ザビ神父の証言

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2021.04.11
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カテゴリ: 国際政治
ミャンマーはどうなる その7

左眼のご心配ありがとうございます。風の強い日に異物が入ってしまい、タチの悪い物がまじっていたのか、腫れあがってしまったのです。もう落ち着きましたので大丈夫です。

さて、ロヒンギャ問題ですが、ロヒンギャはバングラデシュとの国境地帯を行き来する少数派のイスラム教徒です。スーチー女史と親密な関係にあった反イスラム主義の団体969運動がロヒンギャ虐殺を扇動したことが知られており、スーチー女史は虐殺を黙認しています。その結果、欧米の彼女を見る眼は大変厳しくなっています。

ところで民主化の当初、スーチー女史と軍部は、良好な関係を築いており、郡部とNLDもまた蜜月の関係にありました。軍がミャンマー経済を握っており、経済の好調は軍幹部の懐を豊かにしたからです。民主化はスーチー女史を広告塔として欧米や日本からの投資を呼び込み、外資と提携した軍部系企業の儲けは天井知らずの状態になったからです。民主化で一番儲かったのが軍幹部だったのです。ですから、この時点では、軍部に民主化を否定する動きは見られなかったのです。

何処で歯車が狂ったのでしょうか。それが昨年11月の総選挙でした。軍部も政党登録を済ませ、選挙で一定の議席確保を目指したのです。しかし軍部の期待は裏ぎられ、軍部支持の保守政党は惨敗、NLDは全議席の85%以上を占め、文字通り圧勝したのです。圧勝で気の緩んだスーチー女史とNLDは、軍保守派の聖域だった禁断の裏ビジネスにメスを入れたのです。合成麻薬の取引です。

話を聞いたことのある方もいらっしゃると思いますが、タイ・ミャンマー・ラオス3国の国境地帯は、ゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)と呼ばれる合成麻薬の生産と販売の聖域でした。軍の腐敗幹部たちは、この取引をお目こぼしして、年間数千億円規模の利益を上げていたのです。

この取引について、NLDとスーチー女史が裏で手を回したのか、2019年の春ごろから、ミャンマーの有力紙に、麻薬取締にかんする記事が出るようになり、軍幹部が警戒していたところへ、麻薬取引にメスを入れるつもりらしいと情報が入ったのです。

これは力で阻止するしかない。相手の一番触れられたくない急所に切り込むためには、万全の準備、絶対に負けない準備をして、一機に締め上げなければなりません。政治家として未熟なスーチー女史と、彼女以上に政治家として経験不足なNLD幹部は、絶対に負けない準備を怠ったのです。軍部は選挙に不正があったと、トランプ政権とその支持者の造語を失敬して、そのセリフを金科玉条にして、クーデタを正当化しようとしているのです。

ミャンマー国民のこれほどの抵抗は、軍部にとっても予想外だったのでしょうが、子どもを含めた国民に対する無差別殺傷は、軍自身にとっても、痛手になっているのでしょうが、それだけ引くに引けないとばかり、頭に血が上っているのでしょう。   






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最終更新日  2021.04.11 22:08:02
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