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この写真、何が変かわかりますか? せら「び」い・・・うん? C'est la vie. それが人生?! うーん、人生の終末を迎えるのに、あまりにも率直過ぎる意見表明だと朝吹は思いました。(ほんとは「セラピー」なんでしょうけど・・・) 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.31
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「立ち入り禁止」と、「雪を投げ込まないでください」というフレーズが両立するものなのか、ちょっと考え込んでしまいました。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.31
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確か旭川に出張したのはすでにジャイアンツが優勝を決めた後だったような気がするのですが、 目抜き通りにごらんの看板を掲げたお店がありました。結構繁盛してました。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.31
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幽霊 第九回 森之宮が力一杯ノブを引っ張ろうとすると、あっけなく開いて予想外に大きな音を立てた。アンジェが笑っている。かつがれた。さっと顔に血が昇るのが自分でもわかる。しかし顔には出しても声には出さず、落ち着いて問いただした。「あの音は何だったのでしょうね」 たぶん庭園の柵がちゃんと閉まっていなかったのでしょう、とアンジェはこともなげに言い返してきた。懐中電灯の光がまばらになってきた雪片に反射されたかすかな明かりのなかに、笑いをこらえることに精いっぱいになっているアンジェの顔がぼんやりと照らしだされる。不快感と同時に、悔しいけれどちょっぴり安堵感を植えつけられた森之宮は、大きく息を吐き出すと足早にドアの中へと飛び込んだ。 屋内は外気と同じくらい寒い。廊下や使っていない部屋に暖房がないのは当然なのかも知れない。二人の着ていたコートの表面についた雪は屋外にいる時からすでに溶けていて、まるでにわか雨にでも逢ったように濡れている。1階の森之宮の部屋まで戻ると、ドアを開ける前にアンジェがそのコートを器用に脱いでばさばさと振り回す。こうして外で水気を払っておかないと部屋の中が湿りますという。ヨーロッパ人にとっては、自分に与えられた部屋のドアが境界に相当するのだということがわかった。森之宮にとってはホテルの玄関ドアがそれに当たるのだが。 こうして探検から戻ってすっかり冷え切った体を温めたのは父親アドバイスのブランデーだった。アンジェは受け取ったコップをベッドサイドの照明にかざすと、あまり高級ではないグラスですね、と言って2フィンガー分を一気にあおった。でも中身は上等です、と、グラスをテーブルに戻しながら付け加えた。 一息つくと、アンジェが挑発してきた。城塞を背景にした肝試しは無事終わったけれど、実はこの城自身にも肝試しをする場所はまだまだ隠されている、たとえば、塔、タワーといえば、美しい姫君が幽閉されているところと相場が決まっています、と言うのだ。 ホテルについて、正面から見あげたときに既に気づいていたのだが、玄関の上に確かに塔がある。持ち前の好奇心から、チェックインしてすぐに出かけた探検の際にはどうしても入口が見当たらなかった。しょうがない、あまり乗り気はしないのだがアンジェに案内してもらうことにした。手をつないでそのまま3階まで階段を上がる。一度来たフロアだ。最前はここで立ち往生したのだった。しかし今回も森之宮の目にはどこにもその上の階に上がる階段らしきものは映らない。客室もここまでのようである。 ところがアンジェが森之宮の手を引いてそのまま階段正面にある客室のドアを開けた。中は真っ暗だが、どうやらいわゆる客室ではないようだ。1階や2階と同じような少し小さめのバンケットルーム然としていて、今は机や椅子が片付けられているせいでがらんとしている。真っ暗でも外から入ってくるかすかな光と二人が照らしている懐中電灯のおかげでそのくらいはわかる。アンジェが握っている手に力が入って、部屋の右隅に引っ張られていく。真鍮のレバー型のノブがついたアーチ型のドアがあった。アンジェは何のためらいもなくそのドアを押した。と、隠し階段が続いていた。これでは一見(いちげん)さんにはわかるわけがない。 4フロア分くらい昇ると、これが最後なのだろう、鉄のはしごが天井に向かって伸びていた。耳元でKimiが先か、私が先か、とささやく。息が耳の穴にかかってくすぐったい。先に行かなければ男の子じゃないと思って、森之宮は鉄の横バーを握った。 天井はちょうど梯子の上の一部が跳ね上げ式になっていて、音をたてないようにそっと開けて頂上に出る。すぐ下から息一つ切らせずに続いてくるアンジェの手を最後に引っ張り上げて男らしいところを少しは見せて、地上25メートルくらいある物見塔にやっとたどりついた。 ほとんど風がないのだが、さすがに午前2時を回っているのでしんしんと冷えてきた。天気は目まぐるしく変わっているようで、霧が少し切れ始めている。雪はとうにやんでいる。暗いながら、それでもだいぶ見通しがよくなってきた。北方遠くになんとなく街の灯が見える。それに引き替え南側は真っ暗である。視界は確かに360度開けている。さすが物見の塔である。 と、突然アンジェがJe suis en chaleur.(ジュスイアンシャリュール、私は熱い)とささやいて体を密着させてきた。確かにそうすれば寒さはいろいろな意味で和らぐ。森之宮が羽織っているのはほとんどレインコートのように薄い化繊のバーバリで、アンジェのは手触りがすべすべしていて素人でもすぐに上等だとわかる白いカシミヤだった。どちらかといえばアンジェのコートにくるまれたほうが温かいのだが、ここは見栄を張ってでも自分のコートの前を開いて受け入れることにする。少し腰をかがめて、お姫様は見つかりましたか、と言うせっかくのアンジェの問いかけには答えず、森之宮は眼下に広がる闇の中を指さした。 城塞内に点在する街灯にぼんやりと照らされている木々が、まるでお互いに謀ったように突然音もなく一斉に葉を散らし始めたのだ。すると森之宮の驚きを察したようにアンジェが言った。あれは単に散るのではないのです。散らす順序も速度も決めているに違いないのです。木々は土でつながっているのです。散らすのにもハーモニーがあると思いませんか。木(Arbre)は、ちょっとエロチックです。森之宮は同じような表現を日本語で読んだことがある(*)ような気がした。その時はずいぶん気障な言い方だと思ったが、目の前でアンジェがつぶやくのを聞くと、なんとふさわしい表現なのかと感心してしまった。単純なものだと自分で思った。 寒かった。二人、目を合わせるとどちらからともなく今は床になっている跳ね上げ天井の板を見た。降りるときもレディーファーストなのだろうかと思っているとアンジェが森之宮の方を見るので、これは先に降りるのが正解だと悟った森之宮が先導することにした。 部屋に戻って再びブランデーのお世話になろうとしたとき、机に放り出してあった単行本をアンジェが手に取った。これは何かという。「人間臨終図鑑」というタイトルで、ある年齢で亡くなった古今東西の有名人の小話が集めてあります、と解説した。 受けた。アンジェが尋常でない興味を示した。わたしは24歳だというので、20代で死んだ人々のあたりを目次で拾うと、カタカナ名前がただ一人載っていた。ジェームス・ディーンである。それも、24歳没とのことである。ああ、私と同年でしたか、では私ももうすぐでしょうか、とけらけら笑いながら言う。この屈託のなさは天使のそれであろうかと森之宮は思った。 とたんに、この明るさはまるで天使のようだと思ったのではないでしょうか、私の名前はアンジェですから、そもそもアンジェがアンジェ(天使)のように語るのは当然なのです、私はアンジェです、と言う。自分と自分以外の区別、森之宮とアンジェ自身の区別があいまいなように感じられる。目がくるくる動く。アンジェの印象が小動物、そう、リスか何かに似ているような気がしてきた。 3時を過ぎた。「明日、土曜日ですが、城塞とサキソフォンで有名なD**市に行こうと思うのですが、ご一緒していただけますか」だいぶ酔いも手伝って、今晩2つ目になる『清水の舞台』的問いかけをした。 こたえはつれなかった。乗馬の練習があるから行けません、そう言うと下を向いてくすくすと笑った。あしたとあさっては週末ですからホテルの仕事はお休みです、(毎日がお休みでもいいのですが)D**市はこじんまりしたきれいな町ですから、きっとよい印象を受けるでしょう(5分で終わります)、お一人で訪ねることをお勧めします(たいていは団体です)、郊外にはいくつかの小さな城がありますので、(見たってつまらないのですが)そちらも観光には適しています、(商業化されていますが)という時のアンジェの口調はまるでガイドブックを棒読みするような英語で、かっこ内に訳出した部分はなぜか低音のフランス語で解説のように語った。両方英語、あるいはフランス語なら意図も理解できるのだが、建前を英語、本音と思われる部分をフランス語でしゃべる意味が森之宮にはピンと来ない。 しかしそのピントが合わないもやもやをただす間もなくアンジェが両手で森之宮の両腕をとらえると、もう一度、生きている人の目を見せて下さい、と言った。森の宮の返事を待たずに再び、アンジェの高い鼻と森之宮の低い鼻が触れる。思いがけないほど長い舌が出て来ると、続いてルージュの引かれていない唇が森之宮の唇をとらえた。 思わず目を閉じてしまった。ふふふ、というのが聞こえる。アンジェが笑いかけているに違いない。黒い瞳を見せなさい。 再び目を開けると、今度はアンジェが腰をかがめて目を閉じている。自然に腕を回して唇を重ねる。隙を作ってもらった格好だ。ところが森之宮はうかつにも再び目を閉じてしまった。アンジェの、獲物から目をそらすなんて狩人としては失格、と言うことばにあわてて目を開いたときには、獲物は腕の中から抜け出す動きをしていた。それすら止められない。 オールヴワール(さよなら)、と言いながら天使が去っていくのを地上の少年は力なく見送った。かちゃり、と気を使いながらドアを閉める音がした。着替える気にもならずにベッドに座ると、森之宮は黄色い表紙の仏和中辞典を開いた。「Je suis en chaleur.」は、『私は発情している』という意味だった。 眠れそうにない気がした。 (*)小林秀雄「中原中也の思い出」 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.31
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ギターとサックスのセッションというのも珍しいなあと思って近づいたらこんな感じでした。ネコが耳を傾けるって、ビクッター?! 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.31
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なかなか面白いモニュメントがいろいろあります。これは駅前から続く目抜き通りを歩きとおした終点にあります。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.31
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まああきれるほどまっすぐな道路が続きます。中国やアメリカ西部では珍しくありませんが、日本では北海道くらいでしょうか。逆に言えば、北海道の景色が日本離れしているってことかもしれません。 右はそのとおり沿いで見つけたテレクラの看板です。「ベルなーれ」ですって! 近くに自衛隊の駐屯地がありますから、需要もそれなりに多いのかも・・・。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.29
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旭川の町です。歴史はないので印象はぶ厚くはないのですが、その分クリーンでした。しばらくご紹介します。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.29
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渋谷に映画を見に行った日でした。「落下の王国」という映画でした。 映像美がすばらしい出来という評判でしたが、正直ストーリーの雑さにがっかり。でも帰りに同行者と寄ったこのお店は正解! おいしいアルコール(銘柄は特に名を秘す)をこんな昼間から味わえて、幸せ!人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.28
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これだとありきたり。 これでどうだっ!!人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.27
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明日からまた九州へ出張です。今度は北九州市・・・。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.25
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翌朝、ホテルから出ると、すでに上弦の月がこんな感じ。別に寝過ごしたわけではないのですが・・・。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.25
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チョー面白い楽器。演奏も面白かったです。 ごらんのような結婚式場みたいな部屋いっぱいにピアノ線を何本も張り、両端と途中に紙コップを通します。その位置を調節することで音階を奏でられるようにします。ハープが横に寝たような感じになります。これを2セット作ると、4つ分の演奏スペースができますので、演奏者は同時に最大4人まがこの「楽器」に取り付くことができます。そして手袋をはめた手を弦楽器の弓代わりにピアノ線をこすることで音が出ます。 曲はバロックから現代風のオリジナルまで、なかなか美しい響きを聞かせていただきました。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.25
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すっかり暗くなってしまいました。 雑草でもスポットライト(ストロボですが)を当てて適切な背景を選んでやれば、それなりに映えます。 右は不思議な景色。造形的に面白いので切り取ってみました。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.25
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夜になるとこんな感じです。海辺なので夏でも涼しく散歩できます。で、このポンツーンを停めているのが右の錨です。(うそ) 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.25
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幽霊 第八回それなら行こうと出かけることにした。森之宮の部屋のある1階から地上階に降り、更に地下1階に降りると、従業員用の出口から外に出ることができた。風は収まっていたが気温はかなり低く、東京でいえば1月か2月の夜という感じだった。寒さだけがふるえを催させているのではない、森之宮だけでなく、言い出しっぺのアンジェすら、ちょっと怖いかもしれませんね、と小さいが高い、かすれた声でつぶやいた。コートのポケットの中で左手をきつく握ってくれるのがうれしいような、誇らしいような気がしている。 ホテルから城塞に向って急な坂道を降りていく。ほとんど明かりはない。日本なら街の灯が曇天に映えて、その照り返しが暗い一帯をもぼんやりと明るくしてくれるものなのだが、眼下にひろがるN**市のたたずまいは中世の城下町ならこうだったのではないかと思わせるほどぽつんぽつんと街路灯が目につくくらいで、面としての明るさは期待すべくもなかった。空に星はない。 案の定、空から白いものがちらちら落ちてきた。切れそうになっている蛍光灯の街路灯の下でそのいくひらを手に受けながら、今年初めての雪です、幸せに満ちた天から、地上にも幸せがあるのかどうか、わざわざ私たちに聞きにきたのです、何と答えましょうか、とアンジェが言った。「祝福でしょうか(Blessing us?)」 歩き続けながら森之宮は言った。声が枯れているがもう気味の悪さはない。アンジェが握りしめる左手はじっとりと汗をかいている。思いのほか背の高いアンジェの横顔がかすかな明かりの中にほの白く浮かびあがる。ギリシャ彫刻のようにすべすべして、まっ白で、美術館にあるように美しい。両側は落葉樹の並木が続く。すらりと伸びた木が一本もないのが不思議と言えば不気味な気もした。 アンジェにとってもこんな夜更けの散歩は初めてのようで、昼と夜とではこんなに印象が違うということは、支配原理も違って当たり前でしょう、やはり夜には夜の主張と哲学があると思いませんか、と聞くので、「仕事原理の昼、恋人原理の夜。これでいかがでしょうか」 と森之宮は答えた。正直言ってもう少し気の利いたことを言えばよかったと後悔したのだが、アンジェは黙って森之宮の左手を握りなおしてきた。 城を出た時には気づかなかったが、下に降りてくるに従って地面から湧き出すようにもやが出てきた。そのぶん、すこしだけ温かいような気がする。アンジェは誰に言うともなくフランス語でぶつぶつと独り言をつぶやいている。それは、自分自身の性格を反省するものであったり、同じく今日の振舞いを自己批判する内省であったり、ホテルの従業員たちとのやり取りを反芻するものであったり、また森之宮への印象を語るものであったりした。 いちいちは答えていられないし、聞き耳頭巾としてフランス語はそんなにできない『お約束』でもあるので、森之宮に言及したところだけ、英語でコメントを返すようにした。サルみたいだけど知性はあるというので、こんな夜更けにこんな戦場であったところを、かすかに血の臭いのするところを歩くのだったら少なくともお化け、ゴーストでないだけでも良しとするべきだ、と答える。また、わざわざ日本からこんな中世の残滓みたいな街に来なくてもいいものだというので、夢でエンジェルが舞い降りた先がこの街だった、よく見たら君だった、と答えた。 あなたが夢に見たのはもちろん私ではなかったのでしょうが、私にとっても、こんな霧の中を暖かい声の人と一緒に、それも真夜中、こうして歩いているのは一種の奇跡かもしれませんね、あなたがこのままの姿でいてくれることを願います、とつぶやくアンジェの腕を引き寄せようとしたとき、逆に強い力で引っ張られ、そのまま小走りに走り出すことになった。 雪に濡れて少し滑りやすくなっている石畳の上、城壁と通路が入り組んだ一帯を通り抜けると、ぼんやりと広がるN**市の街を一望に見下ろせる一角に出た。ゆったりと流れる2つの川の合流点の三角形になった部分を占めている。確かに『ヨーロッパで一番』かどうかは別にして、要衝と言うのに相応しい位置取りであることは間違いない。川を越えて町に向って城壁には規則的な間隔で銃眼が開いている。攻めのぼってくる敵軍を迎え撃つためのものに違いないのだが、時には領民に向って火を噴いたであろうことは間違いない。同じことをアンジェも考えていたようで、昨日まで親しくおしゃべりしていた人たちに向って殺意を抱くことができるのが人間なのですね、と小声で言った。声を出して同意を表す代わりに、すっかり暖かくなったので森之宮のコートのポケットから出してつないでいた手をそっと握りなおした。 Me**川とSa**川の合流地点が見える『城の足』と呼ばれる、城壁の先端部分まで来ると、アンジェが何かを探すようにきょろきょろし始めた。ええと、Sa**川の方に向いて、下からいちに、さん、四段目の、左から十一番目。これです、これを見てください。この石はいつも濡れているのです、きょうは雪でどれも濡れてしまっているのでわかりませんが、どういうわけか、夏の強い日差しの中でもこの石だけはしっとりと濡れているのです。なぜだかわかりますよね、とアンジェが水を向ける。空いている左の手を目の上にかざし、首をかしげて森之宮を見る。黒いコートの上に無造作にまいたカシミヤの白いマフラー、もっと白く美しい顔。答える前にじっと見つめたいくらいなのだが、気を取り直して少し真面目に答えてみる。「ここで何か惨劇が起きて、N**市にとって大事な人が無念を飲んで亡くなったのかな」 森之宮自身があまりに陳腐だとに思ってしまった想像力にそれでもアンジェは笑わずに、そうなのです、ドヴィルパン男爵とその娘がここで卑怯にも裏切りにあって殺されたのです、と答えた。「すると、この石をないがしろにすると亡霊が出てきて追いかけられるのかな。蹴っ飛ばしてみようか」 森之宮が右足を引いてフリーキックのしぐさをすると、アンジェがきゃっと小さく叫んで抱きついてきた。頬と頬が、胸と胸が、触れ合う。しばらくそのまま温かさを感じていたかったのだが、何かに気がついたようにアンジェのほうから身を離した。 アンジェは無言で森之宮を見ている。思わず目を伏せた。それを潮に、城壁の西側をたどりながら、かなりの高みになってしまったホテルを目指してゆっくり戻り始めた。すっかりご不興を買ってしまったようだ。二人とも無言で、しかし手だけはしっかりつないだまま、いつの間にかほとんど10メートル先も見えないくらい濃くなってしまった霧の中を歩いて行った。ちらちらと雪は少しだけ、しかし止むことなく落ちてきている。 1時間以上散歩してしまったようだ。気温はどんどん下がっているが積もるほどではないらしく、路面は黒いままだが芝生はうっすらと白くなっている。私たちはこんなに息を吐いたでしょうか、この地面の白さの原因は私たちにあると思います、とアンジェが左に体をひねって下から森之宮を見上げるようにして言った。見下ろすアンジェもきれいだと森之宮は思った。すっかり機嫌も直っているようだ。 ホテルの前の噴水が見えてきた。まっすぐ登れば正面玄関だが、二人は厨房に近い、すなわち玄関から左へ回ったところにある通用口から出たので、そちらへと向かう。 と、出る時に使ったドアが開かない。アンジェが一生懸命ドアノブを回すのだが、固くさびついたように動かない。締め出されてしまった、と振り向いたアンジェが泣きそうな顔をする。どうしよう、あの石、蹴ったでしょう、だからです、きっと後ろから亡霊が追ってくるのです。ああ、わたしたち、もうおしまいです。その時、やや遠くでくぐもった、しかし明らかに金属がぶつかり合う音がした。鎧の擦れる音が頭に浮かんだ。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.24
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横浜のみなとみらいエリア最先端に近いところにあるポンツーン(浮橋)の上にあるレストラン兼遊覧船発着所です。右端に船が着いたところでした。昨年9月にさる国際会議に出席したとき、退屈な講演会を抜け出して(ナイショ)散歩したときに撮りました。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.24
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江ノ島にあった、江ノ島神社以外の「神社」です。鳥居の上に掲げられた看板にはなんと「児玉神社」とあります。児玉源太郎を祀った神社とのこと。 え? 児玉源太郎って誰って? うーん、明治は遠くなりにけり。日露戦争で無能な乃木将軍に代わって指揮を執り、見事旅順を陥落させた希代の英雄です。この人がいなかったら今の日本は「ロシア国日本州」だったかもしれません。そのくらいの救国の英雄です。でも、どうしてこんなところにあるのでしょう?人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.22
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にわか雨が通り過ぎて少し涼しくなりました。こうしてみるとどこかのひなびた温泉街のような雰囲気もありますね。これが新宿から1時間ばかりの江ノ島で味わえる雰囲気です。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.21
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茅の輪です。ちょうど夏越しの大祓えの時期だったので、ここを三回くぐってお祓いです。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.20
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江ノ島神社ですが、 振り返って見るとこんな感じです。なかなか、海が近くて、神秘的で、朝吹は好きな場所です。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.19
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江ノ島についてすぐにある温泉施設です。水着で入れるので、若いカップルがいっぱい! うーん、朝吹にはちょっと、と言いながら同行者と一緒にジャボン。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.18
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まあ、ここまでか書かなくても、という「看板」だと思うのですが・・・。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.18
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江ノ島で見つけた龍2匹です。左は江ノ島大橋の入り口付近ですから結構皆さん目にしていると思いますが、右は・・・、さるわかりにくいところにあるトイレの入り口にあります! 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.18
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第七回 ヨロコンデ。ヨとロに微妙な間があり、「コ」にアクセントがある変な発音だった。すぐにフランス語で同じことを言った。avec plaisir!(アヴェクプレジール!)なんとなく大人が子供を諭すようなイントネーションだったので、これはよくできたリップサービスだと観念した。森之宮は飛び出る目玉をメガネが抑えてくれているうちにと思い、そそくさと請求書にサインして部屋に戻った。宿泊代より高い。真っ白で長い髪。青灰色の瞳。長いまつげ。ふっくらした頬。薄くもなく厚ぼったくもない唇。対照的に薄い胸。その代り締まった腰。ガラス細工のように細くて華奢な指。少し細長い卵型の顔、適度にシャープなあご。真っ白で端正な歯並び。ぽきんと折れそうな腕。順不同で思い出すその容姿。そして声。アルトというほど低くはないが、頭のてっぺんから出るようなソプラノでもない、女声としてほどほどの高さ、ゆっくりとした明晰な語り口、それも過不足なく控え目でいて満ち足りている。何のことはない、典型的なフランス人形の顔立ちとインテリの物腰だ。日本人ならみなあこがれる、一度は付き合ってみたい、できれば妻にしたいと思う、そんな。 でも本当に美人だったし、もう少し話もしたかった。みるからに改装したてとわかるアメリカ式に清潔で明るいバスルームで自分の身長より大きいバスタブにつかりながら、森之宮はアンジェの容姿を思い返してみた。このホテルには月曜の朝まで都合3泊することにしている。比較的ゆとりがあるので、明日は早めに出発してD**市観光の予定だ。日曜日はゆっくり起きてN**市を回ろうと思っている。一人には慣れているから。強がりを独り言でつぶやく。 暗い照明の下で父親の助言のブランデーを取り出し、ナイトキャップ代わりになめていると、ちりんちりんと小さめのベルの音がした。 ドアの外の紐を引くと、部屋の中にあるベルが揺れる旧式の仕掛けだった。ドアの外にはアンジェがいた。ククー、とフランス人がよくやる鳩時計のまねをした顔の前で両手を広げるおどけたしぐさをしながら笑って立っていた。 森之宮は一瞬何がどうなったのかわからず、幽霊でも見るような眼でアンジェを見つめた。まるで幽霊のように見えますか、と笑いかけたアンジェをもう一度見直すことで、ようやく天国に昇ってしまいかけた魂を引き戻した気がした。「よく来てくれましたね」 一応『聞き耳頭巾』状態を保とうと、取り敢えず英語で話しかける。あなたがうれしいと思うことをする気持ちになりました、それが理由です、それ以外に理由はありません、とアンジェが言うのだが、森之宮は自分で誘いかけておきながら全く訪れを予期していなかったのでうまく言葉が出てこない。その上、体が動かない。アンジェに胸を押されるまで、自分がドアの内側に立ちふさがって、いわばとうせんぼをしていることに気付かなかった。でも押されたときに、アンジェのほうが背が高いことにだけは気がついた。 後ずさりする格好で部屋の中に入る。3メートルほど廊下のような部分があって、その右手はバスルーム、突き当るとドアがあってその奥がベッドルームである。後ろへ後ろへと歩き、幸い開け放ったままだったドアを通り抜け、ようやく体を反転させることに思いが及んだ森之宮は、そのまま窓際のテーブルセットまでアンジェを導いた。いや、正確にはアンジェが導かれるように振舞ってくれただけで、実際はアンジェ自身の意思でそこまで歩いて行ったといっていい。「だってきてくれるとおもわななった」 思わず日本語でつぶやくと、再びアンジェが今度は日本語で繰り返した。あなたがうれしいとおもうことをするきもちになりました。やっぱりアクセントが変だ。思わず森之宮がクスッと笑うと、にほんご、おかしいですか、わたしの。と、後ろから2つ目の音節にアクセントを置いて話す。いっぺんで足がじゅうたんについた気がした森之宮は正直に英語で言った。「あなたの日本語はラテン語系の発音です、後ろから2番目の音節にアクセントを置いていますね。日本語は強弱のアクセントをあまり持ちません。どちらかというと、高低のアクセントで、それも同音異義語を使い分けるとき以外はあまり意識してアクセントをつけることをしません。したがって」ここから先は日本語で言った。「あなたのにほんごのアクセントはおかしいです。しかしにほんごはじょうずです」 わかりました、ほめられるということは、へただということを表していることは承知しています、では英語で話しましょう、アンジェはそう言って英語で話し始めた。差し出した父親の助言のブランデーを慣れた手つきで受け取ると、いいにおい、と言いながら一気に飲み干す。ゲントではほとんど手をつけなかったのでビンの中身はほぼ丸々残っている。今晩中に空けてしまったら、また買ってくればいいやと思いながら、アンジェが差し出す空のコップの半分くらいまで注ぎ足した。 このときの最初の自己紹介で初めてアンジェの名前がアンジェリック・ロレーヌだということがわかった。森之宮の名前がKimitoshiとわかると、Kimiはあなた、という意味もありますね、とアンジェが講釈を述べる。漢字で書くと「公」だから、いわゆる「君」とは違い、もっと貴族的なのですが、と反論を述べると、なるほど、貴族ですか、あなたは日本の貴族階級出身なのですね、と、妙に納得した顔をするので、すぐに打ち消したが、森之宮としてはまんざら悪い気もせず、むきになって否定したのをすぐに後悔した。 そのついでに、この部屋、に限らず、このホテル全体、いや、ヨーロッパのホテル、いやいやもっと広げてヨーロッパ全体の夜の照明、が暗いことを指摘した。「欧州人は明るいのを嫌うのでしょうか。眩しいのでしょうか。だからホテルの部屋の照明は思いっきり暗い。おかげでアンジェ、あなたの美しい顔がよく見えません」到底日本語では、日本では言えないセリフである。英語だから言えるんだなあ、と森之宮自身が思ってしまうような、いわゆる歯の根の浮きそうな物言いである。 アンジェの答えは、目が黒くないかららしいです、というものだった。調子づいて、どれどれ、と鼻と鼻がくっつく距離まで近づいた。確かにアンジェの眼は灰青色をしていた。あなたはなるほど目が黒い、と言うので、「日本語には「おれの眼の黒いうちは」と言う表現があります」 と言うと、すぐに、そうすると欧州人って、みんな死んでいるのですね、とアンジェが答えを返した。「そうか、お化けだから暗い所が好きなんだ」 と森之宮が言うと、では、肝試し(Test your brave)をしようという。納屋があって、武器庫(アーセナル)があって、よろいががちゃがちゃと動き出すという。鎧の手にはバトルアックス。ときどき首を切られる宿泊客がいる、自分を部屋に招いた紳士はみんな・・・「みんな?」 アンジェがギロチン(Guillotineギヨチーヌ)のしぐさをする。うそばっかり。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.18
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飛行機まで時間があったので、室内遊園地があるほど大きなショッピングセンターでお買いものと食事をしました。フィッシュアンドチップスを食べたのですが、これがイギリス本土とは違ってとても美味でびっくりしました。 右はクアラルンプル空港です。屋台風のお店、大きなガラスの向こうはジャングル風の装飾です。熱帯です、という演出ですが、ちょっとクサいな。 ということでマレーシア出張終わりです。なんだか仕事の話がまったく出なくて、まるで観光旅行みたいな記録になってしまいましたが、そこはそれ、ということで。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.18
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これは名人が目の前で染付けの絵を描いていくところです。左は下絵です。こっちが命。溶けた蝋を小さなミルクピッチャーみたいな容器に満たして一気に線画を書きます。慣れているのでしょうが、惚れ惚れする腕前です。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.17
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お昼ごはん、有名な中国料理のお店なのですが、なぜかこんな光景がお客さんの目の届くところに展開されています。あんまり気にしないんですね、お国柄のようです。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.17
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さっき戻りました。この会議は自分で司会して自分でまとめて自分で方向を決めなければならず、しかも毎回面白い新しい事実が出てきて、放っておくと議論が煮詰まるか発散するかのどちらかという、実にくたびれる時間です。 でも今回もたくさんの収穫がありました。もうしばらく、続けられそうです。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.17
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明日から福岡へ出張です。帰りは土曜日になります。この仕事、おととしは300億くらいの売り上げが立ったのですが、去年はゼロ。でもまた今年も継続してくれるっていう、この不況の折、涙が出るほどありがたーいプロジェクトなので、一生懸命やってきます!人気blogランキング 不在の間も投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.14
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マレーシアでも「ムショ帰り」という言葉があるそうで、これはクアラルンプルの中心からそう遠くないところにある刑務所です。中身(塀の中の懲りない人々のことです)もさることながら、施設自体が町の発展の妨げということで出て行け、と言われているそうです。内部は結構清潔で設備的にも整っているという解説をアテンドしてくださった現地法人の方がしきりに説明するので、もしかして元住人ですか、と聞くと、「アハハ」ですって。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.14
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昨日の広場の向い側に、有名(なんだそうですが、聞き漏らしました)な建物があります。確かに美しい建築物でした。 右は車窓から撮ったもので、すいません、曲がっちゃってますが、クアラルンプルで最も大きいモスクです。外側もモザイクで埋め尽くされているのがわかるでしょうか。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.13
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外へ出てくると、広大な芝生の公園でドリルの練習をしていました。近々国の祭日があるそうで、そのときの一番の出し物のようです。ざっと200人くらいのメンバーが、それぞれのパートに分かれて音は出さずにフォーメーションだけの練習です。ポイントを打っていないので、結構ぶつかりそうになったりして、そのたびにコーチと思しき人がわいわい怒っていて、しかられたほうは情けなさそうな顔で神妙にしているのが、朝吹の学生現役時代を思い起こさせました。朝吹は実は大学時代にホラを、じゃなかった、トランペットを吹いていました。ドリル:吹奏楽団が楽器を演奏しながらフィールドやステージ上を さまざまなフォーメーションで移動し、さまざまな隊形やアクションを見せるパフォーマンスのこと。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.12
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第六回 ずいぶん早いラストオーダーだと思ったが、身支度をして6時に降りてくると、レストランといっても街を見下ろす窓際に4つ、柱をはさんで6つ、それに奥の壁沿いに5つ、合わせて15テーブルしかない小ぢんまりとした店であることがわかった。金曜日なのに誰もいない。実際はあとから6組の老夫婦が現れたのだが、それにしてもこれだけ空いていれば6時から9時までの営業というのもわからないでもないし、ヨーロッパ人のメンタリティから言ってもそれが相応しいのかもしれない。 案内された席は柱のそばの、決していいところではなかった。一種の差別かなあ、と思いつつ、うやうやしく寄り添ってくるギャルソンが差し出すメニューを見て眼の玉が落ちるかと思った。この値段ならこれだけ閑散としていてもおかしくない。普通の人なら1年に一度、よほどの記念日にしか来ようとは思わない値段だった。森之宮は小さくため息をつきながら、「小さいメニュー(定食)」というのを指さしながら、それでも「ジビエはないか」 と英語で聞いた。 下の町ではすでに提供しているところもあるが、当店では11月から加える予定です、という答えが返ってきた。ジビエとは、野生のウサギやシカやイノシシなどを猟銃で撃って取ってきたものを言う。日本を発つ前に読んだ本の中に、秋のヨーロッパの味覚としてこれに勝るものはない、と紹介されていたものだ。そういうわけで「小さいメニュー」のメインディッシュはアヒルだと言うので、ソムリエにワインを選んでもらうことにした。本当は1本は結構多いのだが、ひとりで旅する限り、仕方ないことだと割り切って、コース料理とほぼ同じ値段の1976年もののブルゴーニュの赤を選んだ。鳥料理に合わせて少し軽めである。 前菜を運んできたのはアンジェだった。見たこともない美人で、知的で、英語も上手で、フランス語も当たり前だが上手で、はにかみ屋で、ともかくまだまだ100も200も褒め言葉の形容詞が連ねられるほど森之宮は一瞬で夢中になった。「belle femme(美人)」とささやいた。彼女は微笑んだ、ように見えた。すると、彼は君のことを気に入ったみたいだから、よく注意して見ているように、とギャルソン頭が言っている。英語のうまい丸顔の人のよさそうな中年男だ。そのおかげでなにくれとなくアンジェが面倒を見てくれることになった。ワインが少なくなれば、パンを食べてしまえば、必ずアンジェが給仕に来た。全部で7組しかいないのだから楽なものかもしれないが、それでも森之宮一人にサービスしてくれているように思えて仕方がない。 目をあげると窓が見えるのだが、外はやや荒れ模様で、時折大きくなびく木が園燈をさえぎり、黒い模様が窓枠と交差する。 周りにはそろえたように60過ぎの夫婦が席を占めている。一目で裕福とわかる身なりである。どのテーブルにもワインが2本くらい並んでいるので、いくらなんでも車を運転して市街地まで戻るとは思えない。すると今晩の宿泊客は森之宮を含めて7部屋分ということになろうか。あとでN**市の観光局発行のガイドパンフレットをみると、市内に3軒しかない4つ星(この当時ベルギーでは星は4つが最高)ホテルのようで、たぶん一般住民がおいそれと食事や宿泊に来るところではないだろうという推定は当たっていたようだ。 レストランの中は老人たちの立てるナイフやフォークと皿が当たる音以外に滅多に耳に入るものはない。厨房との境は開け放ってあるのだが、そちらの物音もほとんど聞こえてこない。それだけに時折交わされる彼らの会話は、別に耳をそばだてているつもりはなくても、森之宮の意識の表層をゆらゆらと横切っていく。 どこから来たのだろうか。中国人だろうか、それとも日本人か。ずいぶん若くて、しかも一人でこんなホテルに泊まるなんて、マンダリンじゃないか。声が大きいよ、いや、フランス語はあまり分からないようだから大丈夫じゃないか。たしかに、日本人は英語ばかりで、大陸の言葉を理解しない、いや、大陸の物の見方を知らないのではないか。島は島しか理解できないのかもしれない、しかし我々はブリテンを理解できるぞ。あのギャルソンヌは彼のことばかり気を使っている、きれいな子。何か手帳に書き付けている、ミシュランかな。いや、ミシュランなら少なくとも二人で来るらしいよ、でもさっきからシェフがそわそわと厨房から顔を出している、気になっているに違いない・・・ まるで『聞き耳頭巾』だ。物心つき始めた頃母親が布団の中で話してくれたおとぎばなしのようだ。彼らの本当の本心は別だが、少なくともお互いにしゃべっていることはほとんどすべて筒抜け状態になっている。『聞き耳頭巾』をかぶった男が、小鳥や小動物たちが目撃した真実を言い交わすのをこっそり聞き取って自分の役に立たせるストーリーを聞いて、子供心には少しずるいような気がしたものだが、こうして自分がその立場に立ってみると、こんなに有利なポジションはざらにないことが実感できる。森之宮自身が歳を取って、3歳の子供より無垢でなくなってしまった証拠かもしれないと思いつつ、しかし同時に加藤さんのアドバイス、あまりフランス語ができることを見せないようにしなさい、ということの真意がこんなところにあったのかとようやく思い当たった。そういえば加藤さんはドイツ語もフランス語も本当はできるし、切符を買ったりレストランで何か交渉したりするときは流暢にそれらをあやつっていたけれど、国際会議ではほとんど英語しか使っていなかった。森之宮同様、『聞き耳頭巾』状態だったわけだ。「小さな定食」のはずなのだが、こうして耳に入ってくる、ある意味で無遠慮なささやきや、さっきから片時も心と眼を離せない美女のギャルソンヌの影響か、メインディッシュのアヒルのフィレはとうとう四半分を食べ残してしまった。柑橘系ベースで野ぶどうとパイナップルのシロップ漬けが一緒になっているのになぜかあっさりしてほどよい甘味のソースがかかっていて、付け合わせの新ジャガイモともよくマッチしていたのだが、いかんせん量が多い。 すでに何組かの客は帰っている。あと3組くらいしか残っていなかった。それほどこの一皿とはだいぶ格闘していたらしい。アンジェが見かねてフィニー?(食べおわりましたか、と言うほどの意味か)と小さな声をかけてきたので、同じように小さな声でウィ、と答えた。 レストラン中の客がさわさわ、という音でもしそうな感じで森之宮に視線を送る。ほどなくギャルソン頭が来て、お気に召さなかったか、と聞くので、単に胃袋が小さかっただけで、味は上々だったと、注意深く英語で答えた。ちょっと口をすぼめて不満を表しながら、でもそれ以上何もいわずにギャルソン頭は引き下がり、入れ替わりにアンジェが来た。 アンジェというのはあとでわかった名前である。このときは森之宮はずっとベルファム(belle femme)と呼び続けていた、ただし小声で。ちょうどこのとき、時間的には9時を過ぎる少し前に、最後のデザートとしてミラベルという梅の一種から作られたリキュールを凍らせたシャーベットを運んできたのだった。 思い切って言った。「9時に終わってしまうということなので、仕事が片付いたら部屋に来てくれるとうれしい」 胸がドキドキしている。顔を上げられない。目を合わせるのがこわい。 ギロチンが落ちてくる瞬間を待つような間があって、ほかの客やギャルソンたちに聞こえない程度の小さな、でも森之宮にだけははっきりと聞こえる声で、それも思いがけないことに日本語で、答えが返ってきた。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.12
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モスクを出てミナレットを撮ってきました。相当大きなモスクなのに、1っ本しかありません。トルコなどではたくさんのミナレットがあることが一種のステータスのようなのですが・・・。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.12
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信者以外は入室禁止ですので、 案内頂いた方にお願いして礼拝堂の中に入って撮ってもらいました。神様を飾ってはいけないので、代わりに実にしゃれたデザインが満ちています。右は一部を拡大したもの。手もかかっています。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.12
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モスクの中です。いまは礼拝の時間ではないのですが、信者の方々が三々五々集まってなにやらお話中。壁には見事なモザイク。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.11
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大きなモスクです。 ところで、イスラム教では一切の偶像崇拝が禁止されていることはよく知られていますが、同じように旧約聖書にも神の像を作ることを厳しく禁じる記述があるのですが、キリスト教徒は意外と無頓着なのですね。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.11
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第5回 最終日は9時から工場見学があり、戻ってきてすぐ閉会式のようなものが行われた。ユーモアがあったとか、最先端技術の紹介だったとか、いろいろ面白いネーミングの賞が与えられたあと、最優秀論文賞が発表されるという。これだけはこの学会の正式のアワードだということで、さすがに場内がざわつく。やがて告げられたのは、最優秀新人賞および最優秀論文賞、ミスターシュラインインフォーレスト、森之宮だった。 周囲にいた見ず知らずの大男たちが、160センチそこそこしかない森之宮を目ざとく見つけて胴上げする。巨大なシャンデリアが目の前に迫るほど高々と舞い上がった森之宮は、新調したばかりのメガネが飛ばないように左手で抑えながら、それでもヨーロッパ人にこんな習慣があったのか、と思っていた。 ちゃんと受賞スピーチでは上司お二人を壇上に上げ、この二人のご指導の賜物です、と文字どおり持ち上げておいたので、その後の昼の簡単な立食パーティーの間じゅう、お二人は上機嫌だった。もともと英語は会話の経験が少ないだけで、かなり難しい文献もふだんから読みこなしているのだから、決してできないわけではないのだ。この頃になると耳も口も英語慣れしてきていたらしく、そばで聞いていてもあまり違和感のない英語をしゃべるようになっていた。もう安心だ。森之宮は受賞のお礼も兼ねてお二人を置いてパーティー会場をひとめぐりすることにした。 金曜日である。そして来週はM**市にある世界的に有名な研究所を訪ねることになっているという話をした。週末はその道中にあるN**市というところにある城塞のてっぺんにそびえる古城を改装した、N**城というホテルに宿泊すると告げた。日本の同僚たちみなに「幽霊が出るぞ」と冷やかされたのを思いだした。 同じことを今回の国際学会で知り合った、その道では世界的権威でありながら結構茶目っけのある大先輩達にも言われた。N**の城塞(シタデル)は、「ヨーロッパでもっとも重要な要塞」だそうで、中には俺も泊まったことがある、夜中に目が覚めるとがちゃんがちゃんと鎧の音がした、などと言うヤング博士(と言ってもおじいさんだ)もいた。ただでさえ細長い顔の顎をわざと左手で引き下げながら、ムンクの「叫び」のような形を作り、白目をむいてみんなを見回す。怖いと誉めてさしあげたいところなのだが、昼間の舌鋒の鋭さとの落差にみなとまどうやらおかしいやらで、結局「ギャー」のあとに「ッハッハッハ」と笑いがくっついてしまう。 今回のチェアマンはアメリカ人で、弟がメジャーリーグに在籍したことがあり、その上なんと来日して日本のプロ野球球団と試合をしたことまであるのだという。それでこの学会ではいわゆる日本式の「胴上げ」が流行しているのだと、事務局のソフィーさんが教えてくれた。モーガン・スタンレー・デービスというそのチェアマンは、想像通りの大男で、2メートル近い体を折り曲げて森之宮に握手を求めてきた。君の研究は実にアグレッシブで、よくあんな危ない、というのは失敗の確率が高いという意味だが、実設備を用いた試験を上司が許可したものだ、まったくBrass Ballsだというのが最優秀アワードの受賞理由だそうだ。空っぽの助手席を横目で見ながら学生時代にFENを聴き続けた成果で、モーガンの言うBrass Ballsが「度胸」という意味であることはすぐにわかった。「上司の勇気(courage)のおかげです」 と言うと、モーガンは一言、グレイト、とささやいて立ち去った。 簡単な昼食のはずだったのだが、時計はすでに2時を回っている。飛行機はパリ発なので、そこまで上司お二人を帰すためにはそろそろ時間だろうと思っていると、加藤さんが既にお二人を急かしている。初めて作った裏表のある名刺、表に日本語、裏には英語の名刺はあと30枚くらい残っている。70枚は配った勘定だが、もう少し時間が欲しい。森之宮はそう思ったのだが、とりあえず一緒にブリュッセルまでは戻る約束なので、仕方なく心を残しながら会場を後にした。 再び30分の短い列車のあと、常田河野お二人をパリ行きのTEE(ヨーロッパ横断特急)に乗せ、10分後にデュッセルドルフに帰る加藤さんを見送って、あと20分、N**市行きのインターシティを待った。午後3時を少し回ったくらいだが、風が出てきたようで、思わずコートの襟を立てるほど冷え込んできた。まだ明るい。ブリュッセルの中心街からは少し南に外れているこの駅(ブリュッセル南駅)からは、すべて石造りではあるが決して美しくはない、実用一点張りの街並みが見えるだけで、これから一人で1週間近くヨーロッパを転々としなければならないことを思うといささか気が滅入るのも事実だった。 ソフィーさんにもらったアドバイス通り、1等車を選んだのは正解だった。1時間と少しの乗車なのだが、大勢でいると気がつかないようなことが不安になる。2等車の乗客はどことなく怪しげで、森之宮を文字どおり取って食うのではないかと思われるような毛むくじゃらの大男や、魔法をかけられてネズミに変えられてしまうのではないかと背筋がぞくっとするような魔女めいたおばあさんが並んで待っている。対照的に一等車の乗り口には森之宮と同じようなネクタイ背広のビジネスマンが列を作っている。 だんだん暗くなる車窓を眺めていると、1時間はあっという間に過ぎ、車内放送などないから停車駅の看板に目を凝らしていてやっとN**駅を見つけた。ドアはボタンを押さないと開かないのだが、これはずいぶん手前から降りる人の動作を見ていて理解していたので、ホームに完全に停車する直前に、通を装ってドアを開けることができた。 堂々とした駅の階段を降りると、左から右への一方通行の道を1本渡ったところにタクシー乗り場があった。歩いても30分くらいということだが、ええい、どうせ会社の経費だ、ここは奮発してタクシーを選ぼうと考えた。ものの10分、坂道を登るとシャトー・ド・N**だった。 さすがに一流ホテルなので、こんな田舎でも完全に英語が通じる。駅からのタクシーの運転手は全く英語が駄目だったので少し心配していたのだが、取り越し苦労とわかって安心した。ところが鍵を渡すのと同時に夕食をどうするかを聞かれた。もう遅いから町に降りるならタクシーを呼んであげる、ホテルのレストランで食べるなら予約がいる、ただし6時から9時まで。 もう遅いって? まだ宵の口ではないか、ヨーロッパ人は夜更かしと聞いたし、ゲントでも皆遅くまでわいわいやっていたのに。終わりも9時とは。そう思いながらエレベーターで1階(日本でいえば2階)に上がった。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.11
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この公園、なかなかしゃれたオブジェがあります。ハイビスカスの花芯が街路灯になっていました。 こちらはやしの木の一種でしょうか、造形的に面白いので撮って見ました。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.11
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これは相当屈折した彫像のようです。掲げている国旗はマレーシアのものではあるのですが、彫像の兵士の顔は明らかにアメリカ人でしす。同伴していただいた現地法人(マレーシア国籍です、もちろん)は、朝吹への説明にいささか言いよどむところがありました。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.10
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続いて独立記念公園です。遠くに見えるたまねぎ。モスクをかたどった金色の屋根でした。造形的にこのままでは面白くないので、そこだけ切り取るとけっこう見られる姿になりました。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.10
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幽霊 第四回 後半 翌日は8時のインターシティ(急行列車のイメージ)でほんの30分ほどでゲントに着いた。これから約2日半の長丁場なのだが、日本からのエントリーは森之宮一人のようで、そのせいかどうかわからないが、発表は初日の午後の部の最後という一番楽な時間帯にセットしてあった。主催者の気遣いかどうか真実のところはわからない。でも少なくとも国際会議デビューの森之宮にはとても負荷が軽くなる。 その甲斐あってか、英語でしたプレゼンテーションは自分でも内心ナイス!と叫びたくなるほどうまくいった。そのまま主催者招待の立食レセプションになったのだが、講演の内容だけでなく、どこから来たのかだとか、経歴だとか、果てはまだ独身かなどという、あまり西欧の人間が話題にしないことまで聞かれる、一種のスター扱いをしてもらった。加藤さんからのアドバイスでフランス語はカタコトしかできないことにしていたので、たまにトレビヤン!とか言うと、それだけで喝采をもらう始末だった。上司お二人は、終始そばにいる加藤さんが片端からちゃんとした英語に翻訳してくれるのをいいことに、こちらは正真正銘のカタコト英語でだれかれとなく話しかけ、それなりにゲントを、国際学会を楽しんでいるようだった。 翌日も学会が続き、世界レベルの議論が容赦なく交わされるのを目の当たりにした森之宮は、昨晩あれだけ飲んで騒いだ連中がどうしてこんなに元気なのか、そちらの方にもびっくりした。もちろん、最先端の学者と製造工程のエンジニアたちの真剣勝負にも加わった。なにしろ隣では河野課長がアブストラクト集を見ながら、森之宮が質問をした講演にマル印をつけているのだから気が抜けない一日だったのだ。が、夕方6時になると、徒歩によるゲント市内ツアーというものが催された。昔、世界史の時間に習ったような気がするメロビング王朝だとかカロリング王朝だとかが実際にこのあたりで戦争やら和解やらを繰り広げたことを聞かされた森之宮は、石の文明の重さと息の長さをちょっとだけ鬱陶しく感じた。見下ろす石畳はきっと人間の血で磨かれたことがあったに違いないと思った。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.10
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幽霊 第4回 前半選択。はて、そういえば自分から進んで何かを選び取ったことが果たして今までにあっただろうか。高校も、大学も、会社だって、誰かがいいと勧めてくれたから何となく選んでしまったのではなかったか。急いで付け加えておくが、それで後悔したという意味ではない。結果としての選択はすべて少なくとも間違いではなかったと思っている。しかしそこに森之宮自身の自由意志はあったか。 右前に座ったのはぱっちりした目の下にそばかすが浮き、頬をほんのり赤くした金髪のきれいなジャンヌだった。時折隣のドミニックとフランス語で話しているので、たぶんワロニーだ。でも森之宮はなぜか中学校の英語の教科書に出てきたスージーを思い出してしまった。パスだな。生徒会長になってからラブレターを出した同級生のあだ名がスージーだった。見事に振られたんだった。 左側はドミニックだ。二人ともベルギーの南半分の地域、フランス語圏でもあるワロン地方出身のようで、しきりにフランス語で話している。相当露骨な中身で、日本人の身体的な特徴をしきりにあげつらっている。一行4人は全員メガネだし、河野課長は少し出っ歯だ。常田部長ははげかかっている。その上森之宮はカメラを持っていたのだから、確かに4人合わせて典型的な日本人集団だったかもしれない。ただ、ドミニックはワロン系にしては珍しく、背が180センチくらいあり、まるでオランダ系(フレミッシュ)のようだ。手の指も腕もほっそりして華奢なつくり、真っ白な肌なのだがアルコールのせいか露出している部分はほとんどがピンク色に染まっている。長いまつげと薄い唇が印象的な美人だ。それにさっきからしゃべっているフランス語からは英語と共通の語彙が除外されている。英語しかできない日本人にわからないように、注意深く、巧妙に言い換えられている。この二人はただものではない。 馬鹿話を英語でしながら二人を見ていたのだが、同じようにかわるがわるみている視線が二つある。常田部長と河野課長だ。意識的に目を合わせてみた。いいなあ、英語ができるだけでモテモテなんて、うらやましい限りだ、というような中身のことを、ゆっくりと、まるでわざとやっているように聞こえるほど聞き取りにくくしゃべったあと、常田部長は言葉のスピード同様のゆっくりした動作で椅子からずり落ちそうになった。 加藤さんがすぐに手をのばして抱きかかえた。尋常ではない身のこなしだった。同じ会社とはいえ、文科系出身の加藤さんのことは、今回の出張までほとんど知らないままだった。続いて肩を入れながら二人で常田さんを元通り椅子に収めると、図ったように河野さんもゆらゆら揺れ始めた。 早く決めてくれないと二人とも陥落するよ、と加藤さんが言うが、常田河野のお二人はきっとうろ覚えにでもこの晩のことを思い出すに違いなく、そのとき森之宮の行動が面白おかしく語られる可能性が高いことに思い当った。「どっちもパスします。すいません、ご好意なのに」 森之宮が言うと、加藤さんは苦笑しながら理解してくれた。 外は札幌の10月よりもっと寒いくらいの気温だった。風はないのでその分体感温度は低くないのだろうが、それでも寒がりの森之宮には結構ぴりぴり来る。しかし酔っ払い2人は却って目が覚めたようで、おい、加藤、T大剣士、同期は同じ会社に入らないんだってな、俺はザッカー、サッカーじゃないぞ、ザーッカー部だ。などと大声でわめき散らす。ホテルが近くてよかった。グラン・プラスを斜めに横切って、結局その晩はそれでも12時過ぎにはベッドにもぐりこむことができた。完全に酔いつぶれているお二人の部屋には7時にモーニングコールを頼むことを忘れない加藤さんが剣道部出身で、インカレにも出たという実力者であり、今でも素早い身のこなしと先読みのセンスを保っておられることに恐れ入った。文科系出身者のすごさを垣間見た気がした。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.10
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結構規則も運用次第なようで、騎馬の兵隊がちょっとはずしているところです。これじゃあ警備していることにならない・・・ 右は正面入り口。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.10
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この衛兵、ホント、人気あるんです。ご覧の通りこのご婦人は一緒に記念撮影です!まあ、りりしい、といえばそうなのでしょうが・・・。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.09
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翌朝、よっぽど暇だったのか、アテンドしていただいた現地法人の方がマレーシア王宮に連れて行ってくれました。ご覧の通り、クアラルンプルのど真ん中に広大な敷地と騎馬の近衛兵を持つ立派な王宮でした。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.08
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クアラルンプルで泊まったホテルからの眺めです。遠くにツインタワーが見えます。で。傑作なのが右の写真。矢印が見えるでしょうか。この矢印が指している方向は・・・ メッカです! そう、ここマレーシアはイスラム教の国なのです。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.07
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青雲亭の出口にあった喜捨箱です。日本で言えばお賽銭箱なのでしょうが、ろうそくなどを並べている脇に鎮座しています。ご覧の通り、名前が日本の前首相にそっくり(ってか!)。 外に出ると、ちょっと見えにくい写真で恐縮ですが、いろんな仏様がごちょごちょと固まって飾ってありました。うーん、さすがチャイニーズです。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.06
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幽霊 第3回さて、森之宮のフランス語が上達した理由だが、もちろん、と、胸を張って言うが、高尚な理想や気高い目標があってできるようになったわけではない。 受かるかどうかわからないにも拘わらず、なぜか入学願書にすでに第二外国語選択欄があったので、理科系の人生、どれを選んだって決定的な間違いにはなるまいと考え、女子学生の比率が高いはずだという、いささか不純な動機でフランス語に決めた。まあ、褒められたものではないのは事実だが、クラスメートの男子の殆どは森之宮と同じ下心だったようだから、逆に言えばうぶな学校秀才の考えることなんて似たり寄ったり、陳腐でチープなものだ、と切り捨てることもできよう。ただ、現実はけっこう森之宮に味方したとも言える。思惑通り、その後ある科学雑誌の創刊号を飾ることになるほどの美人と同じクラスに入ることができたのだ。そのクラスの男どもは彼女にいいところを見せようとみんな頑張ったので、理系22クラスのなかでもダントツに成績が良かった。 そんな話をすると、河野課長からは、その人のことは知っている、神戸に住んでいて、ピアノコンクールか何かで優勝したんじゃなかったか、というようなかなり細かい線まで勝手知ったる反応が返ってきた。森之宮が、「そうです、よくご存じですねえ」と言うと、今度は常田部長から河野課長をからかうように、そういうの『だけ』よく調べている、というような茶々が入る。お約束通り、河野課長は、そんなに『だけ』だけ強調しなくたっていいじゃないですか、とかなんとか言い返す。 ベルギーではワインはほとんど採れず、フランスからの輸入ものが主流なのだが、フランスといってもそれこそ目と鼻の先で、ブリュッセルでは英語を話す人とフランス語のほうが得意そうな人がほぼ半々というところだ。そのフランスワインを4人で5本空けてしまったのだから、料理も相当美味しかったはずなのだが、森之宮は周りの喧噪の中から自分たちに向って浴びせられている好奇の視線と、日本人は英語はわかるけれどフランス語はわからないから大丈夫だろう、と実際に大声で言葉を交わしながら言い続ける悪口に苛々しながら食べていたので、交わした会話以外のことをあまり詳しく覚えていない。何だか損な気分のまま、立てつけの良くないガラスドアを押して外へ出るとすでに11時を過ぎていたが、デュッセルドルフに住んでいる欧州事務所の加藤さんがいいお店を知っているとのことで、2次会に行くことになった。 ブリュッセルの中心、グラン・プラス(大広場?)から少し北に路地めいた狭い道を入ると、高級通俗取り混ぜたレストランが軒を並べている一角があり、ちなみにその一番奥には小便小僧ならぬ「小便少女」の像があるのだが、その時は全く気がつかないままだった。後日談だが、今世紀に入って間もなく訪れることになった森之宮はあまり恥ずかしいので写真を撮れなかったというものだ。でも、一応「芸術品」ということにしておく。 4人はその少女像の3軒ほど手前にある、ブリュッセルでもある意味で一番有名なビアホールに立ち寄った。 地下一階がメインフロアらしいのだが、そこは森ノ宮よりもさらに若い、もしかしたら10代かもしれないような少年少女たちであふれている。店のマスターらしい髭の男が1階の入口の横に広がるスペースへと導く。森之宮たち以外に4、5人の男女ペアが小さめのコップをはさんで談笑している。窓の外に『ここは地獄』という意味のバーの看板が出ているのが妙に印象的で、森之宮が一眼レフとは別に持ってきたコンパクトカメラを持ち出して写真に撮ろうとしていると、もうろれつが回らなくなりつつある常田部長が、さっきのその大学時代の彼女とはその後どうなったのか、と余計なことを聞いてきた。「そりゃ、ご推察の通り、とうとうその彼女は助手席に座ってはくれませんでしたが、新宿の花街に住んでいましたから、まあ、親元からの通学です。経済的には不自由はなかったので、初めての夏休みの前半に母親に出してもらったお金で運転免許を手に入れて、残りの半分をアルバイトに費やして中古のサニーを買いました。すごく近いんですけれど、通学はもっぱら車。そして車中ではFENと呼ばれていた米軍の極東放送を聞く毎日でした。残念ながら、いや、期待通りかな、隣は空席でした、彼女以外も含めて、ずっと」 これで上司お二人は安心してくれたのか、目の前のビールジョッキを持ち上げると一気に、ほんの2センチくらい飲んでテーブルに戻した。目がすわってきている。 しかし、実は本当の夜はこれからだったのだ。地下一階のフロアから、二人、三人が連れ添ってビールの小瓶と小さなコップを持ってわれわれのいるスペースに上がってくる。結構流暢な英語で、飲んでいいか、と聞く。みな背が高く、金色か銀色の髪の毛で、まつげは長く、唇はヨーロッパの北のほうの人種としては少し厚めで、胸の谷間は殊更のように強調されている。美人と言っていいと思った。しかも、秋というよりは冬の気候にも拘わらず半そでミニスカートだ。 ここでYesというと、交渉成立なのだろうと森之宮は察したが、常田部長も河野課長もアルコール摂取過多のためにそんな判断はできていないように見える。右と左に座った二人の女性両方にYesと返事をされては相手もどうしていいかわからない。まさかその歳で一晩に二人を相手にできるとは到底思えない。加藤さんが英語によく似た言葉、たぶんフラマン語だろうと森之宮は思ったが、で何か言うと、常田河野のお二人にくっついていた4人の女性は諦めた顔をしてビール瓶だけ置いて降りて行った。 本当は課長以上の分しか確保していないが、こういうことなら森之宮くんが気に入った子を連れて帰っていいから。と加藤さんが水を向けてくれる。ご自身は家族同伴で赴任して来ているのでさすがにまずいから遠慮するとのこと。 必ずしもこちらだけが選ぶのではなく、日本語の言い草ではないが、相手にも選ぶ権利があるようで、気に入らない男とは出かけない。ちょうど森之宮くんの隣にいる二人は小柄で、たぶん君なら、と思って上がってきたはずだ、ここから先の費用は欧州事務所で持つから心配なく。加藤さんはこう言うと選択を促すかのように横を向いた。 (続く)人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.01.05
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