《櫻井ジャーナル》

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2013.04.29
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 シリアの反政府軍がアル・カイダと結びついていることは、2年前に戦闘が始まった直後から指摘されていた。ここにきて「西側」のメディア、 ニューヨーク・タイムズ紙

 昨年5月、ホムスのホウラ地区で虐殺があった際、反政府軍や「西側」は政府軍が実行したと宣伝したが、事実との間に矛盾点が多く、すぐに嘘だとばれてしまう。そのホウラを調査した東方カトリックの修道院長も反政府軍のサラフ主義者や外国人傭兵が実行したと報告、その内容は ローマ教皇庁の通信社 が伝えた。ドイツの フランクフルター・アルゲマイネ紙 も、キリスト教徒やスンニ派の国会議員の家族が犠牲になっていると伝えた。

 ちなみに、サラフ主義(サラフィーヤ)とはサラフ(イスラム初期の時代)を理想として掲げるイスラム改革運動で、その中にサウジアラビアの国教、ワッハーブ主義も含まれている。

 その修道院長によると、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」と語っていた。また、現地で宗教活動を続けてきたキリスト教の聖職者、 マザー・アグネス・マリアム も外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。つまり、「西側」のメディアは嘘をついているということ。

 最近、イギリス、フランス、ネオコン(アメリカの親イスラエル派)が直接的な軍事介入を叫び始めた理由は、「サラフィ主義者や外国人傭兵」がシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒せないことに焦りを感じているからにほかならない。シリア人から見れば2年にわたる戦闘は軍事侵攻にほかならず、同調する人が少ないのだろう。



 狂信的な宗教勢力が台頭してくることを「西側」が予想していなかったとは言えない。調査ジャーナリストの シーモア・ハーシュ はジョージ・W・ブッシュ政権時代の2007年に発表した記事で、シリアやイランをターゲットにしたアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの秘密工作について書いている。しかも、その手先としてスンニ派の武装グループ(アル・カイダも含まれる)を使うとしていた。現在の状況は、予定通りということだ。欧米の支配層とアル・カイダが対立しているとは言えない。

 アル・カイダの歴史は、1970年代にズビグネフ・ブレジンスキーがアフガニスタンで始めた秘密プロジェクトから始まる。ブレジンスキーはCIA人脈に属すと言われている人物だが、そのブレジンスキーとデイビッド・ロックフェラーに目をつけられ、大統領に選ばれたのがジミー・カーター。カーター政権でブレジンスキーは大統領補佐官に就任するが、恐らく、実際の力関係はブレジンスキーが上。(カーター大統領はイスラエル/イスラエル・ロビーからは嫌われていた。)

 その当時、アメリカはイスラエルと同様、王制のイランと同盟関係を結んでいた。そのイランの情報機関だったSAVAKの協力を得て、1978年にCIAはアフガニスタンのモハメド・ダウド政権を支配下に置き、左派と見なされた人を粛清していく。

 そうした強権政治への反撃で成立したのがモハメド・タラキ政権。今度は、この政権に対する反撃で治安は悪化し、旧体制の指導者たち約2万7000名が処刑されたと言われている。

 そして1979年4月、ブレジンスキーが主導する形で反タラキのゲリラ戦を計画する。5月にはCIAイスタンブール支局長がパキスタンの情報機関ISIのアドバイスでアフガニスタンのリーダーたちと会談、指導者として選ばれたのが麻薬業者のグルブディン・ヘクマチアルだ。

 この後、CIAはイスラム武装勢力を組織、訓練、武器/兵器を提供するようになる。そうした武装勢力の中からアル・カイダも生まれた。ソ連の機甲部隊がアフガニスタンへ侵攻してきたのは1979年12月。「秘密工作はすばらしいアイデアだった」と後にブレジンスキーは答えている。アフガニスタンでの工作にはサウジアラビアも参加していた。

 いわば、アメリカの支配層とアル・カイダは親子関係。リビアやシリアでの体制転覆工作で、この関係は今でも壊れていないことが確認された。





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最終更新日  2013.04.30 02:31:28


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