《櫻井ジャーナル》

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2022.01.07
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 日本の岸田文雄首相とオーストラリアのスコット・モリソン首相は1月6日、「円滑化協定」に署名したという。これによって、自衛隊とオーストラリア軍は相手の国と事前に話し合うことなく入国して軍事演習を行えるようになった。

 「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動」を利用して国全体を刑務所化したと言われいるオーストラリアは昨年9月、アメリカやイギリスと軍事同盟AUKUSを創設したと発表した。それと同時にアメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられている。事実上、アメリカの核攻撃力を高めることになるだろう。

 一方、6月28日に防衛副大臣だった中山泰秀はネオコン系シンクタンクのハドソン研究所で講演、中国とロシアの脅威を強調、7月には2021年版の​ 防衛白書 ​が閣議で報告されたが、その中で「台湾をめぐる情勢の安定」が日本の「安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要」だと主張されている。

 アメリカが中国やロシアとの軍事的な緊張を高めている中、安倍晋三元首相は台湾のシンクタンク「国策研究院」が主催したフォーラムに参加、​ 台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある ​と12月に発言している。「ひとつの中国」という建前を否定したわけだ。

 この安倍は総理大臣だった2015年6月、赤坂にある赤坂飯店で開かれた懇親会で「​ 安保法制は、南シナ海の中国が相手なの ​」と口にしたと伝えられている。

 日本とオーストラリアが軍事的なつながりを強めたということは、日本がAUKUSにつながることを意味する。そのAUKUSをロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長は中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと指摘している。少なくともロシアや中国はそう見ている。そのAUKUSと日本は結びついたのだ。

 19世紀以来、日本はアメリカやイギリスの手先となってきた。日本列島は大陸を侵略するための拠点であり、日本人は事実上の傭兵だ。この構図は今も続いている。

 イギリスは1840年から42年にかけて中国(清)に戦争を仕掛けた。アヘン戦争だ。1856年から60年にかけても同じ構図の戦争、第2次アヘン戦争(アロー戦争)が行われている。イギリスはインド産のアヘンを中国へ売りつけようとしたのだが、この時、アメリカはトルコ産のアヘンを中国へ売りつけて大儲けしている。つまり、イギリスとアメリカは麻薬取引のライバルだった。

 アヘン戦争で勝ったイギリスだが、内陸部を占領するだけの戦力がない。そこで彼らは日本に目をつけた。

 アメリカやイギリスの私的権力は明治維新以来、日本に大きな影響を及ぼしてきた。イギリスの外交官として日本にいたアーネスト・サトウやアメリカの駐日公使だったチャールズ・デロングや厦門の領事だったチャールズ・ルジャンドルたちはいずれも日本に大陸を攻撃させたがっていた。

 ルジャンドルはアメリカへ戻る途中に日本へ立ち寄り、デロングと大陸侵略について話し合う。デロングは日本の外務省に対してルジャンドルを顧問として雇うように推薦、ルジャンドルは1872年12月にアメリカ領事を辞任して外務卿だった副島種臣の顧問になり、台湾への派兵を勧めた。その直前、1872年9月に明治政府は「琉球藩」をでっちあげて琉球を併合、74年5月に台湾へ軍事侵攻した。

 1875年9月に明治政府は李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、「日朝修好条規」を結ばせて清国の宗主権を否定させることに成功、さらに無関税特権を認めさせ、釜山、仁川、元山を開港させている。

 朝鮮では1894年に甲午農民戦争(東学党の乱)が起こり、体制が揺らぐ。それを見た日本政府は「邦人保護」を名目にして軍隊を派遣、その一方で朝鮮政府の依頼で清も軍隊を出して日清戦争につながる。

 当時、朝鮮では高宗の父にあたる興宣大院君と高宗の妻だった閔妃と対立、主導権は閔妃の一族が握っていた。閔妃がロシアとつながることを恐れた日本政府は1895年に日本の官憲と「大陸浪人」を使って宮廷を襲撃して閔妃を含む女性3名を殺害、その際に性的な陵辱を加えたとされている。その中心にいた三浦梧楼公使はその後、枢密院顧問や宮中顧問官という要職についた。

 日本は1902年にイギリスと同盟協約を締結、04年2月に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃して日露戦争が始まる。その際、日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフだ。

 1905年5月にロシアのバルチック艦隊は「日本海海戦」で日本海軍に敗北するが、戦争が長引くと日本は持たない。そこで登場してくるのが「棍棒外交」のセオドア・ルーズベルト米大統領。講和勧告を出したのだ。9月に講和条約が調印され、日本の大陸における基盤ができた。

 講和条約が結ばれた2カ月後、桂太郎首相はアメリカで「鉄道王」と呼ばれていたエドワード・ハリマンと満鉄の共同経営に合意したのだが、ポーツマス会議で日本全権を務めた小村寿太郎はこの合意に反対し、覚書は破棄されている。アメリカの私的権力は中国への侵略を本格化させるつもりだったのだろうが、小村によって阻止された形だ。

 それに対し、アメリカ側の意向に従って動いていたのが金子堅太郎。金子は小村と同じようにハーバード大学で法律を学んでいるが、彼らの2年後輩がセオドア・ルーズベルトだ。1890年に金子とルーズベルトはルーズベルトの自宅で合い、親しくなる。

 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語っていた。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びつくわけだ。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015)

 アメリカやイギリスの手先として日本は琉球と台湾を含む封鎖線を作り上げた。その南にあるフィリピンをアメリカは1898年に植民地化、その際に住民を虐殺している。アメリカにとって、このフィリピンも大陸を侵略する拠点であり、独立を容認しない。

 アメリカは中国やロシアを経済や軍事で恫喝、屈服させようとしているが、中国もロシアも屈服しない。恫喝をエスカレートさせれば軍事的な緊張は高まり、どこかの時点で戦争が勃発する可能性がある。そうなれば、日本は戦争の最前線になり、廃墟と化すことは避けられない。原発が無傷でいられるとも思えない。






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最終更新日  2022.01.07 09:34:45


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