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2015.12.12
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カテゴリ: 社会・政治・時事

 井之上達也さんの個人的人生相談に、内田先生が答えるというもの。
 その何年か分のやり取りを、紙の本にしたのですが、
 そのあたりの経緯は「あとがき」に詳しく書いてあります。

 さて、内田先生の本は、読み始めるといつも付箋だらけになるのだけれど、
 今回は、パラパラとページをめくっていくうちに、
 気付けば、ページは残り半分を切っていました。
 いつもと、ちょっと違う感じです。

それでも、残り100ページになったあたりから(全体で413ページです)、

まずは、教育についての質問への答えです。
内田先生らしい、お答えです。

  今どきは教育について語るときに、「市場のニーズが」とか「集客力のあるコンテンツ」とか
  ビジネスの言葉づかいを多用する人がいますが(いますどころか、ほぼ全員がそうです)、
  そういう人たちについて確実に言えることは、
  彼らがもし明治時代に生きていたら(あるいは開拓時代のアメリカに生きていたら)、
  絶対に自分で学校を始めたりはしなかったということです。
  僕はそういう人たちは「本質的に教育と無縁の衆生」だと思っています。
  教育にまったく興味もないし、
  子供たちに教えることに特段の使命感を感じていない人たちが、
  何かの間違いで学校教育にかかわっている。

  それはまた別の大きな問題なので、今日は触れません。
  とにかく「おせっかい」が第一ということです。(p.311)

「教育」を「ビジネス」としてとらえてしまうと、
「教える者」と「教えられる者」との関係ではなく、
「サービスの提供者」と「サービスの消費者」との関係になってしまう。


  先行世代が教えなければならないのは「自己利益を増大する方法」ではなく
  「共同体を生き延びさせるための方法」です。
  教えなければいけないのは、個人が生き述べる術ではなくて、
  彼らが属している集団が生き延びるための術です。
  集団があと100年、200年生き延びるために今ここで何をすべきか。
  それが「わかる」能力を身に付けてもらうのが教育の本義であり、
  それ以外のことはすべて副次的なことにすぎません。(p.316)

これについては、批判的に反論したい人も多いのでしょうね。
何せ、今は「個の時代」ですから。
でも、「個」がどうのこうのと言えるのは、
「共同体」がしっかりと確立していればこそだと思います。

  もうおわかりになったと思いますが、
  人とトラブルが起こるのは、必然性があってのことです。
  それまでの「トラブル発生要因」が堆積して、
  ある閾値を超えたことでトラブルが厳勢化した。
  トラブルは、何もないところに天から降ってきたわけではありません。
  ですから、「話がこじれてしまって、なかなか合意に達しない」ということになってから、
  「さて、これからどうしよう」と考えるのはもう手遅れなんです。(中略)
  問題が起きた時にどう適切に対処するかを考えるより、
  そういうことを起こさないようにするほうがいい。
  そういうことです。
  どうしたら面倒な人と一緒に仕事をするような目に遭わないようにできるか、
  それを真剣に考えるほうがはるかに費用対効果のいいトラブル解決方法なんです。(p.374)

まぁ、分かってはいるんですけども……
それでも、起きてしまうことは避けられないので、その時どうするかも考えておかねば。
もちろん、未然に防ぐことが一番で、それに力を注ぐことは、当然のことです。
好んで面倒な人と一緒に仕事をしたい人なんて、いないんですから。

  どこの国でも、領土問題の炎上と鎮静は政権の安定度と相関します。
  領土問題「から」話が始まるのではありません。
  領土問題は両国それぞれの統治がうまくいっていないことの帰結なのです。
  そのことを棚に上げてこの問題を論じる人は、
  なみなみと水の入ったコップにさらに一しずく水滴が落ちたせいで水が溢れた時に、
  「この一滴こそが水が溢れた『原因』である」と言っている人によく似ています。
  しずくを見て、コップを見ない人たち。
  領土問題がさっぱり解決しないのは、わが国の政治家もメディアも知識人も、
  「そんな人たち」ばかりだからなのです。(p.378)

これはイイ例えですね。
今度、どこかで使わせてもらいます。 





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Last updated  2015.12.12 10:51:07 コメントを書く
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