>はじめまして。

いらっしゃいませ。こんにちわ。(あれ、どこかで聞いたような…)

>私もこの本は気になる本のリストに入っています。読んでみたい本の一冊です。ハードカバーなので買うのに少しためらっていましたが、感想をお読みして是非買ってみようと思いました。

そうおっしゃっていただくと、すごく嬉しいものです。あえてすじは書きませんでしたが(書きたいのですが興ざめですもの)展開はおもしろいです! (2005年05月22日 09時36分57秒)

やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2005年05月21日
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カテゴリ: 読書感想
魂萌え !



夫に庇護されつけていた妻は、世の荒波にもまれる。
強風ににもてあそばれる木の葉のように。

といっても葬式詐欺にあったわけでも、事務的手続きにもたついたのでもない。
悲しみに打ちひしがれて病気になったのでもない。

突然逝った夫の過去が押し寄せる。
目の中に入れても痛くない可愛い子供たちが叛乱する。
まわりの人たちの同情、対応の変化が戸惑う。

想像を絶するは、事象でななく心の在りようをいうのだ。


連れ合いが亡くなるということはある年代になれば遭遇するだろう。
しかし、耳学問で知っていたつもりだが、経験してみなけれ想像もつかない世界なのである。

『確かに、以前の自分は頑固な人間だった。頑迷といっていい。自分に必要ないと思い込んだら、興味もないし、理解しようともしなかった。それも何の根拠もなく。』(P210)

『数えだしたらキリがないほど、自分はいろんなものを失うことだろう。老いて得るものがあるとしたら、それ何なのか、知りたいものだ。』(P258)

『何、奥さんだけが恥ずかしい目に逢っている訳じゃない。皆、どろどろとした思いを抱え、それを思わず表に出してしまうから、恥を掻いてそれでも生きておるのです。でもね、恥に無縁で濃い人生なんて歩めませんよ』(結婚詐欺に遇った69歳の男性の言葉 P399)

どこにでもある話である。何処にでもない話である。
夫が急死したことによってあぶりだされた夫婦のかたちが問われる。

作者は主人公を掘り下げ、登場人物に会話させ、積み重ねる。
諦観ではなく、悟りでもなく、どんどんと行き着くところまで行くべしという姿勢を。



私としては異例中の異例。新刊も新刊書、即行の読了。面白し。

少々齟齬もある、繁子の性格の整合性がおかしいところもある。もう少し突っ込んで欲しいというか、深く探ってもらいたかったテーマでもある。次作品、期待!





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最終更新日  2005年05月21日 15時58分29秒
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■コメント

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早い!  
ケー16  さん
桐野夏生の最新刊ですよね。
わたしも気になってましたが、もう、読まれたんですね。
もしかしてかなりハマっちゃってます?(笑)
桐野さんの新作、また濃そうですね・・・
(2005年05月21日 16時22分05秒)

人気BLOGRANK  
blog@majide.org さん
こんにちわ★
あなたのサイトをランキングに参加しませんか?
ランキングに参加すると見てくれる人が今以上に増えますのでお得です(^^)/
ではこれからも頑張って下さい☆

http://blog.majide.org/anime/ (2005年05月21日 16時27分09秒)

Re:「魂萌え!」桐野夏生(毎日新聞社)(05/21)  
パティP  さん
わぁお!
今までにない桐野の切り口だなと思ったら最新刊でしたか!
今作はなんだか身近ですね、読んでみたいです。 (2005年05月21日 21時24分40秒)

Re:「魂萌え!」桐野夏生(毎日新聞社)(05/21)  
tuitel  さん
避けて通りたい話ですが、そうもいかん。
職場でも、新採用より定年前の人に心が近い。
うーん。年を取ること、まー誰でも初めての経験だから。 (2005年05月22日 01時44分57秒)

ケー16さんへ Re:早い!(05/21)  
ばあチャル  さん
>もしかしてかなりハマっちゃってます?(笑)

お察しの通り!
昨日も「アイムソーリー、ママ」と「残虐記」をブックオフで500円均一だったので購入しちゃいました。

>桐野さんの新作、また濃そうですね・・・

ほんと、独特のものがあります。今回は逃げたくなるほどでもない?!

平凡な人生を送っていた女性が、ある意味で濃密な時を過ごす、桐野さんのテーマでもありますね。 (2005年05月22日 06時02分17秒)

パティPさんへ Re[1]:「魂萌え!」桐野夏生(毎日新聞社)(05/21)  
ばあチャル  さん
>今作はなんだか身近ですね、読んでみたいです。

おっしゃるように、切り口が違いますね。私など、ものすごく身につまされました。知りたくない人もいるかもしれません。避けて通れないのにね! (2005年05月22日 06時07分57秒)

tuitelさんへ Re[1]:「魂萌え!」桐野夏生(毎日新聞社)(05/21)  
ばあチャル  さん
>避けて通りたい話ですが、そうもいかん。
>職場でも、新採用より定年前の人に心が近い。
>うーん。年を取ること、まー誰でも初めての経験だから。

誰でも行く道なのだけれど桐野さんの手にかかると確かに恐い。でも、この小説の筋は面白いと思いますよ。 (2005年05月22日 06時15分47秒)

Re:「魂萌え!」桐野夏生(毎日新聞社)(05/21)  
はじめまして。
私もこの本は気になる本のリストに入っています。読んでみたい本の一冊です。ハードカバーなので買うのに少しためらっていましたが、感想をお読みして是非買ってみようと思いました。 (2005年05月22日 06時27分14秒)

ケイプコッドさんへ Re[1]:「魂萌え!」桐野夏生(毎日新聞社)(05/21)  
ばあチャル  さん

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