北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地
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北京オリンピックまでちょうどあと1年と言う8月8日の夜8時8分、天安門広場では"あと1年"の宴もたけなわの頃、私は北京で結構シビアなお仕事の打合せに参加していました。中国を代表するネット企業2社の若きCEO2名と、ある意味で日本を支配する大会社の経営企画室の人たちが、業務提携をするかしないかという打合せの場に、何故か"立ち会い"を求められてしまったのです。この打合せの中で、日本を代表するようなビジネスマンのお一人が、北京オリンピックまであと1年のその日のことを話題にし、この1年が最大のビジネス・チャンスであるようなことを口にしたのですが、北京の若きCEO二人は口を揃えて、「后奥運(ホウ・オウユン)=オリンピックの後」と言う言葉を使ったのが印象的でした。日本では、北京オリンピックまでが中国ビジネスのひとつの区切りで、その後の経済の収縮を懸念する意見が主流を占めているように思えます。2010年には上海で国際博覧会がありますが、その間をどう"食い繋ぐ"か、或いはそれまで中国の経済が成長基調でいれらるのか、或いは来年の北京オリンピックとともに中国のバブルは弾けて、それがトリガーとなって政体まで崩壊してしまうのではないかとか、仕事で中国に深く関わっている人たちですら自虐的で悲観な憶測を楽しんですらいるわけです。それでいて多くの日本の企業組織は、オリンピック後の対中国施策に有効と思える手を打つことも無く、ただ状況を見守るという姿勢で、その前、つまりオリンピックまでに稼げるだけ稼げればいいだろう、という雰囲気すら漂っています。ところが、どっぷりこんとオリンピック・バブルに浸っているのでは思えるウェブ系中国新興企業の若き経営者の多くは、意外と冷静に北京オリンピック以降のビジネス・プランを持っている感じを受けています。今週も北京で何人かとお会いしているのですが、「后奥運」という言葉をよく耳にします。オリンピック景気は当然折り込み済み、或いは既に刈り取り済み、或いは自身のビジネス・テリトリーには差ほど影響をもたらさない、など2008年の予測に関しては、日本の企業などが考えるほど熱くなっていません。むしろ、彼ら彼女らの多くは2008年8月以降に当然ながら来ると予想できる"祭りの後"の虚無感をどう埋めていくか、或いはどう利用するか、と言うことを既に考え尽くしている様子です。マクロ的にみれば、北京オリンピックを境に、海外からの資金の流入は減少傾向に向かうでしょう。中国国内企業にとってこれはある意味でチャンスになります。しかも、かつてのアメリカや日本がそうであったように、情報サービスのカテゴリーであれば、経済が低成長に移行しても、一回り大きく成長するとか頭ひとつ抜け出すような方向は十分見出せるでしょう。もっと小っちゃく考えるなら、他人(外国資本や競合他社)がお祭りに浮かれている間に力を蓄えとこう、みたいなキリギリスじゃなくて蟻クンみたいな経営者がたくさんいらっしゃるのだな、という感じです。そこのところは、中国の地に足が着きかねている日本などの"一見さん"とは大違いで、中国で一生喰っていこうと思っている彼ら彼女らだからこそ、当然のことながらもっと長いレンジの中で、いまの状態を冷静に分析することも可能なのでしょう。よくよく考えてみれば、いまさら北京オリンピックがどれほどの機会を作ってくれると言うのでしょう?共産党の政権にとっては、ナチス・ドイツのベルリン・オリンピックよろしくパブリック・リレーションの絶好の機会ではあるでしょう。観戦に普段より多くの外国人がやってきてお金を使っていってくれるでしょう。そのために、競技場もホテルもビルも道路もきれいにしているところです。でも、たかが"運動会"(奥運の"運"は運動会の"運"ですよ)じゃないですか。上海の人なんか冷ややかですし、北京の住民だって意外と冷静なものです。もちろん、これを機会に大儲けする輩も居なくは無いでしょうが、商業活動の持続性を考えれば反動に悩まされることになるはずです。とある日本の巨大広告会社であっても、株式を上場してしまうとワールドカップやオリンピックの翌年の前年割れ決算を"祭りの後"現象だと言い逃れしたとしても株価が持ち直すことは無いわけで、持続可能な成長を実現できる経営こそが求められている世の中になっているのです。北京オリンピックで一儲けしようと企んでいる日本の会社は星の数ほどあるでしょうが、一部の中国の若き経営者のように外的環境の変化を言い逃れにせずに済むように、ビジネス・プランを見据えることこそ、大切なのではないだろうか、と思う今日このごろでした....。
2007.08.31
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