《櫻井ジャーナル》

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2013.04.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 沖縄で独立論を唱える人が増えているらしい。歴史を振り返ると、独立を主張するのは当然なわけで、むしろ歴史を忘れたこれまでが不自然だった。

 沖縄/琉球は17世紀から島津氏の植民地的な存在になった。中国(明/清)との交易で栄えていたことに目をつけ、侵略したのである。そのため、利益を生む仕組み、冊封関係は維持されて形式上は独立国家として存在した。沖縄/琉球が名実ともに日本の支配下に入るのは「明治王朝」が行った「琉球処分」の結果であり、これが日本の東アジア侵略の出発点になった。

 第2次世界大戦で日本が敗北した段階で、独立の道を選ぶことが沖縄にとって自然の道だったが、実際は天皇とウォール街の取引材料に使われただけで終わる。平和条約/安保条約が発効すると、アメリカは沖縄を基地化しはじめ、ラテン・アメリカへの棄民も推進された。

 こうした日米の支配を受け、豊かだった沖縄/琉球には貧困が蔓延していく。その象徴的な現象が売春婦の増加。竹中労によると、1960年代の後半には2、3万人に達していたという。当時、沖縄の女性人口は約50万人。しかも、ある島の商工会議所などは、遊郭をつくって賭博場をひらくという計画を立てていたようだ。

 売春は貧困と深い関係があるわけだが、例えば、ボリス・エリツィン時代のロシアではクレムリンと結びついた一部の人間が不公正な取り引きで巨万の富を手にする一方、庶民は貧困化、売春婦が増大したと言われている。エリツィン時代のロシアは「新自由主義経済」を推進していたが、その先輩にあたるイギリスでも似たような現象が起こっている。

 イギリスの インディペンデント紙 によると、学費を稼ぐために女子学生へ「思慮深い交際」を紹介する「ビジネス」が存在している。こうした「ビジネス」は蔓延しているようだ。庶民が教育を受けようとするならば、体を売らなければならない現実がイギリスにはある。男性ならどうするか・・・。ともかく、それがマーガレット・サッチャーの残した遺産のひとつ。

 昔、日本では売春の世界を「苦界」と表現していた。貧困は庶民を苦界へ突き落とすのだ。TPPが導入されれば、日本も同じような状況になる可能性がある。(スケベじじいが溢れる支配層はそれを願っているかもしれないが。)

 第2次世界大戦の終盤、沖縄では凄惨な地上戦が展開された。1944年10月にアメリカ軍は沖縄に大規模な空襲を行い、翌年の3月には慶良間列島に上陸、7月に沖縄作戦の終了を宣言しているが、その後も局地的な戦闘は続いたと伝えられている。



 本ブログでは何度か書いたことだが、1923年の関東大震災を切っ掛けにして、日本はJPモルガンを中心とするアメリカ金融資本の影響下に入った。(アングロサクソンということになると、幕末からということになる。)復興資金の調達をこの巨大金融資本に頼ったことが大きい。

 この日米関係のキーパーソンがジョセフ・グルーと大正(嘉仁)天皇の妻、貞明皇后(九条節子)。このふたりは、ジョセフの妻、アリス・ペリー・グルーを介してつながっていた。1921年11月に裕仁親王(後の昭和天皇)が20歳で摂政に就任するが、影響力の点では貞明皇后の方が上だっただろう。関東大震災は摂政就任から3年後ということになる。つまり、昭和天皇は20歳代のころからJPモルガン(ウォール街)とコネクションができあがっていた。

 当時、JPモルガンの総帥はジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアだったが、ジョセフ・グルーはその親戚。戦後、ウォール街は日本支配を強化してくるが、その中心的な存在がジャパン・ロビーであり、彼らの活動拠点がACJ(アメリカ対日協議会)。その中心にいたのがグルーだ。その背後ではウォール街の代理人、ジョン・フォスター・ダレスが暗躍していた。

 こうした経緯があるため、敗戦後、昭和(裕仁)天皇はアメリカよりもコミュニストを恐怖している。そして1947年9月、アメリカ軍の沖縄占領が「25年から50年、あるいはそれ以上にわたる長期の貸与というフィクション」のもとで継続されることを望むという天皇のメッセージが出てくる。(豊下楢彦著『昭和天皇・マッカーサー会見』岩波現代文庫)

 こうした交渉を経て、1952年4月28日に「日本国との平和条約」と「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」は発効した。この日、日本が主権を回復したと安倍晋三首相は言う。

 日本の支配層にとって、沖縄はアメリカへの貢ぎ物であり、そのひとつの結果が苦界。そうした状況を作り上げたという点で、日本とアメリカは同罪である。1972年5月に「施政権」がアメリカから日本へ「返還」されたというが、これは占領者間の取り引きにすぎない。「返還」の前、屋良朝苗たちが展開した「祖国復帰運動」は根本的に間違っていたのではないだろうか?

 すでに、沖縄はアメリカ軍にとっての重要度は低下しているが、東アジアの主要都市を結ぶ扇の要の位置に沖縄が存在している事実に変化はない。アメリカ軍が引き上げれば、東アジアにおける人や物資の移動でハブとして機能できるだろう。そうなれば、観光客も増えるはずだ。今、沖縄は本来の姿を取り戻そうとしている。





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最終更新日  2013.05.01 11:04:15


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