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"百度(Baidu)"は、中国大陸における検索サイトで約2/3という圧倒的なシェアを誇っています。いまのところ、GoogleもYahoo!も太刀打ちできません。国家権力から管理されるのはまだ許せるが、Googleみたいな"アメ公野郎"にあらゆる情報の支配をされることには耐えられないのという、中国人民の愛国心とか民族意識も少しは働いているのかもしれませんが、やはり便利だから支持されている、と言う側面が大きいのではないかと思います。キーワード検索だけではなく、ほとんどパクリとも言える様々なサービスにより、ポータル化を推進しているのです。例えば、Wikipediaみたいな"百度百科"、ブログサービス"百度空間"、「はてな」みたいな人力検索の"百度知道"、ソーシャル・ブックマークの"百度捜蔵"、Google Mapそっくりの"百度地図"、Gyaoみたいな"百度下?"、「2チャンネル」みたいなBBS"百度貼?"。もちろんGoogle同様にイメージ、ニュースの検索もあります。最近はYouTubeそっくりの動画検索"百度視頻捜索"まで始めてしまいました。これらのサービスの多くは、モバイルにも対応しています。中国ビジネスに関わる日本人にとって便利なのは、"百度法律捜索"。中央や政府の法律や規定などを、百度独自でデータベース化しています。個人的に重宝しているのは、"百度国学"。中国の古い書物を独自に電子化して、表示してくれるサービスです。『論語』も『西遊記』も『水滸伝』も全文を入手することができます。さて、こうした"百度"のサービス・メニューの中でも特に人気が高く、中国っぽいのが、"百度MP3"という音楽ファイル検索サービスです。楽曲名や歌い手からダイレクトに音楽ファイルを、直リンクでリストアップしてくれます。MP3ファイルだけではなく、歌詞やミュージック・クリップのFlashファイルまで教えてくれます。中国では当然のことながら、リンク先の多くが知的所有権を無視した違法サイトだったので、2005年9月の段階で、外資系の大手レコード会社が訴訟を起こしました。当初はレコード会社に有利とみられましたが、2006年末になって、一部の地方法院(裁判所)で百度側に有利な判断が示されました。そして2007年1月16日、原告の1社であったイギリス資本の大手レコード会社であるEMIは、百度と共同でプレスコンファレンスを開き、両者の提携を発表したのでした(MyComジャーナル/1月22日付け)。これは百度とEMIの和解、実質的には百度の勝利と言えるでしょう。で、どのような提携をするのかというと、百度は百度のサイト内にEMIミュージック・コーナーを設置し、その中でEMIグループの中国系アーティストの音楽を無料で試聴できるようになる、というものです。ただし、このサイトでは広告が表示されるとのこと。恐らく、簡単にはダウンロードできないようにして、広告収入が試聴料とバーターになるというプロモーションのスキームなのでしょう。結局のところ、百度の影響力にEMIが屈したということになるのではないでしょうか。ただ、今回の"和解"はYouTubeなど動画・音楽などのポータル・サイトに違法投稿され続けているコンテンツ・ホルダーに少なからぬ影響を与えるのではないかとも期待しています。違法なファイルのアップロード、それに対するライツ・ホルダーの削除要求、と言ういたちごっこから脱却したいと考えるなら、ライツ・ホルダーがプロモーションの一環として、YouTubeなどに合法的にコンテンツを提供するのも、一つの解決策でもあるはずです。この際だから日本のテレビ局も、広告付きで構わないのでYouTubeなどに自らのコンテンツの一部を積極的にアップロードしてみてはいかがでしょう。たくさんではないにせよ広告収入もあるでしょうし、番組宣伝やDVD化へのプロモーションにもなるのではないでしょうか?百度、本日の時価総額は、EMI(19億ポンド)とほぼ同じ38億ドル(約4,700億円=日テレとも同レベル)。
2007.02.15
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