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2021年08月16日

『はぐれ烏』（日暮し同心　始末帖　1）辻堂魁

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テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24154)

カテゴリ：読書メモ

優れた、読み継がれる時代小説は、その書かれた時代にシンクロ・フィットすると思っています。同時代に影響された思想や、ありたい世の中への希望や、そこはかとない懐かしみを盛り合わせて創造するのです。

　山本周五郎の生真面目な剛直とまで言える精神（戦後復興期）、池波正太郎の洒脱さにくるまれた暖かい人間観察（高度経済成長期）、藤沢周平の哀愁こもった深い情緒（安定成長期）が今までのわたしをとらえました。

　辻堂魁さんはまた、異なった方向から時代小説に切り取ってくれます。

　北町奉行所平同心日暮さんの「事件簿」ではないのです。「始末帖」なのです。でてくる事件はありふれています、けれども事件を単に解決することだけではなく、収めどころが憎いのです。「悪いことは悪いばかりじゃない」「法に反しているがお目こぼしがあっていい」大げさに言えば多様性のように思えます。今の時代にとても必要なことですね。

　3話収録してあるのですが、「序」の章もありましてそれが「親のしつけ」ですよ、現代における耳に痛い話じゃないですか、１話２話がそう。

　（いまのところ）シリーズ7巻まであるので、いろいろの提起があるのではないかと思っております。

　余談ですが、事件の舞台として江戸の町名が、うるさいくらい詳しく出てきます（よく調べてあります）。そりゃそうでしょう、江戸時代は歩くのが当たり前なんですから、人物が動けば、この町からあの町までとなる。

　今では東京の街はすっかり郵便住所表示になってしまいましたけど、昭和時代、旧町名で成長したわたしなどにはとても、とても懐かしいものです。そういうところでも時代物はいいですね。

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最終更新日 2021年08月16日 13時03分29秒
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■コメント

Re:『はぐれ烏』（日暮し同心　始末帖　1）辻堂魁(08/16)

alex99 さん

＞山本周五郎の生真面目な剛直とまで言える精神（戦後復興期）

藤沢周平の哀愁こもった深い情緒（安定成長期）
ーーーー
実に的確ですね
ばあチャルさんは、読書力に加えて
言語化能力が高い

読書ブログだけでなく
ブログとは、言語化能力そのものだと思います

ただ
言語化能力に感心するブログは多く無い

ブログは文学ではないので
ブログの文章に芸術性は求められていませんが
的確な文章力は重要

夏目漱石「夢十話」での
運慶の木材からの仏像の削り出しのよなもので

文章力次第で
その人の思想性を削り出すものですね

となると
これからは
書き散らしではいけなくなる(笑)
面倒だな(笑)

(2021年08月18日 17時12分53秒)

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Re[1]:『はぐれ烏』（日暮し同心　始末帖　1）辻堂魁(08/16)

ばあチャルさん

alex99さんへ

ありがとうございます

なんだか面映ゆいですが
応援してくださっていると思いまして

ブログ歴も長くなりますと
表し方も変化してきます
また、alexさんもよく書いていらっしゃいますが
ブログって何だろうという問いも浮かんできます

誰に頼まれたわけではない
無駄なような、でもないと淋しい
けど、めんどくさいこともある

やめようか
好きな本を読んでいればいいだけじゃないか
でも、何かに書いておかなければ
どんどん忘れていく

今したことを忘れることも多くなった
やはりおっくうでも
読後のまとめは頭を使って
少しは活性化に役立つだろうと

こういうわけで
自分に強いている日もあります
(2021年08月19日 10時29分39秒)

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