やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2014年02月10日
XML
カテゴリ: 読書メモ
『告訴せず』松本清張


何を注文してもいまひとつ、こうもおいしくないのかな~

いい場所なのに、褪めた暖簾、埃の積もったような盛り付け見本
そしてやるきのなさそうな(失礼)おかみさん、亭主

そんなしがない駅前大衆食堂の亭主が主人公の男木谷省吾46歳
その地方の国会議員の義弟(妻の妹の夫)に出してもらった店
義弟に頭があがらないので、選挙でもいいように使い走りさせられ
食堂経営も妻の言いなり、ことあるごとにあなどられ小さくなっている

「愚直なのだ。それだから女房にばかにされてきている。大井(義弟)は口先では兄貴、兄貴と言っているが、自分の小使いとしか思っていない。大井の妻も、兄さんとは言っているが、便利屋か下男ぐらいにしか考えていない。春子(妻)はその妹の真似をして、亭主を顎で指図し、亭主が何か言えば鼻の先であしらっていた。」(本文より)

がんじがらめの屈辱的状況を脱出しようと手を出した「悪」は

逃避行の末、哀れな結末と思いきや、意外!小豆相場で大儲けして金持ちになる
が...そうはならないのが松本清張

と、おもしろく読んだのだが
現状から「逃げ出す」ということ、人間
いつの時代も、どのような場面でも魅力がある変化ですな
「逃げ出す」と言っていけなければ「方向転換」「前向きの努力」

しかし、思い通りにならないのが人生
この小説にも占い、神頼みの描写が入っているが
そんなものでも頼りにしなければならない、はかない人生よ~~







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014年02月10日 08時57分30秒
コメント(4) | コメントを書く
[読書メモ] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:最後に笑う「悪」は「悪どい」(02/10)  
alex99  さん
なるほど

【逃げ出す】は
清張文学のテーマかも知れませんね

エーリッヒ・フロムの
「自由からの逃走」
と言う本があり
私は、昔読みかけてそのままですが

逃げる場合
「~から逃げる」
何かから、逃げる
訳ですよね

人間は、
何かを求めて
何かに前進しながら
生きているつもりだが

実際は
「逃げている」のかも

----


このごろ
なんの拍子か(失礼)
ばあチャルさんが
がぜんアクティブになって
書かれる内容も非常に鋭角的

その調子でお願いします

われわれ
数少ない生き残りなんで(笑)


(2014年02月10日 10時10分44秒)

Re[1]:最後に笑う「悪」は「悪どい」(02/10)  
ばあチャル  さん
alex99さん

>なるほど

>【逃げ出す】は
>清張文学のテーマかも知れませんね

むかし清張は「怨念の作家」なんて言われましたが、よく読み込めば怨みではありませんね、恨みでもない
人間性の観察、哲学的な思索があると思います

>エーリッヒ・フロムの
>「自由からの逃走」
>と言う本があり
>私は、昔読みかけてそのままですが

>逃げる場合
>「~から逃げる」
>何かから、逃げる
>訳ですよね

>人間は、
>何かを求めて
>何かに前進しながら
>生きているつもりだが

>実際は
>「逃げている」のかも

「自由からの逃走」!
究極の逃走ですね
実際、自由に束縛されているということはありますよ

例えば老後なんて「健康と経済」の条件つきだが
許される限り自由なのです
でも、なんと先のないこと、脱力しますね
永遠はないんです、自由もいらない(くはない 笑)

>このごろ
>なんの拍子か(失礼)
>ばあチャルさんが
>がぜんアクティブになって
>書かれる内容も非常に鋭角的

>その調子でお願いします

>われわれ
>数少ない生き残りなんで(笑)

へへへ、そう、生き残りです

読書サイトも仲間どうしであれ読んだこれ読んだ、何ページ読んだというお手軽もあるのですが
この形式で始めてしまった過去のブログに愛着が湧き、やめられないなら積極的にやろうと思っています
永遠にというわけにはいきませんがね (2014年02月10日 13時42分20秒)

Re:最後に笑う「悪」は「悪どい」(02/10)  
alex99  さん
>小さな駅の駅前食堂、きっとどこでも


いい場所なのに、褪めた暖簾、埃の積もったような盛り付け見本
そしてやるきのなさそうな(失礼)おかみさん、亭主

そんなしがない駅前大衆食堂の亭主が
---

こう言う舞台立て
いかにも清張で、うれしくなってきますね

そうして
例えば

こう言う、しがない男が
思いがけなく、ある若い女にもてたりして
あがらいがたい運命に巻き込まれる(笑)

典型的な、清張の筋書きです(笑)





(2014年02月10日 20時31分31秒)

Re[1]:最後に笑う「悪」は「悪どい」(02/10)  
ばあチャル  さん
alex99さん

>いい場所なのに、褪めた暖簾、埃の積もったような盛り付け見本
>そしてやるきのなさそうな(失礼)おかみさん、亭主

>そんなしがない駅前大衆食堂の亭主が
>---

>こう言う舞台立て
>いかにも清張で、うれしくなってきますね

>そうして
>例えば

>こう言う、しがない男が
>思いがけなく、ある若い女にもてたりして
>あがらいがたい運命に巻き込まれる(笑)

>典型的な、清張の筋書きです(笑)

-----

ふふ、こういう好きな作家の持ち味などをなぞって悦にいるブログならではですね

ま、好きなことを語って「どーだ、こーだ」いうのも脳がまだ活動している証拠と思いましょう

(2014年02月11日 08時21分15秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

ばあチャル

ばあチャル

コメント新着

ばあチャル @ Re[3]:白内障手術(06/11) todo23さんへ メガネの話題でもりあがる…
todo23@ Re[2]:白内障手術(06/11) ばあチャルさんへ 会社にいる頃は遠近両用…
ばあチャル @ Re[1]:白内障手術(06/11) todo23さんへ 「近く」を選択すると読書…
todo23@ Re:白内障手術(06/11) ばあチャルさんは「近く」を選択したので…
ばあチャル @ Re[1]:年賀状じまい(01/07) オーキリさんへ お互い元気で何よりです…

お気に入りブログ

恋愛成就スポット巡礼 New! ひよこ7444さん

【釧路メガソーラー… New! tckyn3707さん

週刊 読書案内 金… New! シマクマ君さん

馬上少年を過ぐ:司… New! 天地 はるなさん

政策の人と政局の人 七詩さん

小林よしのり氏「戦… alex99さん

フリーページ

耽溺作家の作品群


山本周五郎の世界


清張ワールド


クリスティの手のひら


時代物の神様正太郎


宝石箱


子供の頃の読書


作家別読了記録【あ】行


【あ】 日本文学


【ア】 外国文学


【い】 日本文学


【イ】 外国文学


【う】 日本文学


【ウ】 外国文学


【え】 日本文学


【エ】 外国文学


【お】 日本文学


【オ】 外国文学


作家別読了記録【か】行


【か】 日本文学


【カ】 外国文学


【き】 日本文学


【キ】 外国文学


【く】 日本文学


【ク】 外国文学


【け】 日本文学


【ケ】 外国文学


【こ】 日本文学


【コ】 外国文学


作家別読了記録【さ】行


【さ】 日本文学


【サ】 外国文学


【し】 日本文学


【シ】 外国文学


【す】 日本文学


【ス】 外国文学


【せ】 日本文学


【セ】 外国文学


【そ】 日本文学


【ソ】 外国文学


【た】行


【た】 日本文学


【タ】 外国文学


【ち】 日本文学


【チ】 外国文学


【つ】 日本文学


【ツ】 外国文学


【て】 日本文学


【テ】 外国文学


【と】 日本文学


【ト】 外国文学


【な】行


【な】 日本文学


【に】 日本文学


【ぬ】 日本文学


【の】 日本文学


【ノ】 外国文学


【は】行


【は】 日本文学


【ハ】 外国文学


【ひ】 日本文学


【ヒ】 外国文学


【ふ】 日本文学


【フ】 外国文学


【へ】 外国文学


【ほ】 日本文学


【ホ】 外国文学


【ま】行


【ま】 日本文学


【マ】 外国文学


【み】 日本文学


【ミ】 外国文学


【む】 日本文学


【メ】 外国文学


【も】 日本文学


【モ】 外国文学


【や】行


【や】 日本文学


【ゆ】 日本文学


【ユ】 外国文学


【よ】 日本文学


【ら】行 【わ】行


【ラ】 外国文学


【り】 日本文学


【リ】 外国文学


【ル】【レ】【ロ】 外国文学


【わ】 日本文学


【ワ】 外国文学


【共著】【マンガ・コミック】


「読みたい本・注目の本」記事録


『世界の「今」に迫る10冊』


吉屋信子『私の見た人』の昭和の作家


ウェヴスター『あしながおじさん』に出てくる本


日本の作家(ちくま日本の文学全集収録)


昭和の作家(1962年 朝日新聞記事より)


映画鑑賞会


2024年


2025年


カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: