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ばっちっこ その6 その晩偵察に出た恒久は、今度はにこにこと帰ってきた。やつらはすべて姿を消したようである。知らん顔して交番のおまわりさんに聞くと、『罰あたり連中は皆帰った』とのこと。「俺たちの方がよっぽど罰あたりなんだけどさ、おまわりさんはどう見ても地の人で、いわゆる正義派さ。館山は子供のころから毎年夏になると来てるけど、警察が頼もしく見えたのは初めてだな」 まだ12歳なのに『子供の頃は』もなかろうにと思ったが、俺も恒久もすでにゆうべから主観的には正真正銘の『大人』の仲間入りをした気分でいるので、まあ、許そう。俺たちはしかしながらそれから5日間、到底大人とは思えない遊びをしながら小学生最後の夏を過ごした。たとえば、前の日に捕まえてコーラ瓶に幽閉しておいたゴキブリについて言えば、こいつには帰る前の日の晩まで俺たちの食事のお相伴をさせた。なに、食べ残しを瓶に放り込んだだけだが。そして帰る日の早朝、砂浜に瓶ごと持ち出され、3本の爆竹とともに文字通り木っ端微塵に消し飛んで一生を終えた。 その朝は残った爆竹の処分を兼ねて、砂浜に最期の姿をさらしているさまざまな『もの』の残念(文字通り、残った『念』という意味で俺たちは使っていた)の成仏を願って爆破する行(ぎょう)に励んだ。 たとえばキューピー人形。片腕がもげ、右足は後ろと前が逆になっていて、背中には大きくばってんがついている。顔は砂だらけだ。こんなのを見つけると、恒久と俺は腕のついていた跡の穴に爆竹を仕掛けて、南無阿弥陀仏と唱えながら点火する。人形は大きく跳ね上がって首と手足が離れ、胴体には亀裂ができる。砂浜に落下した残骸は丁寧に拾い集めて、かかとで掘ったくぼみに安置し上から砂をかぶせる。今度は南無妙法蓮華経。 たとえば戦艦大和。差し渡し30センチもある立派なプラモデルで、駆動用のマブチモーターと単三電池が入っているが、塩をかぶったせいかスイッチを入れても反応しない。イカれてしまっている。砲塔を外してできた穴に3本ずつ爆竹を埋め込み、爆竹束をばらすときに出てきた導火線を結びつけると点火から爆発までの時間を稼げる。こうしておいて膝まで浸かる深さのところで火をつけ手を離す。どうしたはずみか、死んでいたはずの動力……モーター……が復活し、勢いよく波を切って進みだす。 5秒後、潮騒に負けないくらいの大音響とともに1メートルくらい船体が飛び上がり、甲板部分と胴体部分に大きく分離した戦艦大和は、実戦もかくやと思われる姿で波間に没する。「この爆竹、中国製なんだよな。大和を沈めたのはアメ公だったけどな」 恒久はどういうわけか昔からアメリカ嫌いで、この後起こる70年安保では実際にデモに参加したりしている。俺は「次に大和を作る時には、中国が撃沈するかもよ」と答えた。 昼過ぎの電車で新宿に戻って恒久と別れると、母親がぽつんとひとり家に残っていた。弟が帰りを待っていたのだが、待ちきれずに『緑陰子ども会』に出かけたという。「伸彦さんも行きますか。まだ間に合うと思うけど」 母親は息子に対しても敬語を使う。俺の返事はこうだ。「今更子どももないもんだ。俺は行かない。スイカ食いたい」「はいはい、伸彦さんはパパさんに似ていちげんこじだからね。スイカ、ちゃんと冷やしてありますよ」『いちげんこじ』が一言居士であることにこのときは気が付いていない。むしろ、3兄弟の中で俺だけが背も高く、その上ハッキリ言って鼻が高くて二重まぶたでいわゆるハンサムボーイで、5つ離れた兄とも二つ下の弟とも、そして母親とも似ていないことをちょっぴり気にしていただけに、いちげんこじの『こじ』の部分が耳に響いた。そうか、俺はやっぱり孤児だったんだ、やさしい母親に拾ってもらったに違いない。 父親は5時に役所が終わって6時には戻ってくるのだが、銭湯に行かない日はそのままビールを1本飲んだかと思うと真っ赤な顔をしてお茶漬けを掻きこんですぐに寝てしまう。銭湯に行っても、俺たちの体を思いっきりごしごし削る……本人は優しく洗っているつもりらしいが……と、やはり戻ってきて目刺かアジの干物を肴にビールを1本、それに母親が漬ける白菜かナスをおかずにゆっくりと御飯を食べ、そのまま腕枕で寝てしまう。しばらくしていびきが聞こえてくるころ、夕食を終わった俺たちはちゃぶ台の上を片づけ、それぞれの勉強に取りかかるという寸法だ。 父親は3人の息子に一切分けへだてはなかったが、一番勉強せず、しかし成績の良かった俺に対しては、自分の成績と引き比べて、時々おずおずと誉めてくれるのが異例といれば言えないことはなかった。 スイカを食べてぐずぐずしていると、父親と前後して弟も兄も帰ってきた。兄は予備校の夏期講習である。新宿高校2年だが、普段の授業は新宿御苑で受けている(要するにさぼっているのだ)と豪語するだけのことはあって成績は散々で、駿台予備校の模擬試験では東京の国立大学はどこも難しいという判定だった。仕方ないので母親が新しくできた京王デパートの地下食品売り場でアルバイトをして夏期講習から駿台に通うことになったのだ。このまま9月からはお茶の水で高校生向けの受験対策授業を受けることになっている。 俺も入れて家族5人でちゃぶ台を囲むのは1週間ぶりだから、結構会話は弾む。館山で遊んでいた中身も、肝心の一夜の出来事を除いて面白おかしく身振り手振りで語る。特にゴキブリの最期や、戦艦大和沈没シーンでは、母親は目を顰(ひそ)めたが、男ども4人はしゃべっている俺も含めて笑い転げた。 翌朝は、今度はラジオ体操だ。もう俺は大人だから本来は子供の体力増強のためのこんな行事に参加する必要はないのだが、弟のために大人の付き添いとして出てもいいかと思いなおして近くの公園に出かけた。 恒久も来ていて、二人とも既に大人なのにこんな行事に出なければならない身の不運を嘆きあったのだが、終わって児童会のおじさんからハンコをもらって解散する時、なんだか言いたいことがあるようなので俺は弟を一人で帰らせて恒久の後をついて行った。 浅田医院というのが恒久の父親が開いているクリニックで、内科も外科も範疇に入っている。町医者で外科もやれるのは住宅街では珍しいが、これは十二社がもともと花街でそれなりに傷を手当する需要があるということでもある。結構物騒な町でもあった。 その裏手のはす向かいに建築資材置き場があった。置き場であると同時に、廃材や廃棄物の不法投棄場所にもなっていて、夏休み前には大量の注射針が捨ててあったこともある。近所の子供が(もちろん、その当時は俺も恒久も『子供』のカテゴリーだから、このうちに含まれる)建築廃材の合板や発泡スチロールの切れっ端にそれらを山嵐のように刺したものを振り回して遊んでいたところ、恒久の父親が血相を変えて出てきてカンセンショウになるからすぐにやめろ、と怒鳴った。俺は『感染症』という語彙をその時初めて知った。 その置き場、要は俺たちの隠れた遊び場である。周りに人がいないのを確かめるように恒久がぐるりと見回した。まだ出勤前だ。こんなところに人がいるわけがない。「あのな、俺、中学受験しろって言われた」 俺は黙っていた。別にそれはそれ、恒久の進路であって、恒久が自分で決めればいいことだし、早めに打ち明けてくれるのは悪いことではなくむしろうれしいことではあるのだが、これはこれからはうかうかと遊んではいられないよという意思表示でもあるわけで、必ずしも俺にとって朗報であるわけではなかった。 ばっちっこ 続く 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.28
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ゲントの町並みです。統一を取ってライトアップしています。ネオンサインもありますが、場所が限定されていること、色使いが(おそらく)規制されていることで、街全体の雰囲気を壊さないように配慮されています。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.27
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さっきの古城の犬走り(っていうのでしょうか、西洋では)には、ご覧のような蜘蛛の巣。どんな巨大なクモが巣を掛けたのでしょう! ね、だんだん、「幽霊」っぽくなってきたでしょ!? 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.26
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近づくとこんな感じです。 見えますか? 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.25
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ゲント中心部は小ぢんまりしていてるので、ホテルからレストランまでは徒歩です。途中、なになにこれ! という古城のそばを通りました。なんか、甲冑をまとった中世の騎士がその辺の窓から顔を出しそうな気がします。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.25
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夕食はゲント郊外に工場を持つ、朝吹の会社の友好企業に勤める友人にご馳走になりました。ホテルを出ると、すぐ前はご覧のとおり水面!ここは北海まで連なる運河だそうです。そしてきれいにライトアップされているのはギルドの建物とのこと。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.23
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ゲント(Ghent)で宿泊したホテルの内装です。外側は、あとでお見せしますが、完全に中世の町並みそのもの。内側だけは凝りに凝っています。下から見上げるとこんな感じ。で、この赤い窓枠が黄色青緑と変化します。古都に相応しいかどうかは別。まあでもギンギラギンではないのが救い。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.22
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しばらく、朝吹の小説「幽霊」の背景になる世界をご紹介します。 まずは、シャルルドゴール空港です。 え?こんなところ見たことない!?でしょう。でもこの幾何学模様、なかなかきれいでしょ?! 実はここ、シャルルドゴール空港の鉄道駅なのです。SNCF(フランス国鉄)のシャルルドゴール空港駅。ここから市内への普通電車のほか、たとえばブリュッセルに向かうTGV(特急列車)これは特別な名前がついていて「タリス」というのですが、一日に10本ほど走っています。一等車で122ユーロ。しかしたった1時間半でブリュッセル南駅まで行ってくれます。速い! ところでこのブリュッセル南駅ですが、名前のとおりブリュッセルの中心からはちょっと南にあって、タリスの発着駅なのですが、ですが、英語表記、じゃない、現地語かな、では、Brussels-Midiとなっています。「Midi」なら、「真ん中」ですよね、ミディアムとか、MサイズのMだし、スカート丈でもミディってありましたよね。朝吹は初めてタリスに乗ったとき、てっきりブリュッセルの中央駅だと勘違いして、そこで降りてしまいました。そのときと泊まったホテルはBrussels-Nord(ブリュッセル北)駅のそばだったものですから、タクシーのメーターの上がること!しかも一人で移動していたので心細いこと限りなし。そうそう、しかもこのときは同じシャルルドゴールに着いたのですが、SNCFとパリ市交通局がそろってストライキをしていました。最悪でした。その日のうちにブリュッセルに着けそうになくて急遽パリに宿を取って、翌朝一番のタリス(ホテルのコンシェルジェが国際列車は動いているから、と教えてくれたので)に乗って、しかもこれも1時間以上ダイヤからは遅れて、やっとの思いでブリュッセルに着いたのでしたっけ。 そのときもこのSNCFシャルルドゴール駅には来たのですが、動転していて写真を撮るだけの余裕はなかったのだと思います。今回は会社の上司二人を引率しての出張だったので、万一のときは二人は放り出して自分だけでもゲント(Ghent)に着ければいいやと思っていたのですが、アメリカ留学経験のあるお二人は完全に朝吹に頼りっぱなしで、二言目には「ドントレットミーアロウン(Don't let me alone)」でしたから、逆に添乗員の気分でとっとこいけたかなと思い出しています。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.15
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というわけで平将門の首塚でした。今度、将門様が現代によみがえる物語を書こうかと思っています。乞うご期待! 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.14
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ところで、ここはなんと酒井雅楽頭(うたのかみ)の上屋敷の中庭だったんですね。あの「樅の木は残った」の原田甲斐宗輔(むねすけ)が切腹して果てたところがここだそうです。戦前は逆臣の典型だった原田甲斐は、山本周五郎のこの小説一発で復権したのでした。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.13
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ご本尊、とはいわないのでしょうね。しかしそれにしてもきれいに維持されています。さすが、日本三大荒神様のお一人ですから! あれ、神様だったら「一人」じゃなくて「一柱」かな。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.13
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神田明神といえばてっきり銭形平次だと思っていました。裏手には平次の子分の八五郎のお墓があるくらいですから! でもご本尊が平将門とはまさか知りませんでした・・・。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.12
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正面から見るとこんな感じです。 両側にガマが控えているのがきっと何か意味があるのでしょうが、浅学菲才の朝吹には何のことかわかりませんでした。 ただ、この向こうにみえるビルの机は、将門塚にお尻を向けないように配置してあるとか。まあ、ここに大蔵省を建てようとしたとき、次々と要人がなぞの死を遂げたということもあるそうで、さもありなんと。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.12
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なんだか屋内撮影のセットみたいですが、大手町にある「将門の首塚」です。経団連に行った帰りに寄り道しました。ビルに囲まれた一角、静かにお線香の煙がゆらゆらしていました。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.11
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3態 女の不思議男の謎 朝吹龍一朗 190センチはありそうなブロンドでとび色の目をした男が、ケータイを片手にものすごい形相で私鉄のターミナル駅からJRの駅のほうに乗り換えるコンコースをを風切音が聞こえるくらいの速さで歩いてくる。手にはむき出しで使い込んだテニスラケットを持っている。いわば「抜き身」状態である。 同じ男を再び見かけた。やはり同じ私鉄の車内で、今度はむき出しのマンガ本「コナン」のシリーズの、しかも古本を持って、ほとんど顔の高さにある吊り輪を握っていた。外国人のようだが、日本語も読めるし、日本文化もそれなりに理解できる様子と知れた。 3度目は、身長差40センチの可愛い女の子を連れて、その沿線の有名な公園を散歩しているのとすれ違った。女の子の手は肘が曲がるくらい上がっている。男は穏やかな顔をして、彼女への心遣いなのか歩幅も小さくしてゆっくり歩いている。 ほんの1週間の間である。朝吹は密かにジョン・スミスと名付けたその男の印象が忘れられなかったが、その1週間のあと、とんと見かけなくなってしまった。 妙な縁もあるもので、それから3年も経って、ジョン・スミス氏、本名はグレゴリー・フィッツジェラルド・キンバリー氏が朝吹のオフィスを訪ねて来た。もちろん朝吹が3年前に1週間に3度も見かけたことなど知る由もない。朝吹のほうは一目であの彼だとわかったが。 あるイギリス系エネルギー会社の日本支社長であるキンバリー氏は、朝吹の勤める会社に今流行りの「CO2排出権」のセールスに来たのだった。彼はエネルギーとCO2と地球温暖化と、そして排出権なるものについて、水が氷、水、水蒸気に変わることを例に挙げながら、極めて論理的にかつわかりやすく説明した。文科系出身の朝吹にも十分理解できた。 なるほど、「水の3態」ですか。3年前のすれ違いをキンバリー氏に話すと、破顔一笑、「それは私の『3態』でしたね。最初ご覧になった私は、シェリー、いや、妻の桜子のことです、朝吹さんが公園で見かけた女性です、が怪我をしたと聞いて仲間とのテニスを切り上げて病院に向かう途中でしょう。無我夢中で意味もなくラケットを持っていて、シェリーに笑われたのを覚えていますから。 その次はシェリーの引越しの荷造りを手伝いに行った帰りでしょう。シェリーの本棚にあったマンガを借りていきました。 最後は引越しの前日です。準備も終わってがらんとした部屋にいるのも淋しいというので、近くの公園へでかけたのです。 最初が固体、氷の私でしたね。そして次が液体、水の状態。最後が気体、シェリーを妻に迎える約束も整い、水蒸気になって天にでも昇るような気持ちの時でした」 以上、コナンもかなわない3年越しの謎解きだった。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.10
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これ、どこの国の風景と思います? 広々した芝生、後ろはあまり高くないビル街、そして芝生の真ん中にはやしの木が寄せ植えになっています。 そう、クアラルンプル。シンガポール。ハノイ。台北。シェムリアップ。上海。それともホノルル?!いやいや、ナポリかも・・・。 はい、残念、すべて外れ! ここは日本、東京、日比谷公園です。すでに100年も前から熱帯の首都を先取りしていたのでした。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.09
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この辺のビルで仕事をしている人はうらやましい限り。お昼時に通ると、そこかしこでお弁当を使っているOLさんやリーマンさんがいます。OLさんのそれはほほえましい部分もあるのですが、リーマンさんのはちょっと・・・、哀愁も有ったりして。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.07
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ミュージシャンの聖地、日比谷野外音楽堂を眼下に見下ろす 都心の一等地。さて、ここはどこでしょう?! そう、あの、捏造事件、年金データ改竄事件の本丸、社会保険庁が入っているビルの最上階にあるラウンジです。実にいい眺め! うらやましい! これも税金の使途!! 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.06
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ばっちっこ その5 朝吹龍一朗 翌朝、館山漁港に沿海漁業の小舟が戻ってくる時刻、5時少し前、に、ホテル西風を出た。既にかなり明るい上、意外なほど人通りが多い。みな市場のほうに歩いて行くらしいのだが、間の悪いことに恒久の別荘の方向とは逆で、もろに顔をさらすことになった。よそ者だから尚更目立つ。すがすがしい天気の中をほんの5分(あとから時計を見ると本当に近かった)歩いただけなのにじっとりと汗をかいてしまった。 引き戸の鍵を開けてそっと閉めると恒久が起きてきた。俺の無事な顔を見て、あとは何も言わずに廊下を戻って行く。一番奥の部屋だけ、当時は珍しかったクーラーがついているのだが、俺たちはそこで12時過ぎまで眠った。 紅梅飯店という中華料理屋からチャーハンとギョーザを取って、二人でもそもそと朝飯兼昼飯を食べた。歩いて5分もかからないくらいなのだが、さすがに俺は外に出る気がしなかったためだ。こんな田舎にしてはしっかりした味で、俺たちの地元にある山珍居という有名な台湾料理屋といい勝負だった。いまなら『隠れた名店』とでも銘打ってテレビのグルメ番組に出たりインターネットで囃されたりするのだろうが、その当時はどちらかというとうらぶれた感じの外見で、地元の漁師御用達一本槍という店だった。 キリンの大瓶を二人で一本空けるともうやることがない。響子たちは昼前の電車で帰った筈で、今晩から店に出るのだと言っていたから、今頃訪ねてもいい思いはできっこない。平凡パンチを買ってくる勇気もないし、買ってきたところでその使い方は二人ともまだ知らなかった。 お膳を片づけて食器だけ玄関の外に出し、雲が少なくとも頭上には一つもないことを確認し、でもそれなりの気温で海に行けばそれなりに面白そうだと思いながら戻ってきて、石でできた流しでコップに水を汲んだ。 ゴキブリ、それも新宿で見るようなやわなやつではなく、クワガタムシのつのが取れたくらいの、堂々とした、ぴかぴか光る背中の、5センチくらいはありそうなやつがいた。残念ながらゴキブリが苦手な俺がううう、と唸っていると恒久が立ち上がって寄ってきた。と思うと右手の掌にひょいと囲い込んで、そばにあったコカコーラの空き瓶の中に落とし込んだ。器用に左手でふたをすると、ゆうべの仕出し弁当についていたサランラップをゴミ入れから取り出してさっさと封をした。瓶の底では巨大な黒い塊がしきりに飛び跳ねている。「俺らみたいだね」 と恒久が言った。言い方に暗さは残っていなかったので、俺は軽く「ごめんな」 と言った。 それを潮に、恒久は麦わら帽子をかぶって出掛けて行った。「偵察偵察」 とおどけてはいたが、ゴム草履ではなく、逃走用にちゃんとその頃の中学生に流行していたバッシュー(バスケットシューズ)を履いていた。 南側に開け放った硝子戸の外には軒(のき)に向って朝顔の蔓が這いのぼっていて、今朝はきれいに咲いていたであろういくつかはすっかりしぼんでしまっている。内側にすぼまったように閉じている形が、ゆうべの響子の体の一部を思い出させ、だれも見ていないにもかかわらず俺は一人で顔を火照らせた。 することもなく、いや、何かをする気にならず、ぼんやりしていると2時を過ぎたころ恒久が戻ってきた。昨日一日だけでしっかり日焼けしているから青ざめた表情は読み取れないが、目がつり上がって口角が横に延びているので緊張しているかこわいものを見たかのどちらかであることは間違いない。やがて、「まだうろちょろしてる」 という報告を聞くまでもなく、うかつに外を歩かない方がいいことはわかった。 であれば、恒久には申し訳ないが必要な物の買い出しだけはやってもらうしかない。その代り家の掃除や洗い物を俺がすればいいのだ。そして外に出られない暇つぶしは、雨でも降った時のためにと持ってきた本を読めばいい。俺が持って来ていたのは、おやじの本箱から適当に見繕ってきた文庫本、水滸伝全9巻その他だった。「お前、古いな」 と恒久からは力いっぱい馬鹿にされたが、そういう恒久が取りだしたのはサガンの『ブラームスはお好き』だった。「なるほど、年上趣味か」 俺がからかうと黙って下を向いてしまった。既に恒久も一度読んでいるはずだ。その本は彼の兄の蔵書から見つけたもので、俺が最初に読ませてもらったものだからだ。「照れることもないだろ、夕べの記憶は俺も一緒だし。ちょっと危ないのがあったけど」「俺の方はハマグリだった。塩じゃなくて砂を吹いた。男も初めての時は血が出るのかと思うくらい痛かったし、だいぶ細かい傷がついた」「出すもんは出したのか」「出た。出したというより、出た。ノブはどうした?」「似たようなもん。なんだかわかんないうちに終わった。また勉強しないとだめだと思ったからちゃんと住所も店も聞いておいた」「俺も。聞いたら成子坂下だった」「近いよな、今度行く中学のそばじゃないか」「そう、三平ストアの裏だって。毎日自転車だな」「毎日、かよ」「そうか、勉強も少しは、な。本も読みたいし、またプラネタリウムも行きたいしな」 俺たちは月に一度、第4日曜日に渋谷の東急文化会館の8階にあるプラネタリウムの早朝教室に通っていた。来週の日曜日がその日だ。そういえば、アポロはどうなっただろう。 ふと思い出してテレビをつけると、なんだか大騒ぎである。 西山千さんの同時通訳の音声が入っている。アームストロング船長の声に西山さんの細い枯れた声がかぶる。相当興奮しているのがわかる。「One small step for a man, one giant leap for mankind.」 西山さんは、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」 とは訳さなかったように覚えている。 俺たちは既に恒久の下のお姉さんのところに来るイギリス人の先生から英語の手ほどきを受けているので、One small step for a man までは聞こえたが、そのあとの leap がウィープに聞こえて、何をweep、泣いているのだろうと思ったのと、man と mankindの意味の違いがわからなかった。ただ、西山さんの同時通訳で月面は粉状だとか、これから降りる、だとかに続いて、さっきの名セリフが出てきたので、leapが跳躍のことだとやっとわかった。ハミルトンのSF小説に、1000万光速で宇宙を駆け巡る戦争ものがあるのだが、そのあまりの嘘っぽさに、そう書くならせめてワープとか、leapとか書いてほしいなあ、と感じたことが思い出される。「おい、着陸だってよ、俺たちの、できちゃってたりして」 恒久が俺の顔を丸い眼で見つめながら言った。真剣に考えているようにも見えた。「だってさ、月のものだろ、丸い卵子だろ、あの着陸船だろ、それが着陸しちゃったんだぜ」 それと俺たちの『初体験』と、何の関係があるのかね。とは言わなかった。唐突に、来週のプラネタリウムのネタはこれで決まりだなと思った。注『ブラームスはお好き』のアウトライン: 39歳の独身女性ポールが主人公。同じ独身の中年男性ロジェ、若くて心のやさしい25歳の青年シモンとのあいだで揺れる女心が描かれる。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.05
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「Kyoto」とありますが、下北沢です。だって、「Second House」(別荘)ですから。なーんちゃって、京都の本店も同じようにセカンドハウスですから、いったい本宅、本店、はどこにあることやら。ちょっと高め、これにコーヒーをつけると1000円に迫ります。 人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.03
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国立劇場へ歌舞伎を見に行きました。「ご新造さんえ」つつつ・・・(畳の縁を進む)「お富さんへ」 つつ・・・「いやさお富・・・・・・・」「ひさしぶり・・・だなあ・・・・」切られ与三郎の名せりふです。若手の俳優ばっかりで演じる特別公演で、正直言うと必ずしも「うまい!」というわけではありませんでしたが、何度聞いても、誰が演じても、うっとりする響きです。『与話情浮名横櫛』(よはなさけ うきなの よこぐし)もうひとつは『菅原伝授手習鑑』(すがわら でんじゅ てならい かがみ)でした。松王丸梅王丸桜丸の軋轢が、続く首実検の見せ場の伏線になっていることを恥ずかしながら初めて知りました。今度通しで見てみたいものです。人気blogランキング投票よろしく 今日はどのへん?。
2009.09.02
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