吟遊映人 【創作室 Y】

吟遊映人 【創作室 Y】

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

吟遊映人

吟遊映人

カレンダー

2015.07.11
XML
【グランド・ブダペスト・ホテル】
20150711

「君はなぜロビーボーイになったのかね?」
「なぜって、、、誰もが憧れるグランド・ブダペストですよ、名門ですからね」
「実に結構」


見始めてからすぐに、まるで童話の世界へと引きずり込まれてしまったような感覚に陥った。
回想シーンはスクリーンが狭くなるのだが、回想シーンそのものが主なストーリーとなっているため、過去が過去ではなく、現在進行形として感じられるのが不思議だ。
主人公のホテル・コンシェルジュであるグスタヴ・Hに扮したのは、レイフ・ファインズである。
この役者さんは『ハリー・ポッター』シリーズの悪役として知られていると思うが、私個人としては 『愛を読むひと』
に出演していた時の印象の方が強い。
とはいえ、レイフ・ファインズのゴシップ記事を読むと、なかなかの好色のようで、スクリーン上のイメージとは違うことを今さらながら思い知らされる。
それぞれチョイ役だが、F・マーリー・エイブラハム、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジュード・ロウなど豪華キャストで固められていて、驚いてしまう。

ストーリーはこうだ。
ヨーロッパ某国の国民的作家が、過去のミステリアスな事件を語り始める。

かつての繁栄は薄れ、すっかりさびれてしまった。
そんな現在のホテルのオーナーであるゼロに対し、作家はこの上もなく好奇心を抱いた。
それを知ったゼロは、作家に、我が身に起こった人生を、ありのまま語り始めるのだった。
ゼロの回想によれば、1932年、ホテルにベルボーイとして雇われた時のこと。
当時は富裕層の客ばかりでグレードが高く、また、ホテル全体が活気で満ちていた。
さらに、伝説のコンシェルジュ・ムッシュ・グスタヴ・Hが、ゼロをことのほか愛してくれた。
究極の顧客満足を信条とするグスタヴは、マダムたちの夜のお相手も完璧にこなし、最高のおもてなしを提供することで定評があった。
ところがある日、長年懇意にしていたマダムDが、何者かによって殺されてしまう。
訃報を知ったグスタヴは、取るものも取りあえず、ゼロをつれてマダムDの自宅を訪れる。
そこでは弁護士からマダムDの遺言が発表されようとしていた。
なんとその内容は、貴重にして高額の絵画「りんごを持つ少年」をグスタヴに譲るというものだった。


内容は淡々としているわりにとてもコミカルで、退屈さを感じさせない仕上がりだ。
端的に言ってしまえば、最高の顧客満足を追求するコンシェルジュが、大切な得意客のために真犯人を捜す姿を、後にゼロの口を借りて作家に話し、さらにはその事件を後年、作家が執筆するという構成になっている。
ちょっとややこしいが、これはウェス・アンダーソン監督の愛嬌であり、テクニックでもある。
一見コミカルなのに、実はノスタルジーなまでの過去の記憶がテーマとなっている。
もっと突っ込んで言ってしまうと、どんな栄華も繁栄も永遠にはありえないし、必ず滅びる、という『平家物語』における序文を彷彿とさせる。

豪華キャストの顔ぶれを楽しむだけでも、一見の価値あり。

2014年公開
【監督】 ウェス・アンダーソン
【出演】レイフ・ファインズ、F・マーリー・エイブラハム、エイドリアン・ブロディ


20130124aisatsu





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.07.11 05:56:46
コメント(0) | コメントを書く
[映画/サスペンス&スリラー] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: