《櫻井ジャーナル》

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2010.03.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 インターネットの検閲を「怪しからん!」と一般の利用者たちが憤慨するのは当然のことだが、いわゆる「自己検閲」で権力犯罪から目を背けてきたマスコミ、また電子情報機関と緊密な関係にあると言われている巨大企業の発言だということになると事情は違ってくる。「他人を批判する前に自分たちの姿を鏡で見ろ!」ということだ。

 今では広く知られるようになったが、米英両国の電子情報機関、つまりNSAとGCHQは世界規模で通信を傍受するシステム、ECHELONを築いてきた。その始まりは第2次世界大戦が終わって間もない頃のことだ。

 1948年、アメリカとイギリスは秘密協定を結び、それに基づいてUKUSA(ユクザ)という連合体を創設している。この二カ国のほかに、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドというアングロ・サクソン系の三カ国(他の「参加国」は形だけ)もメンバー国とされているが、あくまでも中心はアメリカとイギリスであり、残りの国の機関はその管理下にある。

 エレクトロニクス技術が発達し、インテルサット衛星が打ち上げられた1970年代になると、監視システムも長足の進歩を遂げている。1974年にはNSAのデータベースに約7万5000名のアメリカ市民に関する情報が記録されていたのだが、その監視対象が全世界に拡大していく。

 このNSAが築き上げた監視システムで、最も重要な拠点のひとつがイギリスのメンウィズ・ヒルにある基地。この基地の存在と活動内容は1980年にイギリスの調査ジャーナリストのダンカン・キャンベルが暴露している。キャンベルはその前からUKUSAの監視システムの存在を報告しているのだが、日本のマスコミは無視していた。(監視システムの詳細に興味があるならば、月刊「軍事研究」の2001年2月号に掲載された拙稿か、2005年に三一書房から出版された拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を参照ください)

 アメリカなどの情報機関は暗号ソフトに「秘密のカギ」を忍ばせ、情報の収集と分析を行うシステムにトラップドアを組み込んで全世界に販売してネットワークを広げてきた。それだけでなく、PROMISやTIA、あるいはMATRIXと名づけられたシステムは、個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの記録、投薬の記録、通信記録、運転免許に関するデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関するデータ、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードの記録などを記録している。日本のNシステムと類似のシステムによって、自動車での移動も監視されるはずだ。日本で導入された住基ネットがこうしたシステムのベースになる可能性は高い。

 さらに、大手のソフト会社は政府機関の要求を受け入れ、インターネットや電子メール関連のソフトウェアのセキュリティ・レベルを下げている。個別のケースでは、ロータスのノート・システムにトラップドアが組み込まれていることをスウェーデン政府が発見、マイクロソフトのオペレーティング・システム(OS)、Windowsのセキュリティ機能をコントロールするソフトウェアに複数のカギが存在していることも発見され、少なくともひとつはNSAが侵入するためのものではないかと疑われている。

 ちなみに、PROMISが開発されて間もない1979年と80年に法務総合研究所は「研究部資料」でこのシステムを取り上げているが、開発したINSLAWと交渉したのは敷田稔(後の名古屋高検検事長)であり、当時、アメリカの日本大使館で一等書記官を務めていた人物が原田明夫(後の検事総長)である。

 原田は法務省刑事局長の時代に「組織的犯罪対策法(盗聴法)」の法制化を進め、また検察の裏金の実態を暴露しようとした三井環を逮捕させ、スキャンダルを封印したとされている。裏金の話は、古川利明著『日本の裏金(上、下)』(第三書館、2007年)に詳しい。





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最終更新日  2010.03.26 00:25:54


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