレンジに毒されて 頭が混乱したのかスネアの位置が裏返ります普通ならNGで録り直しの所ですが 全体の出来の良さに瑣末な事とされたのか黙認された様です実に大らかな時代でしたw▲目次へ▲△▼ △▼ △▼TAO - Hello Vifam (1983)タオ - ハロー・ヴァイファム収録アルバム『FAR EAST』NGC 4414 (NASA-med) (画像参照:wikipedia)オープニングは衝撃的でした・・・グローバルな活動を見据え結成され80年代にデビューしたギターボーカルのデビッドマン率いるロックグループTAOのアニメ『銀河漂流バイファム』の主題歌になった代表曲的ヒット曲です■TAOは日本のROCKバンドには珍しいヴァイオリンを導入した所にサウンドの特徴があるバンドでUKや中期キング・クリムゾンの編成を思わせるプログレッシブ・ロックを嗜好するロックサウンドをベースにギター・ボーカルのデヴィッド・マンによるポップなセンスを加えたユニークなサウンドを作り出す音楽集団でしたクラシカルで格調ある宇宙空間を進撃する壮大なイメージをバックにデヴィッド・マンのポップで少年性を帯びたボーカルが光る宇宙を漂浪する主人公達を描いたSFアニメーション作品にマッチした本曲やキューピーマヨネーズのCMソングとなった『アジュール』などの牧歌的で爽やかな印象が小気味よいコマーシャリズムな楽曲を制作する事に長けた音楽集団でもありました■このバンドはヴァイオリン&キーボードの関根安里を加えたリズム隊にデヴィッドマンを加えたユニットという色合いが濃くプログレッシブ・ロックを志向するバック3人とポップなサウンドを目指したデヴィッドマンという水と油の取り合わせで起こる化学反応によって個性的な楽曲を生み出していた所に音楽の特徴があり全曲英詩によるバンドとしてはゴダイゴの様な聴きやすいサウンドという側面を持ったバンドでもありました。ハイクオリティな音楽を高音質で鑑賞する事がブームとなる内需拡大路線に入る直前のJ-POPのムーブメント以前の音楽界に所属していた為純粋にクオリティーの高い音楽を提供する以前にバンドを存続させる為に来た仕事は何でもこなしTVCM曲やドラマの主題歌を担当し、売れる為の布石を惜しまないコマシャーリズムの枠組みの中で世に出てブレイクするタイプの商業バンドの一つでもありました。特に80年代前半はアニメブームの過渡期に当たる時期でもあった為にアニソンが新たな表現を求めてシティーポップ化した頃にあたり当時ハイクオリティな音楽を演奏する集団だった「トランザム」「TALIZMAN」「クリスタルキング」や「ゴダイゴ」実力派ボーカルとして活動していた「杏里」などが 主題歌で起用されその流れで当時ゴールデンタイムという非常に重要な枠で放送された「銀河漂流バイファム」の主題歌にTAOの起用が決まった様な印象がありました。現在の様にSNSはもとより、ネットが存在しなかった当時はTV、ラジオが音楽発信の場であり、特に楽曲がヘビーローテーションされるのはFMラジオの音楽番組よりもTVCMでの起用曲が有力だった時代にTAOの様に個性的な音楽性を持ったロックバンドが元々持っていた音楽性を変えてCM曲やTV主題歌を担当してブレイクを狙うのは当時の常套手段の一つでもありました。TAOの場合はキューピーマヨネーズのCMが好調ではあっても「ヴァイファム」の視聴率不振で (※裏番組はドラえもん) 番組そのものが途中で子供向け作品に制作方針を変更するなどの迷走があった為か杏里の「キャッツアイ」の様な社会現象を生むまでのブレイクには至らずにシングル数枚とAlbum1枚をリリースした後は元々の音楽性を追求しようとするプレグレ組3名が80年代中期の洋楽ブームが引き金となった空前のROCKブームに乗る形で新たなサウンドのロックバンド結成を目指してデヴィッドマンを残して脱退し、TAOは解散状態となりますその後プログレ組はギタリストとボーカリストを加えて「EUROX」結成し『ヴァイファム』と同じサンライズ作品の『機甲界ガリアン』の主題歌を担当し当時流行だった綺羅びやかでスタイリッシュなサウンドのバンドへと変身を遂げますがAlbum1枚をリリースした後は活動を停止しますJ-POP以前の日本の音楽界で全曲英詩でアルバムリリースをするのは当時としても珍しい事で「ゴダイゴ」の成功あってのものだった様に思われますがバンドが続かなかったのは、「デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ」に近いケルティックテイストな欧州ロック特有の陰りのあるプログレッシブ・ロックサウンドが当時全世界的に「デュラン・デュラン」を始めとするスタイリッシュなブリティッシュ・ニューウェーブ・サウンドに傾いていた事で大衆に受け入れられなかった事と離脱したプログレ組が「EUROX」でプログレサウンドをあっさりと捨ててニューウェーブサウンドに切り替えた所を見ますと、TAOサウンドを貫きたいデビッドマンと「方向性の違い」で仲違いした事が大きな理由だったのではないか と思われます。後日デビッドマンはメンバーを集めて「TAO」を復活させながらもメインストリームで活躍する事はありませんでしたが「David Mann」名義でコアなファン向けに活動を続けた様です。思うに「TAO」は、空前のROCKブームの最中、J-POP誕生以前の日本の歌謡界で自身の音楽性を持ちながらも需要があれば臨機応変にサウンドを供給する「商業音楽」の括りで誕生した最後に当たる音楽集団であり故に期間限定で短命に終わる事は約束された様な中で「ケルトティックなプログレサウンド」という通常なら音楽的にも共存出来ない様な個性的なサウンドを「商業音楽」として輩出出来たのだと思います☆△▼△▼△▼▲目次へ▲------------------------------------------------------------------------------------ OUTRO -■新世代音楽の個人化とコラボとの関連性■-----------------------------------------------------------------------------------Tina Turner and Eric Clapton at Wembley Arena, June 18, 1987 (画像参照: wikimedia)さて、INTRO 前書きでは ロックを中心に見た日本の音楽界のあり方を やや 偏狭な視点から(※シニアの視点とも言う)語ってみましたが次は やや閉鎖的な視点から(※若者の視点とも言う)語って見ますwと言うわけで後枠では、現在は世界的な傾向で異なるジャンルの個性派アーティスト同士が組んで画期的でエモーショナルなサウンドを排出するコラボレーションが音楽の主流で既に「バンド」という形態は廃れているというお話をします。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------1.「バンドが廃れた欧米事情」-----------------------------------------------------------------------------------バンドが廃れたと言っても、ボンジョビやメタリカの様なアーティストが人気が無くなった訳ではありませんが、w近年「バンド形態」にこだわらない現代の世代ならではの価値観が投影され新たなサウンドを追求する中で生み出されるJAZZの様式で生まれたヒップホップテイストのR&B作品などの新時代のコラボ作品に代表されたこれまでに無い肌触りの作品に人気が集まり同世代のリスナーもアーティストもロックバンドそのものに響くものが無くなってしまいジャンルとしての王道の「ロック」は追求しても「ロックバンド」は継承しなくなったというのが理由と言われています。どうしてこうなったのかと言いますと、現代の世代が生まれた時点で既に存在していた「ネット」に大きな要因がある様に思われます。90年代以前の時代、バンドの音楽を演るには演奏するメンバーを集めるしか無く個人でバンドの音楽を演るには高価な多重録音機材や全ての楽器を演奏する能力などが必要でしたがPCの普及でDTMが身近なものになりスタジオを借りてバンドで演奏するというスタイル以外の選択技が増えて一人で全てのパートをカバーして自宅のPCのみで帰結する個人での音楽活動が可能となり音楽をより身近なものに捉えて個人で活動するアーティストが増えた事で、意気投合した不動のメンバーで唯一無二のサウンドを生み出し息の長いバンド活動を続けるよりも異なる音楽性を持ったアーティスト同士が組んだ化学反応で流動的なサウンドを構築し続ける事に意義を感じる様な風潮が生まれます。又、ネットの普及によって離れた場所に居る人物と瞬時にコミュニケーションが取れる様になった事でこれまで「集団行動」でしか得られなかった事が個人レベルで行う事が可能となり若者の間で一人の時間を優先し個人行動に価値を見出す個人主義的傾向が現れる様になります。この様なネット新世代は、ネットでリアルタムに海外のメインストリームの音楽に触れて来た事で海外の音楽が輸入盤によるレコード鑑賞やエアチェックしたラジオ番組の音源から得るしか無かった昭和旧世代のシニアの洋楽ファンが抱く様な「圧倒的な距離感」から生じる、洋楽に対しての憧れの様なものやそれこそ、英語の授業で流暢な発音で教科書を読む級友に対して教室内が「何だコイツ」という空気になるようないわゆる「英語、洋楽コンプレックス」 という様な特別感は持っておらずネットでリアルタムに海外のメインストリームの音楽に触れて来た事で洋楽に関して物理的な距離感を感じる事もそれによる憧れもコンプレックスからの特別感も持つ事は無く音楽は常に身近にあるものとしてダイレクトに「個人」で世界と通じているという感覚を持っている所に昭和旧世代との大きな違いがあります。昭和の時代、旧世代アーティスト達は日本で通用する音楽が海外では響かない事を痛感して山下達郎の様な英語力に長けた洋楽通が世界進出はせずに日本の音楽家として日本に於けるPOPに拘る様な音楽的内需拡大路線へと流れて行った事に対して宇多田ヒカルが登場した2000年前後の時代に本場のR&B言語で音楽を演る日本人が現れたと感じてから約20年、現代の若い世代のアーティストがグローバルな展開を見据えると言う様な自負の念からでは無く何の衒いも無く、ごく当たり前の様に自然に、米国に居る様な感覚でいきなり米国のメインストリームのサウンドで音楽を演る様になったのも、身近な仲間でバンドを結成して世界を目指すよりもより身近に世界を感じる者同士で世界とか仲間とか関係なく意気投合した者同士で個人的な音楽をコラボする事に意義を感じている所にバンドが廃れていったと言わしめる大きな要因があった様に思います。▲目次へ▲-----------------------------------------------------------------------------------2「.誰も語らないTik Tok以外の『香水』のヒットの背景」-----------------------------------------------------------------------------------BLOCK30, 旧居留地, 兵庫県神戸市 (画像参照: wikimedia)一方で、シニア世代のアーティストが90年代に世界に通用する日本の音楽を目指し躍起になって吸収しようとした「ゴージャスな洋楽テイスト」なサウンドが米国との「圧倒的な距離感」から来る憧れとコンプレックスの念から生まれたものだとしたら現代の若い世代のアーティストの特徴として挙げられる世界に繋がり孤立していない「個人」の現れを音にした様な「音数の少ないシンプル」なサウンドが世界と繋がっている意識を抱きながらも物理的に関わっておらず、独りで部屋に居続ける様な世の中との「圧倒的な閉鎖感」から来る孤独感と、その様な状況で溜まって行く負の意識を物理的に向ける先の無いやり場の無い「怒り」の念を訴える為に生み出している様な印象を受けます。その様な世代が、複数の仲間と集い時には衝突しながら共同作業の末に音楽を生み出して行く「ロックバンド」の音楽にリアルなものを感じられないのは、当然であり先の話題となったインディーズ出身のアーティスト 瑛人の『香水』がヒットした背景にあるのもギター1本の唄とバックダンサーという真似しやすい仕様にヒットの要素があった、とかSNSツール「Tic Toc」でのバズりで拡がり大ヒットに繋がったという良く言われる見解の他に、巨大なカリスマ性を持った 長渕剛 の様なアーティストが圧倒的存在感の音色を持った生ギターでの演奏による魂の弾き語りをする様な形では無く、閉鎖的な空間での孤独感を助長する様に響くスタイリッシュなスパニッシュ奏法でカッティングされる、生ギター感が希薄な「ループ的」ギター音をバックに唯一実存感を感じる歌声の感情的な歌唱でいつまでも癒えない心の傷が、かさぶたの様になってまとわり付く行き場のない「憤り」をさらけ出した所に現代の若者の心に刺さったのが、大ヒットした大きな要因だった様に思われ、王道の「バンドサウンド」で「反抗心」をたぎらせるのでは無く、シンプルな構成の音楽に「癒やし」を求めていた現れだと言えます。イントロの前書きでは「ロックの方から見切りを付けた」と書いた現在の日本の音楽界でしたが、ネットの世の中となり現在の若者が現在メインストリームとなる本場のR&Bをリアルタイムで体験する中で同じ様に「ロック」の核となる、日本のロックの歴史の中で失われた「ブルース」体験がなされたとしたなら王道の「ロックミュージック」への関心が高まり「バンド」人気復活へと繋がる日が近い将来、来るのかも知れません☆というわけで いかがでしたでしょうか。次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう☆▲目次へ▲■■■■■■■■■■■■■楽天市場■■■■■■■■■■■■■■■【CD】サンクチュアリ(聖域) [ NOVELA ]価格:1410円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)■【CD】難波弘之 / ブルジョワジーの秘かな愉しみ価格:2200円(税込、送料別) (2020/7/30時点)■【CD】美狂乱 [ 美狂乱 ]価格:1430円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)■【CD】一触即発(+2) [ 四人囃子 ]価格:1468円(税込、送料無料) (2020/7■【CD】DREAMIN' [ PRISM ]価格:2620円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)■【CD】ジャガーの牙〜TUSK OF JAGUAR〜 [ 高崎晃 ]価格:1650円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)■【CD】FAR EAST(紙ジャケット仕様) [ TAO ]『Hello Vifam(SE入りSingle Ver.)』『never give up』収録価格:2750円(税込、送料無料) 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2020年12月26日
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日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第22回【特別編】『Marillionなクリスマス』Steve Hogarth - Paris 2005 Marillionさて今回も、この年末戦線の最中ダダをこねる子供のクチを閉じる為事ある度買い与えてきた戦隊のフィギュアの買い残しを年内のうちにコンプリートしようとサンタのプレゼントと称してまとめ買いした親御さんのこれでようやく肩の荷が降りたと胸をなでおろす安堵する気持ちも束の間年が明けると新作が始まる迷惑にも似たメガ迷惑な 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集第22回クリスマス特別編をお送りします-----------------------------------------------------------------------------------■ もくじ ■- 前枠 -■イントロ■■Marillionとは■■詩の世界■■歌詞が難解■■曲が長い■プログレ・ファンへの10の質問- 音楽解説 -M1(1989)『Easter』M2(1991)『Cover My Eyes』M3(2005)『You're Gone』M4(1991)『The Party』M5(2012)『Pour My Love』M6(2012)『Sounds that Can't Be Made』M7(1994)『The Great Escape』M8(1995)『Beautiful』 M8(2012)『GAZA』-----------------------------------------------------------------------------------▲目次へ▲- イントロ -さて、当サイト年末恒例(?)となった今年一年を駆け足で振り返るイントロコーナーの始まりですそれでは参りましょう 今年も残す所一週間余りとなりましたが皆様に於かれましては 今年も色々あった一年と思いますテーマパークで歓迎されたムーミンはテストに出題されると非難され米国で鉄骨が関税化と思えば、名古屋で天守閣が木製化し忙しいとデータは外注に出され人気があった通貨はデーターが流出し大阪の優勝が世界中で称賛されたと思えば奈良の判定が日本中に叩かれ一般住宅が「民泊」サービスに参加したと思えば国営放送が「民放」キー局の配信サービスに参加しどこかの元社長は50億以上も過小計上していたと思えばどこかの投資信託は30兆円以上も過大計上しどこかの銀行では偽の企業へ本物の様に融資していたと思えばダイソーでは偽のカッターに本物が混じりハロウィンでは「お祭り騒ぎ」で暴徒が集まりイッテQでは「お祭り企画」でヤラセが報じられホリエモンのロケットは落下しらき☆すたの聖地は倒壊し月日はニコ動のプレミアム会員の様に流れ去りYoutubeの有料サービスのCMの様に消えながらミライトハ 筋肉は裏切らない 高プロをグレイヘアが ご飯論法で そだね・・・・・・・ な 今日この頃をいかがお過ごしでしょうかさていつもは70年~90年代を中心に、子供の頃若かりし頃耳にして来た音楽をご紹介する洋楽特集『~どうぞ』シリーズ でXmas特別編をお送りする所今年はいつもと趣向を変えまして『プログレッシブロックを聴いてみましょう』でXmas特別編 をお見舞い・・・お送りしますwというわけで今回は80年代から現在まで息の長い活動を続けポンプロックの代表格となったプログレッシブロックバンドマリリオンの数ある楽曲の中から比較的聴きやすい、今の時期にも合っていると思われる聴くとクセになるかもしれない楽曲をお送りします。所で、「マリリオンって何?(当惑)」という至極当然な疑問に答える前になぜ今回マリリオンになったのかと言いますとあれはそう半年前の事・・・(話を長くするツモリでいる)連日灼熱の地獄と化し、日が高くなる度街の各所に設置された役場のスピーカホンからの放送が職員の無機質な肉声ひとつひとつが発声される度声が重なり合って内容が意味不明になるほどの爆音でカラオケでも使わない様な強力なディレイを発生させながら音声を遅延させながら街の果てまで轟かせて市役所が発表する高温注意情報の発令が続いた今年の夏の猛暑の中、同じEC企業としては楽天のライバルに当たる◯maz◯nの、プ◯イム会員限定の音楽配信サービス◯maz◯n Musicの有料版◯maz◯n Music Unlimit◯dが新規登録で◯ヶ月◯◯円キャンペーンというのをやっている事を知りこれに加入すると・・・(※当サイトは楽天に加入する立場から楽天の不利益となる可能性のある文書には自主的に伏せ字を施す処置をしております。ご了承ください。)・・・プライム会員特典の追加料金無しで受けられる音楽配信サービスAmazon Musicで100万曲がリミットだった所をAmazon Music Unlimitedに追加加入しますと4000万曲聴き放題になるという事で新規登録で3ヶ月99円キャンペーンに加入しましてリミッターが外れた4000万曲の視聴を享受し灼熱の夏のわずかばかりの清涼としておりました・・・(※当サイトブログ主は楽天に加入する立場ではありますが誠に遺憾ながら時々施す処置をウッカリ忘れる事があります。忘れんぼサンだなあ~w と いう事でご了承ください。)・・・当初はこのサービスは、CDで持っていたりするいつも聴いている曲を外出先でも手軽に聴く手段として利用しておりましたがある時、名前だけは知っていて聴く機会の無かったコアなアーティスト達の作品も数多く取り揃えられ全作品が聴けたり新たにリマスターされたものがあったり非公認貴重ライブ盤が揃っていたり多彩な作品が網羅されている事に気付き日本では入手困難だった作品や現在は廃盤で聴く事が出来なくなったアーティストの作品などを貪る様に聴きまくる様になった、という音楽環境の激変によって日本では入手困難な作品をいくつか発表してきた活動中のプログレバンドの中では最右翼となる存在のマリリオンにハマって行った・・・というひと夏のAmaz◯nミュージックUnlimitedでひょんな事からマリリオンの再評価に繋がり更にはネット全盛前から現在の音楽界に見る業界の多様性にいち早く対応したのがマリリオンだった事に気付きこの点に於いて日本は最も遅れを取っているという現状がマリリオンを通して見えて来たという事で非常に興味深い存在と言える音楽界の知られざる羅針盤Marillionの音楽を比較的聴きやすい、今の時期にも合っていそうな聴き様によってはクリスマスの曲の様にも聞こえるいくつかの楽曲をチョイスし猫の手も借りたい位に息をも付く暇のないこの年末の忙しい時期に肩の力が抜ける様なほっこりする束の間のひと時が嬉しいそんな安堵する時間を提供する記事を上げるのがブロガーの腕の見せ所な所を日々の喧騒に更なる混迷が加わる様な一度も耳にした事の無い名前も聞いた事のない日本のクリスマスに果たして相応しいのかどうかそもそもほとんどの曲がクリスマスの事を歌ってすらいないおそらく生きている間に間違っても耳にする事は無い加えて英語だと尚更何を唄っているのか分からない一般的にも知られていないイギリスのロックバンドの記事を上げて更にはプログレの楽曲の多くが一曲の収録時間が異様に長いという仕様に倣って記事のイントロを異様に長くして鑑賞者に文章でプログレを擬似体験させながら大量文章をお見舞いするという名だたるブロガーや人気ユーチューバーが聖なるクリスマスに粛然とした気持ちにさせるクリスマスに観覧するに相応しい記事や動画をアップする中それらのコンテンツとは被らない様差別化を図りながら(或いは差別化するフリをしながら・・・)ほとんど嫌がらせの様な企画をアップしたというわけでしたWそれではスタート・・・▲目次へ▲■Marillionとは■では、Marillionとはどういうバンドか駆け足で説明していきましょう☆■限メンバー■スティーヴ・ホガース (Steve Hogarth) - ボーカルスティーヴ・ロザリー (Steve Rothery) - ギターピート・トレワヴァス (Pete Trewavas) - ベースマーク・ケリー (Mark Kelly) - キーボードイアン・モズレイ (Ian Mosley) - ドラムス・・・まあ、メンバーの名前なんて並べた所で知らない人には無味乾燥な文字列に過ぎませんし何の興味もない方にとってはギターがスティーヴ・ロザリーだろうとヨッチャンだろうとベースがピートだろうとはなわだろうと岸部一徳だろうとキーボードがマークだろうとヒャダインだろうとドラムがYOSHIKIだろうとほないこか だろうとボーカルがタケカワユキヒデだろうとショコタンだろうと誰だろうとどーでも良い事なのでスマホにスパムのように送られてくる家電のメルマガの様な、いらない情報でした。。。wなので、ざっくりと説明しますとMarillionとは初期のジェネシスのパクリバンドです・・・Marillionファンのざわつきとは裏腹に初期のジェネシスすら知らない一般ユーザーにしてみればどのみち意味わからんとスルーする様が感じ取れますが・・・wとりあえず一見は如かずという訳で時計の針を1970年代に戻し本家GENESISのステージをチョット掻い摘んで見てみましょうGenesis - Dancing With The Moonlit Knightジェネシス - 月影の騎士(Live '73)with Peter Gabriel・・・別に全部見ることはありません「あ~あ、こういう(変)人ね・・・w」という事が分かった時点で終了してくださいwこの時期のGenesisは、後のフロントマンとなるフィル・コリンズがまだ一介のドラマーとして専念していた頃でボーカルのピーター・ガブリエルが中心人物となりアングラ劇テイストのドラマティックなステージが話題を呼び当時としては革命的として高い人気を誇っていましたPeter Gabriel (画像参照: wikimedia)時は移り変わり、十年後コチラはマリリオンのステージですMarillion - Script For A Jester's Tearマリリオン - 一人芝居の道化師コチラも全部見ることはありません「あ~あ、こういう(真似)事がやりたいんだ・・・w」という事が分かれば終了ですW初代ボーカリスト「フィッシュ」が中心人物となりピーター・ガブリエルが在籍していた時期のGENESISの様なサウンドとステージで登場し80年代にプログロックを継承するポンプロックの覇者として知られる様になったのがマリリオンの始まりでした。Fish (画像参照: wikimedia)・・・「フィッシュ」とか「スティング」とか「ボノ」とか80年代音楽特有のワードが出てくるばかりかしかも「初代」とか、じゃあ後釜はとか何とも鬱陶しい限りかも知れませんがwこの時点で本家のGENESISはポップスターとしてブレイクしたフィル・コリンズが中心人物となり新体制でポップなロックへと路線を変更していた事もありつまりは、時代遅れとなりもう本家がやらなくなったブログレッシブミュージックを継承してライブ活動を精力的に行いながら数多くのファン作って行き欧州のコアなロックファンの高い人気を得て来たのがマリリオンだったという訳です。80年代当時の日本では折しも英国で発生したヘビーメタルブームNWOBHM「ノウバム」 (New Wave Of British Heavy Metal)の時流に乗ってデビュー・アルバムをリリースした事からヘビーメタルの括りで語られるバンドとして日本のロックファンにも知られる存在となります欧州でも人気ロックバンド「サクソン」の前座としてツアーに同行して巨大ロックイベントに参加した経緯などから同じ様にメタル系ロックファンの間からも人気に火が付きマリリオンは欧州で人気ロックバンドの仲間入りを果たします。▲目次へ▲■詩の世界■マリリオンのステージは観客が唄を一緒に大合唱する事でも有名で他のロックバンドと比べてみても極めて珍しいと言えます最近来日した時 日本のファンが余り歌わなくて「日本が嫌いにならないかなあ~」と危惧する声が上がった程Marillionのファンは、音楽界でも特別な層と言えるものがあります。日本の場合、カラオケBOXという外界から閉ざされた特殊な環境下ではマイクを奪い合って喧嘩をしても映画館という公共の場ではおとなしく静かに観る周りの目を気にする日本人の性質の問題があり近年『アナと雪の女王』の「みんなで歌おう」版で唄っていると事情を知らない客に「うるさいっつ静かにしろっつ」と怒鳴られたという位公共の場で唄う事が定着していない風潮に欧米のファンの様に振る舞えない要因がある様に思われます。・・・話を戻しますが、wこれはマリリオンの作る楽曲が英国のファンの琴線に触れる様な深い欧州の歴史を背景としながら歌いやすい馴染みのある牧歌性を感じる造りになっている事と英国では詩人として語られるカリスマボーカリストフィッシュの書く戯曲のような格調高い創りの非常に物語性の高い語り部の様に語られるオーディエンスを歌わせる程の歌詞の良さに理由がある様に思われます。オリジナルアルバム3枚目となる (85)「過ち色の記憶」から『追憶のケイリー』が英国チャートで2位を記録する大ヒットを飛ばし名実共にMarillionは欧州の音楽シーンのトップアーティストの仲間入りを果たしますが4作目の (87)「旅路の果て」をリリースした所でフィッシュとメンバーとの意見の相違が起こりフィッシュはバンドを脱退するという事態が発生します。中心人物を失ったマリリオンは存続の危機に陥りバンドは解散寸前の状況へと追い込まれますが残ったメンバーはバンドを存続させる道を選択、新メンバーとして現在のボーカリストスティーヴ・ホガース を招き新体制で初期の名盤『美しき季節の終焉 Seasons End』をリリースします。Steve Hogarth (画像参照: wikimedia)「なぬ~っつ!!!せっかくフィッシュというワードを覚えたのに4作出して脱退してたとは何事かっつ!!!いらない情報を書くなっつ!!!」と 遺憾に思われる方もおられると思いますが・・・そういうブログですWさて、当初はフィッシュが去った事とそれに伴うボーカルの変化とサウンドの変貌に当惑した音楽ファンも多くフィッシュの脱退と共にMarillionのファンを辞めるリスナーも少なくなかったのですがホガースがフィッシュ同様にMarillionのボーカルらしい共に少年性を感じる声質の持ち主であった事と多分に内省的で私小説的性質が濃く人間の心理と「心」を描く内へ内へと向かうフィッシュの詩に対してホガースがフィッシュとは180度違って、社会問題を切り口に物語を生み出し世に放つ社会派な詩の世界を持った人物だった事と共に深く陰りのあったフィッシュの個性的な唄声とは違ったロックボーカルタイプのパワフルでハイトーンな唄声で現代社会にスポットを当てて「今」の世に訴えかける語り口を持っていた事が功を奏し新体制で挑んだMarillionの活動は軌道に乗り新たなファンの獲得にも繋げて行きます・・・この交代劇で起こった事の意味が今ひとつ掴めない方に分かりやすく例えて言えば、アメリカSFドラマの人気作「新スター・トレック」で「X-メン」のパトリック・スチュワート演じるピカード艦長の日本語吹替え版の声優を吉水慶 氏が担当していた所、第3シーズンの序盤で家庭の事情から吉水氏が降板して現在の 麦人 氏が担当する交代劇があり声質が低く太い、パトリック・スチュワートの声に近い吉水氏に対し吉水氏とは似ても似つかない中音域にクセのある麦人 氏の声は当初は非常に違和感がありましたが長年演じ続ける事で定着して行き今やピカードの声と言えば麦人しか居ないとまで言われるまでになった事と全く同じです。この説明であれば十分分かって頂けたかと思います(分かりません)ちなみに「新スタートレック」の続きに当たるピカードのその後を描くドラマの制作が決定し2019年に放送されるとの事でトレッキーであれば注目すべき所でしょう☆Patrick Stewart (画像参照: wikimedia)・・・さて、フィッシュ脱退後の新作となった(89)「美しき季節の終焉」がリリースされた時、フィシュの声とは似ても似つかないホガースの第一声を聴いてザワつかなかった音楽ファンは誰一人居なかったと思いますがホガースの加入は結果としてフィッシュ時代から付きまとっていた「GENESIS のパクリ」と長年謗られて来た事からの脱却と現在のマリリオンの人気を決定付けた最高傑作(94)『BRAVE』を生み出すまでにバンドの方向性と性質を大きく変貌させて行きます。ともあれ、音楽に於ける「歌詞の良さ」というのは、語っている内容が良いという事に加えて歌詞が醸し出す「世界観」とその詩を語るアーティストの「語り口」が音楽の重要な要素になるという訳です。□□□ここで、一口に「詩の良さ」「語り口」と言っても良く分からないと思いますので歌詞の世界に付いて説明しますが「英詩」には、そういう言葉だけでは語れない英語を母国語にした欧米人にしか分からない言葉の持つ詩的な「ムード」というものがありそれは歌詞の内容と同時に重要となる楽曲の要素でもあるので少しでも「英詩」にまつわる問題の理解に繋げる為歌詞に纏わるお話を掻い摘んで説明します・・・まず歌詞の良さで評価されたアーティストは歌詞が英語故に理解に繋がりにくい事から来る昔から日本でのブレイクに繋がりにくいという難点がありましたロックの殿堂入りをした RUSH や THE WHO、欧米で人気のあった Thin Lizzy の様なビッグネームが日本でブレイクできなかったのは唄っている内容が唄からダイレクトに伝わって来ない外国語による音楽だった事が大きかった様に思われます。「日本語に訳された歌詞カードを読めば済む事だろう」と思われるかも知れませんし昔とは違い、今はかなりの人が英語を話し欧米人との相互理解を図れる世の中にはなって来てはおりますしかし英語がネイティブでは無い日本人には歌詞を日本語に翻訳する事で「内容」は伝えられても英語自体の言葉が持つ「ムード」や「イメージ」それら全てを通して感じる「感動」までは得られない真の意味での理解に繋がらない「言葉の壁」という根深い問題が未だ立ちはだかっています加えて「詩人」と語られるアーティストの作品には、普通のポップスの歌詞とは違い、文学的な要素が多分に含まれている点が理解に繋げにくい大きな要因のひとつとなっていますこの問題の要となるのは、逆に欧米人が日本文化を理解する時を想像してみると分かるのですが、例えばこの季節柄、山下達郎を例にすると『♪雨は夜更け過ぎに雪に』・・・まあ、往々にしてなりませんので・・・wノーベル文学賞を受賞した川端康成の『雪国』を例にしますと「国境の長いトンネルを越えると雪国だった」という有名な一節が醸し出すムードの「コア」が島国である日本特有の狭い土地柄の風土を背景とした、めくるめく様に移り変わる日本特有の「季節感」にある事を日本人であれば誰もが容易に「エモーショナル」に理解できる所を『Snow Country』という英語タイトルに翻訳された洋書で「The train came out of the long tunnel into the snow country. 」と訳された本文を読んだ、日本の国土と四季を理解していない欧米人が、真っ赤なお鼻のトナカイさんと白髭のサンタクロースが生息するスカンジナビア半島辺りの北欧の雄大な北極圏に近いフィヨルドの景色を想像したり同じく米国人が、カナダ辺りの雄大なロッキー山脈の山々を背景にした雪がモッサリと積もった屋根の煙突から煙をモクモクと出すログハウスの住むアドベンチャーファミリーやミネソタに移り住む大草原の小さなインガス一家辺りの絵面を想像するといった往々にして川端康成の意図とは異なる似て非なるイメージとなって伝わり文化のズレが生じる事による「曲解」を生む所に詩が持つムードを伝える為の理解に繋げる上での埋まらない「溝」がある訳です。例えばMarillionの場合だと2012年にリリースされた「創られざる音律 Sound That Can't Be Made」の収録曲に『GAZA』『Montreal』という、地名がタイトルになった曲があるのですが日本盤を持っていないので自分で翻訳を試みた所『GAZA』の方はイスラエルによって軍事封鎖されたパレスチナの行政区画「GAZA地区」を舞台に極限の中で生活を強いられる一人の少年を唄った18分の大作でパレスチナ問題に関しては池上彰の番組の分かりやすい解説で了解済みだったので曲のクライマックスでは「いつか誰かが手を差し伸べるべきだ」と合唱するパレスチナ問題を訴える政治色の濃い楽曲だと言うことは即座に理解できたのですが『Montreal』の方もてっきり政治問題か国家的事件をテーマにした楽曲と思い込み「飛行機の中で200人の運命」「イギリスが失墜」「faling into Montreal」などのワードが国家の事情が絡んだ不幸な飛行機事故を思わせた為その方向から内容を吟味したのですが日記調に書かれた歌詞からは何も見えて来ずそれこそ投げ出す翻訳家の気持ちが分かったのですが・・・wある時、ビリー・ジョエルの「ストレンジャー」に収録された『イタリアンレストランで』や「ニューヨーク物語」に収録された『さよならハリウッド』やジャーニーの「Frontiers」に収録された『時への誓い』などの自伝的楽曲を思い出して「アレと同じで、この日記の様な歌詞ってそのまま日記じゃね?」とひらめいた時パット・メセニーが「travels」という曲で自分の生活が無くなる位に演奏旅行で世界中を旅してともすれば根無し草になるような音楽人生の中で遠く離れた地から故郷への想いを曲にした様に自主制作レーベルで活動を始めた2000年以降祖国英国よりも支持の高い欧州の国々へ演奏旅行を続けるMarillionがメセニーと同じ境地で自分の人生をかの地に投影するといったコンサートに訪れた思い出を政治的な言及や社会風刺を絡めながら曲にしたというアーティストが曲作りによく使う手法ではと思った時、全ての合点が行った訳です。ライブでこの曲をニコニコしながら唄っていたホガースの理由も納得できる訳で我が家でもささやかな「溝」に足を取られていたという訳でした。この曲に付いての詳しい解説はまたの機会にするとして・・・(機会を作るつもりでいる)という訳でMarillionのファン的には『Japan』という曲を作って欲しいと願うわけでしたW▲目次へ▲■歌詞が難解■プログレの歌詞は良く「難解」だと言われ、「難解」であることがプログレの仕様の様に語られる事が多いですがこれは一つに、楽曲に文学的要素が多分に含まれている点ともう一つは「英詩」という点に理由がある様に思われます。前者はアーティストが意図的に音楽そのものを難解な構造にしている場合の他、多くの場合欧州文学の馴染みのなさから歌詞に書かれた事が理解できないというケースで問題の理由も解決法もはっきりとしています。これに対して「英詩」という点そのものに理由がある場合ですがこれは先程「詩の世界」の中でも触れた様に日本のアーティストが作詞でよく行う様な「語呂合わせ」や「言葉遊び」が使われるといった言葉のチョイスにある種の「世界観」が伴うものや「グレイヘア」「ご飯論法」「そだね」のように流行語大賞に入る様な文化的背景が含まれる言葉など「単語」そのものが持つ「イメージ」や「ムード」が見えてこない事で言葉をチョイスした意図が掴め無かったり意味を取りこぼして額面通りの翻訳になってしまった時に意味不明になってしまう「弊害」から、「難解」として片付けられるケースでこちらは問題が根深い分多くは解決に至りません。Marillionの場合は正に (94)「BRAVE」の翻訳された歌詞カードの全編に渡る意味不明さがそうでしたが。。。wこの辺りの洋楽の歌詞に関する詳しい事情に付いては又別の機会に解説するとして・・・マリリオンの様に「詩の世界」を一つの売りにしてブレイクしたアーティストは正に「詩の世界」を持った所に日本ではブレイクしにくい要因があったという皮肉があった訳です。▲目次へ▲■曲が長い■確かに・・・wプログレに付いて語られる大きな特徴として「曲が長い」事が挙げられます。ていうか、ウチのコノ記事も未だ曲紹介に至って無い程文字数が多くて長いです(笑)例えば、マリリオンがインデペンデント化した後久しぶりの日本版となった (2004)『Marbles』の収録曲と収録時間を見ると【Disc one】1.『The Invisible Man』 – 13:372.『Marbles I』 – 1:423.『Genie』 – 4:544.『Fantastic Place』 – 6:125.『The Only Unforgivable Thing』 – 7:136.『Marbles II』 – 2:027.『Ocean Cloud』 – 17:58【Disc two】1.『Marbles III』 – 1:512.『The Damage』 – 4:353.『"Don't Hurt Yourself』 – 5:484.『You're Gone』 – 6:255.『Angelina』 – 7:426.『Drilling Holes』 – 5:117.『Marbles IV』 – 1:268.『Neverland』 – 12:10と、時間を見るだけで聴くのが嫌になる内容のしかも二枚組という強力盤で・・・wなにげに10分を越える曲が3つもあるしDisc1の最後の曲に至っては殆ど18分という驚異の長さでイギリスのチャートで17位を獲った『You're Gone』というヒット曲を生んだ大ヒットアルバムではありますが聴くためにはある種の覚悟がいる造りになっている事は確かでコレがプログレ好きには堪らないご馳走となっている訳ですWこの様に、プログレの楽曲で語られる一つの特徴として「長い曲」が多い傾向にある事は間違いありません。これはプログレ登場以前の音楽界のアルバム作りがヒットシングル以外の収録曲を「捨て曲」と呼んで数合わせで収録していたのが通例だった事に対してロックアーティスト達が異を唱える様に収録曲一つ一つに意味を持たせてアルバム全体を一つの作品として捉えて曲作りを行う様になった一環によるものでその様に創られるアルバムを「コンセプト・アルバム」と呼んでおりましたこのコンセプト・アルバムの最初となったのがビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブバンド』だと言われていますその様な理念でアルバム作りを行ったのであればシングルヒット曲を中心とした旧来の仕様である必要は無く1曲の収録時間も3分以内と制約しないで描きたい内容に合わせた流動的な楽曲作りとなっていった所から収録時間も自然と長くなっていった背景があったと思われます。さて、フィッシュ在籍時のマリリオンの場合はむしろレコード時代ならではのA面B面に分ける仕様の問題もあり短い楽曲の方が多かったのですがそれでも3分以上の曲が殆どでした。しかし、ホガースの参加後に時代がCD全盛となった事もありレコード時代のA面B面に分けての収録を考慮する収録時間の制約を逃れアルバム全体を使っての制作が可能になってからは新作を発表する度10分を越える楽曲が普通に収録される様になるのでした。▲目次へ▲□プログレ・ファンへの10の質問□ことさら私がプログレ・ファンを代表する程のプレグレ好きなブログ主という訳ではありませんがwプログレ初心者の気持ちになって質問を投げかけて自問自答(逆の意味で)してみましょう1.(曲が長いと)演奏を間違えない?間違えます(笑)マリリオンに限らず、プログレの雄ピンク・フロイドのデビッド・ギルモアも元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズのステージでゲストに招かれた時ビルの10階の屋上位の高さがある巨大セットの頂上に立ち名曲『コンフォタブリー・ナム』を演奏した時高所恐怖症だからなのかどうか分かりませんがソロがぐちゃぐちゃになっていましたWマリリオンは2011年のウイークエンドライブでギターのスティーブ・ロザリーが『No One Can』のソロの締めをトチってましたしそれを冷やかしていたボーカルのスティーヴ・ホガースも「マーブレスツアー」でのステージで『マーブレス3』(※だったと思う)をアサッテのキーで唄い出し演奏をストップしてやり直してましたWそういうハプニングがあっても客がザワつかないでウケている所が・・・まあ、結構 ざわついてましたがWマリリオンとファンとのアットホームなつながりと一体感を感じさせるものがありました☆これは、フィッシュ時代もホガース時代も同様にMarillionの楽曲がピンク・フロイドなどの様なプログレバンドの多くに見られる辛辣な切り口にリスナーを突き放す様な傾向がある事とは異なり大島渚監督作品の様に、それらには包み込むような大きな「愛情」を感じる所に大きな理由がある様に思うのでした。ちなみにこの『No One Can』は山下達郎 の クリスマスイブ にソックリでwクリスマスに聴くには丁度よい曲です~☆Marillion - No One Can (1991)マリリオン - ノウ・ワン・キャン収録アルバム『楽園への憧憬 - Holidays In Eden』2.何となく作ってない?作ってませんw何となく作って曲は18分にもなりませんし何となく作ったものは心ある音楽ファンなら見抜きます・・・いや、耳で聴くから 耳抜きますっつ(※そんな日本語はありません)マリリオンの骨頂は今も昔もドラマティックでエモーショナルに満ちた揺蕩うような音世界にあります。Marillionの音楽は映画音楽の様に聴こえてBGMでは無い何かを音楽で表現しようとして楽器が別のものに聴こえる様になる、ある印象を念頭に於いて演奏した事によって得る「有機的な音空間」という印象があります楽器音はアーティストの個性の現れですがアーティストが音を「楽器音」と捉えているのか「音で表現されたもの」と捉えているのかで表現される音の印象が変化するのかもしれません。例えば、80年代に人気のあったフュージョンミュージックは洋楽全盛期な風潮の中で音楽通な琴線に触れるミュージックとして渡辺貞夫、高中正義、渡辺香津美、カシオペア、プリズムなど当時の人気アーティストのアルバムが大ヒットを記録しコンサートも大盛況で一大ブームとなりましたが数年で求心力を失い90年を待つこと無くブームは収束します。その後フュージョンミュージックはスムース・ジャズへと移行し異なる客層の人気を得て行きますがブームの終焉の大きな理由のひとつとして唄が無い事にあったと言われています。そもそもフュージョンミュージックの造りの多くがフレーズが出来るとメンバーでギグを重ねアレンジを組み上げて仕上げると言った様なはじめから何かを音楽で表現するために作られたものでは無く音楽で音楽を表現した様なスタジオ内でプレイヤーが即興で演奏して作り上げた音楽に一般リスナーの理解が得られにくいという事情から音楽的完成度が非常に高いジャンルだったとしても、歌詞を書き相応しいメロディーを付け的確なアレンジを施し適任の歌手を人選してリリースされた楽曲とは違い悪く言えばメンバーで何となく造って行った「通」好みな音楽だった所に一般リスナーの支持が得られなくなくなりブームが収束したという印象があります。・・・逆にだからこそ、「作り込まれた感」の無い「即興的」なスムースジャズが音楽通に人気がある訳なのですが・・・ちなみに、何となく作っていなくても独立記念日に捧げる平和への祈りとベトナム戦争終戦後の反戦の思いを込めたシカゴの名曲『サタデー・イン・ザ・パーク』を例に上げますと印象的なピアノリフにマッチした歌メロによる平和を感じる心地よい出だしが問題定義を思わせる異なる展開によって途切れて都会的喧騒を感じさせる賑やかな演奏で盛り上がり臨界点に達した所で最初のピアノリフに繋がるというコンセピチュアルな分散美が秀逸な楽曲で短い時間の中で様々な場面が登場するミュージカルの演目の様な鑑賞感がある、全米一位を成し遂げた大ヒット曲ですがピアノに乗ったロバート・ラムの唄に突如別の曲がくっ付いた様にピーター・セテラの唄が横から割り込みその後、違和感のある色んなパートがどんどん連なったサビが無い曲の様に聴こえるチグハグな曲という見方もあり、それが狙いだとしても音楽を武器にする当時の風潮に違和感を示す穏健派の動きもあった事からもその様な要因が幾重にも絡んでこの様な複雑な構成の曲が生まれたのかもしれません。・・・いや、耳で聴くから耳方もありですっつ(※そんな日本語はありません)Chicago - Saturday In The Park (1973)サタデイ・イン・ザ・パーク収録アルバム『シカゴV』■3.(無許可で真似され)Genesisは怒ってた?怒ってませんw(多分)アノ人達は意外とそろばんづくな方々ですがそんなにケ◯の穴は小さくありません。そもそもジェネシス自体81年にリリースした「アバカブ」はYMOのテクノサウンドをパクリしたっぽい内容でしたしこのアルバムでフィル・コリンズはコレまでには無いテクノポップなドラミングにスタイルを変えてプレイしておりましたのでGenesis自体あらゆる音楽を吸収する柔軟性のあるバンドだったと言えますドラムのフィルインに至っては高橋幸宏のドラミングそのままだと高橋幸宏自身が語っていたくらいです(確か)それどころか、ジェネシスのキーボード トニー・バンクスはフィッシュとコラボしてソロアルバムを作っておりますしフィッシュはフィル・コリンズが脱退した後のジェネシスにボーカルに誘われて断わったという(確か)未確認情報すらありますまあ未確認なので(文字数を更に増やす)余計な情報でした~www(・∀・)ヘラヘラ4.Marillionってどうやって食べてるの?2000年を越えた所で、Marillionが自主制作でCDを出すという話を額面通りに受け取ったロックファンの一部の中にそういう考えを持たれた方もおられたみたいですが一口に自主制作と言いましても新宿ロフトに出演する一般リスナーの知らないライブバンドがビッグになる事を夢見てバイトしたナケナシの金を注ぎ込んで制作した自主制作CDをインディーズで出すのとは訳が違い虎舞竜が自主制作で制作した『ロード』が200万枚以上の売上を記録して収益は全て三船美佳の元旦那の懐に入った事と同じでこれは元々 本国英国より、周りの国に支持を受けていた「ドーナツ化現象」により英国メジャーレーベルの資本主義的マーケットの枠から単に外れたというダケの話であり自分たちを支持する周りの欧州の国々向けに自主レーベル化した後はメジャーレーベルの横槍や搾取を受けないで全ての収益を手に入れている訳ですからそれこそ孫の代まで喰えてますフィッシュが脱退してファンを辞めた日本のリスナーの中には現在欧州で絶大な人気を誇っている事実を知らない方も多く特に『アフレイド・オブ・サンライト』(95)でEMIとの契約が切れ以降日本でこそポニーキャニオンから『ディス・ストレンジ・エンジン -遠い記憶に-』(97)と『レディエイション』(98)を出してこそいましたがメジャーレーベルからのリリースが困難になり『Marillion.com』(99)では自主レーベルを立ち上げて自主制作でCD制作をする事になってからはU2の様にもBON JOVIの様にもRadioheadの様にも アルバムを出す毎にサウンドが激変し商業的に苦戦を強いられているという話を聞いてマリリオン終わったか・・・と思い込んだリスナーの方もおられるのでしょうしかしその後、インターネットの時代となりマリリオンはロック界でもいち早く「クラウドファウンディング」に取り組み集めた資金で『Anoraknophobia』(2001) や『BRAVE』以来のコンセプトアルバムとなった『Marbles』(2004) を発表しEMIの様なメジャーレーベルを介す事無くネットを通してダイレクトにリスナーと繋がりアルバムをリリース出来る環境を構築します加えて、世界的にCDが売れない風潮になっても大手契約時代とは違い「契約」という足かせが無く、音楽の売上の全てが自分たちの資金となりその資金を思うがままに使えるフットワークの軽さから「マリリオン・ウイークエンド」と呼ばれるライブ・イベントを世界中で開催し大盛況となり音楽界での新たなビジネスモデルを生み出したロック・アーティストとしてもその後 再びEMIからの契約を取り付けるなどマリリオンはメインストリームのアーティストが成し得ない形でどこにも属さないどこにも群れない新時代の孤高のアーティストとしてビッグネームの仲間入りを果たすのでした☆つまりは、80年代に世界進出が成功しなかった時期の矢沢永吉を知っていて現在の日本で活躍する永ちゃんを知らない欧米のリスナーが「EIKICHI YAZAWA ッテ ホワ~イ? ドウヤッテ タベテル~ノ?」と聞くのと同じ心理だったという訳ですw5.プログレ聴く人って皆頭良い?私が聴いてる位ですので(逆の意味で)6.プログレってオワコン?オワコンという言葉自体がオワコンだともっぱらの噂です7.X Japanってプログレ?違います8.ヒャダインってプログレ?知りません9.プログレって車はプログレ?TOYOTAに聞いてください10.プログレファンって変人なの?知りません芸能人の中でも有数なプログレマニアと謳われる(スターレス)高嶋 政宏が最近『変態紳士』という本を出して自身の変態ぶりをカミングアウトした事で話題となっているのでそう思われる方もおられるかも知れませんが好きなアーティストのコンサートに行くのにアーティストと同じファンションと同じ扮装をしてハロウィン状態で出かけたり大ファンのアーティストがツアーを始めたら仕事そっちのけで北は北海道、南は九州沖縄まで泊りがけで追っかけをしたり視聴用、観賞用、保存用とひいきのアーティストの同じアルバムを何枚も買ったり周りの目を気にしないとか、非常識とか、ファッションセンスが変とか他人に興味が無いとか、人とは違う行動をするのが好きとか生き方が自由すぎるとか、執着心が凄いとか激辛好きとか、朝歯を磨かないとか笑いのツボが独特とか、クラスには必ずいる人気者とかナゴヤドームでファンと一緒になってチームを応援し抑えの岩瀬が出てくる最高潮で興奮し鼻血を出して気絶するドラゴンズファンとか「このFenderムスタング良く出来てたから・・・」と、楽器押しのフリをしてAmaz◯nで「けいおん!」のフィギュアを買って飾るシニア男子とかAmazonミュージックでマリリオンにハマって大量文字のブログ記事をクリスマスに嫌がらせの様に上げるシニア男子とか変人はいろんな所におりますのでことさらプログレマニアが変人という訳では無いと思います。逆に、変人でプログレマニアでしたらアナタの街にも、居るのではないでしょうか☆▲目次へ▲■音楽解説■△▼ △▼ △▼Marillion - Easter (1989)マリリオン - イースター 収録アルバム 『美しき季節の終焉 - Seasons End 』80年代のPVと言えば海で撮るか踊るかでしたがこれは海で撮った事が不思議とドラマティックに見える有数の曲でした■中心人物のフィッシュが脱退し解散の危機に立たされたマリリオンでしたが新ボーカリスト、スティーブ・ホガースが加入し起死回生で制作したアルバムからの欧州でシングルヒットしたライブでは会場が大合唱になる第2期マリリオンの人気曲の一つですという訳で今回のMarillion特集は現在のボーカリストであるスティーブ・ホガースが加入してからの楽曲の幾つかをピックアップしてご紹介したいと思います。・・・そうなのです、ここまでの大量文章に疲弊し気が付いて無い方もおられるかと思いますがこの記事はここからがようやく本番ですW■タイトルの「イースター」とは1916年「イースター」の前日、アイルランドで起こった長年に渡る英国から受けた弾圧に対する抵抗と英国からの独立を目指した反乱「イースター蜂起」を指した言葉との事で、歴史的確執が続いた英国との関係に於いてもアイルランド史にとっても重要な歴史上の出来事と言われています。夏は涼しく冬は寒くない穏やかで住みやすいアイルランドの平穏の影には弾圧と抗争の血塗られた歴史があり現代人は歴史から何を学ぶべきなのかを問いかけながら人の営みと壮大な歴史のロマンに思いを馳せるアイルランド民謡をベースに仕上げた楽曲になっておりフィッシュ在籍中、文学的表現を深く掘り下げてきた過去のマリリオンに対してフィッシュを失った今、何が出来るのかを自ら問いかけるマリリオン自身を投影した様な、内容にも捉えられる所が興味深い楽曲でもあります。■本作の歌詞はホガースが担当しましたがマリリオン的にはフィッシュに匹敵する文学性をあらゆる人材を駆使してなんとかして継承しようとする思惑がありまだまだ未知数だったホガースに加えてジョン・ヘルマーが外部のライターとして起用されましたそれらは外部に目を向けての取り組みだった事から見てもかなりの危機感を持っての決断だったという印象を受けます■本曲を唄うスティーブ・ホガースはハイトーンな声質のパワフルなボーカリストなのですが少し舌足らずで喉を絞った様な唄声のクセのある声の持ち主でジャーニーのスティーブ・ペリーの様に天をも突き抜けるようなカタルシスを感じる様なタイプとは明らかに違う事からも聴いた感じで好き嫌いが分かれる声ではあります。これに付いては前任者のフィッシュも同様で2メートルの巨漢の持ち主らしいパワフルな声の持ち主でしたがピーター・ガブリエル似で耳に残る声色のそうとうクセのあるボーカリストでしたのでGENESISともフィッシュとも違う声質の唄声にクセのあるホガースの参加はそれだけでMarillionのサウンドを激変させました。これまでのMarillionは「GENESISのマネ」と揶揄されながらもフィッシュが欧州でも有数な詩人と称される人物だった事で作品は正当な評価を受けていた事から言ってみればMarillionはGENESISに似ていた所に一つの骨頂があるバンドだったと捉える事が出来ます。従って、新ボーカリストのホガースが加入した事でサウンドを一新したMarillionは新たな一歩を踏み出すと共に実績がありながら新人バンドと同じ立ち位置となるイバラの道を選んだ事になるのですがこの非常にリスクの高い決断は後の大傑作アルバムの誕生に繋がって行くのでした。▲目次へ▲Marillion - Cover My Eyes (Pain and Heaven)(1991)マリリオン - カヴァー・マイ・アイズ収録アルバム 『楽園への憧景 - Holidays in Eden』U2っぽいですが・・・何か?■本曲は、Marillionのアルバム中、最もポップな作品と謳われる『楽園への憧景 - Holidays in Eden』から米国進出を狙ってのキャッチーな楽曲で占められた中でも非常にキャッチーな作りとなったシングルヒット曲です。この曲は元々、ボーカルのホガースが加入前に活動していたユニット「How We Live」 時代に作られた『Simons Car』というタイトルの「ビッグ・ジェネレイター」を出した時期のYESの様なサウンドをした曲を再アレンジして収録した楽曲で叙情的でウェットなサウンドのマリリオンには無かった快活なロックナンバーに仕上がっております。本曲は、中心人物だったボーカルのフィッシュが去った後、方向性が定まらなかった時期にEMIから売れる方向で楽曲の制作を強いられた事が如実に分かる程の非常に軽快なポップナンバーに仕上がりこれまで、深みのあるサウンドと文学性の高い歌詞で人気を得ながらも常に「Genesisのマネ」という誹りが付いて回って来たMarillionとしては図らずも「脱GENESIS」となった新境地を迎えた楽曲となりました。一方でコアなプログレファンはMarillionらしくない仕上がりに『GENESISのマネを止めたら今度はU2か』とでもなったのか本作を境に見切りを付けたと言われてますがMarillion史上最もポップでキャッチーな楽曲で占められた事によって新たなファンを獲得する契機となったアルバムとなりました。ただ時代は「オアシス」「ブラー」の様なオルタナティブなサウンドのインデペンデント系や「ケミカル・ブラザーズ」の様なテクノ系ハウス系が主流になろうとしていた時期だった事もあり分かりやすい勢いあるサウンドのメインストリームのアーティストとは違い欧州ロマンを思わせる陰りと深みを感じるサウンドのMarillionは欧州でのヒットとは裏腹に、米国進出は叶わなかったようです。■この曲の内容ですが、日本盤を持っていないので歌詞を独自に訳してウチの解釈で解説しますと・・・歌詞の中に「病棟で微笑む少女」とか「スピットファイアが落ちる映画」とか「湿原の風の小説」とか「オープンカーで追い越す」とか勢いのあるサウンドをバックに様々な表現で「女性」を表す意味不明な言葉が出てきますが何かの映画や小説に出てくるヒロインの事を語っている様な感じがあるので本曲とは、これらの表現で一般人には手の届かない「彼女(嫁)にしたい 高嶺の花の女性」の事を語った楽曲なのかもしれません。ボーカルのホガースが「♪おうおおお~~~~」とスキャットをやってる様に聞こえるサビのパートでは実は「Pain and ~ He~aven♪」「痛みと天国」と唄ってますのでw「現実と想像」という様なそんな女性と過ごしたい想像と、そんな女性は居ない現実という「愉しい想像は痛い妄想」という様な事を言っているのでしょうかこの曲が出た1991年は携帯電話が出始めた頃でしたが欧米でインターネットが普及する直前の時代なのでネットビジネスでの新たなスタイルにいち早く着目してきたMarillionが目まぐるしい勢いで変化する時代の渦と発展するネット社会を見越してそれらにのめり込む人々と社会の光と影を描いた楽曲なのかもしれません。或いは、再び音楽界という巨大な海原に乗り出したMarillionが時代の変化と大きな流れに身を委ねる不安と、その中での新たな発見の歓びを唄にしたのかもしれません▲目次へ▲△▼ △▼ △▼Marillion - You're Gone (2005)マリリオン - ユアー・ゴーン収録アルバム『Marbles』まさかMarillionがダンスチューンをヒットさせる日が来るとは・・・■本アルバム『Marbles』は日本でも久しぶりのリリースとなり(94)『BRAVE』以来のコンセプトアルバムとなった事でも話題となったアルバムで発売当時は、Marillionのサイトから購入出来る2枚組完全版と一般発売されたシングル・アルバムと呼ばれる1枚組通常版との2バージョンがリリースされた事でも色々と話題になった作品でした。特にシングル・アルバムの方は2枚組完全版に対して曲数が少ないだけではなく曲順を変えて収録したものだったり後にMarillionはシングル・アルバムの方を進める様な言及をしていたりライブでもシングル・アルバムでの曲順で演奏するなどで何かとファンの間で物議を醸した作品でもありました。本曲は、本国イギリスチャートでフィッシュ時代の全英2位の大ヒット曲『追憶のケイリー』以来の全英7位という快挙を成し遂げた大ヒットシングル曲で突然大きな栄光を失った後に、今は暗闇の中に居ても栄光の中にあったという誇りとそれはまだどこかにあるという希望を突然去った恋人の事を唄う様に人生の光と影を描いたメジャーレーベルと決別しインデペンデント化した当時のMarillionの胸中と境地を投影した様なMarillionとしてはシンプルな内容のヒット曲となりました。■このアルバムは『BRAVE』の時の様に一つの物語になっているわけではなく子供の頃夢中で集めていつの間にか無くなった大好きだったビー玉の事を回想しながら巨大な栄光を失う喪失と暗闇で光を感じながら再生への希望を描く『Marbles』という4編の小曲を挟んでそれぞれの楽曲と繋がりを持たせてラストの「ネバーランドには誰も行けない」と唄われる大作『Neverland』がクライマックスとなる構成になっていますアルバムを通した全体的なサウンドは、ビートルズ風のものやBON JOVI調のものなどMarillionの演奏の「巧み」さが発揮され多彩なものになっているので初心者でも比較的入りやすい内容になっています又、21世紀に入りオルタナティブ路線やUKロック路線などにサウンドを次々と変化させてファンを当惑させてきたMarillionがピンク・フロイド色を強めたサウンドで久しぶりにネオプログレの雄としての健在ぶりをアピールした事でも話題となったアルバムでした一方でアンビエント・サウンドが秀逸なバンドにありがちな今ひとつ実体に欠ける、掴みどころのない曲調が多い所がある意味「Marillionらしい」所でもあるアルバムでした。▲目次へ▲△▼ △▼ △▼Marillion - The Party (Out of Season) (1991)マリリオン - 狂おしき宴 ザ・パーティー収録アルバム『楽園への憧景 - Holidays in Eden』言う程ポップなアルバムではありませんW■本曲は、先程も解説したMarillion史上最もポップなアルバムと謳われる『楽園への憧景 Holiday in Eden』に収録された孤独な女性が妖しい集まりに誘われるがままに堕ちていく様を現代のデカダンスとして描いたドラマティックな楽曲で社会問題に着目し現代に巣食う人の心の闇を浮かび上がらせるMarillionの最高傑作 (94)『BRAVE』へと繋がる新たな詩人スティーブ・ホガースの才能が開花し新生Marillionの真骨頂となった曲でもあります。■これまでの、重厚で欧州文学的要素の高い深みある表現ながらも内省的で私小説要素の濃かった欧州歴史ファンタジーの世界観を持った歌詞を演劇口調で語るフィッシュ時代の楽曲に比べるとスティーブ・ホガースの作詞による楽曲は社会問題にメスを入れる「今」を描く内容となり欧州文学的深みと重厚感が影をひそめた分、精神面に於いてダークな深みが増し現代におけるダークファンタジーの世界を音楽で体現するバンドへと変貌して行きます本曲は、これまで平穏な暮らしをしてきたどこにでも居る普通の女性が一夜の刺激を求めて 怪しげなパーティーに溺れて行く様をこれまでのマリリオンには無いダークで官能的な響きを感じる演奏で歌い綴った問題作で次回作となる「ブレイブ」にも通じる新体制となったマリリオンにとっての新たなカラーを生み出す楽曲となりました歯車が一つ狂うと何かも崩れ落ちて行き全てを失った事にも気付かなくなる位に麻痺した状態になる、病んだ社会と現代人の心の闇を心の奥底に響く語り口でドラマティックに描いており逃れられない運命を嘆く様なサビのスキャットの後「男は言った、まあとにかく・・・初めてのパーティーにようこそ」と切り出すCODAでのこのパーティーは「一夜の刺激」では無く今夜も来店してしまう程に快楽に溺れてしまっている事が判明する衝撃のラストまで日本でもホストクラブ通いが止められないヘビーユーザーをターゲットにした高額な料金請求を一時立替える「売掛」が社会問題化した事でも知られる「地雷系」とは異なる「普通女子」も抱える様になった現代の闇を場面が浮かび上がる様なエモーショナルな演奏で描いた問題作的ナンバーとなっていますこの様な、これまでのマリリオンに無かった社会にメスを入れるホガースの曲作りの持ち味が良く言えば「ポンプ・ロックの騎手」悪く言うと「ジェネシスのモノマネバンド」と言われ続けてきたマリリオンの呪縛から脱却させ最高傑作となった次作『BRAVE』へと開花する事につながるのでした他方で、この様なある種の「退廃」を描いた楽曲はフィッシュ時代にも存在したマリリオンらしい内容とも言えるのですが、アルコール中毒者が酒から抜け出せ無い藁をも掴む退廃的な心理を描いたアルバム『旅路の果て』がMarillionに居る限り「Genesisの影」から抜け出せないフィッシュ自身の藁をも掴む苦悩を投影した様な内容となった様にその様な曰く付きなMarillionに加入したホガースが「Marillionを継承する」という重責を担い引きずり込まれる様に抜け出せなくなる何かを感じてそこから抜け出そうともがく様な思いからこの様な曲を作らせたのかもしれません。▲目次へ▲△▼ △▼ △▼Marillion - Pour My Love (2012)マリリオン - ポア・マイ・ラヴ収録アルバム 『創られざる音律 - Sounds that Can't Be Made』王道なのにありがちでは無い正に 創られざる音■2000年に入りオルタナティブ路線やアコースティックの再録アルバムなどプログレとは異なるタイプの作品をリリースしてきたMarillionが2012年に再び王道のプログレッシブロックアルバムを発表し日本でも久しぶりの日本版の発売となり話題となった「創られざる音律 - Sounds that Can't Be Made」より18分の超大作『GAZA』から表題曲へと続くポリティカル、自己啓発路線から一転しアルバム中唯一、外部のライターのジョン・ヘルマーを起用し社会をスケッチする写実的タッチのホガースの持ち味とは違った内省的で文学的な表現でしおれた花のようにもたげた心にしとやかな雨の様に愛を注ぎ打ちのめされた者の傷ついた心を癒やす慈悲に満ちた心を描いた珠玉のバラードナンバーです■Marillionの音楽は映像の様にイメージが拡がるエモーショナルでアンビエントなサウンドに骨頂があり時に助長とも思える程 言葉の様に語りかけてくる演奏に音楽的特徴があるバンドですがプログレのひとつの特徴に「バラード曲の美しさ」があるのも王道だからこそ良くある凡庸な演奏になりがちな定番音楽をあえてストレートに演奏し感情に訴えかけるという、Marillionの様なエモーショナルな演奏をするバンドが、楽器の音ではない何かになった「創られざる音」で表現する所に理由があるのかもしれません▲目次へ▲△▼ △▼ △▼Marillion - Sounds That Can't Be Made (2012)サウンズ・ザット・キャント・ビー・メイド - 創られざる音律収録アルバム 『創られざる音律 - Sounds That Can't Be Made』進撃の音楽■リリースされた2012年当時、プログレッシブロックに回帰し久しぶりの日本版発売となり話題となったアルバムからの表題曲でドラマティックで壮大な演奏が圧巻のMarillionらしいタッチの重厚なメッセージソングです。重厚なシンセ音を高らかに響かせながら進撃する様な演奏にのせ「いつか誰にも作ることが出来ない「音」を演奏するその「音」は地球上には無い、アナタの中にある「音」だ」と語りかけ超大作『GAZA』での「いつか誰かが手を差し伸べるべきだ」と訴えた後に続く自己啓発を促す連曲として作られた作品とも取れラストのギターの感動的なテーマでドラマティックに幕を閉じるロック・ミュージックの領域を軽く凌駕したエモーショナルな非常に聴きごたえのあるナンバーになっています。メジャーレーベルとの契約を切られメインストリームとは隔絶された中で自主制作レーベルを立ち上げるなど独自の活動を続け長年音楽界で苦戦してきたマリリオンがネットの時代を追い風に業界ではいち早く「クラウドファウンディング」を取り入れライブで成果を出すという音楽界に於いての新たなビジネスモデルを打ち出した事で一度は見放したメジャーレーベルが再び契約を持ち出すまでの立場となりメインストリームから離れた立ち位置での活動を確立させる有数なアーティストへと変貌して行く中で原点回帰とも言える本作の様なアルバムを制作したのはMarillionにとっては必然な行動だったと言えます。言ってみれば本曲自体が今の音楽界に所属していては決して生まれる事はない培われた視点で売れる事を前提にした音楽の限界を指摘し現代社会の矛盾と将来あるべき人の姿までを予見した今の音楽界には「創られざる音楽」という事だったのかもしれません。▲目次へ▲△▼ △▼ △▼Marillion - The Great Escape (1994)マリリオン - ザ・グレイト・エスケイプ収録アルバム 『ブレイブ』目眩く音世界・・・■マリリオン最高傑作でロック史上に於いても名盤と謳われる『BRAVE』からクライマックスを飾る荘厳なナンバーですアルバム「BRAVE」は英国の高速道路M4に掛かるセヴァーン橋で彷徨う記憶喪失の身元不明の少女が発見されという実在の事件を元に制作されたコンセプトアルバムで語り部が語る少女の物語で曲が進行しクライマックスの『ザ・グレイト・エスケイプ』で少女の人生を辿りながらいつの間にか語り部と少女の人生が交差し少女とシンクロした語り部の語る真実から少女の心の闇の深さと少女に何があったのかが明かされていきラストの『メイドアゲイン』で少女の人生を追い辿り着いた境地は闇から逃れた生まれ変わった自分だったという少女によって救われた孤独な語り部と孤独な人間を救えた少女の喪失と再生の人間ドラマを通して孤独な人間社会の深い闇をえぐり出す壮大な作品となっています■さて、ロックファンの間でも当時からこの作品の歌詞は難解だと評判でアルバムに添付された歌詞の対訳を読んでも内容が一向に掴めない点に於いてプログレ+難解=名盤というやや曲解された評価をされた作品でもあったのが本作だった訳ですが・・・正に、先程解説した英詩の弊害の骨頂がここにあった訳なのです。つまり、「BRAVE」で描きたかった事を理解に繋げていく事がプログレの真の姿に迫る事にも繋がるという訳でここでは「BRAVE」のクライマックスとなる『The Great Escape』の内容をすこしばかり紐解いて見たいと思います。□このアルバムの対訳を担当した方はフレディー・マーキュリーの本やヘビメタ関係の貴重な本の出版に携わるポップスロック系に明るい女性翻訳家の方でまだまだロックに市民権が無かった時代からロックに関わってきたいわばロックファンの守護天使の様なヒトなので悪くは言いたくは無いのですが・・・とにかく『BRAVE』の歌詞カードの翻訳は最◯でした。。。w・・・さてwここで又ウチの解釈を書きますが、「解釈」とは言ってもコレはあくまで単なる解釈に過ぎませんのでこの解釈に対しての論議は平にご容赦する様お願いするとして・・・wこの曲は大きく分けて3つのパートで出来ております。最初のパートは 静かなバラードの様にスタートし最後の時が近づいてくるような演奏をバックに語り部は家族による虐待を受け非行に走り浮浪者となり、犯罪にドラッグにと、生きる為に罪を重ね世の中を憎悪した末に醜い世界から潔く去る決断をした少女を称える様に憐れみながら実は何かにすがっている事を看破しますここでの最初のパートの歌詞の「自動的オーバーロードに向かって」という意味不明の対訳が足を引っ張りますがw原語では「Heading for the automatic overload」直訳して ”自動過負荷の見出し”これを意訳すると宇多田ヒカルの「Automatic」に倣うと”自分から自発的に世の中の全ての闇を背負い込んで”になるのでこれは精神世界を舞台にした話とも取れる事からこの世の全ての闇の権化の様になった少女が月の高さ位ある深い闇の場所から脱出を図り・・・これは『エイリアン3』のリプリーが取った行動みたいな事を指すのでしょうか・・・単身身を投げ出して闇を葬る行為に対して勇敢である・・・という本作の『BRAVE(勇敢)』の本当の意味が見えてきます。次のパートでは演奏は激しいギターの咆哮で一転し感情に訴えかける語りで孤独な語り部が知り得なかった世の中に潜む、消えない闇の深さの根深さに迫っていきます。アルバムの表紙は世の中の全てを憎悪するような少女の顔のアップに、アンネ・フランクの日記の一節がオーバーラップさせたビジュアルで何かに閉じ込められた様な狭い中で世界を見てきた様な何かを睨んでいる様で何を睨むべきか分かっていないという本作の少女の心の闇が表現されており幼い頃から虐待を受け続けてきた挙げ句自分を痛めつけないと生きている気がしなくなっている少女に向かって痛めつけるんじゃなくて自分を守るべきだったと語り部はいつの間にか自分の事を語るような口調で歌詞は恫喝します最後のパートは、解釈が難しいのですが歌詞を意訳すると・・・イカロスでも空から山に落ちてあれ程の事になるのに少女の心の闇は月の高さから落下する位にあまりにも深く高すぎた為橋から飛び降りる位では低すぎた(から少女は死ななかった)後に橋で発見され家族に保護された後に心の闇から開放された・・・のかどうかまでは分かりませんがそれは語り部の自分も月から落ちる位の人間だから分かるのだ・・・という少女がなぜ橋で発見されたのかという理由が浮かび上がり孤独な語り部との人生と交差して全てに合点が行くように「MOON!」と悟りラストでボーカルのホガースがした下にスーッと落ちていくパフォーマンスに繋がるという社会問題を未曾有の人間ドラマで描いたロック史上に残る楽曲でした。▲目次へ▲△▼ △▼ △▼Marillion - Beautiful (1995)マリリオン - ビューティフル収録アルバム 『アフレイド・オブ・サンライト』美を貫く決意表明最高傑作『BRAVE』の次作でコンセプトアルバムでは無い、小品揃いの作品ながらも実在の人物をモデルに、栄光と挫折の物語と人生の光と影を描いた楽曲が収録され話題となったアルバムからMarillionらしいエモーショナルに満ちた演奏で紡いたシングルヒットとなった楽曲です■本曲は、作詞のスティーブ・ホガースが世の中の現実を辛辣な切り口で看破した後、ストレートに価値観を問いかるスタイルでの美しく、正しく生きる事のリスクとその決意を世に問うホガースが曲作りで好んで使う手法の最骨頂とも言える楽曲で、頂点を体験した達成感の高揚の中にありながら後に訪れる苦難を予見した様なこの時点のMarillionの心境が投影された様な楽曲で占められたアルバムでの答えのない命題を世に問いかけながら自問自答する形で決意の表明をした楽曲でもあります。この様な珠玉のバラードが生まれるのも後にメインストリームと決別しイバラの道を進む事を共に選ぼうともどんな苦境も共に乗り切りどんな難題な音楽も共に表現できる仲間達が集う、「Marillion」という唯一無二の音楽的環境の中で音楽活動をし続けているからでありその様な美しい音楽を生み出す環境を守り続けようとするMarillionの決意が聴き取れるナンバーになったのだという事なのでしょう□と言う所で終了です。それでは 最後に『創られざる音律』から18分に渡る超大作『GAZA』を聴きながらクライマックスでは♪Someday surely someone must help us!!!!と大合唱しながらお別れしましょうWWWそれでは素敵なクリスマスをお過ごしください☆▲目次へ▲△▼ △▼ △▼Marillion - Gazaマリリオン - ガザ収録アルバム『創られざる音律 - Sound that can't Be made』【ブログ更新】- 楽天ブログ(Blog)プログレッシブ・ロック 第22回【特別編】『Marillionなクリスマス』■今年はMarillionと共にカオスなクリスマスの夜を過ごしながら驚異の文字体験をお見舞いしますWhttps://t.co/1qSzAJafp5 #r_blog— Voyager6434 (@voyager6434) 2018年12月24日▲目次へ▲■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■楽天市場■【輸入盤CD BOX】ブレイブ [ Marillion ]CD4枚+Blu-ray audio1枚CD1 スティーヴン・ウィルソン 最新リミックスCD2 デイヴ・ミーガン オリジナル・アルバム・ミックスCD3/CD4 『ブレイブ』の完全再現ライヴ 未発表音源9曲追加収録Blu-ray スティーヴン・ウィルソン リミックスを96/24 LPCM ステレオ&5.1ミックス96/24 DTS HD 5.1ミックス収録 他 多数収録価格:7704円(税込、送料無料) (2020/3/21時点)【輸入盤】スクリプト・フォー・ア・ジェスターズ・ティアー(デラックス・エディション) [ MARILLION ]価格:9494円(税込、送料無料) (2020/3/21時点)【輸入盤CD】【送料無料】Marillion / Afraid Of Sunlight (Deluxe Edition) (w/Blu-ray)【K2019/11/1発売】(マリリオン)価格:7090円(税込、送料無料) (2020/3/21時点)【送料無料】 Marillion マリリオン / Holidays In Eden 輸入盤 【CD】価格:3330円(税込、送料無料) (2020/3/21時点)【送料無料】 Marillion マリリオン / Sounds That Can't Be Made 輸入盤 【CD】価格:3026円(税込、送料無料) (2020/3/21時点)
2018年12月24日
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YAMAHA GX-1 (wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第21回 『何処へ向かうプログレ』さて今回も、このGWに出かけた行楽先で手にしたご当地アイスが薄っすら溶け始める初夏の陽気を迷惑に感じる事にも似たメガ迷惑な 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集 第21回をお送りします画像は キーボード3台が並べられたものでは無く75年当時のエレクトーンの最高機種として日本のYAMAHAが開発したYAMAHA GX-1という楽器で総重量250Kg 宇宙船のコントロールルームの様な外観をした70年代当時の値段で700万円もの高額な ドリームマシンと謳われましたその王者の風格に相応しい荘厳なまでの佇まいは興味の無い者にとっては見るからに「どうでも良いっつ!!!」というお腹一杯な拒否感満載の印象を受けますがEL&Pのキーボーディスト キース・エマーソンが愛用しLed Zeppelinのジョン・ポール・ジョーンズが使用した事でも有名な名機でEL&Pが オルガン・サウンドを捨てるきっかけを作った曰く付きなマシンでもありましたこの様にプログレの主要バンドは時代の変容に呼応してその特徴的だったサウンドを捨て 大胆な変身を遂げ更なる栄光を手にして行くのでしたその一方で旧来のサウンドを愛するファンにとって 一体バンドが何処へ向かうのか当惑と失望を与える結果をもたらす事にも繋がるのでした今回はそんな危惧を産む事になった問題作を何曲か取り上げてみましたそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼Genesis - Calling All Stations (1997)ジェネシス - コーリング・オール・ステーションズ収録アルバム『コーリング・オール・ステーションズ』Ray Wilson (Wikimedia)ポップスター フィル・コリンズが脱退しジェネシス15枚目のアルバムにして実質ラストアルバムとなった作品からのタイトルナンバーですこれまでどの時期の作品にも無かった ノイジーで重々しいサウンドで占められた視界ゼロの暗闇に叩き込まれる様な衝撃的出だしからしてメロディーとグルーブの要だったフィル・コリンズを失い取り残されたメンバーの暗中模索するジェネシスの苦悩に当てられた様な印象が強くアルバム全体の評価も芳しいものではありませんでした一方、「コンゴ」の様な従来路線のスマッシュヒットもあり全英2位を獲得したヒットアルバムでもありました新ボーカリストは ほぼ無名の新人レイ・ウィルソンが努めましたがリリース直後脱退しておりジェネシスとの関係は創造的なものと言うよりは巨大企業と一介の一社員との関係を見る様な対等なものでは無かった様ですそれでも「ノット・アバウト・アス」の様な名作もありベテランが新人を立てて創り上げたアルバムという側面も見受けられました△▼ △▼ △▼Peter Gabriel - Digging In The Dirt (1992)ピーター・ガブリエル - この夢の果て収録アルバム『Us』Peter Gabriel (Wikimedia)元ジェネシスのボーカルでカリスマ・ミュージシャンのピーター・ガブリエルがこれまでのワールドミュージック色を昇華させた次世代型ポップミュージックを提唱する勢いを感じさせる傑作揃いの会心の作となった代表的アルバムからの シングル・ヒット曲です感情を刺激する 独特の上擦るボイスをフルに活用したダンサブルな楽曲で極限まで張り詰めた緊張感が 一気に爆発した様なパワフルなサウンドは不本意な軋轢に耐え続ける人々で占められるバブルが弾けた当時の社会世相を反映したものとしても前作の「SO」以降 政治的発言が多くなったガブリエルらしいメッセージ性の高い話題作となりました△▼ △▼ △▼Yes - Leave It (1986)イエス - リーブ・イット収録アルバム『90125』Trevor Rabin (Wikimedia)フォークベースでリリカルなクラシカルロックが特徴だったイエスが80年代に相応しいエレクトリカルでダンサブルなバンドへと大胆な変身を遂げ仕掛け人トレバー・ホーンをプロデューサーに招き制作された大ヒット・アルバムからの シングル・ヒット曲ですオーケストラ・ヒットと呼ばれるギミックを世界的に流行させた衝撃作「ロンリー・ハート」が収録されたアルバムでコンピューターで作られた打ち込みサウンドで構成された本曲を始めこれまでの親しまれて来たイエスサウンドと 完全に訣別する内容となった事で新メンバーで現在は映画音楽の大家となったトレバー・ラビン色が濃厚となり従来のファンの当惑を招いた問題作となりましたがアルバムは意外な程 イエス的な構成が組まれた楽曲で占められており技巧派なバンドの持ち味を損なう程のものでは ありませんでした△▼ △▼ △▼Emerson, Lake & Palmer - Tiger In A Spotlight (1977)エマーソン・レイク&パーマー - 孤独なタイガー収録アルバム 『作品第2番』Keith Emerson (Wikimedia)ロック界最強トリオの一つ エマーソン・レイク&パーマーの「ELP4部作」の続編的アルバムからのオープニング曲です中央に本物のトラを従えた 今なら考えられ無い危険な撮影に及んだシュールで緊張感ある映像とは裏腹に本曲は 緻密な構成力を誇ったEL&Pサウンドの片鱗も認められない様な明るいポップ・ナンバーでハモンド・オルガン・サウンドに成り代わって楽曲を奏でるのはピアノの他、映像でも使用されたその後エマーソンの代名詞となる YAMAHA GX-1によるものでジャズがベースの硬派なクラシカル・ロック時代とは打って変わった肩の力が抜けたチープで散漫なサウンドが全編を占めるシンセティックで軽妙なロックン・ロール曲となりました本アルバムの内容も既発のシングル曲と 前作「ELP4部作」のアウト・テイクを集めた様な纏まりの無いロック・ファンにも不評な作品となりましたがこの時代のエマーソンのサウンドが後の角川映画「幻魔大戦」で昇華される事になります△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Poles Apart (1994)ピンク・フロイド - 極収録アルバム『対』Nick Mason, David Gilmou (Wikimedia)中心人物だったロジャー・ウォーターズが脱退しギターのデビッド・ギルモア体制となったピンク・フロイドが様々なゲストライターを起用し制作し 問題作となったアルバムからの目眩く幻想美の拡がりを感じるバラードナンバーです陰鬱でダークな切り口で現代社会を語って来たウォーターズ時代とは異なり拡がりのある綺羅びやかなサウンドで占められた新境地を開いた作品という印象がありますがこれまで作品には反映されて来なかったデビッド・ギルモアの元々の持ち味の一つが開花した作品でもありました△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。初夏の陽気に思わぬ汗する様な迷惑感がヒシヒシと伝わる更新でしたWさて 次回は一体 何が お見舞いされるでしょうか ごきげんよう。
2015年05月09日
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日本生まれの音楽ジャンル Progressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第20回【初級編】『Pink Floyd 新作』Part2永遠 (TOWA)The Endless River (2014)まさかの前回の続きです単に 栄えある第20回を ピンク・フロイドで占めたかったという理由からでブログでは 動画リンクとアフェジャケ写は共存出来ないという 大人の事情から今回はアートワーク編として登場しましたそれでは ピンク・フロイド独特のジャケットを観賞しながらその音楽性を探ってみる事にしましょう△▼ △▼ △▼The Endless River - 『永遠(TOWA)』 (2014)(David Gilmour, Nick Mason, Richard Wright)ピンク・フロイド15枚目のオリジナルアルバムにして 前作から20年ぶりとなり故リチャード・ライト追悼盤としてリリースされた最新作です一曲を除いて 全曲がインストゥルメンタル作品でそれらは前作 「対」でのセッションを纏めたもので構成された性質上純然たる新作とはやや趣が違う事から 早くも 問題作として話題となった作品です本作のアートワークを担当したのは これまでフロイド作品を手がけてきたデザイン集団「ヒプノシス」の故ストーム・ソーガソンから同ヒプノシスのメンバーで ストーム・ソーガソンの盟友オーブリー・パウエルが担当し今回のビジュアルは 18歳の気鋭アハメッド・エマッド・エルディンの作品を基にして作られ雲の海をボートで漕ぎ進むという 非現実性を帯び 天国をイメージする様な如何様にも解釈できるミステリアスな いかにもフロイド的なビジュアルとなりました△▼ △▼ △▼The Division Bell - 『対』 (1994)(David Gilmour, Nick Mason, Richard Wright)Marooned - 『孤立』 収録アルバム2,033円(税込)1,883円(税抜)14枚目のオリジナルアルバム「コミュニケーションの欠如における対立」をコンセプトにベルリンの壁が崩壊後の世に問う問題作として話題になった作品です本作のアートワークを担当したのはデザイン集団「ヒプノシス」のストーム・ソーガソンヒプノシスは ミステリアスで 奥の深い アート・ワークで知られる音楽アルバムのジャケットに芸術性をもたらした 元祖的存在で殆どのフロイド作品を担当して来たデザイン工房ですこの対になった巨大な顔のオブジェは 本作のコンセプトに則ったもので観る者の解釈に委ねる いかにもヒプノシスらしいデザインとなりました △▼ △▼ △▼A Momentary Lapse of Reaso -『鬱 モメンタリー・ラプス・オブ・リーズン』 (1987)(David Gilmour, Nick Mason)Learning to Fly - 『幻の翼』 収録アルバム2,015円(税込)1,866円(税抜)13作目のオリジナルアルバムで中心人物だったロジャー・ウォーターズ脱退後 新体制で制作された作品ですこの遥か彼方まで並べられたベッドというビジュアルはフロイド独特の 非現実的世界を表現したものでこの様なヒプノシスのデザインは ピンク・フロイドそのものと言っても良い程のサウンドとビジュアルが 他に類を見ない程一体化した印象がありましたこのベッドの写真はCGの合成では無くイギリスのデボン州ソーントン・サンドの海岸に実に700位上ものベッドを実際に並べたものでジャケットを良く見ると セッティングしたスタッフ達の大量の足跡が確認出来ます撮影当時 ソーガソンは、ベッドを並べ終えた後 急な雨に遭いベッドを退避させられる羽目となりその後再びベッドを並べた事を振り返り「悪夢だった」と話していたそうです△▼ △▼ △▼The Wall - 『ザ・ウォール』 (1979)(Roger Waters, David Gilmour, Nick Mason, Richard Wright)『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート2)』収録アルバム2,890円(税込)2,676円(税抜)11枚目のオリジナルアルバム全世界で空前のレコードセールスを記録した ロック史に置いても歴史に残る名作で世界で最も売れた2枚組アルバムとしても知られる作品ですヒプノシスから離れ 風刺漫画をモチーフにした新たなアートワークはこれまでの現実の中の非現実性を描いて来た 浮遊感漂う様なものとは異なり白い壁に 血文字の様に描かれたタイトルからは世の風潮に物申す ピンク・フロイドの過激なまでに毅然とした姿勢が現れた問題作となりました△▼ △▼ △▼The Dark Side of the Moon - 『狂気』 (1972)(Roger Waters, David Gilmour, Nick Mason, Richard Wright)Money - 『マネー』収録アルバム2,043円(税込)1,892円(税抜)フロイド8枚目のスタジオ・アルバムにしてロック史に残る名作プリズムの光をモチーフにした シンプルにして深いイメージのビジュアルはピンク・フロイドのステージ独特のライティング効果で通称 「ライトショー」と呼ばれるスポットライトワークを モチーフにしたデザインで「シンプルで客観的で正確な何か」というリチャード・ライトの言葉からインスパイアされたとの事でしたこのプリズムの光のイラストは レコードの見開きジャケットを利用した表と裏が繋がったデザインになっており内ジャケットは 7色の光の一部が音声波形を取るという シュールなアイデアが盛り込まれジャケットの表裏を交互に並べると 連続的なデザインが形作られる様に工夫されていましたこの様に ある種のアイデアや誇張によって 単純でシンプルに作られたものが刺激的なアートワークへ変貌して行く仕掛けも ヒプノシスならではの事でした△▼ △▼ △▼Ummagumma - 『ウマグマ』 (1968)(Roger Waters, David Gilmour, Nick Mason, Richard Wright)『Careful with That Axe, Eugene - ユージン、斧に気をつけろ』収録アルバム2,851円(税込)2,640円(税抜)4枚目のオリジナルアルバムで 1枚目がライブ、2枚目が各メンバーのソロという方向性を模索していた時期の 実験的な側面が大きな作品です額縁の下にはなぜか55年のミュージカル映画「恋の手ほどき」のサントラ盤が置かれておりますが無限鏡の様な デザインは、庭のメンバー達と額の中のメンバー達をローテーションして入れ替えて心理学的な無限の逆行を 写真で再現する意図で作られ遠近を付ける場合 理論上は無限に後退できるはずが 実際には限りがあるというジレンマを題材に額の中に段階的に小さくプリントされた写真をモンタージュして行った作品との事でした△▼ △▼ △▼さて、ヒプノシスのデザインは写真をコラージュしたり 一連の模様を連続的に並べるリアルでありながら 非現実的な 浮遊感漂う特異なビジュアルに特徴がありそれらは一貫して 単純なイメージやアイテムを深い意味をもたらすメタファーや象徴へと変貌させるというコンセプトの下で様々な創作的工夫を施し 生み出されたものでした思うにヒプノシスが作り出すイメージとは同じ人間でありながら 一般人が持ち得ない カリスマ的アーティストが持つ巨大なオーラの様な目に見えない 物理を越えた力の根源をあり得ない物体を置く事の不条理感やコラージュによって非現実的光景を生み出す 違和感を利用して再現しようとしたものなのかもしれません■ というわけで いかがでしたでしょうか。芸術の秋にはピッタリな、食欲の秋にはお腹いっぱいな 更新となった事と思いますさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか それではごきげんよう
2014年11月09日
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日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第19回【初級編】『Pink Floyd 新作』PART1永遠 (TOWA)Nick Mason / David Gilmour (画像参照:Wikimedia)さて今回も、ミスター的なドーナッツのお店のリラックスなクマ的なプレゼントを貰い損ねた腹いせなのかメガ迷惑な 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第19回をお送りします今回はプログレを代表する 世界的なロック・バンドピンク・フロイドの20年振りの新作として話題になった11月19日発売「永遠(TOWA)」リリースを記念し発売前のザックリとした おさらいとしましてかつての サイケデリックな時代に演奏していた ダークな楽曲から世界的大ヒットしたポップな楽曲まで ご紹介したいと思いますさて、ピンク・フロイドは60年代後期 シド・バレットを中心として活動していたサイケデリック・ミュージックの人気バンドとしてデビューシド・バレット脱退後はロジャー・ウォーターズを新たな中心人物にしてデビッド・ギルモアを加えた4人体制でバンドを継続Roger Waters — bass guitar, vocalNick Mason — drumsDavid Gilmour — guitar, vocalRichard Wright — keyboardサイケデリック・ミュージックの域を越えた独特の音楽的表現のパフォーマンスが話題となり傑作アルバムを次々とリリースして行きます72年には 世界中で驚異的な売上を記録した大傑作アルバム「狂気」を発表し名実ともに ロック界での地位を不動のものとしますしかしその後 中心人物ウォーターズとメンバーとの確執が始まり83年にはリチャード・ライトが脱退85年にはウォーターズが脱退し事実上ピンク・フロイドは解散状態になるもギルモア、ニック・メイスンがバンド継続を宣言し 87年に新作「鬱」を発表その後ライトが正式に復帰し94年に前世紀最後のオリジナル・アルバム「対」を発表収録曲「孤立」は グラミー賞ベスト・ロック・インストゥルメンタル部門を受賞2005年の世界的チャリティー・イベント「ライブ8」ではウォーターズが一時的に復帰再結成フロイドのパフォーマンスが話題となりますが2008年9月15日リチャード・ライトの死去により半世紀近くに及ぶフロイドの歴史に幕が降りますしかし2014年には「対」のセッションを纏めたインストゥルメンタル作品をリチャード・ライトの追悼アルバムとして20年振りの新作にして今世紀最初のピンク・フロイドのアルバム『永遠(TOWA)』が発表され話題となりました以上が簡単な略歴でしたそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Marooned (1994)ピンク・フロイド - 孤立(David Gilmour, Richard Wright)収録アルバム『対』 (画像参照:Wikimedia)数多くのゲストミュージシャンを招いて制作された20世紀最後のフロイド作品でフロイドとしては初のグラミー賞を受賞したインストゥルメンタルナンバーです新たなサウンドを求めてゲストを投入するギルモアに対してプロデューサーのボブ・エズリンはアルバムをフロイドサウンドに纏める為に四苦八苦したと言いますもともと2枚組で発表する予定だった本作のインストゥルメンタル・パートは20年の時を経て 2014年の新作「永遠」として陽の目を観る事となりました△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Learning to Fly (1987)ピンク・フロイド - 幻の翼(David Gilmour, Anthony Moore, Bob Ezrin, Jon Carin)収録アルバム『鬱』 (画像参照:Wikimedia)新生フロイドのシングルヒット曲ギルモア体制で作られた本作のコンセプトは特に無くフロイドとしては小粒な楽曲を収録した作品となりました本作発表後 世界的なツアーを敢行し、16年振りの来日公演も果たしますその巨大セットを組んだ光と音のハイブリッドなライブが話題となりライブの模様はアルバム「光」として発表されます△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Another Brick In The Wall, Part Two (1979)ピンク・フロイド - アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート2)(Roger Waters)収録アルバム『ザ・ウォール』 (画像参照:Wikimedia)全米ヒットチャート1位を獲得した大ヒット曲「壁」をコンセプトに人間関係や社会問題を描いた問題作で閉鎖的学校教育を比喩として壁に例えて批判した本曲は様々な物議を呼びましたメンバーで誰よりも「壁」を作っていたのは 他ならぬ作詞作曲をした ロジャー・ウォーターズで本アルバムはロジャーの個人的な考えが大きく反映された作品でもありデビッド・ギルモアは このアルバムに付いて 過去に使えないものを何とか聞けるまでにしたと言う様なロジャー・ウォーターズが創作する壮大な作品郡とは裏腹にロジャー本人の人としての器の無さを看破したかの辛辣な発言を残した程メンバーとの亀裂を決定付けた作品でもありました△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Money (1972)ピンク・フロイド - マネー(Roger Waters)収録アルバム『狂気』British pre-decimal penny 1963 obverse (画像参照:Wikimedia)ロック史に残る名作「狂気」からの フロイドの代表曲的ナンバー大金によって人生がガラリと変わってしまう人生の光と影を描いたナンバーで本アルバムの大成功によってロックのスターダムにのし上がったフロイド自身の達成感に当惑する様が曲とリンクした事でも 非常に興味深い楽曲です△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Careful with That Axe, Eugene (1968)ピンク・フロイド - ユージン、斧に気をつけろ(David Gilmour, Roger Waters, Richard Wright, Nick Mason)収録アルバム『ウマグマ』 (画像参照:Wikimedia)ライブが評判を呼んでいた初期のフロイドを代表するエモーショナルなインストゥルメンタルナンバーシド・バレット体制での サイケデリック・ポップな内容から一つのモチーフにメンバーが呼応して楽器音を重ねるセッションを建設的に構築して行く体制での 完成形とも言える楽曲でまるで意味を成さないタイトルなど、ミステリアスな持ち味と何かが降りて来た様な 神がかり的な神秘性といった初期のピンク・フロイドをイメージするサウンドが聴く事が出来ますがあのキング・クリムゾンがそうだった様にライブ・サウンドとイメージを当時の録音技術ではアルバムで再現出来ないという表現上の悩みを抱えていた時期でもありました△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Comfortably Numb (1979)ピンク・フロイド - コンフォタブリー・ナム(Roger Waters, David Gilmour)収録アルバム『ザ・ウォール』David Gilmour, Nick Mason, Roger Waters, Richard Wright (画像参照:Wikimedia)2005年に行われた世界的なチャリティーイベント「ライブ8」でのロジャー・ウォーターズがこのライブの為 特別に復帰したパフォーマンスからアルバム「ザ・ウォール」の ロジャー・ウォーターズ、デビッド・ギルモア 作詞、作曲による代表曲ピンク・フロイドの名称使用で ロジャーとメンバーとで訴訟にまで発展した確執でしたがこのギグで奇跡の再結成を果たします往年の名演が蘇る演奏に世界中が酔いしれますがキーボード リック・ライトを含めたメンバーでの最後の演奏となるのでした・・・△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Louder Than Words (2014)ピンク・フロイド - ラウダー・ザン・ワーズ〜終曲(David Gilmour, Polly Samson)収録アルバム『永遠/TOWA』Abandoned ship near Aral, Kazakhstan (画像参照:Wikimedia)今世紀に入り初のリリースとなったフロイドのアルバムであると同時にラストアルバムとなった「永遠/TOWA」から、唯一のボーカル曲としてリリースされたナンバーです本アルバムは、前作「対」で行われたの膨大なセッションの中から抜粋されたものを再構成して新たに録音作業を加えて完成されたもので多分に故リック・ライト追悼アルバムとしての性質が濃く一曲を除き 全編インストゥルメンタルで構成されており初期のフロイド作品の様な アンビエント(環境音楽)として位置付けられる作品ですが前作『対』でこぼれたセッションを集めた感は否めないという厳しい意見も多くリリースの発表の時点で既に問題作というある意味フロイドらしいアルバムでした本曲は、近い未来にフロイドの偉業が過去のものになる事を象徴した様な砂漠の残骸海岸で遊ぶ、フロイドを知らない未来の世代に対しフロイドも現代の価値観も過去のものとなる未来に向けて魂とは、精神とは言葉を超えて伝わるものである と唄うロジャー脱退後自虐的とも言える重い内容の作品で占めていたフロイドが混沌とした世界に明るい未来の希望を託した内容のメッセージソングとなっております△▼ △▼ △▼『プログレッシブ・ロック 第20回 【初級編】Pink Floyd 新作「永遠 (TOWA)」Part2』へ つづく
2014年11月07日
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日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第18回【初級編】『ドラムが巧みなプログレ』Terry Bozzio drums (画像参照:Wikimedia)さて今回も、アノお店の「31の日」の日が無い今月に仕方なく定価で買ったアイスが暑さの余り溶ける不本意にも似たメガ迷惑な 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第18回をお送りします今回はプログレのアクロバティックな楽曲を支える『ドラム』 を取り上げて 何曲がご紹介したいと思いますトップの写真の楽器屋で 太鼓とシンバルを売っている様にしか見えない様な膨大な量のタム、シンバル類で組まれたドラムセットの画像を観るだけで先が思いやられますがwこの、音楽の底辺を支える存在のイメージが大きいドラムが前面に主張する所が プログレの特徴でもありアクロバティックで、幻想的なプログレの楽曲を 下から支えるのでは無く存在感のあるものにする、要 としての役割が大きい楽器と言えるのだと思いますそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼Rush - The Big Money (1980)ラッシュ - ザ・ビッグ・マネーDrums:Neil Peart収録アルバム 『パワー・ウィンドウズ』Drums:Neil Peart (画像参照:Wikimedia)最近ロックの殿堂入りを果たした 来日を果たしていない最後の大物カナダのロック・トリオ・バンド ラッシュのコマーシャルなアプローチをしていた時期のヒット作からのシングル曲ですドラムの ニール・パート は ぐるりと取り囲まれたタムとシンバル類に加え多種多様なパーカッションセットを組んで 縦横無尽にドラミングをする超技巧派でロック、ジャズ、ラテン、アフリカンなど 様々な音楽を吸収修得しドラムのスタイルに反映させ数多くのミュージシャンに影響を与えているロック界を代表するドラマーの一人ですギター、ベース、ドラムのトリオ編成での弱点である音数の少なさをテクニカルでカラフルなドラミングでカバーしてラッシュならではの特徴的なサウンドを支える 重要な存在でもありますジャズドラマーのバディ・リッチから大きな影響を受けている様でジャズのビッグバンドの持つ 華やかな面をドラミングで表現するという様なサウンドや、楽曲の持つ表現力に興味を持っている印象があり通常のドラマーとは違ったアプローチを試みる柔軟性の高さを感じるアーティストの様に思われますドラミングそのものは、どちらかと言えば 縦ノリで一音一音を正確無比に演奏するスタイルなのですがロックの要である「リズムが粘る」様な所が無いのでドラミングがグルーブ感に欠る印象がありますそれがラッシュ独特の硬質なサウンドを生み出す特徴にも繋がっているので欠点を弱点と考えずに無限の表現の自由があると捉える発想の柔軟性にラッシュ がロック界でも 極めてユニークな唯一無二の存在と言える理由がある様に感じました△▼ △▼ △▼King Crimson - The Great Deceiver (1974)キング・クリムゾン - 偉大なる詐欺師Drums:Bill Bruford収録アルバム 『暗黒の世界』Drums:Bill Bruford (画像参照:Wikimedia)ギタリスト ロバート・フィリップ率いるロック界では レインボー に並ぶメンバーチェンジバンドキング・クリムゾンのパーソナルなメンバーが続き、 最も人気の高かった時期の一部 新録音を加えながら、ライブ音源を素材として制作された問題作からのオープニングナンバーですポリリズム と呼ばれる 複数の拍子が混在した複雑なリズムの楽曲を元イエスのドラマー ビル・ブラッフォード (又は ブルーフォード)が独特の切り口で様々な楽器が奏でるリズムの中で 見事に成立するドラミングを披露しておりますグルーブよりも太鼓の鳴りに重きを置いている印象がありハイピッチなスネア音にリムショットを加えるなど個性的で存在感のあるドラミングが魅力のドラマーでもありますこの複雑ながらドライで簡潔なパターンを考案したブラッフォードも凄いですがこのベースパターンを奏でながら唄うジョン・ウェットンも凄かったりしますw△▼ △▼ △▼UK - The Only Thing She Needs (1979)UK - ジ・オンリー・シング・シー・ニーズDrums : Terry Bozzio収録アルバム 『デンジャー・マネー』Drums : Terry Bozzio (画像参照:Wikimedia)ベース・ボーカルの 元キング・クリムゾン の ジョン・ウェットン率いる UKのDrumsのビル・ブラッフォードが脱退した後フランク・ザッパ・バンドに在籍していた 超技巧派ドラマーのテリー・ボジオ を迎えトリオ編成として再起動したアルバムからの パワフルなナンバーですまるで戦闘機のコックピットの様に 膨大なタム、シンバル類で周りを取り囲む様に組まれたドラムセットを(※トップ写真)常人の域を超えたスティック捌きでパワフルに叩き付けるプレイが魅力のドラマーで特に 両手両足を同じ様に操る事でも有名で正確無比ながらロック・ドラムらしい重い粘りのあるビートを叩くのが特徴で日本でも非常に人気の高いドラマーの一人でもあります△▼ △▼ △▼GENESIS- In That Quiet Earth / Afterglow (1976)ジェネシス - ...イン・ザット・クワイエット・アース/アフターグロウDrums、Vocals:Phil Collins収録アルバム 『静寂の嵐』Drums、Vocals:Phil Collins (画像参照:Wikimedia)80年代にポップ・スターとしてブレイクしたDramsの フィル・コリンズ がメンバーのジェネシスから70年代当時の中心人物だった ピーター・ガブリエルが脱退して危機的状況中制作され起死回生となった前作に続く会心の一作となったアルバムからの本曲は、プログレらしい幻想的でめくるめく曲調のナンバーです暗雲立ち込め小雨降る情景から ドラムロールが立ち上がり奇跡の恵みの雨が 滝のように大地にたたきつけるかの凄まじいドラミングをバックに、優雅なテーマが異次元空間へと誘う様なアクロバティックな演奏を堪能できますフィル・コリンズは バスドラムを一度で2連打する ダブルアクションに片手でシンバルを細かく弾きもう一方の手はスネアドラムを ドラムロールをキープしながら2発入れるというロックドラムの域を軽く凌駕した離れ業を披露しております先程のブラッフォードとドラミングのスタイルが似ていた時期がありキングクリムゾン解散後の一時期 ブラッフォードがライブのサポートドラムをしていた事がありましたその後お互いのスタイルは大きく変わりブラッフォードの興味が スタイルと音色に向かった事に対してフィル・コリンズはソウル、ブラック・ミュージックなどのグルーブに向かった事からフィルは 大ヒットを連発する大スターとなりブラッフォードは カルト的なカリスマミュージシャンとして名が通る存在になります現在は残念ながら二人共音樂界から引退をしておりプログレ・ロック・ドラムの両翼とも言うべき存在を 一度に失なう様な状況にロックファンからの惜しむ声が 未だ止む事はありませんその後様々な若手の名手を生み出し話題の尽きない音楽シーンではありますがフィル・コリンズを始めとするスター・ミュージシャンが各方面に影響を与え 音楽界に残した功績は誰も越える事が出来無い、計り知れないものがあったと言えるのでは無いでしょうか△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。梅雨のジメジメ感を変な意味で吹き飛ばすアウェイ感がヒシヒシと伝わる更新でしたwさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。■■■■■■■■■■■■■楽天市場■■■■■■■■■■■■■■■【輸入盤CD】Rush / Power Windows (ラッシュ)価格:1790円(税込、送料別) (2022/12/19時点)【書籍】ラッシュ その軌跡と栄光価格:2530円(税込、送料無料) (2022/12/19時点)【CD】暗黒の世界 SHM-CDエディション [ キング・クリムゾン ]価格:3300円(税込、送料無料) (2022/12/19時点)【CD】デンジャー・マネー +1 [ U.K. ]価格:1597円(税込、送料無料) (2022/12/19時点)楽譜マスターズ・オブ・ドラムス(CD付) スーパー・ドラマーから学ぶ価格:4180円(税込、送料無料) (2022/12/19時点)【CD】ジェネシス Genesis - Wind & Wuthering 【輸入盤】価格:4028円(税込、送料無料) (2022/12/19時点)
2014年06月22日
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Chris Squire (Wikipedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第17回【初級編】『ベースが目立つプログレ』さて今回も 暖かくなったと思ったら 寒さがぶり返すかのありがた迷惑 では無く 只々迷惑の メガ迷惑な 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第17回をお送りします今回はプログレの特徴的なサウンドを支える一要素の『ベース』 を取り上げて代表される楽曲をご紹介したいと思いますロック好きなリスナーが プログレを聴いた時にまず最初に印象に残るのは多彩な楽器音の中にあって 常に沈みがちな存在だった ベース が楽曲の中で縦横無尽にフレーズを動かし クッキリと輪郭を残したまるでクラビネットの様な高音を強調した音色で突出したプレイをしている所でしょう思うに一般的にイメージする音楽の姿とは建築に例えた建造物のような 地盤のしっかりとした構造を安定した状態と捉える所にあり常に音楽の根底にあって 山のように動かないイメージのあるベースが前面に押し出されて 突出したプレイを見せるプログレにおいてはそれら安定感が崩れた状態を思い起こされる所からとりわけプログレが 一般的においても世紀末的世界観のイメージが印象づけられるのもそれまでのロックが行って来た従来の音楽的アプローチとは異なった映像的な切り口からの創作にあるからと言えるでしょうそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼YES - Roundabout (1971)イエス - ラウンドアバウトBass:クリス・スクワイアChris Squire (Wikipedia)『ロック界の鳩』 こと ボーカリストの ジョン・アンダーソン 率いる イエスにキーボーディストの リック・ウェイクマン が新加入し新体制にして最強布陣となった黄金期の世界的ヒット作からの イエスの代名詞となったナンバーです 最近ではTVアニメ 『ジョジョの奇妙な冒険』 のエンディング・テーマ曲 に使用された事でも話題になりましたそれまでのロックを大きく覆す 複雑な構成が特徴の曲ですがこの曲で 最も耳に残るのは クリス・スクワイア が弾く特徴的なベース音と そのフレーズですプログレのベースと言えば この音 という程それまでは音楽の低音を支える影の立役者というイメージが大きかったベースをクリスのトレードマークとなったリッケンバッカー製ベース奏でられるフレーズの一つ一つがはっきりと聴き取れる様な高音を強調しブーストした割れた個性的な音色で細かいフレーズで構成された印象に残る独創的なベースラインを楽曲のボトムから前面に押し出したプレイで楽曲の「ダイナミズム」から「グルーブ」果ては「イメージ」まで左右させる中心的存在となるスタイルを確立させロックに於けるベースの価値観を一新させましたそれによって底辺を支えどっしりとした「ピラミッド型」サウンドだったロックミュージックを「球形型」のボサノバサウンド的浮遊感で成り立たせ「プログレッシブロック」の様々な音楽を「融合」させるスタイルから「共存」させる姿勢に「進化」させて唯一無二な音楽を確立させますその一方で、「イエス」のサウンドが同じカテゴリーの様々なバンドが取り込んで消化できる程に構造的にシステム化された「洗練」されたもので出来ている事から「イエス」がプログレの「代表格」でプログレサウンドの「発信者」でもある側面を持った存在である事を意味していると言えます同時に、誰も真似ができない程のあらゆる音楽を吸収する柔軟な姿勢を持った巨大な「器」を持ちその膨大な音楽的情報を仕分けする詳細な「目利き」の能力を持つそんなメンバーが集まり演奏する事で自然と「イエス」になるその様な唯一無二の独創的な音楽性が「イエス」であるのでそれがロック界に多大な影響を与える存在となった所以の様に思いました△▼ △▼ △▼Rush - Freewill (1980)ラッシュ - 自由意志Bass、Vocals:ゲディー・リーGeddy Lee (Wikipedia)来日を果たしていない最後の大物と言われる カナダのロックバンドラッシュのプログレッシブ・ロックのアプローチをしていた時期のヒット作からの代表曲ですベースの ゲディー・リー はボーカリストでもありギター、ベース、ドラムのトリオ編成で キーボードの演奏までライブで再現する1人3役をこなす 超技巧派として名の通ったミュージシャンです本曲でのギターソロパートでは殆どベースソロの様なプレイをしておりそこにドラムのニール・パートも参戦して火花を散らしながらの三つ巴のソロバトルと化した演奏が堪能できもはやZ世代と言えど、ソロ飛ばし不能なパートとなっておりますw「ラッシュ」のその時代時代の音楽を吸収しながらバンドサウンドを返還させ「ジャンル」すら変化させてきた姿勢はともすれば節操が無いと捉えられるかもしれませんが根底にある ラッシュ ならではの独特な 音楽性はデビュー以来変化しておらず何かを表現するために 音楽を演るだけではなく音楽を演るための表現者として 自分の興味には貪欲である姿勢がラッシュ がロック界でも 極めてユニークな唯一無二の存在と言える理由なのだと言えます△▼ △▼ △▼Emerson Lake & Palmer - The Endless Enigma Part1 (1972)エマーソン、レイク&パーマー - 永遠の謎 パート1Bass、Vocals:グレッグ・レイクGreg Lake (Wikipedia)ロック界最強トリオの呼び声高い 日本でも人気の高いキーボーディストのキース・エマーソン率いる EL&P こと エマーソン・レイク・アンド・パーマーのジャズ、クラシックを前面に押し出した問題作からの オープニングナンバーです同時期に存在したブルースベースの多くのロックバンドとは完全に一線を画したEL&P ならではの 全編に張り詰めた緊張感と 圧倒的な深みで演奏される壮大な楽曲作りは 多方面に影響を与えましたボーカルの グレッグ・レイク は ベース、ギターをこなす才人でEL&P 特有のサウンドの深みはレイクの持つ フォークの叙情性に寄る所が大きい様に思われます従って本曲での「ベース」が目立つ存在感とは高度なプレイにあるのでは無く音を聞いただけで演奏者が分かる程のグレッグ・レイクの存在そのものが具現化した演奏そのものにあると言えます本曲でも レイクのもう一つの持ち味である 攻撃的なベースプレイが楽曲にナイフの様な鋭さを持たせる殺気に満ちた緊張感をもたらしています△▼ △▼ △▼Asia - Only Time Will Tell (1982)エイジア - 時へのロマンBass、Vocals:ジョン・ウェットンJohn Wetton (Wikipedia)80年代には ツインギターで装いも新たに新生キング・クリムゾンが復活し最新のサウンドに身を包み 全米ヒットを獲得した イエスが再登場し新たなPを加えた最強布陣で現れた エマーソン・レイク&パウエル など大物プログレバンドの再結成が目立ちましたがこれらビッグバンドに所属していた メンバーだったベース・ボーカルに『キング・クリムゾン』 の ジョン・ウェットンギターに『イエス』 の スティーブ・ハウドラムに『エマーソン・レイク&パーマー』 の カール・パーマキーボードに『イエス』 の ジェフ・ダウンズら、錚々たる面々が一同に介し奇跡のデビューを果たした 超話題作からの 全米大ヒットナンバーですバンドがライブで演奏する所を流すのが定番のPVもメンバーがブラウン管の向こうに居る 遠い存在を強調したバンド結成が既に レジェンド と言わんばかりのスペシャル感満載な演出がなされており壮大な楽曲をバックに 床運動をする女性アスリートをイメージしたスローモーションの映像を加えてそれまでの土臭いイメージのあったロックとは全く違う洗練性をアピールしたのが成功して全米大ヒットの大成功を迎えたデビューとなりました日本でもバンドのデビュー時は全てが話題性に溢れセンセーショナルな印象がありましたが特に音楽ファンが注目したのは舞台セット後方高台の全面を覆うほどに据えられた膨大なキーボード郡を操り右に左に移動しながらアクティブに演奏するジェフリー・ダウンズの勇姿と当時としては先進的なDTMシステムとして開発され実際の音をサンプリングしたものを波形合成するためのモニターを有し正に「未知の音」を構築できる画期的なシンセサイザーとして登場した総額で1千万円もの価格を誇る高額なキーボードシステム「フェアライトCMI」の楽器を超えたまるでコンピューターの様なビジュアルにありましたどちらもこれまでのロックミュージックには無いという意味ではコンピューターに人間が管理され取り込まれる恐怖の未来が「テクノミュージック」に表れていた事とは異なった懐かし目のポップなメロディーを最新のテクノロジーで演奏してコンピューターとロックの共存を感じさせた「未知の未来」を思わせる壮大でハイブリッドなSFファンタジー的サウンドが「エイジア」の成功に繋がった様に思われましたFairlight CMI(画像参照: wikimedia)ボーカル、ベースの ジョン・ウェットン はキング・クリムゾン在籍時から ベースにファズをかけ歪ませた巨大音で楽曲を 縦横無尽に駆け巡るテクニカルなプレイが様々なアーティストに影響を与えた人物でソングライターとしても優秀でポップなメロディーラインと骨太ないぶし銀ロックサウンドを持ち味とした日本でも絶大な人気のあるアーティストでした△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。菜の花が咲く 爽やかな春先に 不釣り合いなプログレなど何で出すか という空気が ヒシヒシと伝わって来る確信犯的な執筆となりました(爆)さて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【電子書籍】どうしてプログレを好きになってしまったんだろう[ 市川哲史 ]価格:1980円 (2023/2/13時点)【書籍】いとしの21馬鹿たちどうしてプログレを好きになってしまったんだろう第二番 [ 市川哲史 ]価格:1980円(税込、送料無料) (2023/2/13時点)【電子書籍】プログレッシヴ・ロックの名盤100[ 立川芳雄 ]価格:1650円 (2023/2/13時点)【CD】こわれもの[イエス]【スティーヴン・ウィルソン・リミックス】価格:2472円(税込、送料無料) (2023/2/13時点)【輸入盤CD】Rush / Permanent Waves(40th Anniversary) 価格:3190円(税込、送料別) (2023/2/13時点)【輸入盤CD】Emerson, Lake & Palmer - Trilogy 価格:3374円(税込、送料無料) (2023/2/13時点)【CD】詠時感(エイジア)~時へのロマン~ +1 [ エイジア ]価格:2850円(税込、送料無料) (2023/2/13時点)
2014年03月05日
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David Gilmour (画像参照:Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第16回【初級編】『再結成・新体制のプログレ』さて今回も まだまだ寒い日が続く冬に何でコレを出すかなあ・・・というヒョウでも降らすかの 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第16回をお送りします今回は一端は解散し 一時代の終焉を目撃したファンたちの前に装いも新たに 80年代の世に復活を果たし時代を大きくリードするまでに変貌を遂げる代表的バンドの 大ヒットした音楽をお送り致しますプログレッシブ・ロック という括りを大きく超え又、探究心旺盛なプログレッシブ・ミュージシャンだからこそ最新の技術を次々と吸収し 新たなサウンドを作り出し最先端の音楽を発信する存在にまで上り詰める巨大な存在になり得たのでしょうそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼YES - Owner Of A Lonely Heart (1983)イエス - ロンリー・ハート収録アルバム『90124』Trevor Rabin (画像参照:Wikimedia)79年の解散後、中心人物の ジョン・アンダーソン が復帰して当時の最新のサウンドとなった 『オーケストラ・ヒット』 を世界的に広めた80年代に復活した新生イエスの世界的大ヒットナンバーです当時はメンバーだった トレバー・ホーン がプロデューサとなり元ラビットの新鋭ギタリストで現在は映画音楽の大家となったトレバー・ラビンを迎えてプログレの雄だった 旧体質のクラシカルなバンドを最新サウンドを全世界に発信する 最先端の音楽を創り出す音楽集団に生まれ変わらせました2000年に入ると スティーブ・ハウ、リック・ウェイクマンの旧イエス組が復帰再び 以前のクラシカルなサウンドに戻り 孤高の存在をアピールしそれまでのイエスのファンには歓迎されましたが結果的には音楽的後退に繋がる事になりました△▼ △▼ △▼Genesis - Invisible Touch (1986)ジェネシス - インビジブル・タッチ収録アルバム『インビジブル・タッチ』Genesis (画像参照:Wikimedia)プログレバンド中最も成功した ジェネシス のキャリア中最大のヒットとなった世界的大ヒット曲ですバンドの中心人物 ピーター・ガブリエル を失い後にメロディーの要だった スティーブ・ハケット まで失うという危機的状況を逆手に取りプログレにこだわらない3人が残った事でバンドをポップ路線に起動を大幅に修正し大作志向から シングル・カット向きの楽曲を制作新たなファンを作っていきますそうして3人体制になった後 ソロ・アルバムを出したフィル・コリンズ のブレイクが追い風となり86年に出した新作は世界的大ヒットに繋がりました△▼ △▼ △▼Emerson, Lake & Powell - Touch and GO (1986)エマーソン、レイク&パウエル - タッチ・アンド・ゴー収録アルバム『タッチ・アンド・ゴー』Keith Emerson (画像参照:Wikimedia)エイジア、イエスの成功を期にプログレバンドの再結成に向けて各レコード会社が動く中当然の様に白羽の矢が立ったのはキース・エマーソンのプロジェクトにグレッグ・レイクを加えてエイジア在籍中にあったカール・パーマーの代わりに人気ロックドラマーだった 故 コージー・パウエル を加えた 新たな『P』でエマーソン、レイク&パウエルとして蘇った 新生EL&Pの世界的なヒット曲です図太いホーン系サウンドが体育会系にマッチし新日本プロレスのテーマとして 『ザ・スコア』 が使用されるなど日本でもおなじみのバンドでもあります当時エマーソンもレイクも 慎ましいソロ・プロジェクトを希望していたのをレコード会社が難色を示し再結成を進めた事によって いつしかプロジェクトは巨大化メンバーが望まない様な巨大な世界的ツアーがスタートしますセカンドアルバムの予算までつぎ込んだツアーは大儲け所か結果は大赤字となり過去のアーティストを復活させて成功を得るレコード会社の目論んだ錬金術は音楽層を読み切れない近視眼によって幕を閉じるのでしたメンバーは散々な思いでツアー先から自国に戻りコージー・パウエルのポケットには わずか50ドルが残っていたダケだったとか無かったとかw△▼ △▼ △▼King Crimson - Sleepless (1984)キング・クリムゾン - スリープレス収録アルバム『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』Robert Fripp (画像参照:Wikimedia)74年に一端は解散したプログレの雄キング・クリムゾンが80年代にツインギターで装いも新たに新生クリムゾンとして復活本作はジャパン・ツアーも果たした話題作として制作された3枚目のアルバムからのクリムゾンにしては コマーシャルなナンバーですノイジーなギターサウンドが旧クリムゾンの特徴でしたが新生クリムゾンは二本のギターのアルペジオにベースが絡むスタイルを取る複雑な演奏体型の楽曲が特徴でした本作のベースの音は 16分音符で刻まれて聞こえますが実際には8分音符で刻んだ演奏にディレイでエフェクト処理を施したものでこの様に ベースの トニー・レヴィン の 革新的なアイデアとプレイの数々は新生クリムゾンの 核となる重要な要素となっていました△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Learning To Fly (1987)ピンク・フロイド - 幻の翼David Gilmour (画像参照:Wikimedia)プログレの代名詞のバンド ピンク・フロイドの再結成後のアルバムからの シングルヒット曲ですザ・ウォールから構築された硬質なフロイド・サウンドとは趣を変え80年代のエンジニアリングを駆使した当時の最新サウンドで楽曲を制作し最新技術を使用し光と音の巨大空間を創り出したステージは世界的なバンドという位置付けを アピールしましたコアなフロイドファンからしてみれば中心人物だった ロジャー・ウォーターズ の居ないフロイドはフロイドにあらずと賛否両論な再結成だったり後に、ロジャー・ウォーターズ 自身からの バンド名義についての訴訟など問題もありましたがバンドはツアーを含めて大成功を収めました△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。プログレなどさして関心も無い空気がヒシヒシと伝わって来る様な執筆となったのはいつもの事でしたwさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。この記事の『楽天プロフィール』のつぶやきは >>こちら
2014年01月28日
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Pink Floyd (Wikipedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第15回【中級編】秋の夜長の大作特集5Pink Floyd『Shine On You Crazy Diamond』(1975)さて今回も 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』 特集 第15回 【中級編】大作特集 その5 をお送りします大作特集 最終回になる今回はプログレの代名詞 ピンク・フロイド の 『クレイジー・ダイヤモンド』 をご紹介します△▼ △▼ △▼Pink FloydShine On You Crazy Diamond (1975)ピンク・フロイド - 狂ったダイヤモンド10分39秒収録アルバム『炎』(画像参照:Wikimedia)● ロジャー・ウォーターズ – Bass, Vocals● デビッド・ギルモア – Guitar, Vocals● ニック・メイソン – Drums● リック・ライト - Keybord, Vocals本曲はプログレッシブ・ロックの括りとなる音楽としてはマニア向けのアクロバティックで難解な演奏が無い一般リスナーに取っても聴きやすく作られており中期以降のピンク・フロイド最大の特徴でもあるアレンジ次第では充分3分の曲に纏まる造りを持つ良質なポップスという側面を持った楽曲でそれでいて外連味がありながらも特別な何かを感じさせる非常にエモーショナルな響きを持ったフロイドサウンドを代表する楽曲ですプログレとしては聴きやすい聴感を持った楽曲ですがテーマが現れるまでの前奏が非常に長く又、テーマが始まっても唄が登場するまでの演奏が長い為人によっては「くどい」と感じさせるかも知れませんがこの「登場」までの「演出」と曲全体を覆う揺蕩う様な「まったり」とした聴感と聴きやすさを含めた全てがピンク・フロイド音楽の骨頂だと言えますこれは音楽を単なる流行歌としてでは無くあるコンセプトに基いて、時には物語を交えて曲作りを行い「ストーリ」としてでは無く「ドラマ」そのものとして捉え人の五感に訴える有機的な音楽的体験としての楽曲を制作するという独特の着眼点によるものでありピンク・フロイド最大の特徴だと思われます特にデビッド・ギルモアのけだるい印象を持つギターサウンドと忍び寄る様なリズムを刻むニック・メイソンのドラムに加えて深い陰りを持つボーカルを際立たせるリチャード・ライトのキーボードがフロイドサウンドの中核となりロジャー・ウォーターズの叙情性と狂気を併せ持つ作家性が相まってピンク・フロイドの唯一無二と言われるサウンドが生まれる所にも大きな特徴があると思われます又、通常プログレッシブ・ロックと聞けばテクニカルな演奏が頭に浮かぶ所ですがその様な演奏を駆使した楽曲は無くよく聞けばギルモアのギターもブルース系のフレーズを多用した一般的なギタリストと変わらないプレイで殊更テクニックに於いて群を抜いて秀でている訳では無くても「あの雰囲気」という言葉で語られる程音楽そのものに大きな特徴がありそれ故にギターサウンド一つ取ってみてもブルースであってブルースとは異なる別の何かに聴こえる所にフロイド音楽の魅力があるのだと言えます△▼ △▼ △▼さて、この作品は 元メンバーでかつての中心人物だったシド・バレットに捧げたものと言われておりますがこれは前作『狂気』の世界的ヒットにより 得た 巨大な 地位と名誉と財産がこれまでの自分達の生活や 人生感までも変えてしまった事と『狂気』という大傑作を生み出して創作活動における頂点を極めてしまった事により次作へのプレッシャーが大きくなった事でロジャー・ウォーターズが語る通り結果『何も作り出せない』という事を表現したのがアルバムの内容となったという所に頂点を極めると同時に失ってしまった大切な何かをシド・バレットに重ねて新しいものを皆で作る「覇気」と長年築いてきた「信頼」に加えて皆の間にあった「友情」をいつの間にか見失ってしまったという意味が込められた作品になったとも取れるものがありますシドを中心人物としたフロイドがサイケデリック・ロックの騎手であった事で精神世界に深く関わるあまり心を病んでしまったシドがバンドを去るしか無かった様にシドが去った後のロジャー体制でのフロイドが建築的な楽曲作りを目指した事で最終的にはピラミッド的建設の頂点を極めながらそれ以上の上が目指せ無くなり目的を見失い後にロジャーがバンドを去る事になるというその様に目指す事が常に先が無い「別れ」が定められた中での創作活動故に悲しくも危ういまでの刹那な煌めきに満ちた「あの音」へと昇華されそうしてピンク・フロイドの音楽が生まれるのであればそんな魔力を持った音楽に私達は魅了されてしまう・・・という事なのでしょうPink Floyd - Wish You Where Here (1975)ピンク・フロイド - あなたがここにいてほしい(画像参照:Wikimedia)「炎」に収録されたライブでの人気曲でもあるこの曲は古いタイプのラジオのスピーカーから流れてくるギターに合わせて合いの手でソロを入れるという愉しかった昔を懐かしむ様な失った過去を振り返る様な自分の部屋でのひと時を切り出した演出が斬新なデビッド・ギルモア作の フォーク・ソングタイプのバラードです非常にメランコリックな内容のメッセージソングですが洗礼されたコンテンポラリー曲の様にも聴こえる所が人気曲となった理由の一つと思われますさて、ここで恒例となった全く興味の無い事は承知の上で今回もバンドの人事遍歴をご紹介しますピンク・フロイドの場合は他のバンドと違って不動の黄金カルテットというイメージがありますがシド脱退後も、ロジャー脱退以前からも、微妙な人事移動がありました第一期: 1967-1968 『夜明けの口笛吹き』● シド・バレット (Gu、Vocals)● ロジャー・ウォーターズ (Bass、Vocals)● リチャード・ライト (Keybord、Vocals)● ニック・メイスン (Drums)元々の中心人物だった シド・バレット はこの時すでに イギリスの音楽界では時代の寵児として名前が広まり 様々なアーティスト達とも 交流のある若くして大スターと言える存在でしたしかし、ドラッグの過剰な摂取と 成功がもたらしたストレスとでだんだん 精神に問題を抱える様に なって行きます第二期: 1968 『神秘』● シド・バレット ---≫脱退---≫失踪---≫死去 1946-2006● ロジャー・ウォーターズ● リチャード・ライト● ニック・メイスン(加入)デヴィッド・ギルモア (Guitar、Vocals)シドの奇行が目立つ様になって、演奏活動に 支障を来す様になった頃旧友だった ギタリストの デビッド・ギルモアを加入させシドのパートを補う方針を取りますがもはや 作曲すら 担当出来ない程に シドの病状は悪化しそれが元で シドは脱退してしまいます第三期: 1968-1979 『モア』〜『ザ・ウォール』● ロジャー・ウォーターズ● リチャード・ライト---≫脱退---≫サポートメンバー---≫後に復帰● ニック・メイスン● デヴィッド・ギルモア中心人物を失ったフロイドはこれまでの 即興演奏中心のサイケデリック・ロックサウンドを捨て音楽を緻密に構築する 楽曲作りへと 大幅な方向転換をして行きますそうして作られた12分のタイトル曲を含んだ 『神秘』 は直感力では無く 建築的な見地によって作られた 大作でしたこの新たなフロイドの音楽は各界に評判を呼び、『2001年宇宙の旅』 のスタンリー・キューブリック監督から 音楽のオファーが来る程のものとなりますやがて 1972年 『狂気』 の発表でフロイドはロック界の頂点を極めますしかしその後の ロジャー・ウォーターズ 独裁体制が極まって行く事でメンバー間との亀裂が 徐々に拡がり「炎」以降リチャード・ライトの意見が反映されくなった事でそれまであった「あの」フロイドサウンドが「アニマルズ」以降の作品では聴かれなくなり代わりにロジャーの過激なアジテートサウンドが核となった「ザ・ウォール」発表後 ライトは事実上の脱退となり傑作 『狂気』 を発表するまでに至った 結束は 崩れて行くのでした第四期: 1980-1985 『ファイナル・カット』● ロジャー・ウォーターズ---≫脱退---≫ソロ● ニック・メイスン● デヴィッド・ギルモアロジャー・ウォーターズの独壇場だった 『ザ・ウォール』 の発表後映画版 『ザ・ウォール』 のサントラを制作する予定がニューアルバム制作へスライドした新作アルバムが制作されますが内容はロジャーのソロ・アルバムとも言える内容となりましたリチャード・ライトが呼び戻されないまま 録音は進められるのですがギルモアも ソロが必要なら呼んでくれと ロジャー以外メンバーは制作には非協力的な中で進められて行きますラストの曲にいたっては、セッション・ミュージシャンで録音をしこうして発表されたアルバムを最後に フロイドは解散をします第五期: 1986- 『鬱』 『対』● ニック・メイスン● デヴィッド・ギルモア(復帰) リチャード・ライト ---死去 1943-2008ロジャーが勝手に決めた解散宣言を 訴訟にまで持ち込みギルモア主導で 新作の録音が進められましたその後リチャード・ライトが復帰し 発売されたアルバムは世界的ヒットを記録し来日公演も果たしました2005年には世界的チャリティーコンサート 『ライブ8』 で4人のメンバーが再結成し パフォーマンスを行いますがこのメンバーでの 新作の可能性は2008年9月15日にリチャード・ライトの死去により 永遠に絶たれるのでしたバンドから中心人物を失いながら世界的人気を得るまでになったと聞くとピーター・ガブリエル を失った ジェネシス を連想される方も多いと思いますがどちらかと言えばブライアン・ジョーンズを失った ローリング・ストーンズに立場は似ていたのかもしれません共に バンドの創設者でスターであり正にスターになった事のストレスが原因で病みバンドを去る所も ひどく似ている様に思います巨大な産業である音楽界で スターの座を維持する為には音楽的才能に溢れた天才 というだけでは通用しない程強固な人間的骨格を要求され選ばれた者だけが その座に付く事が許される「雲の上の世界」であり数日でトレンドが変化する世の中に於いて長くその座を維持できない「砂上の楼閣」だと言えますフロイドに限らずこの様なバンド内人事の事情を考えてみる度才能に溢れた若者たちの人生を 一瞬にして変えてしまう程の「魔力」を持っているのが ショー・ビジネスの世界であり精神を病む程にその「魔力」を真正面から捉えて音楽的才能をすり減らしてまでそれを表現しようとした所に若き天才達を惹きつけて止まない何かとフロイド音楽に聴ける「魔力」があると言う事なのでしょうか△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。大作特集 も最終回ですそれでは 又どこかの 大作特集 でお会いしましょうごきげんよう。この記事の 『楽天プロフィール』 のつぶやきは >>こちら
2013年09月24日
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Genesis (Wikipedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第14回【中級編】秋の夜長の大作特集4Genesis『in The Cage medley』さて今回も 永遠の不人気企画『プログレッシブ・ロック』特集 第14回【中級編】その4をお送りします今回はプログレの雄でライブに定評のあるジェネシスの定番ナンバー『イン・ジ・ケイジ メドレー』 をご紹介しますという訳で 今回もお愉しみ下さい△▼ △▼ △▼GENESIS - "In the Cage Medley" (1982)In the Cage - The Cinema Show- The Colony of Slippermen- Afterglowジェネシス - イン・ジ・ケイジ(メドレー) 19分15秒収録アルバム『Three Sides Live』DVD『ライヴ・アット・ウエンブリー・スタジアム』(Wikipedia)● トニー・バンクス – Keyboards● フィル・コリンズ – Vocals, drums, percussion● マイク・ラザフォード – Bass, Guitarライブ・サポートメンバー◯ ダリル・スチューマー – Guitar◯ チェスター・トンプソン – Drums, Percussion■今回は 異なったアルバムの曲を あたかも一曲の様に繋げて演奏したライブ・バンドとして既に欧州で人気の高かったジェネシスの得意とするメドレー形式のライブテイクをお聴き下さい☆1. 幻惑のブロードウェイ から 『イン・ジ・ケイジ』足踏の様なリズムの導入から始まる ピーター・ガブリエル在籍時のジェネシスの代名詞でもある 耽美で演劇的な雰囲気を持つ楽曲です2. 月影の騎士 から 『シネマショウ』唄のパートが終了すると フィル・コリンズがドラムセットへ駆け寄りジェネシスのもう一つの顔である テクニカルな演奏 をフィーチャーしたインストゥルメンタルパートが始まります非常に複雑な変拍子を躍動感たっぷりに演奏するフィル・コリンズ の スリリングなドラムが 聴き所で非常にスピード感のある 高度で複雑な演奏にあり得ないタイミングで ドラム・フィルを切り込んでくる最盛期のフィル・コリンズのキレッキレのドラムを堪能出来ますそして静寂の嵐 から『...イン・ザット・クワイエット・アース』の後半部分をを経由して3. 幻惑のブロードウェイ から 『コロニーオブスリッパーマン』リズムが変わり 再び 幻惑のブロードウェイに戻ります曲はやがて だんだんスローに変化して行き バラード曲へつなげていきます4. 静寂の嵐 から 『アフター・グロウ』アルバム・ヴァージョンは 割りと平坦な印象がありましたがここでは リズムを強調したメリハリの効いたドラマティックな演奏を聴く事が出来ます唄を歌い切ったフィル・コリンズがドラムセットへ再び駆け寄りエンディングの演奏に合流しボーカリストがステージから立ち去るというドラマティックな演出がラストを盛り上げます△▼ △▼ △▼このメドレーが今の形になったのはテクノ全盛期に ジェネシスも テクノっぽく変身した81年発表の意欲作 『アバカブ』 リリースの頃でしたドラムのフィル・コリンズが ブレイク前にYMOの 高橋幸宏 っぽいプレイを取り入れて良く知る ドラム・スタイルになる きっかけとなったジェネシスにとって 重要なアルバムでもありましたGenesis - No Reply At All (1981)ジェネシス - ノー・リプライ・アット・オールPhil Collins (Wikipedia)1981『アバカブ』これまでクラシカルなシンフォニックロックを演奏してきたジェネシスが要となるメンバーの相次ぐ脱退に遭った事をきっかけにメインストリームのトップヒットを意識した音楽活動にシフトし前作『デューク』でのポップなアプローチを更に突き詰め「アース・ウィンド・アンド・ファイアー」のホーンセクションフェニックスホーンをゲストに招いたフィル・コリンズの持ち味のファンキーでポップなナンバーですピーター・ガブリエルの後ろで息を潜めて指示通りにテクニカルなドラムを披露していたドラム職人が中心人物ピーターとメロディーの要のギタリストスティーブ・ハケットを失い第3の人物としてフィル・コリンズを大胆にフィーチャーし『インビジブルタッチ』での成功に導くきっかけとなったヒット・チューンとなりましたさて、ここで例によって、 まったく興味の無い事は承知でバンドの人事遍歴をご紹介します1969年 『創世記』● ピーター・ガブリエル - Vocals/Flute/Perc.● トニーバンクス - Key● マイク・ラザフォード - Bass● アンソニー・フィリップス - Guitar● ジョン・シルバー - Drums ---脱退一回しか聴いた事がありませんがよく出来たフォーク・ロックという印象でまだまだ海とも山とも言えない内容の初期作です1970年『侵入』期● ピーター・ガブリエル - Vocals/Flute/Perc.● トニーバンクス - Key● マイク・ラザフォード - Bass● アンソニー・フィリップス - Guitar ---脱退● ジョン・メイヒュー - Drums ---脱退初期の代表曲でもある『ナイフ』が収録されておりますこの頃からピーター・ガブリエルのアングラ劇的パフォーマンスが評判を呼びジェネシスの名前が欧州に知れ渡ります 1971年~1974年『怪奇骨董音楽箱』~『幻惑のブロードウェイ』期● ピーター・ガブリエル - Vocals/Flute/Perc. ---脱退---ソロ● トニーバンクス - Key● マイク・ラザフォード - Bass● スティーヴ・ハケット- Guitar 加入● フィル・コリンズ - Drums 加入ドラムにフィル・コリンズギターに スティーブ・ハケットが加入してサウンドが プログレッシブ・ロックへと 劇的に変化します中心人物だったピーター・ガブリエルの独裁体制が頂点に達した頃その体制を 誰よりも疑問に思ったピーター本人が脱退を表明しますそれでもピーターの音楽に傾倒していたフィル・コリンズはその後もピーターのソロ・アルバムに参加し『電車男』のテーマ曲で ELO の 『トワイライト』 の冒頭のけたたましいドラムサウンドでお馴染みのドラムの音に深い残響効果をかけ それを途中でバッサリカットする『ゲートリバーブ』を80年のピーターのソロ3作目の一曲目「侵入者」でのドラムプレイでフィル・コリンズが世界的に広める事になります1976年 『トリック・オブ・ザ・テイル』『静寂の嵐』期● トニーバンクス - Key● マイク・ラザフォード - Bass● スティーヴ・ハケット- Guitar ---脱退---ソロ---GTO--―ソロ● フィル・コリンズ - Drums/Vocals中心人物を失った危機的状況の中トニー・バンクスが執念の全作詞を担当しピーター在籍時にも数曲ボーカル曲を披露したフィル・コリンズが正式にリードボーカルに昇格させた新体制で挑んだ新作は『俺が居た時よりも良いじゃん』とピーターに言わしめる程の会心の一作となりましたその後ジェネシスは「ライブ・バンド」として精力的に活動をし欧州での不動の人気を勝ち得ますこの時期、サポートドラマーとして イエスを脱退したビル・ブラッフォードが一時在籍した事でも有名です1978年~1991年『そして3人が残った』~『ウィ・キャント・ダンス』期● トニーバンクス - Key● マイク・ラザフォード - Bass/Guitar● フィル・コリンズ - Drums/Vocals ---脱退---ソロ---復帰---引退やがてメロディーの要だったギタリストのスティーブ・ハケットも脱退し崖っぷちに立たされた3人のメンバーはこれまでジェネシスの屋台骨とも言えるシンフォニック・ロックをあっさりと捨て本格的にフィル・コリンズのポップな音楽性を柱としたポップ・ロックへと大きく方向性を切り替えますそうして82年のフィル・コリンズのスマッシュヒットとなった『恋はあせらず』の流れに乗り83年に制作された『ジェネシス』は『ザッツ・オール』の全米大ヒットを輩出続く86年『インビジブル・タッチ』で全米1位の世界的大ヒットに繋げますこの時期から プログレサウンドは薄れて行きフィル・コリンズ主導によるファンク・ミュージックベースのポップサウンドが表面化して行きフィル・コリンズのソロでの成功がそのままジェネシスの世界的な成功へと繋がって行く流れを生みます後に脱退しアクシデントからドラマー生命を絶たれ音楽界を引退するとは思えない程三人体制のジェネシスとなった後は世界で最も忙しい男とまで呼ばれ精力的な活躍を続けるのでした1997年『コーリング・オール・ステーションズ』期● トニーバンクス - Key● マイク・ラザフォード - Bass/Guitar● レイ・ウィルソン - Vocals ---加入---脱退フィル・コリンズが去り残された二人は無名のボーカリスト レイ・ウィルソン を加え、バンドというよりは、ユニット色の濃いラストアルバムを制作しますリリース当時は違和感を感じる程のダークなサウンドがジェネシスの正史から外れた様な出来となった印象がありましたがレイ・ウィルソンのボーカルはピーターやフィル・コリンズに通ずる所があったのでその方向からのジェネシスサウンドの構築を目指したと思われ『コンゴ』のスマッシュヒットを出しながらも結果「番外編」の様な印象となりアルバムの評価も芳しいものでは無く次の年レイ・ウィルソンの脱退を持って解散となりました前回のキング・クリムゾン同様に メンバーが一人つづ辞めていき『そして3人が残った』 事でも クリムゾンと事情が被ってはいますがよく見ると編成が EL&P と同じなのにも関わらずなぜかそれを指摘するヒトは居ないというユニット色の強いバンドだった事を物語るものがありますプログレ・バンドというのは 人事移動が激しくそれぞれのバンドから脱退した人物を通して交流がある事でも有名ですプログレを演るミュージシャンは 皆、非常に高い音楽性 技術を持っている為度々 音楽的相違で 加入脱退 を繰り返す事から足に地が付かない 根無し草のマニアックな音楽という印象を受けがちですが同時に、人事を通して 音楽を共有して吸収して行く懐の深いジャンルでもあるのだと思うのでした☆△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか次回は大作特集 最終回にして真打ち登場の『ピンク・フロイド』 をご紹介しますさて 次回は一体何の曲が更新されるでしょうかごきげんよう
2013年09月23日
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Robert Fripp (Wikipedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第13回【中級編】秋の夜長の大作特集3King Crimson『Starless』(1974)さて今回も まだまだ暑い日が続く夏が過ぎようとする秋先に暑さが再びぶり返すかの 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集 第13回 【中級編】 その3 をお送りします今回はプログレの最右翼 キング・クリムゾンの名曲『スターレス』 をご紹介しますなんか怖いタイトルですが めげずに お聴き頂ければ『あれ?これって 昔の歌謡曲じゃん~』 と感じる事と思いますそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼King Crimson - Starless (1974)キング・クリムゾン - スターレス12分16秒収録アルバム『レッド』Robert Fripp (Wikipedia)● ロバート・フリップ - Guitar & Mellotron● ジョン・ウェットン - Bass & Vocal● ビル・ブラッフォード - Drums & Percussionsゲスト● デヴィッド・クロス - Violin● メル・コリンズ - Soprano Sax● イアン・マクドナルド - Alto Sax● ロビン・ミラー - Oboe● マーク・チャリグ - Cornet● リチャードパーマージェイムス - lyrics前回のイエスが善玉 だとしたら コチラは 悪玉 という呼び名が相応しいギターのロバート・フィリップ率いる キング・クリムゾンの第2期クリムゾン解散前のアルバムからラストを飾る 本曲を ご紹介します何はともあれ、鑑賞してみますと分かりますがエイジア の ジョン・ウェットン が唄うメランコリックな陰鬱としたメロディーに真っ暗闇の中に 星が一つ 輝いているような印象のストリングスの音が美しく響く何処かで聴いたような耳に残るメロディーの音楽の様に感じるかもしれませんこれが発表された70年代の日本の音楽界は音楽に対しての認識がまだまだ浅く洋楽でヒット曲があれば直ぐ様日本の音楽に取り入れ時には「パクリ」すら当たり前な風潮だった事でマイナー調の流行歌がヒットしていた日本の歌謡界にはこの「演歌調」とも言える本曲は日本人の感性にピッタリな所があり本曲の要素は様々な形で日本の音楽の中に還元されて行ったと言えますという訳で、曲調が「暗い」という事を除けば、前回紹介した イエスや ELP と比べて日本人には馴染み安い音楽と言えるのかもしれません■さて、本曲は大きく分けると 4つのパートで構成されており■1. 唄 がメインの バラードパート■2. ギターがパターンを繰り返して徐々に盛り上がっていくインストゥルメンタル・パート■3. 激しいベースパターンをバックにホーン・セクションがジャズ系のアドリブ展開のインター・プレイ・パート■4. 怒涛のクライマックス の エンディングパートで出来ています本曲は前作『暗黒の世界』の時にジョン・ウェットンが作った楽曲でフィリップとブラッフォードが嫌った事で一旦は収録が流れましたが『レッド』制作時に再三に渡る歌詞の変更とブラッフォード考案のインストパートを加えて12分の演奏時間の大作となって復活します本アルバムでクリムゾンが解散となる事に加えて折しもプログレッシブ・ロックがニュー・ウェイヴのムーブメントによって下火となる時期と重なった事からも本曲の暗く叙情的な印象は図らずも消えゆくプログレッシブ・ロックへの「鎮魂歌」という様相を呈するものとなりました。今までのクリムゾンなら曲名の次に 『インクルーディング』 と入れてそれぞれのパートに 名前を付けエピタフincluding (a)理由なき行進 (b)明日又明日クリムゾン・キングの宮殿including (a)帰って来た魔女 (b)あやつり人形の踊りという様になんとも仰々しいプログレ的な感じで曲の内訳をする所ですがこの表記はリーダーのロバート・フィリップが考案したものでそういう特別感を出すための演出の他にアルバム収録曲数も契約に入っていた当時のレコード契約をクリアする為の苦肉の策としてこうして細かく曲を分けて「誤魔化した」というのが本当の理由だったそうです今回それをしていないのは、これまでの実績となが~い曲がロックファンに浸透したからという事でしょう△▼ △▼ △▼このアルバムには他にも 印象的でラウドな表題曲が収録されておりますKing Crimson - Red (1974)キング・クリムゾン - レッド(Wikipedia)バンドがレッドゾーンに入って存続不能寸前という非常に緊張感ある演奏が全てを物語っている様なナンバーで一部では「余力で作られたメタルナンバー」と揶揄されながらこの時期のクリムゾンが到達した荒々しさの中に構成美を感じる非常に完成度の高いナンバーだと言えます■ではここで例によって、まったく興味の無い事を承知で稀代のメンバー・チェンジ・バンドとしてはあの「レインボー」と肩を並べるバンドの人事遍歴をご紹介します第1期 1作目19681968『クリムゾン・キングの宮殿』メンバー●ロバート・フィリップ (Guitar)●グレッグ・レイク (Vocal & Bass)●イアン・マクドナルド (Keyboard, Saxphone, Mellotron, Woodwind & Backing)●マイケル・ジャイルズ (Drums, percussion & Backing Vocal)●ピート・シンフィールド (Words and illumination, lyrics)以前紹介しましたEL&Pのグレッグ・レイクが在籍したクリムゾンの歴史中、最初の黄金期のラインナップとなりますマルチミュージシャンのイアン・マクドナルドの存在感をアピールしたかったのかレコードの表記にメンバーの使用楽器がやたら記入されるのがこのバンドの特徴でした最後に書かれたピート・シンフィールドはバンドの作詞家で通常ならメンバー表記はしないのですがライブにも同行して照明を担当し曲に合わせた「ライトショウ」を演出する事から「illumination」という謎めいた表記で楽器を演奏しないメンバーとして名を連ねておりますこの様なメンバー紹介一つ取ってみてもあのビートルズの『アビーロード』をチャートから引きずり下ろしたという触れ込みで他のバンドとは別格を演出する様な歴史に残るアルバムを制作したバンドゆえの「プログレ的」アプローチだったと言えます。第1期 2作目 19701970『ポセイドンのめざめ』●ロバート・フリップ - ギター、メロトロン●グレッグ・レイク - ボーカル●ゴードン・ハスケル - ボーカル●メル・コリンズ - サックス、フルート●マイケル・ジャイルズ - ドラムス●ピーター・ジャイルズ - ベース●キース・ティペット - ピアノ●ピート・シンフィールド - 作詞本作は「第1期」としておりますが実際には2作目の「ポセイドン」制作前にロバート・フィリップ、ピート・シンフィールド以外メンバーは脱退しているので、本来なら本作のメンバーは2期のラインナップと言うべき所を便宜上 フィリップとシンフィールド在籍時を第一期としておりますのであしからず・・・新たにキャメルのサックス奏者だったメル・コリンズボーカルにゴードン・ハスケルを起用しておりますが既に脱退したイアン・マクドナルド作の楽曲やグレッグ・レイク、マイケル・ジャイルズの参加により前作のサウンドを踏襲した内容となりましたこの時ロバート・フィリップの頭にあったのは世間が望むクリムゾンサウンドの再現であり前作とかぶる様な内容を敢えて狙った様なその為の「セッション」という性質が強いアルバムでもありましたその為ロイヤリティーの問題でボーカルのゴードン・ハスケルと後に軽く揉める事にもなるのでした第1期 3作目 1970年1970『リザード』メンバー●ロバート・フリップ (Gu)●メル・コリンズ (Sax、Flute) 加入●ゴードン・ハスケル (Vocal & Bass) セッション?---脱退●アンディ・マカロック (Dr) 加入---脱退●ピート・シンフィールド (illumination, lyrics)ゲスト●ジョン・アンダーソン(イエス) (Vo)●キース・ティペット - ピアノ、エレクトリックピアノ●マーク・チャリグ - コルネット●ニック・エヴァンス - トロンボーン●ロビン・ミラー - オーボエ、コーラングレリーダーのロバート・フィリップとピート・シンフィールド以外は全員脱退した事で新メンバーを募り「ポセイドン」で既にメンバーだったメル・コリンズ、ゴードン・ハスケルに加え前のバンドとの契約で前回合流出来なかったアンディ・マカロックが正式参加となった他前回も参加した前衛ピアニストのキース・ティペットに加えてキース・ティペットバンドのホーンセクションの参加によりメル・コリンズをフィーチャーしたホーン系ジャズ・ロックな面が大きくなります又イエスのジョン・アンダーソンの参加はロバート・フィリップがイエスに誘われた事をきっかけに実現したとされております割りと知られた話ですが、映画版 『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙編』 の挿入歌『ビギニング』 はジョン・アンダーソンが唄う 『リザード』 にそっくりでキング・クリムゾンの影響が当時のアニソンに見られるのも興味深いものがあります第1期 4作目 19711971『アイランズ』●ロバート・フリップ (Gu)●メル・コリンズ (Sax、Flute)---脱退---キャメル●ボズ・バレル (Vocal & Bass) 加入---脱退---バッド・カンパニー●イアン・ウォーレス (Dr) 加入---脱退●ピート・シンフィールド (illumination, lyrics)---脱退●キース・ティペット - ピアノ●マーク・チャリグ - コルネット●ハリー・ミラー - ダブルベース●ロビン・ミラー - オーボエ●ポーリナ・ルーカス - ソプラノ・ボーカル前作『リザード』のツアー前にゴードン・ハスケル、アンディ・マカロックの脱退に遭い急遽ボーカル、ベースのボズ・バレル、ドラムのイアン・ウォーレスを新メンバーに迎えて当初の計画より半年遅れてツアーが決行されます本作はその合間を縫う様に制作された為かワンコードでジャムセッションを重ねたジャズ・ロックサウンドがメインとなり「リザード」同様の大人数でのセッションでありながら肉厚のシンフォニックサウンドは鳴りを潜めて前作までは存在していたクリムゾンサウンドは消失し代わりに隙間を感じる程の緩急の大きなサウンドで巨大なダイナミズムに向かって雪崩落ちていく様なフィリップが言う所の「反動で思いつくままに制作された」と述べる通り激情を叩きつける様なロックサウンドになっている所が大きな特徴と言えますしかし本作のリリース後ピート・シンフィールドが解雇され他のメンバーとの対立からバンドは解散となりフィリップ、シンフィールドのユニットでもあった前期クリムゾンはこれで消滅します第2期 1作目 19731973『太陽と旋律』●ロバート・フリップ (Guitar, Mellotron, Devices & Electric piano)●ジョン・ウェットン (Vocal, Bass & Piano) 加入---UK---エイジア●ビル・ブラッフォード (Drums) 加入---UK---復帰●デヴィッド・クロス (Violin, Viola, Flute) 加入---脱退●ジェイミー・ミューア (Percussions) 加入---脱退---出家!!!契約が残っていた「アイランズ」でのメンバーとのツアーを最期に解散を決めたフィリップでしたが『危機』制作中脱退を決めたイエスのドラマービル・ブラッフォードを引き抜き旧友のジョン・ウェットンをボーカル・ベースに迎えてクリムゾン再結成をしますアルバムごとにメンバーを変えながらもシンフォニックなジャズ・ロックサウンドを継続させてきたクリムゾンでしたがロックでは余り耳にしないバイオリンを導入して「アイランズ」で片鱗を見せた緩急ある即興演奏を発展させた静と動のあるヘビーロックなアプローチで新たなサウンドを拡げて新生クリムゾンを立ち上げますその一作目となった『太陽と戦慄』では構成されたパートを各メンバーでコラージュをする様に楽曲を組み上げる実験的な方法でこれまでに無い全編に緊張感溢れる演奏が聴かれる様になり一般的なキングクリムゾンのイメージとなるサウンドが本作で確立される事になりますがここでパーカッションのジェイミー・ミューアの脱退に遭いその後も一作ごとにメンバーが脱退するクリムゾンの歴史は繰り返されるのでした因みに脱退理由は「仏門入り」という70年代らしい謎めいた理由もプログレ的と言えますw第2期2作目1974『暗黒の世界』続く『暗黒の世界』では、ツアー先で録音されたライブ特有の空気感でのインタープレイを更にスタジオで手を加えて仕上げるハイブリッドな手法で制作された異色作となりましたここでもデヴィッド・クロスの脱退に遭い遂にクリムゾンはトリオとなるのでした第2期 3作目1974『レッド』そして アルバム 『レッド』 では脱退したデヴィッド・クロスに加えメル・コリンズ、イアン・マクドナルドの旧メンバーのゲスト参加で有終の美を飾るかの様にバンドは解散します第3期 1981-1984『ディシプリン』『ビート』『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』● ロバート・フリップ (Guitar)● エイドリアン・ブリュー (GuitarVocal)● トニー・レヴィン (Bass & Stick Bass)● ビル・ブラッフォード (Drums) 復帰しかし、何故か 80年に入って『クリムゾンと名乗るとお金が儲かるから』 という理由でロバート・フィリップはクリムゾンを復活させますここではヘビーロックなアプローチを捨てツインギターで ニューウェーブ系アプローチの 楽曲を制作していきますキング・クリムゾンは誰のプレイにも似ていない唯一無ニ のサウンドを持つバンドであり叙情的なメロディーから ラウドな作品までカバーする天才ミュージシャンロバート・フィリップのユニットでもありロバート・フィリップの独特の感性が時代に投影されたその時代の「暗黒」の面を見る様な今で言う「世界系」で「ダークファンタジー」なサウンドが特徴のバンドだと言えますそれに加えてロバート・フィリップが描くエンタテインメント性を常に考慮しその為には時には人を切る事も辞さない冷徹な面を持つ「商売人」という側面を持つユニークな音楽ユニットでもありますリーダーのロバート・フィリップはヘビーなギターサウンドを演奏しながら学者の様な面持ちの静かな佇まいで終始椅子に座って演奏する所からロックファンの中では「教授」の異名で語られる事があり様々な語録を持ちそのどれもが 難しい単語を多用するという稀代の変人としても通っておりますがインタビューなどを見ておりますと傾倒している事柄なども精神世界を思わせる言動が多いことからエヴァンゲリオンの監督 庵野秀明 と通じる所があり激しくメンバーチェンジを繰り返すのも、音楽性の問題からと言うよりは庵野監督同様に 己を知るという身を削る様な探究心がそうさせる様な印象がありますそうして考えてみますとフィリップの小難しい言葉遣いも「世界系」の世界観を体感させる様にクリムゾンのギタリストを演じて周りを愉しませようとする音楽同様にエンタテイメントを常に考えたゆえのリップサービスの一貫という事なのかもしれません△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。次回は 『ジェネシス』 をご紹介する予定です次回も最後まで鑑賞出来ますでしょうか ごきげんよう。■■■■■■■■■■■■■楽天市場■■■■■■■■■■■■■■■レッド デビュー40周年記念エディション(初回限定盤 CD+DVDオーディオ) [ キング・クリムゾン ]価格:3776円(税込、送料無料) (2020/8/4時点)KING CRIMSON キング・クリムゾン - 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2013年09月21日
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日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第12回【中級編】秋の夜長の大作特集2YESTALK1994さて今回も まだまだ暑い日が続く夏が過ぎようとする秋先に暑さが再びぶり返すかの 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集 第12回 【中級編】 その2 をお送りします今回は秋の夜長に相応しい、プログレッシブ・ロックの真骨頂とも言える再結成後の 通称 『90125イエス』 の超大作曲『エンドレスドリーム』 をご紹介致しますあれ、超大作って これじゃなくて 72年作の 『危機』 じゃないの?という ロック通の方もいらっしゃると思いますがw『危機』 の方は 又改めてという事で・・・今回もとにかく 長い曲で・・・wどこまでお付き合い頂けるか分かりませんがここは騙されたと思って 初 大作曲体験して頂ければこれらの曲が3分ではなくなぜその5倍も長くなければならなかったのか曲調から 感じ取って頂けると思いますつまり代表作の『危機』では無いのは複雑怪奇な演奏では無く比較的 受け入れ安いと思われるコチラの曲を【中級編】としてご用意したという訳です台風の影響が気になる 秋先の天候に気をもむ中適度にクールダウンの効果があるかもしれない これら大作の曲調はその様な中でこそ 理解出来る音楽なのかも しれませんwそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼YES - ENDLESS DREAM (1994)イエスー - エンドレス・ドリーム15分45秒TALK● ジョン・アンダーソン (Vo ボーカル)● トレヴァー・ラビン (Gu ギター、ボーカル、キーボード)● クリス・スクワイア (Ba ベース)● アラン・ホワイト (Dr ドラム)● トニー・ケイ (Key オルガン、キーボード)本曲はロック界の鳩こと 天使の声を持つ ジョン・アンダーソン 率いるイエスの大作『危機』 に次ぐ大作として話題となり近年は映画音楽の大家となった天才ギタリストトレヴァー・ラビン が中心になって制作した アルバムのまるでクラシックの様に格調高く、 ドラマチックで壮大な、感動的なバラード超大作曲です曲は 組曲になっておりまして3部構成になっております1.サイレント・スプリング激しく荒々しい導入から一転してトレヴァー・ラビンのピアノ弾き語りが始まりアカデミックで流麗なピアノの後ジョン・アンダーソンの唄が登場する映画音楽を思わせる様な構成のパートです2.トークその後混沌とした雰囲気の演奏の後メイン・テーマの唄が登場します唄は一旦断ち切れ 揺蕩うような音と激しい展開を経て再びメイン・テーマに戻りジョン・アンダーソンの伸びやかな声が最高潮に達した所で・・・3.エンドレス・ドリーム本題の 『エンドレス・ドリーム』 の掛け声が入り本曲の最大の クライマックスを迎えますやがて スローなコーラスへと展開し曲は若干の余韻を残して 終了していきます 掛け合いと合いの手のコーラスで自ら問題を問いかけ 答えを世界に向けて発信する様な激しく壮大で それでいて浄化される巨大なメッセージ・ソングと言える非常に聴き応えのある 歴史的傑作と言っても良い名曲だと思います△▼ △▼ △▼さて、本アルバムには元スーパートランプのロジャー・ホジッソンとの共作の『ウォールズ』 が収録されてますが、これらの曲は元々は 『ビッグジェネレイター』制作後ボーカルのジョン・アンダーソン脱退後に後任のボーカリストとなる予定だった ホジッソンと共にアルバム作りを進めていた中の楽曲の一つでしたYES - Walls (1994)イエスー - ウォールズ大ヒットアルバムにして 再結成作の『90125』 のラインナップは一時 旧メンバーと合流した事を除けば不動の5人組みとしてやって来た様に見えますが 実際には再結成 2作目の 『ビッグジェネレイター』 制作後ボーカルのジョン・アンダーソンが再結成イエスの仕掛け人 プロデューサーのトレヴァー・ホーン と袂を分かってまで我を貫くトレヴァー・ラビン主体の体制に疑問を感じ脱退しておりますその後 アンダーソンは 旧メンバーのリック・ウェイクマン、スティーブ・ハウ、ビル・ブラッフォードと共に新バンド『 アンダーソン、ブラッフォード、ウェイクマン、ハウ (ABWH)』を結成しトレヴァー・ラビン加入以前のイエス・サウンドへの回帰を目指す様なアルバムを制作しますがその後「90125」組みと合流し8人体制でイエスを再始動することになりアルバム『結晶』をリリースしますこれは歴代メンバーが勢ぞろいとなっただけでは無くベースとボーカル以外ダブルギター、ダブルキーボード、ダブルドラムというロック史上類を見ない「ドゥービー・ブラザーズ」並の大所帯のリユニオンでしたが実態は「90125」残り組と「ABWH」組が別々に制作した楽曲にそれぞれが手を加えただけのリミックス作でこのメンバーで世界ツアーも行われましたが中心人物足るメンバーが何人も居た事で纏まるものも纏まらず結局ハウとブラッフォードとウエイクマンの脱退で元々の「90125」イエスに収まって本アルバムが制作されたという経緯がありましたという訳で最期に「イエス」での人事事情を ザックリと説明しておきましょう【イエスのTPP】Trans Personnel Partnership.環人事連携協定wアルバム(69)『ファースト・アルバム』(70)『時間と言葉』● ジョン・アンダーソン (Vo)● ピーター・バンクス (Gu)---≫後に解雇---≫フラッシュ結成● クリス・スクワイア (Ba)● ビル・ブラッフォード (Dr)● トニー・ケイ (Key)デビュー当初は「クロスビー、スティルス&ナッシュ」の様な唄にサイケデリックミュージックを掛け合わせた様なサウンドでしたが『時間と言葉』リリースでジョン・アンダーソンの澄んだ歌声を生かした欧州ファンタジー的音世界が確立し徐々にイエスサウンドがまとまり始めますアルバム (71)『サード・アルバム』● ジョン・アンダーソン (Vo)● スティーブ・ハウ (Gu)● クリス・スクワイア (Ba)● ビル・ブラッフォード (Dr)● トニー・ケイ (Key)---≫後に脱退---≫バジャー、ディテクティブ他---≫後に復帰スティーブ・ハウの加入により現在知られるイエスサウンドが確立し初のアメリカツアーも行われ世界的に人気も高まって行きますアルバム(71)『こわれもの』(72)『危機』● ジョン・アンダーソン (Vo)● スティーブ・ハウ (Gu)● クリス・スクワイア (Ba)● ビル・ブラッフォード (Dr)(加入)リック・ウェイクマン (Key)人気キーボーディスト リック・ウェイクマンの加入でよりクラシック的アプローチが顕著となりますメンバーの緊張感が最大限にまで高まった事もあり全ての楽曲でメンバーそれぞれの持ち味が生かされた演奏となりこの時期リリースされた2作は名盤として語られる事になりますしかし楽曲への完成度を求めるクオリティーが尋常ではないものになって行くに連れメンバー間の人間関係にも影響してその緊張感に絶えられず『危機』制作後ブラッフォードは脱退してしまいますアルバム(73)『海洋地形学の物語』● ジョン・アンダーソン (Vo)● スティーブ・ハウ (Gu)● クリス・スクワイア (Ba)● リック・ウェイクマン (Key)---≫脱退---≫ソロ---≫後に復帰(加入)アラン・ホワイト (Dr)脱退したブラッフォードに代わりセッションドラマーだったアラン・ホワイトが加入しアメリカツアーが行われますこの時の模様が3枚組ライブアルバム『イエスソングス』としてリリースされるとイエスの長時間楽曲大作志向は益々極まって行きヒンドゥー教からインスパイアされた『海洋地形学の物語』の制作が始まりますがアンダーソンの大作志向と独善的な体制はメンバー間の亀裂を生みバンドへの不満が高まったウェイクマンは脱退してしまいますアルバム (74)『リレイヤー』● ジョン・アンダーソン (Vo)● スティーブ・ハウ (Gu)● クリス・スクワイア (Ba)● アラン・ホワイト (Dr)(加入) パトリック・モラーツ (Key)---≫後に脱退---≫ムーディー・ブルース加入予定だったギリシャのキーボーディスト、ヴァンゲリスが諸事情で駄目になりキース・エマーソンが脱退した「ザ・ナイス」の残りのメンバーが新バンド「レフュジー」で見出したスイス出身のキーボーディストパトリック・モラーツを招いて新作を制作しますこのアルバムのサウンドは綺羅びやかな反面ダークで攻撃的な面が極まりパトリック・モラーツが傾倒するジャズ系ラテン音楽の影響も相まってロックというよりはフュージョン系ミュージックのアプローチが随所に見られるイエスの歴史においても極めて珍しい音楽傾向の演奏の緊張感が最も際立った作品となりましたしかしイエスの持ち味だったシンフォニックなサウンドが鳴りを潜めてアンダーソンの欧州的ファンタジーな調感が冴えなかった事がアルバムへの評価を低いものにしこの一作でモラーツは脱退する事になりますアルバム(77)『究極』(78)『トーマト』● ジョン・アンダーソン (Vo)---≫後に脱退---≫ソロ---≫後に復帰● スティーブ・ハウ (Gu)● クリス・スクワイア (Ba)● アラン・ホワイト (Dr)(復帰) リック・ウェイクマン (Key)---≫後に脱退---≫ソロ2年半振りとなった新作は再びリック・ウェイクマンを迎えての制作となりましたがその実情は各メンバーのソロ活動後にイエスの税金対策で進められた極めてビジネスライクな新作制作でしたそれにも関わらず『究極』はイエス史上最もシンフォニックで綺羅びやかな演奏となったジョン・アンダーソンの澄んだ歌声が映える誰もがイメージする最もイエスらしいサウンドでのリリースとなりました続く『トーマト』は オーケストラ導入や新技術のキーボードを使用するなどメンバーの音楽制作へ向ける意欲の活性する中で制作されましたがそれらはメンバーのソロ活動を視野に入れた音楽的覇気の延長だった為か黄金のラインナップが集まりながら『究極』の時の様なマジックは起こらずメンバー間の関係同様に今一つのサウンドで不調に終わりイエスは再びウェイクマンの脱退と今度は中心人物だったジョン・アンダーソンの脱退に遭う事になりますアルバム(80)『ドラマ』(加入) トレバー・ホーン (Vo)--≫後に脱退---≫プロデューサー● スティーブ・ハウ (Gu)---≫後に脱退---≫エイジア結成● クリス・スクワイア (Ba)● アラン・ホワイト (Dr)(加入) ジェフ・ダウンズ (Key)---≫後に脱退---≫エイジア結成テクノの時代に入りイエスも エレクトロポップの旗手 バグルス のメンバーを加えジョン・アンダーソン不在の穴を埋めようと健闘しますが、本作を最後に イエスは一旦解散しますアルバム(83)『90125』(87)『ビッグジェネレイター』(復帰) ジョン・アンダーソン (Vo)---≫後に脱退---≫ABWH結成(加入) トレヴァー・ラビン (Gu)● クリス・スクワイア (Ba)● アラン・ホワイト (Dr)(復帰) トニー・ケイ (Key)クリス・スクワイアは 新進ギタリスト トレバー・ラビン を見出し旧友トニー・ケイの協力の元『シネマ』 というバンドを 始動させます。 後に ジョン・アンダーソン が加わり 名前を イエス に改め協力をしていたトニー・ケイもメンバーとして復帰を果たします元イエスの トレバー・ホーンがプロデューサーとして名を上げたのもこの作品でこうして イエスは 話題性充分の中 再結成を遂げ『ロンリー・ハート』 などの大ヒット曲を生み出すメインストリームでチャートを賑わせるトップアーティストへと変貌を遂げて行きますしかし、ボーカルのジョン・アンダーソンはトレバー・ラビン 主体の体制に疑問を感じ 後に脱退をしてしまいますアルバム(91)『結晶』(復帰) ジョン・アンダーソン (Vo)(復帰) ビル・ブラッフォード (Dr)---≫後に脱退---≫キング・クリムゾン加入(復帰) スティーブ・ハウ (Gu)---≫後に脱退---≫後にイエス復帰(復帰) リック・ウェイクマン (Key)---≫後に脱退---≫後にイエス復帰● トレヴァー・ラビン (Gu)● クリス・スクワイア (Ba)● アラン・ホワイト (Dr)● トニー・ケイ (Key)脱退組で作られた話題のバンド ABWH と合流し俗に 『8人イエス』 と呼ばれる 大所帯で アルバムを制作しますが実際には 『90125』 組と 『ABWH』 組 の それぞれの作品を収録し数曲の合作を残した以外は、結束力に欠ける 脆弱なバンド体制だった為、ABWH 組は ジョン・アンダーソン を残して 再び脱退してしまいますアルバム(94)『トーク』● ジョン・アンダーソン (Vo)● トレヴァー・ラビン (Gu)---≫後に脱退---≫引退---≫映画音楽作曲家に転身● クリス・スクワイア (Ba)● アラン・ホワイト (Dr)● トニー・ケイ (Key)---≫後に脱退---≫引退そして残ったメンバーで作られた 本作を最後にトレヴァー、トニーが脱退し 90125イエスは 終わりを告げるのでした アルバム(98)『キーズ・トゥ・ア・センション』● ジョン・アンダーソン (Vo)(復帰) スティーブ・ハウ (Gu)● クリス・スクワイア (Ba)● アラン・ホワイト (Dr)(復帰) リック・ウェイクマン (Key)---≫後に脱退---≫ソロそして再び黄金メンバーで再結成し 何と20年を掛けてイエスは環順するのでしたw△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。次回は 『キング・クリムゾン』 を紹介する予定です一体 どんな なが~い曲 が登場するでしょうか(笑) ごきげんよう。【CD】ロンリー・ハート(初回生産限定) [ イエス ]価格:2,286円(税込、送料無料) (2023/4/8時点)【CD】イエス/結晶《完全生産限定盤》 (初回限定) 価格:1,922円(税込、送料別) (2023/4/8時点)
2013年09月20日
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日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第11回【中級編】秋の夜長の大作特集1Emeason Lake & PalmerWORKS1977さて今回も まだまだ暑い日が続く夏が過ぎようとする秋先に暑さが再びぶり返すかの 永遠の不人気企画『プログレッシブ・ロック』特集 第11回【中級編】その1 をお送りします今回は秋の夜長に相応しいプログレッシブ・ロックの真骨頂とも言える超大作 曲をご紹介致します「プログレ」と言えば「長い曲」というイメージがある位イントロをスルーしソロを飛ばし自分の刺さる所のみを享受しそれを音楽鑑賞とする3分余りの時間も許容出来ない世代に取ってはプログレを体験する上で通らなければならない「洗礼」の如くな体験と言えるでしょうその様な方々の日々のサブスク推し活に勤しむ時間に追われる生活の中でどこまでお付き合い頂けるか分かりませんがw今回は数回に分けまして1曲 づつご紹介する事にします今回は EL&P 事エマーソン・レイク・アンド・パーマー の曲をお送り致します■Emerson lake & Plmerさて、これらの曲が3分ではなく なぜその5倍も長くなるのかは類まれな才能ある プログレ・ミュージシャン達が3分に収まりきれない程の 様々なアイデアを次々と生み出し独特の方法論で 纏め上げて行く 稀有な楽曲を誕生させる独創性 にある様に思いますEL&Pの場合は中心人物となったキーボードのキース・エマーソンがロックのカテゴリーで語れない幅広い音楽性を持った日本の坂本龍一の様なオーケストラのスコアもこなす「音楽家」である事と70年代特有の既成の概念からの脱却を目指す風潮が見られた事の一環としてブルースから派生したロックの概念を壊しジャズやクラシックなどの異なるジャンルの要素を加えた新しいサウンドを目指したプログレがEL&Pの目指す音楽性とマッチした事がコンパクト然としたヒット曲の要素を排した超大作な音楽制作へと向かわせたと言えるのかもしれませんという訳で今回も比較的受け入れ安いと思われる曲を ご用意いたしましたのでこれからも台風の影響が気になる 秋先の天候に気をもむ中適度にクールダウンの効果があるかもしれない これら大作の持つ曲調はその様な緊張感ある日常の中でこそ鑑賞出来る音楽なのかもしれませんそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼Emerson, Lake & Palmer - Pirates (1977)エマーソン・レイク・アンド・パーマー - 海賊13分18秒ELP四部作キース・エマーソン : ピアノ、シンセサイザーグレッグ・レイク : ボーカル、ベース、ギターカール・パーマー : ドラム特集1 の本日は『パイレーツ・オブ・カビリアン』 のサントラに使っても違和感の無い様なオーケストラと共演し まるで映画音楽の様な 完璧な仕上がりのもはやロックでもプログレでもないキース・エマーソン作曲の壮大なロマンと力強さを感じる 本曲 をご紹介しますエマーソン自身はこの後 映画音楽制作に乗り出すのですがこれ程大掛かりなオーケストラ作品は 他には無く又、この時期のロック・バンドの オーケストラ共演作にありがちなロックには合わない 不自然で 取って付けたようなバロック音楽を真似ただけの 全く魅力を感じ無い楽曲とは違い壮大なオーケストラ・アレンジながらいつものキース・エマーソンの音が聴こえて来る点が他のロック・バンドと 一線を画する 所だと思います物々しい 分厚いシンセ音から一転して巨大帆船が大海原を突き進む様なストラヴィンスキーかバルトークの様な勇ましいリズムをオーケストラが一斉に刻み戦いと宝探しを繰り広げる 海賊の冒険を描いた雄大なテーマへと繋がって行きます映画音楽がお好きな方でしたら何の問題も無く聴く事が出来る作品としてもオススメなナンバーです本アルバムは アナログ・レコード時代に2枚組みとして発表されそれぞれ 片面づつ メンバーのソロ作品が収められて2枚目のB面に 本曲が収められた作品集でした特筆すべきは エマーソンのサイドで、ドラム、ベースなどのリズム楽器を廃し完全な ピアノ協奏曲として オーケストラ作品を仕上げた所にありますクラシック音楽を 完全に自分のものにしているエマーソンならではの流麗で雄大な それでいて激しい 格調高い音楽に仕上がっています一方で、ELPの代名詞だったハモンド・オルガンを使用していない事でコアなファンからは不満が出る事になった後期 ELP の 問題作としても話題となりました一方、ELPのフォーク面担当の グレッグ・レイクは自分の担当するサイドに シャンソン風の曲にオーケストラアレンジを加えたセラヴィ他数曲の小品のボーカルナンバーを収録しました『 Greg Lake - c'est la vie 』グレッグ・レイク - セラヴィ本曲はグレッグ・レイクらしい マイナー調の作品でキング・クリムゾン時代の曲調を彷彿するナンバーに仕上がっていますその後発表されたアルバム 『作品第2番』 は本作と対をなす作品として、同デザインの 色違いで発表されましたが本作のアウトテイク集の様な 出来で 評判も良くはありませんでした▼△▼△▼△というわけで いかがでしたでしょうか。長い曲が代名詞な プログレの真骨頂を体感いただけましたでしょうか次回は 『YES』 を更新する予定ですそれでは次回まで ごきげんよう。- 関連記事 -洋楽特集 ROCK 編キース・エマーソン映画音楽集Emerson in soundtrack>>コチラから
2013年09月19日
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日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第10回『プログレに聴こえないプログレ』Keith Emerson (Wikimedia)さて今回も まだまだ暑い日が続く夏が過ぎようとする秋先に暑さが再びぶり返すかの 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第10回をお送りします今回は夏の終わりのひと時に あの暑かった海を感じるようなプログレらしからぬ音楽をお送り致しますプログレッシブ・ロック ミュージシャンとて 人の子ですファンにそっぽを向かれようとも 心の向くままに音楽を奏でたくなる時も あるものそんな 一時の気の迷いの様に作られた曲を 今回は選んでみましたそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼ John Wetton - Caught In The Crossfire (1980)ジョン・ウェットン - コート・イン・ザ・クロスファイアー収録アルバム『コート・イン・ザ・クロスファイアー』John Wetton (Wikimedia)『そんなヒロシに だ~まされ~♪』 と誰もが口ずさむようなプログレ・ミュージシャン らしからぬ 活かしたGSサウンドを奏でる元キング・クリムゾン、 エイジア のボーカル、ベーシストの ジョン・ウェットン のソロ・アルバムからの 一曲ですこの頃から ポップスターを目指していたのかプログレ・サウンドの深淵も かすりもしない程の割りと地味ながらよく出来た ポップ・ミュージックのアルバムを制作しております最近もエイジアで来日し、健在ぶりをアピールしベースの職人としての腕と、いぶし銀なボーカルを披露しファンを魅了しました△▼ △▼ △▼Emerson, Lake & Palmer - All I Want With You (1978)エマーソン・レイク・アンド・パーマー - 欲しいのは君だけ収録アルバム『ラヴ・ビーチ』Emerson Lake & Palmer (Wikimedia)プログレ・バンドらしからぬ お気楽なリゾート・サウンドを奏でるのはELPこと エマーソン・レイク・アンド・パーマーの前期のラストアルバムからの 一曲ですメンバーが満面の笑みでポーズするジャケットもなんですがELPらしからぬ ポップサウンドは コアなファンからは大不評を買いますが結局 セールス的には成功した作品となりましたこんなサウンドになった理由は バハマで録音した事が影響していると思いますがそもそも 税金対策としての海外録音として選んだ場所で 他意は無くアルバムも、契約上制作したに過ぎない作品でお気楽なタイトルも 一般公募で決めたものでした解散を決め 創作意欲を失ったメンバーに対して エマーソンはその後も バハマに残り現地のミュージシャンを起用して ソロ・アルバム 『ホンキ-』 などを意欲的に制作しその後も 『インフェルノ』 や 角川アニメ 『幻魔大戦』 などの 映画音楽を担当するなど活躍の場を広げて行きました-関連記事-アニメ映画 『幻魔大戦』 レビュー>>コチラから洋楽特集 ROCK 編キース・エマーソン映画音楽集Emerson in soundtrack>>コチラから△▼ △▼ △▼Marillion - Cannibal Surf Babe (1995)マリリオン - カンニバル・サーフ・ベイブ収録アルバム『Afraid of Sunlight』Marillion (Wikimedia)前回 正統派プログレ・バンドと紹介した誉れ高きサウンドは鳴りを潜めビーチ・ボーイズ をモチーフにした サーフ・ロック・サウンドを奏でるのは中心人物だった ボーカリスト フィッシュ の脱退後 スティーブ・ホガース が加入し心機一転再始動した マリリオン8作目の 傑作アルバムからの楽曲ですコレまでのポップなセンスを取りやめ、複雑なメロディー展開を導入し始めた頃の作品ですが本曲は他の収録曲とはタイプの異なるビーチ・ボーイズを取り込んだ うねる様なグルーブのサウンドで作られています本作は 『ヒーロの光と影』 をテーマに作られたコンセプトアルバムで本曲も ビーチ・ボーイズの中心人物、ブライアン・ウィルソン を語った曲としても興味深い楽曲となりました△▼ △▼ △▼YES - Love will Find the Way (1979)イエス - ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ収録アルバム『ビッグ・ジェネレイター』Trevor Rabin (Wikimedia)プログレの雄とは思えない程 夏の海にマッチしたサウンドを奏でるのはプログレ・バンドとしては 再結成で大幅なサウンド変更を決行し全米チャートを獲得し 大成功を収めた イエスの 大ヒット曲です本曲を作曲したのは スティーブ・ハウに変わって参加した現在は映画音楽の作曲家として 『アルマゲドン』 『ナショナル・トレジャー』などを手がけたギタリストの トレヴァー・ラビン です音楽一家に生まれ アカデミックな教育を受け ピアノを修得しギターは ピアノを習得した要領で覚えたと話す 天才ミュージシャンですステージでは キーボーディストが霞むようなテクニカルでクラシカルなピアノを披露する一場面もありその様なワンマンぶりが理由で メンバーとの摩擦を生む結果に繋がり94年の 『トーク』 を最後に 脱退しました△▼ △▼ △▼Pink Floyd - summer 68 (1970)ピンク・フロイド - サマー68収録アルバム『原子心母』Rick wright (Wikimedia)まあ、最後位は 超メジャーな所で占める事にしましょうwプログレの代名詞のバンドとは思えない 夏の海の夕日を感じるサウンドを奏でるのは今は亡き ピンク・フロイドのメンバー キーボードの リック・ライト が作曲した隠れた名作ですリック・ライトらしい けだるい雰囲気のあるサイケデリックな楽曲ですが作品中 最もポップ色の高い曲でもあります本アルバムは A面がオーケストラとの共演を収録した大作でクラシカルな作品でしたが、それまでの前衛的な作風に比べてB面の小品も合わせると初めてポップ色のあるアルバムを発表した 記念すべき作品と言えました△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。プログレとは最も遠い 夏をイメージする楽曲も こうして聴くと意外とハマっておりますがさして関心も無かった事が ヒシヒシと伝わって来る様な執筆でした(爆)さて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。この記事の『楽天プロフィール』のつぶやきは >>こちら
2013年09月10日
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Alan Parsons (画像参照:Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第9回【初級編】『観た事も聴いた事も無いプログレ』さて今回も夏の爆弾低気圧の如く スルーの嵐必須記事 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』 特集 【初級編】 第9回をお送りします今回も 木々に群がり 激情のままにザワザワ鳴り響く セミの如く『誰これ?』 と ざわめかれる様な午後の買い物に出掛けるにも 熱中症の危険性のある命がけのお使いの後にひとときの 安らぎを感じる様な、 ネットのブログめぐりの時にも御見舞さ・・・ご紹介される、 未知の曲の数々今回は全く聞いた事の無いバンドの、最も聴きやすく、又最も売れた音楽をご紹介しますアナタはいくつご存知でしょうかそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼Marillion - Kayleigh (1985)マリリオン - 追憶のケイリー収録アルバム 『Misplaced Childhood/過ち色の記憶』Fish (画像参照:Wikimedia)まさしく観た事も聞いた事もない・・・という声が聞こえてきそうですがwポスト ネオプログレの旗手として ボーカルの フィッシュ を中心人物に80年台に活躍した マリリオン の ポップなバラード曲です聴いて分かる通り、かなりの字余りなメロディーでまず カラオケでは歌えない 曲だと思いますwwwおそらく、歌詞から作ったメロディーだと思われ元ジェネシス のピーター・ガブリエルに傾倒した 詩の世界を感じる正統派 プログレッシブ・バンドだと言えると思います中心人物だった フィッシュは 88年に脱退し バンドの存続が危ぶまれましたが後に スティーブ・ホガース が 加入したことによって『ジェネシスのコピー』 『独自性が皆無』 と揶揄されたプログレ路線から独自のコンセプト・ロック路線を打ち出し、アルバム 「Brave」 (94) での成功を導きました△▼ △▼ △▼P.F.M. - Colazione a Disneyland (1987)P.F.M. - ディズニーランドの朝食収録アルバム『ミス・ベイカー』P.F.M. (画像参照:Wikimedia)きっと YMO みたいに、長ったらしい名前 が付いてるに違いないと、ご察しの通り、プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ (Premiata Forneria Marconi)略してP.F.M.という名前の70年台から活躍する 本国イタリアでは知名度の高い老舗のプログレッシブ・バンドです4枚目の 『幻の映像』 で世界展開をする際に元キング・クリムゾンのメンバーでプロデューサーのピート・シンフィールド が『PFM』 という略称を考案したとの事です75年には来日も果たし、イタリア出身のバンドとしては日本でも最も高名なグループとして 名が通っております当初はフォーク・ロック系のリリカルなナンバーを演奏する如何にもプログレ然とした グループでしたが、時代の流れと共に楽曲が変化しオリジナルメンバーとして 現在も残っているのはフランツ・ディ・チョッチョ(ドラム、ボーカル)フランコ・ムッシーダ(ギター、ボーカル) で本曲を聴くと お分かりのように、近年はフュージョン・ジャズ系の テクニカルな演奏が 中心の楽曲を制作している様です非常に明るめの 華々しいインストナンバーで、ギターとベースのテクニカルな演奏がサーカスの様な お祭り気分を奏でております△▼ △▼ △▼Triumvirat - Spartacus (1974)トリアンヴィラート - スパルタカス収録アルバム『スパルタカス』『スパルタクスの最期』ヘルマン・フォーゲル画 1882年 (画像参照:Wikimedia)EL&P の もろパクリという事すら 知らないと言われそうですがEL&P が存在した同時期に 活躍した ドイツのキーボード・トリオ・バンドですかなり キース・エマーソンのプレイを模倣しておりますがピアノ主体のスタイルは、どちらかと言えば エルトン・ジョン に近くEL&P の様な ジャズ寄りな重いプレイをするのではなく快活でスムースな ポップ・ロック を演奏するバンドの様です雰囲気は キース・エマーソンの ジャズ系 ツンノメリ ピアノ と言うよりは、R&B の 滑らかなプレイを感じるのである意味本家よりも 流麗な演奏力のあるバンドと言えるでしょうタイトルの 『スパルタカス』 は、スタンリー・キューブリック監督の映画『スパルタカス』 でも描かれた奴隷に寄る クラディアドルの乱 の指導者の名前から取ったものでプログレ・バンドらしい トータル・アルバムになっております△▼ △▼ △▼Supertramp - Breakfast in America (1979)スーパートランプ - ブレックファスト・イン・アメリカ収録アルバム『ブレックファスト・イン・アメリカ』Supertramp (画像参照:Wikimedia)どっかで聴いた事あってホッとする☆と言われる様なスーパートランプ初 ビルボード全米チャート 1位を獲った 大ヒット曲ですボーカルのロジャー・ホジソン を中心人物とした 70年台に活躍したポップ系 ロック・バンドでデビュー当初は プログレ的な アレンジの曲調が多かったですがメンバーチェンジを重ねるにつれ プログレ色が薄まりポップ色が強くなって行きました82年に ロジャーの脱退により バンドの人気は下降し 88年に休止状態になりますその後も 度々 再結成が成されて ツアーを行いますが新作のリリースされる事は ありませんでした△▼ △▼ △▼Alan Parsons Project - Let's Talk About Me (1985)アラン・パーソンズ・プロジェクト - レッツ・トーク・アバウト・ミー収録アルバム『ヴァルチャー・カルチャー』Alan Parsons (画像参照:Wikimedia)昔 MTV で良く観た全く知らない曲というピンク・フロイド のエンジニアだった アラン・パーソンズ が楽曲ごとに演奏者を変えエンジニアの視点から 極上のトータルアルバムをリリースして来たリーダーが曲を書かないという面からも 世界でも類を見ない音楽集団です本曲は MTV全盛期にリリースされたアルバムのシングル曲で正にMTV世代を風刺した 内容になっておりますグループは 87年の 『ガウディ』 で事実上解散しその後は アランパーソンズのソロ名義で作品がリリースされました93年にソロとして出した 『人生ゲーム』 は、アラン・パーソンズらしい ギミックが満載のアラン・パーソンズ自身も楽曲を提供する意欲作で 概ね 好評でしたがアレンジやアイデアが豊富な割にはそれまで楽曲のメインライターでメインボーカルだったエリック・ウルフソン に変わりパーソンズ本人や、ゲスト組が書いた楽曲は、一様に凡庸で叙情性ある 以前の マジック は消え失せてかつてのコアなファンの耳を満足させる様な内容では ありませんでした△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。熱中症になる日中の暑さを増幅する様な、観た事も聞いたことも無い楽曲の数々をものの見事に試聴をスルーする潔さにある種のカタルシスを体感された方も 少なく無いのではないでしょうかさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。
2013年08月12日
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プログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【番外編2】Youtube 投稿ギター・ソロ聴き比べ大会Pink Floyd 『Comfortably Numb』Guitar:David Gilmour収録アルバム『The Wall』(1977)前回の『プログレッシブ・ロックを聴きましょう 第8回』は ピンク・フロイド の 『コンフォタブリー・ナム』 で終わりましたがもうお分かりですね・・・アレはこれの 『前フリ』ですwYoutube にはギター・ソロだけを撮影してアップしている動画が多数存在したまたま 『コンフォタブリー・ナム』 の動画を物色中色んな人物が投稿した ギター・ソロ が目に留まり面白いので まとめて聴き比べをしてみようと思い付きまして一人コメントで紹介しようとしたのですがことのほか長文になりましてついでに 記事にして更新する事と 相成りました音楽に全く興味が無くまして プログレ には何の縁もない方々にとっては親のカタキの様な企画となった 今回の更新でしたギター・サウンドは 聴き比べてみると分る様に様々な音色があり、その唄わせ方も 様々な方法が存在しますその違いを 少しでも感じていただけたらと 思いますそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼本人のストラトキャスターによる模範演奏David Gilmour 氏David Gilmour (Pink Floyd)(画像参照:Wikimedia)まずは ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア御本人による模範演奏をお聞きいただきましょう☆ギルモア独特の重く歪んだエモーショナルなギタープレイでコレでもかと言わんばかりにどこまでも上り詰めていく非常にスペクタクルでドラマティックなソロが展開されますが速弾きギタリストの神業的指芸の様なテクニカルプレイとは異なり基本は「ブルースギター」がベースのシンプルなプレイにある所にそれらのギタリストとは完全に一線を画した「鳴きのソロ」の真髄が感じられるいぶし銀な演奏を堪能出来ます。△▼ △▼ △▼赤いストラトを弾く11歳の少年mysoresriram くんFender Stratocaster Classic 60s Candy Apple Red(Wikimedia)撮影しながらの演奏が落ち着かないのか眼が泳ぎながらのソロ展開ですが中々、堂々としたギルモア節を奏でておりますソロの冒頭では 見事な ピッキング・ハーモニクス を奏でるなど大人顔負けの しっかりとした演奏を聴かせてくれます一方で、所々運指に子供特有の拙さが見られ、幼さとして時折 音に現れるのが気になる所ではありますともあれ将来を嘱望される若手のホープとして 期待したい所です☆△▼ △▼ △▼黒のLTD テレキャスターを弾く女性Leticia Filizzola さん1966 Fender Telecaster(Wikimedia)ギルモアも 『ラン・ライク・ヘル』 などのコンビネーション・ディレイ奏法の時に テレキャスターギター を使用しますがこちらは ESP LTDブランド・テレキャスタータイプギター での エントリーですテレキャス特有の 平べったい エッジ音が、若干 節を乾かせるという不利な条件の中で、中々のソロを聴かせてくれます運指全体に 女性特有の淡白さが見られますのでラウドな音も 幾分 可愛らしい響きになっております名機、エレクトロボイスのスピーカーが設置されている録音ルームはどこかのスタジオか自宅の卓でしょうかこれからメジャーを目指す若き女性ギタリストのプレゼン としてYoutube の世界配信は 有効な手段と言えるでしょう△▼ △▼ △▼赤のギブソンSGを弾く女性Juliette Valduriez さんGibson SG '61(Wikimedia)AC/DC の アンガス・ヤング、ブラック・サバス のトニー・アイオミ が所有するギブソンSG による ヘビーサウンドでのエントリーですウォームでありながら若干平べったいエッジ音がヘビメタサウンドにもマッチするこの名機を操りパリジェンヌな可憐な女性が 情感を込めて 男勝りな堂々とした泣きのソロを聴かせてくれます先程の女性とは違い、運指にも女性特有の淡白さは見られませんその分、ミュート音に かなり 男らしいヘビメタ節 が入っておりますがそれはご愛嬌という所でしょうw個人的には好みのタイプです・・・・・・もちろんサウンドがですよっつ△▼ △▼ △▼青のシャーベルを弾く男性Duane Moore 氏Charvel Logo(Wikimedia)多分一番似ているのがこの方だと思われますピックアップに 『シャーベル』 のロゴがあるのでヴァン・ヘイレン の使用でブレイクしたフェンダー傘下のコンポーネントギター使用でのエントリーとなりました最初はプロの方と思いましたが、彼のプロフィールを読みますと『ハイ、ギルモアさん!俺はあんたと一緒にステージに立つ準備はいつだって出来てるぜ☆俺の夢はアンタと ”コンフォタブリー・ナム” をプレイすることなんだ ♪ 』と書かれているので、スタジオ・ミュージシャン だとしてもこれは典型的な 単なる一般人ファンの文章ですw非常にツブの揃った音と、完璧な運指の安定感で安心のソロ展開を 楽しむ事が出きます難を言えば、プレイに粘りが足りないのか若干の平坦さがあり 抑揚に欠ける印象があるのが 気になる所ですがシャーベル特有の 必要以上のツブ揃いな音による印象かヘビープレイを滑らかに奏でて 一般の試聴に押し下げる彼の持ち味なのか、この動画を見る限りでは 定かでは無いです△▼ △▼ △▼白のストラトでレクチャーする 怪しいラテン系風男性Marty Schwartz 氏Fender Stratocaster(Wikimedia)動画を色々見ていると、かなりの数の 『ハウ・ツー』 動画が確認できましたそんな中、この・・・何とも怪しい ラテン系風男性のレクチャーに目を引くものがありましたw音は結構 ペラペラ で、 ファンク系がメインのミュージシャンだと思われギルモアには無い キレッツキレ のソロのレクチャーがまた楽しいw 動画となっております日本にも こんなテンションでレクチャーするプロミュージシャンのハウツーDVDが多々発売されているので東洋の怪しいギタリストの怪しいハウツーDVD扱いで欧米で売られているのかも・・・と想像しますと複雑な思いがしますw△▼ △▼ △▼アイバニーズRGを奏でる貴公子Ugur Dariveren 氏Ibanez RG(Wikimedia)滑らかな運指に 格調を感じるサウンドは日本が誇る アイバニーズのRGシリーズ を奏でるミュージシャンとして活躍するイケメンギタリストのエントリーからでした少年の面影と剃り残した髭が 母性本能をくすぐり高貴な趣きのあるルックスに ほとんど確信犯的にどこからともなく吹き抜ける風に 長い髪をなびかせて華麗に ドラマティックなソロを奏でる姿はかなりのナルシストだという事が 見て取る事が出来ますw無駄のない滑らかなサウンドと 高いテクニックでブルース寄りな粘りのあるギルモア節が幾分 クラシカルな赴きのあるソロ展開となりましたこれはこれで聴き応えのある演奏で何となく Thin Lizzy の スノーウィー・ホワイトに似た感じの確かな演奏を愉しむ事ができます△▼ △▼ △▼黒のレスポールがむせび泣く ジューダスのギタリストRichie Faulkner 氏Richie Faulkner(Wikimedia)レスポール 特有の粘り を駆使して 泣きに徹するのはKKダウニングの後任として 加入した ヘビーメタルバンド『ジューダス・プリースト』 の イギリス人ギタリストリッチー・フォークナー の むせび泣くギターソロです☆これは ギルモア節がどうの と言うよりは彼の持ち味の 泣きのギターで ギルモアのテイクを唄わせて成り立っているソロと言えるでしょう先程の彼には余り見られなかった粘りの泣きのギター が堪能出来ます△▼ △▼ △▼赤いストラトが唄う 神の指を持つギタリストTeresa Russell さん'77 Fender Stratocaster Vintage White(Wikimedia)カントリー・ウエスタン系のギタリストで女性トップ100ギタリストにも入る テレサ・ラッセル のテイクですこれはもはやコピーでは無く、完全に彼女のナンバーとして 演奏している点が他のエントリーとは一線を画す所でしょう様々な音色を奏でる 7色の声色で ギルモアとは違うアプローチで同じ所を目指した演奏に感じました△▼ △▼ △▼メタル・テイストで演奏する Dreamtheater & QueensrycheJohn Petrucci 氏 & Michael Wilton 氏John Petrucci(Wikimedia)Michael Wilton(Wikimedia)ヘビーメタルバンド ドリームシアター と クイーンズライチ が2003年にダブルヘッドライナーで全米をツアーした時のアンコール・ナンバーです冒頭の スキンヘッド に サングラス の クイーンズライチ の ボーカル太った ジェフ・テイト の 変わり果てた姿にW まず驚かされます両バンドとも メタルながら コンセプト・アルバムを制作するという点ではプログレ・バンド と言っても良い存在で共に ピンク・フロイド の影響を受けた事は言うまでも無い事でしょう特に ドリームシアターの ジョン・ペトルーシ によるギルモアのソロはああ、好きなんだなあ・・・という 微笑ましさすら覚えてしまいますw最後は、クイーンズライチ の マイケル・ウィルトン とのギター・バトルに突入しますが共演という性質上 当然の演出でしょうw△▼ △▼ △▼iPad のアプリ 『Garageband』 を操るヒマな人物geekmd 暇人Steve Jobs with the Apple iPad(Wikimedia)勿論、スティーブ・ジョブズ 氏の事を言っているのではありませんが最後は こんな動画も紹介致しましょうどこのどなたか存じ上げない方のiPad のアプリ 『Garageband』 による ギルモアのソロの再現動画ですマアマアの フロイド・サウンド を再現しておりますと、まあ それだけなんですが・・・wえ? もっと気を入れて チャンと解説しろっですって?こんな高価なアイテムを こんな事に使うのはキット余程の暇人に決まってますっつ(偏見)どうせ私は iPad も スマホ も 持ってませんのでなんにも分かりませんよ ブツブツ・・・・△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。最後はまさかの 毒を吐いて終る 顛末にビックリされたかと思いますでも、一番びっくりしたのは 毒を吐いた 私自身ですWWWさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。■■■Fender(フェンダー)エレキギター Made in JapanTraditional 50s Stratocaster (Black) 【ikbp5】 新品 ストラトキャスター価格:99000円(税込、送料無料) (2021/10/23時点)ghs エレキギター弦 David Gilmour Signatureデビッド・ギルモア ロングスケール(フェンダー)用 10-48 GB-DGF価格:2636円(税込、送料別) (2021/10/23時点)Catalinbread ECHOREC【1年保証】【カタリンブレッド】【新品】価格:24980円(税込、送料別) (2021/10/23時点)【Blu-ray】ライヴ・アット・ポンペイ [ デヴィッド・ギルモア ]価格:3929円(税込、送料無料) (2021/10/23時点)【CD】ザ・ウォール [ ピンク・フロイド ]価格:4070円(税込、送料無料) (2021/10/23時点)
2013年04月23日
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日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第8回 『コアなプログレ』NATIONAL HEALTHNATIONAL HEALTH1977さて今回も 春の嵐の如く スルーの嵐必須記事 永遠の不人気企画コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第8回をお送りします今回は色とりどりの花咲く春には全く相応しくない『誰これ?』 と言われる様なお子様のご入学 ご新学期での準備の慌ただしさにようやく一息付いた午後のひとときに何の罰ゲームか 一生の内に耳にすることなど皆無の音世界を御見舞し・・・お届けしたいと思いますwwwプログレは大きく分けて 2つに分類出来一つは 『ジャズ』 寄りなロックでこれは 聴き様によっては 80年台に流行った フュージョン とさして変わらないサウンドをしておりますので『高中正義』 や 『カシオペア』 などを聴いておられた方でしたら比較的 入りやすいジャンルかと思われますもう一つが 『クラシック』 をベースにしたロックですバッハ や モーツァルト ビバルディ の様なバロック音楽に造詣の深い方でしたら比較的 入りやすいジャンルかと思われますバイオリンや フルートなどロックにはありえない楽器を導入し様々なバンドが新しいサウンドを創り出しては新たなカテゴリーを確立して行きました一般の方が気にも留めない 知られざる音楽界の名手達が残した珠玉のテイクの数々を少しばかり 紐解いてみたいと思います それでは、順番に聴いて行きましょう♪(※ この記事の音楽を含めた完全版は こちら>> 別館で )△▼ △▼ △▼Jethro Tull - My Sunday Feeling (1968)ジェスロ・タル - 日曜日の印象日曜日の印象価格:1,512円(税込、送料込)4月に来日するジェスロ・タルの ファースト・アルバムからは彼らにしては珍しい R&B テイストのオープニング・ナンバーです『彼らにしては』 とか 『珍しい』 とか そんなの知らない という言葉が聞こえてきそうですがボーカル、フルートの イアン・アンダーソン が中心となりジャズ、ブルース、クラシックの要素を取り入れた 独特のサウンドでセカンド・アルバムは全英1位となりました実はヘビメタとも縁のあるバンドでファースト・アルバムリリース後に脱退したギタリストの穴を埋める為ブラック・サバスの トニー・アイオミ を加入させた事があり他にも、レインボー の ドン・エイリーが加入するなどの経緯からなのか87年のグラミー賞では 『クレスト・オブ・ア・ネイブ』がなぜかヘビーメタル部門で受賞する事で 話題となりました『メタル』 な音楽とは無縁なバンドでしたがバンドの存在そのものが 『メタル』 的であった事が理由の様ですが一説にはグラミーが ジェスロ・タル に賞をあげたくてメタル部門を新設したという話があるとか無いとかで何やら 天下り的な匂いがしないでも無いですがまあ、大目に見たいと思いますwww△▼ △▼ △▼NATIONAL HEALTH - Borogoves (Excerpt from Pt. 2) (1977)ナショナル・ヘルス - ボロゴヴス (パートIIより抜粋)収録アルバム 『ナショナル・ヘルス』価格:2,730円(税込、送料別)『うわああ・・・鑑賞したくねえ・・・』 といういかにも プログレ! というタイトルが付きしかも パート1より先に パート2が始まるという、しかも抜粋というロックと言うよりは 複雑な演奏が特徴のジャズ・フュージョン バンドと言っても良いカンタベリー系と呼ばれる プログレ・バンドですウエザーリポート などのフュージョン・ジャズをお聴きなら何の問題も無く 鑑賞できると思います元メンバーには イエスのドラムの ビル・ブラッフォードが在籍した事もあり本作のベースを弾いているのは ホワイト・スネイクの ニール・マーレイでまるで ジャコ・パストリアス の様な フレットレス・ベース でのソロを聴かせてくれますキーボードの デイブ・スチュワート はソフトマシーン のギター アラン・ホールズワースと共にビル・ブラッフォード のソロアルバムに参加し79年には脱退し そのまま 『ブラッフォード』 に参加しますナショナル・ヘルス 的サウンドは こちらに受け継がれました△▼ △▼ △▼Soft Machine - Moon In June (1970)ソフトマシーン - 6月の月3ソフト・マシーン価格:2,527円(税込、送料込)『全然ソフトじゃ無いじゃん』 と言われそうですが先程の ギター アラン・ホールズワース が在籍したドラマー、ボーカルの ロバート・ワイアット が在籍したカンタベリー系 プログレバンドの 代名詞的 バンドですこの曲は ロバート・ワイアット が唄う 最後の唄物でこの後はジャズ・ロックの インスト・バンドとして活動して行きますめまぐるしいメンバーチェンジを繰り返した事でも有名で75年には 最後のオリジナルメンバーだったキーボードのマイク・ラトリッジも脱退し名前だけが 存続する 意味不明な 存在となったバンドとしても名が通っておりますw△▼ △▼ △▼THE NICE - Hang on to a Dream (1971)ザ・ナイス - 夢を追ってエレジー価格:2,880円(税込、送料込)『まあ、これはナイスかも☆』 と感じたアナタは既に 洗脳されておりますwww『エマーソン・レイク・アンド・パーマー』 のキーボ-ディストでロック・スターのキース・エマーソン が在籍した事でも有名なバンドですある意味 カンタベリー系 とも言えなくも無いですがクラシック畑の エマーソンの趣向が巨大化し前作、『ファイブ・ブリッジズ』 では オーケストラとの共演で残りのメンバーとの力量に 圧倒的な開きが現れて事実上 エマーソンの独壇場 と化した バンドでもありますエマーソンは キーボーディストとしては既に 『ナイス』 でやり尽くした感があり新たな可能性を模索していたその矢先に当時 ツアーを共にしていた キング・クリムゾンの グレッグ・レイクと意気投合をして 本作を最後に 脱退をしバンドは解散に追い込まれる事になるのでした△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Comfortably Numb (1977)ピンク・フロイド - コンフォタブリー・ナムザ・ウォール価格:3,564円(税込、送料込)まあ、最後位は 超メジャーな所で占める事にしましょう・・・・・・まあ、曲は春先に聴くには死ぬ程重たいですがwwwプログレの代名詞となり、 ロックの歴史に名を残すローリング・ストーンズ と並ぶ 超大物バンドです曲はブルースがベースですが単にブルースでは片付けられない 唯一無二のサウンドが特徴でその他大勢の テクニカルなバンドには決して出せないエモーショナルでドラマティックな持ち味が 人気のバンドです△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。音楽記事でありながら、全ての曲の試聴をスルーする潔さにある種のカタルシスを体感された方も 少なく無いのではないでしょうか(爆)さて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。
2013年04月21日
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屋久島の森 (画像参照:Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第7回 『日本のプログレ』この記事は2020年12月26日に大幅な 加筆修正 をして、ほぼ 新作 となったものを「Ver.2.0」 として コチラ>> で公開しております。という訳で、ver2.0 の記事の方を是非ご参照下さい。Voyager6434■さて今回も自虐的企画 『ヘビメタ』『アニメ』と続く怒涛の不人気3部作その完結編コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第7回をお送りします今回は冬らしい(?)プログレカテゴリー発祥の地日本のプログレ にスポットを当ててみますロック黎明期の日本においてはハードロックも ヘビメタも プログレも、ロックが定着しない当時の音楽事情では国内にロックを発信する為に 聴きやすく工夫されるか様々な要素が渾然一体となった楽曲の素材になる 一部に過ぎませんでした邦楽は長い間 ノンジャンルの暗黒の時代を送りますがその隙間を縫うように 形を変えながら今日の日本のロックが育って行ったのです それでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼△▼△▼NOVELA - 調べの森 (1984)収録アルバム 『サンクチュアリ(聖域)』Forests in Yakushima (画像参照:Wikimedia)ギターの平山照継率いるプログレッシブロックバンド「NOVELA」のめくるめくダンジョンの世界に足を踏み入れたかのダークファンタジーを思わせるマジカルなナンバーです元祖ビジュアル系としても多田かおる の漫画 『愛してナイト』 のモデルとしても有名なバンドで関西系ロックバンドの実力派の『シェラザード』から平山照継(Gr) 五十嵐久勝(Vo) 永川敏郎(Key) 秋田鋭次郎(Dr)『山水館』から 高橋ヨシロウ(Vo/Bs) 山根基嗣(Gt) の2バンドが合体しNOVELAとしてデビューしますその背景は プログレ というジャンルに難色を示したレコード会社が話題性をという付加価値を付け足してみた 企画バンド というのが実情の様でした初期のジェネシスの様な寓話性に溢れたハードプログレと称されるツインギターによるドラマティックでテクニック重視のハイレベルな演奏が特徴のバンドでまだビジュアル系という言葉が無かった時代に少女コミックの主人公たちが画面から飛び出してきた様なルックスの美形バンドとして話題となりイギリスのグラム系バンド GIRL の前座を演っていた時メインのGIRL を見ずに帰る客も居たという伝説を残している程の女性ファンからの支持の高かったバンドでもありました。3枚目のアルバム「PARADISE LOST」ではもうひとりの中心人物でボーカルも担当したベースの高橋ヨシロウの音楽性を全面に押し出した様なハードロック的なアプローチが際立つ内容となりこれまで以上のパワフルな楽曲作りは「ハードプログレ」と称される程の進化を遂げるのですが中心人物が二人いるバンドとしての限界点に達したのかこのアルバムでの成果が結果としてハードロックバンド「ACTION」結成の手応えへと繋がったのか高橋ヨシロウ(Bs) 山根基嗣(Gt) 秋田鋭次郎(Dr)の脱退劇を生み出す事になります■本曲は、山水館組の脱退後新たなメンバーとして 笹井りゅうじ(Bs) 西田竜一(Dr) 招き新体制となったNOVELAの、更なるプログレ色を強めたアルバムからの表題曲的ナンバーでテクニカルな演奏が持ち味のNOVELAらしい巧みな演奏によるダーク・ファンタジー的な世界へ誘いつつ富野由悠季監督作『聖戦士ダンバイン』を思わせる様なある種の寓話的世界を現代へと投影させる世界観で自己啓発を誘う様な楽曲となっております冒頭のドラムがGENESISの『Wot Gorilla?』そのままだったり別曲では『One For The Vine』を模した導入などこれまで比較的オリジナル色のある楽曲を輩出してきたNOVELAが本作では「静寂の嵐」時の GENESIS を露骨なまでに模したアプローチが多数聴かれサウンド的には進化というよりはリーダー平山の音楽性が色濃く投影された内容になった様な印象の作品となりましたが元々少女コミックから抜け出した様なビジュアル系バンドという触れ込みの実力派バンドだった事もあってなのかファンタジーコミックをベースにした様な印象の現在の「アニソン」を思わせるサウンドに仕上がっている所から日本特有の「アレンジ文化」の最たる姿が見て取れると共に現在の日本音楽の源流を感じさせるものがあり非常に興味深いアルバムでもある様な印象を受けました△▼△▼△▼難波弘之 - ブルジョワジーの秘かな愉しみ (1985)収録アルバム『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』KORG Mono Poly (画像参照:Wikimedia)山下達郎のバックとしても有名な日本屈指のキーボーディストです作家としても活動しており、音楽を題材にした作品を多数発表しまたテレビの番組を持ち 司会をした事のある多才な人物ですキース・エマーソンに大きな影響を受けており、自身のバンド『センス・オブ・ワンダー』 ではEL&P 同様の3ピースバンドで活動をしていましたほぼ歌謡曲ですが、これも日本独特のスタイルと言えるでしょう本曲のタイトルはフランスの監督 ルイス・ブニュエルの代表作から取っており作詞を依頼された森雪之丞は 映画の内容を詞にしたと言うよりは難波から様々なイメージを受け取り それを自分なりに再構築したものを詩として創り出したとの事でした唄が途中ひっくり返りますが、作曲者が唄うのが最も良いという点ではご愛嬌というものでしょう・・・△▼△▼△▼美狂乱 - 二重人格 (1982)収録アルバム『美狂乱』日本のお面 (画像参照:Wikimedia)NOVELAと同じレーベルからデビューした和製キング・クリムゾンと呼ばれる テクニック系のバンドですすでにNOVELAが一定のファンを持ちレコードセールスも順調だった事もあってかクリムゾン・コピーバンド時代から話題の このバンドのリリースはNOVELAの時の様な 顛末 はありませんでしたがデビューの時点で残ったメンバー は リーダーでギターの須磨邦雄 のみでした聴いての通り パクリ と言っても良いクリムゾン・フリークそのままですが東洋的な神秘さが全編に漂う 息苦しい程の緊張感が全編を覆うクリムゾンそのものと言っても良い仕上がりになっています03年に TVアニメ 『魁クロマティ高校』 の音楽を担当しましたが劇伴は 正に 美狂乱 そのものだった所が興味深かった部分です△▼△▼△▼四人囃子 - おまつり (1974)収録アルバム『一触即発』日本のお祭り (画像参照:Wikimedia)プリズムのギター森園勝敏が在籍していた日本屈指のプログレ系バンドですピンク・フロイド に影響を受けたサウンドであるばかりでなく日本的な気怠い幻想美を作品にし高い音楽性と演奏力、構成力を持つ 当時の洋楽ファンも納得する単にプログレの枠組みでは語れない 多才な楽曲を発表してきたバンドでしたそれ故に、作品ごとに方向性は転換し迷走して中心人物の一人の森園勝敏が脱退するとまるで別のバンドになった様な変貌を見せる事になります本曲はピンク・フロイド的と言うよりはブラック・コンテンポラリーの雄ダニー・ハサウェイの 『ゲットー』 のパクリの様にも聴こえるのもこの時代では珍しくない事でした△▼△▼△▼PRISM - TAKE OFF (1986)収録アルバム 『DREAMIN』Korean Air Airbus A380-800 with contrail (画像参照:Wikimedia)元 四人囃子の森園勝敏が在籍していたプログレ系フュージョンバンドです本作は中心人物のギターの和田アキラとベースの渡辺健に加えキーボードにシンセミュージックで名を馳せた 深町純を招いた強力布陣で制作された作品です青空に飛行機雲が印象的な マイルドセブンのCM曲としても採用されました本アルバムはベースの渡辺健がボーカルも披露する意欲作でインストの本曲では 渡辺のハイレベルなスリリングで縦横無尽のベースプレイに圧倒されます当時井上堯之が司会する番組に出演した時スタジオに持ち込んだ機材の多さに 泡を吹いた井上に『こんなに器材がなければ音楽が出来ないのか』 と言わしめた当時の日本が誇る最高のスタジオ・ミュージシャンの最先端のサウンドを聴く事が出来ます△▼△▼△▼高崎晃 - 逃亡 ~STEAL AWAY~ (1982)収録アルバム『ジャガーの牙』高崎 晃 (画像参照:Wikimedia)日本屈指のヘビーメタルバンド LOUDNESS のギタリスト高崎晃がプログレ系ミュージシャン笹路正徳をプロデューサーに迎え制作したソロ・アルバムの1曲です聴くと分かりますが 変拍子が多用された曲作りは高崎のものではなく元ナスカの笹路正徳によるもので『これはソロ・アルバムでは無い。ギター・ソロのアルバムだ』 と当時は揶揄された程 全体的に笹路色の強いアルバムでした本曲はLOUDNESS のボーカル 二井原実が担当し冒頭の 『DANCE!』 という出だしにドラムの辻野リューベンは 鳥肌が立ったという話が残っていますそのドラムのリューベンは テンポが変わった唄の出だしで笹路の変拍子アレンジに毒されて 頭が混乱したのかスネアの位置が裏返ります普通なら録り直しの所ですが 全体の出来の良さに瑣末な事として黙認された様です 大らかな時代でした△▼△▼△▼というわけで いかがでしたでしょうか。プログレは日本のロックの発展にも一役買う幅の広い音楽であるという点に納得頂けたかと思いますさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう☆■■■■■■■■■■■■■楽天市場■■■■■■■■■■■■■■■【CD】サンクチュアリ(聖域) [ NOVELA ]価格:1410円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)■【CD】難波弘之 / ブルジョワジーの秘かな愉しみ価格:2200円(税込、送料別) (2020/7/30時点)■【CD】美狂乱 [ 美狂乱 ]価格:1430円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)■【CD】一触即発(+2) [ 四人囃子 ]価格:1468円(税込、送料無料) (2020/7■【CD】DREAMIN' [ PRISM ]価格:2620円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)■【CD】ジャガーの牙〜TUSK OF JAGUAR〜 [ 高崎晃 ]価格:1650円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)■【エレキギター】[高崎晃モデル・ランダムスター] EDWARDS E-RS-145G ローズ指板 [国産,MADE IN JAPAN]価格:127,600円(税込、送料無料) (2020/7/30時点)
2012年12月12日
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日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第6回 『インストゥルメンタルのプログレ』The Alan Parsons ProjectAmmonia Avenue1984さて今回も 不人気覚悟の コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第6回をお送りします今回は秋らしい インストゥルメンタル音楽 にスポットを当ててみます。音楽で音楽を表現する並のバンドとは違い何かを音楽で表現する 類まれな才能を持った音楽集団であれば歌詞を廃した 言葉では語れない 印象の世界を音楽で表現する事に興味が向くのも至極 当たり前の事の様に思われます それでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼Pink Floyd - One of These Days (1971)ピンク・フロイド - 吹けよ風、呼べよ嵐おせっかい価格:2,484円(税込、送料込)伝説の箱根ライブでは、チューニングをしているだけで演奏と思われて拍手が起こったという 伝説が残っているプログレの代表格 ピンク・フロイド の 超有名なインストゥルメンタル曲ラウドなサウンドに加え 無機質な機械的進撃感にピンク・フロイドらしい特異な印象を感じる曲ですがこれはいわゆる『ブギ』と呼ばれるリズムを 実際に刻んでいるのではなくリズムが一拍半で帰ってくる様にディレイ というエフェクトを処理をし ベースを2台で演奏し 録音した効果からでありこの様な実験的試みを 楽曲として昇華させた際たる例だと言えます。ピンク・フロイドが、この様な実験的楽曲を制作しそれが マニアックな前衛音楽として認識されるのでは無くメインストリームのマーケットでヒットを遂げる様な音楽ユーザーの支持を受けているのは元々、ベースで中心人物のロジャー・ウォーターズが建築学校に入学し建築家を目指していた所に理由がある様に思われ、楽曲が前衛的分散を遂げても楽曲が破綻しない様、演奏に意図的な構造的欠如を施した、全てが制御された中で楽曲が制作されてまるで建物の建築でもしている様な、楽曲の柱となる「リフ」を中心にギグを繰り返し音楽の「核」となる「柱」を強靭に創りながら楽曲の一部にわざと「亀裂」を生じさせる前衛的不特定要素を含んだ「欠陥」をビルの爆破破壊で全てが計算尽くされた最小の爆破で自重で意図した場所に崩れ解体する為の爆薬を仕掛ける「位置」を示唆する様に施して、全てが計算された中での意図的な破壊で意図した形に音楽全てが崩れ落ちるという様々な事を音楽の要素として取り入れるプログレらしい、多分に建築的要素が導入された、破壊的音楽だからという印象があります。ちなみに、この曲は新日本プロレスの 『アブドラザ・ブッチャーのテーマ』 としても日本では有名なインスゥルメンタル曲のひとつとして 知られておりますが今どきの若者の知る由もない、まして『ブッチャー』の存在すら知らない昭和のシニア限定の認識なのではという可能性も、あるかもですW△▼ △▼ △▼Steve Hacket - Spectral Mornings (1979)スティーブ・ハケット - スペクトラル・モーニングSpectral Mornings輸入盤価格:2,880円(税込、送料込)ジェネシスの元ギタリストのスティーブ・ハケット ソロでのジェネシス的な幻想的ナンバーです。メロディーの要だったスティーブ・ハケットの脱退に遭い幻想的叙情的ジョジョ的要素が薄れて行きながらも80年代のポップ化の成功により、世界的な大ヒットを遂げ起死回生し世界的規模へとライブが巨大化して行く中で自然と止めてしまったプログレ的幻想ジョジョ的サウンドを引き続きクラシックからポップス、ブルースまで造詣が深いハケットならではのすべての生命が眠りから覚めようとする、夜明け前のざわめきから生命あふれる大地を大きく照らす、朝日をイメージするようなエモーショナルなナンバーとなっております。霧に霞む英国コッツウォルズに拡がる田園風景をイメージするクラシックなアプローチが得意としますが、いわゆる 泣きのギター がトレードマークのドラマチックなサウンドを好む側面を持つアーティストでテクノ全盛期に制作された本作からはジェネシスでのドラマチックな面を一人で支えていたという気概すら伺えるハケットらしいアルバムだと、言えるものがありました。△▼ △▼ △▼Camel - Docks/ Beached (1981)キャメル - 埠頭にて/ 島への上陸ヌード~MR.Oの帰還価格:1,851円(税込、送料込)ギターのアンドリュー・ラティマー率いるキャメルのフィリピン・ルバング島で29年間終戦を知らないままの暮らしとなり島民に偶然発見した後も、終戦が信じられずなかなか投降に応じなかった小野田寛郎氏の実話を元にインスパイアされ制作された日本でも話題になったコンセプトアルバムです元メンバーのキーボードのピーター・バーデンス にドラムのアンディー・ウォードとのアンサンブルからテクニカルで叙情性のある楽曲を輩出してきた人気バンドでしたがやがてバーデンスの脱退に遭い、元 『キャラバン』 のメンバー参入でバンドを再生した後は『キャラメル』 などと揶揄されるなどギタリスト、ラティマーのソロプロジェクトという側面が大きくなり本作を最後にオリジナルメンバーのウォードも脱退する羽目に陥ります。本曲の、暗黒の海上を漂流する様を描いた様な ミステリアスなサウンドはこの様に相次ぐメンバーの脱退に遭い、1人暗黒の海上に放り出され、測的不能の前途多難な絶望的状況に陥ったラティーマーの心境を、小野田氏の先の見えない絶望的な潜伏人生へと投影した先が見えない不安と、その様な状況に陥っても希望を捨てない人間の生命力の強さという不安定な心理状態と、困難に屈しない信念を表現した相反する心境が交差した、まるで「愛憎劇」でも描くようなアンビバレンスな楽曲作りに理由がある様な印象がありました。△▼ △▼ △▼Bruford - Forever Until Sunday (1979)ブラッフォード - フォーエヴァー・アンティル・サンデイワン・オブ・ア・カインド価格:2,730円(税込、送料別)イエス、キング・クリムゾンの元ドラマー ビル・ブラッフォードのフュージョン系の演奏を聴かせる自身のバンドのセカンド・アルバムからのバラード曲です80年代当時のロックブームの流れで日本に来日した事で話題となったJAZZもロックも演奏できる技巧派ギタリスト アラン・ホールズワース が在籍した事でも有名なバンドでリーダーのブラッフォードもプログレ系のロック・ドラマーとして活躍する一方でジャズもプレイ出来る多才なドラマーという点ではホールズワースとの相性の良いバッテリーという事になります。本アルバムは、フィル・コリンズが在籍した 『ブランドX』 に酷似するサウンドである事からも当時のジャズ系ミュージシャン全てに影響を与えた 『ウェザー・リポート』 への傾倒が伺える内容となっており、ウェザーリポートに在籍した天才ベーシストジャコ・パストリアスのフォロワーの様なジェフ・バーリンのテクニカルな演奏と元エッグの個性派キーボーディストデイヴ・スチュワート(※ユーリズミックスのメンバーとは同姓同名)の同じくウェザーのジョー・ザヴィヌルとチック・コリアに影響を受けた様な、ある種の世界観と技巧を併せ持つジャズ色がありながらも、リリカルでプログレ的アプローチが強い演奏がJAZZもロックも演るギターとドラムが相まって複雑さを全く感じさせない、聴きやすいマイルドなサウンドによってエモーショナルなフュージョンミュージックとへと昇華させた傑作アルバムとなっております。本曲は、技巧派フュージョンバンドの面目躍如と言わんばかりのリリカルでメロディアスな演奏が光るナンバーでゲストでヴァイオリンを奏でるエディー・ジョブソンの叙情的英国サウンドが、癒やしをもたらす秀逸な楽曲となりました。一方、『永遠にずっと日曜日』というタイトルからは「創世記」に記述されている「約束の地」を彷彿とさせる所から安住の地を追われ、行く宛のない旅人への癒やしを、音楽で表現した印象があり、安住の地だったクリムゾンを追われ、彷徨う様に安住の地の復活を求めて音楽活動を続ける様なブラッフォードの 心境 をトレースした様な内容が多分に自伝的要素の強いバラードナンバーとして仕上げられた非常に興味深い楽曲となっております。■元々ロックミュージシャンだったブラッフォードは音楽の全てを注いできたキング・クリムゾンの解散でリーダーのロバート・フィリップから真っ先にクビを言い渡されたトラウマがあるからなのかクリムゾン脱退以降は、クリムゾンでの盟友ジョン・ウェットンと共に新バンドを立ち上げて、元イエスのリック・ウェイクマンを招いて音楽活動の再開に向けてリハーサルを行いますがウェイクマンサイドが契約の関係を理由にリックがリーダーでリック・ウェイクマン・バンドとしての活動を強く押して来たため、頓挫した事が追い打ちとなりながらも未だクリムゾンへの思いが残っていたからなのかこの時ロキシー・ミュージックのメンバーになっていたジョンと再度タッグを組み、ジョンはロキシーのキーボードだった若き天才 エディー・ジョブソンをブラッフォードは自身のソロアルバム『フィールズ・グッド・トゥ・ミー』で個性的で卓越したギターを披露したアラン・ホールズワースを互いに参加を打診し結成した「U.K」で『憂国の四士』をリリースしクリムゾンサウンドの「再生」を目指し活動を続けますがジョン、エディーが目指すポップロックサウンドに対して技巧派フュージョンを目指すホールズワース、ブラッフォード組との間で亀裂が入り、音楽性の不一致からホールズワースは解雇となり追う様にブラッフォードも脱退するのでした。この時の挫折が決定打となったのか再びロバート・フィリップと共にクリムゾンを再生したり8人「イエス」に参加しながらも、プログレ、ロックミュージックや、かつての仲間から一線を置く様になり、これまでショービジネス界の、浮き沈みの激しい中で生きてきた「偽りの地」から本当の安らぎを得る 新たな「安住の地」として見付けた、JAZZ、フュージョンミュージックに傾倒して行くのでした。△▼ △▼ △▼The Alan Parsons Project - Pipeline (1984)アラン・パーソンズ・プロジェクト - パイプラインアンモニア・アヴェニュー価格:1,764円(税込、送料込)ピンク・フロイドのエンジニア アラン・パーソンズ と作曲家、ボーカルのエリック・ウルフソン によるユニットでエンジニアの目線から見た サウンド作りを目指した音楽集団として数々のヒット曲を世に送り出した非常に珍しくユニークな音楽集団「アラン・パーソンズ・プロジェクト」のザ・ビートルズのラストアルバム『レット・イット・ビー』をプロデュースした事で知られるフィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」を再現した『ドント・アンサー・ミー』を収録しMTV人気が後押しして全米ヒットを獲得した代表作的アルバムからのドラマチックなインストナンバーです。都会が際限のない飽くなき発展を続け、ミニマルミュージックの特徴となる無機質に繰り返すシンセ音はソ連と米国との冷戦時にあった風潮で文明社会が限界を示し突き当りに瀕する破滅のカウントダウンの様に不気味に響き悲観的なメロディーを奏でるキーボードからは文明社会の発展の為森林を開拓し自然を破壊し、気候すら変動させた人類への代償として将来巨大な対価を支払わせるかの警鐘に満ちた内容でその巨大な対価を支払わせるかの時代に正に今、なろうとしている、又はなりつつあるという危惧に於いても、30年近く前に既に看破されていたと思うと戦慄すら覚えてしまいます。■この様な歌の楽曲と同時に収録される インストゥルメンタル曲はアラン・パーソンズ・プロジェクトのもう一つの顔であり機械的に繰り返される無機質なシンセ音に合わせて展開するループ的な ミニマル・ミュージック で演奏されるミステリアスで深い意味を感じる所に音楽的特徴があると言えます。なぜこの様なタッチの楽曲を好んで採用するのか考えてみますとひとつは楽曲にコンセプトアルバムの様なドラマ性を施したかった事と、良い事も永遠に続かない、いつか終わりをむかえるその事に気づかない人間の、なんと多い事かという人の世の欺瞞と真理を暴く、デビュー作から一貫したテーマにアルバム作りの面白さを感じているからなのかもしれません☆△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。プログレはBGMとしても極上な幅の広い音楽であるという点に納得頂けたかと思いますさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。
2012年09月17日
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Jon Anderson (画像参照:Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第5回『ソロ活動するプログレ』さて今回 も コードネーム 『魚』 こと『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 第5回をお送りします神格されたプログレのミュージシャンといえど人の子ですバンドに限定された活動の中でバンドで披露出来なかった曲をソロとして発表する事があります今回は 代表的なプログレ・ミュージシャンのソロ・活動にスポットを当ててみます。バンドに中心人物がいる場合 どうしてもその人物主導の下曲作りが進むのは致し方無い事でバンド活動を越えた所でのソロ活動であるなら健康的と言えますが溜まったストレスのガス抜きとしてのソロ・アルバム制作であるのかある種 脱退表明としての なし崩し的なソロ・デビューであるのか人によって 人間関係によって様々なのはどの世界も同じでしょうそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼Jon Anderson - Hold On To Love (1988)ジョン・アンダーソン - ホールド・オン・トゥ・ラブ収録アルバム『イン・ザ・シティ・オブ・エンジェルス』Jon Anderson (画像参照:Wikimedia)ロック界の鳩ことイエスの元ボーカリスト ジョン・アンダーソンのMTV寄りのポップナンバー相当ムチャぶりをする我侭な人物という側面があり思い付きから見た事も無い打楽器を導入しては メンバー全員に演奏させクラシック畑のメンバーと意見が噛まなくなるのは容易に想像出来メンバーの中でソロ活動が多いのは 中心人物本人というのも納得出来ます特徴的な澄んだ歌声は フォーク、クラシック寄りの楽曲が似合う声質ですが本曲の様な 華やかでダンサブルな ゴージャスアレンジの曲にもマッチしてますアンダーソンは澄んだ声質でありながら R&B 寄りの歌唱法をしておりイエスの様な 時に激しいアレンジの楽曲でも難無く歌いこなし本曲の様なダンサブルな楽曲も 対応する 柔軟性と幅広さを持っているアーティストと言えます△▼ △▼ △▼GTR - When The Heart Rules The Mind (1986)(Steve Howe & Steve Hackett) GTR - ハート・マインド収録アルバム『GTR』Steve Hackett (画像参照:Wikimedia)イエスのギタリストのスティーブ・ハウとジェネシスの元ギタリストのスティーブ・ハケットによるコラボ・グループ GTR のスマッシュ・ヒット曲。二人共クラシックベースなギタリストですが実際には スパニッシュのハウと ブルースのハケットの異色コンビのデュエットであり 期間限定コラボでしたストレートでカラフルなハウのサウンドと 粘りと泣きのハケットのサウンドでは水と油で性質も異質あり 本来は絡むものなど何も無いはずでしたそれを纏めていたのはプロデューサーのジェフ・ダウンズでも まして二人のギタリストでも無い若手3人のメンバーがやっていたという事実は 余り知られて無い様です因みにバンド名の GTR とは ギター(Guitar)の事でした△▼ △▼ △▼Peter Gabriel - Shock The Monkey (1982)ピーター・ガブリエル - ショック・モンキー収録アルバム『Peter Gabriel 4』Peter Gabriel (画像参照:Wikimedia)ジェネシスの元ボーカリストで中心人物であったピータ・ガブリエル大ヒットナンバー『ロック・スターである事に嫌気が差した』 事を理由にジェネシスを脱退以降 一作ごとに最先端の技術を導入した最新のサウンド造りをするプログレ・ミュージックの様式とは最も遠い存在の孤高のミュージシャンとして知られる事になりますジェネシスの頃から演劇的なステージが話題となっていたアーティストでソロ活動初期はシルク・ドゥ・ソレイユの様な扮装をして唄っていましたが『So』 以降はノーメイクになり その分ステージが大掛かりになって行きました元々プロになるきっかけがオーティス・レディング のR&Bにのめり込んだ事が理由と聞きますので奇抜なメイクで唄い 最新サウンドで大掛かりなステージを行う唯一無二のカリスマ・ミュージシャンを支えて来たものは極めて正統派な音楽的基盤だったと言う事が分かります△▼ △▼ △▼Rick Wakeman - ABWH Solo Performance (1989)リック・ウェイクマン - キーボード・ソロ収録アルバム『Evening Of Yes Music Plus / イエス・ミュージックの夜』Rick Wakeman (画像参照:Wikimedia)元イエスのキーボーディスト リック・ウェイクマンの『アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウ』での神業的ソロ・パフォーマンスキース・エマーソンとロック・キーボードの人気を二分して来たミュージシャンでエマーソンがクラシック&ジャズの人だとしたらウェイクマンはクラシック&クラシックの典型的なプレイヤーでエマーソンの様な 型破りで荒々しい 攻撃的音楽性とは異なりクラシックのアカデミックな知識に裏付けられた 華麗で流麗な旋律で醸し出す欧州的拡がりを感じる エモーショナルな音楽性を持っており分厚い拡がりを持った シンフォニック・サウンド が特徴の優等生プレイヤーです又、本テイクの様な 流麗なピアノサウンドから一転して超高速なシンセソロで圧倒する力技を持つ稀有なプレイヤーとしても他の追随を許さない 独自の世界観を持つアーティストでもあり一方で、自分のPVで小芝居を打つなどの タレントとしても有名な人物らしく司会 コメンテーター果てはコメディアンとして マルチな才能を発揮し英国のお茶の間の人気を博しております最近は元イエスのジョン・アンダーソンとのコラボで話題になりました△▼ △▼ △▼David Gilmour - Blue Light (1984)デビッド・ギルモア - ブルー・ライト収録アルバム『About Face / 狂気のプロフィール』David_Gilmour (画像参照:Wikimedia)ピンク・フロイドのギタリスト デビッド・ギルモアのスマッシュ・ヒット曲プログレのギターと言えば デビッド・ギルモアの事を指すと言っても過言では無い程のロック界でも唯一無二の独特のエモーショナルなギターサウンドが特徴の孤高のアーティストです基本ブルース系のギタリストですが、単にブルースでは語れないタッチを持ったギタリストで何処か別次元に連れて行かれそうな漂う様な気怠いギルモアのギターサウンドがピンク・フロイドを プログレッシブ・ロックと位置付けた 最大の理由だと思います『Blue Light』 は2枚目のソロ・アルバムでしたが個人的な性質を持った前作とは異なり本作は 自分がコマーシャルな商品として売り物になるか試した作品となり豪華ゲストを招いた 一大プロジェクトとして制作されました本曲で聴かれるU2でお馴染みのギターの ディレイプレイは元々ギルモアが考案したものでありピンク・フロイドのアルバムの曲 『Take it Back』 はU2に対してのアンサー・ソングであると言われております△▼ △▼ △▼David Gilmour - Where We Start (2006)デビッド・ギルモア - ウェア・ウィ・スタート収録アルバム『狂気の祭典~ライヴ・イン・グダニスク』Gretsch DuoJet (画像参照:Wikimedia)デビッド・ギルモアからもう一曲・・・前作から何と23年ぶりに発表されキーボードにピンク・フロイドの今は亡きリック・ライトが参加したソロアルバムからの一曲で本テイクは2007年グダニスクで行われた最新作のライブでのパフォーマンスです本テイクはスタジオテイクよりもベストと言えるギター・ソロを堪能出来フロイドから離れたソロ活動でしたが「Where We Start ~♪」の唄の出だしがフロイド以外の何物でもなく個人的には ギルモアの キャリア最高のギター・ソロ・テイク として紹介致しました☆△▼ △▼ △▼というわけで いかがでしたでしょうか。プログレ・ミュージシャンの意外な一面に驚き 突き出た演奏力に驚嘆し高い音楽性を堪能頂けたのでは と思います。さて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【CD】イン・ザ・シティ・オブ・エンジェルス [ ジョン・アンダーソン ]価格:1589円(税込、送料無料) (2021/10/24時点)【CD】GTR (2CD DELUXE EXPANDED EDITION) [ GTR ]価格:2860円(税込、送料無料) (2021/10/24時点)【輸入盤CD】Peter Gabriel 4: Security (ピーター・ガブリエル)価格:2290円(税込、送料別) (2021/10/24時点)【中古CD】 ABWH イエス・ミュージックの夜価格:1518円(税込、送料別) (2021/10/24時点)【CD】狂気のプロフィール [ デヴィッド・ギルモア ]価格:2123円(税込、送料無料) (2021/10/24時点)【CD】狂気の祭典~ライヴ・イン・グダニスク [ デヴィッド・ギルモア ]価格:4199円(税込、送料無料) (2021/10/24時点)
2012年07月12日
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BOSTON (画像参照:Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第4回『ハード・ロックなプログレ』『プログレ』 という言葉は 『ピンク・フロイド』 の音楽をどう伝えるか迷った挙句の造語として、当時のレコード会社の担当者が思い付き使用したのが最初だと言われており世界的に使用されるまでに言葉が定着した現在もプログレから影響を受けた様々な音楽が 生み出され続けています。今回は、そんな中でも比較的ハード・ロック寄りで尚且つ聴き易い音楽を紹介したいと思います。クラシック音楽の曲構成を導入し、巨大で壮大なイメージが拡がる楽曲は分厚い音圧を持つハード・ロックにとって、とても相性の良い組み合わせと言えるでしょう。 それでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼BOSTON - More Than A Feeling (1976)ボストン - 宇宙の彼方に収録アルバム『BOSTON / 幻想飛行』Tom Scholz (画像参照:Wikimedia)ギターのトム・シュルツ率いるボストンのファースト・アルバムの大ヒット曲エンジニア技師でもある事から自宅にレコーディングスタジオを持ち自ら開発したエフェクターを使用して製作した本作のデモテープは当時のCBSレコードの重役達の度肝を抜かせたと言います本作の録音のほとんどはトム・シュルツ一人で行われボーカル以外のメンバーは急遽ライブ用に集められたセッション・ミュージシャンでしたあくまで完全主義の単独作業に固執するシュルツとプロ仕様での録音を希望するメーカー側との対立はやがて訴訟にまで発展し3rdアルバム制作中に契約不執行で訴えられバンド活動は停止しますその後裁判が決着し会社を移転し発表した3rdアルバムはシングル『アマンダ』が全米一位を記録し健在振りをアピールしました△▼ △▼ △▼Uriah Heep - Wizard (1972)ユーライア・ヒープ - 魔法使い収録アルバム『悪魔と魔法使い』Mick Box (画像参照:Wikimedia)ギターのミック・ボックスとボーカルのデビッド・バイロンを中心に結成されたイギリスの 代表的なハード・ロック・バンドキーボードのケン・ヘンズレー在籍時の70年中盤までにリリースされた作品が黄金期と呼ばれており71年のサードアルバム『対自核』が代表作のバンドです歪んだオルガンサウンドに強力なコーラスが特徴でパワフルなハード・ロック・サウンドにカラフルな拡がりを加えたプログレ風アプローチで ブリティッシュロック・バンドを代表する地位を確立して行きました後にキング・クリムゾンのジョン・ウェットンが加入した『幻想への回帰』が唯一の全英トップ10獲得アルバムとなりますがその後オリジナル・メンバーの相次ぐ脱退に遭い以降はミック・ボックスのプロジェクト・バンドの様相を強めて行きます△▼ △▼ △▼Camel - Never Let Go (1973)キャメル - ネヴァー・レット・ゴー収録アルバム『キャメル・ファースト・アルバム』Andy Latimer (画像参照:Wikimedia)ギターのアンドリュー・ラティマー率いるカンタベリー系ロック・バンドカンタベリー系とは歴史ある建物が立ち並ぶカンタベリー地方出身のミュージシャンの総称で欧州中世時代の繁栄と衰退を彷彿とする 叙情的なサウンドが特徴となりますその中でもキャメルはムーディーでエモーショナルなプログレッシブ・サウンドを軸に多彩なアレンジと卓越したリズムで 非常にテクニカルな演奏を聴かせてくれる事で知られています日本でも話題になった81年発表の『ヌードの物語 ~Mr.Oの帰還~』以降バンドは事実上ラティマーのソロ・プロジェクトとなって行きました△▼ △▼ △▼Rush - Time Stand Still (1987)ラッシュ - タイム・スタンド・スティル収録アルバム『Hold Your Fire』Rush (画像参照:Wikimedia)カナダのロック・トリオデビュー当初はレッド・ツェッペリン的な音楽を演るバンドでしたがドラムのニール・パート加入後SF小説に触発されたコンセプトで曲作りをする様になるとサウンドが激変して行きますバンドの大作志向はやがてポップで端的なシングル向けの曲作りに移行し80年の『パーマネント・ウェイヴス』は短いヒット・シングル曲として商業的にも成功を収めました技巧性の高い演奏でも知られ トリオ演奏を極めた曲作りが特徴でキーボードが入った曲も 3人で演奏可能な曲作りをするポリシーがラッシュ独特の演奏スタイルとなり サウンドを確立して行きます本曲はキャッチーなポップ性と技巧性がバランス良く共存したラッシュ的快活さの集大成とも言える曲です登場する女性ボーカルはティル・チューズデイのエイミー・マン△▼ △▼ △▼The Moody Blues - I Know You're Out There Somewhere(1988)ムーディー・ブルース - アウト・ゼア・サムホエア収録アルバム『Sur La Mer / シュール・ラ・メール』The Moody Blues (画像参照:Wikimedia)イギリスの代表的なプログレッシブ・ロック・バンドでロック黎明期から活動するベテラン・バンドの一つデビュー当初はR&Bバンドとして活動しますが中心人物だった 後の ポール・マッカートニー&ウイングス のメンバーになる デニー・レイン が脱退すると共に 音楽性は変化して行きプログレッシブ・ロックの草分け的な存在までに至ります67年のシングル『サテンの夜』が評判となり、以降 リリースするアルバムは全米大ヒットを記録して行きますしかし70年中期でのメンバー間のトラブルから解散状態となりプログレ最盛期に活動していなかった事が日本での知名度の低さに繋がってしまいましたプログレ・ブームの去った80年代にはコマーシャルな曲の大衆的志向に変化して行きイエスの パトリック・モラーツ 加入後サウンドが激変し一時的なヒットに繋がりますがその後 バンドの衰退が進んで行く事になりました本曲は86年モラーツ在籍時の作品で、バンドのウェットな叙情性は薄れましたがバンドの過去現在を行き来する様な 目眩く綺羅びやかさが印象的なドラマティックな名曲に仕上がっています △▼ △▼ △▼というわけでいかがでしたでしょうか。プログレもハード・ロックも耳慣れた普通の曲として感じられた方も少なく無いと思いますさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。■■■■■■■■■■■■■楽天市場■■■■■■■■■■■■■■■【CD】幻想飛行(Blu-spec CD2) [ ボストン ]価格:1980円(税込、送料無料) (2020/8/4時点)【輸入盤CD】 Uriah Heep ユーライアヒープ / Demons & Wizards 価格:2834円(税込、送料無料) (2020/8/4時点)【CD】キャメル・ファースト・アルバム +2 [ キャメル ]価格:1885円(税込、送料無料) (2020/8/4時点)【輸入盤CD】Rush / Hold Your Fire (ラッシュ)価格:1590円(税込、送料別) (2020/8/4時点)【輸入盤CD】Moody Blues / Sur La Mer (ムーディ・ブルース)価格:1490円(税込、送料別) (2020/8/4時点)
2012年06月24日
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(画像参照:Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!第3回 『代表曲のプログレ』『プログレッシブ・ロック』【初級編】今回はその3回目これまでは比較的聴きやすい曲を紹介して来ましたので何がどう他の音楽と区別されるのか分かりにくい所があったと思います本来のプログレの醍醐味を体感するにはやはり代表曲を聴くのが一番でしょうという訳で今回は代表的なプログレッシブ・ロック・バンドの代表的な曲を紹介いたしますフォーク、クラシック、ジャズなどをロックと融合した音楽と説明しましたが、それだけならいわゆる『クロス・オーバー・ミュージック』 と何ら変わる所がありませんプログレとクロス・オーバーとの大きな違いがあるとしたらそれは音楽的な形式にあるのではなく鑑賞した時のある種の感覚的体験の違いにあると思います『登山』 の醍醐味を問われた時のロッククライミングと山登りの違いを語るのでは無く『達成感』 の話をしているのだという事に似ています音楽を 『個々の楽器で奏でられた分離可能な音の集合』 の様に感じられている方にとっては音楽はあくまで日々のBGM、カラオケで発散するイベントなどの暮らしの中の一アイテムの存在に過ぎないのかもしれませんその様に思われる音楽の中にも、ある種の楽器をある種の卓越した人物が奏でた音楽という言葉だけでは表現できない『音空間』 の存在を感じる時がありますその様な音空間に触れた時、奏でられた音楽よりも 奏でている人物の世界観に触れた様な印象を受けるかもしれませんその 此処ではない何処か他の空間に連れて行かれる様な又はその空間を表現したような厳粛な気持ちにされる感覚がプログレッシブ・ロックと呼ばれる音楽の重要な要素だと言えますサイケデリック・ミュージックから派生した音楽でもあるので、トリップ感と混合されがちですがここでは音楽の持つ表現力の多様性が、様々な形で達成された姿として珠玉の演奏の数々を聴くことが出来るカテゴリーと捉えて頂ければ良いでしょうそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼King Crimson - 21st Century Schizoid man(1969)キング・クリムゾン - 21世紀の精神異常者収録アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』Robert Fripp (画像参照:Wikimedia)リーダーである、ギタリストのロバート・フィリップが度重なるメンバー・チェンジを続けサウンドを変化させ音楽を進化させて行った、ロック界を代表する金字塔的バンド激しくスウィングしたジャズのインタープレイをロックに導入し『戦争』『偏見』『人種差別』『貧富』など、当時の暗躍に満ちた世相を象徴する様なフリージャズに近いアプローチで騒乱と狂気に満ちた衝撃的なサウンドで占められその後、突然訪れる静寂に安堵する様な癒しのバラード『風に語りて』が続き3曲目には 浮遊感と幻想美溢れるドラマチックな曲『エピタフ』が続くと言った様に本曲は独立した曲と言うよりは 静と動で構成された連作の一部として収録されたものと捉える事が出来唯一無二のサウンドを持つ コンセプト・アルバムとして現在でも高い評価を得ております△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Money (1973)ピンク・フロイド - マネー収録アルバム『狂気』Pink Floyd (画像参照:Wikimedia)プログレッシブ・ロックという言葉を生み出すサウンドを作り上げた代表格大仕掛けが施された非常にスケールの大きいライブ・ステージを展開するロック・ミュージックにおいて当初から総合芸術を目指していた数少ないグループですタイトル通りお金をテーマにした曲で、冒頭で聞かれる効果音はエンジニアのアラン・パーソンズが まだサンプリング技術が無かった時代にテープを繋ぎあわせてレジスタの音を一ヶ月かけて編集したもので効果音の他に聞こえる人の声は 関係者達にモチーフを与えて自由に発言させたものを録音し曲の内容にリンクする様に パーソンズが巧みに繋げて再構成したとの事ですこの様に音楽に効果音を入れてストーリー性を際立たせて個々の曲に連続性を持たせたアイディアは フロイドの代名詞となり各界に多大な影響を与えましたパーソンズは後に、フロイドでの経験を生かしたバンドアラン・パーソンズ・プロジェクトを立ち上げ成功させます△▼ △▼ △▼Genesis - Watcher of the Skies (1970)ジェネシス - ワッチャー・オブ・ザ・スカイ収録アルバム『フォックストロット』Peter Gabriel (画像参照:Wikimedia)ポップ・スターのイメージのあるジェネシスが5人編成で中心人物であったボーカルのピータ・ガブリエルとギターのスティーブ・ハケット在籍時に当時全英チャート12位まで上がったアルバムの代表曲当時ピーターの演劇的パフォーマンスと寓話的ビジュアルを持つステージが欧州で評判となり ライブ・バンドとしての高い評価を得ますクラシカルなアプローチの独特な幻想的サウンドが特徴でサンプリング楽器の元祖である『メロトロン』を多用したオーケストラ的アレンジはシンフォニック・ロックの代名詞となりましたちなみにメロトロンとは単音で演奏したオーケストラの楽器音を鍵盤の音程分録音したテープが仕込まれた特殊な鍵盤楽器で鍵盤を押さえるタイミングで対応するテープが回り音声が流れるという単純な仕掛け出来ていましたがその使用によって 仕事が取って代わられると危惧したオーケストラ協会と揉めた事で連続10秒以上の再生が出来ない仕様に変更された程この楽器の登場に 当時の演奏家は過敏な反応を取ったと言いますMellotron (画像参照: wikimedia)△▼ △▼ △▼Emerson Lake & Palmer - Knife Edge (1971)エマーソン・レイク&パーマー - ナイフ・エッジ収録アルバム『エマーソン、レイク&パーマー』EL&P (画像参照:Wikimedia)「キング・クリムゾン」 のボーカル ベースの グレッグ・レイク が「ナイス」 のキーボディストの キース・エマーソンと組んで「アトミック・ルースター」のドラマー カール・パーマー を加えて結成した伝説的ロックトリオ本曲は エマーソンのヘビーなオルガンサウンドと カデミックなクラシカル・アレンジが融合した衝撃的なロックナンバーでパーカッション的なジャズ・テイストの攻撃的なドラムサウンドとリリカルで深みのあるボーカルの 相反する要素がマッチし当時活躍するどのバンドにも聴かれない 唯一無二のサウンドが話題となりましたオルガンを激しく揺らし、鍵盤にナイフを立て、音を極端に歪ませる というエマーソンのステージ・パフォーマンスはステージ上を動け無い キーボーディストの制約を打ち破ったものとしてロック界に多大な影響を与えました△▼ △▼ △▼Yes - Roundabout (1972)イエス - ラウンドアバウト収録アルバム『こわれもの』Yes (画像参照:Wikimedia)ロック界の鳩の異名を持つボーカルのジョン・アンダーソン率いる卓越した音楽集団本アルバムは既にスターだったキーボーディストのリック・ウェイクマンを招いて製作されたロックの歴史的名作でもありますこれまでは『クロスビー・スティルス&ナッシュ』的だったコーラスも本作で独自のサウンドとして確立し高度なアレンジの中に取り込まれた 有機的で重要な要素としてイエス・サウンドの代名詞となりました又、鬼のような練習とリハーサルをするバンドとしても有名で次作の『危機』レコーディング時にドラムのビル・ブラッフォードはリハに次ぐリハでのバンド内に張り詰めた緊張感に耐え切れずドラムセットを抱えて逃げ出したという真意の定かでは無いエピソードが残っている程の壮絶を極めた様です因みに脱退したブラッフォードは その後キング・クリムゾンに加入しブラッフォードの後任として プラスティック・オノ・バンドやトロントでのジョン・レノンのライブ「イマジン」などでドラムを叩いていたアラン・ホワイトが加入し イエスのドラマーとして定着します△▼ △▼ △▼というわけで、いかがでしたでしょうか。ロックと片付けるには、フォーク、ジャズ、クラシック寄りのこのジャンルに少しでも触れる事が出来たのではと思います。さて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。
2012年06月18日
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Progressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【番外編】『欄外曲集』さて本日は番外編としまして選考から外した曲、聞き捨てなら無い曲、ありえない曲 などをお聴き頂きたいと思います△▼ △▼ △▼Focus - Hocus Pocus (1973)フォーカス - 悪魔の呪文収録アルバム『ムーヴィング・ウェイヴズ』Focus (Wikimedia)フォーカスは『ビーナス』の大ヒットで有名なショッキング・ブルー に次ぐ オランダ出身で成功したバンドでギターの ヤン・アッカーマン は当時 エリック・クラプトン と人気を二分した程で非常に卓越した技術を持つ キーボード、フルート、ボーカルのにテイス・ヴァン・レールなど実力者揃いのバンドでした本曲はヨーデルとハードロックを掛け合わせるというかつて無いユニークなアプローチの曲なのですが私の中では プログレ としてはこれはもう・・・『アウト』な曲ですwどうアウトなのかは、キーボードが・・・もう演奏する前から顔つきが怪しいのですがwテレビでオンエアしていいのか と思う様なハイテンションでキレッキレな演奏を披露しそれを立ち上がって拍手するアメリカのオーディエンスも本当に音楽性を理解して拍手しているのか単にサーカスの様な卓越した演奏を見て驚いたダケなのか何とも信じられない様な異常空間を観た様なパフォーマンスでともあれ プログレとは範疇外の演奏ではありました・・・w△▼ △▼ △▼井上大輔 - ビギニング (1982)映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』より 挿入歌収録アルバム『機動戦士ガンダム 劇場版総音楽集』(Wikimedia)さて、今尚人気の衰える事の無いファースト・ガンダムの映画第三作目挿入歌幻想的で耽美的拡がりを見せる非常にスケールの大きい曲として話題になった『ビギニング』です現在も新作が次々と発表されバンダイ最大のヒット商品のガンプラ人気も衰える事を知らず当時は少年だったガンダムファンも大人となり今や家族を持つ身だとしても 未だその熱は覚める事は無く今では子供達と一緒にガンプラを作るまさにガンダムと共に歩んだ人生を送っていらっしゃる方も少なく無いと思いますそれがプログレと何の関係があるのでしょうか・・・答えは次の曲にあります・・・King Crimson - Lizard (Prince Rupert Awakes) (1970)キング・クリムゾン - リザード (ルーパート王子のめざめ)収録アルバム『リザード』Jon Anderson (Wikimedia)・・・聴いてのとおり『ビギニング』 はクリムゾンの 『リザード』 そのままです・・・初見のガンダムファンの方には衝撃も大きいかと思われます当然、クリムゾンに何の許可も得ておりません本曲は(Prince Rupert Awakes / Bolero / The Battle Of Glass Tears / Big Top)の様な、パートが分かれた23分もの大作になっており問題の曲は出だしの『Prince Rupert Awakes』というサブタイトルが付いた4分33秒の歌物でそれが終わりますと壮大なインストパートが始まりますので適当なところで動画を終了して頂ければと思いますがそのインストパート自体のメロディーやアレンジもなにやらガンダムのBGMに出てきてもおかしくない様な造りという二重の意味で、曰く付きなナンバーとなっておりますのでぜひ、最後まで聴かれる事をオススメいたしますw当時のロック・ファン なら皆知っている事でしたがあえて、口にする者は居なかった様ですまあ、私を含め、皆ガンダムを愛していたからなのででしょうかw(多分)当時の日本のロックはまだ黎明期にありそのバンドの演奏が海外のバンドの音楽に似ていればそれで成り立つ様な状況にありました海外のバンドの曲を参考に曲を作る者もいればそのまま 引用する方も多々居た訳です故、井上大輔氏はそんなグレー・ゾーンにあった日本の音楽界に長い間身を置いていた為かその後もピンク・フロイドの『狂ったダイヤモンド』などの楽曲を元に曲を書くなどしていた様です井上大輔氏に限らず 日本中の音楽界が 未だそのような中にあった時代でしたそれに関しては後日『日本のプログレッシブ・ロック』の特集の中ででも解説したいと思います因みに、クリムゾンのリザードを唄っているのは本曲のボーカルの為ゲストとして参加したイエスの ジョン・アンダーソン でした△▼ △▼ △▼ELP - CaliforniaJam (1974)エマーソン・レイク&パーマー - キース・エマーソン ピアノ・ソロ抜粋収録アルバム『ゼン&ナウ』Keith Emerson (Wikimedia)キング・クリムゾンのボーカル、ベース、のグレッグ・レイクがナイスのキーボディストで 以前特集した キース・エマーソン と組んでアトミック・ルースターのドラマー、カール・パーマーを加えて鳴り物入りで結成した伝説的バンドです・・・これは誰かが作ったギミックではなく、本当に、エマーソンがライブで74年カリフォルニア・ジャム 40万人の観客の前で披露した頭のネジが盛大に緩んだとしか思えないド派手なパフォーマンス(???)です・・・キーボードにナイフを突き刺して演奏する衝撃的パフォーマンスで出て来たエマーソンらしいある意味想定の範囲内なライブパフォーマンスではありましたが完全にアウトな演奏でしたwエマーソンは後に『あれは失敗だった・・・』と回顧していますが本人の目が回った以外は ピアノを見事弾き切り40万人の観客を沸かせ(爆笑させ)実に見事に成功させた様に思えます後日、エマーソンのド派手な曲芸に嫉妬心を燃やしたドラムの カール・パーマー は 俺も回りたいと要求しアイツが縦ならオレは横だとドラムを横にグルグル回転させながら 嬉々としてドラム・ソロを演奏したといいますエマーソンより自分の待遇が足りないと事あるごとにバンドに不協和音を立てるパーマーでしたがどうやら緩んだ頭のネジの数はパーマーの方が一本ばかり上だったという事でしたw△▼ △▼ △▼というわけで本日は番外編をお送りしましたお楽しみいただけましたでしょうか?さて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。
2012年06月03日
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Mike Oldfield (画像参照:Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第2回『バラード曲のプログレ2』 さて今回 も『プログレッシブ・ロック』特集バラード曲の 第2回をお送りしますそもそも 『プログレ』 という言葉は『ピンク・フロイド』 の音楽をどう伝えるか迷った挙句の造語として当時のレコード会社の担当者が思い付き使用したのが最初だと言われています今では英語としても通用する言葉として世界的に使用されるまでに定着しましたプログレの定義は前回紹介しましたがプログレから影響を受けた音楽もその範疇にある事からプログレにはスタイルの様な 様式 が存在すると言えますその様式もバンドによって異なり結果的にはプログレに影響を受けたバンドの音楽がそのまま プログレ の様式の一つとなり文字通り 進化していく音楽のスタイルの総称を指したジャンルという事が 言えるのだと思いますそれでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼Procol Harum - A Whiter Shade Of Pale (1967)プロコル・ハルム - 青い影収録アルバム 『青い影』Procol Harum (画像参照:Wikimedia)バッハの 『G線上のアリア』 を彷彿するオルガンをバックにソウルフルに唄うゲイリー・ブルックナーのボーカルと60年代サイケデリック・ムーブメントを思い起こすシュールな歌詞が印象的なロック史上珠玉の名曲で1988年に『日産シルビア』のCMソングに使用された事もあり日本での馴染みも深くツインキーボード編成と R&Bにクラシックを融合させた独特のサウンド造りは『プレグレッシブ・ロック』の先駆けと言われたグループです本曲については2テイク録音されプロデューサー デニー・コーデル の ドラムが弱いと言う判断からセッションドラマーの ビル・エイドン の録音に 差し替えたものが採用されたという経緯があり大物プロモーター ドニー・ホール の鶴の一声でデビューが決まりましたが『青い影』が例え良い曲であってもヒット曲になるかどうかまでは読めなかったらしく曲の代名詞であるあのドラマティックなドラムサウンドはそんなコーデルの考えうる限りの布石としてのテコ入れで誕生したものだったそうです本曲のカバーをした アンジェラ・アキ はこの曲を聴き『運命の分かれ道と後悔の嵐』を感じて日本詩を書き上げたと語っており難解と言われる歌詞の謎めいた部分を的確に評した貴重なコメントでした△▼ △▼ △▼Kansas - Dust in the Wind (1977)カンサス - すべては風の中に収録アルバム『暗黒への曳航』Kansas (画像参照:Wikimedia)『イエス』などのプログレに影響を受けロック志向が強い スティーヴ・ウォルシュとプログレ指向が強い ケリー・リヴグレンの2人が中心となって結成されたカントリー、ブルースなどブリティッシュ・ロックとは違ったアプローチでサウンド造りを目指したアメリカを代表するプログレッシブ・ロック・バンドです初期は キング・クリムゾン の影響でヴァイオリンを導入した大作志向の曲作りを行ってましたが快活なロックが主流のアメリカでは当初話題にはならずその後サウンドと曲作りに工夫を重ねて行き4作目発表時では オリジナリティー溢れるポップ サウンドでのコマーシャルな作品を作るバンドへと 変化して行きアメリカでの成功を果たすまでになりました日本では花が燃え出すビジュアルで求人情報誌のCMソングとして使用された事でもお馴染みのバンドです△▼ △▼ △▼Mike Oldfield - Moonlight Shadows (1983)マイク・オールドフィールド - ムーンライト・シャドウ収録アルバム 『クライシス』Mike Oldfield (画像参照:Wikimedia)マルチ・ミュージシャン マイク・オールドフィールドがマギー・ライリー とのコラボで発表した大ヒット曲です73年にミニマル音楽として製作された 『チューブラベルズ』 は全英1位を獲得し多重録音を駆使した独創的なサウンド作りで多方面に影響を与えM・オールドフィールドを 天才アーティストとして欧州中に名を轟かせる事になります本作は音楽の新しい時代の幕開けとしても注目を浴びた作品で映画 『エクソシスト』 の音楽に起用された事でも有名ですデビュー以来高い音楽性を保ちながら様々な作品をリリースしますが欧州ではリリースされる作品の全てがヒットするのに対して日本では全く知名度が無い為ヒットに繋がらずマニア受けするアーティストとされて来ました本曲は これまでの内省的で叙情性豊かたオールドフィールドのカラーとは売って代わった様な ポップで快活なナンバーとなっております本曲のケルト民謡を彷彿する牧歌的なメロディーラインに対して意外なパワフルなドラミングを披露するのは『TOTO』のサイモン・フィリップ他にもギターで元ジェネシスのアンソニー・フィリップボーカルにイエスのジョン・アンダーソンなど参加ゲストも豪華なアルバムになっております△▼ △▼ △▼The Alan Parsons Project - If I Could Change Your Mind (1979)アラン・パーソンズ・プロジェクト - 願い収録アルバム『イヴの肖像』Alan Parsons (画像参照:Wikimedia)ピンク・フロイドのエンジニアのアラン・パーソンズと作曲・唄担当のエリック・ウルフソンとのユニットで曲によって異なるゲストを招きセッション方式でアルバムを制作する ユニークな音楽集団です小説などを題材に コンセプトアルバム を制作しロック ポップスに留まらず オーケストラを導入するなどの壮大で非常にスケールの大きなサウンド作りが特徴でポップで聴きやすい音楽という点に置いても非常にクオリティーの高い楽曲を制作しておりミュージシャンでは無く レコーディング・エンジニアとしての視点から上質な音楽を提供するというバンドのコンセプトが他のアーティストと一線を画した所でもあります本曲はコンテンポラリー・ミュージックとしても非常にクオリティーの高い演奏を堪能出来漂う様なゆったりとした曲調は 本バンドの特徴でもあり単に演奏によるものだけでは無い 録音技術に依る所も大きくプロデュースが楽曲の印象を大きく左右するその最先端の音楽を制作するユニットしてもエポック・メイキングな作品を次々と発表する音楽集団としても当時は話題となりました△▼ △▼ △▼Pink Floyd - Wish You Were Here (1977)ピンク・フロイド - あなたがここにいてほしい収録アルバム 『Wish You Were Here / 炎』Pink Floyd (画像参照:Wikimedia)プログレッシブ・ロックという言葉を生み出すサウンドを作り上げた代表格で一聴して分かる程 他のバンドとは 明らかに一線を画した漂う様な気怠さを兼ね備えた ブルーズベースのサウンドに叙情性を帯びた 唯一無二の深みのある音楽を制作しロジャー・ウォーターズ の創作する文学的 哲学的な歌詞によるコンセプトの元構成された楽曲が トータルな世界を創り出しイメージに沿った センセーショナルなアートワークによる大々的なアルバムリリースを行い大仕掛けが施された非常にスケールの大きいライブ・ステージを展開するロック・ミュージックにおいて当初から総合芸術を目指した数少ないグループとしても 知られておりますデビュー当初 実験的側面の大きかったサウンドはアルバムを重ねるにつれ徐々に洗礼され代表作となった『狂気』では実験的志向と音楽的創作性のバランスの取れたロック史に残る大傑作として世界的大ヒットを記録しました本作は狂気発表後の大成功のプレッシャーから難航に継ぐ難航の中 製作された経緯がありその為 本曲は精神を病みバンドを離れたかつての中心人物 シド・バレットに向けての困惑する思いを綴った曲であったりと『狂気』の成功から生活が一変したメンバーの苦悩が音となって表された様にも聴こえます前作と違い内容が地味だという理由からセールスは伸び悩みましたが最終的には全米一位を記録するまでになります△▼ △▼ △▼というわけでいかがでしたでしょうかプログレ=暗い という一般的なイメージはこれで多少なりとも払われたのでは無いでしょうかさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう
2012年05月26日
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Robert Fripp (Wikimedia)日本生まれの音楽ジャンルProgressive Rockプログレッシブ・ロックを聴いてみましょう!【初級編】第1回 『バラード曲のプログレ』さて今回は『プログレッシブ・ロック』特集【初級編】 をお送りします『ヒエエエエエエエエエエエッツ!!』 という苦痛に歪んだ表情を描いたイラストの『キング・クリムゾンの宮殿』ジャケットを見た方であればそれだけで拒絶反応を起こしそうになりますがJAZZ記事での コルトレーンの回 の時と同様にジャケットを間違えたのではという音楽が出てくるのがこのジャンルの面白い所ですとかく日本人というものはどんなものも分類しなければ気の済まない人種らしく本土では単に名前で分けられているだけのものでも、きちんとジャンル分けしレコード店に並べる様な所がありました。そんなブログ主も、【初心者】やら【プロ仕様】やら、難解別に分類したくなります。 その様な中から、日本のみで語られるジャンルというものが誕生して行きます。この『プレブレッシブ・ロック』は、音圧のあるラウドなロック全盛の頃、当時としては(先進的な)新しい音楽として一部ロックファンの中で熱狂的な支持を得た音楽ジャンルとなりました。単純なロックにフォークやクラシック、JAZZなどの要素を組み込み、曲構成や歌詞を重視した音楽的にも非常にクオリティーの高い楽曲が特徴で多くのバンドが一曲一曲に繋がりのある、コンセプトアルバム と呼ばれる作品をリリースしていきました。 どんな音楽かは、あまりに多義に渡っているため一口には説明出来ないのですが主な特徴として、クラシックからの影響が大きく見られる点にあります。 また、JAZZ畑のミュージシャンなどが集まり演奏が非常に巧みになる事や非常に叙情性の高い歌詞や音楽の持つ世界観を全面に押し出したものが多くその為、以前は ジャズ・ロック とも フォーク・ロック とも呼ばれていた事があります。今回は初級編と言う事で、美しい旋律のバラード系の曲を集めてみました。それでは、順番に聴いて行きましょう♪△▼ △▼ △▼YES - Wonderous Stories (1977)イエス - 不思議なお話を収録アルバム 『究極』YES (Wikimedia)ロック界の鳩こと ジョン・アンダーソン 率いるイエスが心機一転リリースした名作でアコースティック・ギターと綺羅びやかなキーボードで奏でられる美しい旋律で奏でられるバラード・ナンバーです。 Crosby, Stills & Nash か Eagles を彷彿する編成で、フォークのアプローチとは違うクラシカルなアレンジで、ジョン・アンダーソンの澄んだ歌声を十分生かした爽やかなコーラスを堪能できます。△▼ △▼ △▼UK - Rendezvous 6:02 (1979)UK - ランデブー 6:02収録アルバム 『デンジャー・マネー』John Wetton (Wikimedia)『エイジア』の ジョン・ウェットン がキング・クリムゾン解散後結成したバンドで YOSHIKIを獅子鼻にした様な美形キーボーディストエディー・ジョブソンとのユニットで元のメンバーであったクリムゾンの ビル・ブラッフォード に変わりジェフ・ベック のアルバムでもドラムを叩いていたテリー・ボジオ が加入した3人編成による、前作のJAZZ寄りだった路線を大幅に変更したポップ路線で再起アルバムとなった、バラードナンバーです。プログレといえば変拍子、というのを決定付けたのは本バンドであろうと思われ、本アルバムでも様々な変拍子による楽曲を聴くことが出来ます。本曲は非常に独創的な美しいピアノによるアルペジオが印象的なバラードで、過去と未来が交差するイギリスの失われた栄光を叙情性豊かに歌い上げるプログレならではの独自の表現力での演奏を堪能できます。キーボードの エディ・ジョブソンがYOSHIKI に似ているのはルックスだけでないようで、本バンドでの独裁体制が前メンバーの脱退を招き、ジョン・ウェットンとの亀裂を生みこの後解散に追い込まれることになる点にもあると言えます。前メンバーであるB・ブラッフォードは本バント加入前ジェネシスのサポートメンバーとしてステージでフィル・コリンズの代わりにドラムを叩いていた・・・というわけで次はw△▼ △▼ △▼Genesis - a trick of the tail (1976)ジェネシス - トリック・オブ・ザ・テイル収録アルバム 『トリック・オブ・ザ・テイル』Genesis (Wikimedia)中心人物であった ピータ・ガブリエル 脱退後、起死回生の為ドラムの フィル・コリンズ をボーカルに据え、キーボードのトニー・バンクス が執念の全詩作詞をした、新体制の元製作された意欲作でのバラードナンバーです。ポップ・スターのイメージのあるジェネシスがまだ4人編成の頃の英国の絵本の世界を音楽にした様な寓話的雰囲気のあるサウンドが特徴の作品で故郷を捨てて奇異なものを恐れる人間界を旅する魔物が人間を奇異なものに感じるというGENESISという「音楽ブランド」を造り出しながらROCKスターとしてGENESISの一部で居続ける事となり違和感を感じたピーター・ガブリエルを描いたような楽曲である所が興味深いナンバーとなっております。GENESISサウンドの要と言えばピーター・ガブリエルの特徴的な「ボイス」であったと言えますがそのピーターの脱退によって、バンドは壊滅的打撃を受け解散を余儀なくされる所にあった所をそれを回避できたのはまずはフィル・コリンズがピーターの声によく似ていた事と、5枚目のアルバム『月影の騎士』の4曲目の「モア・フール・ミー」でフィル・コリンズがボーカルを取っていたという実績からフィル・コリンズがピーターに取って代わりボーカルという大任を得てもファンの支持を得られた理由だと思われますしかしそれは裏を返せば、『月影の騎士』制作時にフィル・コリンズにボーカル曲を与えた事自体にこの時期のGENESISが既にピーター・ガブリエルとバンドとの決裂状態にありピーターの脱退が時間の問題となっていた事でこの後のバンドの存続を見据えたトニー・バンクスが仕掛けた自衛的な試金石だった様な印象を受けるものがあります。尤も、本作品に対してP・ガブリエルはインタビューで『俺が居た時よりもいいじゃん』と高い評価を挙げていたというのはプログレファンの間では良く知られるお話でした。△▼ △▼ △▼ELP - From the Beginning (1972)エマーソン・レイク&パーマー - フロム・ザ・ビギニング収録アルバム 『トリロジー』Greg Lake (Wikimedia)キング・クリムゾンのボーカル、ベース、の グレッグ・レイク がナイスのキーボディストで 以前特集した キース・エマーソン と組んでアトミック・ルースターのドラマー、 カール・パーマー を加えて鳴り物入りで結成した伝説的バンド エマーソン・レイク&パーマーのグレッグレイクの叙情的なギターをフィーチャーした安住の地を去って自分の居場所を見つける安堵と苦悩を描いたクリムゾンを去った時点のグレッグ・レイクの心境をトレースした様なリリカルなバラードナンバーです。エマーソンの破壊的キーボードサウンドのイメージが強いELPですがもう一つの魅力である詩の世界の叙情性を担当するのがボーカルのグレッグ・レイクの役割でした本曲はその様なパーカッションにギターというシンプルな編成で、フォークともロックとも違う、グレッグ・レイクらしい英国的叙情的バラードを独特の深みのあるボーカルで歌い上げる、名曲となっております。余談ですが・・・Char の『気絶するほど悩ましい』のアコースティックバージョンのアレンジは間違いなく本作のパクリでは無いかとw△▼ △▼ △▼King Crimson I talk to the wind (1969)キング・クリムゾン - 風に語りて 収録アルバム:『In The Court Of The Crimson King / クリムゾン・キングの宮殿』Ian McDonald (画像参照:Wikimedia)リーダーである、ギタリストのロバート・フィリップが度重なるメンバー・チェンジを続けサウンドを変化させ音楽を進化させて行った、ロック界を代表する金字塔的バンド キング・クリムゾンの、クリムゾン特有の破壊的イメージを一新する様な叙情的なバラードナンバーですあの ビートルズ の『アビーロード』をチャート一位から引きずり下ろしたアルバムとして有名ですが、実際には英国チャート5位、ビルボード28位というのが事実でそれはアルバムを鑑賞した時のビートルズを蹴落とすほどの衝撃があった事に対しての膨らんだ都市伝説的世界的評価だったのではという印象があります。本曲は、ジャケットを間違えたのではと思うようなジョン・コルトレーンのフリー・ジャズ作品の『アセンション』での混沌と混乱が同居した様なサウンドとは裏腹に安堵したコルトレーンが写されたジャケットとは真逆のイアン・マクドナルドのフルートの演奏が印象的な混沌な世の中に静寂と安らぎを求めたバラードで混沌の根源の「時流」を「風」と語りどこにでも居る生真面目な「一般人」には見えない変化しつつある世界に拠り所を探し求める「変人」と語られるロバート・フィリップが混沌とした中にやすらぎを求めるコルトレーンの『アセンション』の裏側と言える珠玉のバラード作品となっております『クリムゾンキングの宮殿』のジャケットにインパクトがあるのは、当時の核戦争の不安、世界不和、人種問題など暗躍に満ちていたこの時代の世相を表した所にあり、ロバート・フィリップはこの混沌とした世界に生きる人間の本性をさらけ出した様な、人が眼をそらしたい様な事実を突きつける様な「外」から「内側」を観る「視点で」生み出された衝撃的サウンドを具現化したビジュアル故だと言えます本アルバムが歴史的作品となったのは誰も到達できない領域に到達しその視点で見据えた世界をサウンドで具現化したどのミュージシャンとも違うロバート・フィリップの感性に誰もが魅入られたからでは無いかと思うのでした。歌はグレック・レイクが担当し、この後『ポセイドンのめざめ』の途中まで参加した後フォリナーに加入するイアン・マクドナルド達と共に脱退します思うにキング・クリムゾンとはロバート・フィリップのイメージするものをサウンドとして具現化する為のユニットでありアルバム制作の為の独裁体制に我慢できなくなったメンバーの脱退に遭ってもアルバム制作を達成するためにパーソナルなメンバーに固執せずアルバム毎にイメージに合ったメンバーチェンジを繰り返し唯一無二の作品を生み出す所に価値を見出す存在だと言え、かくして、アルバムごとにメンバーをチェンジして傑作を作り続けるギタリストとしてリーダーの ロバート・フィリップ は、レインボーの リッチー・ブラックモア とロック界の双璧として君臨して行く事になるのでした。△▼ △▼ △▼Steve Hackett、Ian Mcdonald & John Wetton - I Talk To The Wind (1969)スティーブ・ハケット・ライブ - 風に語りてオマケとしてコチラは元ジェネシスのスティーブ・ハケットのライブでのパフォーマンスでのイアン・マクドナルドの貴重なライブ映像でボーカル、ベースが元キングクリムゾン、エイジアのジョン・ウェットンという豪華饗宴によるイアン・マクドナルドの圧巻のフルートの演奏が堪能できる動画になってます。△▼ △▼ △▼というわけでいかがでしたでしょうかさて 次回は一体 何が 更新されるでしょうか ごきげんよう。■■■■■■■■■■■■■楽天市場■■■■■■■■■■■■■■■【CD】究極(初回生産限定) [ イエス ]価格:2250円(税込、送料無料) (2021/6/16時点)【CD】UK / デンジャー・マネー +1(SHM-CD)価格:1601円(税込、送料別) (2021/6/16時点)【輸入盤CD】Genesis ジェネシス / Trick Of The Tail価格:2014円(税込、送料別) (2021/6/16時点)【輸入盤CD】Emerson, Lake & Palmer / Trilogyエマーソン、レイク&パーマー価格:2290円(税込、送料別) (2021/6/16時点)【CD】クリムゾン・キングの宮殿 50周年アニヴァーサリー・エディション (K2HD HQCD3枚+Blu-ray1枚) (解説歌詞付)価格:6912円(税込、送料無料) (2021/6/16時点)【CD】ザ・トーキョー・テープス (REMASTERED AND EXPANDED EDITION) [ スティーヴ・ハケット ]ジョン・ウェットン、イアン・マクドナルド『風に語りて』収録価格:4840円(税込、送料無料) (2021/6/16時点)【CD】アセンション [ ジョン・コルトレーン ]価格:1703円(税込、送料無料) (2021/6/16時点)
2012年05月22日
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