やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2004年06月01日
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カテゴリ: 読書感想
基礎医学の学者の立場からの示唆に富んだ読書日記エッセイ集。
「涼しい脳味噌」「続・涼しい脳味噌」のシリーズ第三作目。

豊富な知識に裏付けられた奥深い読書日記、しかも私の殆ど知らない本ばかり取り上げられている。
ちょっと私には読みきれないのではないかと最初思った。

だが、面白かった。
汲んでも汲み尽くせない知識、思惟、情報の量、ぐんぐん惹きつけられた。
私はエッセイにあまりロマンを感じないので、どちらかといえば避ける。
でもこのエッセイはもし避けていたら、惜しかっただろう。

ひとつひとつの章にうなずいたり、考えたり、興深く読んだ。



『面白いと思うが、ほんとうには役に立たない。そういう本が、ときどきある。自分とほとんど意見が一致

する。そういう本がそれである。著者の言うことが、こちらによくわかるので、参考にならない。「違和感によって学ぶ」ことができない。』

と養老孟司さんは書いていらっしゃるが、なるほど、作家の思想が気に入るかいらないかが読み進めていくのに決め手だが、気に入るのばかりでは思考が停滞する。

『自分が少数意見だと思っているときには、同じ意見の本はありがたい。百万の味方を得た思いがある。』

のだが、

『しかし、意見が一致したからといって、それが正しいとはかぎらない。二人して間違っただけ。そういう可能性も高い。』

でもそれが心地いいのだが、つまりこの養老孟司さんのエッセイは私と意見が一致してしまい、「違和感によって学ぶ」のが出来ないということか。

養老孟司さんはミステリも一年に100冊もお読みになるそうでこの本にも多々取り上げてあり、ミステリ好きも一致してしまった感。

「臨床読書日記」の「臨床」とは『個々の患者さんに教科書的な原理を適用してみるという意味』教科書とは「唯脳論」などの専門の御著書だそうである。さすが脳の、解剖学の学者さんである。

だからところどころに脳の話がちりばめられている。
私は「知識・情報・意識=脳=言語」という式が頭に浮かんだ次第。


また関連してなんとなく、脳の中で「情報」の分子が電気的に着いたり離れたりして「記憶・知識」を作り出すということを書いた、カール・セーガン「コスモス」を思い出してしまったのだ。



「臨床読書日記」養老孟司(文春文庫)





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最終更新日  2004年06月02日 00時01分03秒
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なるほど・・・。  
初めまして。
でも、自分と意見が対立する著者の本は読みにくいですよね。たいてい僕は中途で読むのを止めてしまいます。やっぱり、独善的なのかなぁ・・・。 (2004年06月03日 23時52分50秒)

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