北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地
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いま、中国ではオンライン・マガジンが"ホット"です。POCO(Alexaランキング300位台)をはじめ、ZCOM、ieBookなどのオンライン・マガジンを集めたポータルサイトがたくさんあり、そうしたポータルからたくさんのオンライン・マガジンを購読することができます。それらのマガジンは、実際に雑誌として販売されているものが多く、"電子版"としてリアルなペーパー仕様マガジンのサマリーであったり、コンセプトを同じくしながらも別編集になっていたりします。たとえば中国の最も売れている女性誌のひとつである中国の"Ray"(瑞麗)もオンライン・マガジン化されていて、上述のポータルサイトなどから無料で気軽に購読することができるのです。もちろん、雑誌社などとは別にオンライン・マガジンを提供している企業もあります。著名タレントが編集長を引き受けているものから、経済や自動車情報の専門誌など、とにかくたくさんのラインナップが揃っています。日本のオンライン・マガジンは専用のリーダーをインストールしないと表示できない場合が多いのですが、中国のオンライン・マガジンはウェブからダウンロードすれば誰でも見ることができるようなファイル形式になっています(多くはflashをexeファイル化しています)。日中のビジネス・モデルの違いが、オンライン・マガジンのファイル形式に如実に顕れていると言えます。日本の場合、有料のオンライン・マガジンが多いようで、購読料で稼ごうと言う魂胆です。誰でも読めるようなファイル形式だと、回し読みされてしまい、有料購読者が増えません。だから、プロバイダーは競い合って、独自のマガジン・リーダーを開発して、無駄なお金を使ってしまいます。挙句の果てに、お金を払うにはいまいちのオンライン・マガジンが多いので、なかなかポピュラーになりません。楽天のように、いわゆる"囲み込み系"を狙っているのですが、たぶん狙い通り行っていないようです。中国の場合、無料のオンライン・マガジンが多いので、コピーされようが回し読みされようが構わないのです。と言うより、むしろ大歓迎なわけです。なぜならば、広告収入をベースとするビジネスを狙っているからです。ですから、どんなPCでも表示できるようなファイル形式にして、メールに添付してお友達同志で転送しあったり、フラッシュ・メモリーでやり取りできるようにしています。一般に広告は、より多くの人に見てもらえれば、より多くの価値=値段がつきます。オンライン・マガジン=雑誌はクラス・メディアですから、購読者層がかなりセグメンテーションされます。より多くの見込み客により効率的に広告を表示することこそ、広告主がいつも求めて止まないことなのです。日本では、それなりのオンライン・マガジンを制作するのに、3ヶ月くらいの時間と数百万円のお金がかかるそうです。中国では、50ページくらいのオンライン・マガジンを制作するのに、3~4人のチームで1ヶ月で完成するそうです。リアルな雑誌のオンライン・マガジン化であれば、原稿と写真などの素材は使い回しができますから、コストのほとんどは人件費になります。きっと20万円とか30万円あればできちゃいますよね。もっとも最近は、動画系サイトが進化してしまって、オンライン・マガジンなど用済みだ、と言うご意見もあろうかと思いますが、読者の意思でページをめくれたり、リードから興味のある記事だけクリックして本文を楽しんだりできるので、基本的に流れっぱなしで視る側が時間をコントロールできないムービーとは違う魅力があるはずです。音楽だってムービーだって埋め込めるわけで、ムービーよりもずっとインタラクティブなコンテンツと言えるのではないでしょうか。しかも雑誌など、既にペーパーメディア向けのコンテンツをお持ちの方にとって、オンライン・マガジンは制作面での親和性が高いわけです。写真と文章が基本ですから....中国で最も人気のオンライン・マガジンの"KAILA(開[口]篇に[拉]=月刊)"は毎月1,100万件のダウンロードがあるそうです。これだけで、世界で最も発行部数の多い読売新聞を圧巻しているのですが、メール転送などで回し読みされる数を含めると、2,000万人以上にデリバリーされている計算になります。このオンライン・マガジンに挿入されている広告ページにしても、ペーパーの雑誌とは違ったさまざまな細工ができますから、メディアとしての価値は相当なものになると思います。ただ中国チックで悪質な(!?)オンライン・マガジンも氾濫しています。日本のグラビア・アイドルの写真集などは、スキャンされてそのままオンライン・マガジンとしてアップロードされたりしています(見るほうはありがたいのですが....)。exeファイル形式ですから故意、偶然にかかわらずウィルスがついてくることもありますし、その場合の被害は甚大です。こうした中国の"無防備さ"が背景にあるので、オンライン・マガジンが普及しているとも言えるでしょう。日本の雑誌社などコンテンツ・ホルダーはオンライン・マガジンには消極的ですね....。コストはかさむし、写真やモデルの版権処理も面倒だし、何のメリットも無い....むしろ本体(ペーパーの雑誌)の販売部数に悪影響を及ぼす、みたいに思ってらっしゃるのではないでしょうか?でも中国の主要雑誌の多くはオンライン・マガジンも発行して、さらに儲けようと試みているわけです。
2007.10.19
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