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PART2【完全ネタバレ解説篇】※ご注意※このページは 映画『プレステージ』を鑑賞済みの方向けの 解説記事となっております映画未見の方は本記事を読まずに前のページに更新された通常の映画レビューコチラ≫ PART1【映画解説編】を御覧くださいPART2【ネタバレ解説編】「衝撃的ラストの意味と本作の種明かし」プレステージTHE PRESTIGE2007年6月9日公開 アメリカ 128分■監督 クリストファー・ノーラン■出演 ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン スカーレット・ヨハンソン、アンディー・サーキス、デビッド・ボウイ■ もくじ ■[※前回の更新]PART1【映画解説編】『巧みな布石と衝撃のラストが見物の怪奇幻想ミステリー』- コラム -「日本の脱出マジックブーム」STORY 1. 日本のイリュージョンのパイオニア 2. マジックの三段階 3. 突然の種明かしと脱出ブームの終焉- STORY -- 解説 19世紀の奇術界を舞台にした怪奇幻想ミステリー 1. はじめに 2. 衝撃のラスト5分 3. 19世紀世界を実現した芸術的映像 4. 映画そのものが壮大な「マジック」 デヴィッド・ボウイ演じる実在の発明家ニコラ・テスラ 「レディオヘッド」トム・ヨークの主題曲PART2【ネタバレ解説篇】『衝撃的ラストの意味と本作の種明かし』 1. はじめに 2. アンジャーの転送マジックの秘密と狂気の理由 ●舞台下の水槽は何? ■テスラの装置と転送マジックの謎とラストの意味■ ■真相を明かさないのはなぜ?■ ■アンジャーの心の闇■ 3. 二人のボーデンの違いを(赤鬼)と(青鬼)に分けて見てみる 4. 時系列で見るボーデンの入れ替わり ■今日はウソと言うサラの言葉の謎 ■複製装置か転送装置か ■拉致されるファロンはどちらのボーデンか ■時代劇である事に秘められた巧妙なトリック ■「アイツの事は放っておこう」の真意 ■アンジャーがボーデンの娘ジェスを引き取る理由 ■永遠の別れと最後の瞬間移動 5. ボーデンも複製か? 6. どちらが本物でどちらが複製か■ 衝撃的ラストの意味と本作の種あかし▲目次へ▲1. はじめにさて、念を押しますが・・・wココからは映画『プレステージ』を鑑賞済みの方向けのネタバレ謎解き解説となります映画をまだ観ていないのに検索からコチラへ来てしまった方やこの映画に興味があり内容を知りたくてレビューをお探しの方はココからネタバレ無しの PART1解説編 へ移動して下さい又は、むしろ何の情報も得無いままで映画を鑑賞して鑑賞後モヤモヤする事をオススメしますWそして、映画を観覧済みで色々モヤモヤしている方はこのままお進みくださいw■前回PART1 冒頭では「種明かしなど無粋の極み」と一刀両断しておきながらその舌の根も乾かぬうちに種明かし記事をこうして更新しておそらく、原作となったクリストファー・プリーストの1995年の小説『奇術師』を読めば一発で分かる謎もあろうかと思われる所を敢えて読まずに 映画の内容のみを頼りに解釈を試みたりと傍若無人ぶりにも程がある更新となりましたがwコレに付いては、原作そのものが二人の奇術師の秘密を後の子孫が解明するという内容の関係上解明を描いた小説を脚色した映画の解明をする為小説で描かれた解明を解明して映画を解明するという・・・「メガ解明状態」となる為 と、そもそも 「映画作品」として原作本を脚色して映像化した時点で映画は原作本とは別モノになっている という理由と、2001年に公開されたカルト映画として名高いリチャード・ケリー監督のリバースムービー『ドニー・ダーコ』の様な一度観ただけでは分からない、2度、3度観ても尚更分からないホームページに掲載された、劇中に出てくる本の解説書を読んでみて初めて真相に辿り着く、という様な映画本編を読み解くだけでは「何を描いたのか」分からないタイプの映画はミステリー作品としては「アリ」でも、当サイトとしては「フェアではない」と捉えている方針から映画の解明の為に原作本を紐解くという手品の解明をする為に知的推理を試みるより前に種明かしを知ろうという様なマネは「戦略的攻略(ストラテジー)」と称して林先生辺りの話を丸暗記して試験に挑む位に無粋な行為という理由からという、前回の「コラム」とは正にこの事の 「布石」だったわけですwここからは 楽天ブログの文字数の限界まで使用し本作を鑑賞した方のみを対象として本作のカラクリを出来る限り細かく紐解き映画全編に張り巡らされた布石と伏線を確認しながら私個人の見解が多分に入りながらも本作に隠された様々な謎を、紐解いて行きたいと思います☆▲目次へ▲2. アンジャーの転送マジックの秘密と狂気の理由Hugh Jackman (参照:Wikimediaより)さて、ここからは、映画本編をご覧になられて衝撃的結末に対し 未だ納得出来なかったりモヤモヤされたままなどな方向けに多少なりとも解消のお手伝いになればと私なりに解析し一年以上かけて纏めたものを楽天の文字数の限界まで使って解説した完全ネタバレ種明かし記事となりますしたがって「ボーデンは双子」「テスラの装置」などの本作鑑賞者でなければ分からないプロットを周知の事実として説明抜きで解説を進めて行きますので『映画』『プレステージ』『ネタバレ』で検索して来られた方にとってはクドい大量な文章に 更にモヤモヤし、本ページの注意書きを無視してこの記事を読まれた方にとってはクドい大量な文章に 思わず吐きそうになる、かもしれませんが・・・w暫しお付き合いください☆■さて、まずラストの意味を説明する前に本作のヒュー·ジャックマン演じる「偉大なるダントン」ことロバート·アンジャーの瞬間移動転送マジックに使われた「テスラの装置」の解説をします。▲目次へ▲■テスラの装置と転送マジックの謎とラストの意味■アンジャーの瞬間移動マジックで登場しド派手な稲妻を発生させたマジックを演出をする為のギミック装置 かに見えたテスラの装置とは一体何だったのか ですがこれはスター·トレックなどのSF映画でおなじみの物体や人を瞬間的に別の場所へ移動させる「物質転送装置」 が 正体ですなのでこの装置を使って実際にアンジャーは本当に瞬間移動していた訳でありマジックとしての種など無かったというのがアンジャーの転送マジックだった訳です「それがなぜ分かるの?」 ・・・は後ほど説明します「どういう事?18世紀に転送装置?仕掛けは?」 ・・・まあ映画ですからw何らかの電気の伝送技術と物質の再生技術のモニョモニョで作られたかどうか分かりませんが 要するにこれはテスラという人物が 18世紀の実在の発明家でというのは 引掛け でその実在する リアル テスラの方 ではなくて日本で言う所の 平賀源内 的な『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jr が演じたシャーロック・ホームズ シリーズ的な「バイオハザード」のミラ・ジョヴォヴィッチが出た『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』的なリュック・ベッソン監督作のダメ映・・・ファンタジー作品『アデル/ファラオと復活の秘薬』的な終わる終わると言いながらJUMP本誌で完結せず別冊で連載を移行してもそれでも終わらずアプリソフトを使ってようやく完結したSF時代劇コメディー『銀魂』的なサイバーパンク と呼ばれるSFテイストの時代劇作品でマッドサイエンティスト として登場する想像上の キャラクターとなって描かれて来た バーチャル テスラ の方が映画に登場して SF的発明をする作品だったという訳ですある意味、真相を聞かされた所で呆気にとられるばかりで、1900年代が舞台のリアルな設定のダークなサスペンス作品とばかりに思って見ていたら実はSFファンタジー映画だったという『ズルい禁じ手』を いけしゃあしゃあ と「種」に使った実にケシカラン映画とも取れるわけですが・・・wこの映画自体が巨大なマジックの演目だったと捉えれば我々観客は製作者に見事に一杯食わされた実にあっぱれな映画だったという捉え方もある訳ですwともあれ瞬間移動マジックの「種」とはテスラの装置による「科学」にあった訳でありアンジャーの「マジックでは無く科学だ」と言った言葉は本当だった という事になります。●●◯舞台下の水槽は?テスラ自身がアンジャーに忠告した場面がありましたがこの装置には深刻なバグがありましたそれは、この装置を使用する度 転送元に(或いは転送先に?)「複製」を生むというものでしたなぜそれが分かるのか は次で説明します がつまり人間にテスラの装置を使うと転送された方と、ステージ上と2人の人間が生まれるという訳ですアンジャーはその問題を承知の上でテスラの装置をマジックに使いその度 自分の複製を生み出していた 事になります。故に、増えるのはまずい という事で転送されたアンジャーはマジックを続けてステージ上のアンジャーを舞台の落とし戸から舞台下に設置した水槽に落として水死させて処理していた というのがアノ舞台下の水槽の正体という訳ですそしてアンジャーの水死体が入った水槽はラストにも出てくる、廃墟の劇場地下に夜な夜な運んで人知れず纏めて安置していた というのが瞬間移動転送マジックのからくり なのでした●●●ラストの意味ラストでフレーム・インして来るアンジャーの水死体が入った水槽の意味ですが「なぜボーデンは撃ち殺したアンジャーを水槽に入れたの?」と思ったアナタは、・・・とても良いお客様ですWという訳でもう薄々気がついている方も多いとは思いますがあのアンジャーの水死体が入った水槽はボーデンに撃ち殺されたアンジャーが入ったものでは無くまして、これまでアンジャーの替え玉を演じて来た「替え玉役のルート氏」が入ったものでも無く複製されたアンジャーの水死体を安置した100体の水槽のひとつですそれではここでなぜテスラの装置が「転送装置」だと分かるのか「複製」するバグがあるのがなぜ分かるのか を説明します■テスラの屋敷での実験の場面で、帽子を使って実験したら 失敗した様な空気となり、黒猫で実験したら やはり同じ空気になった後激怒して帰ろうとしたアンジャーが屋敷から離れた場所で二匹の猫が喧嘩しているのが気になって猫の鳴き声を追って林の中に入って行くと、全く同じ2匹の黒猫の姿と 沢山の帽子が転がっているのが眼に入り「成功していたのか」となったシーンがありましたド派手な稲妻が出た他は一見して何の実験を行い何が失敗して何が成功したのかよく分からない場面でしたがアノ沢山の帽子が散乱した場面は映画冒頭にも出てくる本作のキービジュアルの一つでもありましたそこで映画をラストまで観た時ラストの沢山の水槽と、水槽に入ったアンジャーの水死体とアンジャーの回想の中で自分が自分を撃つ場面とボーデンが双子だったという事実と転送マジックが映画の柱になっている事とこれらとの関連を考えてみますとアノ山に転がっていた大量の帽子はテスラの装置の実験で何度も転送されたもの というテスラの装置が転送装置であるひとつの証拠としての場面だったと捉える事が出来ます更にこの装置は実験後も 装置側に帽子がある事から・・・どちらが複製でどちらがオリジナルか は 後ほど触れるとして・・・ココは便宜上「複製」で統一しますが・・・転送先か 装置側かに 同じものが「複製」されるということが分かります猫の実験でも、林の中に居た黒猫が実験室から放された黒猫と首輪を含めて瓜二つだった事がそれを示しています又ラストの場面でのアンジャーの回想の中でテスラの装置をテストした後 もうひとりの自分を銃で撃つという場面の意味も撃たれたのは 替え玉役のルート氏 では無く屋敷から離れた所に転送された帽子や黒猫の様にテスラの装置で離れた場所に転送された自分を装置側に居た自分がこの事を予想して用意していた拳銃を手に取り転送されたもうひとりの自分を撃ち殺したというテストで生まれた複製を処理した場面 と分かります故にラストの意味とは、ラストでアンジャーの水死体が入った水槽を見せて、これはアンジャーの替え玉ルート氏の水死体でもましてボーデンに銃殺されたアンジャーでも無い、沢山の水槽の中に見えた人影と同様に転送マジックで生み出されたアンジャーの複製達が水死して処理された姿の一つが映ったものだ・・・という事を伝えていたのであり転送マジックの公演は100回行われたといいますのであの地下室には100体の水死体が水槽に安置されている「怖っつ!!!」という事実がwラストの本当の意味となります。ラストでボーデンが「スゲ~」という眼をして眺めていた水槽はなんと、100体の水死体が入った棺桶だったというその事実に気付いた時が、映画が本当のラストシーンを迎える、正に衝撃のラストだったという訳です。▲目次へ▲■真相を明かさないのはなぜ?■映画は最後まで 真相を語らないまま終わりますがこれは映画が終わってもしばらく真相が分からずモヤモヤさせるという製作者の狙いがあっての事だと考えられますそもそも始めから製作者は本作に登場する発明家ニコラ・テスラが実在するリアル・テスラ ではなくサイバーパンク系やSF作品でしばしば「マッド・サイエンティスト」として登場し転送装置もレーザー光線も宇宙船も作ってしまう想像上のキャラ・テスラの方だと言う事がバレ無い様にと本作の世界観を当時の空気感まで伝わって来る様なリアルな1900年代のイギリスを再現し「歴史コスチューム(時代劇)映画」に見える様にして実はダークSFファンタジー映画だった事を隠しています他にも、映画を解明する「種」の存在を覆い隠す意図的な「仕掛け」が全編に渡って潜んでいるのですがそれでいていい感じの「違和感」が布石の様に頭に残る感じで映画本編が作られておりますつまりは鑑賞後に検証できる程の緻密な造りになっている所に真相を語らないまま映画を終わらせた理由があるのだと言えますつまりアンジャーの転送マジックの「種」を覆い隠して謎が明かされないまま映画が終わり鑑賞後に本編を振り返ってアレコレ考えてみないと種や真相が分からない様に脚色された本作の本当の狙いとは、近年流行している参加型推理イベント同様にミステリーマニアが後に検証できる様にという鑑賞後のお愉しみという理由の他に、転送マジックを行う度生まれる複製の対策としてステージに残った方を水槽に落として水死させ処分するというおおよそ人間の行いとは言い難いこの様な行為を100回も繰り返す様な芸に取り憑かれた人物達の狂気に満ちた心の「深い闇」を映画の真相が分かるに連れてジワジワと浮かび上がってくる造りになっている所に本意があるのでは無いかと思います例えばラストに出てくる沢山の水槽はよく見ると何かが入っている様に映っていましたが本編ではアンジャー1人の水死体のみが映っただけでしたので理解できていない鑑賞者が「ルート」の水死体と沢山の水槽がいったい何を意味するのかとなった時に映画が終わってアレコレ考えた後真相にたどり着いた時に衝撃を受ける様に作られた最大の仕掛けだったと捉える事が出来ますこの様に、一度観ただけでは分からない様な造りにして尚且ラストで真相を明かさないのはまるで種の分からないマジックを観た後のモヤモヤする鑑賞後感を味わいながら後に「仕掛け」を解く鍵となる大量の「布石」の存在に気付くという製作者の狙いがあり本作自体が マジックの演目 そのものとして造られているからだと思うのでした ▲目次へ▲■アンジャーの心の闇■この映画が、これほどダークで凄惨な内容になったのも妻の死を乗り越えられず 私怨に固執した男の深い闇を抱えた悪魔の様な執念を描いた所に一つの理由があると思われます洗面台の水を張った洗面器に顔を沈めたヒュー・ジャックマン演じるアンジャーが息が続かなくなり洗面器から顔を上げ部屋で泣き崩れるという場面がありますがこれは妻が溺れる映像がフラッシュバックで入る所からも妻と同じ苦しみを味わおうとしたアンジャーが水死した妻の苦しみが見えて 余りの無念と哀れさに泣き崩れたという事を意味したものであれば、この時が ボーデンにも同じ苦しみを味合わせ様とした動機が生まれた瞬間だと捉える事ができます同時に、後追い自殺をしようとして死にきれなかった様にも見える所からこの時からアンジャーの「自殺願望」にも似た死に対して不遜でいる性質が際立ち始めて躊躇いなく人の一線を何度も越えて銃弾マジックの場でボーデンを撃ち殺そうとしたりファロンを生き埋めにしたり果てはテスラの装置を使った様な狂気のマジックで何度も自分を水死させるまでになったと捉える所でもある様にも思えますボーデンへの 確執 のそもそもの「核」となったのは出会って間もない頃、 まだ組んでやっていた時期にマジックとは安全な舞台芸であるべきとするアンジャーに対してマジックの真髄は「種」にあると豪語するボーデンとでしばしば対立してマイケル・ケイン演じるカッターに「若い」と たしなめられていた時期に徐々に芽生え始めた「対抗意識」にあると考えられますが階級社会だった当時の英国という社会背景も加わりある意味、コールドロウ卿として既に富も名誉も地位もありその気になれば どんなものでも手に入れられる貴族階級出身のアンジャーが名誉も金もない 労働階級のボーデンにマジックの真髄において決定的な差を見せ付けられるという現実がボーデンに固執する理由を生み果ては妻の死によってダークで凄惨な復讐劇へと発展する悪魔のような執念が生まれたと捉えることが出来ます。アンジャーが「新・瞬間移動」マジックで狂気に満ちたパフォーマンスを実行し続けたのは一つは、毎回のマジックで生み出される「自分の複製の処分の為」 ともう一つは ボーデンのプライドに目を付け種を知ろうと必ず舞台下に現れる事を見込んで毎回人知れず複製した自分を水死させ転送した自分はボーデンが現れたタイミングで雲隠れをし水死の罪をなすり付けて死刑に追い込むという「ボーデンへの罠」が理由だった訳ですがもう一つの理由として、まるで死ぬ意思があるかどうか確かめるかの様に窒息寸前まで水の張った洗面器に顔を入れる様な自殺願望に駆られ妻の死を乗り越えられないアンジャーがマジックを行う度毎回妻と同じ死を迎える自分が居るという事実によってある種の 心の救い を得て癒やされていたとも捉える事が出来ますしかし、この狂気のイリュージョンを演じ続けて大喝采を浴びる度に 捉え様の無い程の犠牲を払い演じて得た代償として例え様のない悦びの境地に達してアンジャーの中の何かが弾けて人生をマジックに捧げたボーデンの生き様にもリンクしボーデンへの恨みもいつの間にかどうでも良いものへと心境が変化して行く所に「芸に取り憑かれた者達の心の深い闇」という本作のテーマが浮かび上がってくるものを感じる所でもあります。同じ「心の闇」によって芸に取り憑かれた二人でしたが二人のボーデンが共にボーデンとしての人生を分かち合い共に生きようとしていた事に対して妻の死を乗り越えられずに、「死」に向かい合う本当の意味を理解出来なかったアンジャーは死には死を持って償わせる発想しか起こらず演目を重ね人跡未踏の偉業を成し遂げてボーデンへの恨みの念も とうに意味消失した後も死に不遜な性質が極まり人間を複製しては水死させるという人としての一線を何度も超える所業を繰り返しながらいつしか心が麻痺し死に対しての尊厳の念も恐らく死んだ妻を愛していた事すら忘れて欲と名声に取り憑かれる 「怪物」 と化した事がテスラの装置を使った狂気のマジックで複製した自分を生み出しては捨てる様な非道な真似を繰り返し行える要因となっていったと言うことなのかもしれません☆【Blu-ray】グレイテスト・ショーマン[ ヒュー・ジャックマン ]価格:1650円(税込、送料無料) (2019/11/14時点)▲目次へ▲3. 二人のボーデンの違いを(赤鬼)と(青鬼)に分けて見てみるさて、ラストでボーデンは二人居たという衝撃の展開を取った本作でしたがココで二人のボーデンを一旦この様に表示してみますChristian Bale (参照:Wikimediaより)A ボーデン1号(赤鬼)Christian Bale (参照:Wikimediaより)B ボーデン2号(青鬼)人物を1号2号とか AとかBで分けてもピンと来ないですし「ジキルとハイド」ではおかしいので赤鬼 青鬼 と 日本昔話にちなんだ 日本人には馴染みの深い名称を使って分かり安く分けて考証してみましょう。所でこの 赤鬼 青鬼 をどこでどう判断するかについてですが本編で人物にそれぞれ若干の性質の差異が付いている様に確認出来ますのでこれらを「個々のボーデン」を判断する「鍵」と前提して意図的に脚色された演出上の「布石」として踏まえ場面ごとに (赤鬼) (青鬼) にそれぞれ分離しながら二人の性格性質を書き出してみますと、以下の様に上げられると思います。 (参照:Wikimediaより)ボーデン1号(赤鬼)妻サラを愛する夫で、娘ジェスの本当の父親の方(青鬼)の所業に罪悪感を感じながら自分の欲の顛末を噛みしめて愛に生きる家庭人となり慎み深く、温和な性格となる危険の無い技術を求めて研究に没頭したと思われおそらく ファロン として大半を過ごしファロンとして初登場したのはコッチラストでアンジャーを射殺して(青鬼)の仇を取り 娘と共に街を去る (参照:Wikimediaより)ボーデン2号(青鬼)スカヨハ演じるオリヴィアを愛した方「水槽脱出」で事故を起こし人を死なせた罪悪感に苛まれるが「バットマン」のブルースの様に罪悪感を怒りに変えて乗り越えたので表面上は喜々として芸に打ち込むがその分「ダークナイト」並に心に闇を抱えやられたらやり返す攻撃的性格となるおそらくボーデンとして大半を過ごし最後はアンジャーの罠にハマり死刑になる【Blu-ray】ダークナイト[ クリスチャン・ベール ]価格:1650円(税込、送料無料) (2019/11/14時点)▲目次へ▲4. 時系列で見るボーデンの入れ替わりまず映画のオープニングシーンで見られるテスラの研究施設の庭に散乱する山高帽はテスラの装置で複製されたアンジャーの帽子だと分かります。そして映画の最初の場面となる『アンジャーの瞬間移動マジックの場面』ではステージで装置の確認をするボーデン。ステージ裏で水槽のアンジャーを目撃するボーデン。は状況的にボーデン2号(青鬼)という事になります。(理由は後ほど)次に、アンジャーとボーデンが組んでいた頃に話が戻りますが、この時点では二人のボーデンを振り分けるはっきりとした要素が(※映画で見る限り)見当たらない為後で検証するとして ココは一端スルーします・・・そして時系列ではボーデンが二人いる事をはっきりと指し示す最初の場面となるのが『水槽マジックでの事故の場面』という事になります。----------------------【■Chapter6 ジュリアの死 - 23分16秒辺■]----------------------『水槽マジックでの事故の場面』アンジャーの妻を事故死させる原因となった「二重結び」をしたボーデン。ボーデン2号(青鬼)----------------------【■Chapter6 ジュリアの死 - 26分20秒辺■]----------------------『水槽マジックでの事故の場面』葬式に参列し、二重結びに付いてアンジャーに問いつめられた時「分からない」と答えたボーデン。ボーデン1号(赤鬼)(※Chapter記述は 販売用Blu-rayのものを使用しております。)プレステージ【Blu-ray】 [ ヒュー・ジャックマン ]価格:1,620円(税込、送料込)葬式で「分からない」と答えた (赤鬼)ボーデンの話は事実となり最初の辻褄が合います。という訳で、状況を踏まえながら二人のボーデンをそれぞれの場面に割り当てて行きましょう------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter5 偉大なダントン - 18分25秒辺り■】『鳩殺しのマジックの助手の場面』ステージから サラ をガン見するボーデン(赤鬼)サラと初めて会ったステージで、サラの甥が言った「鳥を殺した」というセリフは何気に アンジャーの「狂気の瞬間移動」の事を暗示し「この鳥の兄弟は?」という言葉は、何気に ボーデンが二人居る事を暗示したセリフだったと捉える事が出来ます。------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter5 偉大なダントン - 20分40秒辺り■】『サラの部屋の前での場面』サラに「大家さんに見つかるとうるさいから」と言われ帰るボーデン(青鬼)サラが部屋に入ると「お茶に砂糖は?」と言いシレッと部屋に居たボーデン(赤鬼)この時 何気に行った「瞬間移動」はボーデンコンビのチームワークだった事が分かります。今にしてみれば、赤鬼の恋路を青鬼が協力したホッコリするシーンでした・・・w------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter7 今日はウソ - 29分50秒辺り■】『銃弾掴みの種明かしの場面』ファロン初登場の場面で「赤ちゃんが出来た」と告げるサラに「ファロンに言おう」と言ってから 言い直す様に「やった 赤ちゃんだ」と喜んで見せるボーデンはファロンが本当の夫(赤鬼)だと言っている様なものになるので(青鬼)です銃弾掴みの種を教えた後「君を心から愛してる」と言った事に対して妻サラが「今日はウソ」と答えている事からもこの時点でサラの本当の夫は現在ファロンを演じている(赤鬼)である事が分かりますのでこれはその時々で (赤鬼) と (青鬼) がボーデン と ファロン で入れ替わって演じていた事を示す重要な「布石」の一つであった事が分かります。又、「ずっと考えていた大仕掛なマジック?」「ソレはまだだ」という会話は「瞬間移動マジック」の事を言っている事が分かります▲目次へ▲■今日はウソと言うサラの言葉の謎Rebecca Hall (参照:Wikimediaより)『アイアンマン3』で植物学者マヤ・ハンセンを演じ、ノーラン監督制作『トランセンデンス』でジョニー・デップの妻を演じた事でも知られるレベッカ・ホール 演じる ボーデンの妻 サラ は二人で一人を演じるボーデンとの結婚生活で精神を破綻しマジックに全てを捧げたボーデンの犠牲になった人物です特に「今日はウソ」というセリフはマジックに没頭したまま上の空でいる夫に対して「女の勘」を働かせつつ普通の愛情を求める女性の悲哀を表現した脚色としても悲劇に繋がるきっかけとしても印象に残るものがありましたがこれは女性の悲哀とは何の関係もない知らない間に夫である (赤鬼) の他に夫では無い (青鬼) とも夫婦生活をさせられその事実に気付いて精神が破綻したという二人のボーデンの「芸」の為の犠牲になった自殺の本当の理由が浮かび上がり一見本筋と関係が無いと思われたこれらの私生活の場面がラストシーンで一本の線となって繋がるという全てが覆される衝撃の事実が明らかとなる仕掛けが集約されていて居たのがこのセリフだった事が分かります。(※いきなりリンク先から飛んで来て 赤鬼 青鬼 の意味が分からない という方は▼▼▼コチラ▼▼▼3. 二人のボーデンの違いを(赤鬼)と(青鬼)に分けて見てみるをお読み下さいw)【Blu-ray】アイアンマン3 MovieNEX(期間限定仕様 アウターケース付き) [ ロバート・ダウニーJr. ]価格:3636円(税込、送料無料) (2019/11/14時点)------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter8 銃弾つかみ - 30分30秒辺り■】『ボーデンの銃弾掴みの場面』「銃弾つかみ」マジックに乱入したアンジャーに指を撃たれたのは「分からない」と答えた事で (赤鬼) の方だったと分かります------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter8 銃弾つかみ - 33分19秒辺り■】『部屋で再び出血するボーデン』怪我をした指から再び出血したのは(赤鬼) と同様に指を詰めた (青鬼) だったと分かります。------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter10 鳥殺し - 38分40秒辺り■】『アンジャーの鳩のマジックの場面』アンジャーの「世界初ハトが死なないマジック」を妨害したのは(赤鬼) の指を撃ったアンジャーへの(青鬼) の意趣返しだった事が分かります------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter12 二つの矛盾した心 - 46分30秒辺り■】『通りでボーデン夫婦を目撃するアンジャーの場面』「サラ愛してる」「今日は本当の日」という会話からこの場面のボーデンは(赤鬼)------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter12 二つの矛盾した心 - 47分20秒辺り■】『娘ジェスが刑務所へ面会に来た場面』ファロンが娘ジェスを連れて ボーデンの面会に来た時の場面でボーデンは娘が持っている人形を見て「人形の名は?」と聞くと「サラかな」と母親の名前を答えるのでこの時ボーデンは一瞬ファロンを見ます。死の意味が良く分からない娘の幼気さに感極まり父親が思わず身内に目をやってしまう・・・という様な観ている者の胸を締め付ける場面だった のですが、 (赤鬼) の妻を死に追いやった (青鬼) が母親を亡くした娘の姿に打ちのめされ深い罪の意識におののきながら娘の本当の父親を見上げた加害者としての反応だったという全く真逆の景色が見えて来ます。------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter14 二人のボーデン - 47分00秒辺り■】『買った家を家族に見せるボーデンの場面』家を買った時「でも先週は 家は要らないって」と尋ねるサラに「機嫌が悪かった 気が変わった」と答えるボーデン(赤鬼)ここで先週機嫌が悪かったというのはおそらく前のシーンで演じていた「瞬間移動」の舞台が思う様にウケなかった事に対して (青鬼) が苛ついていたという事だと分かります------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter16 テスラの実験 - 1時間04分16秒辺り■】Scarlett Johansson (参照:Wikimediaより)『ボーデンの仕事部屋に訪れるオリビアの場面』アンジャーの言い付けでスパイとなってボーデンの部屋に訪れたスカヨハ扮するオリビアが言い付け通りに寝返る振りをする芝居を 半笑いで看破するボーデン。(青鬼)この時 疑いの眼を向ける策士に見えた表情には、オリビアに一目惚れした (青鬼) の鼻の下を伸ばした締りのない顔が含まれていた事になるわけですw【Blu-ray】LUCY/ルーシー[ スカーレット・ヨハンソン ]価格:1100円(税込、送料無料) (2019/11/14時点)▲目次へ▲■転送装置なのか複製装置なのかこのチャプターの冒頭の テスラの装置の最初の実験が行われる場面で放電の後 デビッド・ボウイ演じるテスラが放電を浴びた帽子を見つめて立ち尽くすのですが単に実験が失敗して固まっているにしては深刻度が高く 違和感があるので、これは、後の場面で たくさんの帽子が林の中で見つかる事からも既に実験は何度も行われ、帽子は転送される事は分かっていて尚且つここにも残る結果となった事の意味する所を考えて転送する度 複製を生む 事態に戦慄を覚えていた と言うことなのだと思います。只、転送そのものは成功している事は分かっていたとなるとなぜ、帽子が一箇所に纏めて転送されていた様な状況で帽子がどこに転送されたのかも分からなかった様子のテスラがこの時点でどうやって転送が成功している事を確認できたのだろう かという疑問が残りますこの辺りに、テスラが以前にも転送装置を誰かに作った事があるという事を匂わせるものを感じさせる所でもあります因みにこの装置ですが映画を見る限りでは アンジャーがテスラに何を発注したのか分からないのでこれは「複製装置」なのか「転送装置」の副産物なのかで意見が別れる所ですが常識的に考えれば 「瞬間移動」の舞台で使うのであれば「転送装置」を依頼する所でしょう又、「複製」を目的にしていたのであれば実験後、複製されたものは何処にある と、アチコチ見回して 探し回るのが普通の反応なのでこの場合は、実験後全員が「転送される筈のものがまだここにある」とばかりに装置に置いた帽子を 只見つめていた所からも「転送装置」の実験だったと捉えるのが自然であり実験の前からテスラの表情がやたら深刻過ぎで・・・デビッド・ボウイの演技が思いの外 大き過ぎた・・・わけでないのであれば...w実験後に テスラがあれ程固まっていたのはやはり、「転送」目的で作った装置が「複製」を作る副作用を起こした事に 愕然としたという場面だった様に感じました------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter16 テスラの実験 - 1時間06分40秒辺り■】『酒場でアンジャーの替え玉に入れ知恵する場面』アンジャーの替え玉 ジェラルド・ルート に支配権云々を入れ知恵しアンジャーの「新瞬間移動」を台無しにして足に大怪我を与えるボーデン(青鬼)------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter17 オリビアが見たもの - 1時間12分40秒辺り■】『ボーデンの部屋が荒らされた場面』ボーデンのノートを持ち出したオリビアに疑いの目が行かない様にボーデンの部屋を荒らしに行き自分がやった様に見せかけたアンジャーに対して「奴め遂に」と挑戦的に語るボーデンはこの後アンジャーがアメリカのホテルでボーデンのノートを解読する場面で描かれるノートを持ち出す様に仕向けた云々・・・という記述を記したのが(青鬼) だとすれば「奴め遂に(罠にハマったかw ザマミロ~www)」という意味になるという事で(青鬼)------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter17 オリビアが見たもの - 1時間13分30秒辺り■】『ファロンが拉致される場面』パルテノン劇場で華やかな「瞬間移動」マジックを行いスカヨハ扮する助手オリビアの手にキスしたボーデンはアンジャーを打ち負かした大成功に良い気分になり「今日は歩いて帰る奴が来てもいい」とファロンに告げている事で(青鬼) (※多分)だと思われますその後ボーデンを尾行するアンジャーを追ってマイケル・ケイン演じるカッターに拉致され銃で応戦するファロン は(赤鬼) (※多分)▲目次へ▲■拉致されるファロンはどちらのボーデンかこのセクションはオリビアの手にキスをしているという理由から、このボーデンは (青鬼) であろうという程度のしっかり仕分けが出来る様なハッキリとした布石がされて無い為作品中最も (赤鬼)(青鬼) の判断が付きにくい場面だったりします。(※いきなりリンク先から飛んで来て 赤鬼 青鬼 の意味が分からない という方は▼▼▼コチラ▼▼▼3. 二人のボーデンの違いを(赤鬼)と(青鬼)に分けて見てみるをお読み下さいw)この場面でボーデンが「奴(アンジャー)が来てもいい」と言ったのはもはやアンジャーを打ち負かしただけで無く自分達が事実上英国マジック界の頂点に立った事でもういつ死んでも悔いは無いと考えた完全勝利に酔う (青鬼) のセリフの様でもありますが拉致に銃で応戦するファロンの方が好戦的性格の (青鬼) の様な印象もありますし、或いは自分を撃ち殺そうとした時のアンジャーの殺気を警戒した (赤鬼) がいざという時の (青鬼) の援護の為護身用 に銃を携帯していた様でもあり と仕分けしづらい所です・・・最も、ラストでアンジャーを撃ち殺すのは (赤鬼) だと言う事からむしろ (青鬼) は「銃弾掴み」マジックの舞台にアンジャーの乱入を許し(赤鬼) の指を失わせた負い目から拳銃にトラウマ を感じている可能性がありそれらを考慮するとやはり拉致されたのは (赤鬼) の方だと考えるのが自然の様な感じがあります加えて、この後ファロンを救いに来たボーデンがアンジャーの要求に対して「テスラ」のキーワードをワナの材料として使った事からこの時のボーデンは (青鬼) と言う事になるのでここでのファロンはやはり (赤鬼) では無いかと思われます(※理由に付いては後述 ■5. ボーデンも複製か?■ の所で)------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter18 キーワード - 1時間15分00秒辺り■】『墓地に呼び出される場面』人質になって生き埋めになった ファロン を助ける為アンジャーの呼び出しに応じて「テスラ」というキーワードを教えるボーデンは上記の理由が正しいなら(青鬼)------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter19 秘密が人生 - 1時間17分40秒辺り■】『サラとのディナーで荒れる場面』ファロンを助け出した後のディナーのボーデンは明らかにサラの夫らしからぬ (青鬼) の様な行動を取ります。ここでのボーデンがどちらなのかを特定する証拠と言えば、ボーデンが「自分を生き埋めにして・・・」と言った後「・・・誰かに掘り出してもらう」の所でワインを指差す直前、自分自身を指差しているという見落としてしまう様な一瞬の動き と夫婦水入らずのディナーの席になぜファロンを同席させたのかという若干違和感を感じる位のものしかありません。では、ここでのボーデンは (青鬼) か と言われると「今日はひどい目に遭った」と語っている事から今のボーデンは 生き埋めにあった方の(赤鬼) という可能性の方が大きくなりココで荒れているのも、これまで(青鬼) の煽りを喰らい続けて来た (赤鬼) のストレスが今回の一連の事件によって遂に爆発したと捉えれば納得ができるものはあります逆に、今日が夫婦水入らずのディナーの日なのにも関わらず今のボーデンが (赤鬼) で無い理由は何かを考えると生き埋めに遭い弱っている上に午後の舞台をこなして披露の際にいる (赤鬼) が (青鬼) へ代役を頼み最近ボーデンの態度を疑い始めたサラの前で演技じみた態度を取って 疑惑の眼をそらしたと捉える事も出来ますまた、生き埋めにあっていたファロンが(青鬼)だったのであればひどい目にあった労いの意味からボーデンとして(青鬼)がディナーに出してもらっている可能性も考えられます。後は、この場面の最後で妻のサラが「アルフレッド おかしいわ お芝居はやめて」と言っている事を今、眼の前にいるのが紛れもない自分の本当の夫だと認識している「妻の勘」がそう言わせている場面と取るのであればこのボーデンは (赤鬼) だという事になりますつまり、この場面は今ボーデンになっている (赤鬼) が今ファロンになっている(青鬼) にブチ切れた様を描いている となり生き埋めになって死ぬ所だった (赤鬼) がこれまでこんな風に(青鬼)の煽りを食らい続けてどれほど耐えてきたのか という事に加えて2人でひとりを演じ続けて英国マジック界の頂点にまで登り詰めたにも関わらず今、一蓮托生となった自分達のどちらかが欠けたらマジックに人生を捧げるという「大事なモノ」を一瞬にして全てを失うという事を、もっと重く捉えろ とアンジャーの事はもとより、危機管理能力に欠けている (青鬼) への不満だけでなく贅沢癖があり、面倒な助手のオリビアの件や事情を話したくても話せない妻へのもどかしさなどの、今まで抑えてきた全ての「感情」を含めて家族とファロン (青鬼) とスカヨハ演じるオリビア共々関係者全員を同席させた所でなりふり構わずストレスの限りにぶちまけたというふだん温厚な人間が本気で切れたら手がつけられないという場面だったと、言うことになりおそらくそういう事だと思います。一方で、この場面のボーデンが (青鬼) だった場合本当は何に切れていたのかを 考えてみますと元々アンジャーの仇は(青鬼)でありマジシャンとして英国の頂点を極めて「もうアンジャーに殺されたとしても悔いはない」という気持ちになり「やつ(アンジャー)が来てもよい」とファロン(赤鬼)に告げて自ら標的となり悪縁を終わらせるのもひとつだと思っていた所相変わらず (青鬼) の煽りを食うかの様に援護に入って罠にハマり妻と娘を残して死んでいたかもしれない (赤鬼) に対し迂闊すぎる と 恫喝したとも取れ、何よりもその様な状況を作っている (青鬼) 自身が自分に切れた という場面だったのかもしれません------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter21 実験の成果 - 1時間23分15秒辺り■】『黒猫での実験』▲目次へ▲■時代劇である事に秘められた巧妙なトリックテスラの資金難の解消に良いように利用され金を騙し取られたと思ったアンジャーがテスラの研究施設に怒鳴り込む場面でテスラは黒猫を使った実験を行います結局成果は無く失念して立ち去ろうとしたアンジャーは林の中に放された黒猫の鳴き声が2匹に変わった事で異変に気付き林の中に大量の帽子が散乱しているのを見ると態度が一変します■この時のアンジャーの「成功していたのか」という台詞は装置の転送が成功していた事を意味し同時にこの場面は装置に複製を生み出す致命的な欠陥がある事が描かれた重要な伏線だった事が分かります。又、放電実験の後 装置に残った黒猫は助手のアリーに首輪を外されてから林に向かったので林の中の2匹の黒猫の内、首輪をしている黒猫がテスラの装置で転送された方だと分かる事からアンジャーはその事に気付いて装置の成功を知ったという事になります。■■この場面は 本作のキービジュアルとも言える「林の中の大量の帽子」が登場する重要なシーンでこの「大量の帽子」が後にアンジャーの瞬間移動マジックはこの帽子同様に人間を複製する所に種があったと判明した時不気味な鍵となる存在となり観る者を言い様の無い深い闇の中へ叩き込まれた様に戦慄させる本作のダークな側面を担う衝撃のラストへと繋がる重要な布石となっていきます。同時に、この「テスラの装置」が全身に稲妻を浴びても平気という19世紀当時の最先端の技術を使った単なるド派手な演出を行う舞台装置を作っている様に見せかけ林の中の「大量の帽子」は黒猫達がイタズラでくわえて持って行ったものだろうと思わせて鑑賞者にそのままラストまで正体を悟られない様演出する本作最大の「見せ場と悟られてはならない見せ場」となる場面でもありますテスラ初登場のシーンやボーデンの瞬間移動マジックのシーンで稲妻発生装置が使われたのも「テスラの装置」が単なる舞台装置に見える様に「種」を悟られ無い様に意図的に別の方へ気をそらせる「誘導」だった訳ですこれは、「あの大量の帽子は一体何だったのか」という謎に対してモヤモヤした違和感のみを残させる様に作品の時代を「19世紀のロンドン」に設定してその時代の空気感すら伝わってくる様な時代考証を細かい所に至るまで精密に行ったリアルな時代劇作品にする事でロバート・ダウニー・Jr主演の『シャーロック・ホームズ』の様なSF時代劇サイバーパンク系ファンタジー作品と呼ばれるCG全盛の何でもアリなハリウッド作品と混同され無い様にして映画の中で人が転送されれば「物質転送装置が使われた」と思い付く発想そのものを観客に微塵も起こさせない様にした所に本作の最大級の巧妙な「トリック」があった訳です【Blu-ray】シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム[ ロバート・ダウニーJr. ]価格:1100円(税込、送料無料) (2019/11/14時点)------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter22 ウソの日 本当の日 - 1時間26分20秒辺り■】『ボーデン家での家族との場面』娘ジェスに動物園へ連れて行くと約束し、昼間から酒を飲むサラに「今日は本当の日」と言われ 遊園地のメリーゴーランドで ファロンと密会し「サラが気付いている」と告げた後スカヨハ扮するオリビアに逢い気乗りしないボーデンにシラケるオリビアに「ファロンを信じろ」と言うボーデン(赤鬼)メリーゴーランドでの密談はボーデンの謎に繋がる映画の柱となる最重要場面だった事が分かりますしオリビアがキスしようとするとボーデンが軽く拒むなど、終始気の無いボーデンにオリビアがシラケる事でここでのボーデンが(赤鬼) だと分かりますがこれらの重要な布石を浮気が原因に見せかけている脚色が巧妙です。------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter24 秘密を持たないで - 1時間32分40秒辺り■】『ボーデンとサラの激しい言い争い』サラに「もう隠していられない」と激しく言い寄られ「愛していない、今日は」と答えるボーデン(青鬼)この場面で 娘ジェスをソッと廊下から連れ出す ファロン。(赤鬼)このファロンはジェスの本当の父親だったから夫婦の言い争いを聞かせない様に連れ出したという事なのですが結局この時ボーデンがサラに告げた「愛していない、今日は」というセリフが決定打となりこの後サラはボーデンの仕事部屋で首を吊って自殺をしてしまいますこのボーデンのセリフの意味をサラがどう取ったのかは次のシーンが 鍵となります------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter25 ダントンの復活 - 1時間38分11秒辺り■】『ボーデン、オリビアとの別れ』スカヨハ 演じるオリビアが 去る場面で「サラを一度も愛したことは無い」と告げるボーデン(青鬼)この場面で、サラが自殺の前日にオリビアに会ってボーデンの秘密を打ち明けようとしたという非常に重要な事実が サラリ と語られ状況的に 不倫 の話にしか見えない所が脚色の妙なのですがこれはボーデンが双子であるというカラクリにサラが気付いていた事と自分でも知らないうちに夫婦生活の半分を夫で無い人間と暮らし二人で一人を演じるというボーデンの芸の犠牲になったというサラの自殺の真相が浮かび上がる重要な布石となる場面でもあります------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter26 人間は想像を超えた - 1時間43分20秒辺り■】『種が分からず動揺する場面』▲目次へ▲■「アイツの事は放っておこう」の真意テスラの装置を使った「新・瞬間移動」マジックの種が分からずにボーデンに 怒鳴りつけられるファロン(赤鬼)その後ファロンは廃墟の劇場に何かを運んでいる事を突き止めアンジャーの「瞬間移動」マジックに感服して「アイツの事は放っておこう」と語るボーデン(赤鬼)死刑執行前に「お前は放っておこうと言ったのに」という (青鬼) のセリフからこの場面のボーデンは (赤鬼) で間違いないのですが廃墟の劇場を突き止めたファロンは流れから(赤鬼) だな という感じでそのままファロンは廃墟の劇場に侵入してアンジャーの水死体が入った大量の水槽を見たであろうと 匂わせるものはあるのですが映画では描いていない為 不明です■この場面での ボーデンのセリフはテスラの装置の事を知っているのかどうかを判断する上でもかなり重要なのですが字幕で「舞台の下には何がある」と訳されたセリフは原語は「What is going on under that stage ?」なのでどちらかと言うと「舞台の下で何が起こっている」という感じで「種」よりも 何が起こっているのかを気にしている様にも取れるセリフに思います又、字幕で「公演のあと、あれを運んでいる」と意訳された様なセリフも原語は「they do this every night, after each Performance.」 と「公演後、連中は毎晩 (仕事を)やる・・・」という程度の意味でそれに対して肩をすくめるのも何も分からずお手上げの様でもあるのですが全てのカラクリを分かっていてそこまでやるかと戦慄して震えた様でもあるのでこの場面のボーデンは廃墟の劇場で水槽を見て全てのカラクリに気付いてアンジャーのやり方は自分達の信念とは異なる狂気に満ちたもので、気に留める必要なしと決断した(赤鬼) なのだと思います只、どちらにでも取れる、かなりモヤモヤしたセリフになっている様で困りものですw------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter27 見てはいけない真実 - 1時間45分00秒辺り■】『変装して舞台に上がる場面』アンジャーの「瞬間移動」マジックの舞台に上がって装置を眺めて舞台下まで行き 水槽に落ちるアンジャーを目撃する ボーデン(青鬼)これで、刑務所に入り死刑になるのは(赤鬼) が制したのにアンジャーのマジックを観に行った(青鬼) の方だと分かります------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter27 見てはいけない真実 - 1時間49分10秒辺り■】『コールドロウ卿と対面する場面』▲目次へ▲■アンジャーがボーデンの娘ジェスを引き取る理由「瞬間移動」の種を教える代わりに娘に会わせる条件を呑み面会にやって来た 富豪の収集家 コールドロウ卿は水槽で水死したはずのアンジャーだった事で事態は急変しますそもそも映画は当初から水槽に落ちたのが替え玉を演じた ルート の可能性を故意にチラつかせながらこうして肩すかしな程に コールドロウ卿 として生還 させる展開を迎えるのでこれらが鑑賞者にも想像が付く様な不自然な程に「想定の範囲内」程度の展開だったのもとどのつまりは驚愕の真相をラストで明らかにする為の、伏線だった事が分かります。■所で、一部ネットでもこの場面のやりとりが、ボーデンが『娘は巻き込むな』と言った事に対し『大事な者を奪われる辛さは知っている、君が連れて行けまい』と言ったアンジャーに ボーデンが顔色を変えた事に付いて「アンジャーがボーデンの娘ジェスを殺すつもりでいる」という多くの意見が見られ物議を醸しましたがそれが原作の内容に起因した論議であればともあれ本記事の冒頭でも書いた通り当サイトでは本作に関して「原作本」を脚色した独立した別作品として原作とは切り離して検証しているという記事の性質をまずはご理解いただきたく、これは2つの意味で まず無い と思われます。理由の一つとして、これは正に娘が殺されようとしている様に見える様にして実はボーデンは双子で、ここでのボーデンはジェスの父親の方では無く現在ファロンになっているのがジェスの本当の父親で自分が死刑になった後、父親の方のボーデンがジェスを引き取れなくなる事に焦ったという真相から観客の注意をそらせる演出の一環である 事と、もう一つは、「ガラパゴス化」と揶揄される程諸外国とは全く異なる文化的背景を持ち大ヒットアニメや漫画で当たり前の様に見られる「少年少女」の「ある種」の描写にも世界的にも寛容な 日本とは事情が全く異なり児童虐待が深刻な社会問題化している欧米諸国の場合は必然性のある社会派作品や敢えて社会に切り込む大家作品或いは、敵国に当たる人種の所業という設定であればともかくとしてアンジャーを演じたヒュー・ジャックマンの出世作でもある『X-MEN』の シリーズ6作目の様にロシア人に子供が殺される一方で、米国の学園の生徒は全員爆破から逃れるという分かりやすい極端な例もある位に近年「児童虐待」をイメージするプロットは社会性を考慮し極力避けるハリウッドの傾向からもいくらダークな作品とはいえこの様な大金をかけた大作であっても無くても、セリフ上で終わる程度な事だとしても「子供を殺す」という様な集客に確実に影響を与える様なマイナス因子のプロットを敢えて入れるという事はとても考えにくいという米国内の社会通念上の配慮が、理由として上げられます問題となる場面でもマイケル・ケイン演じるカッターがアンジャーと思わぬ再会を果たし罠にかかり死刑になるボーデンの件で激怒しながら娘までもどうするつもりかと問い詰めた事に対してアンジャーは心外だという眼をして「面倒を見ている」とハッキリと答えております又、本当に娘を殺す気であれば激怒するカッターに何を言っても仕方がないので話をそらせる筈ですし何よりも、娘が生きているという事はボーデンへの復讐はまだ終わっていない事になるのでこの時点で全てが終わったかの様にカッターにテスラの装置を封印する様に持ちかけるのは不自然であり演出上ぼやける事にも繋がるのでこれらの理由からもあり得ないと考えますこれは、ボーデンに、全てを奪われる事の辛さを味合わせてこれまでの確執を終わらせようと考えたアンジャーが名誉を奪う為にマジックで打ち勝ち、命を奪う為に罠に陥れ、最後は家族を奪う為、娘を養女にしたという金と権力にモノを言わせてボーデンから全てを奪い取り完全勝利を確信して前に進もうとしている場面と捉えるのが自然なのでここは単に(赤鬼) が実の娘を引き取れなくなる事に(青鬼) が焦った場面と取るべきなのでしょう尚、アンジャーがボーデンの娘ジェスを引き取った本当の理由は後程■6. どちらが本物でどちらが複製か■の所で解説します。(※いきなりリンク先から飛んで来て 赤鬼 青鬼 の意味が分からない という方は▼▼▼コチラ▼▼▼3. 二人のボーデンの違いを(赤鬼)と(青鬼)に分けて見てみるをお読み下さいw)【Blu-ray】X-MEN:アポカリプス[ ジェームズ・マカヴォイ ]価格:1100円(税込、送料無料) 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がボーデンとして現れるという奇しくもここでも、アンジャー同様の命がけの「瞬間移動」マジックが行われた事を暗示したものだという事が分かります又、二人で一人のボーデンを演じながら「ボクがサラを愛し・・・」と言っている事からサラの夫も娘の父親も (赤鬼) で間違いないという事になります■ここでアンジャーが自業自得で自滅するのであればともかく(86)『プラトーン』のチャーリー・シーン演じるテイラーがトム・ベレンジャー演じるバーンズに下した結末同様に主人公たる立場の人物が 因縁の相手を銃殺して自ら手を汚した後何事も無く娘と共に新生活を迎える展開に今ひとつ感情移入が出来ず違和感を感じる方もおられるかもしれません。アンジャーがこの様な顛末を迎えるのもひとえに途中から私怨を大きく逸脱した悪行に対しての代償であると捉える事が出来ますがそれ以前に、映画を見る限りでもアンジャーの妻ジュリアは危険な「二重結び」に前向きで、マジシャンとして極め様という気概がありましたし「二重結び」をした後のボーデンの相槌にも応えていた様でしたので納得尽くの事の様にも捉えられジュリアの事故死の責任の一端がボーデンにあったとしてもマイケル・ケイン演じるカッターの言う所の若さ故の過ちから起こった 不幸な事故だったのでありその後のアンジャーの犯した一連の報復行為には正当性も正義も存在し無い単なる私怨に過ぎない事が見て取れます。まして悪辣な罠で人の命を奪い、それで幕引きしたつもりでいる所業に天網恢恢疎にして漏らさずとばかりに制裁が下ったという事になるのでしょう。結局アンジャーは、自分が撃たれた事よりもボーデンのマジックを看破できなかった事に無念さを抱き複製に複製を重ねて今居る自分は何者なんだと神をも恐れぬ所業を繰り返した罪に苛まれながら誰よりも手を汚し尽くした末、喝采を浴びる事の歓喜の充実感を知りお前なら分かる筈だと ボーデンに訴えながら巨大な闇を抱えて死んでいくのでした。あるいは、アンジャーの「瞬間移動」のからくりを気付いていたかもしれない (赤鬼) が、アンジャーを射殺をしたのはアンジャーの自己満足の為に生み出されては狂気のマジックの犠牲となって水死させられた知られざる哀れな100人もの「複製されたアンジャー達」へ向けての手向けの意味も、あったのかもしれません・・・【Blu-ray】プラトーン [ オリバー・ストーン監督 ]価格:1885円(税込、送料無料) (2020/7/10時点)------------------------------------------------------------------------------------------------【■Chapter30 約束 - 2時間04分40秒辺り■】『水槽の中のアンジャーの場面』林に転がるたくさんの山高帽子は それぞれが複製されたものだという事を指しエンドロール直前の水槽の中のアンジャーはボーデンが撃ち殺した遺体では無く、まして 替え玉のルートでも無く舞台下に置かれた大量の水槽の中の複製されたアンジャーの水死体の 一つ だと言う お話でした。ココで、全部の水槽にアンジャーの水死体が入った映像を入れなかったのは観客の曲解を意図的に招いて思考の迷宮に落とし込む「誘導」だったと言う 訳なのでした。■さて、人は良く「人生が二度あれば、あの時ああだったら、」と考えるものですが本作のボーデンの描写は、その時取った決断が人格に影響し同じ人生を歩みながら、全く別人として生きる事になるというそんな「人生の分岐点」を、分離した別人格で表現した演出の一環だったと捉えますと本作は2つの人の人生を描いた妙を見る様な非常に興味深い側面を持った作品と言えるのかもしれません。▲目次へ▲5. ボーデンも複製かさて、本作は、観客に気付かれない様に 様々な布石を配置しながら巧妙に話を逸らせる脚色が施されており観客はラストまで真相を知ること無く「ボーデンは双子」「アンジャーは複製」と言う展開に衝撃を受ける様構成されております。ラストでは これまで見過ごしていた尋常じゃない数の伏線と布石の所在が思い当たる様 浮かび上がるのでこの「ボーデンは双子」という展開も額面通りに受け取るのはまだ早計 という事が言えるかもしれません■映画を思い返してみますと、「双子か」と言及したのは ラストでヒュー・ジャックマン演じるロバート・アンジャーのセリフのみでありそれに対してクリスチャン・ベール演じるアルフレッド・ボーデンは否定しませんでしたが 肯定もしておりません。そもそも瞬間移動の鍵としてデヴィッド・ボウイ演じる「テスラ」の存在をアンジャーに告げたのはボーデンであり物語の中でもテスラは以前にアンジャーの同業者に装置を作ったという様な言及もありました。又、テスラが語った 「特異な人間に特異な装置を作る」というのがボーデンの事を指している様でもありこれらは全てボーデンが以前に「瞬間移動装置」を使い自分自身を複製をした事があるという事への伏線とも捉える事が出来る疑惑でもあります。完成品が渡された時の手紙の文章にも「この装置は悲劇をもたらす」と記載されていた事から察するとそれがボーデンの事かどうかは さて置いても過去にもテスラが人を複製した事実を匂わせる事の様にも感じられるものがあります。そこで、ボーデンは双子という事で特に支障のない本作のプロットに最終的に白黒ハッキリさせない様な果たして伏線だったのかどうかも定かでないモヤモヤした脚色で「ボーデンも複製 かも」という可能性を匂わせて整合性が崩れかねない伏線をなぜ張る必要があるのかと いう理由を汲みながら考えてみますと、これに付いては近年『シン・ゴジラ』でもそうでしたが鑑賞後も観客を思考の迷宮に突き落とすという、独特の世界観を印象付ける演出の一環という理由がまず思い付きます。ボーデンが複製人間だったとして★ ボーデンがテスラ製の装置を使っているアンジャーを見て「瞬間移動」の種が分からずに劇場の舞台裏まで忍び込む理由が成立しなくなる事と★ 本作の柱となる「アンジャーが仕掛けたボーデンへの罠」が成立しなくなるという映画の整合性に関わる問題が発生しそして、双子だった場合ボーデンとテスラの接点が時系列通り本編45分過ぎのシーンアルバート・ホールでの実演を観ていたのが最初という事になり(※Blu-ray - Chapter11「テクノロジー」) 放電装置を見たボーデンがスカーレット・ヨハンソンを助手にして演じる「瞬間移動」マジックをより良く見せる演出に使えると考えてテスラにマジック用の「放電装置」の制作を依頼したという一連の流れが生まれボーデンは「瞬間移動装置」とは何の関係もないという整合性が成り立つのですが◯現実問題「双子」では速攻で身内にバレるだろう。◯「今日はウソの日」程度の違和感では済まされない。◯そもそも「双子」ではトリックがお粗末過ぎる。●昔、デビッド・カッパーフィールドもそんな噂が立ったがこれはそのオマージュか?wなどの苦言が発生する事になりどちらも論理的着地点を見出だせ無いないまま有耶無耶に終わるという事が言えると思います他にも、ボーデンが「テスラ」の名前を暗号日記を解読するキーワードとして使っていた件では、「テスラ」というキーワードを使った暗号日記の記入がアンジャーと出会う前後辺りから行われている 事からボーデンは少なくとも日記を付ける直前にはどういう形であれ「テスラ」を知っていた事になり「テスラ」と会って 装置を使い自分を複製したという可能性は消えていない事になります一方で、この暗号日記がアンジャーを嵌める為だけの目的で書かれたものと捉えますとこれは単に文章が日記仕立てに書かれたダケの偽日記となりテスラとの関係性の証明には使えず複製説の証拠では無くなる と言った取り様によってどの様にも取る事が出来る様々な布石が配置されている事が曖昧な伏線を曖昧なりに成立させている一番の理由という印象があります■では仮に、ボーデンも複製だったとしたら どういう事になるのかかなり妄想も入ってますが敢えて想像してみますと・・・特別な人間に特別な装置を作るとの噂を聞いたか どうか分かりませんがwとにかくボーデンは自分が実験台になりテスラの装置を試します。しかしアンジャーの帽子を使った実験の時と同様の結果となり実験は失敗したと思い込んだボーデンは失望して帰宅します一方、人知れず離れた場所に転送されたもう一人のボーデンは実験が成功したと思いきや、実験室に自分がもう一人居る事を知り装置が生み出す恐ろしい弊害と 自分の置かれた状況を理解して実験は失敗した事にした方が良いと判断し誰かに気付かれる前に雲隠れします或いは、ボーデンが帰った後に入れ替わる様に離れた場所に転送されたもう一人のボーデンが実験室に入って来てそれを見たテスラは転送装置の実験は成功したが複製を造るバグがある事に気付きこの装置は人を不幸にするとして転送されたもうひとりのボーデンにこの事実を口外しない様に説得した・・・とも取ることが出来ます。後日、もう一人のボーデンは自分は双子の兄弟の隠し子とか、家は貧乏だったから里子に出されていたとか自分も最近その事実を知ってお前がマジシャンで活躍している事に驚いて会う事にしたとか何とか・・・もっともらしい理由を付けてボーデンの前に現れテスラの装置の真相は墓場まで持って行く事にした・・・・・・という事であるならば少なくとも二人の内一人は装置の真価は知らない事となりテスラの装置は失敗作だと思い込んでいる方のボーデンが良い散財になると睨んでテスラのキーワードをアンジャーに教えて装置を作らせる様に仕向けたりアンジャーの瞬間移動の種が分からずファロンを責め立てて荒れ好奇心に勝てず自らアンジャーの罠にはまるという本作の柱となるプロットの整合性は保たれます。更には、二人のボーデンの仕分けも元々のボーデンが転送装置の様な得体の知れないものに自ら実験台になる様な恐れ知らずの好奇心旺盛な人物だと考えられる所から装置の実験は失敗したと思い込んでいる方のボーデンはこの経験で何か衝撃を受けたとか人生観がガラリと変わったとか性格にも影響が出る様なトラウマになったとかそんな訳は無いので性格はそのままという事でコチラは (青鬼) という事になり転送されたもう一人のボーデンの方は、人間が複製されるという事の重大さに恐れを抱き自分の好戦的な性格が招いた事としてこれまでの態度を改めて思慮深くなり恐らくファロンとして大半を過ごしたと想像できる事からコチラは (赤鬼) という風に分けられます(※いきなりリンク先から飛んで来て 赤鬼 青鬼 の意味が分からない という方は▼▼▼コチラ▼▼▼3. 二人のボーデンの違いを(赤鬼)と(青鬼)に分けて見てみるをお読み下さいw)そうして、本作を改めて観直してみますとラストのボーデンのセリフの「難しかった 2人で一つの人生を生きるなんて」という言葉の真意が見て取れたりカッター達に拉致されたファロンもどんなに脅されても頑なに口を閉ざし「種」を明さなかったのは明かさなかったのでは無くて人間を複製するという恐ろしい事実を明かせなかった と分かります又、復活したアンジャーのステージを観覧し脱出マジックの水槽を見て 心を痛めながらもテスラの装置を使った転送マジックを観た衝撃と危機感から思わず席を立ったボーデンが水槽を傍で見ていた記憶がある事から 青鬼 だったとしてその後、アンジャーの転送マジックの種がなぜ分からないとボーデンに責められ落とし戸のカラクリを描いた所で固まっているファロンも「ステージの後毎晩あれを運んでいる」の「あれ」とは複製されたアンジャーの水死体が入った水槽だと看破した様に身震いしたボーデンもこれらはテスラの装置の恐ろしさを唯一知り更にはアンジャーの転送マジックの狂気のカラクリを知っていた(赤鬼) の方だったと考える事が出来ます又、アンンジャーと組んでいた頃カッターのはからいで金魚鉢のマジックを見に行った時に帰り道でアンジャーとマジックの種について互いに意見しあっていた中で、マジックの種を看破して「芸の為なら人生も犠牲にする」という一節を口にした後何かに確信を得たかの様な表情をして、コレは使えるというばかりにガッツポーズを決める様に柱に向けてゲンコツを立てた事も、ここでは、マジックの種を見事に看破している事からこの場面のボーデンはファロン的なのでこの後ファロンとして大半を過ごす 赤鬼 が自分達のどちらかがテスラの装置によって意図せず造られた複製人間であるという境遇を考慮して(又はチャンスと考えて)いつの日か行う「瞬間移動マジック」の為に双子の事実は 世間に伏せて(青鬼) と共に「二人で一人」を日々演じる事を思い付いて手応えを感じた場面に取る事が出来ます。又、テスラの放電の実演を眺めていたボーデンもマジックの演出に使えないかと考えながら観ていたというよりは自分達の運命の始まりを回顧する様な眼で眺めていた所からテスラの創る装置の真価を知っている(赤鬼) の方だと分かります。加えてこの後に、瞬間移動マジックの演出用に放電装置の発注をする為に再びテスラに会い自分達が複製された事実を話したとも考えられそれが、アンジャーに対してテスラが取った一連の態度の現れの理由だったとすれば 筋が通ります更に、アンジャーの転送マジックの後運ばれる水槽を追って廃墟の劇場に辿り付き、恐らく中で水死体が入った大量の水槽を目撃したであろうファロンも「アイツの事は放おっておこう」と言ったボーデンも装置のカラクリを知っていた (赤鬼) と捉えますと、全ての謎が繋がりますし双子となった真相を (赤鬼) から知らされていなかった (青鬼) が留置場でアンジャーと再会した後 全てを察知し、或いは脱走も可能だったかもしれない状況でもう半分のボーデンの人生を (赤鬼) に全てを託して刑に準じたという(青鬼) の真意も見えて来て辻褄も合う事になります。加えて、ラストでアンジャーの水死体が入った100体もの水槽を見ても驚きもせずにまるで全てを知っているかの様な眼で眺めていたのもテスラの装置の真意を知った上で「よくぞ、ここまでやったな」と感慨深さと戦慄が混じった気持ちでいたという事が分かります。次に、ボーデンが複製された時期の特定ですが、これは特定が難しいながらもカッターの下でアンジャーと組み始めた時マジシャンの小道具係をやっていたボーデンがカッターの所にやって来た理由が二人になって食い扶持が増えた為であれば納得できますし又、中国人マジシャンの金魚鉢マジックを看破した時日々を犠牲にする精神に対して何かの手応えを感じて 静かにガッツポーズを取ったのも瞬間移動マジックを演じる為に日頃から一人のボーデンを入れ替わり演じる事を思い付いた様な印象があります何よりも、ミルトンの水槽マジックの後の楽屋の場面での会話でカッターが「君は何か(新しいマジックが)あるんだろ」と言った後ボーデンが「もちろん」と返しカッターが「売ってくれ」と言った後ボーデンが「僕にしか出来ない」と言った真意が複製になった自分達だから出来る事という意味が含まれていると捉えるならばアンジャーと組む前から既に複製だったと捉えるのが自然だと思われます。■これらは演出上「双子」でも「複製」でもどちらでも取れる様 に観客の判断に委ねた作りとも取れますが70年代のおおらかな時代の映画であれば ともかくとして目の越えた観客が多い現代において、あちらを立てればこちらが立たずという様な伏線と言うには曖昧な「怪しい」脚色が盛り込まれたまるで人を喰ったような「解けないミステリー」が残ったままのモヤモヤした幕切れをする作品は全ての伏線が一本の線で繋がり謎が解き明かされるカタルシスにミステリーの醍醐味を感じる映画ファンにとっては受け入れがたい造りでありこのあたりに本作がノーラン作品でありながら地味な評価に繋がった理由があるように感じられました。一方で、この様な「怪しい」伏線を張った真意はまるで超能力の様にも、単純な仕掛けがある様にも幾重にも取れる何が本当で何が嘘なのか観ていて混乱する全く種が分からない「マジック」を観た後の外連味ある人を喰った様な後味を再現するという映画をひとつのマジックの演目に見立てた演出上の狙いからかと、思われるものがありました。或いは、娘と共に新たな人生を送る悦びを噛みしめながら笑顔で去って行くラストのボーデンを印象付ける為何かに取り憑かれた様にマジックに没頭してきたこれまでの人生との訣別を意味する様に「種の分からないマジック」の様な深い闇の中にあった人生を象徴する「仕事部屋」を新たな人生の旅立ちを意味する様に立ち去る事で明るい未来が待っている事を印象付ける為に解けないミステリーを残して行く様に映画を終わらせたという製作者の意図があったのかもしれません☆▲目次へ▲6. どちらが本物でどちらが複製かアンジャーはラストで今の自分は本物なのか複製なのかと ボーデンに問いかけましたが「非道を重ねてもはや人間では無くなった」という脚色上の比喩とは別にテスラの装置で複製された方は転送された方なのか、その場に残った方なのかそして、オリジナルはどちらなのかという疑問が残りますこれに付いては、黒猫を使った実験の場面で装置の稲妻を浴びている間 威嚇する様に鳴いていた黒猫が装置が停止した途端、嘘の様に静まった事に対して林の中に転送された方は相変わらず威嚇する様に鳴いていた事から転送された方は転送前と同じ動作をしていたという事を理由として転送された方 が オリジナル で残った方 が 複製と 仮定する事が出来ますアンジャーの場合はラストの回想で、転送された自分を銃で撃つ場面があるので「複製」が「オリジナル」を殺した事になりそれ以降のアンジャーは全て「複製人間」だったという事になりますつまり愛する妻を失い喪失感にくれボーデンに固執し続けたオリジナルのアンジャーは既にこの世に無く、奇しくも「複製」の方が、妻の死を乗り越え私念を捨て「複製」の自分を更に複製して水死させ続けながら狂気のイリュージョンを続ける「怪物」と化して行ったという衝撃の結末に言い様のない「深い闇」を感じる所でもありますこれは、演目の為に人も自分も自分の妻さえも犠牲にして来たボーデンと「同類」となりもはや妻の死の責任を責められない程 犠牲を重ね演目の為に演目の数だけ人間を複製しては殺し続ける非道を行い芸に取り憑かれた「魔物」と化したと悟ったアンジャーがオリジナルを撃ち殺した「複製」の方だったというのが実に興味深く、心の底で 自分は実は「複製」の方だと薄々気付いている様な演目で毎回水死しているのは、複製した「コピー」で生き残っているのは自分をコピーし続ける「複製」だと 分かっている様な演目の度、「複製」をコピーした「複製」を生み・・・水死しているのはどうせ自分の「コピー」なんだと納得し、100回も「複製」に「複製」を重ねてそれを水死させ続けて存在している自分はもはや「人」だと言えるのかどうか、定かでは無くだから、100回もの回数の水死体を出す狂気の演目を続けても平気でいられた様な映画から、そんな匂いを感じさせるものがある所からも故に、自分は何者で、何者でもない何も無い「空」だと ラストでボーデンに指摘される様な、自殺願望に駆られた自分を演目で何度も水死させ「複製」の自分がそれを外から眺めるかの狂気のイリュージョンを続けて「コピー」を重ねた書類や「ダビング」を重ねたアナログビデオがどんどん鮮明さを失って行く様に「複製」を続けて行く度 人としての何かを失い、狂気のイリュージョンを100回も続けられる程に人の姿をした「怪物」と化した所から全てが終わった後は、ジェスから父親を奪った事への罪滅ぼしの意味の他に人としての何かを失ない「空」となった自分が人の子供を育てる事を通して少しでも「空」を埋めて癒やされようと思いボーデンの娘ジェスを引き取って養女にして育てようとしたのかもしれませんラストでボーデンがアンジャーを射殺するのも(青鬼) の仇を取ったとも、哀れな100体のアンジャー達の手向けとも取ることができますがオリジナルのアンジャーは目の前の複製されたアンジャーに殺されてすでにこの世に無い事を知っているボーデンが自分は本物では無く狂気のマジックで生み出された副産物のコピーに次ぐコピーに過ぎない・・・と分かっている目の前のアンジャーの意を汲むかのように射殺して葬り去り全てを終わらせたという事なのかも しれません・・・(※いきなりリンク先から飛んで来て 赤鬼 青鬼 の意味が分からない という方は▼▼▼コチラ▼▼▼3. 二人のボーデンの違いを(赤鬼)と(青鬼)に分けて見てみるをお読み下さいw)■一方、ボーデンも複製だったと仮定すると転送された (赤鬼) の方がオリジナル のボーデンとなりそれを踏まえて振り返ってみますと或いは脱走できたかも知れない状況で(青鬼) が刑に甘んじたのも(赤鬼) への謝罪の念の他にどこかの時点で自分は複製だと気付き赤鬼 がこれまで通り ボーデン として生きて行ける様自分 は消える事を望んだという風に捉える事が出来ます又(赤鬼) と (青鬼) の 性格の差が生まれたのも特に、双子となった理由を唯一知る 赤鬼 の方がこれまで 自分 が取ってきた行動を 青鬼 を通して見続けてきて過激で挑戦的だったこれまでの自分を改め一歩引いて外から眺める「視点」を生み出したかどうかの違いからだと分かりますそして、ラストでボーデンが娘と共に第二の人生を歩むハッピーエンドを迎える事が出来たのもアンジャーとの悪縁が切れたからという事では無く己自身を見つめ改め自分自身を変えて来た事によるものという 本当の理由も見えてきます。■本作は数多くの布石と伏線が巧妙に張られたダークで凄惨なサスペンスミステリー系作品として語られる作品ですが舞台となった19世紀の世の中においても常識もルールも常に変化し混沌とした現代社会においても「人は変わる事が出来る」という誰もが理解できる ごくごく当たり前な人の生き方の道理を説いたヒューマニズムを描いた所に真のテーマがある作品なのではと思うのでした☆
2017年04月02日
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PART1【映画解説編】「巧みな布石と衝撃のラストが見物の怪奇幻想ミステリー」プレステージTHE PRESTIGE2007年6月9日公開 アメリカ 128分■監督 クリストファー・ノーラン■出演 ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン スカーレット・ヨハンソン、アンディー・サーキス、デビッド・ボウイ■ もくじ ■PART1【映画解説編】『巧みな布石と衝撃のラストが見物の怪奇幻想ミステリー』■はじめに- コラム -「日本の脱出マジックブーム」 1. 日本のイリュージョンのパイオニア 2. マジックの三段階 3. 突然の種明かしと脱出ブームの終焉- STORY -19世紀の奇術界を舞台にした怪奇幻想ミステリー 1. 本作の内容 2. 衝撃のラスト5分 3. 19世紀世界を実現した芸術的映像 4. 映画そのものが壮大な「マジック」 デヴィッド・ボウイ演じる実在の天才発明家ニコラ・テスラ 「レディオヘッド」トム・ヨークの主題曲PART2【完全ネタバレ解説篇】※以下は映画の鑑賞者向けに「謎」を解説した記事になります衝撃的ラストの意味や本作の布石や場面の意味など10万文字の大容量で詳細に解説!※ 【完全ネタバレ解説編】の目次に付いてはそれ自体がネタバレになる為ここには記載しません映画鑑賞後にリンク先の PART2の頁で確認して下さい ≫PART2の頁へ■はじめに本レビューは 映画『プレステージ』を解説した記事となっておりこれから観る方向けに PART1 映画解説篇 として既に鑑賞した方向けに PART2完全ネタバレ解説篇 として分けて更新し数ヶ月に渡って映画を詳細に検証し 一年以上の長期に渡る執筆で楽天ブログの限界を越えた 全10万文字2ページに渡り更新解説した当サイトのブログ主が 思う限りの内容を書きたいだけ書きそれでもまだ書き足り無く思い、一本の映画の解説をするだけでなぜ本になるのを納得した空前の長編レビューとなっております本作がどの様な映画なのか お知りになりたい方や本作を鑑賞した後 モヤモヤした方や本作の鑑賞で 謎を知りたい方や「あのラストって何?意味わかんないっつ」と聞いてうるさい家族を持たれた方など(※実話)独断と偏見が多分に入った偏狭な長文駄文ですが何かのご参考までにご鑑賞頂ければと思いますなお、PART2 ネタバレ解説編 に至っては、映画全体に渡る詳細なネタバレを可能な限り解説する、あくまで 映画鑑賞済の方向けに特化された記事 となっており、又、例え興味本位としても 本作品の性質からも映画未見では何を解説した記事なのか 全く意味が分からない内容となっておりますので映画未見 の方の PART2 ネタバレ解説編 のご鑑賞はお勧め致しかねます のでご注意くださいという訳で 順番に解説して行きましょう☆▲目次へ▲- コラム - 「日本の脱出マジックブーム」■日本のイリュージョンのパイオニア引田天功と言えば 現在齢50を幾つも越えているはずの「プリンセス天功」を誰もが思い浮かべるかと思いますがまだ「イリュージョン」という言葉が無かった頃の70年代日本テレビ系の人気バラエティ番組『木曜スペシャル』の目玉企画としてそれまでのマジックの常識を覆す様な非常にスケールの大きい『脱出マジック』を披露し回を追うごとに 大仕掛で大掛かりになって行ったそのパフォーマンスで日本中に『脱出マジック』ブームを巻き起こした初代 引田天功を連想される方は少なくないと思います。半世紀以上前の当時、日本最速を誇る走るジェットコースターに乗せられた燃えるボックスから、手足を縛られた状態からの決死の脱出や仕掛けられた時限爆弾が次々と爆発する水道管を時間内に通って安全地帯へ脱出するパフォーマンス等々特撮の技術を使った様な 現在の大掛かりで高度なパフォーマンスと比べてもスケールの大きさに置いては全く引けを取らない壮大なイリュージョンで日本中をテレビのブラウン管の前に釘付けした不世出のマジシャンでした。▲目次へ▲■■マジックの三段階さて、「イリュージョン」と呼ばれる大規模パフォーマンスが定着した現在ではいわゆる「手品」的小規模パフォーマンスは規模の面から異なるエンタテイメントとして分けて捉えられる所がある様に思えますがそもそも「マジック」の演目は規模がどうあれ大きく分けて3つのパートで出来上がっている点に置いてはどれも同じと言えます。■ マジックの三段階 ■●第1の段階「確認/プレッジ」 種も仕掛けもありませんと客に確認させる●第2の段階「展開/ターン」 手にしたカードやボックスに閉じ込められた人が消えるなどの 展開をする●第3の段階「偉業/プレステージ」 消えたカードが、消えた人物が出現してマジックを締めるつまり、手のひらサイズのテーブルマジックも巨大な仕掛けを要する壮大なイリュージョンも消えたものが 再び出現するという点に置いて基本精神は同じであり正にその一点に全てのマジックの骨頂が集約していると言える訳です。▲目次へ▲■■■ 突然の種明かしとブームの終焉70年代も終わろうとする頃引田天功の体調不良から企画されていた脱出イリュージョンが現在のプリンセス天功こと 朝風まり が代役として選ばれそれを期に初代引田天功はブラウン管の前から突然姿を消しますそして間も無くして79年の師走の最中に、志半ば45歳という若さで他界し日本中を虜にした不世出の天才マジシャンが再びお茶の間の前に登場する「プレステージ」はもう永遠に叶わなくなるのでした。その一年後、正式にプリンセス天功が2代目を襲名した後の事でした、突如、初代引田天功の 脱出イリュージョンの種 を紹介する番組が登場します。図解で分かりやすく解きながら、このパフォーマンスが如何に緻密で複雑に組み上げられていたのかを説明する非常に興味深い内容の番組で、子供には全貌が掴みにくい部分も多い内容だった様に思いましたがある一点に置いて、子供にも即座に理解できるものがありました。それは、マジックの演者はジェットコースターに乗せられたボックスや、地中に埋められた箱に入りそのから如何に脱出するのか、と見せかけて、実は途中で抜け出していたという常識的に考えれば極めて当たり前な「種」という名の知ってしまえば余りにも 肩すかしな事実 でした。テレビ局側にしてみれば、日本中をアット言わしめたイリュージョンの種を明かす事で初代への哀悼の意を表しながらその偉業を振り返りある種の世代交代をイメージ付けながら後継者の活躍を後押しする一環と、世紀のイリュージョンの秘密を解明する超弩級のネタで視聴率に繋げる意図があった事は容易に理解できる所でしたがそもそも視聴者の立場からしてみれば、途中線路の無くなるジェットコースターのコースの手前に設置された小屋のロープに、いかに掴まって落下を逃れるか や手足を縛られた状態で地中に埋められたボックスから水が流れる水道管の中を伝って如何に安全地帯へ辿り着くか など一体どうやって脱出したのかを推理して想像しどう考えても 不可能 だと思いながら未曾有のスリルとサスペンスとミステリーに熱狂し興奮する所にイリュージョンの魅力 を感じていたのであってそもそも 知ってしまえば呆気無い種明かしなどどうでも良い事 だったりする訳なのです。おそらく先代引田天功にしてみても視聴者が如何に驚くかを想像し創り上げたイリュージョンであり演者と視聴者が共に演目に集中し共に成功に興奮するという、日本中が一つになった 唯一無二の巨大な一体感 を含めた所に初代引田天功イリュージョンの真骨頂があったと思われ知ってみれば呆気無い種明かしなど演者にとっても視聴者にとってもとんだ水を差す行為 以外の何ものでも無かったという 訳なのでした☆■ という訳で今回は、『ダークナイト』シリーズで知られる奇才クリストファー・ノーラン監督がイリュージョンの世界をミステリアスに描いた異色作『プレステージ』をご紹介します。プリンセス天功イリュージョン まほう対決!2005 プリンセス天功VSガチャピン・ムック [ プリンセス天功 ]価格:2776円(税込、送料無料) (2017/5/2時点)タネも仕掛けもございません [ 藤山新太郎 ]価格:1,836円(税込、送料込)東大式タネなし手品 決定版[ 東京大学奇術愛好会 ]価格:1,188円(税込、送料込)▲目次へ▲-STORY-19世紀末のロンドン二人の若きマジシャン アンジャー(ヒュー・ジャックマン)とボーデン(クリスチャン・ベール)は互いを認め合いながらスター・マジシャンを目指し腕を競い合っていた。ある日、アンジャーの妻が水槽脱出マジックの失敗で命を落とすアンジャーはその責任がボーデンの行った綱の縛り方にある事を理由に激しい憎しみを向ける様になりボーデンのマジックショーへ乱入し重傷を負わせた事件を皮切りに互いの競争心は深刻な確執を持ったものへとエスカレートして行った・・・▲目次へ▲-解説- 19世紀の奇術界を舞台にした怪奇幻想ミステリー1. 本作の内容Christopher Nolan (画像参照:wikimedia)『ダークナイト』3部作ほか(2015)『インターステラー』(2010)『インセプション』など独特のダークな世界観で驚異の映像を生み出しスペクタクルなアクションから深層心理の闇の領域まで独自のタッチで描く映像作家クリストファー・ノーラン監督が大ヒット作『バットマン・ビギンズ』発表後制作した独特のダークな世界観と深層心理を描く作風をフルに活かし19世紀ロンドンのショービズ界を舞台に深い因縁から激しく競い合う二人の天才マジシャンと衝撃の顛末を描いたダークな怪奇幻想タッチのサスペンス・ミステリー映画です出演は『ダークナイト』3部作の クリスチャン・ベイルと『Xメン』シリーズの ヒュー・ジャックマン同じく『ダークナイト』シリーズに出演しノーラン監督作品の常連でもある アカデミー俳優マイケル・ケインに『アベンジャーズ』シリーズの スカーレット・ヨハンソンそして2016年1月に惜しくも他界したロック・スター デビッド・ボウイほかダークナイト ワーナー・スペシャル・パック(Blu−ray Disc)価格:2916円(税込、送料無料) (2017/5/2時点)▲目次へ▲2. 衝撃のラスト5分が見もののサスペンス・ミステリー本作は、19世紀ロンドンのマジック界で活躍する二人のトップマジシャンのマジックの腕を競い合う長年に渡る壮絶な争いと取り憑かれた様に芸に没頭する 人の心の奥の闇を描いた作品で映画は、ヒュー・ジャックマン 演じる人気マジシャン「偉大なるダントン」こと ロバート・アンジャー がマジックの失敗で命を落とした事故でその場に居合わせた クリスチャン・ベイル演じるライバルマジシャン「教授 (プロフェッサー)」こと アルフレッド・ボーデン が犯人として逮捕されるミステリーで幕が開き物語は、獄中のボーデンが アンジャーが残した手記を読み上げながらアンジャーとボーデンの道程を辿る回顧録の形でサスペンスフルに進行し舞台で事故死した アンジャーの妻ジュリアの一件をきっかけにライバル関係が悪化した二人のマジシャンの壮絶を極める確執と、マジックの「技巧」に取り憑かれた人間の欲と狂気 をミステリアス に描き華やかな奇術界の舞台裏と それに纏わる人間ドラマを折り込んだ原作『奇術師』を、実に一年半もの時間をかけて脚色した巧妙な脚本の構成力が光る異色作でもあり「ダークナイト」シリーズのクリスチャン・ベールの深い闇を抱えた主人公を演じる圧巻の演技力と、「Xメン」シリーズのヒュー・ジャックマンのダイナミックで華のあるアンジャーを演じる存在感ある演技とが火花を散らす様に生み出される緊張感が映画の内容にそのままリンクしながらアンジャーの死は事故か殺人か、映画全編がマジックの演目とも言える 衝撃の結末が見もののノーラン監督独特のダークな切り口と、中世欧州的なモダニズムな映像による重厚なタッチが加わったダークなタッチで描いたサスペンスミステリー作品です。▲目次へ▲3. 実存感ある19世紀世界を実現したオスカー・ノミニー・スタッフによる芸術的映像ノーラン監督に取ってこれが初めての「コスチュームプレイ」いわゆる時代劇作品となり欧州時代劇作品としてとしては 近年ほぼ決定版とも言える『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズが既にある為新規参入作品には何かと映像を比較される不利なジャンルでしたが『ダークナイト』シリーズの様なアクション作品でも観られる現実に存在する様なリアルさを持った「中世欧州」を思わせる重厚で説得力ある映像を作り出すダーク系ファンタジーな世界観という側面を持った映像作家ノーラン監督と本作品でアカデミー撮影賞、美術賞にノミネートされた撮影:ウォーリ・フィスター、美術:ネイサン・クロウリーいわゆる「ノーラン組」による徹底的にフィルム撮影にこだわった手持ちカメラによる撮影と厳格さよりも リアルさと生活感 に重点を置いた現実感ある美術により特に「コスチュームプレイ」を意識する事無くこれまで通りのノーラン作品として鑑賞することが出来ます更に 監修として、世界的なマジシャンデビッド・カッパーフィールド の参加で演目にリアルさが加わりノーラン監督独特の、奥行きを感じる深みある映像に華やかな拡がりを与えたハリウッド・エンタテイメントに相応しい作品に仕上がった様に感じられました。▲目次へ▲4. 映画そのものが壮大な「マジック」「マジック」を題材にした映画は数多くあり古くは 82年のフランシス・フォード・コッポラ製作の『マジックボーイ』や近年の話題作 (2013)『グランド・イリュージョン』などの他に奇術師が主人公になった(2013)『オズ始まりの戦い』の様なファンタジー作品や邦画の(2014)『青天の霹靂』の様な異色作まで様々ですが本作の様な クライム系サスペンスの外連味の要素を 仕掛けとして映画そのものを一つのマジックに見立てたものもこれまでも数多く作られており本作は19世紀のダークな世界観を利用した緻密な伏線が張られた構成と過去無いタイプの、衝撃的ラストが魅力の作品ではありますがマジックを題材にしたサスペンス系作品として括られる映画の一つとしては目新しさの上では 特に際立ったものは無く『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどいわゆる欧州コスチューム系ダークファンタジーなどで描かれて来た既に手垢の付いたビジュアル に一度観ただけでは分かり難い 布石に満ちた物語構成とフラッシュバックなどを多用した観念的で見やすく無い画面構成に「衝撃的ラスト」そのものが 反則 ではないかという他方の意見からも批評家の評価も高い大ヒット作ではありましたが豪華キャストが演じるこの手の話題作にしては絶賛に繋がらない問題作となった事に置いても異色作となった作品と 言えると思います。したがって数多くの共演者が未曾有の群像劇を繰り広げる様な驚異の映像で壮大なテーマを描いた物語 という訳でも無い本作は物語は至って、主役二人の確執の行方を追う舞台劇に近い内容としてリアルなモダニズム映像に豪華キャストによる迫真の演技が観られる作品ながらも娯楽アクション作品に心象世界的要素を融合しこれまでにない ダークなタッチの刺激的映像を生み出し多くの娯楽アクション大作を撮ってきたノーラン監督の作品にしては「地味」という評価が多いのも事実であり近年公開された 『グランド・イリュージョン』の様な派手な演出のクライム系エンタテイメントミステリーを期待した方は肩透かし を喰らう作品かもしれません。一方で、これまでも新作を作る度 過去製作されたハリウッド映画を引用し出典を隠すこと無くその「雰囲気」を 現代に蘇らせたい 旨を明言して来たクリストファー・ノーラン監督の言及にもある通りSF超大作作品『インターステラー』では既にTVドラマ『スタートレックシリーズ』の中で描かれた既存の物語設定や一部ロバート・ゼメキス監督作品 (97)『コンタクト』に似たコンセプトを使用し代表作 (01)『メメント』にしても、物語が逆行するという作りに付いてはファンタジー系小説の分野では 夢野久作作品の時代から存在した既出のアイデアであり、さほど珍しく無いものだったりと 言った様に本作も 革命的内容や 新しさを求めた所に制作目的は感じられず、むしろ、過去のハリウッド作品の雰囲気を踏襲した既存のビジュアルを利用し・・・・・・映画のネタバレに触れる為、ボカシて解説しますが・・・・・・使い古された事を承知の上で「コスチュームプレイ」を題材にした事を含めたある先入観 を鑑賞者に与える事を目的として全ては映画全体をマジックの演目に据えて様々に張り巡らされた伏線を「トリックの鍵」としての布石として利用する為の巧妙な演出 が施された作品と 言えると思います。■知りたいけれど、知ってしまったらあっけない「マジックの種」に纏わる華やかしいステージの成功の裏に潜む 光と影と闇 を描き19世紀の欧州を背景にした怪奇で幻想的な世界観にサスペンス、ミステリー、ユーモア、果てはSFテイストに至る既存する多くの要素を投入し 化学反応的な再構築で脚色されノーラン監督の特徴でもある深層心理を刺激する息も詰まる様な重々しいタッチで描がれたダーク・ファンタジー作品としての世界観を持ちながらミステリー サスペンス映画らしい思いも寄らぬ衝撃的ラストが待っている、本作はそんな摩訶不思議で絢爛豪華な イリュージョンの舞台を観ている様なエンタテインメント作品として愉しめ一度見ただけでは理解出来ない、何度も見返しては新たな発見を確かめてしまう様なタイプの布石満載の一作だと思います☆映画『コンタクト』のレビューは≫コチラから コンタクト【Blu-ray】 [ ジョディ・フォスター ]価格:1500円(税込、送料無料) (2017/4/2時点)▲目次へ▲■ デヴィッド・ボウイ演じる実在の天才発明家ニコラ・テスラ■(wikimedia)David Bowie1947-2016今年1月の突然の訃報に世界に衝撃が走りこれまで音楽のみならず、様々なシーンで類まれな才能を発揮し日本でもビジュアル系ロックのジャンル確立の核となったアート系ロックの創始者的な存在として様々なミリオンセラーアルバムや問題作を世に送り出した歴史的大スター 、デヴィッド・ボウイ が本作では 実在した発明家 ニコラ・テスラ を演じ物語の「鍵」を握るミステリアスな人物を好演しました。Nikola Tesla (wikimedia)ニコラ・テスラは「交流電気」の開発者として知られラジコン、蛍光灯、無線送電などのシステムを開発した人物としても知られておりますがその発明の数々が、周りの理解を得られない様な余りにも先進的過ぎるものばかりだった事や謎の発明と呼ばれるものが数多く存在する事などから異端の科学者、マッドサイエンティストとして語られる事の多い人物でもあります。■ テスラの放電実験の様子は映画本編 科学博覧会の場面などにも登場しAndy Serkis (wikimedia)この場面で、(01)『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラムや(05)『キングコング』(14)『GODZILLA』で モーションキャプチャを担当したアンディ・サーキス 演じるテスラの 助手アリーが「安全です」「エジソン側の陰謀です」を連呼していましたが当時 エジソン 側が交流電気は感電死する危険性がある事を訴えて自分たちが開発した 直流電気 の優位性を唱えていた事に対して交流電気を人体に流す公開実験を行い安全性を主張していた事での理由からでした。他にも「エジソン」の関係者を名乗る謎の人物たちがテスラの研究所を嗅ぎまわる描写がありますがこれは、テスラが開発した「交流」とエジソンが開発した「直流」 とで電気の企画の採用を巡っての争いと、それに伴う確執を描写したものでこれらは主人公達の因縁を彷彿させる映画のひとつの「鍵」にも感じられるプロットの様でもあります。ラボラトリーでの実験風景 (wikipedia)本作のテスラは1899年のコロラド・スプリングスにある研究所で極秘の研究を進める科学者として登場しますテスラの実験に招かれたヒュー・ジャックマン演じるアンジャーが雪の地面に埋められた光る電球に驚くという場面がありましたが、この頃のテスラは 「世界システム」と呼ばれるプロジェクトを米国のコロラド・スプリングスで進めていた時期という事で電波を使って情報とエネルギーを転送し 世界中に供給する事を目的とした無線通信や 無線送電の研究の実験を再現したものと思われますこれは地球を巨大なコイルに見立てて電気を帯電させ電球を点灯させるという実験でしたがこれが100年以上前の世界で行われていたとは信じ難い程のいわゆる「種」は 「科学」だと 頭では分かっていても現代人の私達の目から見てすら「魔法」の様に見える点が本作のひとつの「鍵」となる重要な場面であると言えるのでしょう。無線送電装置 ウォーデンクリフ・タワー (wikimedia)■所で、テスラ初登場の場面では放電実験機をしれっと横切ったテスラが電球を手で点灯させるパフォマンスを見せますが電球が点灯する時「パッツ」というフィラメント独特の音が聞こえる事から手に持っていた電球も 雪に埋められた電球もおそらくエジソンが発明した「白熱球」では無くテスラが開発した「蛍光灯」のプロトタイプだったと思われますその後、アンジャーとの食事の席では『最初は賞賛され、次には引退しろと言われた』と語っていますがこれは 金儲けや政治に興味のないテスラが人類に寄与する事を目的として次々と革命的発明を続け 既存のシステムを書き換える行為に対して起業家達から受けた脅威と敵視の念を言い表したセリフと思われます。■テスラは18世紀の時代の人物とは思えない様な驚くべきシステムを発案した余りにも登場が早すぎた天才であっただけではなく先程の「世界システム」の挫折以降も 数々の発明を続け研究心の衰えを見せることはありませんでしたがこの手の天才にありがちな、波乱な変転のみを強調した色眼鏡で眺めて歪められた人物像から、正当な評価を受けなかった不遇の科学者でもありました。晩年期は 無限エネルギーや 粒子兵器 などの SFまがいな疑似科学に霊界通信装置などの オカルト紛いな研究に没頭した事から度々小説、映画、スチームパンクなどの作品の中の登場人物として「マッドサイエンティスト」として描かれる事が多く日本でも実在した江戸時代の科学者「日高源内」を登場人物にした実像とは違った「想像上のキャラクター」として描かれた時代劇風SFファンタジー系作品があるのと同じ様に屡々テスラは実像とは違った形で人物像が語られる実在した架空のキャラクターとして海外では良く知られる存在となった人物でもあります。そう言った意味を含めても、「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。」と語った『2001年宇宙の旅』の作者アーサー・C・クラーク の三法則の言葉にもある様にテスラは正に「魔術と科学」を、更には奇しくも自らの存在を持って「架空と現実」の境を無くした最初の人物だったとも言えるのかもしれません。▲目次へ▲■ 世界的ロックバンド「レディオヘッド」トム・ヨークの主題曲■Thom Yorke (wikimedia)世界的オルタナティヴ・ロックバンド「レディオヘッド」のボーカルにして中心人物のトム・ヨークが本作のエンディング主題歌をソロ名義で担当した事でも話題になりました。■■テクノロジーを駆使した「レディオヘッド」サウンドで語られがちなアーティストというイメージがありますが誰もが耳にしているおなじみの楽器として一番に挙げられる「ピアノ」を使って演奏しても誰も聴いた事の無い音空間を構築するトム・ヨーク独特の音世界を感じる楽曲で人生とは分析する時間がないことを思い知る事 と歌われる人の心の底に潜む闇や狂気を、静かな語り口で描いた作品で本作のラストシーンの衝撃を 静かに深く刻みつける様な印象的なタイトルロールと なったように思いました。本曲の音楽のレビューは ≫コチラジ・イレイザー [ トム・ヨーク ]価格:1,832円(税込、送料込)▲目次へ▲PART2【完全ネタバレ解説篇】※ご注意ここから先は映画『プレステージ』を鑑賞済みの方向けの謎解き解説記事となっております「もくじ」にも 本作の根幹となる「ネタバレ」が含まれている為映画未見の方のこの先の記事鑑賞はお勧め致しかねます。以上の事を踏まえてご覧になりたい方のみ▼コチラ▼PART2【ネタバレ解説編】へと、お進みください。
2017年04月02日
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独自の「正義」を貫く「ヒーロー」を描くアウトローJACK REACHER2013年2月1日公開 アメリカ 130分■監督 クリストファー・マッカリー■出演 トム・クルーズ/ ロザムンド・パイク/ リチャード・ジェンキンス デヴィッド・オイェロウォ/ ヴェルナー・ヘルツォークス- INTRO -□■■「ヒーロー」を語る時は「正義」に付いて語る事を避けて通る事は 出来ない訳ですが例えば日本でも人気の海外アクション・ドラマ『24 -TWENTY FOUR-』での悪を叩きのめす為には法をも無視するジャック・バウアーの活躍には「ヒロイズム」を感じても「正義」に付いて疑問が残る様に行為の帰結の評価のみでは語り切れ無いものがあります又、「正義」に付いての考察は 日本でも2010年にベストセラーになったハーバード大学教授の哲学者 マイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう』が話題になり大きく取り上げられた事がありましたがその中の「殺人に正義はあるか否か」という項目では5人の人物を救う為に1人を犠牲にする場合の行動の帰結によって決まるケースや犠牲になったのが当事者で無かったり第三者の独断によっての行為の場合 など多数の要求は少数の要求に勝るという定理のみでは論破出来無い様な「正義」について語られていても「ヒロイズム」とは別の所にあると言った行為の帰結よりも 行為の本質が問題になるケースが語られこれだけでも「正義」の価値基準が絶対的なものでは無く相対的な価値観上に成り立っているものという事が分かり「正義」と「ヒロイズム」には共に単独で成立する 価値基準を持つ原理でもある事が 見て取れます■□■マイケル・サンデル教授の著作本がベストセラーになると言うのも実際にアメリカが攻撃された「911同時多発テロ事件」以降の世界の急激に激変した世相において情勢が変わると同時に効力を失う様な価値感を持った中で目的を見失い模索する現代人にとって新たな価値基準に基づく世論の需要という印象がありますが「正義」について考える事は価値基準が常に変化する社会において 正解の無い決断を迫られる時に哲学、論理について考える事にも繋がる様です一方で「ヒロイズム」の様に行為に称賛を得るものがあるのか否かという帰結の是非を求める価値基準を持つものの場合は相対的な価値観上に成り立ちながら極めて民主的な価値基準に則った判断で選出される規範的概念 とも呼べる側面を持った原理でもある様です☆■■□道徳心と照らしあわせた時にこれらの価値基準が揺れると多くの場合 人は懐疑的となり 世の中への批判へと物事が進む様ですがここでは「ヒロイズム」と「正義」の価値基準のみに着目している為懐疑主義やイデオロギーにまで思考を進めるのは主旨と異なり論旨の枝葉を拡げる様な事はしませんが「正義」と「ヒロイズム」を同線状に捉えて問題の解決の糸口としての価値を求めるよりはジャック・バウアーが非を全力で認める様に答えの無い問題の存在を自覚しそれが何処へ向かうのかを 自分の目で捉え安易なグローバリゼーションに陥らない様な自分が所属する社会が世界に対してどの位置に占めているのか認識を高める事を促し 他の社会を認め共に歩む姿勢を持つ指針として「ヒロイズム」と「正義」の価値基準に着目する事がより意義のある事の様に 思われます☆□□□という訳で今回は本作のマッカリー監督とはこの夏公開を控えた『M:I5』で再びタッグを組んだトム・クルーズが主演する サスペンス・アクション『アウトロー』をご紹介します- STORY -ある日、ピッツバーグ近郊で男女5人が犠牲となる無差別殺人事件が発生現場に残された証拠から、元米軍スナイパーのジェームズ・バーが逮捕され事件はスピード解決したかに思われたところが警察の尋問にバーは黙秘を続け、“ジャック・リーチャーを呼べ”と謎のメモを残した後護送中に瀕死の重傷を負ってしまうやがて警察のもとにやって来たリーチャーは事件の背後に危険な陰謀の臭いをかぎ取るのだったが…。(allcinema)- 解説 -□■■■本作は 英国の作家リー・チャイルドのベストセラーシリーズのハリウッド・スタートム・クルーズ主演による 鳴り物入りの映像化でリアルで生々しい格闘シーンや 理に適った戦術的銃撃戦にトムも自ら行ったカーチェイス・シーンなどアクション映画としての見所が満載になった作品ながらも『M:I』的ハリウッド・エンタメ系のド派手な演出は鳴りを潜め主人公ジャック・リーチャーを中心にしたそれを取り巻く人物達の行動に視点を定めて何者にも屈せず恐れ知らずな主人公の行動に潜む真意と謎に包まれた闇を浮かび上がらせるというトム・クルーズの新境地を開いた 玄人向けなサスペンス映画です■□■■無差別テロの実行犯と違う人物が逮捕される事で始めから冤罪だと分かる導入や中途なタイミングで 黒幕のボスが登場したりとミステリー作品ながらも犯人当て要素は無く主人公リーチャーにしても 何者にも屈せず 法にも囚われ無い目的を達成する為に手段を選ばないという行動理念に付いて「強固な信念」という他は一切触れないで昔の西部劇「ヒーロー」の様な人間離れして やられないという「凄腕な謎の流れ者」として主人公の人間性が見えて来ない設定上の実態の無い人物の様に描いていますが方法は問わず、正義を行う事のみを目的とした常人離れした執念にも近い実行力の裏に潜む闇の様な凄みを描く事に集中した脚色の意図がある様に思われ法では裁け無い悪を葬る正義の執行人という立ち位置にあるどんな場合も行動にブレが無い無敵の謎の男リーチャーを2転3転する物語の「くさび」として中央に添える事で物語が進むに連れて 共演の人物達の印象が徐々に変化を帯び実像が炙り出される と言う構成によって「ヒーロー」そのものにスポットを当てずに相対的な枠組みで 無敵の「ヒーロー」像を浮かび上がらせかつての西部劇の様なストレートさを体現した21世紀のエンタテイメント作品と言える意欲作に仕上がった様に感じました一方で、2億ドルもの収益を得たブロックバスター級作品ではありましたが誰もが想像する様な未曾有のハリウッド的カタルシスを感じる映画では無いという印象からトム・クルーズのカリスマ性によって成功したという玄人好みの一般ウケしない犯罪スリラー映画という評価にも繋がった様でした■■□■本作の脚色は『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー脚本賞を受賞したクリストファー・マッカリー監督によるもので冒頭では狙撃犯がスコープを覗く目線の画面と狙撃の犯行のみで 犯人の思考を表現しトム・クルーズ演じる謎めいた主人公にも多くを語らせず行動で思考を表現させ助演のキャストには饒舌なセリフ回しで事件の片鱗を語らせながら多くを描か無い造りに徹し物語の全容と奥行きを 想像させながら映画全体に漂う闇の深さを象徴させるという有機的にミステリーを体感させる狙いで描かれた脚本という印象があります一方で、主人公が何者でどういう人間なのかというプロットは一切無く作品に感情移入が出来き無いという大きな難点があるのですが監督のコメントに街に現れた風来坊が悪漢を退治して去って行く西部劇の謎のヒーロの様に描いたとある様にある種のチープさは承知の上での 大胆な方針だった様で描かれる舞台をリアルで緻密なものにして主人公の人間像よりも 行動の思考を表現する演出に徹し悪を追い詰める執念を浮かび上がらせる事で主人公が抱く「正義」感を巨大で揺るぎ無いものとして表現する方に 狙いがあった様に思わました■■■□ネット社会以降 社会のルールが相対的評価に変わり表題を満たす事無く トップが取れる様になってからは競争が純化へ向かう環境へと変化し資本主義の論理が 収益では無く 成績や出世に転化すると言ったその様な知的層で上層部が占められた社会では情勢が変わると同時に効力を失う価値基準で占められているが為にリーマン・ショックの様な事件が起こるべきして起こる様な社会の問題がある訳ですが独自の価値観を持ち既成の概念に囚われ無く、法にすら縛られないある種 目的に対して手段を選ば無い冷徹な人物が「ヒーロー」として描かれるこの様な作品が登場するのも脆弱な価値基準で占められた迷える社会に置いて言わば時代の要求とも言えるものでもあり本作で描かれる悪人の1人がエリート層の末路であるというのも社会の 病理を感じさせるものとして本作が一般よりも批評家筋で評価が分かれたというのもある意味頷けるものがありこの様なタッチの「ヒーロー」作品を認められるか否かという社会の度量を測る分水嶺を見る様な非常に興味深いものを感じる作品でもある様に思いました☆★★★ 楽天エンタメナビ・ランキングサイト ★★★ 「独自の「正義」を貫く「ヒーロー」を描く」※リンク先 参考になった は、ランキング用クリックボタンです☆コレが出た時タイトルをパクった本が出たのだけれど内容がガチの場合マイナスですよねえ~w【文庫】マイケル・サンデル/著 鬼澤忍/訳 価格:972円(税込、送料別)
2015年05月19日
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凶暴な純愛を描いた、大ヒット リュック・ベッソン作品レオンLEON1994年 フランス・アメリカ 110分■監督 リュック・ベッソン■出演者ジャン・レノ、 ナタリー・ポートマン、 ゲイリー・オールドマン-STORY-殺し屋の裏の顔を持つ孤独な男レオン (ジャン・レノ)は父親の麻薬がらみのトラブルから一家惨殺された同じアパートに住むマチルダ(ナタリー・ポートマン)をかくまった事から二人は奇妙で それでいて お互いに心安らぐ様な 同居生活を始める- 解説 -オシャレなラブコメか 小難しい文芸作のイメージしか無かったフランス映画の印象を根底から覆し世界に巨大な旋風を巻き起こした リュック・ベッソン監督のアメリカ映画進出 大ヒット作映画ですフランス映画の新たな旗手でベッソン映画の常連俳優 ジャン・レノ を世界的にしたのも 本作です又『スター・ウォーズ・エピソード1・ファントム・メナス』で パドメ・アミダラ を演じた子役時代の ナタリー・ポートマン の出世作でもあります強いヒロインを常に描いて来た ベッソン監督が、『ソウル・メイト』 という言葉がまだ一般的では無かった90年台に子供ながら 智謀と駆け引きに優れた少女と一流の殺しの技術以外 何の学も持た無い中年の男との歳の差を越えた 魂の繋がりを描いた、純愛映画としての側面を持つ サスペンス・アクション映画として当時は話題になった作品ですジャン・レノ演じる 主人公レオンと ナタリー・ポートマン演じるマチルダとの日常を瑞々しく描きつつハリウッド・アクション映画の様式をしっかりと抑えた 派手な演出が共存するリュック・ベッソン監督の 新境地を開いた新世代のアクション映画でもありますそれまで、スタイリッシュなバイオレンス・アクション映画を撮ってきたベッソン監督がいつもの トリッキーなカメラワークを抑えてドン・シーゲル監督 作品に代表される、 ハリウッドアクション映画の様な都会の裏社会に生きる 土臭い アンチ・ヒーローを描いたのはあるいは アメリカ映画への オマージュ的意味合いが大きかった様に思います■□完全装備で武装するマフィアの手下達を 一掃し 音も立てずボスの背後に忍び寄る最高のプロの技術を持つ 冷徹な殺し屋でありながら映画館でジーン・ケリーのミュージカルを目を輝かせて観る 少年の様な面を持つ男レオンと朝にはアニメを観る 人並みの子供で裏社会を渡り歩く智謀を備えた強さと大人の様な面を合わせ持つ少女 マチルダとほとんど良心の欠片も無い ギャングのボスにしか見えない狂犬の様な刑事でありながらユーモアのセンスを持つ複雑な人物の スタンスフィールドこの相反するタイプの 三人のキャラクターはこれまでのハリウッド映画の ヒット作の要素である『三つ巴の異なる芝居の妙』 を踏襲しながら非常に極端な程に容姿と情緒がかけ離れているキャラクター達を描いた作品でもありそれは『心の闇』 が深い事を意味する事からでも一見異なる様に見えるキャラクター達は実は根底の所で共通点があり映画のテーマが ある焦燥感を持った主人公達の心の旅と戦いを描いた 魂の物語 である点は出資者が変わり、幾分アメリカナイズされた作品ではあってもこれまで通りの ベッソン映画であると言えるのでしょう【ハリウッド進出の橋頭堡を確立した作品】『96時間』 の大ヒットなどハリウッドのキャストを使ったフランス発 ノンストップ・アクション映画を次々と企画して来た リュック・ベッソン監督の初 ハリウッド上陸作品が本作でした元々 ハリウッド進出にあたって、『フィフス・エレメント』 の資金確保の為の制作だったと聞いておりますが後作の 『フィフス・エレメント』 よりも 大きなヒットとなり『フィフス・エレメント』 の方は制作費に対して大した成功を収めなかったのは皮肉と言うより 他ありません【アメリカ映画へのオマージュ】本作には アメリカ映画へのオマージュと思われるシーンが多々確認出来ますリュック・ベッソンが スタンリー・キューブリック 監督の大ファンという話は有名でゲイリー・オールドマン が怪演する スタンスフィールド刑事がマチルダの家を襲撃する時に見せる、 狂気に満ちた無邪気さやマチルダの父親に ベートヴェンについて語る所、レオンが映画館で観ていた 踊る ジーン・ケリー などキューブリックの代表作『時計じかけのオレンジ』 をイメージしたシーンが観られますこの様に、明らかに分かり安いオマージュ・シーンもあれば、 警察の機動隊が レオンの部屋を襲撃するシーンでマチルダを逃がすためレオンが換気口を壊す時の 斧の動きを追う激しいカメラワークが『シャイニング』 で ジャック・ニコルソン がドアを斧で壊す時の場面のカメラワークと全く同じだったという様なネットでも 全く語られていない撮影テクニックを拝借した、マニアックなオマージュもありましたw又、ベッソンが製作総指揮をしたジョン・マルコヴィッチ 主演作 『アイ・アム・キューブリック』 というキューブリック監督 成りすまし事件を 描いた作品では自身のキューブリック好きが高じたと制作 という理由だけでは無く実際に、ブライアン・クック、アンソニー・フレウィン、の様なキューブリック監督のスタッフだった人物を起用して制作した所が究極の キューブリック・マニアぶりを発揮した作品だと 言えるでしょう【怪演俳優 ゲイリー・オールドマン】近年は ハリー・ポッター の シリウス・ブラックバットマンシリーズ の ゴードン警部補など主人公寄りの正義感の強い人物を演じる事が多くなったゲイリー・オールドマンですがそれまでは (1982) 『シド・アンド・ナンシー』 の怪演で注目されキレた演技をすれば当代随一と評判の性格俳優として 名が通っておりました元々は、奨学金を獲得してカレッジに入学し、俳優の学士号を取った秀才でその後 舞台俳優として活躍し、数々の新人俳優賞を受賞する輝かしい実績を持つ様な人物でした悪役のイメージが定着した事を悩んでいた時期があったそうで特に 子供に見せられない様な役柄を演じていたことに 気を病んでいたとかそんな ゲイリー・オールドマンが 映画のプロモーションで来日した時は映画のイメージを鵜呑みにした 怯えたインタビュアーに冒頭で切れてみせる サービスを忘れませんでした【レオン完全版】初公開から一年経った1996年に22分の未公開シーンを加えた 上映時間133分の完全版が公開されましたレオンとマチルダの 仕事のシーンが増え麻薬の売人の場面と レストランでのシーンレオンの過去が語られるシーンなどが 加えられましたこれについて ベッソン監督は 予告編の中に『 観客の皆さんが より長い時間、レオンとマチルダと 過ごせるように描かれています二人のゲームをさらに分かり合うことで、彼らの情熱を 目の当たりにし愛の交流を さらに深く感じることが 出来るのです 』と、おかしな文法で フランス語でも訳し間違えたのかと思う様な微妙なニュアンスのコメントを書いておりますが児童保護の規制が厳しいアメリカ社会に置いて当時まだ 12歳のナタリー・ポートマンにレストランで飲酒して酔っ払う演技やレオンの過去が語られるシーンで レオンにベッドを共にする様誘っている事を匂わせる演技をさせている事などが関係していると思います良くアメリカで公開出来たと思いますが、良く映画を観てみるとマチルダは自称 18歳 と言い続けておりますし映画の中でも、ハッキリと歳に言及したセリフはありません又、問題の 『誘っている』 場面にしてもあくまで 単に会話の中で 『尋ねている』 ダケであり内容も今夜の事というよりは この先 大人になった時の過程未来の話をしている様に捉える事が出来るので『ゲーム』 やら 『情熱』 などという言葉は、その辺りのグレー・ゾーンをクリアさせようと言う大人の事情が含まれた 配給側の配慮が含まれた言葉に思いましたともあれ、完全版と、オリジナル版の 主人公達二人の印象はベッソン監督が 奥歯に物が挟まったように語ったほどには深まった と言うよりは、異なった と捉えたほうが正しいのだと思います★★★ 楽天エンタメナビ レビュー ★★★「凶暴な純愛を描いた、大ヒットベッソン作品」■■□ 楽天市場 □■■私達は『プロ』だからガンガンイケるけどお腹壊し安いヒトは冷たい牛乳を飲むのは止めようね レオン 完全版【Blu-ray】価格:2,713円(税込、送料込)生乳の風味をそのままに。農場育ちのアイスクリームです。小岩井農場特製アイスクリーム2種セット [バニラ&ミルク]価格:4,590円(税込、送料別)
2013年07月26日
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文句無し!恐怖の映像的体験JAWS/ジョーズJAWSアメリカ(1975年12月)124分■ 監督:スティーヴン・スピルバーグ■ 出演者:ロイ・シャイダー/ロバート・ショウ/リチャード・ドレイファス......................................................................................................................第48回アカデミー賞、作曲賞、音響賞、編集賞受賞。当時日本でも 『若干27歳の監督による大ヒット映画』 がキャッチ・コピーになる位この 彗星のように現れた若き天才監督の出現に 誰もが驚き雑誌テレビと数え切れない程特集が組まれてスティーヴン・スピルバーグという名前が社会現象を巻き起こし本作は公開前から 大ヒット間違い無しの手応えに映画界は沸いていましたそれでも本国では若すぎる新星の誕生に憂慮してのことか映画監督として 箔を付けたいスタジオが 用意したメディア用のスピルバーグの写真と言えば・・・泳いでいるサメが 大きな口を開けた、本人が貼ったかどうかも定かではない様なイラストのポスターをバックに何やら有能さをアピールさせたいのか片手には 黒電話の受話器を持ち忙しそうに椅子にふんぞり返り 大物振りながらも何よりもサメよりもまず、視線が 泳いでいる という・・・若きスピルバーグの何ともヤラセムードたっぷりの 間の抜けた 写真でしたw今見ても、カメラマンに言われるがままに小芝居をうっているスピルバーグが何とも健気な、若き巨星誕生の瞬間の写真で、その写真を見るだけでも当時の関係者が この若い監督を 本物 なのか マグレ なのか扱いに当惑していた様が手に取れる様でしたw......................................................................................................................-STORY-夏には海水浴客で賑わうアメリカ東海岸のアミティで鮫の犠牲となった女性の体の一部が打上げられた遊泳禁止を主張するブロディ署長 (R・シャイダー) の意見にあからさまに難色を示す市長の剣幕に押され 一旦は海開きをした海岸であったが大勢の海水浴客が海岸を埋め尽くす中 第二の犠牲が出る市議会で海岸閉鎖を巡り議論が行われる中漁師のクイント (R・ショウ) が鮫退治の名乗りを挙げる......................................................................................................................-解説-押し寄せる 言い様のない恐怖を表現した 巨大ホオジロザメの目線から始まる本作は女性が生贄になるという内容の舞曲 ストラヴィンスキーの 『春の祭典』に良く似たジョン・ウィリアムス の ミステリアスなスコアによるテーマ曲で幕を開け後の 『ジュラシック・パーク』『E.T』 に見るサスペンス描写へと更なる進化を遂げるスピルバーグの原点でもあり頂点とも言える作品です本作の見所は 吸込まれる様な恐ろしさを描いた 映像による恐怖体験 なのですが本作の真の面白さは スピルバーグの演出による海を舞台にした 秀逸な3人のキャラクターによる舞台劇にも似た 白熱した芝居が 展開する所にありますR・ショウ 演じる漁師が 海上では粗暴な風貌に似合わず冷静な人物だったり、R・ドレイファス 演じる学生が 知的で当たりが良い人物と思えば 向こう見ずだったり、R・シャイダー 演じる署長が 海上ではおのぼりさんだったりと、シーンによってキャラクターが演じる役割が異なりそれぞれのリアクションがそのまま サスペンス効果を上げていきますそれら異なったキャラクター同士の 三つ巴の演技 が映像的体験をより倍増させる所に 本作の秀逸さがありますこの映画が 未曾有のサスペンス・アクション映画となったのはもちろんスピルバーグの功績によるものですが秀逸な脚本との相互作用によって生み出された 映像的奇跡 が 真の成果と言えるのだと思います本作の主役である巨大ホオジロザメは、直進するモノ 左右にそれぞれ曲がるモノ3体の模型が作られ そのどれもが稼動する度故障したといいます原因は 海水による錆付き で、故障する度撮影が中断しスピルバーグの頭を ヒートさせたといいますそれが直接の原因かどうかは分かりませんがスピルバーグは 『JAWS 2』 の監督は辞退するのでした尚本作には現在多数の日本語吹き替え版が存在し、鑑賞可能なものにDVD 『JAWS 30thアニバーサリー・スペシャルエディション』Blu-ray『JAWS コレクターズ・エディション』 などありますが特にR・シャイダーの吹き替えは滝田 裕介、羽佐間道夫、谷口 節のバージョンがありBru-lay版に収録されるものは DVD版と同じ谷口 節版でした当レビューがプッシュする津嘉山正種 氏も吹き替えていましたがおそらく日の目を見ることは無いでしょう、残念・・・楽天エンタメナビ「文句無し!恐怖の映像的体験」※リンク先 参考になった は、ランキング用クリックボタンです。この記事の 『楽天プロフィール』 のつぶやきは >>こちら虫歯になりそ~っつ!!その前に血糖値が上る~っつ!!楽天レンタルで「ジョーズ」を借りようクーベルチュール/割れチョコ/チョコレート/8種類/送料無料クーベルチュール割れチョコ 8種類選り取り価格:1,000円(税5%込、送料込)作品レビュー「文句無し!恐怖の映像的体験」を楽天エンタメナビで見る■ 映画 「JAWS/ジョーズ」■ 監督 スティーヴン・スピルバーグ■出演者 ロイ・シャイダー/ロバート・ショウ/リチャード・ドレイファス /ロレイン・ゲイリー/カール・ゴットリーブ
2012年02月15日
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スリラーの要素たっぷりの秀逸なサスペンスマラソンマンmarathon manアメリカ(1977年3月)125分 ■ 監督 ジョン・シュレシンジャー■ 出演者 ダスティン・ホフマン/ローレンス・オリヴィエ ロイ・シャイダー/ウィリアム・ディヴェイン/マルト・ケラー...............................................................................................................................................................医療の進歩と共に様々な治療法が開発される中、患者の苦痛を伴う治療が軽減される画期的新技術が 開発されたと言うのであればドラッグ・ラグ(新薬承認の遅延)など 医療における認証が著しく遅い我が国においてTPPなどよりも即法整備して貰いたい案件で あると考える。随分堅い話から始まったが、もし××年前に、海外で導入され始めた歯の治療における画期的な麻酔技術が即認証される事が出来たならば、あの待合室での 「きゅうぅぅぃぃいいいんっつ!!」 という五感を刺激する異音に怯えたり奥歯を抜くのに気絶するほど痛い麻酔を注射をされたり、マスク越しの 牛乳瓶の底 の様な眼鏡が、息を吐く度 曇りのち晴れ を繰り返す初老の歯科医にペンチの様な器具で奥歯を抜かれる間、頭をグリングリンされた挙句口の中から 「ばきーっつ!!」 などという菅原 文太か哀川 翔 あたりにドツかれでもされない限りするはずのない 異音が鳴り曲がりなりにも医師の端くれたる歯科医が「ありゃりゃ?割れちゃったかあぁ??」 などと、明らかに患者が不安になる様なセリフを、牛乳瓶の晴れ間が無くなる位の荒い息をしながら言い放ったそのクチで「まあ・・・いいでしょう」 と、雑多に結ばれてしまい「まあ」はともかく「・・・」が納得出来ない、そんな大味な治療をされる事も無かったと最近甘い物を食べる度思い返し、虫歯の心配よりも血糖値が上るのを気にする様になったブログ主なので あっ た・・・...............................................................................................................................................................-STORY-ある老人がニューヨークの貸金庫から取り出した小箱を別の男に手渡した後事故に巻き込まれて死亡する。その事故現場を尻目にランニングに精を出すベーブ(D・ホフマン)には実業家の兄ドク(R・シャイダー)がおり、今はフランスでその小箱に纏わるトラブルに遭い殺害される所にあった。そんな事を知る由も無いベーブは、自害した父親の無念を胸にその件について大学のゼミで論文を書いていたが、図書館で知り合った女学生エルザとデート中何者かに襲われる。その事を知ったドクは急遽帰国しベーブについて手を出さぬようこの件の黒幕で元ナチの逃亡犯ゼル(L・オリヴィエ)に単身会いに行った。...............................................................................................................................................................-解説- 兄の事件に巻き込まれて訳も分からず逃げ惑うD・ホフマンの演技が物凄く怖いサスペンスでありながらスリラーの要素の高い、A・ヒッチコック以後五感で体感するタイプの画期的な映像的体験が出来るサスペンス映画である。実はサスペンス初挑戦のジョン・シュレンジャー監督。難しかったのが、恐れと痛みがこの映画の鍵である事だったと語る。L・オリビエの歯科医の技術を使った衝撃的な拷問シーンやR・シェイダーを襲う男のカーテン越しの顔とか、暗闇から突然のサッカーボール、D・ホフマンが隠れるバスルームのドアを壊そうとする謎の侵入者など、恐怖によって倍増する様々な苦痛が描かれている。クライマックスの浄水場は実際の場所では無く、スタジオの2つのステージを連結したセットで、膨大な費用と鉄骨を使い完成には半年をかけたものだ。当時は青春俳優であったD・ホフマンは柔軟な姿勢で撮影に挑み、アドリブを入れながらこの大役をこなした。対するL・オリヴィエは今までのキャリアに無い役所を脚本を隅まで読み付くし完璧な役作りの元、これに挑んだ。あの恐ろしい歯への拷問シーンの演技のアイデアは、L・オリヴィエの自宅の庭を手入れする庭師の優雅で手馴れた愛情のある仕草からヒントを得たと語る。単なる悪役に無いあの「闇」の様な当たりの良さは、それまでは演劇に過ぎなかった「悪役」という役柄に対して舞台劇の大家による「悪」を演じたものだと言えるだろう。本作の紅一点マルト・ケラーはヨーロッパの女優で、D・ホフマンの相手役を体当たりで演じた。別荘での激しい口論のシーンは演技に熱が入る余り本気になったもので、その後お互い3日間口を訊かなかった程のものだったと言う。本作の脚本はアカデミー脚本家で小説家でもあるウィリアム・ゴールドマンによるもので、現代に蘇るナチス・ドイツの恐怖を描いたものであるが、秀逸なサスペンスシーンであっても導入される展開が些か予定調和で、脚色に傷こそ無くても冒頭の狂気の車事故一つ取って見てもそれに到るまでのプロセスが 「戦後30年の因縁は未だ晴れず・・・」 という理由だけでは弱く演劇的描写 過ぎるといえる。D・ホフマンの別荘でのシーンも、主人公には射撃の練習の経験があったという言及が有るのみで当局相手に素人が撃ち合いで勝るのは現実的にあり得ず、それを最もらしく演じたD・ホフマンの、極限な位に張り詰めた表情を作る迫真の演技に 頼り過ぎ な 演出だと言わざるを得ない。あくまで、青春俳優主演によるヒット作を目指し、リアルで難解な描写を嫌ったか。★★★ 楽天エンタメナビ レビュー ★★★「スリラーの要素たっぷりの秀逸なサスペンス」※リンク先 参考になった は、ランキング用クリックボタンです。大体インクって元々高過ぎるんじゃないの!?楽天レンタルで『マラソンマン』 を借りよう数量限定 送料無料 最大84%OFFお好きな型番が選べる!インク福袋☆エプソン・キャノン・ブラザ...価格:3,333円(税込、送料込)■ 映画 「マラソン マン」 アメリカ(1977年3月)125分■ 監督 ジョン・シュレシンジャー■ 出演者 ダスティン・ホフマン/ローレンス・オリヴィエ/ロイ・シャイダー/ウィリアム・ディヴェイン/マルト・ケラー
2012年02月14日
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実在の未解決事件の暗部に吸い込まれる罠ゾディアックZodiacアメリカ(2006年)157分■ 監督 デヴィッド・フィンチャー■ 出演者ジェイク・ギレンホール / マーク・ラファロ / ロバート・ダウニー・Jrアンソニー・エドワーズ / ブライアン・コックス..........................................................................................................デヴィッド・フィンチャー監督は新作「ドラゴン・タトゥーの女」のオスカーノミネートは無いと断言しているという。前作「ソーシャル・ネットワーク」では8部門でノミネートされた経緯があるが、今回同様のスタンスを取ったまでだと語り、自らを賞レース戦線から安全地帯に居るとコメントした。次回作は、ジュール・ベルヌの名作「海底二万里」とA・ジョリ主演「クレオパトラ」が控えて話題の事欠かないフィンチャー監督であるが、これもまたオスカー狙いで製作せず我が道を行くのかどうか注目したい所である。さて、実在の未解決殺人事件に根ざす人間の精神の暗部に吸込まれる様な謎。真実を執念で追い続けて、深みにはまってゆく主人公達を描く本作。果たして彼らは何を求め何を得たのか。..........................................................................................................-STORY-1969年の独立記念日、カルフォルニア州でドライブ中のカップルが何者かに殺害される。その後、警察に犯人を名乗る男からの電話があり、新聞社には犯行を示した告白文と奇妙な暗号文に加えて、新たな犯行声明が添えられていた。事件に興味を示した記者のエイブリーと漫画家のグレイスミスは「ゾディアック事件」と呼ばれるこの難事件の解明に次第にのめり込んでゆく。..........................................................................................................-解説-色彩豊かな60年代シーンからはじまり、突然非現実で凄惨な殺戮場面へと一転する。物語は知的推理サスペンスの要素を残しつつドキュメンタリータッチで進行してピンと張り詰めた灰色の緊張感が映画全体を支配してゆく。事件を追う主人公が、全てを放り出し身をやつしながら取り付かれたように凄まじい執念で事件解明に身を投じるようになってゆく様が生々しく描かれる。まるで横たわる日本刀の重く光る刃先に、吸い込まれる様に感覚が毒されて行く様で、殺人鬼を追う中で殺人鬼の心理にまで踏み込み、鈍い緊張感が続く中に入り浸る様子が淡々と描かれ、味わった事の無いサスペンス感がじわりじわりと増してゆく。やがて映画は「ある」場所へと足を踏み入れる。人間のものとは違う別の物の感覚にすぐにでもその場所から離れたい恐怖に襲われる。しかし、解けない暗号に迷宮入りの事件。これが実話だと分かっていても凄惨な事件とは裏腹な60年代ミステリーに不謹慎極まりないが ロマン を感じられる印象を禁じえない。映画の中のミステリーはしっかりと終結を見せ、幕を引く。あるいは映画は独自の大胆な解釈を元にした衝撃のクライマックスを作り出せたのかもしれない。しかし現時点での証拠による推理である以上、フィクションとの境界線を踏み越えなかった分、映画的カタルシスの多くを得られなかった事は致し方ない。■近年は抑えた演出に徹しながらも、見る者に知り得なかった刺激を提供し続けるD・フィンチャー監督。これからの作品にも注目して行きたい。*************************************【福太郎】辛子めんたい風味めんべいねぎ風味 2枚×16袋【九州福岡土産】価格:1080円(税込、送料別) (2017/11/28時点)J『俺たち辛いの苦手~w所で「め」~って・・・何?』M & R『さあ~』【DVD】ゾディアック 特別版価格:1000円(税込、送料無料) (2017/11/28時点)【Blu-ray】ゾディアック ディレクターズカット価格:1080円(税込、送料無料)(2017/11/28時点)
2012年01月15日
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欧州を舞台に2大セレブが魅惑の危険な観光ツーリストTHE TOURISTアメリカ/フランス(2010年)103分■ 監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク■ 出演者 アンジェリーナ・ジョリー /ジョニー・デップ /ポール・ベタニー /ティモシー・ダルトン /スティーヴン・バーコフ...................................................................................................................................慈善事業家という顔を持つA・ジョリであるが最近は監督業にまで乗り出して、全編ボスニア語というその作品が、アカデミーの前哨戦であるゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞にノミネートされているらしい。日本でも、俳優やタレント監督による映画製作というのがままあるが、多くは動員獲得の話題作りに終始するフワフワした邦画界に対して賞レースにまで登り詰めるとは、随分と気骨のある話に聞こえる。邦画界には優秀な映像作家が多数存在するが、戯作者としての面を併せ持つ人物は少なく映画人とは違う奇抜な発想や視点や、何より数字が期待出来る、俳優やタレントに白羽の矢が立つのは、ハリウッドも邦画界同様、 程度の差はあれ、結局は事情は同じという事なのだろうか。さて本作は、美しい欧州を舞台に2大ハリウッドスターが豪華競演する魅惑の危険な観光へ招待するロマンティックミステリーである。...................................................................................................................................-STORY-ヨーロッパを旅行中のフランク(J・ディップ)は謎めいた美女エリーズ(A・ジョリ)に声を掛けられる。魅力的な同行者の仕掛けた誘いには、ある重要指名手配犯を巡る警察とマフィアの攻防をかく乱する思惑があった。フランクは双方からマークされ命まで狙われる事になるのだが、その先には意外な事実が待っていた。...................................................................................................................................-解説- 欧州の絶景を背景に繰り広げられる世紀のスターのロマンチックサスペンスに海外の若き映像作家を起用。いかにも巨額な制作費を掛けたハリウッド的お気楽企画の典型のような映画化である。正直まったく期待していなかった いい暇潰しのつもりで観たこの映画、だからいい感じで満足できた。ヒッチコック的巻き込まれミステリーとして、お約束の二転三転する展開はテンポも良く小気味良い。ヒントに繋がる場面を適度な違和感として残しつつ、意外な事実に至る演出もタイミング良く披露される。それまでの緊張の糸も程よく張り詰められている。加えてヨーロッパの監督ならではの土地勘のあるカメラワークはポスト・カード的作為な画面とは一線を画す、適度な現実感ある風景として映り、サスペンス効果を上げている。若者向けな絶叫マシン的超高速カメラワークでヨーロッパの街を駆け巡る無粋なアクション映像を撮るのが生業のハリウッド監督ではこうはいかない。大人が観る娯楽作品としてふさわしい映画である。****************************************A.J『まさかスポーツリストとツーリストをかけた駄ジャレ・・・じゃないわよねぇ~(怒)』★大人気【送料無料(メール便対応・代引き不可)】EFX USAスポーツ リストバンド Silicone Sp...価格:2,480円(税込、送料込)宜しければこちらもクリックお願いシマス☆
2012年01月04日
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4度目のタッグは『孤島』ミステリー。 70点シャッター アイランドSHTTER ISLANDアメリカ(2009年)138分■ 監督 マーティン・スコセッシ■ 出演者 レオナルド・ディカプリオ /マーク・ラファロ /ベン・キングズレー /ミシェル・ウィリアムズ /エミリー・モーティマートム・クルーズ同様、大ヒット作で付いたイメージから脱却するため長年孤軍奮闘してきた大スター L・ディカプリオ。近作の C・ディアス との共演では、長年嫌ってきた軽妙なイメージのキャラを好演し、ずいぶんと肩の力が抜けた 自然体 の演技を見せてくれた T・クルーズ に対して、『ディカプリオって何だか年取ったねぇ』 と言った知り合いの言葉にハッとさせられた。マイペースで歯に衣を付けぬ者の言動とは、時に 核心を付く 事がある。...............................................................................................................................................................-STORY-絶海の孤島 『シャッターアイランド』 に建つ精神を患った囚人を収容したアッシュクリフ精神病院。ここの女性患者が失踪する事件が発生し、連邦保安官のテディ (L・ディカプリオ) は相棒と捜査に島を訪れる。...............................................................................................................................................................-解説-原作は 『ミスティックリバー』 のデレク・ルヘイン。映画は孤島で起こった殺人を調べる典型的ミステリーで、衝撃の結末はご覧頂くとして・・・スコセッシ監督とディカプリオはよっぽど息が合うのか、もう4度目のタッグになる。『例のアレ』 の大ヒットでアイドル視されてから十数年、すっかり 『演技派』 ディカプリオが板に付いた感があるが、スコセッシ映画のディカプリオは、いつも眉間にしわを寄せていたり、うらぶれていたり、タフガイ風だったりなぜか自分の持ち味には無い別人を強烈に無理をして挑んでいるように見える。ディカプリオがスターなのは、並み居る演技力のある俳優が立ち並ぶ中子役の頃から異彩を放つ数少ない 華 のある俳優だからである。それがこの映画では無理な役作りが極限に達し、強力に力の入った怪演で今にも血管がぶち切れそうである。蜷川幸雄の舞台劇ならともかく、華も何もあったものじゃない。映画に、それもリアリティが必要なミステリーで、この舞台劇の様なテンションは果たして必要な事だろうか。良く分からないがスコセッシ監督は意図的にディカプリオの良さを殺しているとしか言えない。それとも自分の良さを嫌うディカプリオが スコセッシに殺してもらっている のか。スコセッシとディカプリオ。この二人、息は合っても相性は悪いのではないか?相性がいいのは実はリアル志向の スピルバーグ監督 の方なのでは?ディカプリオがT・クルーズの様な境地に辿り着くのはまだまだ先の様である。さて、映画に若干の気になる点はあったとしても、鑑賞後も原作を楽しめるめずらしい作品として、ぜひお勧めしたい一本である。 ★★★ 楽天エンタメナビ ★★★「4度目のタッグは『孤島』ミステリー。」※リンク先 参考になった ボタンはランキングクリックボタンです・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・- 楽天レンタル -絶賛レンタル中楽天レンタルでDVD「シャッター アイランド」を借りよう楽天レンタルで【Blu-ray(ブルーレイ)】 [シャッター アイランド」を借りよう
2011年12月16日
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荒削りで尖った演出、それでいて流麗。若きベッソン監督の出世作。70点サブウェイSUBWAYフランス(1984年)104分■監督 リュック・ベッソン■出演者 クリストファー・ランバート /イザベル・アジャーニ /リシャール・ボーランジェ /ジャン・レノ /ジャン=ユーグ・アングラード...............................................................................................................................................................-STORY-パリの地下網にはモグラのごときライフ・スタイルを持った住人が生息する近未来。企業のパーティー中金庫から重要書類を盗み出した男はパリのメトロの地下網に身を隠す。男は交換条件として金の受け渡しに交渉相手の妻を指名する。...............................................................................................................................................................-解説-ケレン味たっぷりのB級テイストコメディ映画だが、テンポが良くキャラクターも立っていて低予算ならではのチープな画面を逆手に取った独創的なアイデアの数々が地下鉄でタキシードにパーティードレスという 非日常的画像を近未来的映像にスライドする力技を成立させている。この、凡庸な監督には絶対出来ないセンスが、脚本のみの斬新さで話題作になる映画とは一線を画し、リュック・ベッソンを 世界的にする足がかりとなる作品となった。パリのメトロをSF仕立ての舞台に置き換え、低予算映画の壁を独創的なアイデアと才能溢れるスタッフとのチームワークで突き崩した。それまでフランス映画は芸術的だという認識から敷居が高くなによりも退屈であるという一般的な定説を打ち破った最初の映画と言えるかもしれない。ベッソン作品の常連である ジャン・レノ は今回無口な謎のドラマー役として出演。これが実にいい味を出している。同じく常連作曲家 エリック・セラ もベーシスト役としてライブ・シーンの撮影に参加している。いわゆる 『ベッソン組』 が総力を挙げた作品となっている。そしてこの後、ベッソン組 は壮大な映像詩となる 『グラン・ブルー』 の撮影に挑むこととなる。何となく宮藤官九郎作品に近いものを感じるこの映画、興味のある方は是非ご覧ください。この記事の 『楽天プロフィール』 のつぶやきは >>こちら★★★ 楽天エンタメナビ レビュー ★★★ 「荒削りな尖った演出。それでいて流麗」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・- 楽天レンタル -取り扱っておりませんお近くのG×O、TSU×AYA で借りましょうwww
2011年12月05日
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五感が刺激される非現実映像の数々!インセプションINCEPTIONアメリカ(2010年)148分■ 監督 クリストファー・ノーラン■ 出演者 レオナルド・ディカプリオ/ 渡辺謙/ ジョセフ・ゴードン=レヴィット マリオン・コティヤール/ エレン・ペイジ■ 夢 という言葉から思いつくのは、眠る時見る夢に限って言えば 心理学の権威だと フロイト、ユング。占いなら・・・それこそ無数に。初夢の縁起の良いアイテムなら 一富士、二鷹、三茄子・・・。夢とは、現実と非現実が錯綜して時系列が前後する 不条理な観念的体験である…。 等など夢に対しての認識がその程度で宣伝のCGに惹かれ、あるいはデカプリオ、渡辺謙目当てで鑑賞しようとするあなたは間違いなくこの映画の 非現実的 映像体験の「闇の領域」に 飲み込まれます。-STORY-他人の夢の奥深く侵入しアイデアを盗み出す産業スパイ集団トップのコブ(L・ディカプリオ)は、企業家サイトー(渡辺謙)の夢侵入に失敗した事から、ある難解な計画を実行する手助けを要求され・・・-解説-ノーラン監督は 「バットマン・ビギンズ」 「ダークナイト」 などで東洋的とも言える精神性を描き、人間の内面を奥深くえぐり、心の闇を描くハリウッド映画では 見られないタイプの作品作りをする稀有な映像作家です。精神性や 心象世界という言葉は日々ドラマや映画作品の演出で「心理描写」がよく使われる日本ではよく目にする馴染み深いものであり、日本的な印象を感じる所からもこの監督の作品に対して感じる 一種の既視感とはいわゆる「肌が合う」と表現するのが、近いかもしれません。本作が扱っているのは「夢の世界」過去、夢をモチーフにした映像作品は近年の大ヒット作『マトリックス』などがその代表的作品として上げられますが本作もその影響を受けた一つと言えます本作は、対象者の夢に侵入し 夢に手を加えて情報を引き出す専門家で構成されたスペシャリスト集団のミッションをスリリングにスタイリッシュな切り口で描いた近未来SFミステリー・アクション作品で心の奥底まで介入し、人の心の狂気にも触れる様な、『ダークナイト』シリーズのクリストファー・ノーラン監督らしい重厚な作品になっております特殊な装置を媒介して複数の人間が対象者の「夢」の中で行動する所などはスタイリッシュな切り口で作られている点などからも『マトリックス』を彷彿させますが折れ曲がった空間や、エッシャーの騙し絵の様な不条理なものまで、プログラム次第で夢の中の舞台を自由に創り出し加工するデザイナーや夢の中で他人に変身する能力を持つ者や夢の中に層を創り空間を自在に行き来する者などかなり多彩で複雑な設定で描かれておりますレオナルド・デカプリオ演じる主人公の役どころはこの集団のリーダーで伝説的天才クリエイターである事件の容疑で国外逃亡中という過去のある人物で渡辺謙演じる企業主から帰国出来る事を条件にある若き企業主の決断を「夢」で操作して変えてほしいと持ちかけられる所から映画は始まります■夢そのものを直接的に映像で表現し心の奥底の闇の領域まで扱った作品としては 恐らく初の試みであり地上が折れ曲がるなどの 衝撃的映像のCG効果を最大限に利用した「夢の世界」を具現化した映像はまさにアトラクション的体験で未知の領域に侵入する恐怖に近い感覚で占めらた映像は圧巻の一言に尽きます心の領域を、何層にも渡る記憶で占められたものとして夢の不条理に ある解釈を付けて、主人公を「夢」の中でのミッション中でも苦しめる存在の・・・・・・映画の根幹に迫る内容のため、ボカシて解説しますが、死者に対して語られる「心の中で生き続ける」という表現を神の領域に足を踏み入れる様な感覚で描きながらミステリーとサスペンスの効果を上げてアクション活劇まで昇華させた演出は驚異と言えます一方で 驚異の映像と刺激的な脚本で占められた作品ながら設定が非常に分かりにくい点とノーラン監督作で問題作となったミステリー大作『プレステージ』同様に2度3度観ないと把握できない内容量などに加えて結末が予想を上回る様な帰結がなされなかった事が若干の消化不足を感じる点ではありましたがこれは革新的作品にありがちな期待値の方が作品を上回ってしまう点や何度も繰り返し観るタイプの映画では無い所など「世紀の傑作」とまでに至らなかった要因となった様な印象が残る鑑賞後感となりました。ともあれ、近年のハリウッド超大作映画の傑作の一つである事は 間違いなくオススメ出来る一本ですインセプション【Blu-ray】 [ レオナルド・ディカプリオ ]価格:1500円(税込、送料無料) (2017/5/4時点)ダークナイト ワーナー・スペシャル・パック(Blu−ray Disc)価格:2916円(税込、送料無料) (2017/5/4時点)マトリックス ワーナー・スペシャル・パック(Blu−ray Disc)価格:2916円(税込、送料無料) (2017/5/4時点)ドクター・ストレンジ MovieNEX ブルーレイ&DVDセット [ ベネディクト・カンバーバッチ ]価格:3326円(税込、送料無料) (2017/5/4時点)
2011年11月19日
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