吟遊映人 【創作室 Y】

吟遊映人 【創作室 Y】

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

吟遊映人

吟遊映人

カレンダー

2013.02.10
XML
【マーシャル・ロー】
20130210

「私が騙されていたのね」
「金のせいだ。“資金で力が買える”とね。信念が力を生むんだ」
「テロに資金を出したわけね?」
「皮肉なもんだ」


この作品には度肝を抜いた。私はてっきりアメリカ同時多発テロをモデルにして製作されたと思っていたら、なんと公開は1998年だった!
テロが起きたのが2001年なので、この映画は完全なフィクションだったわけだ。
恥ずかしながら私はリアルタイムで『マーシャル・ロー』を見ておらず、遅ればせながら今ごろになって目を白黒させてしまった。

『マーシャル・ロー』の内容はこうだ。
サウジアラビアのアメリカ海兵隊駐留基地が、爆弾テロにあった。
アメリカを震撼させたその事件後、すぐさまクリントン大統領は記者会見を行う。
それを傍聴していたアメリカ陸軍のウィリアム・デヴロー将軍は、その会見内容を曲解したのか、ただちに行動に移す。
それは、テロの首謀者とされるシークを拉致することだった。
一方、ニューヨークのブルックリンで、白昼、路線バスが何者かにバス・ジャックされてしまう。

FBI特別捜査官アンソニー・ハバードは、人質を解放するようテロ犯に要求するが、それも虚しくバスは爆破されてしまう。
その後、ハバードは、テロ犯検挙に躍起になるのだが、ある女性が現場で爆弾に関する調査をしていることに気づく。
そこでハバードは、女性に尾行をつけ、よくよく調べたところ、女性はCIA諜報員で、アラブ系アメリカ人社会にコネクションを持っていることを知る。
こうして過激派のテロ行為を阻止するために、FBIとCIAがそれぞれに奔走し、そこにまたさらにアメリカ陸軍が動き出すのだった。

この作品では、アメリカ陸軍のデヴロー将軍役にブルース・ウィリスが扮している。ちょっとクセのありそうな軍人なのだが、こういう厳つい男たちによってニューヨークが物々しく占拠されたら、NY市民の安全と引き換えに自由が奪われてしまうと表現しているようだ。
つまり、テロ撲滅のために軍部の力を借りれば、その徹底的な手段により、過激派と関係あるなしにかかわらず、アラブ系の若者たちを完全に隔離し、外部との接触を禁じることで極端な緊張が生じてしまうわけだ。
このあたりの描写はとても説得力があり、国家に異常なまで傾いているブルース・ウィリスの右傾ぶりがよく表現されていたと思う。
また、主人公ハバード役のデンゼル・ワシントンに至っては、完璧の一言で、この役者さんはとても自分を冷静に観察している人だと思う。
立ち位置をわきまえた役者さんは、分相応のキャスティングを望み、それ以上もそれ以下も引き受けやしないのだろう。正に、デンゼル・ワシントンがその人だ。
終始一貫して演技に乱れがなく、誠実で好感の持てる演出だった。
最近、北アのイスラム教圏においてテロがあり、日本人技術者たちも何人か犠牲となる事件が起きてしまった。

この『マーシャル・ロー』を見ることで、世界に起きているテロ事件をさらに身近なものとして捉えるきっかけとなれば、この作品の意義はいっそう増す。
対岸の火事だと油断することなく、いつも危機感を持って世界を捉えることが必要なのだと、改めて痛感した。
老若男女問わず、一見の価値あり。

1998年(米)、2000年(日)公開
【監督】エドワード・ズウィック


20130124aisatsu





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013.02.10 06:29:51
コメント(0) | コメントを書く
[映画/サスペンス&スリラー] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: