《櫻井ジャーナル》

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2013.09.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 戦争の目的はカネ儲けである。耕作地を占領する、資源を奪う、より直接的に財宝を略奪する、20世紀には賠償金を得る、最近ではカネ儲けしやすい環境に作り替えるということもある。アメリカ海兵隊のスメドリー・バトラー少将は戦争を押し込み強盗になぞらえているが、その通りだろう。「政治の継続」などという「御上品」なものではない。集団的自衛権とは強盗団の下っ端になるということ。

 21世紀に入り、アメリカはアフガニスタン、イラク、リビアを先制攻撃、シリアに対しても傭兵を使って体制転覆を目指し、軍事介入している。勿論、軍事力を行使すればコストが財政にのしかかり、様々なリスクもあるが、それ以上のメリットがあるから侵略するわけだ。支配層のメリットには、イスラエルの戦略、エネルギー資源の利権問題、戦争ビジネスの思惑などがある。

 千葉大学の酒井啓子教授が言うように「シリアは今の米国にとって、多大なコストをかけて軍事介入するに足りない存在」(朝日新聞、9月26日付)ではあるが、イスラエル/ネオコン、イギリス、トルコ、サウジアラビア、カタールといった国々の場合は違う。こうした国々にアメリカの支配ステムは操られている。

 本ブログでは何度か書いたことだが、リビアやシリアの体制を最も熱心に転覆させようとしてきた国はイギリス。今年6月にフランスのテレビ局LCPが放送した番組の中で ロランド・デュマ元外相は、シリアで戦乱が始まる前、イギリスの高官からシリアに反政府軍を侵攻させる準備をしているという話を聞いたと証言 している。その理由は、シリアがイスラエルと同調しないことにあるという。

 イスラエルの マイケル・オーレン駐米大使もシリアに対するイスラエルの姿勢を明確に語っている 。エルサレム・ポスト紙のインタビューで、イスラエルは最初からシリアの体制転覆を望み、アル・カイダを支援してシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒そうとしてきたと言明したというのだ。

 このオーレン発言には、「西側」メディアのタブーがふたつ含まれている。ひとつはイスラエルがシリアの体制転覆を当初から目論んでいたということ、もうひとつはイスラエルがアル・カイダと同じ側に立っているということだ。

 イスラエルや親イスラエル派のネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセインを排除しようとしていた。そもそもフセインはCIAが権力の座に据えた人物であり、アメリカ支配層のうち非ネオコン派にとってフセインは自分たちの手駒だった。1970年代の半ばから台頭したネオコンが中東の権力バランスも崩すことになったとも言えるだろう。



 このビジョンは支配層の内部でも問題になったようで封印されるのだが、2000年にネオコンのシンクタンクPNACが「米国防の再構築」という報告書で浮上させた。この報告書の戦略の執筆者はジョージ・W・ブッシュ政権で要職に就き、実際の政策に反映させていった。

 これも繰り返し書いてきたことだが、2001年の9月11日に世界貿易センターへ航空機突入し、国防総省本部庁舎が攻撃されると、ネオコン政権はアル・カイダがやったと断定し、アフガニスタンを先制攻撃、それから間もなくしてアル・カイダとは関係なく、 イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃する計画 を作成している。

 2000年代の半ばになると ジョージ・W・ブッシュ政権は反シリア政府派に対する支援を開始 、2007年までに アメリカ、サウジアラビア、イスラエルはシリアやイランをターゲットにした秘密工作を開始 したという。こうした流れとオーレン駐米イスラエル大使の発言は矛盾しない。

 エネルギー資源の問題にはふたつの要素がある。既存の資源を輸送するパイプラインの建設問題と地中海の東部で発見されたエネルギー資源の問題だ。

 現在、最も注目されているパイプラインは、イラン南部の天然ガスをイラク、シリア、レバノンを経由してヨーロッパへ運ぶというもの。2011年7月にイラン、イラク、シリアは契約に署名したと発表している。イラクとシリアとの間には原油を運ぶクルクーク・バニアス・パイプラインもあるが、これは2003年にアメリカ軍が破壊している。

 その一方、天然ガスの供給国として有名なカタールは2009年にトルコとパイプラインの建設に関する話し合いを始めていた。サウジアラビアが自国領の使用を拒否したので、イラクとシリアを経由することになる。

 ところが、シリアは2011年にイランから天然ガスを運ぶパイプラインの建設を選択する。ムスリム同胞団を使い、カタールやトルコがシリアの体制転覆を図っている大きな要因はここにあると見られている。スンニ派のサウジアラビアとしても、シーア派が支配的な位置を占めているイラン、イラク、シリアがパイプラインで結びつくことを嫌っている。

地中海の東側に膨大な量の天然ガスや石油が存在している

 今回は長くなりすぎたので詳しくは書かないが、軍需産業や傭兵会社、さらに監視ビジネスやプロパガンダを担当する広告産業が戦争によって潤うことも間違いない。この広告産業が1990年代から「戦争を売る」ために使っているフレーズが「人道」であり、それを具体化するために今回は「化学兵器」を持ち出している。

 8月21日に 反シリア政府軍が化学兵器を発射する場面だとする映像 がインターネット上で流れている。この説明が正しいかどうかは不明だが、大型ミサイルを反政府軍が発射することは可能だということは示していると言えるだろう。





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最終更新日  2013.09.27 02:08:20


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