ビストロフの橋

ビストロフの橋

October 20, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 「違う! それを振らせちゃダメだ!!」直後、室内に竜巻が起こった。一瞬にして店中の箱の山が崩れ、杖が飛び出して散らばった。
 「だめだ。いかん-この杖じゃない」オリバンダー翁は散らばった杖や崩れた箱にはお構いなしに、次に振らせる杖のことを考えているようだった。
 「あの・・・」かなりためらいながら、ウィルはオリバンダー翁に声を掛けた。
 銀色のオリバンダー翁の目が、ウィルを捕え、翁はなにか探るような表情を浮かべている。
 「おまえさんじゃったな? さっき違う、と叫んだのは。おまえさんなら、この娘さんにどの杖を勧めるかね?」翁の口調は柔らかかったが目は鋭い眼光を放ちながらウィルの顔を凝視していた。
 「えっと・・・」ウィルが翁に声を掛けたのは、まさにそれを言いたかったからなのでウィルは急いでさっき目にした杖を探した。
 杖はすぐに見つかった。女の子の足下に重なって落ちている箱の下にある。なぜそれが判るのかウィルにも解からなかったが、女の子にそう伝えた。
 女の子は素直に箱をどかし、下にあった杖を拾い上げると、今度はさっきよりも慎重に振り上げ、ゆっくりと振り下ろした。
 再び、室内に風が吹いた。それでも今度は竜巻でも突風でもない、春の日差しを受けた暖かいそよ風のような風だった。一緒に黄色い花弁のような光が踊っている。「ブラボー!」ウィルの横でオリバンダー翁が叫んだ。

 老人は女の子の杖、『一角獣のたてがみ、柊の木、十八センチ』を探し出した箱に戻し、茶色の紙で包みながら、ウィルに問いかけた。
 「ええ、いいですよ」何を手伝ってほしいのかは解からなかったが。(きっと散らばった杖を片づけるんだろう)ウィルはためらわずに答えた。魔法世界のことをもっと知りたいと思っていた。この世界に少しでも長くとどまっていたかったのだ。
 その後も何人かの客に、ウィルはこれと思った杖を渡し、その全てが一振りで決まった。色とりどりの光の玉や、火花が、狭い室内に広がる光景を、なんとも誇らしい気持ちで眺た。
 「おまえさんのおかげで、ずいぶん早く終わったな。・・・ところでじゃ、杖職人になる気はないかね?」
 最後の客に『二十二センチ、一角獣のたてがみ、柳の木。振りやすい』杖を渡した後、オリバンダー翁は淡い色の目でウィルを見つめ、唐突に聞いてきた。
 魔法世界があるってこと自体、今日知ったばかりのウィルは一瞬思考が停止した。ホグワーツでさえ未知のところなのに、さらにその先のことを考える余裕なんてなかった。
 「わしの爺様もな、おまえさんと同じように客を見た途端に合う杖が解かる人じゃった。名工の名を欲しいままにしたものじゃ。杖の気持ちが解かる、そう言っとったな。おまえさんも杖職人になれば、きっと名工になれるじゃろう」
 「・・・あの、今すぐ決めるってわけにはいかないですけど・・・興味はあります。仕事を手伝わせてもらっていいですか? ホグワーツが休みの時にでも?」
 「そうじゃ、そうじゃろうとも。ホグワーツに入学ができたんじゃからな、卒業までは待たねばの」
 オリバンダー翁はそう呟き、ウィルに時間があるときにはいつでも手伝いに来ていいと言った。ウィルは、とりあえず学校が始まるまで通うことを約束した。
 ウィルは自身にも杖を選んだ、『二十六センチ、一角獣のたてがみ、イチイの木。振りごたえがある』だった。振ると、杖先から青い光が波のように広がりながら出た。





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Last updated  October 20, 2005 09:43:41 AM
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