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有名な代表曲を含む出世作 ビリー・ジョエル(Billy Joel)は、1949年ニューヨーク生まれのシンガーソングライターでロック・アーティスト。バンドでの活動を経て1971年にデビュー盤(参考過去記事)を発表するものの、売れることなく不発に終わった。1973年に仕切り直して発表されたのが、2枚目となる本盤『ピアノ・マン(Piano Man)』だった。決して華々しい大ヒットというわけではないものの、アルバム、表題曲のシングルともに全米30位内のセールスを上げ、ビリー・ジョエルにとって出世作となった。 20歳代の若者の顔が“生首”のように浮かび上がるジャケットは、冷静な目で見れば少々怪しい感じだが、いかにもポップやロックというよりも、語り部的なシンガーソングライターのアルバムとしては、こういうものの方がしっくりくるという気もしなくはない。実際、アルバムの内容は、ソングライティングのよさ、ピアノを中心とした演奏のよさ、この二点が際立っているように感じる。 筆者の好みで注目の曲をいくつか挙げておきたい。1.「流れ者の祈り(トラヴェリング・プレイヤー)」は、派手さはないものの、これから繰り広げられるピアノ詩人の世界のイントロとしてはよくできたナンバー。2.「ピアノ・マン」は、言わずと知れた彼の代表曲。ハーモニカの前奏、詞の語り口、ヴォーカルの抑揚、どこをとっても申し分のない名曲である。5.「さすらいのビリー・ザ・キッド(ザ・バラッド・オブ・ビリー・ザ・キッド)」は、ストーリー性とそれに伴う演奏面での展開も非常に優れた1曲。後の大ヒット作『ストレンジャー』に発展していく原点は、こうしたところにあるのではないかと思ったりする。 アルバム後半(LP時代のB面)に目を向けると、7.「ネバダ・コネクション」も、9.「小雨降るパリ」も外せないのだけれど、とにかく圧倒的なのは、アルバムの締めくくりとなっている10.「キャプテン・ジャック」。上記の5.と並び、演奏の展開と精度、曲のストーリー性が際立っている。現在からみると、リリースから半世紀が経過した作品であり、21世紀の趣向とは明らかに違っているかもしれないが、それでも筆者には何度聴いてもしっくりくるし、実際、今でも通して聴く機会の多い作品だったりする。[収録曲]1. Travelin' Prayer2. Piano Man3. Ain't No Crime4. You're My Home5. The Ballad of Billy the Kid6. Worse Comes to Worst7. Stop in Nevada8. If I Only Had the Words (To Tell You)9. Somewhere Along the Line10. Captain Jack1973年リリース。 ピアノ・マン/ビリー・ジョエル[Blu-specCD2]【返品種別A】 【輸入盤CD】Billy Joel / Piano Man (ビリー・ジョエル) 輸入盤 BILLY JOEL / PIANO MAN : VERY BEST OF [CD] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年06月08日
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ソロ名義の名盤 1989年の『フル・ムーン・フィーヴァー』に続き、ソロ名義としては2枚目のアルバムとして1994年にリリースされたのが、トム・ペティ(Tom Petty)の本作『ワイルドフラワーズ(Wildflowers)』である。MCAからワーナーへ移籍後の最初の作品となった。いつものバンド(ハートブレイカーズ)ではなく、ソロ作として制作したのは、リック・ルービン(プロデューサー)とトム・ペティの2人で自由にやりたかったからとのこと。ただし、実際の演奏には、ハートブレイカーズの全メンバー(ドラムスについてはこれ以降に後任ドラマーとなったスティーヴ・フェローン)が参加している。 アルバム全体を通してトム・ペティ節が全開で、ファンの中にはこれを最高作とする意見もある。確かに、1970年代の『破壊』が若き勢いを持った彼の傑作だとするならば、この『ワイルドフラワーズ』の方は、キャリアを重ね、40歳を手前にしていい意味で円熟味を帯び始めた時期の傑作と言ってもいいかもしれない。 いくつか好みの曲を挙げておこうと思う。表題曲の1.「ワイルドフラワーズ」のしっとりと聴かせるこの加減は、上記のとおり、いい意味での余裕と円熟を感じさせる。テンポのよいトム・ペティらしさが前面に出たナンバーとしては、4.「ユー・レック・ミー」と12.「ハイヤー・プレイス」が個人的な好み。とはいえ、全編が早めのテンポや重厚な演奏のナンバーが並ぶと、きっと本盤は名作と呼ばれることになっていなかったんじゃないかと感じる。肩の力が抜けたゆったりな曲、メランコリックなナンバー、ヴォーカルをしっかりと聴かせるミディアムやスロー・テンポの曲…。こうしたヴァリエーションがあってのこのアルバムというふうに筆者は思う。そんなことを考えるにつけ、5.「イッツ・グッド・トゥ・ビー・キング」や14.「クローリング・バック・トゥ・ユー」なんかも聴きどころと言っていいような気がする。 十分にヴォリュームがあって聴きごたえのある15曲というのが本盤ではあるのだけれど、当初2枚組でのリリース(全25曲)という案もあったのだという。実際、多くのアウトテイク音源があり、1枚のアルバムに収めるためにカットされた10曲の音源は、2020年に蔵出しリリースされた。筆者は未聴だけれども、この際の豪華なエディションは、レコード9枚組、CDでは5枚組というヴォリュームで、上記10曲に加え、アウトテイクやライヴ音源などが収められているとのこと。[収録曲]1. Wildflowers2. You Don't Know How It Feels3. Time to Move On4. You Wreck Me5. It's Good to Be King6. Only a Broken Heart7. Honey Bee8. Don't Fade on Me9. Hard on Me10. Cabin Down Below11. To Find a Friend12. A Higher Place13. House in the Woods14. Crawling Back to You15. Wake Up Time1994年リリース。 輸入盤 TOM PETTY / WILDFLOWERS [CD] 【送料無料】WILDFLOWERS & ALL THE REST [3LP VINYL] 【輸入盤】【アナログ盤】▼/TOM PETTY[ETC]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年06月01日
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“ロックンロールの女王”追悼 ティナ・ターナー(Tina Turner)が83歳で逝去とのニュースが報じられました。2023年5月24日、スイスの自宅で亡くなったとのことです。18歳での最初のレコーディングから65年、長いキャリアを持つ“ロックンロールの女王”について、振り返ってみたいと思います。 華々しいキャリアゆえ、どれがふさわしいのか迷うところですが、彼女の長いキャリアの映像をいくつか振り返ってみたいと思います。まずは、代名詞的なナンバーである「愛の魔力(What's Love Got to Do with It)」です。1984年に発表され、米・豪・加で1位のヒットを記録しました。映像は、1996年のライヴでの熱傷の様子です。 初期の活動では、1960年代から70年代にかけて、アイク&ティナ・ターナーというデュオ名義の活動がありました。夫アイクの家庭内暴力などの問題から、1978年に離婚が成立していますが、次はこのデュオ活動期のナンバーで、「プラウド・メアリー(Proud Mary)」をどうぞ。1971年の映像(つまり30歳代前半の頃)ですが、シンガーとしてのレベルの高さが際立っています。 続いては、1980年代の華々しき活躍の頃の映像です。1986年のシングル曲、「ホワット・ユー・ゲット・イズ・ホワット・ユー・シー(What You Get Is What You See)」です。ちょうど、自伝(『私、ティナ』)を出した時期に当たります。筆者的には、この風貌のティナ・ターナーが最も印象に残っています。 最後は、21世紀を迎えるあたりでのティナ・ターナーの歌唱をお聴きください。2000年のシングル、「ワットエヴァー・ユー・ニード(Whatever You Need)」です。歌唱力の高さは相変わらずですが、年齢に応じた貫禄も感じられます。還暦(60歳)を少し過ぎた頃のナンバーということになります。 長期にわたる闘病生活の末に亡くなられたとのことですが、心よりご冥福をお祈りします。R.I.P. 【輸入盤CD】Tina Turner / Simply The Best (ティナ・ターナー) ワーキン・トゥゲザー [ アイク&ティナ・ターナー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年05月25日
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問題含みで再発となった“セカンド作” 1975年にデビュー盤をリリースしたハート(Heart)は、次なるアルバムの制作を進めた。けれども、レーベルとの関係に問題が生じ、異例の経緯をたどったのが、この『マガジン(Magazine)』というアルバムとなった。1977年にレコード会社の独断でセカンド作に向けた音源が一度リリースされたのだけれども、その内容は不完全な仕上がりのものだった。訴訟を経てメンバーは作品を作り直し、結局は1年後に“完成品”が出来上がった(この間、セカンド作として『リトル・クイーン』が先にリリースされることになった)。 本作からは派手なヒット曲は出なかった(シングルの1.「ハートレス」が全米24位になったに過ぎなかった)。けれども、並ぶ楽曲は粒ぞろいで、高クオリティである。静かなアコースティックな側面と躍動感あふれるロック的な部分が同居し、一つ一つの演奏の完成度は高いというのが、筆者が持っている印象である。 ベスト盤などにも収録されている1.「ハートレス」に続き、2.「デヴィル・ディライト」は、レッド・ツェッペリンを彷彿とさせるインパクトのある曲調。3.「ジャスト・ザ・ワイン」のアコースティックな演奏に続き、ニルソンで知られる有名バラード曲の4.「ウィズアウト・ユー」は、丁寧な演奏と歌唱が印象に残る。 アルバム後半に入り、表題曲5.「マガジン」は、6分ほどの長めの尺で、ハートの魅力が染み渡るアコースティック曲。6.「ヒア・ソング」もアコースティックなナンバーで、小品ながらデビュー当時のハートらしいよさが凝縮されている。最後の2曲は、1975年のライヴ演奏が収録されている。7.「マザー・アース・ブルース」は、メンフィス・スリムによるブルース曲、8.「アイヴ・ガット・ザ・ミュージック・イン・ミー」は、キキ・ディー・バンドのナンバー。原曲に見られる勢いはそのままに、重厚な演奏に仕上げている。[収録曲]1. Heartless2. Devil Delight3. Just the Wine4. Without You5. Magazine6. Here Song7. Mother Earth Blues (live)8. I've Got the Music in Me (live)1977/1978年リリース。 マガジン [ ハート ] [枚数限定][限定盤]マガジン/ハート[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2023年05月17日
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元ザ・バンドのドラマーによるラスト作 リヴォン・ヘルム(レヴォン・ヘルム、Levon Helm)は、米国出身で、言わずと知れたザ・バンドのドラマーだったミュージシャン。2012年に71歳で亡くなった。没する前、最後にリリースされた彼のスタジオ作が、この『エレクトリック・ダート(Electric Dirt)』であった。録音は、自宅スタジオの“ザ・バーン”で行われた。ちなみに、彼の訃報が流れた後、筆者が最初に聴いたアルバムは本盤で、“もうこの声、このドラムスは聴けないのか”と感傷に浸ったことを今でもよく記憶している。 1990年代後半、喉頭がんで歌うことが困難になったリヴォン・ヘルムだったが、その後、奇跡的回復を見せ、本盤でもヴォーカリストとしてのリヴォン・ヘルム節を存分に聴かせてくれる。それから、もう一つの特徴は、彼のドラム演奏のスタイルが、この盤でも存分に発揮されており、重心の座った厚いドラムス演奏の健在ぶりが印象的である。アルバム全体を通してリヴォン・ヘルムらしさが存分に発揮されており、2010年のグラミー(最優秀アメリカーナ・アルバム賞)を受賞した。 全編を通じて密度が高いと思うのだけれど、いくつか筆者の好みの演奏を挙げておきたい。1.「テネシー・ジェド」は、グレイトフル・デッドのナンバーだが、ヴォーカルもドラムスも見事なまでにリヴォン・ヘルムらしさが全開の演奏に仕上がっている。3.「グローイング・トレード」も、これぞリヴォン・ヘルム節のヴォーカルで、筆者のお気に入り。カントリー調の6.「ホワイト・ドーヴ」、アラン・トゥーサンのホーン・アレンジによるニューオーリンズ色満載の7.「キング・フィッシュ」、ブルース・ナンバーの8.「ユー・キャント・ルーズ・ホワット・ユー・エイント・ハッド」といったように、様々なルーツ音楽的要素が楽曲に幅を持たせているところも本盤の聴きどころと言えるように思う。[収録曲]1. Tennessee Jed2. Move Along Train3. Growin' Trade4. Golden Bird5. Stuff You Gotta Watch6. White Dove7. Kingfish8. You Can’t Lose What You Ain’t Never Had9. When I Go Away10. Heaven’s Pearls11. I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free2009年リリース。 【輸入盤CD】Levon Helm / Electric Dirt (レヴォン・ヘルム) 輸入盤 LEVON HELM / ELECTRIC DIRT [CD] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年05月12日
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地味ながら滋味に溢れた“元祖アンプラグド盤” 米国の夫婦デュオ、デラニー&ボニー(Delaney & Bonnie)には、『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』(1970年リリース)という有名盤がある。しかし、その陰に隠れがちながら、聴き逃がしては絶対に損だと思っている盤がある。それこそが、この『モーテル・ショット(Motel Shot)』という、1971年発表のアルバムである。 タイトルが示すように、本盤はツアー先のモーテルの部屋で録音された。宿泊施設のルーム内で、アンプで増幅した音を出すなどということはできず、結果、生ギターにウッドベース、ピアノといった演奏は、後世の言い方に従うならば、いわゆる“アンプラグド”の演奏となった。そんなわけで、後世になってから“元祖アンプラグド盤”などと形容されるようになったみたいだが、MTVアンプラグドを軸としたブームよりも30年近く前にそれを先取りしていたということになる。 生楽器の演奏にロック魂は宿りうるのか。答えはイエスというのが本盤である。プラグを指せば、なるほどデラニー&ボニーのライヴ演奏になったといえそうな演奏が並ぶ。もう一つの特徴は、アルバム名義にも刻まれている“&フレンズ”という部分で、デュエイン(デュアン)・オールマン(スライド・ギター)、ディヴ・メイスン(ギター)、グラム・パーソンズ(ギター、ヴォーカル)、ジョー・コッカー(バッキング・ヴォーカル)、レオン・ラッセル(ピアノ、ヴォーカル)といったなかなかのメンバーが共演している。 個人的に好みのナンバーをいくつか挙げておきたい。4.「ロング・ロード・アヘッド」は、私的にはデラニー&ボラニーらしいイメージにとっても合致した曲だったりする。5.「色あせた恋」は、通常のライヴ盤ならここで聴きどころみたいになったであろうと想像する。7.「カム・オン・イン・マイ・キッチン」は、かのロバート・ジョンソンのナンバーで、この曲のロック的解釈としてはお手本のような演奏。トラディショナル曲の11.「フィーリング・バッド」もまた、アコースティック演奏ながら、ロック音楽としての魅力に溢れている。結局のところ、音量の大きな演奏でなくてもロックの真髄は表現されうるし、伝わりうる。それを1970年代初頭の段階でアルバムに残しているのは、かなりの偉業と言っていいように思う。[収録曲]1. Where the Soul Never Dies2. Will the Circle Be Unbroken3. Rock of Ages4. Long Road Ahead5. Faded Love6. Talkin' about Jesus7. Come on in My Kitchen8. Don't Deceive Me (Please Don't Go)9. Never Ending Song of Love10. Sing My Way Home11. Goin' Down the Road Feelin' Bad12. Lonesome and a Long Way from Home1971年リリース。 モーテル・ショット [ デラニー&ボニー&フレンズ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年05月08日
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夫婦共演の第二作 当時、夫婦だったジョン&ビヴァリー・マーティン(John & Beverley Martyn)2人の名義で発表された2枚目にして最後の作品が、この『ザ・ロード・トゥ・ルイン(The Road to Ruin)』(1970年)という盤である。同じ年に発表された2人の名義の最初の盤(参考過去記事)に比べ、冒頭のナンバーがビヴァリーの曲であるなど、彼女の存在感がより増しているという印象を受ける。 1.「プリムローズ・ヒル」はビヴァリーがヴォーカルを担当しており、曲の出来として、前作からの進歩と2人の力がうまく組み合わさっている様子がわかる。この傾向は、2人による他の共作曲(3., 6., 8.)にも見られ、個人的には、3.「アーンティ・アヴィエイター」がいい。 ジョン・マーティンらしさが発揮された曲としては、2.「パーセルズ」がなかなかの美曲。5.「ギヴ・アス・ア・リング」は、本盤中で唯一のカバー曲だが、メロディアスな好ナンバーで、筆者はこの手の曲に滅法弱かったりする。他に外せない注目曲としては、アルバムの表題になっている9.「ロード・トゥ・ルイン」。弾き語り調で始まり、まもなくリズム感のある演奏へと展開していく。そうなった後はすっかりインスト曲となり、6分ほどの間に演奏がどんどん盛り上がっていく。 本作の発表後、レーベル側は、ファンの要望という理由でジョン・マーティンのソロ作品を要望したという。その時のリスナーの反応がどうだったのか、よく知らないが、個人的にはこのデュオの歌唱もなかなかよかったのに、と思わないでもない。ともあれ、夫婦名義の作品はこの2作目が最後となり、結局、2人も1980年に離婚してしまっている。そして、周知の通り、ジョン・マーティンはすぐれたアルバム作品を重ねていくことになる。[収録曲]1. Primrose Hill2. Parcels3. Auntie Aviator4. New Day5. Give Us a Ring6. Sorry to Be So Long7. Tree Green8. Say What You Can9. Road to Ruin10. Here I Am1970年リリース。 ザ・ロード・トゥ・ルイン +1 [ ジョン&ビヴァリー・マーティン ] [枚数限定][限定盤]ザ・ロード・トゥ・ルイン +1/ジョン&ビヴァリー・マーティン[CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年04月24日
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一聴の価値ありの一枚 バンド名が“目玉焼き”(片面焼きではなく両面焼きにしたもの)、アルバム表題が“うまくて安い”、ジャケットが食堂の絵というのは、第一印象としては、ふざけているとしか思えない。だが、そんな見かけにもかかわらず、本格派で味わい深い好盤というのが、この盤、エッグズ・オーヴァー・イージー(Eggs Over Easy)の『グッド・アンド・チープ(Good 'n' Cheap)』である。 このバンドは“パブ・ロックの火付け役”として紹介されたりするが、UK出身バンドではない。カリフォルニアで出会ったジャック・オハラとオースティン・デ・ローン(共にニューヨーク出身)の二人を中心にバンドが形成され、ニューヨークで活動するようになった。けれども、1970年にロンドンにレコーディングに行き、しばらくそのまま住み着いて、イギリスで活動を繰り広げたという経緯である。 本盤『グッド・アンド・チープ(Good 'n' Cheap)』はA&Mと契約して1972年にリリースされたもので、当初のロンドン・レコーディングの再録を含むとのこと。なお、リリース翌年に当たる1973年にはバンドは米国へ帰国して、イーグルスやイエスのツアーをサポートしている。 ジャンルで分ければ、カントリー・ロック、スワンプ・ロックということになるのだろうが、とにかくいいリラックス感というか余裕のような部分のある作品で、なおかつ完成度が高いというのがこの盤の特徴といっていいように思う。個人的に特におすすめのナンバーをいくつか挙げると、1.「2人のパーティー(パーティ・パーティ)」、4.「ザ・ファクトリー」、7.「歌はくり返す(ソング・イズ・ボーン・オブ・リフ・アンド・タング)」、9.「メンフィス川を下って(ラニン・ダウン・トゥ・メンフィス)」、11.「ナイト・フライト」。というか、通して聴いてみると、捨て曲が見当たらないほどの好曲揃い。“幻のバンド”的な存在だが、一聴の価値ありの一枚だと思う。[収録曲]1. Party Party2. Arkansas3. Henry Morgan4. The Factory5. Face Down in The Meadow6. Home to You7. Song Is Born of Riff and Tongue8. Don't Let Nobody9. Runnin' Down to Memphis10. Pistol on the Shelf11. Night Flight1972年リリース。 グッド・アンド・チープ [ エッグズ・オーヴァー・イージー ] [枚数限定][限定盤]グッド・アンド・チープ/エッグズ・オーヴァー・イージー[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年04月18日
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短いながらも魅力の伝わる好ライヴ作 エディ・マネー(Eddie Money)は、1970年代後半から1980年代にかけて人気を博したアメリカ人のロック・ヴォーカリストで、2019年に70歳で没している。生涯で11枚のスタジオ作品を残しているが、ライヴ音源が正式にリリースされたのは、意外にも遅く、1992年の『アンプラグ・イット・イン(Unplug It In)』が最初だった。ライヴ・アルバムと呼ぶには小ぶりで、正確にはミニアルバムと呼んだ方がいいサイズのもの(収録時間は計29分ほど)である。 1990年代初頭の“流行り”だったアンプラグド(プラグを抜く、すなわちアコースティック演奏)のライヴというのが本盤の内容である。エディ・マネーは1992年に“アンプラグド”を掲げたツアーを全米で行い、その際のテキサス州での音源がこのライヴ作品としてリリースされた。 このライヴで披露されている内容がエディ・マネーの真髄かといえば、答えに戸惑う。エレキギターがしっかり鳴っているロックサウンドが本来の姿だと言わざるを得ない。けれども、アコースティックなセッティングで、熱唱というよりも、語り掛けるかのように歌を紡ぐ様子は、ヴォーカリストとしての地力を存分に発揮したものだといえる。 収録曲数は7曲と少ないものの、注目ナンバーをいくつか挙げておきたい。5.「天国行き超特急 (トゥー・ティケッツ・トゥ・パラダイス)」は、彼の代表曲の一つ。とはいえ、このライヴ作品の選曲は、決してヒット・メドレーのような趣旨ではない。とくに注目したい歌唱としては、スモーキー・ロビンソン(ミラクルズ)のヒット曲である4.「ユーヴ・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー」、それから、3.「セイヴ・ア・リトル・ルーム・イン・ユア・ハート・フォー・ミー」や6.「トリニダー」といったところ。これら以外の楽曲も、総じてヴォーカリストとして“聴かせる”という点に多分に比重が置かれている。結果的に、私的には極めて好感度の高い作品に仕上がっていると思う。没後の今となっては、このアンプラグド・ツアーのもっとまとまった音源をライヴ・アルバム化してもいいんじゃないかと思ったりもするけれど、そこまで幅広いセールスは望めないのだろうか…。[収録曲]1. Gimme Some Water2. She Takes My Breath Away3. Save a Little Room in Your Heart for Me4. You've Really Got a Hold on Me5. Two Tickets to Paradise6. Trinidad7. Fall in Love Again1992年リリース。 Money, Eddie - Unplug It in CD アルバム 【輸入盤】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年04月13日
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異色アーティストの経歴の中での異色作 ドクター・ジョン(Dr. John,1941年ニューオーリンズ生まれ、2019年に77歳で死去)は、若い頃に手を負傷し、ギタリストからピアニストへと鞍替えしたという過去を持つ。1968年の『グリ・グリ』でデビューしてから、ニューオーリンズの音楽的バックグラウンドに根差しつつも、ヴードゥー教の要素など、ある意味では“特異性”に満ちた作品を世に送り出していった。 そんな異色のアーティスト、ドクター・ジョンの作品群の中で、異色(異色なものの中での異色といっても、異色ではないということにはならない)なのが、1982年にリリースされた『ドクター・ジョン・プレイズ・マック・レベナック(Dr. John Plays Mac Rebennack)』である。表題の“マック・レベナック”というのは、ほかならぬドクター・ジョン自身(本名は、マルコム・ジョン・レベナック・Jr., Malcolm John Rebennack Jr.)のことである。 ほぼ全編、ピアノ・ソロである。4.「ニアネス・オブ・ユー」と6.「サイレント・ナイト(きよしこの夜)」で弾き語りのヴォーカルを披露しているものの、全編通してみれば、あくまでピアノ演奏が主なのである。ラグタイム的な雰囲気、ブルースやジャズの要素など、彼のバックグラウンドとなったであろう音楽が、ピアノ一つで表現されているといったところ。ニューオーリンズ(筆者は行ったこともないのだけれど)のバーで出会いそうな演奏でありながら、この高度なピアノの転がし方というのは、そんじょそこらで聴けるものではない。 異色作となった本盤の試みはこれで終わってしまうことなく、1983年にはその続編に当たる作品(『ザ・ブライテスト・スマイル・イン・タウン』)もリリースされた。初めて聴く人は面食らうかもしれないだろうし、そもそもドクター・ジョンの音楽に初めて触れる人に適した盤ではないとは思うけれど、彼の神髄がわかる盤というのもまた確かに言えるのだろうと思う。[収録曲]1. Dorothy2. Mac’s Boogie3. Memories of Professor Longhair4. The Nearness of You5. Delicado6. Silent Night7. Dance A La Negres8. Wade in The Water9. Honey Dripper10. Big Mac11. New Island Midnight12. Saints13. Pinetop1982年リリース。 【中古】[CD]Dr John Plays Mac Rebennack: Legendary Sessions 2 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年03月30日
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ギターを堪能できる好盤 ロイ・ブキャナン(Roy Buchanan)は、1939年生まれのアメリカのギタリスト。一般にはあまり名前を知られておらず、マイナー・アーティストであるかのように扱われてしまうことが多いが、エリック・クラプトンやジェフ・ベックが敬愛するギター奏者として紹介されたりする。1988年に48歳で亡くなっており、酔った末に問題を起こして拘留され、拘留先で首を吊ったとされる。 本盤『メシアが再び(A Street Called Straight)』は、1976年に発表された5作目のスタジオ・アルバム。子どもを膝にのせてテレキャスター(フェンダー社製のギター)を構えているジャケット写真も実にキマっている。ロイ・ブキャナンの作品に初めて手を伸ばす人には格好の盤ではないかと個人的に思っていたりするアルバムでもある。 いくつか注目したい曲をピックアップしてみたい。1.「ランニング・アウト(ラニング・アウト)」は、彼らしさ全開のオープニング・ナンバーで、筆者のなかではこの雰囲気こそブキャナンというイメージだったりする。4.「グッド・ゴッド・ハヴ・マーシィ」は、エレキギターでの弾き語り風のナンバー。ヴォーカリストとしてのよさも十分に兼ね備えていたことがよくわかるなかなか魅力的な1曲である(6.「カルソ」でもそのヴォーカルのよさが生かされている)。 インスト曲の7.「マイ・フレンド・ジェフ」は、表題からもわかるように、ジェフ・ベックに捧げられたナンバー。この前年にリリースされた『ブロウ・バイ・ブロウ』の中で、敬愛するロイ・ブキャナンにジェフ・ベックが名曲「哀しみの恋人達」を捧げたことから、これに呼応してこの曲がアンサートリビュートとなっている。 本盤での大きな聴きどころの一つは、邦題(原題は別のタイトル)にも採用された10.「メシアが再び(メサイア・ウィル・カム・アゲイン)」。ファースト作に収録されたナンバーの再演で、ゆったりと曲が流れていく中、彼のテレキャス演奏の魅力が発揮されている。この“泣きのギター”は、筆者的には、サンタナの「哀愁のヨーロッパ」と双璧を成すと思ったりするのだけれど、いかがだろうか。[収録曲]1. Running Out2. Keep What You Got3. Man on the Floor4. Good God Have Mercy5. Okay6. Caruso7. My Friend Jeff8. If Six Was Nine9. Guitar Cadenza10. The Messiah Will Come Again11. I Still Think About Ida Mae1976年リリース。 【輸入盤CD】Roy Buchanan / Live Stock/A Street Called Straight (ロイ・ブキャナン) 【中古】 メシアが再び /ロイ・ブキャナン 【中古】afb 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックで応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2023年03月26日
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“最も売れなかった盤”の実態は 1975年のデビュー盤『ドリームボート・アニー』以降、1980年代にかけて、ハート(Heart)というバンドは2度の成功を手にした。最初の成功は1970年代後半(シーンへの登場以降、1980年の『ベベ・ル・ストレンジ』および同年のベスト盤まで)の順調な快進撃で、2度目は1980年代半ば~後半の大セールス(『ハート』から1990年の『ブリゲード』まで)だった。 その狭間で、1980年代初頭の“振るわない時期”があった。アルバム作品で言うと、『プライヴェート・オーディション』(1982年)と本盤『パッションワークス』(1983年)である。とりわけ、本盤の方はチャートも全米39位と、それまでで“最も振るわない盤”になった。 前作に当たる『プライヴェート・オーディション』の項にも書いたように、バンドの過渡期と言える状況であった。その過渡期の中身には、実はメンバー間の問題というのもあった。当初、アンはマイク・フィッシャーと、ナンシーはロジャー・フィッシャーと付き合っていた。ロジャーはバンドの創設者、マイクはその兄である。しかし、1979年の時点でこれらカップルは破局し、ロジャーは脱退する。さらに、1982年にはバンドの創設メンバーだったスティーヴ・ホッセン、セカンド作から合流していたマイケル・デロージャーも脱退(『プライヴェート~』まで参加)し、メンバー交代を余儀なくされていた。つまるところ、“アンとナンシーの二人が残った”という状態で、バンドの音楽そのものも方向性を考えざるを得なくなった時期だったと言える。 この『パッションワークス』を聴くと、確かにこの後の方向性の変化を示唆する部分がある。オープニング・ナンバーの1.「誓いのハート・ビート(ハウ・キャン・アイ・リフューズ)」なんかは、特にそんな感じのする1曲である。アルバム全体を通して、ハードさは影を潜め、テンポを落としたしっとりめのナンバーやバラードっぽいナンバーが支配的である。そういう傾向を代表するナンバーの一つとして、10.「愛のランゲージ(ランゲージ・オブ・ラヴ)」が挙げられる。 いま思えば、というか、後になってから言えることだけれど、70年代ハートの魅力の原動力だった“強さ”の部分が影を潜め、だからと言って80年代の“ポップさ”や(いい意味でも悪い意味でも)大衆受けする要素はまだ部分的にしか見られなかった。聴衆だけでなく、バンド自体もまだ次の時代に追い付くには早すぎたといったところだろうか。とはいえ、個人的には酷評するようなアルバムとも思えず、案外好きだったりする部分もあるのだけれど。[収録曲]1. How Can I Refuse (誓いのハート・ビート) 2. Blue Guitar 3. Johnny Moon 4. Sleep Alone 5. Together Now 6. Allies 7. (Beat by) Jealousy 8. Heavy Heart 9. Love Mistake 10. Language of Love (愛のランゲージ) 11. Ambush1983年リリース。 【中古】 パッションワークス/ハート 【中古】afb ハート Heart - Playlist: THE VERY BEST OF HEART CD アルバム 【輸入盤】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年03月23日
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新ラインアップで臨んだ東京でのライヴ盤 1974年の『461 オーシャン・ブールヴァード』から1978年の『バックレス』まで、エリック・クラプトンのバンド・メンバーは固定されていた。しかし、『バックレス』制作後にジョージ・テリー(ギター)とマーシー・レヴィ(ヴォーカル)が脱退。翌1979年の欧州ツアーではメンバーが一新された。その新メンバーで臨んだ日本公演を収めた2枚組ライヴ盤が、1980年発表のこの『ジャスト・ワン・ナイト〜エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館〜(Just One Night)』である。『レインボー・コンサート』(1973年)、『エリック・クラプトン・ライヴ(E.C. Was Here)』(1975年)に続く、3作目のライヴ盤となった。 このツアーの演奏メンバーは、アルバート・リー(ギター)、クリス・スティントン(キーボード)、デイヴ・マーキー(ベース)、ヘンリー・スピネッティ(ドラムス)という布陣。これらのメンバーは次作となる『アナザー・チケット』へと継続していく。本ライヴ盤は、2枚組14曲が収録されているが、基本的には1979年12月4日(何曲かについては12月3日)の武道館公演を音源としている。アルバムは、米チャートで2位、英チャートで3位となり、好意的に受け入れられた。 聴きどころ満載で、通して聴く以外ないのだけれど、筆者の気に入っている演奏をいくつかだけ挙げておきたい。まず、1枚目からは、冒頭の1.「タルサ・タイム」は、ライヴ・ヴァージョンとしてシングル化されたもので、演奏の一体感がいい。4.「ワンダフル・トゥナイト」は、何を隠そう、筆者がこの曲を特別なお気に入り曲となるきっかけとなったのが、本ライヴでの演奏だったりする。圧倒される演奏の代表例としては、8.「アフター・ミッドナイト」は聴き逃がせない。 アルバム2枚目に目を向けると、ブルースあるいはブルースロックを演るクラプトンの本領発揮が冒頭の1.「ダブル・トラブル」と締め括りの6.「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」と言えそう。これら2曲のほかには、元はJ.J.ケイルの曲の5.「コカイン」も注目。有名曲のせいか、とにかく観衆が一気に盛り上がり、ライヴの光景が目に浮かぶような気がする。 個人的に、本盤はLPレコードの時代から慣れ親しんだライヴ盤だったりする。武道館でのライヴ盤というのは世にいくつもあるけれど、ボブ・ディランのものと並ぶ代表作がこの『ジャスト・ワン・ナイト』だと思っている。そんなわけで、今でも、九段辺りを通りがかって武道館を見るにつけ、思い出してはまたCDを出してきて聴きたくなる盤の一つだったりもする。[収録曲](Disc 1)1. Tulsa Time2. Early in The Morning3. Lay Down Sally4. Wonderful Tonight5. If I Don't Be There by Morning6. Worried Life Blues7. All Our Past Times8. After Midnight(Disc 2)1. Double Trouble2. Setting Me Up3. Blues Power4. Rambling on My Mind5. Cocaine6. Further On Up The Road1980年リリース。 ジャスト・ワン・ナイト~エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館~ [ エリック・クラプトン ] ジャスト・ワン・ナイト〜エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館〜/エリック・クラプトン[SHM-CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年03月17日
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グラミー受賞につながったソロ作 記憶に間違いがなければ、筆者がカルロス・サンタナ(Carlos Santana)のソロ作で最初に聴いたのが、本盤『サルバドールにブルースを(Blues for Salvador)』だった。詳しい方にはいまさらな話だけれど、念のため、アーティスト名について触れておきたい。少々紛らわしくて、よく誤解されがちだが、カルロス・サンタナは個人名。一方、サンタナ(Santana)は、彼が率いるバンド名である。バンドの方は1960年代末から様々なアルバムを発表しているが、カルロス・サンタナ個人名義でのアルバム作品が発表されたのは、1979年の『ワンネス』以降のことである。同作から数えて、『サルバドールにブルースを』は、4作目のソロ名義盤ということになる。 前作の『ハバナ・ムーン』もそうなのだけれど、一時の宗教色は薄く、音楽的なルーツやバックグラウンドを意識し、バンドの方では盛り込みにくい要素を自由に取り込んでアルバム作品にしているという印象が強い。結果、この頃のソロ作は、カルロス・サンタナの人となりを掴むには好適といった感想を筆者としては抱いている。本作はグラミー賞(ベスト・ロック・インストルメンタル・パフォーマンス部門)に輝き、彼にとってのグラミー初受賞となった。 様々な参加メンバーの中では、バディ・マイルスやトニー・ウィリアムスの名が目を引く。実際、本盤の内容は、ロック、ラテン・ロックといった範疇に収まることなく、ジャズやブルースなどカルロスが育った音楽的背景を踏まえて、彼のギターを中心にしっかり聴かせるという作りになっている。 1.「舞踏 アクアティック・パーク(バイランド/アクアティック・パーク)」はラテン調のアルバム冒頭に相応しい、インパクトのある曲で、カルロスのソロが光る。ギターのプレイ内容は、アルバム全体を見渡すと結構多様であるが、筆者が気に入っているものとして、4.「トレーン」、5.「ディーパー・ディグ・ディーパー」、7.「ナウ・ザット・ユー・ノウ」あたりを挙げておきたい。アルバムを締めくくる表題曲の9.「サルバドールにブルースを」は、息子(その名がサルバドール)に捧げたナンバーである。この曲で繰り広げられるのは、これぞカルロス・サンタナというギター演奏。この曲をはじめ、とにかく彼のギターを全編にわたって堪能できるなかなかエキサイティングな一枚だと思う。[収録曲]1. Bailando/Aquatic Park2. Bella3. I'm Gone4. 'Trane5. Deeper, Dig Deeper6. Mingus7. Now That You Know8. Hannibal9. Blues for Salvador1987年リリース。 カルロスサンタナ Carlos Santana - Blues for Salvador CD アルバム 【輸入盤】 【輸入盤CD】Carlos Santana / Blues For Salvador 【K2019/5/10発売】(カルロス・サンタナ) 【中古】 サルバドールにブルースを/サンタナ 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年03月07日
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脇道からフルアルバムへの結実 ザ・ラヴモンガーズ(The Lovemongers)は、アメリカのロック・バンド、ハートの中心人物であるアンとナンシー(ウィルソン姉妹)が、1990年代、サイド・プロジェクト的に作り出したアコースティック・ユニット。1992年にレッド・ツェッペリンの「限りなき戦い」のカバーを4曲入りEPという形で発表していた。それからさらに5年ほどが経ち、このユニットのフルアルバムが届けられた。それが、本盤『ウィアリーギグ(Whirlygig)』だった。 本盤の特徴はというと、意外なことに、ツェッペリン色のなさではないかと思ったりする。そして、全体としてはポップ寄りのロックサウンドで、歌を聴かせるという部分におかれた比重が高いように感じる。 本盤に収録の曲のうち、個人的にお勧めのものをいくつか挙げておきたい。上記のポップ寄りのロックサウンドの典型の一つである2.「ミラクル・ガール」は、軽快な曲調が気に入っている。ハード・バラード調の6.「キッス」は、ライヴでやるとなかなか盛り上がりそう。7.「ラナウェイ」はアコギを中心とした演奏で、なかなかよくできたバラードの好曲。アルバムを締めくくる10.「サンド」はアコースティックな弾き語り(ただし曲後半ではドラムス等も加わる)で、確かにこういう曲はハートのアルバムにはそぐわず、こうした別プロジェクト的な場だからこそ収められたナンバーという印象がする。 なお、日本盤限定かどうか不明だが、3曲のボーナス・トラックが追加されており、クリスマス向けのナンバーなども収められている。[収録曲]1. City on the Hill2. Miracle Girl3. Two Black Lambs4. No School Today5. The Vegas Gene6. Kiss7. Runaway8. Elysian9. Heavy Sedation10. Sand~以下、日本盤ボーナス・トラック~11. How Beautiful12. Here Is Christmas13. Hurry Up, Healer1997年リリース。 Whirlygig [CD] ラブモンガーズ/トライエム 【中古】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年03月02日
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夫婦名義での最初のアルバム ジョン・マーティン(John Martyn)は、1948年イギリス生まれのシンガーソングライター。フォークやジャズなどジャンル横断的な間口の広い作風のアーティストで、多くの作品を残し、2009年に60歳で没している。 彼のデビュー盤は1967年で、本盤『ストームブリンガー!(Stormbringer!)』は1970年発表の3枚目のアルバムとなる。このアルバムと次作に当たる『ザ・ロード・トゥ・ルイン』(同じく1970年発表)は、彼個人ではなく、ジョン&ビヴァリー・マーティン(John & Beverley Martyn)の名義になっている。このビヴァリーというのは、当時のジョンの妻で、ヴォーカルはもちろんギターも演奏するアーティストである。 ジョン・マーティンのソロ作にはいい作品は多いのだけれど、筆者はこの二人のデュオも意外と気に入っている。そんなわけで、ジョンだけでなく、ビヴァリーの活躍も目立つのがこの盤とも言える。オリジナルの収録曲10曲中4曲がビヴァリーのもので、彼女の歌声も、途中やや単調な箇所もなくはないのだけれど、全体的に情感に富んでいてなかなかいい。 本盤の注目曲をいくつか挙げておきたい。1.「ゴー・アウト・アンド・ゲット・イット」は、アルバム冒頭から派手にならず、物悲しさを醸し出しながら淡々と歌いつつ、渋い曲展開になっているのがいい。アルバム表題曲の3.「ストームブリンガー」、アルバムを締めくくる10.「ウッド・ユー・ビリーヴ・ミー?」は、ジョン・マーティンらしさがよく表れた好ナンバー。あと、8.「トラフィック・ライト・レディ」は、地味ながら素材としての曲のよさが光る。 ビヴァリーが中心となった4曲(2., 4., 7., 9.)の中では、2.「キャント・ゲット・ザ・ワン・アイ・ウォント」が特にいい。これら以外の場面でも、ビヴァリーの存在感は見られ、なかでも6.「ジョン・ザ・バップティスト(洗礼者ヨハネ)」のメイン・ヴォーカルとコーラスの絡みはなかなか面白い。[収録曲]1. Go Out and Get It2. Can't Get the One I Want3. Stormbringer4. Sweet Honesty5. Woodstock6. John the Baptist7. The Ocean8. Traffic-Light Lady9. Tomorrow Time10. Would You Believe Me?~以下、リマスター版CDでのボーナストラック~11. One of Those Days (demo)12. I Don't Know (demo)13. John the Baptist (demo)14. Traffic-Light Lady (demo)1970年リリース。 ストームブリンガー! +4 [ ジョン&ビヴァリー・マーティン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年02月26日
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1978年発表のサード作 ジョン・ライオン(John Lyon)ことサウスサイド・ジョニー(Southside Johnny)率いるバンド、サウスサイド・ジョニー&アズベリー・ジュークス(Southside Johnny & the Asbury Jukes)。彼らが1978年に発表した3枚目となるスタジオ作品が、この『ハーツ・オブ・ストーン(Hearts of Stone)』というアルバムである。 ニュージャージー出身のサウスサイド・ジョニーは、ブルース・スプリングスティーンやリトル・スティーヴン(スティーヴ・ヴァン・ザント)らと交流し、地元ニュージャージーからメジャーへと躍り出たアーティストだった。実際、本作でも彼らとの絡みが顕著である。演奏面では、リトル・スティーヴン(ギター、ヴォーカル、さらにプロデュースも担当)、そして同じくスプリングスティーンのバンドのマックス・ウェインバーグ(ドラムス)が参加している。楽曲面では、2曲(4.と6.)がスプリングスティーン作、1曲(8.)がサウスサイド・ジョニー、スティーヴ・ヴァン・ザント、ブルース・スプリングスティーンの共作となっている。 注目曲というと、どうしてもスプリンスティーン作曲のものに衆目が集まってしまうが、6.「トーク・トゥ・ミー」はアルバム発表の翌年にシングルとしてもリリースされたナンバー。アルバム表題曲の4.「ハーツ・オブ・ストーン」も同じくスプリングスティーンの作で、サウスサイド・ジョニーのヴォーカルが本領発揮されている。 さらに、これら以外の注目曲もいくつか挙げておきたい。2.「ベイビーズ・ゴーン(ディス・タイム・ベイビーズ・ゴーン・フォー・グッド)」は、ホーン・セクションを生かしたこのバンドらしい曲調と演奏。実際、“マイアミ・ホーンズ”と名付けられたホーン・セクションは、このバンドの演奏の大きな特色で、他の曲でもホーンが大きくフィーチャーされているものが多い。このバンドらしい曲と演奏と言う意味では、5.「テイク・イット・インサイド」も外せない1曲で、ロック音楽の中でのホーンとギターの組み合わせがカッコよく決まることのお手本とも言えそう。他には、3.「道化役の恋(アイ・プレイド・ザ・フール)」はテンポよい好曲でシングル・カットもされた。最後に、共作曲の8.「騙されるのも悪くない(トラップト・アゲイン)」は、サウスサイド・ジョニーの曲の中で筆者的にはかなり上位の好みのナンバーだったりする。[収録曲]1. Got To Be a Better Way Home2. This Time Baby's Gone for Good3. I Played the Fool4. Hearts of Stone5. Take It Inside6. Talk To Me7. Next To You8. Trapped Again9. Light Don't Shine1978年リリース。 Southside Johnny & Asbury Jukes - Hearts of Stone CD アルバム 【輸入盤】 【中古】(CD)I Don't Want To Go Home/This Time It's For Real/Hearts Of Stone/Southside Johnny & Asbury Jukes 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年02月22日
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1978年発表の第4作 ハート(Heart)は1975年に第1作『ドリームボート・アニー』でデビューし、『マガジン』(この盤のリリースをめぐってはレコード会社とバンドの間に問題が生じた)、『リトル・クイーン』とアルバム作品を重ねていった。そうして、1978年秋に第4作としてリリースされたのが、本盤『ドッグ&バタフライ(Dog & Butterfly)』であった。 LP時代のA面(1.~4.)が“ドッグ・サイド”、B面(5.~8.)が“バタフライ・サイド”と名付けられていて、テイストが少し異なっている。大きくは、前者が“ロック・サイド”、後者が“バラード・サイド”といった趣である。全体としては、前後の他のアルバムと同様、1970年代後半のハートの勢いと彼ららしい音楽要素がバランスよく盛り込まれている。 特におすすめのナンバーをいくつか挙げておきたい。前半で注目したいのは、まず、1.「クック・ウィズ・ファイア」。スタジオ録音にライヴ観衆の音声を被せて疑似ライヴ風に仕上げたようで、アルバムのオープニングに相応しいハートらしいナンバー。4.「ストレイト・オン」は、シングルとして全米15位を記録したこの時期のハートの有名曲の一つ。 後半に目を向けると、5.「ドッグ&バタフライ」もシングルカットされた曲。大きなヒットにこそならなかったが、ハートのアコースティックやバラード系の楽曲としては、トップクラスの好曲だと思う。最後に、8.「ミストラル・ウィンド」は、本盤の中でベストといってよいかもしれないナンバー。静かな出だしから激しさを増していくドラマチックな曲調、その展開に合わせたアンのヴォーカルの盛り上がり(貫禄の出た後々の彼女ならともかく、当時はまだ20歳代!)は、一聴の価値ありと言える(ちなみに、6.もこの8.と同じような部分があっておすすめだったりする)。[収録曲]1. Cook with Fire2. High Time3. Hijinx4. Straight On5. Dog & Butterfly 6. Lighter Touch7. Nada One8. Mistral Wind1978年リリース。 【輸入盤CD】Heart / Dog & Butterfly (ハート) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年02月01日
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スタジオ・ライヴ感の強いソロ・セカンド作 テイスト(参考過去記事)での活動を経て、1970年代に入ってソロとしての活動を進めたロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)。そのソロ・ファースト作は1971年5月にリリースされた『ロリー・ギャラガー』だったが、同年11月に早くもセカンド作を発表している。それが、本盤『デュース(Deuce)』ということになる。 基本となるメンバー(ロリー・ギャラガーに加えて、ベースのジェリー・マカヴォイ、ドラムスのウィルガー・キャンベル)は前作と同様で、全体としては、いい意味で“やりたいようにやれている”というのが、筆者の抱いている印象である。なおかつ、スタジオ・ライヴ感の強い演奏が印象的と言えそうな一枚だと思う。 後発のCDでは、1.と2.の曲順が異なる(下記のデータは再発CDで曲順が入れ替わった盤に基づいたもの)。そこでは2曲目となっている「ユースト・トゥ・ビー」がオープニング・ナンバーに相応しい(とはいえ、1.「目が覚めないボク(アイム・ノット・アウェイク・イェット)」が名曲でないという意味ではまったくない)。これら2曲のほか、特に筆者の好みのナンバーとしては、6.「キミの町で(イン・ユア・タウン)」や10.「波の峰(クレスト・オブ・ア・ウェイヴ)」なんかが挙げられる。同時に、アコースティックな演奏も随所で光っており、中でも9.「心が乱れて(アウト・オブ・マイ・マインド)」がいい。なお、11.「パスエイジョン」はCDでの追加曲だが、元々のアルバムに含まれても遜色のない好曲にして好演奏だと思う。[収録曲]1. I'm Not Awake Yet2. Used to Be3. Don't Know Where I'm Going4. Maybe I Will5. Whole Lot of People6. In Your Town7. Should've Learnt My Lesson8. There's a Light9. Out of My Mind10. Crest of a Wave11. Persuasion*CDボーナストラック1971年リリース。 デュース [ ロリー・ギャラガー ] デュース 50周年記念 2CDエディション [ ロリー・ギャラガー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年01月28日
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デイヴィッド・クロスビー追悼 ミュージシャンの訃報が続きます。1月19日にデイヴィッド(デヴィッド、デビッド、デービッド)・クロスビーが死去しました(外部記事)。闘病生活の末、81歳で逝去とのことです。 ザ・バーズやスティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュ(後にニール・ヤング)とのスーパーグループでの活躍、ドラッグ漬けの生活に逮捕、音楽生活への復帰と、波乱万丈の人生でした。 そんなクロスビーを思い出しつつ、まずはザ・バーズ時代の「ターン・ターン・ターン(Turn! Turn! Turn!)」、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのライヴでの「カット・マイ・ヘアー(Almost Cut My Hair)」の映像を続けてご覧ください。 彼のソロ作を1つ挙げるとなると、やはり1971年のファースト・ソロ作『イフ・アイ・クッド・オンリー・リメンバー・マイ・ネーム』(If I Could Only Remember My Name)』が代表作と言えるかと思います。余談ながら、2021年にはリリースから50周年記念のエディションが発売されました。このアルバムの中に収められている美曲「オーリンズ(Orleans)」をどうぞ。 ブランクを経て、1980年代後半には社会復帰を果たし、1980年代末には2枚目で18年ぶりとなるソロ作も発表しました。そのアルバム『オー・イエス・アイ・キャン』の表題曲「オー・イエス・アイ・キャン(Oh Yes I Can)」をお聴きください。 その後、最近まで複数のアルバムの発表を続けたクロスビーでしたが、2021年の8作目『フォー・フリー(For Free)』が最後のスタジオ・アルバム作品となりました。このアルバムもまた、染み入る美曲がいくつも収録されており、お勧めなのですが、その中の1曲を最後にお聴きください。「アイ・ウォント・ステイ・フォー・ロング(I Won't Stay For Long)」というナンバーです。 どうか安らかな眠りにつくよう、お祈りしています。R.I.P. ターン・ターン・ターン(Blu-spec CD2) [ ザ・バーズ ] デジャ・ヴ [ クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング ] 【輸入盤CD】David Crosby / If I Could Only Remember My Name (デヴィッド・クロスビー) 【輸入盤CD】David Crosby / Oh Yes I Can(デヴィッド・クロスビー) FOR FREE 【輸入盤】▼/DAVID CROSBY[CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年01月21日
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ジェフ・ベック追悼(追記) 1つ前の記事にも書いたとおり、ジェフ・ベックが亡くなりました。本ブログでも彼のアルバムを複数取り上げてきましたので、過去記事をまとめておきます。 お時間が許す方は、ぜひ過去のアルバム紹介をご覧になりながら、ジェフ・ベックの作品に思いをはせてもらえると嬉しいです。 ジェフ・ベック・グループ 『トゥルース(Truth)』(1968年) ジェフ・ベック・グループ 『ジェフ・ベック・グループ(Jeff Beck Group)』(1972年) ベック、ボガート&アピス 『ベック、ボガート&アピス(Beck, Bogert & Appice)』(1973年) ジェフ・ベック 『ブロウ・バイ・ブロウ(Blow By Blow)』(1975年) ジェフ・ベック 『ワイアード(Wired)』(1976年) ジェフ・ベック 『ギター・ショップ(Jeff Beck's Guitar Shop)』(1989年) ジェフ・ベック&ザ・ビッグ・タウン・プレイボーイズ 『クレイジー・レッグス(Crazy Legs)』(1993年) あらためてジェフ・ベックのご冥福をお祈りします。 【輸入盤CD】Jeff Beck / Truth (w/Bonus Tracks) (ジェフ・ベック) 【国内盤CD】ジェフ・ベック・グループ / ジェフ・ベック・グループ ギター・ショップ/ジェフ・ベック[Blu-specCD2]【返品種別A】 Jeff Beck ジェフベック / Crazy Legs 【CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年01月14日
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ジェフ・ベック追悼 ジェフ・ベック(Jeff Beck)の訃報が報じられました(参考外部リンク)。菌性髄膜炎が原因で1月10日亡くなったとのことで、享年78歳でした。同世代のジミー・ペイジなんかと比べて、個人的にはずっと若いイメージがあったジェフ・ベックなのですが、この年齢での急な死去のニュースは残念でなりません。 ジェフ・ベックの死を悼んで、いくつかの曲を振り返っておきたいと思います。目立った形での彼のキャリアは、エリック・クラプトンの後釜としての、ヤードバーズでの活動から始まりました。その後はジェフ・ベック・バンドでの活動を展開しますが、今回の1曲目は、さらにその後の、ベック・ボガート&アピスとしての活動期のナンバーです。アルバム『ベック・ボガート&アピス』は筆者のお気に入り盤なのですが、その冒頭に収められた「黒猫の叫び(ブラック・キャット・モーン,Black Cat Moan)」をお聴きください。 さらにこの後、ジェフ・ベックは“フュージョン期”などと呼ばれる時期を迎えます。『ブロウ・バイ・ブロウ』や『ワイアード』といった名盤が生み出されますが、筆者は、この頃の彼のインスト演奏こそギタープレイの真骨頂が発揮されていると思っています。そこで、次は、『ブロウ・バイ・ブロウ』収録の「分かってくれるかい(You Know What I Mean)」を聴いていただこうと思います。 彼のインスト路線は、1989年発表のグラミー受賞作『ギター・ショップ』で一つの頂点を迎えます。元は同盤に収録された「ホエア・ワー・ユー(Where Were You)」のライヴ演奏の様子をご覧ください。 さらにもう一つ、どちらかというと晩年に近い時期のライヴ・パフォーマンスをご覧いただきたいと思います。2016年なので、70歳を少し過ぎた頃の映像で、ビートルズ・ナンバーの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」です。ジェフ・ベックらしさいっぱいの圧巻のギター・プレイです。 ジェフ・ベックのご冥福を心からお祈りします。R.I.P. [枚数限定]ベック・ボガート&アピス/ベック・ボガート&アピス[Blu-specCD2]【返品種別A】 【国内盤CD】ジェフ・ベック / ブロウ・バイ・ブロウ ワイアード [ ジェフ・ベック ] ギター・ショップ/ジェフ・ベック[Blu-specCD2]【返品種別A】 LIVE+ [ ジェフ・ベック ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年01月14日
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今年(2022年)は、都合6曲のクリスマス曲を記事にしました。これらへのリンクと、過去のクリスマス曲へのリンクもいくつか加えてまとめておきたいと思います。(2022年)セリア・クルス&ラ・ソノラ・マンテカ「クリスマスのチャチャチャ(El cha cha cha de la Navidad)」マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス(All I Want for Christmas Is You)」セリーヌ・ディオン「フェリス・ナビダー(Feliz Navidad)」アーサ・キット/マドンナ「サンタ・ベビー(Santa Baby)」セラー&サビーナ「クリスマス・ソング(Canción de Navidad)」ルイス・ミゲル「ナビダー・ナビダー(Navidad, Navidad)」(2021年)ポール・マッカートニー「ワンダフル・クリスマスタイム(Wonderful Christmastime)」ホセ・フェリシアーノ「ナビダー・ナビダー(Navidad, Navidad)」デイヴ・ブルーベック「サンタが街にやってくる(Santa Claus Is Comin' to Town)」キャンド・ヒート「クリスマス・ブルース(Christmas Blues)」カーペンターズ「メリー・クリスマス・ダーリン(Merry Christmas, Darling)」チェット・ベイカー「サイレント・ナイト(Silent Night)」(2020年以前からもいくつかピックアップ)オーティス・レディング/レイ・チャールズ「メリー・クリスマス・ベイビー(Merry Christmas Baby)」ルイ・アームストロング「クリスマス・ナイト・イン・ハーレム(Christmas Night in Harlem)」/「ウィンター・ワンダーランド(Winter Wonderland)」ビング・クロスビー「ホワイト・クリスマス(White Christmas)」ダイアナ・クラール「ジングルベル(Jingle Bells)」アンドレア・ボチェッリ「もみの木(O Tannenbaum)」ザ・フー「クリスマス(Christmas)」ケニー・バレル「ザ・クリスマス・ソング(The Christmas Song)」ブルース・スプリングスティーン&E・ストリート・バンド「メリー・クリスマス・ベイビー(Merry Christmas Baby)」ボブ・ディラン「マスト・ビー・サンタ(Must Be Santa)」ワム!「ラスト・クリスマス(Last Christmas)」バンド・エイド30「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?(Do They Know It’s Christmas?)」 今日はクリスマス・イヴ、そして明日はクリスマス当日です。どうかよい週末をお迎えください。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年12月24日
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クリスマス・ソング選2023(その4) アーサ・キット(アーサー・キット,Eartha Kitt,1927年生まれ、2008年没)は、米国のシンガー、女優、キャバレー・スター。彼女の代表曲の一つが、クリスマス・ソングとして親しまれている「サンタ・ベビー(Santa Baby)」です。1953年にシングルとして発表されたナンバーです。 この定番クリスマス曲の秀逸なカバー・ヴァージョンということで、いろんな人がカバーしているのですが、今回は、1987年のマドンナ(Madonna)によるものもお聴きください。1980年代のマドンナと言えば、まさにデビューからスターダムに駆け上がった絶頂期だったわけですが、この歌唱もトップ・シンガーとなったの貫禄が十分に出ているものではないかと思います。 コケティッシュで独特な魅力のこのナンバー。これをスタンダードとして定着させたアーサ・キットが素晴らしいのはもちろんですが、これを30年以上経って絶妙にカバーしたマドンナもまたお見事といったところでしょうか。[収録アルバム]Eartha Kitt / Revisited(1960年)Various / A Very Special Christmas(1987年) 【輸入盤CD】Eartha Kitt / Essential Recordings (アーサー・キット)【★】 【中古】 A VERY SPECIAL CHRISTMAS(クリスマス・エイド) /(オムニバス),ザ・ポインター・シスターズ,ユーリズミックス,ホイットニー・ヒュ 【中古】afb 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年12月16日
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クリスマス・ソング選2023(その3) 先ごろ、稀な難病を患っていると公表したセリーヌ・ディオン(Céline Dion)。カナダ出身の有名シンガーですが、今回は、彼女が1998年に発表したクリスマス盤に収録されているナンバーです。 今回の曲のタイトルは「フェリス・ナビダー(Feliz Navidad)」。スペイン語で“メリー・クリスマス”(あるいは“ハッピー・クリスマス”)という意味です。 余談ながら、この曲のタイトルが「フェリース・ナヴィダッド」と表記されたりしているようですが、「フェリス(またはフェリース)・ナビダー」です。実は、このブログでは、このナンバーのオリジナル・ヴァージョンを以前に取り上げました。プエルトリコのシンガーソングライター、ホセ・フェリシアノが元曲を歌っており、ラテン系クリスマス・ナンバーの定番曲です。よろしければ昨年の記事も、あわせてご覧ください。 ともあれ、セリーヌ・ディオンが病を乗り越えていずれ復活してくれることを祈りつつ、今は彼女がこれまでに残したきた歌声を楽しむことにしたいと思います。[収録アルバム]Céline Dion / These Are Special Times(1998年) 【送料無料】[枚数限定][限定]THESE ARE SPECIAL TIMES[GOLD VINYL]【アナログ盤】【輸入盤】▼/セリーヌ・ディオン[ETC]【返品種別A】 【中古】スペシャル・タイムス/セリーヌ・ディオン、R.ケリー、アンドレア・ボチェッリ 【中古】 スペシャル・タイムス−レガシー・エディション−(完全生産限定盤)(紙ジャケット仕様)(DVD付)/セリーヌ・ディオン 【中古】afb 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年12月14日
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クリスマス・ソング選2023(その2) さて、今回は今もあちらこちらで耳にする、ヒット・ナンバーとなったクリスマス曲です。 マライア・キャリー(Maraiah Carey)は1990年代にデビューしたニューヨーク出身のシンガー。1994年に初のホリデー盤として発売された彼女の4枚目のアルバム『メリー・クリスマス』からのシングル曲としてリリースされたのが、この「恋人たちのクリスマス(All I Want for Christmas Is You)」です。 この曲は、一過性のヒットで終わらず、後々も聴き続けられるクリスマス・ナンバーとして定着してきたのではないかという気がします。マライア自身は、アーティストとしての活動がやや停滞した時期もありましたが、1990年代から2020年代の今に至るまで活躍していて、今後も期待されます。この間、2010年にもクリスマス盤を発表していますので、いつかそちらの曲も取り上げてみたいな、などと思ったりもしています。[収録アルバム]Maraiah Carey / Merry Christmas(1994年) メリー・クリスマス [ マライア・キャリー ] メリー・クリスマス 25th Anniversary Edition [ マライア・キャリー ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年12月12日
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次世代の子どもたちへ捧げた盤 オリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John)は、1970年代から80年代にかけていくつものヒットを残した。そんな彼女の80年代の作品の中で、例外的に“売れなかった”作品の一つが、1989年の『美しい星と子供たちに~ウォーム・アンド・テンダー(Warm and Tender)』である。 “売れなかった”と述べたが、その理由は明白である。時代のアイコン、若者の憧れの的としてのオリビアも、30歳代を経て40歳を迎える頃となっていた。1980年代も後半になると、結婚を機に音楽界とは少し距離を置くようになっていた。そして、出産後、『噂~うわさ』(1988年)に続いて届けられたのが、この『美しい星と子供たちに~ウォーム・アンド・テンダー』だった。 娘の誕生(1986年)が本盤の構想のスタートになったのだという。8.「きらきら星」、10.「ロッカ・バイ・ベイビー」、14.「星に願いを」、15.「リーチ・アウト・フォー・ミー~ブラームスの子守歌」といった曲などからわかるように、娘および次世代の子どもたちに捧げた歌唱集なのである。ついでながら、表題曲の9.「ウォーム・アンド・テンダー」は自作曲で、これもアルバムのコンセプトをよく伝える好曲である。 以上のように、多くのファンが欲する“オリビア像”と本盤の内容に間に、そう簡単には埋まらないギャップがあったというのは確かだったのだろう。けれども、当時、まだ若者だった筆者は、意外と本盤が気に入った(手元にあるCDも、その当時に入手したものを未だに聴き続けている)。最初に聴いた時の感想は“やっぱり歌がうまいな”というものだった。母性がどうとか、次の世代がどうとか、本当は本盤を評するのに必要なのかもしれないけれど、筆者的には、このシンプルな美しさだけで十分。先頃(2022年8月)、オリビアは亡くなってしまったけれど、このアルバムもまた聴き継いでいってほしい作品の一つに違いないと思う。 [収録曲]1. Jenny Rebecca2. Rocking3. Way You Look Tonight4. Lullaby My Lovely5. You'll Never Walk Alone6. Sleep My Princess7. The Flower That Shattered the Stone8. Twinkle Twinkle Little Star9. Warm and Tender10. Rock-A-Bye Baby11. Over the Rainbow12. Twelfth of Never13. All the Pretty Little Horses14. When You Wish Upon a Star15. Brahms Lullaby(intro)~Reach Out For Me~Brahms Lullaby(reprise)1989年リリース。 【中古】 ウォーム・アンド・テンダー(美しい星と子供達に)/オリヴィア・ニュートン=ジョン 【中古】afb 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年12月03日
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着実な進化を見せたサード作 トレイシー・チャップマン(Tracy Chapman)は、1964年、オハイオ州クリーヴランド生まれで、アフリカン・アメリカンの女性シンガーソングライター。1988年にデビュー盤を発表し、一躍人気を獲得して翌年にも2枚めのアルバムをリリースした。それから2年半のインターバルを経て発表されたのが、サード作となる本盤『マターズ・オブ・ザ・ハート(Matters of the Heart)』だった。セールス面では、大きな人気を獲得した初作(全米・全英ともに1位)、その勢いに乗っての第2作(全米9位、全英1位)に比べると、数字上は見劣りのする結果(全米53位、全英19位)だった。 けれども、筆者は本盤がなかなか優れたアルバムだったと思っている。第一に、アルバム全体を通しての落ち着きぶりが前2作と明らかに違うように思う。言い換えると、いい意味で自信に満ち溢れているように感じるのである。それは、別の表現をすれば、“貫禄”を感じるようになってきたとも言えるかもしれない。第二に、個別の曲として完成度の高いものが多い。初作はどちらかというと社会的、第2作は内省的な色合いが強かったが、それらは共に“独白的”でもあった。本作所収のナンバーを聴いていると、一つ次元が上がって“詩的”な段階に入りつつあるように感じる。 おすすめの曲をいくつか挙げておきたい。1.「バン・バン・バン」は静かに歌いかける曲で、多くのリスナーが求める彼女らしいナンバー。3.「アイ・ユースト・トゥ・ビー・ア・セーラー」も弾き語りシンガーソングライター的な雰囲気を保っているが、上述の通りの詩的世界に一歩踏み込んでいる感じがして、個人的には好み。5.「ウーマンズ・ワーク」は、わずか2分ほどの小品だが、女性をテーマにしていて、やたら心に残る。後半になると、サウンド的にも幅のある演奏が増えてくるが、個人的に勧めたいのは、8.「ドリーミン・オン・ア・ワールド」と表題曲の10.「マターズ・オブ・ザ・ハート」。前者は、上で書いた自信、アーティストとしての余裕が存分に感じられる。後者は、ギターの弾き語りという印象でデビューした彼女がもはや十分に違う地平に立って勝負しようとしていることがよく感じられる。[収録曲]1. Bang Bang Bang2. So3. I Used to Be a Sailor4. The Love That You Had5. Woman's Work6. If These Are the Things7. Short Supply8. Dreaming on a World9. Open Arms10. Matters of the Heart1992年リリース。 【中古】マターズ・オブ・ザ・ハート / トレイシー・チャップマン 【輸入盤CD】TRACY CHAPMAN / MATTERS OF THE HEART (トレイシー・チャップマン) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年11月21日
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イーグルス解散後、元メンバーによるソロ作の一つ ティモシー・シュミット(Timothy B. Schmit)は、1947年、カリフォルニア州オークランド生まれのミュージシャン。カントリー・ロック・バンドのポコに、ランディ・マイズナーの後釜として加入して活動したほか、スティーリー・ダンの複数のアルバムにもバッキング・ヴォーカルとして参加している。 1977年、ランディ・マイズナーに代わってイーグルスのツアーに加わり、1980年の解散までイーグルスでベースとヴォーカルを担当した。彼がヴォーカルを務めたイーグルスの曲としては、『ザ・ロング・ラン』所収の「言い出せなくて(アイ・キャント・テル・ユー・ホワイ)」があると言えば、思い当たる人も多いのではないだろうか。 1980年のイーグルスの解散後、メンバーらはそれぞれに活動を展開し、アルバムをリリースするなどした。それが、この『プレイン・イット・クール(Playin’ It Cool)』だった。 現在からすると、サウンド面では1980年代っぽさがあちらこちらで耳につくが(ついでにアルバム・ジャケットも当時らしいテイストの写真があしらわれている)、豪華なメンバーが参加している。元イーグルスのドン・ヘンリーとジョー・ウォルシュのほか、スティーヴ・ルカサー、J.D.サウザー、リタ・クーリッジといった面々がゲスト・ミュージシャンとして参加している。 9曲の収録ナンバーのうち、ベストの出来は8.「夢をおしえて(テル・ミー・ホワット・ユー・ドリーム)」。シングルとしてはまったくヒットしなかったが、もっと親しまれてしかるべき好曲だと思う。一方、シングルとしてある程度の注目を受けたのは、3.「ソー・マッチ・イン・ラヴ」。筆者の意見としては、彼のヴォーカルがうまく生かされた楽曲として、4.「サムシングズ・ロング」や7.「愛を消さないで(テイク・ア・グッド・ルック・アラウンド・ユー)」があり、これらをもっと売り出してもよかったのかな、と思ってみたりもする。あと、5.「ヴォイセズ」は、表題の通り、“声”のみのアカペラ曲で、短いながら注目したいナンバーだったりする。[収録曲]1. Playin' It Cool2. Lonely Girl3. So Much in Love4. Something's Wrong5. Voices6. Wrong Number7. Take a Good Look Around You8. Tell Me What You Dream9. Gimme the Money1984年リリース。 Timothy B. Schmit / Playin' It Cool 【SHM-CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年11月18日
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内容面でも商業面でも成功を収めたセカンド作 スザンヌ・ヴェガ(Suzanne Vega)は、1959年カリフォルニア生まれのシンガーソングライター。彼女のデビュー作は1985年の『街角の詩』だったが、一気に世界中に知られるようになったのは、1987年の本セカンド作『孤独(ひとり)(Solitude Standing)』、そして、そこに収められたシングル曲「ルカ」(ビルボードで全米3位)の成功によってだった。内省的で弾き語りのフォーク調が彼女の楽曲と音楽の基本的特徴ではあるものの、徐々にロックやダンスといった要素も取り込んで、広い聴衆の支持を受けるアーティストになっていった。 本盤の有名曲は、何と言っても冒頭の1.の「トムズ・ダイナー」(アルバム最後の11.にも“リプライズ”として収められている)、それから2.「ルカ」であろう。前者は、無伴奏で声だけの“アカペラ・ヴァージョン”であるが、リリースからしばらく後の1990年にDNAによるリミックスが大ブレークし、リヴァイヴァル・ヒットとなったことでも知られている。後者の2.「ルカ」は、幼児虐待という社会的テーマを詞にしたもので、スザンヌ・ヴェガの代表的ヒット曲となった。 これら2曲でおしまいではなく、本盤はなかなかの好曲揃いである。個人的な好みでは、3.「鉄の街(アイアンバウンド/ファンシー・ポウルトリー)」と9.「ジプシー」が特にいい。「ジプシー」の方は、本盤からの最初のシングルだったのだけれど、後から見れば、なぜチャートアクションがほとんどなかったのかが不思議に思えたりする。これらに続くお気に入り曲は、表題曲の6.「孤独(ひとり)(ソリチュード・スタンディング)」と7.「カリプソ」。特に「カリプソ」の方は、筆者が最初に本盤を聴いた時から気に入っているナンバーだったりする。[収録曲]1. Tom's Diner2. Luka3. Ironbound/Fancy Poultry4. In the Eye5. Night Vision6. Solitude Standing7. Calypso8. Language9. Gypsy10. Wooden Horse (Caspar Hauser's Song)11. Tom's Diner (Reprise)1987年リリース。 孤独 [ スザンヌ・ヴェガ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年11月13日
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レア・トラック集で追うザ・フーの進化の過程 ザ・フー(The Who)は1964年レコードデビューのイギリスのバンド。ビートルズ、ローリング・ストーンズと並び、そして日本ではあまり評価されていないキンクスを加えて、英国ロック史上の4大バンドと呼ばれたりする。 ザ・フーと言えば、以前にも書いたように、大音量やファズのかかった歪みのサウンド、暴力的な破壊性などが思い浮かべられることも多いが、その音楽性の展開や幅の広さはあまり話題にならない。デビュー時の『マイ・ジェネレーション』から『トミー』(1969年)や『フーズ・ネクスト』(1971年)にいたる道のりは、ある種、急激な変化のうねりの中にあった。10数年の時を経て、1985年になってからリリースされた『フーズ・ミッシング(Who’s Missing)』は、いわゆる未発表・レア音源のコンピレーション盤で、1965年から71年にかけての音源を編んだものだったが、そうしたザ・フーの進化の過程を如実に示すものになったと思う。 でもって、その“進化”の真髄はどこにあったのだろうか。それがすべてというつもりはないけれど、なによりも第一に“洗練”があったと感じる。その洗練度が上がる大きな動機の一つは、シンセの導入にあると思うが、“洗練”されたからといってすなわちこじんまりした演奏に落ち着いてしまうわけでもない。実際、最後に収められているライヴ・テイクにおいても、進化すれどもこじんまりするわけではないことが十分に示されていると感じる。 なお、2011年のリイシュー日本盤ではさらに6曲が追加収録された(追加収録の部分は、筆者は未聴)。また、1985年当時のリリースの後(1987年)には本盤のタイトルをもじった『トゥーズ・ミッシング(Two’s Missing)』という続編となるコンピ盤も発表されている。[収録曲]1. Shout and Shimmy2. Leaving Here3. Anytime You Want Me4. Lubie (Come Back Home) 5. Barbara Ann6. I'm a Boy7. Mary Anne with the Shaky Hand8. Heaven and Hell9. Here for More10. I Don't Even Know Myself11. When I Was a Boy12. Bargain (Live)1985年リリース。 【中古】 【輸入盤】Who’s Missing/ザ・フー 【中古】afb 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年09月10日
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ブルース・ロックの偉大なるギタリストに捧げた盤 ゲイリー・ムーア(Gary Moore)は、1954年生まれの北アイルランド出身のミュージシャンで、2011年に急死している。スキッド・ロウやシン・リジィでの活動を始め、ジャンル的にはハード・ロックという印象が強いが、1990年の『スティル・ゴット・ザ・ブルース』以降、ルーツへの回帰をし、ブルース関連に軸足を置くようになっていった。そのような中、ブルース・ロックの偉大な貢献者に捧げるアルバムを1995年にリリースした。それがこの『ブルース・フォー・グリーニー(Blues for Greeny)』というわけである。 表題のグリーニーというのは、ピーター・グリーンのこと。この人物は、フリートウッド・マックの創設メンバーにして、初期フリートウッド・マックを牽引したアーティストである。ブルース・ロックからハード・ロックへの流れができていった歴史的な過程は、周知と言ってしまえばそれまでなのかもしれない。けれども、その“脈流”をさかのぼっていくかのような形でヘヴィ・メタルやハード・ロックに熱中する若い層に示していったのは、ゲイリー・ムーアの大きな功績とも言えるような気がする。 選曲は、表題が示すようにピーター・グリーンの演奏で知られるナンバーがひたすら並んでいる。11曲のうちの多くは、フリートウッド・マックの最初のアルバム(参考過去記事)に収録されたものだが、それ以外の曲も含まれていて、ピーター・グリーンがジョン・メイオールのグループ(ブルースブレイカーズ)に参加していた時期のナンバーも収められている。 本作のレコーディングで使用されたレスポールは、ピーター・グリーンから譲り受けたものだという。ムーア自身は、『スティル・ゴット・ザ・ブルース』よりも“このアルバムの方がより純然たるブルース・アルバムだ”と述べていたのだという。筆者はピーター・グリーンが大好きなので、ついつい元の演奏を思い浮かべつつ本盤を聴いてしまうのだけれども、本来、その必要はないのかもしれない。むしろ、このアルバムを聴いてから、過去をさかのぼってピーター・グリーンを聴く。その方が本盤の正当な聴き方と言えるように思ってみたりもする。[収録曲]1. If You Be My Baby2. Long Grey Mare3. Merry-Go-Round4. I Loved Another Woman5. Need Your Love So Bad6. The Same Way7. The Supernatural8. Driftin'9. Showbiz Blues10. Love That Burns11. Looking for Somebody1995年リリース。 [枚数限定][限定盤]ブルーズ・フォー・グリーニー/ゲイリー・ムーア[CD]【返品種別A】 ブルーズ・フォー・グリーニー [ ゲイリー・ムーア ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年09月06日
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長いキャリアの中でも、1,2を争う名盤中の名盤 ニール・ヤング(Neil Young)の名盤はという話題になると、候補に挙がるアルバムがいくつかある。そんな中でも、『ハーヴェスト』(1972年)と並んで必ず上位に数えられる名盤が、この『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ(After the Gold Rush)』(1970年)である。ニール・ヤングの名作というよりも、1960年代末から1970年代初頭のロック音楽を代表する名作と言ってもよいと思う。 本盤は、ニール・ヤングの作品としてはサード作となるが、時期的には“スーパーグループ”であるCSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)が人気を博した頃と重なる。CSN&Yの『デジャヴ』のリリースが1970年の3月で、この『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』のリリースは同年の9月であった。そんなこともあり、スティーヴン・スティルスのほか、クレイジー・ホースのメンバー、ニルス・ロフグレンらがレコーディングに参加している。 カントリーをベースとしたロックで、すべての曲に当てはまるわけではないものの、アルバム全体としては、やや暗いトーンである。はずれのない全11曲だが、個人的な好みでいくつか個別の曲に触れておきたい。表題曲の2.「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」は、ニールの特徴の一つともいえる、あの頼りなげな声のヴォーカルで切々と歌を紡ぐところが魅力。4.「サザン・マン」は、南部の黒人問題を取り上げていて、演奏も重々しいので、気軽に聴ける感じの曲ではないが、本盤中でベストの1曲と言えるかもしれない。ピアノ伴奏による8.「バーズ」は、シンプルな演奏ながら、これほど耳に残るナンバーはないといった感じで、ニールのアーティストとしての力量が如実に表れている。他に、6.「オー・ロンサム・ミー」も、9.「アイ・キャン・リアリー・ラヴ」も捨てがたく、こうやって曲を挙げ続けるとほとんど全曲をピックアップすることになってしまいそうだったりする。 ともあれ、上で述べたように、この『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』は、ニール・ヤングの代表的な盤であると同時に、その当時のロック界を代表する名盤である。クラシック・ロックに少しでも関心がある人にとって、この作品が“これを聴かずには死ねない”盤の一つであることは間違いない。ニール・ヤングを聴く最初の1枚である必要は必ずしもないかもしれないが、ニール・ヤングに触れてしまったら、本盤は絶対に外せない作品ということになると思う。[収録曲]1. Tell Me Why2. After the Gold Rush3. Only Love Can Break Your Heart4. Southern Man5. Till the Morning Comes6. Oh, Lonesome Me 7. Don't Let It Bring You Down8. Birds9. When You Dance I Can Really Love10. I Believe in You11. Cripple Creek Ferry1970年リリース。 アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ [ ニール・ヤング ] アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ<リマスター>/ニール・ヤング[CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年09月04日
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レイド・バックなクラプトンの紛れもない代表盤 1974年に発表されたエリック・クラプトン(Eric Clapton)の代表作と言われるのが、本盤『461 オーシャン・ブールヴァード(461 Ocean Boulevard)』である。スタジオ録音の作品としては、1970年(デレク・アンド・ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』、なお同年にはファースト・ソロ作もリリースされている)以来となる“復帰作”であった。 ちょうどこの期間、クラプトンはヘロイン中毒とのその療養に苦しんだ。ザ・フーのピート・タウンゼントが、彼の復帰を促すために1973年にレインボー・コンサートを企画したりもしていた。そして、スタジオ作品としてようやく届けられたのがこの『461 オーシャン・ブールヴァード』だったということになる。 その内容は、コンパクトな曲とバンド編成で、派手にギターを聴かせるものというよりは、やや地味にギター・ソロを聴かせ、一歩引いた感じで落ち着いて歌っている。この作品は、クラプトンの代表盤と言われるけれど、条件付きの”代表盤”で、いわゆる“レイド・バック”な一枚である。ヤードバーズからクリームにかけてのクラプトンを求めたところで、そもそもお門違いということになるのだろう。この盤はレイド・バックなクラプトンを求める人には、必聴の超名盤ということになるのだと思う。 とか何とか言って、筆者は本盤が大好きである。クラプトンのアルバムの中で、これを聴いた回数はおそらくダントツの1位である。まず、1.「マザーレス・チルドレン」の決して気張らない、軽めのドライヴ感がいい。広く一般受けという意味では、ボブ・マーリーのカバーで、全米1位(イギリスでも9位)のヒットとなったレゲエ調の5.「アイ・ショット・ザ・シェリフ」を挙げないわけにはいかない。とはいえ、その1曲前(シングル・リリースではB面)に収められている4.「ゲット・レディ」がいい。地味で目立った存在感を放つナンバーではないけれども、イヴォンヌ・エリマンとの共作曲で、彼女のヴォーカルも冴えている。 アルバム後半で圧倒的に気に入っているのは、8.「レット・イット・グロウ」。スローなバラード調は、かつてのクラプトンの熱いファンからすると賛否両論あるだろうけれど、個人的には、クラプトンのソングライティングの才能が見事に発揮されているナンバーだと思っている。あと、アルバムの最後に収録された10.「メインライン・フロリダ」は、ついつい流れの中で聞き流してしまうのだけれど、たまに落ち着いて聴くとこれがまたよくできた演奏。一歩引いたリラックス感の中でギターとヴォーカルをしっかり聴かせる好曲だと思う。 長いキャリアのエリック・クラプトンなので、時代をさかのぼって本盤を聴くということになる人も多いことと思う。いわゆる“レイド・バック期”のクラプトンに初めて手を出そうという人がいるならば、筆者としては、絶対的にこの盤を最初に手に取ることをお勧めする。[収録曲]1. Motherless Children2. Give Me Strength3. Willie and the Hand Jive4. Get Ready5. I Shot the Sheriff6. I Can't Hold Out7. Please Be With Me8. Let It Grow9. Steady Rollin' Man10. Mainline Florida1974年リリース。 461オーシャン・ブールヴァード/エリック・クラプトン[SHM-CD]【返品種別A】 461オーシャン・ブールヴァード [ エリック・クラプトン ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年08月24日
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爽快感の残るロックサウンド トム・ペティ(Tom Petty)は、バンドを従えたトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(Tom Petty & The Heartbreakers)名義で1976年にファースト作を発表した。1979年にはサード作の『破壊』がヒットし、アメリカン・ロック界を代表するアーティストとして知られていった。 本盤『ロング・アフター・ダーク(Long After Dark)』は、1982年に発表された第5作である。前作(『ハード・プロミス』)よりは売上げを落としたものの、なかなかの好作で、これぞアメリカン・ロックといった曲とサウンド。聴いた後の爽快感が心地よい一枚というのが筆者の印象である。 シングルとしては、2.「ユー・ゴット・ラッキー」と4.「チェンジ・オブ・ハート」がカットされ、前者は全米20位、後者は21位を記録した。筆者の気に入っているナンバーは、これらのうちの2.のほか、冒頭の1.「ワン・ストーリー・タウン」。トム・ペティ節が全開のナンバーであり、聴いた後の爽快感がいい。さらには、少し陰のある7.「ストレイト・イントゥ・ダークネス」が個人的にはお気に入りの好曲。 上で1.を聴いた後の“爽快感”に触れたが、この感覚は、本アルバム全体にも当てはまるように思う。トム・ペティの音楽自体にそういう要素があるというのも確かなのだろうけれど、『破壊』のヒットによる成功後、アーティストとして、バンドとしての余裕や貫禄が出てきたこととも関係しているのかもしれない。いずれにせよ、ロックで突っ走るというのもいいけれど、後味がすっきりというのは、トム・ペティの魅力の一つなのかな、と考えてみたりする。[収録曲]1. A One Story Town2. You Got Lucky3. Deliver Me4. Change of Heart5. Finding Out6. We Stand a Chance7. Straight into Darkness8. The Same Old You9. Between Two Worlds10. A Wasted Life1982年リリース。 【輸入盤】Long After Dark - Remaster [ Tom Petty ] 【輸入盤CD】Tom Petty & The Heartbreakers / Long After Dark (トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年08月20日
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代表作にして金字塔 ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)は、1943年、カナダ生まれのシンガーソングライター。多くの作品を発表しているが、特に評価の高い1970年代の諸作のうち、金字塔とも言える作品が、8枚目のアルバムとなった本盤『逃避行(Hejira)』である。 この作品は、1976年にリリースされた。彼女の代表作として扱われることが多く、確かに、初めてジョニ・ミッチェルを聴こうかという人がいたら、筆者はきっとこの盤を真っ先に薦めることだろう。 一聴すると、淡々としているように聴こえるかもしれないが、ヴォーカルの表現力、派手ではない演奏の多様で細やかな工夫が何度聴いても飽きない要因になっている。ソングライティングのよさも際立っていて、早い話、全部がよくできていて、非の打ち所がないというのが、名盤といわれる所以なのだろうと思う。 上で述べたヴォーカル表現の豊かさは、“歌っている”のではなく、“語っている”ことに起因するのだろう。この盤に限ったことではないけれども、ジョニ・ミッチェルの歌には癖があり、場合によっては、好き嫌いが分かれるかもしれない。それはとりもなおさず、“きれいに歌う”のではなく、“感情や詞を存分に表現する”からなのだと言える。 一方、演奏面では、多様なゲストの存在感が際立つ。最大の存在感を放っているのは、ジャコ・パストリアスのベースである。情感に満ちたベース演奏は、これと同じ年に発表されたジャコ・パストリアスのソロ・デビュー盤で披露されている演奏に通ずるものがあり、1.「コヨーテ」、5.「逃避行(ヘジラ)」、7.「黒いカラス」、9.「旅はなぐさめ」でその演奏を堪能することができる。その他には、3.「ファリー・シングス・ザ・ブルース」におけるニール・ヤングのハーモニカによる参加も、演奏に明確な色彩を与える役割を担っている。さらには、4曲で参加しているラリー・カールトンのギターも存在感を発揮している。カールトンの参加曲の中では、2.「アメリア」は個人的に気に入っているナンバーの一つだったりする。あと、この2.でのヴァイブや、上述の9.でのホーンといった楽器を取り入れているのも、サウンド面で効果的に彩りを与えることになっているように感じる。[収録曲]1. Coyote2. Amelia3. Furry Sings the Blues4. A Strange Boy5. Hejira6. Song for Sharon7. Black Crow8. Blue Motel Room9. Refuge of the Roads1976年リリース。 逃避行 [ ジョニ・ミッチェル ] [枚数限定]逃避行/ジョニ・ミッチェル[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年08月17日
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オリビア・ニュートン=ジョン追悼 オリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John)がカリフォルニア州の自宅で亡くなったと報じられました。享年73歳で、長らくの闘病の末、(2022年)8月8日に癌で亡くなったとのことです。1970年代に多くの若者を虜にした“妖精”を偲んで、いくつかの楽曲を振り返ってみたいと思います。 まずは、代表曲の一つで、今回の逝去の報でも繰り返し流されている「そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)」です。1975年に発売され、全米1位の記録を始め、世界中でヒットしました。往時の映像と後世の歌唱の様子の両方を見比べてご覧ください。 オリビアのヒット曲はいくつもありすぎて、何曲か挙げるだけでも賛否両論になってしまいそうなのですが、個人的にはこれはぜひということで、1980年の「ザナドゥ(Xanadu)」です。ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)との共演ナンバーで、同名映画のサントラに収録された曲です。 代表曲を思い起こしていくだけでも、「愛の告白」も、「愛のデュエット」も、「フィジカル」(こちらは過去記事あり)もとなるのですが、ここでは、別のナンバーをもう一つ。 オリビアは、やがて環境保護活動や癌の啓発活動も展開していくことになりました。そうした社会活動へと向かい始めた頃のアルバムに、『美しい星と子供たちに〜ウォーム・アンド・テンダー』という、娘の誕生を契機として生まれたアルバムがあります。1980年代初頭までのヒット志向とは違う彼女の姿がそこにはあり、筆者のお気に入りです。そんなわけで、同盤に収められた「虹のかなたに(Over the Rainbow)」をお聴きください。 オリビア・ニュートン=ジョンのご冥福を心からお祈りします。R.I.P. そよ風の誘惑 [ オリビア・ニュートン・ジョン ] 【輸入盤CD】Olivia Newton-John / Icon (オリヴィア・ニュートンジョン) 【中古】 ウォーム・アンド・テンダー(美しい星と子供達に)/オリヴィア・ニュートン=ジョン 【中古】afb 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年08月09日
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ギターの神様、“ジミヘン”のマスターピース ジミ・ヘンドリクス(Jimi Hendrix)は、1970年に27歳の若さで不可解な死を遂げた。一般に、死因は睡眠中の窒息死とされるものの、救急隊が病院へ搬送した際に居合わせた人たちの証言に食い違いがあったり、マネージャー(マイケル・ジェフリー)が彼の殺害を告白し、その上、飛行機事故で死んだはずのこのマネージャーがその後も生きていたという証言があったり、何かと不審な点があると言われたりもする。 死の真相はともあれ、彼の存命中にリリースされた3つのスタジオ作のうち、最後の作品となったのが、本盤『エレクトリック・レディランド(Electric Ladyland)』であった(なお、ライヴ盤も含めると、翌年、急死の前に『バンド・オブ・ジプシーズ』という作品がリリースされている)。本盤は、今でこそ1枚のCDにすべて収まっているが、LP時代には2枚組の大作で、これまでのチャンス・チャンドラーに代わってジミ自身がプロデュースを担当したアルバムとなった。 ザ・ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスは、ジミのほか、ノエル・レディング(ベース)、ミッチ・ミッチェル(ドラムス)の3人から成るが、本盤には様々なゲスト・ミュージシャンも参加している。例えば、4.「ヴードゥー・チャイル」には、スティーヴ・ウィンウッド(ハモンドオルガン)やジャック・キャサディ(ベース)、6.「長く暑い夏の夜」にはアル・クーパー(ピアノ)が参加している。他にも、デイヴ・メイスン(3.と15.、12弦ギターおよびコーラス)、ブライアン・ジョーンズ(15.、パーカッション)、マイク・フィニガン(10.と13.、オルガン、参考過去記事)らが演奏に加わっている。 全体がコンセプト・アルバムになっているというわけではないのだけれど、ジミ・ヘンドリックスの頭の中に鳴り響いていた音を実際の音に表現した演奏として、本盤はその集大成的仕事である。否、生き続けていれば集大成作はその後にも生み出されたのだろうから、その死によって集大成作になったという方が正確なのかもしれない。ともあれ、“ジミヘンを聴いてみたいんだけど”なんて人がいるとすれば、筆者はまずこの盤を勧めることは間違いない。 ちなみに、本盤はUS盤とUK盤とでジャケット・デザインが異なっていた。英盤は19人の裸の女性が収められた写真が2枚組仕様で折りたたまれたジャケットの表面と裏面をあわせた形でデザインされていたが、ジミ・ヘンドリクス自身はこのジャケットを気に入っていなかったという(個人的には、最初に本盤を知ったのがUKジャケだったので、こちらの方がしっくりくるのだけれど)。現在では遺族の意向で、ジミの顔写真をあしらった米盤ジャケット・デザインの方が使用されている。 [収録曲](LPのA面)1. And the Gods Made Love2. Have You Ever Been (to Electric Ladyland)3. Crosstown Traffic4. Voodoo Chile(LPのB面)5. Little Miss Strange6. Long Hot Summer Night7. Come On (Let the Good Times Roll)8. Gypsy Eyes9. Burning of the Midnight Lamp(LPのC面)10. Rainy Day, Dream Away11. 1983... (A Merman I Should Turn to Be)12. Moon, Turn the Tides...Gently Gently Away(LPのD面)13. Still Raining, Still Dreaming14. House Burning Down15. All Along the Watchtower16. Voodoo Child (Slight Return)1968年リリース。 エレクトリック・レディランド [ ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年07月24日
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実にハイレベルな“二匹目のドジョウ” 『スーパー・セッション(Super Session)』(1968年リリース)の続編とも言えるのが、この『クーパー・セッション(Kooper Session)』(1970年リリース)というアルバムである。といっても、その表題は、ほとんどダジャレ(“スーパー”→“クーパー”)でしかない。アル・クーパー(Al Kooper)によるセッション企画の第二弾のアルバムということになるわけだが、『スーパー・セッション』を超えるとは言わないまでも、この『クーパー・セッション』は、ただの二番煎じとは言えない、実にハイレベルな好盤なのである。 本盤の参加メンバーで最も注目すべきは、ギタリストのシャギー・オーティス。本盤では、彼の存在感とテクニックが半端ない。この人物は、R&Bシンガー、ジョニー・オーティスの息子であり、しかも、この当時まだ15歳という、まさしく“若き才能”であった。 収録された7曲の演奏は、どれも素晴らしく、全編を通して聴くことをお勧めするが、いくつかの曲を聴きどころとして挙げておきたい。まずは、1.「ベリー・マイ・ボディ」。リズム感に乗って勢いのある曲調が印象的で、その後の収録曲への期待を抱かせるに相応しいオープニング曲である。もう一つ、前半でぜひとも触れておきたいのは、2.「ダブル・オア・ナッシング」。アルのオルガンとシャギーのギターの組み合わせが醸し出すスリリングさがいい(このスリリングさは3.でも継続し、4.で息抜き的にリラックス感が出ているのも、構成の妙と言えるように思う)。 LPでは、1.~4.がA面で、“The Songs”、5.~7.がB面で、“The Blues”と銘打たれている。後半のインストルメンタル演奏もどれも素晴らしいが、何と言っても圧巻は、5.「12:15スロー・グーンバッシュ・ブルース」で、シャギーの演奏を堪能できる。同じく7.「シャギーズ・シャッフル」も聴き逃がせない。 それにしても、アル・クーパーという人は、パフォーマーなのか、裏方ないしは仕掛人なのか。彼のいろんな作品を聴くたびに、この疑問がしばしば湧いてくるのだけれど、きっと正解は“両方”なのだろう。実際、本盤でも、ヴォーカルとしての役割、そしてオルガン・プレーヤーとして聴き手の耳に残るパフォーマンスを披露している。しかし、彼が只者でないのは、仕掛人としての才能である。セッションものやその他いくつかのプロジェクトものでのアル・クーパーの役割は、ただのアーティストには容易にできないマルチぶりの賜物である。そのようなわけで、企画者としてのアル・クーパー、プレイヤーとしてのシャギー・オーティスという、簡単には揃い得ない組み合わせが実現されたことにより生み出された稀有な盤ということになるのだろう。[収録曲]1. Bury My Body2. ouble or Nothing3. One Room Country Shack4. Lookin' for a Home5. 12:15 Goonbash Blues6. Shuggie's Old Time Dee-Di-Lee-Di-Leet-Deet Slide Boogie7. Shuggie's Shuffle1970年リリース。 クーパー・セッション/アル・クーパー[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月20日
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聴衆の支持を集める中でのセカンド作 1988年にデビューし、セルフタイトルのデビュー作が高い評価を得て、「ファスト・カー」のヒットや翌89年のグラミー賞3部門受賞で一躍有名となったトレイシー・チャップマン(Tracy Chapman)。そんな中、同89年にリリースされた第2作が、この『クロスロード(Crossroads)』というアルバムだった。 前作との大きな違いとしては、第一に、同じプロデューサーでありながら、チャップマン自身もプロデュースに加わった点が挙げられる。それから、第二に、演奏に用いられている楽器に幅が出ている点だと言える。これら二点は互いに関係していたのかもしれない。自身がプロデュースに携わることで、やりたかったこと(言い換えれば、ファースト作ではできなかったであろうこと)を取り入れることができたことだろう。そして、その一つが、ギター弾き語り風の雰囲気は保ちつつも、もう少し多様な楽器と演奏を取り入れることだったのではないだろうか。 その結果、“アコギ1本で歌う”のようなイメージで本作を聴くリスナーの期待にそぐわない部分はあっただろう。けれども、この音はいま聴いても全然古さを感じさせないし、それでいて、ファースト作で世間の評価を集めた彼女のよさが十分に発揮された内容に仕上がったと思う。 個人的に気に入っている曲としては、表題曲の1.「クロスロード(Crossroads)」。アルバム表題もこの曲名もなぜか日本語表記は単数形(“クロスローズ”ではない)なのだけれど、淡々と歌う内省的なナンバー。上述のサウンドの変化がよくわかるものとしては、ネルソン・マンデラに捧げた3.「フリーダム・ナウ」、それから、6.「サブシティ」、7.「ボーン・トゥ・ファイト」なんかが私的には気に入っている。あと、9.「ディス・タイム」は“自分を愛する”というテーマのやはり内省的な内容の曲だが、妙に心に染みるナンバーで、筆者には特に印象に残っている。 最後に、筆者の手元にあるCDのブックレット(歌詞カード)には、英語の詞のほかに、独・仏・西・伊の翻訳を合わせた計5言語が記載されている。たまたま入手したものがそういう仕様なのか、あるいは日本盤とかもそうなっていたのか、詳細は分からないが、米国におけるマイノリティというチャップマンの立場や考えと関係しているのだろうか。[収録曲]1. Crossroads2. Bridges3. Freedom Now4. Material World5. Be Careful of My Heart6. Subcity7. Born to Fight8. A Hundred Years9. This Time10. All That You Have Is Your Soul1989年リリース。 【輸入盤CD】Tracy Chapman / Crossroads (トレイシー・チャップマン) 【中古】クロスロード [Audio CD] トレイシー・チャップマン 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年07月16日
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早逝のシンガーソングライターのセカンド作 ティム・ハーディン(Tim Hardin)が、1966年のデビュー盤(参考過去記事)の翌年に発表したのが本作『ティム・ハーディン2(Tim Hardin 2)』だった。ジャケットには窓から外を見るハーディン自身の写真があしらわれているが、横にいる身籠った女性は、妻のスーザン・ヤードリーとのこと。第2作と言っても、ファースト作の後に一から作られたというわけではなく、ファースト作よりも前に録られた音源からファースト作がリリースされた頃までの音源(1964年11月から1966年8月)が本盤には収められている。 さて、本アルバム全体のトーンは、ファースト作に比べるとやや落ち着いたものとなっている。特に前半(LP時代のA面に当たる1.~5.)は、フォーク・シンガーとしての彼の持ち味がより前面に出ている曲が目立つに思う。その一方、後半(B面)を中心にして、フォークの枠を飛び出た演奏も多く含まれ、朗らかだったりノスタルジックだったりする楽曲が並ぶ。 本盤のいちばんの注目曲と言えば、1.「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」だろう。パーカッションを効かせつつも淡々としたバックの演奏で、静かにかつ熱く語りかけるようなパフォーマンスは、本盤収録曲の中でもベストだと思う。そして、何よりも、この曲はいろんなアーティストによってカバーされていくスタンダードとなった。本盤リリースの前年には、ボビー・ダーリンがこの曲を歌って全米8位のヒットとなり、その後もジョーン・バエズ、フォー・トップス、ジョニー・キャッシュらがヒットさせたほか、ロバート・プラントやボブ・シーガーなんかもこの曲をカバーしている。 他の気になる曲もいくつかだけ挙げておこう。4.「レディ・ケイム・フロム・ボルティモア」はソフトタッチのフォーク調のラヴソングで、さらりとした歌い口がいい。6.「ザ・グレイス・オブ・リヴィング」は、フォークから万人に聴きやすい音楽へという、当時の彼の試行錯誤が感じられる。10.「ハンク・ウィリアムスに捧ぐ」は、文字通りカントリー歌手のハンク・ウィリアムズへのトリビュート。この人物の短い生涯について歌われていて、このカントリー・シンガーの各方面への影響(フォーク、ロックなどの様々なアーティストに影響を与えた)の一端を見ることができる。[収録曲]1. If I Were a Carpenter2. Red Balloon3. Black Sheep Boy4. The Lady Came from Baltimore5. Baby Close Its Eyes6. You Upset the Grace of Living When You Lie7. Speak Like a Child8. See Where You Are and Get Out9. It's Hard to Believe in Love for Long10. Tribute to Hank Williams1967年リリース。 ティム・ハーディン2 [ ティム・ハーディン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月11日
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パフォーマンスの高さが如実にわかるライヴ盤 U2(ユー・トゥー)は、アイルランド発のロック・バンドで、グラミー最多受賞の記録でも知られる。1980年にデビューした彼らにも、もちろん、若い頃というものがあった。デビュー後に3作品を発表し、その勢いで初のライヴ・アルバムが発表された。それが、この『ブラッド・レッド・スカイ=四騎=(Under a Blood Red Sky)』というライヴ盤だった。 “アンダー・ア・ブラッド・レッド・スカイ”という表題は、7.「ニュー・イヤーズ・デイ」の詞に出てくるフレーズである。本作では、米コロラド州のレッドロックス野外劇場でのライヴの夕焼けというイメージがあったそうだが、実際には、1983年6月5日の同地は悪天候で、激しい雨の中での演奏となった。そのため、同ライヴの音源は、1.と4.の2曲にとどまり、その分、西ドイツ(当時)でのツアーの音源が多く収録されている。 リリース後、間もなかったサード作『WAR(闘)』の曲を中心に、ファースト作、セカンド作、さらにはこれらに収録されなかったシングル曲が並べられている。U2は、上記のグラミー受賞記録だけでなく、ライヴ・パフォーマンスが高いバンドとしても知られる。別に数や額が多いから素晴らしいというわけではないけれど、過去、複数の年においてコンサート収益1位を記録したり、米国における観客動員数の大きいコンサート(史上1~3位をU2が独占し、いずれも8万人超)を記録したりしている。 実際、本盤の注目箇所は圧倒的なライヴ・パフォーマンスである。筆者の気に入っている演奏を何曲かだけ挙げておきたい。1.「グロリア」は、セカンド作に収められたナンバーだが、このライヴの方を聴いて好きになった曲。3.「アイ・ウィル・フォロー」はファースト作のオープニング・ナンバーだった曲で、セカンド・シングルでもあった彼らの原点みたいな曲だが、この演奏は、彼らのライヴ・パフォーマンスのエッセンスが凝縮されている。“U2ってどんなライヴをするの?”と質問する人がいたら、筆者はきっと“この曲を聴いてみて”と答えることと思う。 後半(LP時代のB面)最初の5.「ブラディ・サンデー」は、言わずと知れた彼らの有名曲の一つ。北アイルランドの“血の日曜日事件”(1972年)を題材とした内容で、このライヴ盤でも聴きどころとなっている。さらに、この曲と同じくサード作からのシングルで、彼らの代表曲として知られる7.「ニュー・イヤーズ・デイ」は本盤のハイライトとも言える。もちろん、彼らはこのアルバムの後も進化を続け、さらなる高みに達するわけだけれど、デビュー数年のこの時点でいかに高いライヴ・パフォーマンスができ上っていたのかが、いま聴いても実感できることと思う。[収録曲]1. Gloria2. 11 O'Clock Tick Tock3. I Will Follow4. Party Girl5. Sunday Bloody Sunday6. The Electric Co7. New Year's Day 8. 401983年リリース。 ブラッド・レッド・スカイ=四騎=/U2[CD]通常盤【返品種別A】 【中古】 ブラッド・レッド・スカイ=四騎=/U2 【中古】afb 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年06月25日
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ファースト作にして時代を先取りしていた名盤 デラニー&ボニー(Delaney & Bonnie)は、アメリカの夫婦デュオである。夫のデラニー・ブラムレットは、妻となるボニーと1960年代後半にロサンゼルスで出会い、結婚。そして夫婦デュオができあがるものの、最初に録音した音源はリリースされなかった(後に『ホーム』としてリリース)。その後、本盤を吹き込み、この『オリジナル・デラニー&ボニー(The Original Delaney & Bonnie & Friends)』でメジャー・デビューを果たした。 本盤の凄さは重層的である。そもそものデュオとしての力量について語るだけでは、まったくもって不十分と言ってもいいだろう。その力量については、ストリングスに携わったアレンジャーが、白人デュオだとは思わなかったというエピソードがあるらしい。白人か黒人かという、現代世界から見たらレイシズムそのもののような「偏見」が当たり前だった時代に、その「偏見」の壁を感じさせない歌唱を見せていたという訳である。しかも大部分の曲は、デラニーあるいはボニーがソングライティングに関わったものだった。 さて、本盤の凄さを語るには、“デラニー&ボニー”の名義にも触れなければならない。ジャケットには“デラニー&ボニー”としか書かれていないものの、実際には“デラニー&ボニー&フレンズ”なのである(裏ジャケには写真入りでその“フレンズ”の内容が記されている)。そして、その“フレンズ(友人たち)”には、レオン・ラッセル(ピアノ、ギター)、ドクター・ジョン(キーボードのほか、4.の曲提供)などの“濃い”メンバーたちがいる。これらの面子の存在もまた、本盤のディープでスリリングな演奏の元になっていることは、忘れてはいけないと思う。 話が何だか抽象的になってしまった。以下、筆者の個人的好みのおすすめ曲をいくつか挙げておきたい。1.「団結しよう(ゲット・アワセルヴズ・トゥギャザー)」は、曲のノリも、ヴォーカルも、印象的なホーンも、ギターワークも文句なしの1曲。2.「いつの日か(サムデイ)」のような、デニーとボラニーのヴォーカルの掛け合いは、このデュオの良さがよくわかるナンバーだと思う。5.「老人(ディア・オールド・マン)」のようなソウルでファンキーなヴォーカルは、“黒人/白人”の垣根を思いっきり越えている。 個人的にお勧めのナンバーとして、6.「もっと愛し続けて(ラヴ・ミー・ア・リトル・ロンガー)」は外せない。本盤の翌年にはデレク&ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』がリリースされているが、ソウルとロックが融合したこのスタイルは、デラニー&ボニーが先に完成した形で提示していたことがわかる。アルバム終盤では、9.「十字架の兵士(ソルジャーズ・オブ・ザ・クロス)」が出色。ボニーのソウルフルなヴォーカルがロック調のフォーマットと完璧なまでに調和しているところが、筆者の気に入っている部分である。[収録曲]1. Get Ourselves Together (団結しよう)2. Someday (いつの日か)3. Ghetto (ゲットー)4. When the Battle Is Over (闘いが終わる時)5. Dirty Old Man (老人)6. Love Me a Little Longer (もっと愛し続けて)7. I Can't Take It Much Longer (堪忍袋の緒が切れた)8. Do Right Woman, Do Right Man (ドゥ・ライト・ウーマン)9. Soldiers of the Cross (十字架の兵士)10. Gift of Love (愛の贈りもの)1969年リリース。 オリジナル・デラニー&ボニー [ オリジナル・デラニー&ボニー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年06月21日
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個人的には後になってから味を噛みしめた盤 1990年、トム・ウェイツ(Tom Waits)が音楽を担当したミュージカル(『ブラック・ライダー』)がハンブルクで初演を迎えた。このミュージカルは、その後、パリをはじめ、様々な場所で上演されたということなのだが、少し遅れて1993年に、同ミュージカルで用いられた楽曲を新たにスタジオで録音したアルバム、『ブラック・ライダー(The Black Rider)』がトム・ウェイツの作品としてリリースされた。 正直、リリース当時、どういったわけか筆者はあまりこの盤には魅かれなかった。平たく言ってしまえば、聴き手側が作品に追い付いていなかったということなのだろう(1曲目の叫び声が強烈だったせいもあるのだろうけれど)。今となっては何とももったいない話ではあるのだが、いろんな音楽を聴いていると、こういうことは時として起こり得る。それなりの年齢になってからそんな風に思えるようになった。 さて、時とともに味を噛みしめるようになった本盤収録の曲のいくつかを見ておきたい。表題曲の2.「ブラック・ライダー」のように、ミュージカルの場面をそのまま切り取ったかのような楽曲が複数見られる。他方、3.「ノーヴェンバー」のように、語り部としてのトム・ウェイツらしい曲も収録されている。その両方の特色を持ち合わせたかのような、9.「ザ・ブライアー・アンド・ローズ」のような曲もある。ミュージカルが元になっていることを強く感じさせるインスト曲の10.「ロシアン・ダンス」や11.「ゴスペル・トレイン」があるが、その直後に聴き手の心に染みわたる12.「アイル・シュート・ザ・ムーン」というのが実にいい。なお、このパターンの展開は、インスト曲の17.「オイリー・ナイト」から18.「ラッキー・デイ」の流れにも見られる。ラストが20.「カーニヴァル」というインストルメンタル・ナンバーで終わるのも、ミュージカル・ベースのアルバムならではなのかもしれないが、ミュージカルを知らなくとも、壮大なストーリー展開の世界に引きずり込まれるような気がする。 こんなことを書きつつ、やっぱりその当時、30年近く前の筆者には、その良さがわからなかったのかな、とちょっと思ってしまったりする。ともあれ、年齢関係なく、成熟したリスナーが聴けば、きっとこの盤の良さがわかってもらえるのではないかと考えたりするのだけれど…。[収録曲]1. Lucky Day Overture2. The Black Rider3. November4. Just the Right Bullets5. Black Box Theme6. 'T' Ain't No Sin7. Flash Pan Hunter/Intro8. That's the Way9. The Briar and the Rose10. Russian Dance11. Gospel Train/Orchestra12. I'll Shoot the Moon13. Flash Pan Hunter14. Crossroads15. Gospel Train16. Interlude17. Oily Night18. Lucky Day19. The Last Rose of Summer20. Carnival1993年リリース。 輸入盤 TOM WAITS / BLACK RIDER [CD] 【輸入盤CD】TOM WAITS / BLACK RIDER 【中古】 ブラック・ライダー/トム・ウェイツ 【中古】afb 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年06月07日
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目立たない人物による目立たない好盤 ボブ・ニューワース(Bob Neuwirth)は、1939年生まれのアメリカ人シンガーソングライター。1960年代のフォーク・シーンのつながりでボブ・ディランと親交を持ち、『追憶のハイウェイ61』のジャケ写(ダニエル・クレイマーによる写真)で、ディランの背後に下半身だけ写っているのは、実はニューワースだとのこと。 そんな彼は、1970年代に入り、セルフ・タイトルのソロ盤となる『ボブ・ニューワース(Bob Neuwirth)』をリリースした。とはいえ、この作品は世間の大きな注目を集めることもなく、彼はこの1枚だけで表舞台からは姿を消してしまった(とはいうものの、本盤発表後には、ディランのローリング・サンダー・レヴューに参加したり、長い間を経て1980年代後半以降に何枚かのアルバムを発表したりはしている)。 このようなわけで、余程のマニアにしか認知されていないアーティストなわけだけれど、本盤に参加したゲストの面々を見れば、その交流の幅広さがうかがえる。リタ・クーリッジ、ブッカー・T・ジョーンズ、ドニー・フリッツ、ジェフ・バクスター、ジェフ・マルダー、クリス・ヒルマン、ダスティ・スプリングフィールド…と、豪華すぎるメンバーが並ぶ。ゲストが豪華なら素晴らしいというわけではないにせよ、どれだけ顔が広く、有名ミュージシャンのサポートを受けたのだろうという名が連なる。 そして、何よりも本盤の内容。一言にすると、なぜこれが聴衆に受けなかったのだろうと訝しく思ってしまう。時にいい具合に“ディラン”していて、カントリー・テイストもあれば、ジャグバンド風の雰囲気もある。なおかつ、泥臭さが随所に漂う演奏とヴォーカルで、しかも収録曲の過半が自作曲。カバー曲のセンスもよい。一言でいうと、1970年代前半時点でのアメリカ音楽のエッセンスを南部的な雰囲気の中で見事に写し出した一枚と言ってもいいのではないだろうか。 筆者の気に入っているナンバーをいくつか挙げておきたい。2.「キッス・マネー」は、適度なトラディショナル・テイストにディラン風の語り口がいい。カナダのシンガーソングライターであるマレイ・マクロクランのペンによる4.「本キー・レッド」は、米国南部風のジャム的雰囲気が気に入っている。7.「ロックン・ロール・ライダー」は、ザ・バンドに通ずるようなナンバーで、筆者的には、リヴォン・ヘルムとのダブル・ヴォーカルでやる姿を見てみたかったなどと考えてしまう。8.「ウィ・ハド・イット・オール」は、ドニー・フリッツのナンバーで、本盤と同じ年にリリースされたソロ作でも取り上げられた曲。そもそも曲がいいと言ってしまえばそれまでだけれど、ニューワースによる染み入る歌唱もなかなかのもので、本盤の聴きどころだと思う。 すっかり長文になってしまったが、結論として一言。ボブ・ニューワースのこのソロ作が大したセールスも上げず、マイナー盤となったことは、謎でもあり、もったいなくもある。1990年代末以降、CDでリイシューされてせっかく聴けるようになったのだから、もっともっと聴き継がれていってほしい作品だと強く思う。[収録曲]1. Rock & Roll Time2. Kiss Money3. Just Because I'm Here (Don't Mean I'm Home)4. Honky Red5. Hero6. Legend in My Time7. Rock & Roll Rider8. We Had It All9. Country Livin'10. Cowboys & Indians11. Mercedes Benz1974年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月29日
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多彩なゲストを迎え、シンガーとしての前進と安定を示した盤 ギターの神童と言われたエリック・クラプトン(Eric Clapton)は、1970年にソロ・デビュー盤をリリースして以降、長い目で見ると、徐々にシンガーとしての立ち位置を強めていった。かつての前のめりなギター演奏のイメージとは大きく異なり、“レイド・バック”や、レゲエを取り込んだ点などは、それが表面化した現象だったと言えるように思う。1976年発表の本盤『ノー・リーズン・トゥ・クライ(No Reason to Cry)』は、後世から見れば、そうした形でクラプトンがシンガーとしての存在感を強めていった流れの中で理解できる盤なのではないかというふうに思ったりする。 1970年に最初のソロ作(その後にデレク・アンド・ザ・ドミノスの活動が挟まる)の後、1974年の『461オーシャン・ブールヴァード』からはソロ活動に本腰を入れ、翌年に『安息の地を求めて』、そして(間にライヴ盤のリリースを挟むものの)、その次の年に当たる1976年にリリースされたのがこの盤という流れであった。さらに次の年には『スローハンド』が発表されるのだけれど、ここで述べた期間というのは、筆者個人が特別に気に入っているクラプトンの活動期だったりする。 さて、今回の『ノー・リーズン・トゥ・クライ』である。もはやお手のものとなったレイド・バック的なナンバーをいくつも含み、随所でブルースやギターの聴きどころを設けていて、作品としてのバランスが取れている。それに加え、シンガーとしての成長というか安定感がついてきたという印象が強い。さらに、ゲストの多彩さも目を引く。ザ・バンドのメンバーは5人全員が参加しているのに加え、ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズのロン・ウッド、ジェシ・エド・デイヴィス、ビリー・プレストンなどといった超豪華なサポート陣である。 いくつかの曲に目を向けておきたい。いかにもレイド・バックの魅力やヴォーカリストとしての安定感を感じさせるナンバーとしては、2.「カーニヴァル」や10.「ブラック・サマー・レイン」が筆者的にはお勧めである。豪華なゲストに注目したい曲も2つほど挙げておきたい。ヴォーカルでボブ・ディラン、ザ・バンドのリック・ダンコが参加している曲があり、前者は、3.「サイン・ランゲージ」(日本盤表記では「サイン・ラングウィッヂ」)、後者は、5.「オール・アワ・パスト・タイムズ」でそれぞれエリック・クラプトンとともにヴォーカルを担っている。この3.のディランとの共演は本盤での大きな聴きどころと言っていいように思う。 また、クラプトン作品に頻繁に登場するマーシー・レヴィ(マルセラ・デトロイト)のヴォーカルが複数の曲で利いていて、しかもリード・ヴォーカルをとっているナンバー(8.)も見られる。最後に、ブルースで聴かせるナンバーが適度に配されているのも、本盤が聴き手を飽きさせないものになっている理由の一つだと言える。アルフレッド・フィールズの4.「カウンティ・ジェイル・ブルース」やオーティス・ラッシュの7.「ダブル・トラブル」といったナンバーがこれに当たる。無論、ギターの神様を求める聴き手からは、もっとギターを聴かせてもらいたいと注文がつきそうではあるのだけれど、個人的にはこれでいいのだと思ってみたりもする。[収録曲]1. Beautiful Thing2. Carnival3. Sign Language4. County Jail Blues5. All Our Past Times6. Hello Old Friend7. Double Trouble8. Innocent Times9. Hungry10. Black Summer Rain11. Last Night(CD追加曲)1976年リリース。 ノー・リーズン・トゥ・クライ [ エリック・クラプトン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月24日
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ストーンズ絶頂期、自前レーベルからの1枚目 ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の絶頂期は、『ベガーズ・バンケット』(1968年)から『メイン・ストリートのならず者』(1972年)と言われたりする。これら2枚のアルバムの間に発表された作品の中には、『レット・イット・ブリード』と今回取り上げる『スティッキー・フィンガーズ(Sticky Fingers)』が含まれる。これら4作に『アフターマス』(1966年)を加えると、ストーンズの最高作5つということになるというのが、筆者の個人的な見たてである。 絶頂期のまま1970年代に突入したストーンズは、デッカとの契約を終了し、自前のレーベル(ローリング・ストーンズ・レコード)から最初のスタジオ作となるこの『スティッキー・フィンガーズ』をリリースした。全体としては、これまでのサウンドを押し進め、スワンプ・ロックあるいはサザン・ロック的な要素をより多く盛り込んだ作風になっている。セールス面では、見事に全米・全英ともに1位を記録した。 本盤に収録された中で最も有名で人気曲と言えば、1.「ブラウン・シュガー」だろう。先行シングルとしてリリースされ、シングル・チャートでは、イギリスで2位、アメリカで1位を記録した。一方、筆者にとって本盤のベスト曲は2.「スウェイ」。アメリカでシングル発売された3.「ワイルド・ホース」(これもたしかに好曲)のB面曲でもあったが、ややおとなしいこの曲を食ってしまうほどの渋さと迫力が同居するナンバーだと思う。 8.「シスター・モーフィン」は、ミック・ジャガーが恋人のマリアンヌ・フェイスフルのためにプロデュースしたが、発禁処分となり、ストーンズの前作(『レット・イット・ブリード』)への収録も見送られていた。そんな曲の初出というわけだが、表題の“モーフィン”はモルヒネの意味。歌詞も“シスター・モルヒネ”に“カズン・コカイン”というのは、確かにヤバイ曲とされてもやむを得ないというところだろう。9.「デッド・フラワーズ」もなかなか気に入っている曲なのだが、最後に、10.「ムーンライト・マイル」の方について触れておきたい。本作の中でいちばん最後にできあがった曲で、キース・リチャーズ作の「ジャパニーズ・シング(日本の事柄)」という仮題の曲を元にミック・ジャガーとミック・テイラーが徹夜のセッションで仕上げたという。旅の道中であるという雰囲気は分かるが、日本らしいかというと確かにそんなことはないので、表題がこのように落ち着いたということだろうか。[収録曲]1. Brown Sugar 2. Sway3. Wild Horses4. Can't You Hear Me Knocking5. You Gotta Move6. Bitch7. I Got the Blues8. Sister Morphine 9. Dead Flowers 10. Moonlight Mile 1971年リリース。 スティッキー・フィンガーズ [ ザ・ローリング・ストーンズ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年05月20日
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1980年代の活動の集大成的な秀逸ライヴ盤 トム・ウェイツ(Tom Waits)は、1973年のデビュー以来、アサイラム・レコードと契約していたが、1980年代に入って、実験的な音作りを実践しようとレーベルを移籍し、アイランド・レコード所属となった。アイランドでは、いわゆる三部作(『ソードフィッシュトロンボーン』、『レイン・ドッグ』、『フランクス・ワイルド・イヤーズ』)などを吹き込んだが、ちょうどこの時期に相当する1980年代の活動の集大成的なライヴ・アルバムとなったのが、1988年の本盤『ビッグ・タイム(Big Time)』であり、同名のドキュメンタリー映画も制作された。 本作は、トム・ウェイツのライヴ盤としては2作目ということにはなるのだけれど、最初のライヴ盤『娼婦たちの晩餐』は、スタジオに観客を入れてのライヴ演奏という変則的なライヴ盤だった。そのため、本当の意味でのライヴ演奏盤は、本作が初ということになる。収録された音源は、『フランクス・ワイルド・イヤーズ』のリリースに伴う、ヨーロッパとアメリカでのツアーのもので、1987年のロサンゼルスやダブリン、ベルリン、ストックホルムなどでのライヴ・テイクである。 本盤を一言で表すならば、“とにかく圧倒的”である。1980年代当時のトム・ウェイツの勢いや制作意欲がそのままライヴで再現されている。アルバム作品で、ある種の統一感やコンセプトのある演奏を聴くのもいいのだけれど、本盤はもう少し広範囲にこの時期の彼の到達点とういか立ち位置をそのままストレートにライヴで表現していて、そしてその出来が秀逸というものである。 全編をあたかも一つのライヴのように効くのがお勧めではあるが、敢えて聴きどころと言えそうな曲をいくつかピックアップしてみたい。1.「シックスティーン・シェルズ」は、“こんばんは(Good Evening)”という掛け声から始まり、ライヴの開始を告げる好演奏。奇をてらった演奏の一方で、案外じっくり聴かせる演奏があるというのも本盤のよさで、そういう意味では、4.「コールド・コールド・グラウンド」なんかは、推奨曲と言える。同じく“聴かせる”ナンバーとしては、8.「フォーリン・ダウン」も個人的には好みである。 本盤が素晴らしいと思う点として、アルバムを通して聴いたとき、後半から終盤に向けて盛り上がりが高まっていく点だと感じる。無論、複数のライヴ会場の音源を組み合わせているので、実際のライヴ会場の盛り上がりとは異なるはずなのだけれど、そういう雰囲気がきちんと感じられる。11.「レイン・ドッグ」、12.「トレイン・ソング」(これは何とも言えないトム・ウェイツの名曲の一つ)、13.「イリノイ州ジョーンズバーグの町の歌」あたりの流れは、本当にライヴに居合わせているかのような気分を味あわせてくれる。15.「イスタンブールからの電話」や16.「クラップ・ハンズ」の盛り上がりがあった後、最終的に名バラードの18.「タイム」で全体を締めくくる(ちゃんと最後に“サンキュー、グッド・ナイト”と挨拶をしている)というのも、ライヴ感たっぷりと言える。 今となって振り返れば、1980年代のトム・ウェイツは実に充実していた。そして、その充実ぶりをリアルに感じさせてくれるのが、このライヴ盤『ビッグ・タイム』だと言えるように思う。[収録曲]1. 16 Shells from a 30.062. Red Shoes3. Underground4. Cold Cold Ground5. Straight to the Top6. Yesterday Is Here7. Way Down in the Hole8. Falling Down9. Strange Weather10. Big Black Mariah11. Rain Dogs12. Train Song13. Johnsburg, Illinois14. Ruby's Arms15. Telephone Call from Istanbul16. Clap Hands17. Gun Street Girl18. Time1988年リリース。 [枚数限定][限定盤]ビッグ・タイム/トム・ウェイツ[SHM-CD][紙ジャケット]【返品種別A】 【国内盤CD】トム・ウェイツ / ビッグ・タイム ビッグ・タイム [ トム・ウェイツ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月16日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その1) 久々に80年代曲選をお届けしたいと思います。2020年3月(新型コロナ感染が広まり始めた頃ですね)以来、およそ2年ぶりの80年代曲選、第12集となります。全10回の予定ですので、よろしくお付き合いください。 最初のナンバーは、ビリー・ジョエル(Billy Joel)の「アップタウン・ガール(Uptown Girl)」です。1983年発表の『イノセント・マン』からの第2弾シングルとしてシングル発売され、全米ビルボード3位のヒットとなりました。 この曲のライヴでの演奏もご覧いただこうと思います。ウクライナ侵略で何かと取り沙汰される昨今のロシアですが、1987年、ビリー・ジョエルが崩壊前のソ連邦で行ったライヴの様子です。 ある種、閉じられた世界だったソヴィエト連邦の国民で、このコンサートで外部世界に触れた当時の若者(当時25歳だったなら今は60歳といった具合ですね)は、今起こっている状況、ロシア国内での情報のあり方に、果たして何を思うのでしょうか。[収録アルバム]Billy Joel / An Innocent Man(1983年) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月20日
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1980年代に向けてバンドの行先の模索 フォガット(Foghat, フォグハット=“霧の帽子”の意)は、1970年代初頭にサヴォイ・ブラウンから分派したバンドで、ブルース・ロックからハード・ブギーへと進む道を切り開いていった。1980年代に入るあたりからは、メンバーの交代や音楽性の模索で停滞期を迎え、挙句の果てには、分裂して双方がフォガットを名乗る事態まで起こった(後に改めて再結成にこぎつけている)。 1980年にリリースされた『タイト・シューズ(Tight Shoes)』は、そんなバンド停滞期の入口での模索を示す盤と言えるように思う。全体としては、その当時、隆盛にあったニューウェーヴへの歩み寄りが顕著である。ジャケットもそのような志向を如実に反映していて、靴(赤いバッシュ)、蛍光色、バンド名は従来のロゴではない表示は、これまでの彼らのジャケットにはなかった趣である。そのようなわけで、コアなファンからは否定的評価も受けてしまうことがある。とはいえ、個人的には、フォガットというバンドの歴史の中でどうかは横においておけば、この当時の音楽シーンの中での単独作品として見れば、なるほどな仕上がりの作品だったと評価できるように思う。 全体的に、ブルース・ロックを控え、ロッド・プライスのギターも抑えめで、デイヴ・ぺヴァレット(ロンサム・デイヴ)中心のポップ・ロック調というのが本盤の中核となっている。曲作りも、ギターソロも意図的にこうした目標を定めた作品を目指しているように見受けられる。曲作りはもともとデイヴが主に担っていたものの、本作では8曲すべてがデイヴのペンによる。ギターに関しては、この音楽的志向はロッド・プライスにとって不満の種となったのだろう(実際、本作をもって彼はバンドを脱退した)。 さて、ポップな収録曲のいくつかに目を向けておきたい。冒頭の1.「ストレンジャー・イン・マイ・ホーム・タウン」は、シングル・カットされたナンバーで、上で述べたような本盤の特徴を如実に示す曲である。バンドが得意とするブギー・ロックを基調としてポップ風なアレンジを加えたと言えそうなナンバーも散見される。3.「フル・タイム・ラヴァ―」はそのよくできた例である。5.「トゥー・レイト・ザ・ヒーロー」もそうした例の一つ。少々奇を衒い過ぎのエフェクトなんかも見られるけれど、なかなかキャッチーに仕上がっている。8.「ノー・ハード・フィーリングス」は、フォガットの作風からするとかなり新傾向と言えそうな曲調のナンバー。デイヴの曲作りのよさが際立っている。[収録曲]1. Stranger in My Home Town2. Loose Ends3. Full Time Lover4. Baby I Can Change Your Mind5. Too Late the Hero6. Dead End Street7. Be My Woman8. No Hard Feelings1980年リリース。 ↓本盤を含む廉価版オリジナル・アルバム集↓ 輸入盤 FOGHAT / ORIGINAL ALBUM SERIES [5CD] ↓LP盤です↓ 【輸入盤LPレコード】Foghat / Tight Shoes(フォガット) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月17日
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