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中国の習近平国家主席が9月23日にアメリカのメリーランド州にあるアンドルーズ空軍基地に到着、ドナルド・トランプ大統領とメラニア夫人の出迎えを受けた。タラップからレッド・カーペットが敷かれ、そのカーペットの両側には儀仗兵が整列するという厚遇だった。その後に行われた両首脳の会談は中身がなかったが、トランプ大統領は習主席の歓心を買おうとしていたことは確かだ。 トランプ大統領は中国に対して関税攻撃を仕掛け、屈服させさせようとしたが、報復されて失敗に終わった。2024年12月に中国政府はアメリカに対するガリウム、ゲルマニウム、アンチモンの輸出を禁止、アメリカ軍はこうした重要原料を入手できなくなった。アメリカはレア・アースを中国に依存しているのだ。そこでトランプ大統領は2025年11月、習主席と貿易分野の休戦で合意した。アメリカ政府は中国政府と全面衝突することはできない。 アメリカのバラク・オバマ政権は2014年2月にキエフでネオ・ナチを利用してクーデターを実施、ロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスのパイプラインを断ち切った。さらにロシアからドイツへ天然ガスをバルト海経由で輸送する「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」は2022年9月26日から27日にかけての間に爆破された。 これでヨーロッパは安価なエネルギー資源の供給源を奪われたが、ロシアは中国を新たなマーケットにする。リスクの高い西アジアからの輸送を少なくしたい中国としては、隣国のロシアからエネルギー資源を入手できることは大きい。ロシアから中国への天然ガスや石油の輸送はパイプラインが利用され、アメリカ軍による妨害を受けにくい。 アメリカが中国と経済戦争を本格化させた場合、レア・アースを入手できないだけでなく、中国人エンジニアがアメリカからいなくなるという問題もある。公教育が崩壊しているアメリカでは生産現場の技術者を中国に頼っている。 アメリカをはじめ西側では1970年代からメディアやアカデミーの支配が推進され、言論統制の強化、洗脳も進められてきた。新自由主義も導入され、そのひとつの結果として庶民が学ぶ公教育のシステムが崩壊して知的レベルが低下したのだ。 その実態をアップルのスティーブ・ジョブスは2010年の秋にバラク・オバマ大統領に語っている。オバマから工場をアメリカで建設してほしいと頼まれたジョブスは拒否したのだ。 ジョブスによると、アップルは中国の工場で70万人の労働者を雇っているが、その工場を機能させるためには3万人のエンジニア必要。アメリカでそれだけのエンジニアを集めることはできないというのだ。アメリカで工場を作って欲しいなら、それだけのエンジニアを育てる教育システムが必要だというのだ。生産力が貧弱なら戦争にも勝てない。関税の操作だけで製造業を復活させることはできない。教育システムを立て直さねばならず、そのためには社会のあり方を変えねばならない。富を集中させる新自由主義を放棄しなければならないのだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.30
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ウクライナを舞台とした対ロシア戦争、西アジアの対イラン戦争、東アジアでの戦争準備、そしてCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)プロジェクト、いずれも中心にはパランティア・テクノロジーが存在している。2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって創設された。 パランティアの創設者はピーター・ティール(会長)とアレックス・カープ(CEO)を含む5名。ティールは決済サービス企業のPayPalを創業した人物で、ドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサー。緊急通報システムで知られるカービンの重役でもあるが、カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校だ。つまり同社はイスラエルの情報機関とも結びついている。 イギリスやアメリカを動かしてきた支配勢力は19世紀からユーラシア大陸周辺部を支配、内陸国を締め上げようとしてきた。イギリス、イスラエル、そして日本から台湾にかけては「不沈空母」として機能している。それに対抗してロシアはシベリア横断鉄道を建設、現在、中国は「一帯一路(BRI)」構想を進めている。 日本は明治維新後、米英金融資本の債務奴隷と化していた。その立場から脱することができたのは第2次世界大戦の後だが、その謎を解く鍵は中国を侵略している際に盗み出した財宝、「金の百合」にあると見られている。 ヨーロッパではナチ政権がヨーロッパの中央銀行へ押し入り、金塊を盗み出していた。この金塊回収作戦は1944年12月に開始された「セイフヘイブン作戦」だ。(Peter Dale Scott, “American War Machine”, Rowman & Littlefield, 2010) 大戦後、アメリカの支配層はイタリアの選挙へ介入したが、その工作資金としてナチ・ゴールドと金の百合が使われた。日本が盗んで財宝はイタリアへ運ばれ、バチカン銀行などにも保管されたとされている。この工作でもマフィアが協力していた。ロッキード事件ではこうした地下資金ネットワークの一端が浮上した。(Sterling & Peggy Seagrave, "Gold Warriors", Verso, 2003) ロッキード事件が浮上した3年後の1979年に「住銀調査レポート」は興味深い指摘をしている。日本では1970年代後半に国債発行額が急増しているのだが、その異常さを指摘している。多額の借金をした一方、「資金運用部には余裕資金残高が激増」という事態になっているというのである。 つまり1977年度の「国庫対民間収支は2兆4430億円の受超」で、78年度は「実質的に2兆円を上回る受超」だと推測しているのだ。そして「資金運用部の余資残高を推計すると、その規模は53年度(1978年度)末で約7兆円に達するものと見込まれる」としたうえで、「資金の効率的運用という観点から極めて不合理な事態といわざるをえない」と主張したのである。国債の発行に不可解な点があるということだ。財政赤字だから福祉を切り捨てるというシナリオに重大な疑惑があることを示唆しているのだが、日本を再び債務奴隷化しようとする動きが現れているようにも見える。 ところで、CIAはOSSを前身とするが、OSSはイギリスの対外情報機関MI6をモデルにして1942年6月に組織された。初代長官を務めたウィリアム・ドノバンはウォール街の弁護士で、巨大化学会社デュポンの顧問弁護士を務めていた。同僚弁護士の中にはアレン・ダレスもいて、このダレスをドノバンはOSSへ誘っている。ダレスはOSSの破壊工作部門で、イギリスのSOE(特殊作戦執行部)を模したSO(秘密工作部)を統括した。 MI6やSOEはイギリスの金融界と関係が深く、SOEの中にはジョン・ヘンリー・ケズウィックとウィリアム・ジョンストン・ケズウィック(トニー・ケズウィック)も所属している。アヘン戦争で大儲けしたジャーディン・マセソンのエージェントとして横浜へ来ていたウィリアム・ケズウィックはふたりの祖父にあたる。ジョン・ヘンリー・ケズウィックはイギリス女王ビクトリアの曾孫に当たるマウントバッテンの側近でもあった。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022) 要するにアメリカ、イギリス、イスラエルの情報機関は関係が深く、パランティアと結びついている。このグループが世界を戦乱で破壊しようとしている。ロシアでは9月18日から20日にかけて国家院(下院)選挙が実施されたが、ウラジミル・プーチン政権は選挙後、ウクライナでの戦争に関する交渉を再開する可能性があるとしていた。 ところが、投票期間中にウクライナは1600機以上のドローンでモスクワを攻撃、破壊された投票所、殺害された準州選挙管理委員会の委員長もいる。これで交渉再開の可能性は事実上、なくなった。この攻撃はCIAやMI6が主体となって実施されたと考えられている。ヨーロッパ諸国の指導者たちもロシアとの戦争へ突き進むと発言し続けている。 北西ヨーロッパ諸国はロシアや中国を征服し、その富を奪おうとして失敗した。そのまま諦めるわけにはいかないのだが、何がなんでも奪おうとしている。無理であろうと戦争へ突入するしかないのだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.29
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アメリカ政府は2014年2月にウクライナで対ロシア戦争を、また今年2月に西アジアで対イラン戦争を開始した。いずれも簡単に勝てると考えていたようだが、戦況はアメリカにとって悪い。敗北必至と言っても構わないだろう。 西側には「カタログ性能」で物事を考える人びとが少なくない。そうした人びとはアメリカが勝利すると今でも考えているようだが、ウクライナではロシア軍が圧倒に優勢で、イランとの戦争でもアメリカが勝つことは無理だろう。 こうした戦争をアメリカが始めた一因はパランティア・テクノロジーズのAIにある。この会社は2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって創設され、イスラエルの情報機関とも緊密な関係があり、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種でも同社が重要な役割を果たした。この「ワクチン」はアメリカ国防総省のプロジェクトだ。ウクライナを舞台とした対ロシア戦争はNATOが前面に出てきているが、主導しているのはCIAだと言える。 NATOは長距離ドローンやミサイルでロシア深奥部を攻撃しようとしてきたが、大半はロシアの防空システムに迎撃されている。9月19日からNATO/ウクライナ軍はドローでモスクワを攻撃、同市のセルゲイ・ソビャニン市長によると、1600機以上の攻撃ドローンが飛来したというが、石油精製所や住宅に到達し、損害を与えたのは十数機だ。 こうした攻撃の目標設定はNATOが設定し、ドローンやミサイルを誘導ていると言われているが、より具体的にいうならば、CIAだ。 ウクライナで戦争継続の機関車的な役割を果たしているウォロディミル・ゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問、その際、MI6の長官だったリチャード・ムーアを非公式に訪問している。 アメリカ海兵隊の元情報将校で、UNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが製作したドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官を務めていたリチャード・ムーアだと推測されている。 ロシア軍は2022年2月24日からウクライナに対する攻撃をはじめたが、その直後からトルコやイスラエルを仲介役として停戦交渉が始まり、ほぼ合意に達した。仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話している。 ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会った。SBUはその3月5日、キエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺している。 停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われ、やはり停戦でほぼ合意に達していた。その際に仮調印されているのだが、「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団が2023年6月17日にロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している。 それに対し、イギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、戦争を継続するようウォロディミル・ゼレンスキー大統領に命令、停戦合意は壊された。2022年4月9日のことだ。(ココやココ) この当時、イギリス政府やアメリカ政府はロシアが弱体であり、消耗させることが可能だと判断していた。そしてウクライナは合意から離脱した。NATOが戦争継続を目論んでいることを知ったウラジミル・プーチン大統領は2022年9月21日、部分的な動員を実施すると発表した。集められた兵士のうち約8万人はドンバス入りし、そのうち5万人は戦闘に参加、約32万人は訓練中だとされている。 その後、ロシアでは兵器の生産能力や性能が急速に高まり、NATO/ウクライナ軍はロシア軍に圧倒されている。それでも勝利を前提に賽を投げたヨーロッパの「エリート」は勝負から降りられない。ゼレンスキーもそうだが、降りたら破滅する可能性がある。NATOではすでに女性を兵士にする準備を始めている。 こうしたヨーロッパ諸国の動きを見て、ロシア政府はNATOとの戦争を覚悟しているが、地上部隊を軍事侵攻させるような戦法は取らないだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.28
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アメリカをはじめとする西側諸国はロシアや中国に対する経済戦争を仕掛けてきたが、中国は即座に報復措置をとり、アメリカ経済を窮地へと追い込み、ロシアは外国企業が所有するロシア法人16社を管理の対象にするため、大統領令第661号に署名している。 この大統領令の標的にはスイスを拠点とする大手食品メーカー、ネスレの子会社、フランスを拠点とするサプライチェーン・マネジメント・サービス企業、FMロジスティックの子会社が含まれている。ロシア政府が大統領令を出す前、アメリカの上院と下院は「2026年リンゼー・グラム対ロシア・イラン制裁法案」を可決していた。今回のロシア大統領令は、西側の「制裁」には対抗措置を講じると警告したと言える。 この法案によると、ロシア産石油や天然ガスを輸入または転売する国に対し、トランプ大統領は最大100%の追加関税を課すことが認められている。その制裁対象国には中国やインドも含まれるはずだが、そうなるとアメリカ経済も崩壊する。 アメリカでの報道によると、トランプ大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーに対し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談するためにモスクワへ行くよう求めたというが、この提案をゼレンスキーは拒否、ウクライナ軍はロシア軍に制圧された地域を奪還したと荒唐無稽な話をしている。 ヨーロッパを率いている人びとも対ロシア戦争で荒唐無稽な話を続けている。現在、そうした「指導者」たちが主張しているのは、ロシアがヨーロッパへの軍事侵攻しようとしているといったNATO創設時のような宣伝だ。 ウクライナを舞台としたNATOの対ロシア戦争は2014年2月のキエフにおけるクーデターから始まったのであり、その布石は1991年12月にソ連が消滅した直後から打たれている。NATOの東への拡大だ。これは時間をかけたバルバロッサ作戦であり、ウクライナへNATOが踏み込むことをロシアが受け入れるはずがなかった。ところがネオコンはロシアが受け入れるはずのない軍事侵攻を受け入れると考えていたのだ。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ウクライナの東部や南部の住民はネオ・ナチによるクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化する道を選び、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まったのだが、クーデター前に軍や治安機関に所属していた人びとの約7割は組織から離脱、その一部は反クーデター軍へ合流したと言われている。 反クーデター軍はクーデター軍より強く、NATO諸国はクーデター体制の戦力を増強しなければならなくなった。そのために時間稼ぎすることにして、ロシアと停戦で合意。それが2014年のミンスク1と15年のミンスク2だ。ロシアは合意を守ったがキエフの新体制は守らなかった。ロシアが停戦交渉に応じないのはそのためだ。 そして2022年2月にロシア軍はウクライナに対する攻撃を開始するのだが、その年の初めからウクライナ軍はドンバスに対する砲撃を激化させていた。のちに回収された文書からNATO/ウクライナ軍は2月中にドンバス攻撃の準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたという。ロシア軍はその出鼻を挫いたということだ。 西側には2022年2月のロシア軍による攻撃について、ウクライナ領の約60%を短期間に制圧するための「侵略戦争」を始めたのだと主張、その計画が予定通りに進まず、ヨーロッパ諸国の反撃で苦境に立っているとする人がいる。 こうした見方を一刀両断にしているのが元CIA分析官のラリー・ジョンソン。2022年2月にウクライナを攻撃し始めた当時、反クーデター軍とロシア軍の兵力は15万から19万人。アメリカ国防総省系のシンクタンクのRAND研究所に所属するジェームズ・クインリバンの研究によると、住民1000人あたり約20人の兵士が必要だとされている。人口4000万人を超える国で領土の60%を占領するためには数十万人の兵力が必要ということになる。当時、クーデター軍の兵力はその数倍だったと言われているが、その戦力さで反クーデター軍は優勢だったのは「ホーム」で戦っていたからだ。ロシア軍がウクライナ軍事侵攻したという筋書きには無理がある。 ちなみに、日本軍が中国に対する軍事侵攻を本格化した当時、中国の人口は約5億人。1937年当時の国民党軍は170万人、共産党軍は64万人で、アサせると234万人。一方、盧溝橋事件が勃発した1937年7月、中国に駐留していた日本軍は約60万人、1945年の段階でも110万人、傀儡国軍を合わせても200万人余り。必要な日本軍の兵力は1000万人ということになるだろう。つまり、日本の中国侵略は侵略前から失敗していた。 それでも中国に対する侵略戦争へ突入したのは作戦を立てた参謀が愚かだったのか、戦争に勝利する以外の目的があったのかだろう。 1937年7月の「盧溝橋事件」で日本と中国は全面戦争に突入、同年12月に日本軍は南京を制圧するが、その際に日本軍は虐殺事件を引き起こしている。この攻略戦を上海派遣軍の司令官として指揮したのは昭和天皇の叔父にあたる朝香宮鳩彦だ。 この攻略戦で日本軍は組織的な財宝略奪を始める。「金の百合」だ。この作戦を指揮したのは秩父宮雍仁、その補佐役は竹田宮恒徳。財宝は一旦フィリピンへ運び、そこから日本へ運ばれる仕組みが作られたのだが、途中で戦局が悪化して輸送が困難になり、相当部分がフィリピンに隠された。運び出しに成功した金塊は東京にあるスイス系銀行、マカオにあるポルトガル系銀行、あるいはチリやアルゼンチンの銀行に運び込まれたという。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003) 日本が降伏すると、アメリカ軍のエドワード・ランズデール大尉(当時)は1945年10月中旬、財宝の隠し場所を日本軍の捕虜から聞き出すことに成功する。当時、ランズデールはアメリカ軍のG2(情報部)に所属、そのトップはチャールズ・ウィロビー少将だが、本当の所属は情報機関OSSだった。 ロシアの場合、2022年2月の攻撃は「緊急事態」で、準備ができていなかった。侵略計画に従っての攻撃だったなら、あのような戦闘にはならなかったはずだ。 ロシア軍が攻撃を始めて間もない2022年3月上旬にウクライナ政府とロシア政府は停戦で合意していたのだが、これを壊したのがイギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンにほかならない。同年4月9日にキエフへ乗り込み(ココやココ)んで戦争を継続するようキエフ政権に命令した。 ロシア軍はドンバスとクリミアへの陸路を確保するために戦力を集中させ、5月のマリウポリ解放によってネオ・ナチを主体とする親衛隊が崩れ始める。一方、プーチン大統領は2022年9月に30万人の予備役動員を命じ、反撃を本格させる。2023年には45万2000人以上の男性が軍との契約に署名、24年には約45万人、25年には42万2000人以上がこれに続いた。ロシア軍は2022年秋の時点で長期戦を戦うと決断している。 ロシア軍の戦闘目的はウクライナの非軍事化と非ナチ化だ。ウクライナで親衛隊の主体になっているネオ・ナチをロシアが放置するとは考えられない。ロシア軍が長期戦を嫌っているというようなことはない。ウクライナで対ロシア戦争を、また西アジアで対イラン戦争を始めたネオコンは簡単に勝てると考えていたのだろうが、いずれも戦況は圧倒的に悪い。ロシアやイランとの戦争は簡単に勝てるという思い込みで始められたが、それは幻影に過ぎなかった。西側の「エリート」はその幻影にしがみついている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.27
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ロシアで9月18日から20日にかけて実施された国家院(下院)選挙の結果、与党の統一ロシアが議席を伸ばして勝利した。第2党は共産党、第3党はロシア自由民主党だった。怪しげな投票システムで選挙が行われているアメリカとは違い、国際監視団は「自由で公正な選挙だ」と証言している。 その選挙を妨害するため、19日からNATO/ウクライナ軍はドローでモスクワを攻撃、同市のセルゲイ・ソビャニン市長によると、1600機以上の攻撃ドローンが飛来、十数機が石油精製所や住宅に到達、損害を与えた。攻撃目標はNATOが設定、ドローンの誘導もNATOが行っている。それでも選挙は滞りなく終わった。 ウクライナを舞台にした戦争は2014年2月にバラク・オバマ政権がkキエフでネオ・ナチを利用したクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したところから始まった。欧米は「善」で「民主的」だと主張する西側の政府や大手メディアはこのクーデターを「民主革命」だと宣伝してきたが、ウクライナでの出来事をウォッチしている人なら、その話が事実に反していることは明白だろう。 このクーデターを主導したのがNATOの訓練を受けたネオ・ナチだったこともあり、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はクーデター体制を拒否、軍や治安機関の約7割が離脱、その一部は反クーデター軍へ合流したと言われている。 クーデター政権と反クーデター軍の戦いは後者が優勢だったことからNATO諸国は停戦をロシアに持ちかけ、戦力増強のために時間稼ぎをした。2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」だ。こうした停戦合意がキエフ政権の戦力を回復させるための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。ロシアが欧米諸国の停戦持ちかけに応じないのはそのためだ。 フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領はロシア深奥部への攻撃をキエフが実行しやするようにするっため、イーロン・マスクにスターリンク衛星インターネットのサービスエリア拡大を要請した。 クーデターの直後からCIAやFBIの要員がキエフ入りし、戦況が悪化するのに伴い、NATO諸国はドローンやミサイルを提供、戦闘員も入れてきた。そこでNATO要員の死亡が増えているようだ。つまりNATOは一般人を攻撃する準備をしている**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.26
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ロシアの次期国家院(連邦議会下院)議員を決める投票が9月18日から20日にかけて実施された。その最終日、20日にNATO/ウクライナ軍はモスクワをドローンで攻撃、モスクワ市長のセルゲイ・ソビャニンによると、1600機以上の攻撃ドローンが撃墜されたものの、十数機が石油精製所や住宅に到達、損害を与えた。本ブログでも繰り返し書いてきたように、こうした攻撃が可能なドローンはNATO諸国で製作され、攻撃目標はNATOが設定、ドローンの誘導もNATOが行っている。 投票が始まる直前の9月16日、アメリカ下院では、ロシア産の石油や天然ガスへの依存度を下げるために最大100%の関税を課す権限、そしてイランへの制裁を拡大する権限アメリカ大統領に認める「リンジー・O・グラハム対ロシア・イラン制裁法2026」が可決された。上院では先月、可決されている。 一方、ロシア軍はキエフやオデッサを含むウクライナ全域に対する激しい攻撃を継続している。オデッサなどウクライナ南部の港がロシア軍の攻撃で封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港も破壊、そしてキエフとワルシャワを結ぶ鉄道を攻撃して兵站線を断ち切ろうとしている。9月13日にはウクライナのヤヒドネ駅にいた列車の機関車を破壊した。この駅はポーランドとの国境から約2キロメートルの地点にある。 地下に建設されたドローンの組み立て工場や司令部もロシア軍は攻撃するようになり、ネオ・ナチの戦闘員や外国人傭兵だけでなく、NATOの将校も戦死していると言われてきた。当初、NATO関連の施設や将兵をロシア軍は攻撃していなかったが、今ではそうした制約がなくなっている。 死傷者が多い最前線へはウクライナの市民が十分な戦闘訓練を受けないまま送り込まれ、犠牲になってきた。元GUR総局長のキリロ・ブダノフ大統領府長官によると、ウクライナ軍の戦力を維持するためには少なくとも毎月3万人を動員しなければならない、つまりそれだけの兵士が離脱している。またポーランドのドナルド・トゥスク首相は同国の議会で、ウクライナ軍は毎月2万7000人の兵士を失っていると語った。こうした数字は少し前のもので、今の戦死ペースはもっと多いと見られている。2022年2月以降、ウクライナ軍の戦死者は200万人に達するという推測もある。 こうしたことからキエフの街中で若い男性を見かけなくなったというが、それを補うため、インドやパキスタンから移住させ始めたと伝えられている。 2014年2月にバラク・オバマ政権がキエフでクーデターを仕掛け、ロシアとウクライナを戦わせるという構図をアメリカやイギリスは作り上げることに成功した。スラブ人同士を戦わせ、共倒れにしようとしたのだろうが、ロシアは弱体化しなかった。それでもウクライナのスラブ人を減らすことには成功したわけだ。 イギリスは19世紀にアヘン戦争を中国(清)に対して仕掛けたが、内陸部を制圧することができなかった。それだけの陸軍をもっていなかったからだが、その後、イギリスは日本で明治維新を仕掛け、大陸を侵略するように導いた。日本人はいまだに「脱亜」教育から抜け出せず、戦争の準備を進めている。 1950年代から始まった沖縄の軍事基地化はアメリカ軍のソ連に対する先制核攻撃計画から始まり、そのソ連が1991年12月に消滅すると、その直後の2月にアメリカの国防総省はDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プロジェクトを作成した。 このプロジェクトにおける最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことにあるが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンになる準備、つまり中国と戦争する準備を急ピッチで進め、2024年3月には統合作戦司令部が創設された。これによって自衛隊はアメリカ軍と一体化したと見られている。 自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設し、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させたが、これはGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)によって中国包囲するというアメリカの戦略に基づいている。 ウクライナにおける対ロシア戦争や西アジアにおける対イラン戦争で欧米諸国は敗北、製造能力の低さも露呈した。そこで目をつけられているのが日本だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.21
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医療に関する意思決定における個人の権利と自律性を擁護するという目的で創設された「健康の自由を求めるアメリカ人」のマリー・ボウデンは、同志だったはずのロバート・ケネディ・ジュニアを厳しく批判、ケネディに質問状を送付、サイトに掲示していたが、削除された。 2024年の大統領選挙に出馬していたケネディは同年8月に出馬取り止めたころから「MAHA(アメリカを再び健康)」というスローガンが掲げ始られるようになった。そしてケネディはドナルド・トランプ政権の保健福祉長官に就任、2025年2月のトランプ大統領はケネディ長官を委員長とするMAHA委員会を設置した。 この委員会が医療利権や食品利権の問題を取り上げたことは否定できないが、最大の問題であるPREP法(公衆衛生上の緊急事態における対策準備・対応法)に基づく宣言を撤回しようとしないことから批判されている。 PREP法が宣言されると、CBRN(化学兵器、生物剤、放射性物質、核兵器)質に対抗するため、EUA(緊急使用許可)に基づいて使用が許可されたとき、その使用によって生じる可能性がある被害について誰も法的な責任を負わない。 医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワは公開された関連文書の分析から、COVID-19騒動を軍事作戦だと2022年初頭の段階で主張していた。彼女によると、2020年2月4日に保健福祉長官はCBRN緊急事態に関するふたつの宣言をしている。WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言したのは3月11日のことだ。EUAで大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用することを許可した。こうした軍事作戦を守っているのがPREP法だ。 1990年にアメリカで成立した「1989年生物兵器対テロ法」を起草したイリノイ大学のフランシス・ボイル教授も2020年1月にCOVID-19の生物兵器としての性質について警告。彼はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)と「mRNAワクチン」の接種はアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)が資金提供した攻撃的な生物兵器プログラムだったと主張。ウイルスのスパイクタンパク質そのものが兵器であり、LNPは血液脳関門を通過するように設計されていると説明していた。なお、ボイルは昨年1月30日、ビル・ゲイツを含むCOVID-19騒動の主要人物に対する証言に同意した直後に死亡した。 ロバート・ケネディ・ジュニアの背景を考える場合、彼の長男であるロバート・ケネディ3世の妻で「元CIAエージェント」のアマリリス・フォックス・ケネディが重要な役割を果たしている。 彼女は1999年、18歳の時に軟禁中だったミャンマーの指導者アウンサンスーチーとのインタビューをBBCのために実施、秘密裏に録音、短期間ながら収監されている。 アマリリス・フォックスは共にCIAのエージェントとして上海で活動、その時に知り合ったとされているが、詳細は不明。彼女は2014年に共通の友人を通じて「バーニングマン」でRFK3世と知り合い、18にふたりは結婚した。 彼女の父親は経済学者のホドソン・ソーンバーで、ソ連消滅後の略奪に関与、1990年代にはロンドンとモスクワを拠点とするルネサンス・キャピタルに勤務して旧ソ連諸国における略奪工作に従事した。ルネサンス・キャピタルはこうした計画において、ジョージ・ソロスと度々提携している。 彼女の母親が再婚した相手のスティーブン・レイルズは科学・バイオ製造・バイオテクノロジー分野を扱うダナハー・コーポレーションの共同創業者兼会長。2020年には「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」の「検査キットの製造についてFDA(アメリカ食品医薬品局)と契約した。レイルズはハリウッドの大物でもある。 アマリリスは2024年の大統領選挙キャンペーンでデニス・クシニッチ氏が退任した後、RFKジュニアの責任者に就任。2025年7月から26年5月まで国家情報副長官を務めている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.22
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アメリカの政界にイスラエル・ロビーが食い込んでいるように、日本の政界には宗教団体が食い込んでいる。高市早苗首相と統一教会(世界基督教統一神霊協会、現在は世界平和統一家庭連合)の関係も伝えられてきたが、その統一教会の背後には韓国やアメリカの情報機関が存在していることも忘れてはならない。 統一教会は1954年5月、文鮮明を含む5名によって設立され、57年に朴普煕など4名の韓国陸軍将校が入信、幹部として活動する。朴普煕は1950年に士官学校へ入り、朝鮮戦争を経験してからアメリカのフォート・デニングにある陸軍歩兵学校で訓練を受け、61年2月に駐米韓国大使館の陸軍武官補佐官に任命されてアメリカへ赴任。その年の5月に朴正煕少将らが軍事クーデターを成功させている。 入信した4名の将校と緊密な関係にあった金鐘泌は陸軍情報局に所属していた軍人で、1961年5月のクーデターに参加、62年10月にサンフランシスコで統一教会の幹部と秘密裏に会談、韓国における政治的な支援を教団側に約束したという。(Jeffrey M. Bale, “The Darkest Sides Of Politics, II,” Routledge, 2018) 統一教会が設立された1954年、台湾の蒋介石政権や韓国の情報機関によって、韓国でアジア人民反共連盟(後のアジア太平洋反共連盟/APACL)が創設され、日本からは児玉誉士夫や笹川良一が参加。日本支部を設置する際には岸信介が推進役になっている。 その一方、文鮮明の命令で日本における布教を命じられた崔奉春(西川勝)が1958年7月に日本へ密入国、逮捕されて有罪判決を受け、広島刑務所に収監された。1964年6月にも入国管理法違反容疑で警察に連行され、出入国管理局に移されるのだが、統一教会顧問を務めていた笹川良一の力で7月1に釈放されている。崔は一旦帰国、再入国が許可されたようだ。 APACLは1966年、東ヨーロッパ系親ファシストが組織したABN(反ボルシェビキ国家連合)と合体してWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になる。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) ABNは第2次世界大戦後の1946年4月まで反ボルシェビキ戦線と呼ばれていた団体。反ボルシェビキ戦線は1943年春、ウクライナのファシスト団体であるOUN-B(ウクライナ民族主義者機構-ステパン・バンデラ派)によって設立されている。 第2次世界大戦が勃発する直前、ウクライナにはヨーロッパで最大級のユダヤ人共同体が存在、その人数は約270万人に達していたと言われているのだが、1941年にドイツ軍がキエフを占領すると、ユダヤ人やロマを含む「望まざる者たち」約3万4000人がバビ・ヤール渓谷へ連行され、銃殺されている。大戦中、そこで殺された人数は最大10万人。この虐殺に現地のウクライナ人が協力したとも言われている。 OUN-Bのゲリラ部隊がUPA(ウクライナ反乱軍)。UPAはユダヤ人やポーランド人を虐殺する際、妊婦の腹を引き裂いて胎児や内蔵を取り出し、脅しのために灌木に引っかけるといったことをしたという。(Grzegorz Rossolinski-Liebe, “Stepan Bandera,” ibidem-Verlag, 2014) 1947年7月にインテルマリウム(中央ヨーロッパにカトリック帝国を建国しようとしていた)とABNは連合、9月にはポーランドのプロメテウス同盟も合流。翌年の後半、新装ABNはバンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコを中心として活動を始める。ステツコの背後にはイギリスの対外情報機関MI6が存在していた。 この人脈はKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)も組織、ヤロスラフ・ステツコが指揮するのだが、1986年に彼が死亡すると彼の妻であるスラバ・ステツコが引き継ぎ、2003年に死ぬまで率いることになる。1991年12月にソ連が消滅した後、彼女はミュンヘンからウクライナへ帰国していた。 KUNの指導者グループに所属していたひとりにワシル・イワニシンなるドロボビチ教育大学の教授がいたが、その教え子のひとりがウクライナでネオ・ナチを率いてきたドミトロ・ヤロシュにほかならない。イワニシンが2007年に死亡するとヤロシュが後継者になった。このタイミングでヤロシュはNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。 日本の政界は単に統一教会という単独の宗教団体と結びついているわけではない。その背後にはアメリカやイギリスの情報機関が存在、日本の政界はその世界戦略に基づいてい動いているのであり、台湾問題にもウクライナ問題にも関係している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.17
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アメリカ軍とイスラエル軍が2月28日にイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害、イランが報復攻撃した結果、ホルムズ海峡が航行が困難になり、原油だけでなく肥料を生産するために必要な尿素、アンモニア、リン酸2アンモニウム、硫黄の輸送が止まった。 9月10日にはイエメンのアンサール・アッラーがモカを制圧、さらにバブ・エル・マンデブ海峡の最も狭い場所にあるマイユーン島(ペリム島)を占領、そのほか「イエメン政府」が支配していた主要都市も陥落しているようだ。 西側が「イエメン政府」と呼んでいる集団はアデンを臨時の首都にしている大統領指導会議で、この政府のメンバーはサウジアラビアのリヤドにある高級ホテルを拠点にしている。事実上、アンサール・アッラーがイエメン政府だ。 サウジアラビアはイランが管理しているホルムズ海峡を避けるため、東西石油パイプラインでアラビア半島を横断して紅海に面したヤンブーへ運んでいたが、そのパイプラインが爆破された可能性がある。地球観測用大型衛星シリーズのセンチネル3が撮影した衛星画像を見ると、パイプラインの近くで全長100km近い黒煙の帯が確認でき、NASAの火災監視システムは複数の熱異常を報告している。石油の供給がこれまで以上に厳しくなりそうだ。 ドナルド・トランプ米大統領がサプライチェーンを破壊し、世界経済を混乱させたわけだが、その前、2014年2月にバラク・オバマ米大統領がキエフでネオ・ナチを使ってクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒し、ロシアからヨーロッパへ輸送されていた天然ガスの流れを止めた。 これでウクライナ経由のパイプラインはアメリカの管理下に入ったのだが、ロシアからドイツへ天然ガスをバルト海経由で輸送するルートも存在している。「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」だが、これらは2022年9月26日から27日にかけての間に爆破されてしまった。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表、イギリスが関与している疑いもある。 つまり、石油の供給を止めることはアメリカの一環した政策だと言えるだろう。アメリカはロシアや西アジアで生産されるエネルギー資源に依存していないため、自分たちには関係がないと考えたのかもしれないが、相場は世界に影響、アメリカも影響を免れない。 西アジア情勢はタンカーの輸送距離が長くなり、利用可能なタンカーが減少している。そこで一度に大量の石油を長距離運搬できる新造船への投資が増え、造船能力のある中国に利益をもたらしているという。 その中国は膨大な石油備蓄があるほか、外洋タンカーに依存しないパイプラインでの輸送システムを構築してきた。ウクライナにおけるクーデターでヨーロッパへ流れなくなった天然ガスは中国へ向かっている。 それに対し、日本政府はロシアとの関係を悪化させ、石油の供給をアメリカに頼っている。ところがそのアメリカの備蓄が底を突きそうであり、しかも中国が国外からの購入を再開し始めたとも言われている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.25
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ジョージ・W・ブッシュ米政権が2003年3月にイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を破壊した後、アメリカ軍の上層部は軍事ビジネスと結びついた軍人が幅を利かせるようになり、ヨーロッパではアメリカに従属する政治家の支配力が強まった。そして2014年2月、バラク・オバマ米政権はキエフでクーデターを成功させる。このクーデターを指揮したのはネオコンだが、政権における統括責任者と言われている人物はジョー・バイデン副大統領にほかならない。 現在、ヨーロッパでネオコンの政策を推進しているのはシオニストのキア・スターマー英首相、巨大金融機関ブラックロックで監査役を務めていたフリードリヒ・メルツ独首相、そしてロスチャイルド銀行出身のエマニュエル・マクロン仏大統領だ。ブラックロックは「闇の銀行」のひとつ。「闇の銀行」とは銀行のような規制は受けない巨大金融機関であり、メディアやシリコンバレーのハイテク企業を含むアメリカの主要500社の9割近くを支配、ウクライナにも利権を持っている。 いずれの政治家とも国内で批判の声が高まっているが、特にマクロン。彼のパートナーに関する疑惑が特に注目されている。そうした中、8週間の間にマクロンを批判していた著名な3名が変死したのだ。 そのひとりが共和党の議員だったオリビエ・マルレ。鉄道関連企業であるアルストムに関する疑惑などを追及していた。2014年にアルストムの電力送電部門がゼネラル・エレクトリックへ売却されたが、この取り引きにマクロンが関与、それはマクロンの秘密選挙資金に関係していたというのだ。 もうひとりは整形外科医のフランソワ・ファーブル。ジャーナリストのキャンディス・オーウェンズによると、マクロンのパートナーであるブリジットの整形手術をしたのはパトリック・ビュイだという。 ブリジットはパリのアメリカン病院で性別適合手術を受けたと主張していたパリ在住のフランソワ・フェーブル医師は6月29日、4階の窓から転落して死亡している。パリの検視官事務所によると、フェーブルの死因は自殺だが、彼の家族によると、フェーブはマイアミでの休暇を計画していた。 また、マクロンの政策を批判していたフランス軍情報部の元分析官、エリック・ドゥネセが6月9日に死亡した。2000年にはシンクタンク、CF2R(フランス情報研究センター)を設立していた。経済的な理由による自殺とされているが、家族や友人は強く疑っている。自殺するほど苦しい状況ではなかったというのだ。 ドゥネセが所属していたのがアングロ・サクソン系国の情報機関ではなかったということもあり、アメリカやイギリスを舞台とした出来事に関し、アングロ・サクソンの公式見解を否定する分析を公表していた。 ウクライナ大統領を名乗っているウォロディミル・ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関であるMI6のエージェントで、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はリチャード・ムーアMI6長官だと推測しているスコット・リッターが製作したドキュメンタリーにもドゥネセは登場している。リッターはアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めた人物だ。 ドゥネセは生前、ウクライナを舞台とした戦争についても発言している。ウクライナの内戦を引き起こし、ロシア軍の介入を誘発したのはアメリカのバラク・オバマ政権だが、ドゥネセはアメリカ政府を現実主義者だと主張、戦争にのめり込んでいるヨーロッパを見捨てると見通していた。そのアメリカを離脱させないように、戦乱を拡大させるように動いているのがイギリスの情報機関だ。イギリスの情報機関はアメリカの情報機関と連携し、アゼルバイジャンとアルメニアを新たなウクライナにしようと目論んでいる。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2025.08.09
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世界で最も売れている音楽アーティストのひとりだというエド・シーランというシンガー-ソングライターが窮地に陥っている。今年1月から「ループ・ツアー」を行なっているのだが、9月にサポーティング・アクトとして参加していたマックルモアが「パレスチナ解放」を訴え、それに怒った富豪のロバート・クラフトからの圧力でマックルモアが外されたのだ。 クラフトはアメリカン・フットボールNFLのニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー。彼だけでなく他のNFLチームのオーナーであるアーサー・ブランク、デビッド・テッパー、ジェフリー・ルーリーもマックルモアの発言を批判、彼がツアーに残るなら、ほかの会場での公演を中止させると伝えたという。 国を上回る権力を握っている富豪たちのネットワークにシーランは逆らえなかったのだろうが、ツアー仲間のアーロン・ロウ、フィニアス、ルーカス・グラハム、そしてアイルランドのバンドであるベオガが出演を取りやめ、ファンの中にはチケットの払い戻しを求める声が上がり始めた。シーランのキャリアにとって大きなダメージだ。 1948年5月14日に建国が宣言される前から、イスラエルによるパレスチナ人虐殺は続いている。当時からガザは「強制収容所」と表現されていた。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡、いわゆる「バルフォア宣言」をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。イギリスは1920年から48年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強めテいく。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立されたのだが、そのメンバーは殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。 そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起する。アラブ大反乱だ。1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。 シオニストはパレスチナから先住民を追い出し、イスラエルなる国を建てるため、1948年4月4日に「ダーレット作戦」を発動、ハガナに協力する形でテロ組織のイルグンとスターン・ギャングは9日にデイル・ヤシン村を襲撃、その直後に村へ入った国際赤十字のジャック・ド・レイニエールによると、村民254名が殺され、そのうち145名が女性で、そのうち35名は妊婦だった。 イギリスの高等弁務官を務めていたアラン・カニンガムはパレスチナに駐留していたイギリス軍のゴードン・マクミラン司令官に殺戮を止めさせるように命じたが、拒否されてしまう。ハガナもイルグンとスターン・ギャングを武装解除しようとはしない。(Alan Hart, “Zionism Volume One”, World Focus Publishing, 2005) この虐殺を見て多くのアラブ系住民は恐怖のために逃げ出し、約140万人いたパレスチナ人のうち5月だけで42万3000人がガザ地区やトランスヨルダン(現在のヨルダン)に移住、その後、1年間で難民は71万から73万人に達したと見られている。イスラエルとされた地域にとどまったパレスチナ人は11万2000人にすぎなかった。そしてイスラエルの建国が宣言されたのだ。 建国するためには「国民」が必要。そこで、イスラエルの建国を目指していたシオニストはヨーロッパから連れてくる計画を立てる。そこでシオニストは1933年8月25日、ドイツのナチス政権とユダヤ人をドイツからパレスチナへ移住させる目的でハーバラ協定を締結している。 しかし、1938年11月にドイツでナチスがユダヤ系住民を襲撃、多くの人が殺され、収容所へ入られ始めるが、この「水晶の夜」以降もユダヤ人はパレスチナへ向かわず、アメリカやオーストラリアを目指した。後にシオニストはイラクなどに住むユダヤ人を移住させるため、爆弾テロを実行している。 バルフォア宣言のアーサー・バルフォアは当時、イギリスの外務大臣だった人物。そのイギリスでは1656年にイスラエルを建国すると宣言されている。 イングランドのジェームズ6世(イングランド王ジェームズ1世)はアングロ・サクソンをユダヤ人の「失われた十支族」の後継者だと信じ、自分はイスラエルの王だと信じていたが、ピューリタン革命を率いたオリバー・クロムウェルの私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考えていた。サドラーも1649年に作成されたパンフレット『王国の権利』の中でイギリス人はイスラエルの失われた部族のひとつであり、ユダヤ人と同族であると主張、クロムウェルも同じような考えだった。 クロムウェルの聖書解釈によると、世界に散ったユダヤ人はパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建することになっていた。この解釈に基づいて彼は政権を樹立し、1656年のユダヤ人のイングランド定住禁止令を解除、パレスチナにイスラエル国家を建国することを宣言したのだ。 これがシオニズムの始まりだが、ピューリタン体制が倒されるとシオニズムは放棄され、クロムウェルを支持する人びとの一部はアメリカへ亡命、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリンらはその後継者だと主張したという。 イスラエルは欧米のシオニストと連携し、パレスチナで民族浄化を進めているが、その先には大イスラエル構想、つまり西アジア全域をイスラエルに支配させようという計画がある。今年2月28日にアメリカ軍とイスラエル軍がイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師やアブドルラヒム・ムサビ参謀総長を含むイランの要人を殺害、態勢を転覆させて国を乗っ取ろうとしたのもそのためだ。 イギリスの私的権力は19世紀からロシア征服を目論んできたが、その勢力のネットワークはアメリカにも広がっている。9月16日にはアメリカ下院で「リンジー・O・グラハム対ロシア・イラン制裁法2026」が可決された。ロシア産の石油や天然ガスへの依存度を下げるため、最大100%の関税を課す権限、そしてイランへの制裁を拡大する権限アメリカ大統領に認めるというものだ。 対ロシア戦争にしろ、対イラン戦争にしろ、アメリカが戦争を仕掛けたことは本ブログで繰り返し書いてきた。欧米の私的権力は簡単に勝てると思い込んでいたようだが、いずれも敗北は避けられない。ネオコンやその従属者は「脅せば屈する」という信仰から抜け出せなくなっているようだが、脅しは中国やインドを含む他の国々の反米感情を高めることになっている。脅しても無駄な相手を脅そうとして自分たちの置かれた状況を悪くしているのだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.18
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アラブ首長国連邦(UAE)はイランに対する秘密攻撃を実施したとアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙は伝えた。UAEはサウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェート、オマーン、そしてイスラエルと同じようにイギリスが作り上げた国だが、特にアングロ・サクソンに対する従属の度合いが強いようだ。 アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃した2月28日以降、アメリカはイスラエルへ11万5600トン以上の装備を輸送、イスラエルはUAEに対し、小型ドローン探知システム「スペクトロ」、アイアンビーム・レーザー防衛システム、アイアンドーム・ミサイル防衛システムを供与し始め、両国の情報共有も始めたとされている。ペルシャ湾岸産油国の中でもUAEは特に対イラン攻撃で重要な役割を果たしてきた。こうしたことからイランはUAEを敵対拠点と認識、攻撃している。 それに対し、サウジアラビアはイランとの戦争へ引き摺り込まれないように注意深く行動している。一方、イランはサウジアラビア国内のアメリカ軍施設を攻撃しているものの、サウジアラビアの主要な石油利権への攻撃は控え、国営石油会社サウジアラムコは記録的な利益を上げている。 サウジアラビアの情報機関、総合情報庁の長官を1979年から2001年まで務めたトゥルキ・アル-ファイサルは、もしサウジアラビアとイランに戦争させるというイスラエルのる計画が成功していたら、この地域は荒廃と破壊に陥っていただろうと書いていた。 イギリス、アメリカ、イスラエルは複数の国を戦わせたり、ターゲット国の内部に対立関係を作り出して内戦を引き起こしたりする。サウジアラビアはそうした詐術に引っかかるほど愚かではなかった。サウジアラビアがアメリカにイランを攻撃させたとする話も流されていたが、これもイスラム世界の内乱を願ってのことだろう。明治維新以降、欧米の帝国主義国の手先として東アジアへ軍事侵攻した日本とサウジアラビアは違うと言える。 ジョージ・W・ブッシュ政権はアメリカ主導軍を使ってイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒したが、親イスラエル体制を築くことには失敗、それに対してバラク・オバマ政権はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)で戦闘集団を編成、2011年春にシリアやリビアへ軍事侵攻させた。 シリアのバシャール・アル-アサド政権の打倒に手間取り、2014年には「凶暴さ」を前面に出したダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を編成、NATOの軍事介入を目論んだのだが、2015年9月にシリア政府の要請でロシア軍が介入、ダーイッシュを敗走させた。 ロシア軍の強さを人びとが認識したことで世界の流れが変わり、サウジアラビアもロシアへ接近、2019年頃にはサウジアラビアとイランも接近する。 そして2020年1月3日、サウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えてイラクのバグダッド国際空港に到着したガーセム・ソレイマーニーをアメリカとイスラエルが暗殺した。ソレイマーニーはIRGC(イラン革命防衛隊)のクッズ軍を率いていた人物で、イスラエルに対するイスラム世界を統合する役割も果たしていた。両国の関係はその後も崩れていないだろう。 ウクライナでも西アジアでも侵略の黒幕であるネオコンはシオニストの一派だが、歴史を遡るとイングランドの私的権力に行き着く。この私的権力は19世紀に中国(清)を侵略し、略奪しようとした。アヘン戦争だが、この戦争でイギリスは内陸部を征服することができなかった。地上部隊が圧倒的に足りなかったからだ。そのイギリスは日本で「明治維新」というクーデターを成功させ、日本軍に中国を侵略させた。アングロ・サクソンに対する恨みという点でイランと中国は共通している。**********************************************楽天ブログへアクセスしにくい場合、下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.13
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ロシア軍の自爆型ドローンが9月13日、ウクライナのヤヒドネ駅にいた列車に命中した。この駅はポーランドとの国境から約2キロ離れた場所にある。オデッサなどウクライナ南部の港がロシア軍の攻撃で封鎖されている現在、鉄道は重要な輸送手段。本ブログでも繰り返し書いてきたが、ロシア軍はオデッサをはじめ黒海に面したウクライナ南部の港を封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港も破壊、そしてキエフとワルシャワを結ぶ鉄道を攻撃したわけだ。ポーランドのブワディスワフ・コシニャク-カミシュ国防相によると、同国への領空侵犯はなかった。 ウクライナ側の発表によると、監視担当者がドローンの接近を察知して乗務員に警告、乗員乗客は避難していたので死傷者は出なかったという。西側の大手メディアが騒いでいるのは、その列車の前に駅を出発していた列車にボリス・ジョンソン元英首相、ドイツ首相の外交政策顧問を務めるギュンター・ザウター、さらに連邦議会議員や数名のEU国家安全保障顧問が乗っていたということ。また攻撃があった時、デビッド・ペトレイアス元CIA長官はウクライナの税関を通過中だったと伝えられている。 西側の大手メディアはロシア軍がジョンソンとペトレイアスを狙ったと主張しているようだが、狙っているなら監視しているはずで、列車を間違えるはずがない。ロシアとの戦争を主張している欧米の要人を脅した可能性はある。 ロシアは海上だけでなく陸上の輸送ルートも遮断、ウクライナの兵站線を断ち切りつつあるが、その影響は市民にも及ぶ。これから冬を迎えるわけで、事態は深刻だが、西側の「エリート」たちは気にしていないようだ。 こうしたエリートは「全知全能のアメリカ」を崇め、従属することで自らの富と地位を築いてきたことから、アメリカが劣勢にあるという事実を受け入れることができない。 ウクライナでの対ロシア戦争、そして西アジアでの対イラン戦争はエネルギー資源や食糧の流通を遮断し、サプライ・チェーンを混乱させた西側を拠点とする強大な私的権力は大儲けしている。 この私的権力はこうした戦争を引き起こす前に「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」騒動を仕掛けていた。その目的のひとつはサプライ・チェーンの混乱だったのだが、その目的を実現させたとは言い難かった。それを戦争によって実現したと言えるだろう。 しかし、西側の私的権力はウクライナでロシアに敗れ、西アジアでイランに敗れつつある。帳簿に書き込まれた数字は膨らんでも資源や食糧を失い、欧米の製造能力は低下している。特にアメリカの社会は惨憺たるもので、工場をアメリカ国内に建設しても能力のある労働者や技術者を見つけることが難しい。労働者や技術者をAIロボットで代用しようとしても限界がある。 アメリカ人の知的なレベルが低下したことが原因だが、そうした事態を生み出したのは公教育が崩壊したからだ。公教育を再建するためには誰でも適切な教育を受けられねばならず、不公正な社会システムを直す必要がある。そのためには富が偏在しないような社会システムを築く必要があるのだが、アメリカの政策は富を偏在させる強者総取りを目指している。しかも、その「強者」が有能でない。そうしたアメリカを追いかけているのが西側諸国であり、その歪みが自らの弱体化を招いた。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.16
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ドイツのザクセン-アンハルト州で9月6日に実施された地方選挙の投票でフリードリヒ・メルツ首相が率いる対ロシア戦争の推進を主張するCDU(キリスト教民主同盟)が惨敗、戦争に反対しているアリス・ワイデルとティノ・クルパラが率いるAfD(ドイツのための選択肢)が躍進した。AfDが強い旧東ドイツの地方ということもあるが、ドイツ全体でも「二大政党」と呼ばれていたCDUやSPD(ドイツ社会民主党)に対する批判が強い。直前に大手メディアが展開した「ロシアの脅威」キャンペーンは効果がなかったようだ。 獲得した議席数はCDUが25議席減の15議席にとどまったのに対し、AfDは16議席増の39議席を獲得。AfDは第1党になったものの、過半数には達していない。ただ左翼党から分かれ、AfDと同じように戦争反対のBSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)が5議席を獲得、両党を合わせると過半数の44議席になる。ドイツの治安機関であるBfV(連邦憲法擁護庁)がAfDを「過激派政党」に指定していることを考えると、期待できるかもしれない。CDUと同じようにロシアとの戦争を煽ってきたSDUや緑の党は低迷、自由民主党は議席を獲得できなかった。 2021年12月にオラフ・ショルツ政権で外務大臣に就任し、22年8月31日に開かれた「フォーラム2000」で「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言、23年1月24日に「われわれはロシアと戦争している」とPACE(総州評議会議会)で言い放ったアンナレーナ・ベアボックが所属していたのは緑の党である。 こうした交戦的な言動が評価されたようで、ベアボックは2025年6月に国連総会の議長に選出された。議長の任期が9月に終了した後、アメリカのコロンビア大学で「グローバル・リーダーシップ」担当の教授に就くことが決まっている。 日本にはコロンビア大学のような「アイビー・リーグ」を「名門校」と崇める人が少なくない。こうした大学を卒業すると出世の道が開かれているとは言えるが、カネを出せば誰でも入れる学校だ。資産とコネがあれば相当愚かな人物でも入学が可能だ。 そうした大学へ入学させるためには私立の進学校へ子どもを通わせる必要があり、そうした進学校でも膨大な学費を支払わねばならない。そうした支出は中産階級にとって困難だ。荒廃が進んでいる公立の学校から大学へ進むことは困難だとも言われている。 トルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている。 「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫)「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないというのだ。カポーテが生きていた時代は今に比べてマシだったはずだが、それでもアメリカの中で高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重かった。 大学へは入れても授業料を支払うことが困難な学生は少なくない。少し前から話題になっているのは「シュガー・ベイビー」なるシステム。女子大学生(シュガー・ベイビー)と富裕な男性(シュガー・ダディー)を引き合わせ、「デート」のお膳立てをするというビジネス。売春の斡旋と見られても仕方がないだろう。現代版のクルチザンヌだと言う人もいる。そうした「アルバイト」を行なっている大学には南カリフォルニア大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、ニューヨーク大学、そしてコロンビア大学も含まれていた。 体を売らなければ大学へ通えないという状況はアメリカ以外の国でも問題になっている。例えば2012年11月イギリスのインディペンデント紙は学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介するビジネスの存在を明らかにした。日本では「援助交際」と表現されている行為だ。 そうしたアングロ・サクソン国の後を追いかけているのが日本。学費の負担が庶民に重くのし掛かっている。低所得層の子どもは教育を受ける権利を奪われているのが実態だ。その結果、国全体の知的水準が低下し、国の力は衰える。これまでアメリカは外国から若者を連れてきていた。特に理系の学部はアジアの学生に負うところが大きかったが、中国の大学に対する評価が急上昇し、中国からの留学生が減少しているようで、アメリカの製造業の衰退に拍車をかけている。それをカバーするだけの水準にAIロボットはまだ到達していない。 体を売るような手段で学費を稼がずに済んでも、富豪の子供でもない限り、学資ローンで卒業時に多額の借金を抱えることになる。その借金を返済するためには高収入の仕事に就かねばならない。その仕事を失えば破産だ。医師や弁護士が権力者の不正に沈黙する理由のひとつはここにある。債務奴隷政策だと言えるだろう。 そこで現れたのがローンの返済免除と引き換えに軍へ入隊させるという計画。ジョー・バイデン大統領時代、アメリカの下院議員19名が主張していた。 徴兵制を採用すると、建前上、全ての男子は軍隊に入る義務が生じてしまう。その義務を回避する仕組みとしてベトナム戦争時代には決して戦場へは行かず、軍事訓練をする必要もない「シャンパン部隊」が存在していた。CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)のヒット曲、「フォーチュネート・サン」はこうした部隊のことを歌っている。つまり子どもを戦争へ送り出す必要のない階級が存在するのだが、そうした階級は平然と好戦的な主張をする。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.08
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バラク・オバマ政権がウクライナで始めた対ロシア戦争とドナルド・トランプ政権が始めた対イラン戦争はアメリカの軍事力が全能でないことを明確にすると同時にAI(人工知能)の愚かさも明らかにした。AIの判断を左右する情報源をCIAやモサドがコントロールしているからである。 元CIA分析官のラリー・ジョンソンが中国のAI「KIMI」で2026年のロシアによるウクライナ領土占領について調べていたところ、AIは奇妙な解説をしていたようだ。ウクライナ南部での反転攻勢により、ウクライナ軍は2026年前半にロシアが占領した領土を大きく上回る範囲を奪還したが、春以降、奪還のペースは鈍化し、6月から7月にかけてはロシアが小幅ながら領土を拡大しているとしているのだ。勿論、これは事実でない。ウクライナ当局の発表や西側のシンクタンクなどが情報源になっているからだ。 NATO諸国はクーデター後、2014年2月から22年2月にかけてキエフ体制軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施し、さらにマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を中心とする要塞線を築き、ドンバスに対する軍事攻勢の準備をしていたが、2022年にマリウポリとソレダルが、また23年にはマリーインカとアブディフカが陥落、ここにきて要塞線は完全に崩壊した。 そして今年7月22日以降、ロシア軍の攻撃でオデッサやニコラエフを拠点とする海上輸送が事実上不可能になり、ウクライナは船で農産物を輸出することができなくなった。キエフのほか、物流や軍事の拠点に対してロシア軍は連日ミサイルやドローンで攻撃、工場や倉庫、あるいは地下司令部などが破壊されている。ウクライナの敗北は明白だ。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、2014年2月のキエフにおけるネオ・ナチのクーデター後、戦況はクーデター軍が劣勢だった。そこで新体制の後ろ盾であるNATO諸国は反クーデター軍の攻勢を抑えるため、停戦に持ち込むことに成功した。2014年のミンスク1と15年のミンスク2だ。 セルゲイ・グラジエフはロシア大統領の顧問だった2014年6月、アメリカはウクライナの軍事力を強化し、ドンバスを失えばロシアは平和も失うと主張、50万人程度のウクライナ軍がクリミアへ攻め込むと推測していた。クーデター直後、アメリカの元政府高官を含む人びとはロシア軍が動かなかったことを訝っていたが、ウラジミル・プーチン大統領の側近はアメリカが対ロシア戦争を始めたと認識していた。 停戦合意後、キエフの新体制はそれを守らず、NATO諸国は2014年2月から22年2月にかけてキエフ体制軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施している。さらにマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を中心とする要塞線を築き、ドンバスに対する軍事攻勢の準備をしていた。ドンバスへロシア軍を誘い込み、足止めさせている間に別動隊でクリミアを制圧する作戦だったと見られているが、その目標は達成できなかった。 AIは西側情報機関の情報操作でウクライナが勝利しているかのように判断しているが、ロシアが停戦に応じないため、現実が西側の作り出した幻影を消し去ろうとしている。 1904年2月から05年9月にかけての日露戦争はアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領の仲介で形式上、日本の勝利になったが、実際はロシア側が革命運動の激化で戦争を続けることができなくなっただけだった。 この戦争は1904年2月8日、日本軍が仁川沖と旅順港を奇襲攻撃したところから始まる。その際、日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系金融機関のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフ。日本に対して約2億ドルを融資、その際に日銀副総裁だった高橋是清はシッフと親しくなっている。 この戦争について、セオドア・ルーズベルト米大統領は日本が自分たちのために戦っていると語り、日本政府の使節としてアメリカにいた金子堅太郎はアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦ったと説明していた。1910年に日本は韓国を併合しているが、これもアメリカ政府は容認していたようだ。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) こうした遣り取りを可能にした一因はルーズベルトと金子がふたりともハーバード大学出身だということがある。ルーズベルトは1880年に卒業しているが、その2年前に金子は卒業、1890年にふたりはルーズベルトの自宅で会い、親しくなった。セオドア・ルーズベルトはロシアを敵視していた人物で、日本を対ロシア戦争の手先にしようとしていた。 韓国併合を目論む日本の動きを察知した朝鮮の高宗は特使としてホーマー・ハルバートをワシントンへ派遣するが、ルーズベルト大統領やエリフ・ルート国務長官はその特使と会おうとしない。朝鮮は米朝修好通商条約の第1条に基づいて独立維持のための援助を求めたが、これをアメリカ政府は拒否している。すでにセオドア・ルーズベルト政権は桂太郎や金子堅太郎らと韓国併合で話はついていた。 日露戦争はルーズベルト大統領のおかげで勝利したものの、新聞の戦勝報道で浮かれた日本人が期待したような戦利品はなかった。賠償金支払いはなく、遼東半島の権利のほか、旅順とハルピンを結ぶ鉄道の権利や樺太全土の譲渡もなかったのだ。 戦勝報道で売り上げを伸ばしていた新聞社はその交渉結果を非難して国民を煽り、日本各地で講和条約反対と戦争継続を唱える集会が開催され、日比谷焼き討ち事件も引き起こされた。そして現在、アメリカを絶対視するマスコミは同じような戦勝報道を続けている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.06
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アメリカ政府の特使、スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーは9月5日にモスクワを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談した。対話のルートが維持されていることを示したものの、予想通り、中身はなかった。ふたりの特使は航空機でポーランドのジェシュフへ向かい、そこで列車に乗り換えてキエフへ訪れた。プーチン大統領はウィトコフとクシュナーの訪問に合わせ、キエフへの攻撃を3日間停止するように命じていたが、8日にふたりがキエフを離れた直後、ロシア軍はキエフに対するミサイルやドローンによる大規模な攻撃を再開した。 キエフに対する攻撃が停止される前、6日の段階で日本の電動工具大手、マキタの倉庫がロシア軍のドローン攻撃で炎上していたが、消火活動が行われていなかった。ウクライナ軍の弾薬が保管されているため、いつ爆発しても不思議ではなく、消防士が近づけないためだという。同社の現地法人は2022年2月24日から営業を停止していたとされているものの、そこを弾薬の保管場所にしていたようだ。 ウクライナにおける対ロシア戦争に直接加わろうとしている日本企業もある。その中核をなすとされているのは「日本ウクライナドローンクラスター」。この会社は日本企業とウクライナの軍事会社が連携して設立、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加するとされている。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表された。 また、アメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。台湾もウクライナにおけるドローンの生産に協力している。 アメリカ政府の圧力で安価なロシア産の天然ガスや石油を断ち切ったドイツでは製造業が立ち行かなくなり、社会が崩壊しつつある。9月6日にザクセン-アンハルト州で実施された選挙ではフリードリヒ・メルツ首相が率いる対ロシア戦争の推進を主張するCDU(キリスト教民主同盟)が惨敗、戦争に反対しているアリス・ワイデルとティノ・クルパラが率いるAfD(ドイツのための選択肢)が躍進したベースはそこにあると言えるだろう。 ドイツの製造業が衰退している象徴は自動車会社のフォルクスワーゲン。エムデン工場とツヴィッカウ工場が2031年に、ハノーファー工場が32年に、そしてネッカーズルム工場が34年に閉鎖される予定だと伝えられている。 自動車の生産を2027年夏までに終了させると同社が2024年に決定していたオスナブリュック工場の場合、9月7日、ニーダーザクセン州およびアウレリウス・キャピタルと売却の可能性に関する合意に達した。アウレリウスが過半数の所有権を握り、ニーダーザクセン州も同施設に出資する。事実上、イスラエルの国営軍事企業であるラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズと協力するのだという。 ラファエルはミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」を開発した企業だが、このシステムが機能しないことはイランが証明した。オスナブリュック工場では軍用車両、発射装置、発電機などが製造される見込みだ。この工場はナチス時代にも軍用機の部品を生産していた。 フォルクスワーゲンだけが安価なエネルギー資源を放棄したことで苦境に立っているわけではない。メルセデス・ベンツを含むヨーロッパの自動車メーカーはこぞって軍事分野に関心を持っている。この流れはアメリカを支配する私的権力の意向に沿うものだろう。 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はロシアを攻撃するための戦闘用ドローンの生産を統合する「歴史的な協定」をウクライナと締結、ロシアによる報復攻撃の脅威にさらされない「安全な」場所でヨーロッパ諸国がウクライナ向けの軍需品を生産するとしているが、ドイツは射程圏内である。 ウクライナでの戦争は代理戦争のステージは終わり、すでにNATO軍とロシア軍の戦いになっているが、NATO軍にはロシア軍に対抗する能力がない。「映え」を狙い、防御の甘い民間施設を攻撃して大手メディアの「勝利」のイメージを広めさせているが、現実の前には無力だ。 ウクライナ/NATOのドローンが枯渇してきたのか、ロシア軍はウクライナ軍を包囲する戦術を控えてきたようだが、ハリコフ州ではいくつものウクライナ軍部隊がロシア軍に包囲していると伝えられている。 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃で西アジアからの石油が入手しにくくなり、ロシアの天然ガス輸入もアメリカに妨害されている日本でも同じことが引き起こされる可能性がある。「日本ウクライナドローンクラスター」もそうした流れの中で設立されたのだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.09
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イギリスのサウスポートで7月29日に3人の少女が刺殺された。ヨガとダンスのワークショップに参加していた子どもを襲った犯人はルワンダからの移民の子供だったが、Xの人気アカウントが書いた間違った情報が暴動に火をつけた。 そのアカウントは犯人の名前を「アリ・アル・シャカティ」だと断定、昨年、ボートでイギリスへ来た亡命希望者で、MI6の監視リストに載っていると投稿した。イスラム教徒と疑われているとした上で、イスラム教徒はいつも女性を標的にすると主張しているのだが、間違っていた。ところがこの話に少なからぬ人が飛びつく。 ほとんどのケースで暴徒は2009年6月に創設されたイングリッシュ防衛連盟(EDL)のメンバーだと警察はすぐに特定している。この団体は反イスラムの活動家とサッカーのフーリガンで構成された。 EDLがイギリスの街頭に現れたのは2009年6月のことで、発足当初からキプロス人、ギリシャ人、ヒンズー教徒、ユダヤ人、LGBT、パキスタン人のキリスト教徒の支持者が関係していたとされている。ユダヤ人は運動の中で目立っていたという。EDLの活動ではイスラエルの国旗が目立った。 こうした集団はイギリスで高まっている国民の不満を利用して社会を混乱させようとしている。イギリスを含む西側諸国は2014年にネオ・ナチを使ったクーデターでウクライナを支配下に置き、ロシアへの攻撃を始めようとしていた。アメリカ政府をはじめとする反ロシア派はウクライナとロシアを戦わせ、ロシアを疲弊させようとしたのだが、思惑通りに事態は進まず、西側が苦境に陥った。 アメリカがロシアからの安価な天然ガスの輸送を止め、経済活動を混乱させた結果、イギリスでも物価が高騰、人びとの生活水準が急激に低下している。貧困化が進み、教育もままならなくなっている。イギリスでもガザで住民を虐殺しているイスラエルに対する怒りも高まっていた。 その結果、7月4日に実施された総選挙でリシ・スナックが率いる保守党は敗北し、キア・スターマーが率いる労働党の政権が誕生したのだが、スターマーは自他とも見とめる親イスラエル派。イギリスの情報機関MI6と緊密な関係にあるとされている。スターマーがネオコンの好戦的な政策をやめる可能性は小さく、今回の暴動で適切な対応をしているとは思えない。 そうした状況を作り出したのはアメリカを中心とした西側諸国の支配層の政策だが、国民の怒りをそうした支配層でなく移民や難民といった弱者に向けさせようとしているのがイギリスでの暴動だ。怒りのエネルギーをシオニストが利用しようとしている。ドイツでナチスが台頭した当時と似ていると考える人もいる。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.08.11
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アメリカとロシアが大規模な「捕虜交換」をした直後、3個旅団程度のウクライナ軍がスーミからロシアのクルスクへ軍事侵攻を試みた。ロシアの油断を狙ったと見られている。 しかし、この作戦は失敗したようだ。ウクライナ軍は約5キロメートルほどロシア領内へ入ったものの、ロシア空軍の攻撃で大きなダメージを受け、一晩で撤退したと伝えられている。その直後にクルスクへ入ったジャーナリストの報告を見ても、ウクライナ軍は見当たらない。ロシア軍はウクライナ軍の侵攻を阻止したとしているが、事実のようだ。 そもそも、すでにウクライナ軍は壊滅状態。イギリスのベン・ウォレス前国防大臣は昨年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求していた。それだけ兵士が死傷しているということだ。ウクライナの街頭で徴兵担当者に拉致される男性の映像がインターネットで流されている。アメリカをはじめとする西側諸国はそれでもウクライナ人にロシア軍と戦えと命じている。「総員玉砕」しろということだ。ウクライナ人は人間として扱われていない。 そうした状態にあるため、クルスクへの攻撃には少なからぬ外国人戦闘員が参加しているようだ。アメリカ人、ポーランド人、イギリス人、フランス人が目撃されたと伝えられている。また、NATOに訓練されたジョージアの傭兵も加わっているともいう。西側諸国の特殊部隊も戦闘に参加していることも確かだろう。 ウクライナ軍はクルスクへ軍事侵攻することでドネツクのロシア軍を減らそうとしたとも言われているが、その必要はない。ウクライナ軍の戦力をさらに弱めるだけである。 ロシア軍はハリコフを攻撃することでウクライナ軍をハリコフへ集中させ、ほかの地域で前進することに成功しているが、その真似をしたのかもしれないが、ウクライナ軍は失敗に終わりそうだ。逆にロシア軍はスーミを攻撃、ウクライナ軍は他地域から戦力を移動させなければならなくなるかもしれない。 ウクライナがこのような状態であるにもかかわらず、アメリカをはじめとする西側諸国は中東を火の海にしようとしている。さらに東アジアでも戦争を始めるつもりかもしれない。ルビコンを渡ってしまったネオコンは後へ引けないのだろう。
2024.08.12
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ロシア軍が夏季攻勢を始めたと西側の有力メディアが伝えている。陸軍総司令官が交代したこともあり、5月9日の「戦勝記念日」の後にロシア軍は大規模な軍事攻勢を始めるのではないかと噂されていたが、それが現実になった可能性がある。 ロシア軍は今月に入って1日平均14キロメートルのペースで前進、ポクロフスクとトレツク間にある防衛線を突破、さらにスーミにも新たな戦線が開かれ、約5万人の部隊がハリコフ近郊に集中しているという。NATO軍がウクライナに射程距離の長い兵器を使えば、それだけ深くまでロシア軍は進撃することになる。これは軍事の素人でも推測できることだ。 しかし、2016年から20年にかけてブラックロックの監査役を務めたフリードリヒ・メルツ独首相は5月26日、ドイツからであろうと、イギリスからであろうと、フランスからであろうと、アメリカからであろうと、ウクライナへ輸送される兵器の射程距離を制限しないとベルリンで述べた。アメリカ、イギリス、フランスと同様、ドイツもモスクワを含むロシアの深奥部をウクライナ軍が攻撃することを許可したのだ。 ドイツ製ミサイルのタウルスだけの話ではないが、こうした種類のミサイルをウクライナ軍が単独で操ることは不可能。まずオペレーターが必要だが、それだけでなく、地上や衛星からの詳細な情報、あるいはミサイルを誘導するためのシステムが必要。ロシア側はそうした兵器を供与した国も共犯と考える。 ロシア側の防衛能力を考えると、タウルスをウクライナへ引き渡しても戦況が劇的に変化することはないが、ロシアがドイツを敵として扱うことになると、ドイツはウクライナの戦闘の当事者として扱われることになる。そうなった場合、発射元、つまりドイツにあるタウルスの生産工場を攻撃するべきだとする意見がロシアにある。NATOとロシアの直接的な戦争へと発展する可能性もあるが、これをキエフのネオ・ナチ政権は考えているかもしれない。 ロシア政府がウクライナでの「停戦」に合意すれば、その間にNATO諸国の軍事部隊をウクライナ領内へ容れられると西側の好戦派は考えたのかもしれないが、そうした下心をロシア側に見透かされてしまった。そこで射程距離制限の撤廃を言い始めたのだろうが、そうした脅しは通用しない。ロシア軍の進撃を積めることもできない。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2025.05.31
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キア・スターマー英首相は6月22日にダウニング街10番地前で演説、辞任すると発表した。同時に労働党の党首からも退く。EU、そしてほかのEU諸国と同じようにスターマーはヨーロッパの利益を無視してロシアとの戦争を推進、パレスチナで大量虐殺を続けているイスラエルを支援してきたほか、増税、福祉削減、検閲、政治スキャンダルといった政策を推進、国民からの反発は強まっていた。これはフランスやドイツと似た状況だ。 イギリスの二大政党である保守党と労働党はイスラエルのロビー団体である労働党イスラエル友好協会(LFI)と保守党イスラエル友好協会(CFI)の影響下にあるが、その2協会に資金を提供している人物としてサー・トレバー・チン卿が知られている。チンはイスラエルのパレスチナ人虐殺に批判的だったジェレミー・コービンを攻撃する一方、キア・スターマーが首相になるのを助けた。 2005年にチンは「イスラエル・英国ビジネス協議会」の共同議長としてイスラエルを訪れ、アリエル・シャロン首相の輸出国際協力会議に参加、18年にはトニー・ブレア元首相をはじめとするイギリス政界の有力者数名が出席したハイム・ヘルツォグ元イスラエル大統領の盛大な祝賀会を共同主催している。またイギリス外務省と密かに会談し、イスラエルへの武器輸出について助言を行ってきたとも言われている。 有力メディアもコントロールしている親イスラエル勢力は2020年にパレスチナ人虐殺に批判的だったコービンを労働党党首の座から引き摺り下ろすことに成功、その年の党首選挙でスターマーが勝利した。その年にスターマーはチン卿から5万ポンドを受領。それ以来、彼は「無条件でシオニズムを支持する」と公言している。2019年までスターマーは労働党のパレスチナ中東友好協会に所属、「人権を外交政策の中心に据える」と公約していたのだが、チンから資金を受け取ってからわずか数週間後、シオニストへ豹変したわけだ。 スターマーの前は保守党の首相が続いた。2010年から16年にかけてはデイビッド・キャメロン、16年から19年にはテリーザ・メイ、19年から22年にはウクライナの停戦合意を破壊したボリス・ジョンソン、22年にはロシアに対する憎悪を丸出しにしていた地理の知識がないリズ・トラス、22年から24年まではリシ・スナク。1997年から2007年までは労働党のトニー・ブレアだったが、この人物も親イスラエルで有名だ。 イギリスの労働党は元々親イスラエルだったが、1982年9月にレバノンのパレスチナ難民キャンプ、サブラとシャティーラで虐殺事件が引き起こされた後、親パレスチナへ変化。危機感を抱いた親イスラエル派が引っ張り出したのがブレアにほかならない。 ブレアとイスラエルとの関係は遅くとも1994年1月に始まった。このときにブレアは妻のチェリー・ブースと一緒にイスラエル政府の招待で同国を訪問、帰国して2カ月後にロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介されたのだ。 その2カ月後、つまり1994年5月に労働党の党首だったジョン・スミスが心臓発作で急死、その1カ月後に行われた新党首を決める投票でブレアが勝利している。レビーやLFIのようなイスラエル・ロビーを資金源にしていたブレアは労働組合の影響を受けず、マーガレット・サッチャーの再来と言う人もいた。 ブレアはオックスフォード大学で富と地位のある親を持つ学生しか入れない結社「ブリンドン・クラブ」に所属していた。デイビッド・キャメロンもボリス・ジョンソンも同クラブ出身だ。そのほかナサニエル・ロスチャイルドもいる。政党名にとらわれていてはイギリスの支配構造を理解することができない。 ロシアのエネルギー資源を支配しようとしたジェイコブ・ロスチャイルドはナサニエル・ロスチャイルドの父親。その計画はウラジミル・プーチンのグループによって阻止された。 そのジェイコブの下で働いていたのがミハイル・ホドルコフスキー。ソ連時代に彼はコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者を務めていたが、そのときにロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばす手助けをしていた疑いがある。ソ連時代の1989年に彼はリチャード・ヒューズなる人物とロシアの若い女性を「モデル」としてニューヨークへ送るビジネスを始めたのだ。(Michael Gross “From Russia with Sex”, New York, August 10, 1998) ジェフリー・エプスタインのグループも未成年の女性を「モデル」として売買していた。欧米のショー・ビジネスはこのシステムの一部を構成している。エプスタインはギレーン・マクスウェルと親密だった。ビル・クリントン元米大統領によると、彼がエプスタインよりギレーン・マクスウェルと親密だったのはロスチャイルド家との関係が深かったからだと宣誓供述しているが、エプスタインもロスチャイルド家と結びついている。 NATOはウクライナでロシアと戦っているが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントで、ハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官を務めていたリチャード・ムーアだろうとアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターはドキュメンタリーの中で推測している。 現在、対ロシア戦争でNATOの中心にいるのはMI6だと見られているが、その背景にはシティ、つまりイギリスの金融資本が存在している。これは一種の私的権力だ。 それを遡ると19世紀のイギリス政界では反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)、その後にはネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、セシル・ローズというグループが存在する。 ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、『信仰告白』を書いているのだが、その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張、そのアングロ・サクソンが「住む世界が増えれば増えるほど、人類にとってより良いものになる」としている。 また、「より多くの領土を獲得するあらゆる機会を捉えることは我々の義務であり、より多くの領土は単にアングロサクソン人種の増加、つまり世界が所有する最も優れた、最も人間的で最も名誉ある人種の増加を意味するという考えを常に念頭に置くべきである」という。 実際、イギリスはアイルランド、アメリカ、オーストラリアで先住民を大量虐殺、パレスチナをはじめとする西アジアで同じことをしていると言える。 イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。そして1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開いた。いわゆる「バルフォア宣言」だが、ここからパレスチナ人虐殺が始まる。 ところで、ディズレーリが書いた小説『コニングスビー』の中に、次のようなことが書いてある。「(ジョン・)ハムデン(=オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(=名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネツィア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」 その計画通りイギリスは寡頭勢力が支配、そのシステムはEUにも採用されている。その寡頭体制を民主主義だと主張する人の気がしれない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.23
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沖縄県知事選で翁長雄志前知事の政策を継承するとしている玉城デニーが勝利した。名護市辺野古へ新しい基地を建設するという計画に沖縄県民は反対している。そのことを改めて示したと言える。 沖縄県にある基地を存続させたがっているのは日本政府であり、アメリカ政府は執着していないという議論がある。悪いのは日本政府であり、アメリカ政府は悪くないと言いたいのだろうが、これには疑問がある。 ヨーロッパを見るとアメリカ軍/NATO軍はロシアとの国境近くまで勢力を拡大し、国境近くにミサイルを配備している。東アジアでは韓国にTHAAD(終末高高度地域防衛)を強引に持ち込み、日本はイージス・アショアが配備される。中国やロシアとの国境近くにミサイルを配備しているのだ。その理由は先制核攻撃の態勢を整えたいからにほかならならず、沖縄の基地を放棄できないのもそのためだ。 アメリカやイギリスの巨大資本は第2次世界大戦の前からソ連が的だった。ウォール街はドイツと深く結びついていた。そのドイツが軍の主力にソ連を攻撃させるが、スターリングラードで反撃にあって壊滅、1943年1月に降伏する。これでドイツの敗北が決定的になった。 そこで慌てたのがイギリスとアメリカの支配層。両国はソ連との新たな戦争について協議している。イギリスではウィンストン・チャーチル首相が中心になったが、アメリカではアレン・ダレスたちOSSの幹部がフランクリン・ルーズベルト大統領には無断でドイツ側と接触している。 そして1945年5月、ドイツが降伏した直後にチャーチル首相はJPS(合同作戦本部)に対してソ連へ軍事侵攻するための作戦を立案するように命令、5月22日に提出されたのがアンシンカブル作戦。7月1日に米英軍数十師団とドイツの10師団が「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。これはイギリスの参謀本部が反対して実現していない。7月5日には総選挙があり、保守党は敗北してチャーチルは辞職した。下野したチャーチルは大戦後に冷戦の開始を宣言、ソ連に対する核攻撃をアメリカのハリー・トルーマン大統領に要請したことは本ブログでも書いてきた。 核兵器を手にしたアメリカはソ連に対する先制核攻撃を目論む。例えば1949年に出されたJCS(統合参謀本部)の研究報告では、ソ連の70都市へ133発の原爆を落とすという内容が盛り込まれていた。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) 1954年になると、SAC(戦略空軍総司令部)は600から750発の核爆弾をソ連に投下、118都市に住む住民の80%、つまり約6000万人を殺すという計画を作成した。この年の終わりにはヨーロッパへ核兵器を配備している。(前掲書) 実際にソ連を先制核攻撃するための準備が始まったのは1957年だと言われている。この年の初頭に作成されたドロップショット作戦では、300発の核爆弾をソ連の100都市で使うというもので、工業生産能力の85%を破壊する予定になっていたという。(前掲書) 核爆弾の運搬手段は戦略爆撃機かICBM(大陸間弾道ミサイル)。1959年の時点でソ連は事実上、ICBMを保有していなかった。ソ連がICBMの生産でアメリカに追いつく前なら核戦争でアメリカは圧勝できるとライマン・レムニッツァーJCS議長やカーティス・ルメイ空軍参謀長を含む好戦派は考えた。テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、1963年後半に核攻撃するというスケジュールを決めたとされている。その作戦を実行する上で最大の障害だったジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺された。 ケネディ大統領は1962年にレムニッツァーの議長再任を拒否するが、イギリス軍の幹部によってNATO軍の司令官に就任する。大戦中、このイギリス軍幹部の紹介でレムニッツァーはアレン・ダレスと知り合い、ナチス幹部を救出するサンライズ作戦に参加した。これはルーズベルト大統領に知らせず実行されている。 1950年代に沖縄では「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収され、軍事基地化が推し進められていく。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になった。これがアメリカの先制核攻撃計画と密接に結びついていることは言うまでもないだろう。そうした土地の接収が行われていた1955年から57年にかけて琉球民政長官を務めた人物がライマン・レムニッツァーだ。 この当時からアメリカの基本戦略に変化はない。ロシアとの戦争に突き進む姿勢を見せていたヒラリー・クリントンを批判、ロシアとの関係修復を主張して大統領になったドナルド・トランプだが、有力メディア、議会、司法省/FBIからの執拗な攻撃を受け、今ではロシアや中国との軍事的な緊張を高める政策を打ち出している。それがアメリカ支配層の意思であり、日本の政治家、官僚、マスコミはその意思に従う。改憲や緊急事態条項はそうした背景から出てきている。
2018.10.04
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ロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認した後、ドンバスで「特殊軍事作戦」を実施すると発表した。ネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)の一掃が大きな目的のようだ。 ハリコフ、クラマトルスク、ドニプロ、マリウポリ、ザポリージャ、そしてキエフで爆発音が聞かれたと伝えられているが、巡航ミサイル「カリブル」で攻撃されているようだ。11カ所の航空基地や3カ所の司令センターを含む74の軍事施設が破壊されたという。カリブルは亜音速から最終的に超音速のマッハ2.5から2.9へ加速してターゲットへ向かう。 バラク・オバマ米大統領が政府のメンバーを好戦的な布陣に変更していた2015年、マーチン・デンプシー統合参謀本部議長が退任した直後の9月30日からロシアはシリア政府の要請で軍事介入した。そして10月7日、カスピ海からシリアのターゲットへ向けて発射されたのがカリブルだった。発射されたミサイル26機は11のターゲットに数メートルの精度で命中している。そうしたミサイルの存在を認識していなかったアメリカ軍を震撼させたとも言われている。 アメリカの外交や軍事の分野で主導権を握っているネオコンは「脅せば屈する」と信じてきた。リチャード・ニクソンは、他国にアメリカが何をしでかすかわからない国だと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けると考え、イスラエルのモシェ・ダヤン将軍は、狂犬のように思わせなければならないと語ったが、似た発想だろう。 1991年1月に湾岸戦争があったが、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツはその経験から中東でアメリカが軍事力を行使してもソ連軍は出てこないと考えるようになったという。これはウェズリー・クラーク元NATO欧州連合軍最高司令官の話だ。 その思い込みは2008年8月に打ち砕かれている。イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したのだが、返り討ちにあってしまった。2015年9月のシリアにおける出来事によってネオコンの思い込みが間違っていることは決定的になったのだが、まだその考えを捨てられていないようだ。そうでなければ、バイデン大統領もこれほど挑発的なことをできなかっただろう。 バイデン政権は2021年1月に誕生して以来、ウクライナへ武器/兵器を含む軍事物資を運び込む一方、ウクライナ周辺で挑発的な行動を繰り返してきた。 例えば、3月10日にNATO加盟国の軍艦がオデッサへ入港、同じ頃にキエフ政府は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させてロシアを挑発している。 4月に入るとアメリカ空軍は1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられた。4月5日にはウクライナのゼレンスキー大統領はカタールを訪問、そのカタールの空軍は5機の輸送機を使い、トルコを経由でウクライナへ物資を運んでいるという。 そのトルコはウクライナでアメリカと連携、3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ物資を輸送、トルコ軍兵士150名もウクライナへ入る。 4月10日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はトルコを訪れてレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めている。 その直前、4月6日と7日にはNATO軍事委員会委員長のスチュアート・ピーチ英空軍大将がウクライナを訪問、9日にアメリカは「モントルー条約」に従い、トルコ政府へ自国の軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まるとると通告した。 その前にアメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告されていたが、ロシアの反発が強いため、米艦船の黒海入りはキャンセル。 そうした中、ウクライナの国防大臣が辞意を表明し、その一方でネオ・ナチ「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュが参謀長の顧問に就任したと伝えられた。 6月28日から7月10日にかけてアメリカ軍を中心とする多国籍軍が黒海で軍事演習「シー・ブリーズ」を実施したが、これには日本も参加している。 シー・ブリーズに参加するために黒海へ入っていたイギリス海軍の駆逐艦「ディフェンダー」は6月23日にオデッサを出港した後、ロシアの領海を侵犯してクリミアのセバストポリへ接近。それに対してロシアの警備艇は警告のために発砲、それでも進路を変えなかったことからSu-24戦術爆撃機が4発のOFAB-250爆弾を艦船の前方に投下している。この爆弾は模擬弾ではなく実戦用。その直後にディフェンダーは領海の外へ出た。 当初、イギリス海軍は警告の銃撃や爆弾の投下はなかったと主張したが、問題の駆逐艦に乗船していたBBCの記者ジョナサン・ビールが周囲にロシアの艦船や航空機がいて、銃撃音や爆弾を投下した音を聞いたと伝えている。 6月24日にはオランダのフリゲート艦「エバーツェン」がクリミアへ接近したが、ロシア軍がSu30戦闘機とSu-24爆撃機を離陸させると、領海を侵犯しないまま、すぐに離れていった。 12月に入るとアメリカの偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなど脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発している。その前にはアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問していた。 一方、ウクライナの現政権は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強めている。ゼレンスキー大統領は外国の軍隊が領土内に駐留することを議会に認めさせ、キエフ政権側で戦う外国人戦闘員にウクライナの市民権を与えることも議会は認めた。脅しのつもりだろう。 また、CIAがウクライナ軍の特殊部隊を秘密裏に訓練しているとする情報も伝えられている。この訓練は2015年、つまりウクライナでアメリカ政府がネオ・ナチを使ったクーデターを成功させた翌年にアメリカの南部で始められたという。 訓練を受けた戦闘員はドンバス周辺で活動することが想定されているはずだ。ウクライナ軍の活動をアメリカ政府は「ロシアの偽旗作戦」だと宣伝する可能性がある。そうしたストーリーをバイデン政権は宣伝している。 今回のロシアによるミサイル攻撃は、西側がウクライナへ持ち込んだ兵器や軍事物資を破壊することも目的のひとつだろう。
2022.02.25
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フランスのエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣した意図しているが、すでにNATO軍の将校が民間人を装ってウクライナへ入り、ロシアとの戦闘に参加していると言われている。 バラク・オバマ政権はNATOの訓練を受けたネオ・ナチのグループを使い、2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、その直後に新体制を支えるため、CIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだほか、傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦に参加させていた。2015年からはCIAがウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練している。 ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノによると、アメリカ陸軍の特殊部隊デルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)も戦闘に参加していた。ポーランドやバルト諸国からも戦闘員が入っていると言われている。その一方、兵器を供給し、兵士を訓練、軍事情報を提供している。 アメリカ/NATOがウクライナへ供給した西側の兵器の扱いにウクライナ兵は慣れていない。そこで操作するための要員が必要で、民間人を装っているかどうかはともかく、相当数の兵士が西側からウクライナへ入っているはずだ。 ロシア軍は今年1月16日にウクライナのハリコフを攻撃、軍事施設のほか、情報機関や軍関係者が滞在していた旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊した。この建物には200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われ、相当数の死傷者が出たという。犠牲になった戦闘員の大半はフランス人傭兵で、そのうち60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたと伝えられている。この日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は40発のスカルプ巡航ミサイルと「数百発の爆弾」をキエフに送ると約束している。 ここにきてアメリカはウクライナでロシアに敗北した責任をウクライナ政府に負わせて撤退しようとしていると言われ、ドイツやイギリスを含むヨーロッパ諸国もウクライナへ地上軍を派兵する計画はないと発表している。フランスだけがロシアとの戦争へ向かって前のめりになっている。 マクロンはウクライナでロシアを勝たせるわけにはいかないと主張しているようだが、欧米諸国はすでに特殊部隊を含む戦闘員をウクライナへ送り込み、武器弾薬も供給してきた。その戦闘でウクライナ軍は兵士が足りなくなり、アメリカ/NATOの兵器庫は空になったとも言われている。日本に武器を提供させようとしているのはそのためだ。 そうした中、アメリカ/NATO軍が地上軍を送り込んでロシア軍に勝とうとするならば、核兵器を使わざるをえなくなるだろう。勿論、世界大戦だ。アメリカやイギリスも同じだろうが、マクロンを操っている支配層はロシアや中国を簡単に倒せるという前提で世界制覇計画を描いているように見える。ロシアや中国を倒せなければ、その計画が崩れる。「COVID-19ワクチン」プロジェクト、あるいは「リセット」も崩壊する可能性がある。人類の存続を危うくするようなことをしてきたことが明確にされ、プロジェクトの推進者たちは責任を問われることも考えられる。
2024.02.29
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ロシアでは3月15日から17日にかけて大統領選挙が実施され、有権者の77%以上が投票、ウラジミル・プーチンが87%以上の得票率で勝利した。さまざまな世論調査でプーチンが国民から支持されていることは明らかで、そうした事前の調査と同じ結果が出たと言える。西側の有力メディアは罵詈雑言を浴びせようと必死だが、犬の遠吠えにすぎない。 この選挙を撹乱するため、アメリカ/NATOはウォロディミル・ゼレンスキー政権を隠れ蓑に使い、ウクライナに面したベルゴロドなどの民間人を標的にした攻撃を繰り返し、破壊活動を試みたが、成功しなかった。 アメリカやイスラエルの支配層は「脅せば屈する」と信じている。例えば、何をしでかすかわからない国だと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けるとリチャード・ニクソンは考え、イスラエルは狂犬のようにならなければならないと同国のモシェ・ダヤン将軍は語っている。その信仰に基づき、ロシアや中国を攻撃しているのだ。 現在のウクライナ体制は2014年2月、ネオ・ナチのクーデターで成立した。その体制はアメリカ政府が支えてきたのだが、その一方、クーデター後に軍や治安機関メンバーの約7割が離脱、一部は反クーデター軍に合流したと言われている。クーデター体制の戦力を増強するため、西側が「ミンスク合意」で時間を稼がなければならなかった理由のひとつはここにある。 クーデターで排除されたビクトル・ヤヌコビッチが支持基盤にしていた東部や南部の住民はクーデターに反発、中でもクリミアは特に反クーデター感情が強かった。1990年にウクライナ議会がソ連からの独立を可決するとクリミアでは91年1月にウクライナからの独立を問う住民投票を実施、94%以上が賛成しているのだが、1991年12月にソ連が消滅した後、クリミア議会は住民の意思を無視してウクライナに統合されることを決めてしまった。「民意」は無視されたのだ。その民意が実現したのは2014年のことだ。 オデッサでは反クーデター派の住民がクーデターの主体だったネオ・ナチのグループ(右派セクター)に惨殺されたが、東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)では戦闘が始まる。当初は反クーデター軍が優勢だったが、ミンスク合意で戦況は変化した。 オデッサの虐殺から1週間後の2014年5月9日にクーデター軍の戦車がドネツクのマリウポリ市へ突入し、住民を殺傷している。9日はソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日で、街頭に出て祝う住民がいた。そうした人々を攻撃したわけだが、その際、住民はクーデター軍の戦車に怯んでいない。その様子はインターネットを通じて世界へ発信された。その後、ネオ・ナチを中心に編成された親衛隊のアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)がマリウポリを制圧、住民を人質にし、地下要塞に立てこもった。 右派セクターは2013年11月、ネオ・ナチのドミトロ・ヤロシュやアンドリー・ビレツキーが組織し、クーデターでも重要な役割を果たしている。この組織が中心になり、2014年5月に「アゾフ大隊」が正式に発足したのだ。 ヤロシュは2021年11月2日、ウクライナ軍最高司令官を務めていたバレリー・ザルジニーの顧問に任命されたと公表、注目されたのだが、参謀本部は情報の開示を拒否、その一方でそのポストは廃止されてヤロシュは解任されたという。 ヤロシュはネオ・ナチであると同時に、チェチェンやシリアでロシアと戦ったサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)などイスラム系の武装集団と関係しているが、彼がネオ・ナチと結びついたのは大学時代だとされている。ドロボビチ教育大学でワシル・イワニシン教授の教えを受けているが、この教授はKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)の指導者グループに所属していたのだ。 KUNを組織したのはOUN-B(ステパン・バンデラ派)の人脈で、その指導者はバンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコ。その妻にあたるスラワがKUNを率いていたが、ヤロスラフが1986年に死亡してからOUN-Bの指導者にもなった。スラワは1991年に西ドイツからウクライナへ帰国している。 スワラは2003年に死亡、イワニシンは2007年に死亡する。イワニシンの後継者に選ばれたのがヤロシュ。そのタイミングで彼はNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。2007年5月にウクライナのテルノポリで開かれた欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議で議長を務めた。ジハード主義者とはサラフィ主義者やムスリム同胞団を中心とする人びとだ。 NATOの秘密部隊は第2次世界大戦の終盤にアメリカとイギリスの情報機関が組織したゲリラ戦部隊「ジェドバラ」を源流とする。大戦中、西ヨーロッパでドイツ軍と戦っていたのはレジスタンス。その主力はコミュニスト。ジェドバラはレジスタンス対策で作られたのだ。その人脈は大戦後も生き続け、西側連合秘密委員会(CCWUまたはWUCC)が統括していた。 大戦後、アメリカの情報機関OSSは解散になるが、やはり人脈は生き続けて極秘の破壊工作機関OPCになる。OPCで活動した重要人物のひとり、ジェームズ・バーナムはネオコンが誕生する際に重要や役割を果たした。1952年にはその機関を核にしてCIA内部に「計画局」が設置された。その後、この秘密工作部門は肥大化、CIAを事実上乗っ取る。 その一方、アメリカやイギリスの支配層は1949年4月、ヨーロッパを支配するためにNATO(北大西洋条約機構)を創設した。創設時の参加国はアメリカとカナダの北米2カ国に加え、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクの欧州10カ国だ。 NATOの初代事務総長に就任したヘイスティング・ライオネル・イスメイはウィンストン・チャーチルの側近で、NATO創設の目的について「ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつける」ことにあると公言している。ヨーロッパですでに作られていた破壊工作部隊はNATOの秘密部隊として活動し始めた。 秘密部隊は全てのNATO加盟国で設置され、それぞれ固有の名称がつけられている。イタリアのグラディオは有名だ。こうした秘密部隊は活動すべてが米英の情報機関、つまりCIAとMI6がコントロール、各国政府の指揮下にはない。 ウクライナの軍事組織に大きな影響力を持つヤロシュが所属していると言われているNATOの秘密部隊は各国政府の指揮下にはなく、ゼレンスキーが指揮しているわけでもない。米英情報機関の命令で動くということだ。 極秘だったNATOの秘密部隊が露見するのは1972年。イタリア北東部の森に設置していた兵器庫を子どもが発見、その1週間後にカラビニエッリと呼ばれる準軍事警察の捜査官が近くで別の複数の武器や弾薬の保管庫を発見している。その中にはC4と呼ばれるプラスチック爆弾も含まれていた。 武器庫が発見された翌月、ペテアノ近くの森で不審な自動車が見つかる。その自動車をカラビニエッリの捜査官が調べはじめたところ爆発して3名が死亡、その2日後に匿名の電話が警察にあり、「赤い旅団の犯行だ」と告げている。多くの人はこの情報を信じた。 誰が容疑者であれ、当局は捜査しなければならないのだが、途中で止まってしまう。その事実をフェリチェ・カッソン判事が気づいたのは1984年のことだ。そして判事は捜査の再開を決め、使われた爆弾がC4だということが判明、イタリアの情報機関SIDと右翼団体のON(新秩序)が共同で実行したことがわかった。 SIDは1977年に国内を担当するSISDEと国外を担当するSISMIに分割され、情報の分析を担当するCESISが創設された。そのSISMIの公文書保管庫の捜査をジュリオ・アンドレオッチ首相は1990年7月に許可せざるをえなくなる。 その保管庫でグラディオという秘密部隊が存在していることを示す文書をカッソン判事は見つけ、アンドレオッチ首相はグラディオの存在を認めざるをえなくなる。そして1990年10月、首相は「いわゆる『パラレルSID』グラディオ事件」というタイトルの報告書を公表し、この組織が活動中だということも認めた。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) アンドレオッティ内閣の報告書によると、グラディオが正式な組織に昇格したのは1956年。幹部はイギリスの情報機関で訓練を受け、軍事行動に必要な武器弾薬は139カ所の保管場所に隠されていた。そのひとつが偶然、見つかってしまったわけだ。秘密工作を実行するのは独立した部隊だが、これらを統括していたのはサルディニア島のCIAで、活動資金を提供していたのもCIAだ。 ギリシャのアンドレア・パパンドレウ元首相もNATOの秘密部隊が自国にも存在したことを確認、ドイツでは秘密部隊にナチスの親衛隊に所属していた人間が参加していることも判明した。またオランダやルクセンブルグでは首相が、またノルウェーでは国防大臣が、トルコでは軍の幹部がそれぞれ秘密部隊の存在を認めている。スペインの場合、「グラディオは国家だった」と1980年代の前半に国防大臣を務めたアルベルト・オリアルトは言っている。(前掲書) グラディオのような破壊工作部隊は全てのNATO加盟国に存在、アメリカやイギリスの情報機関からの命令に従い、活動している。その活動の中には米英支配層にとって都合の悪い政治家の暗殺やクーデターも含まれていると言われている。そのネットワークにヤロシュも含まれていたのであり、ウクライナ政府もそのネットワークに操られていると考えるべきだろう。そのネットワークがロシアに対するテロ活動を活発化させている可能性が高い。 米英支配層はウクライナ人とロシア人を戦わせ、共倒れにさせたかったのだろうが、ロシア軍の圧勝で彼らの思惑は崩れ、自分たちも厳しい状況に陥った。ジョー・バイデン政権を含め、少なからぬ反ロシア国の政府は敗北の責任をゼレンスキーに押し付けて逃げようとしているのだが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領だけが自国軍をロシア軍と直接戦わせようとしている。
2024.03.21
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アメリカの政界において戦争を煽ってきたリンゼー・グラハム上院議員が7月11日に急死する直前からロシア軍のウクライナの軍事施設や生産施設に対するミサイル攻撃が激しくなった。ロシア軍は「御上品な」戦い方をやめたようだ。 グラハムは死の直前、キエフにあるスカイフォール社のドローン工場を視察しているが、ロシア軍の攻撃でNATOの将兵だけでなく、ドローン工場で働くアメリカ人技術者も犠牲になっている。オデッサの港湾施設も壊滅的な打撃を受け、船に対する攻撃も激しく、オデッサやニコラエフへ船が出入りできない状況だ。要するにウクライナにおける対ロシア戦争でNATOは敗亡しつつあるのだが、それはNATO諸国の「エリート」にとって悪夢以外の何ものでもない。 1991年12月のソ連消滅を見たネオコン、つまりアメリカの軍事や外交を支配するシオニストはアメリカが唯一の超大国になったと考え、世界征服戦争を始めた。これは本ブログで繰り返し書いてきたことだ。 ビル・クリントン大統領は第2期目の1997年1月、国務長官をチェコスロバキア出身で反ロシア感情の強い好戦派でズビグネフ・ブレジンスキーの弟子であるマデリーン・オルブライトへ交代させた。この国務長官人事を大統領に働きかけていたのはヒラリー・クリントン、つまり大統領の妻だと言われている。 オルブライトは1998年秋にユーゴスラビア空爆を支持すると表明、翌年の3月から6月にかけて実際に爆撃。4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館もB-2に爆撃された。3機のミサイルが別々の方向から大使館の主要部分に直撃していることもあり、中国側は「計画的な爆撃」だと主張している。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後、03年3月にイラクを先制攻撃、08年8月にはアメリカやイスラエルに支援されたジョージアが南オセチアを奇襲攻撃、ロシア軍の反撃で完敗している。この奇襲攻撃は対ロシア戦争の予行演習だったのだろう。 バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけての時期にキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で仕掛けたクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒してネオ・ナチ体制を築くことに成功した。 しかし、ヤヌコビッチの支持基盤でロシア文化圏の東部や南部では住民がクーデターを拒否、南部のクリミアは素早くロシアと一体化、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まった。軍や治安機関では約7割がクーデター体制を拒否して離脱、一部はドンバスの武装勢力に合流した。そのため武装抵抗を始めた集団はクーデター軍より強く、NATO諸国はクーデター体制の戦力を増強しなければならなくなった。そのために時間稼ぎすることにして、ロシアと停戦で合意。それが2014年のミンスク1と15年のミンスク2だ。ロシアは合意を守ったがキエフの新体制は守らなかった。 NATO諸国は2014年2月から22年2月にかけてキエフ体制軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施す一方、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を中心とする要塞線を築き、ドンバスに対する軍事攻勢の準備をしていた。ドンバスへロシア軍を誘い込み、足止めさせている間に別動隊でクリミアを制圧する作戦だったと見られている。 しかし、ウクライナ/NATOが攻勢をかける前にロシア軍がウクライナ軍部隊、軍事施設、生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃した。当初、ロシア軍の戦力はウクライナ/NATO軍の数分の1で劣勢だったのだが、ドンバスがロシア軍にとって「ホーム」だったこともあり、戦況はロシア軍が優勢だった。 そこでウォロディミル・ゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始めるが、それを壊すためにイギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込む。2022年4月9日のことだ。(ココやココ) この当時、イギリス政府をはじめ、NATO諸国は簡単にロシアを屈服させられると信じていたのだろうが、地下要塞は2022年にマリウポリとソレダルが、また23年にはマリーインカとアブディフカがそれぞれ陥落、ここにきて戦略的に重要なコスティアンティニフカも制圧され、掃討が完了、ウクライナ軍の補給線を寸断した。住民の救出も終わったのだろう。 2023年にタイム誌はウクライナでの戦闘を「AI戦争」と呼んだが、戦術の作成や兵器の設計はAIが行なっていたのかもしれない。 その中心的な存在がパランティア・テクノロジーズ。地上の写真、ドローン映像、衛星画像を組み合わせて迅速に情報分析を実施、戦車や砲兵などの標的を指定しているのは同社だ。AIによってドローンの離陸、着陸、標的捕捉を自動化、GPSや無線通信が妨害されても攻撃できる。 こうしたことでロシア軍は劣勢になるという物語が西側では語られているが、実際はロシア軍に粉砕されている。そこでモスクワなどで爆弾テロを実行するしかなくなった。 ウクライナでアメリカの国防総省は生物化学兵器の研究開発を実施、民主党などはマネーロンダリング、武器弾薬の横流し、そしてゼレンスキーの周辺は懐へ資金を入れてきた。資金の流れを止められない人が少なくない。西側の私的権力の中には勝利による略奪を前提に多額の資金を投じた人もいるが、敗北すれば大損害だ。戦争を長引かせ、その間に戦況を何とかして変えようとしている人も少なくないだろう。が、そうしたことを許さないという姿勢をロシア政府は見せ始めた。ゼレンスキーを操ってきたイギリスの対外情報機関MI6も追い詰められている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.05
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アメリカ軍が6機の戦略爆撃機B-52をディエゴ・ガルシアへ送り込みつつあるとCNNの軍事担当がツイッターに書き込んでいる。 ディエゴ・ガルシアはインド洋の真ん中にある島で、イギリスが不法占拠、それをアメリカが使っている。ICJ(国際司法裁判所)は同島を含むチャゴス諸島をモーリシャスへ返還するようにと勧告しているが、米英は無視してきた。この島にもアメリカの秘密刑務所が存在していると言われ、マレーシア航空370便が消息を絶った際、この基地に降りたのではないかと噂された。 中東ではアメリカに従属していた国が自立の動きを見せている。トルコの離反は本ブログでも繰り返し書いてきたが、サウジアラビアもアメリカから離れつつある。言うまでもなく、サウジアラビアは重要な産油国であり、石油取引を利用して発行されたドルをアメリカへ還流させるペトロダラーの仕組みを支えてきた。サウジアラビアの自立はアメリカの支配システムを揺るがすことになる。 サウジアラビアのロシアへの接近が注目されたのは2017年10月のことだった。サルマン国王がロシアを訪問し、防空システムS-400の購入で合意したと報じられたのだ。その半年前、アメリカ海軍の駆逐艦2隻、ポーターとロスが巡航ミサイルのトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、6割が無力化されるという出来事があった。それがサウジアラビアの動きに影響した可能性もある。 なお、2018年4月にアメリカ軍はイギリス軍とフランス軍を巻き込み、100機以上のトマホークをシリアへ向けて発射したが、7割が無力化されている。2017年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。 そして2019年9月14日にサウジアラビアを震撼させる出来事があった。イエメンでサウジアラビア軍と戦っているフーシ派が18機のUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)と7機の巡航ミサイルでサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設に大きなダメージを与えたのだ。 アメリカのマイク・ポンペオ国務長官はイランによる攻撃だと主張、モハメド・ビン・サルマン皇太子のほかイギリス、フランス、ドイツも同意しているものの、情況証拠はフーシ派の発表が正しいことを示している。そして9月29日にフーシ派はナジュランでサウジアラビアの3旅団を壊滅させたと発表、その際に映像も公開した。 9月14日の攻撃はアメリカ製の防空システムが無能だということを明らかにした。破壊された石油施設の周辺には88基のMIM-104 ペトリオット・システムが配備されていて、そのうち52基は日本も導入を進めているという新型のPAC-3。しかもペルシャ湾にはアメリカ海軍に所属する3隻の駆逐艦(イージス艦)がいたのだが、攻撃を防げなかったのだ。 ところで、アメリカ軍によるガーセム・ソレイマーニーの暗殺を受け、イランのゴムにあるジャマカラン・モスクには報復を象徴する赤い旗が掲げられた。これはイランの歴史で初めてのことだという。イランの報復があれば、アメリカはイランの52カ所を攻撃するかもしれないと脅しているが、その一方でイランとの戦争を望んでいないともしている。イランとの戦争を始めた場合、サウジアラビアとの関係が決定的に悪くなる可能性があることも影響しているだろう。
2020.01.07
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フランスのエマニュエル・マクロン大統領はモスクワでロシアのウラジミル・プーチン大統領と2月7日に会談、ウクライナ情勢などについて話し合ったようだ。 プーチン大統領は記者団に対し、ウクライナがNATOへ加盟し、クリミアの奪還を試みるなら戦争になると語ったが、マクロンによると、ロシアはウクライナ危機をエスカレートさせる意思はないと断言したという。アメリカがロシアの安全を脅かさない限り、軍事行動はありえないということだろう。 ロシアとフランスは1月26日、ウクライナやドイツとパリで会談、ウクライナをめぐる緊張を平和的に解決することで合意した。「ミンスク議定書」を尊重するということだが、そうした動きに関係なく、アメリカのジョー・バイデン政権は「ロシアが攻めてくる」と連呼している。 その会議から2日後、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵略が差し迫っているという間違った警告によってウクライナの経済は危険な状態になると主張、パニックを作り出そうとしないよう西側の記者に求めている。 この構図は世界各地で現れてきた。例えば、バラク・オバマ政権がリビアで体制転覆に成功した後、ジハード傭兵を中心とする戦闘員や兵器をシリアへ集中させ、シリアでの戦闘を強化しているが、その際、アメリカの手先になっていた戦闘員は住民を虐殺する。特にキリスト教徒が犠牲になっていたが、そうした人びとを守っていたのはシリア政府軍。その政府軍を西側の有力メディアは国民を虐殺していると宣伝していた。 そうした状況の中、2012年の前半、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長、フィリップ・トルニョル・クロがシリアへ入って実態を調査、その報告をローマ教皇庁の通信社が伝えている。本ブログでは繰り返し書いてきたが、再度、触れておきたい。 クロは、「もし全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と報告していた。 虐殺しているのは外国から侵入したサラフィストの戦闘員で、資金や武器はカタールやサウジアラビアから得ているともしていたが、これは事実。その侵略にはアメリカ、イギリス、フランス、トルコなども加担していた。 2014年のクーデター以来、ウクライナの治安部門や軍はネオ・ナチやアメリカの影響下にあるが、ゼレンスキー内閣はアメリカの好戦的な宣伝を嫌がっている。国が滅びかねないからだろう。周辺国も危機感を持ち始めたようだ。 今回の件ではアメリカの手先としてNATO(北大西洋条約機構)という軍事同盟が動いている。1949年にアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクによって創設されたが、その際、すでに存在していた極秘のゲリラ戦部隊がNATOへ入り込む。 その極秘部隊は第2次世界大戦の終盤、ドイツの敗北が決定的になった後にレジスタンス対策としてアメリカとイギリスの情報機関が編成した「ジェドバラ」が母体になっている。この組織は大戦の終結で解散したことになっているが、人脈は消えない。戦後、その人脈が中心になってアメリカでは軍の特殊部隊や破壊工作機関OPCが組織される。OPCが中心になってCIAの破壊工作部門が作られた。 秘密部隊は全てのNATO加盟国に存在するが、特に有名な組織はイタリアのグラディオ。1960年代から80年代にかけてイタリア国内で「左翼過激派」を装って爆弾テロを繰り返し、クーデターを計画していた。1990年にイタリア政府はその存在を公式に認めている。 フランスの秘密部隊も有名。1947年6月に社会党系の政権が誕生した際、アメリカとイギリスは秘密部隊を使って政権を不安化するために「青計画」を作成したという。これは内務大臣を務めていたエドアル・ドプの話だ。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) 1961年にはOAS(秘密軍事機構)が組織される。この軍事機構はアルジェリアの独立を認めようとするシャルル・ド・ゴールに反発する軍人らによって構成され、フランスの情報機関SDECEや第11ショック・パラシュート大隊と結びついていた。この組織の背後にもアメリカやイギリスの情報機関が存在していた。 この秘密組織はアルジェリアの主要都市、アルジェ、オラン、そしてコンスタンチンの支配を宣言した後でパリを制圧しようと計画、1961年4月22日にクーデターは実行に移されるが、その直前、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領はジェームズ・ガビン駐仏大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じている。CIAとアメリカ軍が戦うことになりかねない状況になった。そこでクーデターは4日間で崩壊してしまう。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) フランスでクーデターが失敗に終わった後、ド・ゴール大統領はSDECEの長官を解任、第11ショック・パラシュート大隊を解散させた。クーデター失敗後もOASはアルジェリアの政府要人を暗殺したほか爆破事件を繰り返し、イスラム教徒を殺害、銀行を襲撃するなど暴走状態になるが、1962年1月にOASの幹部が逮捕され、その5カ月後にOASは休戦を宣言する。(Henrik Kruger, “The Great Heroin Coup (2nd),” Trine Day, 2015) この宣言に従わなかったのがジャン-マリー・バスチャン-チリー大佐に率いられた一派。その年の8月22日にパリでド・ゴール大統領の暗殺を試みて失敗、暗殺計画に加わった人間は9月にパリで逮捕された。全員に死刑判決が言い渡されたが、実際に処刑されたのはバスチャン-チリー大佐だけだったという。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) ド・ゴールを助けたケネディ大統領は1963年11月にテキサス州のダラスで暗殺されてる。その3年後、ド・ゴール大統領はフランス軍をNATOの軍事機構から離脱させ、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出した。 NATOとはそうした組織である。つまりソ連の侵略に備えるという大義名分は嘘八百。実際はアメリカやイギリスの私的権力がヨーロッパを支配する仕組みに他ならず、その先には世界を完全に制覇しようという野望がある。フランスがNATOの軍事機構へ一部復帰すると宣言したのは1995年、完全復帰したのは2009年だ。今後、その関係がどうなるかはわからない。
2022.02.10
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未成年者に対する性的な犯罪の容疑で2019年7月6日に逮捕され、ニューヨークのメトロポリタン矯正センターに入れられていたジェフリー・エプスタインは同年8月10日に独房で死亡した。そのエプスタインへ女性を紹介していたダニエル・シアドの死体が2026年7月20日、フランスのコロンブにある自宅で発見された。2022年2月19日にはシアドと同じようにエプスタインと関係があり、性的の人身売買に関与した疑いでラ・サンテ刑務所の独房に収監されていたジャン-リュック・ブリュネルが首を吊った状態で発見されている。シアドやブリュネルは表向きの仕事はモデルのスカウトだ。 エプスタインは2006年7月27日にも同じ容疑で逮捕された。14歳になる義理の娘がエプスタインの自宅で猥褻な行為をされたと、ひとりの女性がフロリダのパームビーチ警察で訴えたことが発端。捜査の過程でエプスタインが有力者へ少女を提供、その行為を秘密裏に録音、撮影して恐喝の材料に使っていたことが浮かび上がった。 パームビーチの警察には富裕層の利益を守るため、犯罪を隠蔽する仕組みが存在していた。その仕組みで守られていた富豪のひとりがマー・ア・ラゴを所有するドナルド・トランプにほかならない。 しかし、そうした実態を告発した保安官補もいた。ジョン・マーク・ドーガンだ。2006年の摘発でエプスタインが盗撮していた映像を警察は押収、捜査を指揮したのはジョセフ・リケアリーからその資料をドーガンは受け取り、保有している。2008年6月30日にエプスタインは有罪を認め、懲役18カ月を言い渡されているが、州刑務所へは入れられていない。パームビーチの拘置施設で週6日、1日12時間という制限の下、街で働くことが許されている。その年、ドーガンは退職を強いられた。 その後、ドーガンはインターネットで告発を続けるが、2016年にFBIは彼の自宅を家宅捜索、コンピュータなどを押収した。そこで彼はロシアへの亡命を決断、ロシアへは盗撮映像を含むエプスタインに関する資料を持ち出している。彼に資料を渡したリケアリーは2018年5月、50歳で急死した。 2006年の事件で地方検事として事件を担当したアレキサンダー・アコスタはドナルド・トランプ政権で労働長官に就任しているが、2019年にエプスタインが逮捕された際、エプスタインについて「情報機関に所属している」ので放っておけと言われたとしている。(Vicky Ward, “Jeffrey Epstein’s Sick Story Played Out for Years in Plain Sight,” Daily Beast, July 9, 2019) 後にエプスタインはイスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていたことが判明する。エプスタインはギレーヌ・マクスウェルと内縁関係にあったが、彼女や彼女の父親であるロバート・マクスウェルも同じ情報機関の下で働いていたと、1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェは語っている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) 1980年代半ば、アメリカでは情報機関による秘密工作が発覚した。イラン・コントラ事件である。イランへの武器密輸とニカラグアの反革命ゲリラ、コントラへの違法支援工作が発覚したのだ。 この事件については拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』三一書房、2005年でも説明したように、1979年2月のイランにおけるイスラム革命が関係している。 ムハマド・レザー・パーレビ国王が王妃と国外へ脱出、フランスからアヤトラ・ルーホッラー・ホメイニが帰国するのだが、11月に「ホメイニ師の路線に従うモスレム学生団」を名乗るグループがテヘランのアメリカ大使館を占拠、大使館内の機密文書を手に入れる一方、52名を人質にとった。人質の多くはアメリカの情報機関員だと見られている。 ジミー・カーター政権は人質の早期解放を目論む。その年は大統領選挙があり、人質の解放はカーターにとって追い風。そこでカーターの敵対勢力は共和党の勝利を確実なものにするため、人質の解放を遅らせる工作をしていたと言われている。 秘密交渉で共和党はイスラエルのリクードと連携、人質の解放を遅らせることに成功したのだが、その代償としてイランへ武器を密輸出することになる。この取り引きの儲けをCIAはコントラへの支援に充てたわけだ。 ところが、1984年9月にイスラエルで労働党のシモン・ペレスを首相とする政権が誕生、リクードが行っていたイランへの武器密輸を労働党は知り、自分たちも独自に武器密輸で儲けようとする。そして目をつけたのがアメリカ海兵隊のオリバー・ノース。その結果、ふたつのグループが争うことになり、暴露合戦に発展、イラン・コントラ事件の発覚につながった。この事件にエプスタインも関係していたのであり、彼は人身売買や恐喝をしていただけではない。 エプスタインは黒魔術にも関係、ペトログリフの刻まれた岩石などを集め、古代の建造物に模した建物を建てたりしている。イングランドではエリザベス1世の時代(1593年から1603年)にオカルトが流行、女王に寵愛されたジョン・ディーは錬金術や超自然的な存在との交信で知られていた。 その当時、イングランドの支配層の間でアングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと信じる人が現れ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まった。17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世も自分を「イスラエルの王」だと思い込み、ピューリタンの指導者たちも「イスラエルの失われた十支族」話を信じていた。 19世紀にもオカルトは流行、同世紀の終盤にイギリスを動かしていたのセシル・ローズのほかナサニエル・ド・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、アルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)などだ。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) エプスタインと親しかったビル・クリントンによると、親しくしていた理由はエプスタインがロスチャイルド家につながっていたからだという。実際はロスチャイルド家の代理人だったかもしれない。 エプスタインはイスラエルの元首相エフード・バラクとも親しく、その関係で同国の軍事情報局特殊作戦部に所属する秘密技術部隊の81部隊の人脈と繋がり、バラクとロスチャイルド家との間のメッセンジャーを務めていたともされている。エべリン・ド・ロスチャイルドの妻、リン・フォスター・ド・ロスチャイルドもエプスタインの友人で、クリントン夫妻とも親しい。ジェイコブ・ロスチャイルドの代理人として働いていたユーコスのミハイル・ホドルコフスキーも1989年頃、KGBのコネクションを利用してソ連の若い女性をニューヨークへ「モデル」として送り出す仕事をしていた。(Mark Ames, “Russia’s Ruling Robbers”, Consortium news, March 11, 1999) エプスタインにしろ、シアドにしろ、ブリュネルにしろ、そこから始まる人脈を辿ると、一般的に知られてはならない人びとへつながっているはずだ。ドナルド・トランプ政権は司法省が保有するジェフリー・エプスタインに関する約600万件の文書や映像、いわゆる「エプスタイン・ファイル」のうち約300万件を公開していない。公開されたファイルは黒塗りだらけ。財務省関係のファイルも公開されていない。しかもエプスタインがライリー・キラリー私立探偵事務所を使い、自宅から6つの保管庫へ運び込んだコンピュータ、映像、写真、文書などを捜査当局は調べていない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.30
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サウジアラビア当局はヨーロッパの顧客に対し、9月後半に積み込む予定だった原油の一部をキャンセルすると通知したという。サウジアラビアはペルシャ湾に面したアブカイクからアラビア半島を横断、航海のヤンブーを結ぶ東西石油パイプラインを建設していたが、そのパイプラインが攻撃されたことが原因のようだ。パイプラインの修理には3から5週間が必要で、その間は稼働できない。サウジアラビアは現在、石油を輸出できない状態にあるようだ。 サウジアラビアはパイプラインに対する攻撃について、イラク政府は使用されたドローンがイラク領内から飛来したことを認めている。イラクのシーア派民兵組織であるハシュド・アル・シャアビが発射したドローンが石油ポンプ施設を破壊したとされているが、真相は明確でない。 バブ・エル・マンデブ海峡南部が封鎖されたことからサウジアラビアは石油をスエズ運河から運び出さざるをえないが、この運河は超大型原油タンカーが航行できない。 イエメンによる今回の攻撃は、7月13日にサウジアラビアがイエメンのサヌア国際空港での出来事に起因している。アヤトラ・アリ・ハメネイ師の葬儀に出席したイエメンの代表団を乗せた航空機が同空港に着陸しようとした際、その航空機をサウジアラビアが攻撃したのだ。アンサール・アッラーはサウジアラビアに対して報復すると発表した。 追い詰められたサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はドナルド・トランプ大統領に対し、軍事支援を求めて1日に2度電話をかけたものの、即座に拒否されたと言われている。ただ、100人から200人のアメリカ軍の顧問がサウジアラビアへ派遣され、イエメンにおける情報収集や標的選定に協力しているという。 アンサール・アッラーの支配地域はイエメン全土の3分の1だが、人口の約80%がそこに住んでいる。残りの地域を支配する「国際的に承認されたイエメン政府」はサウジアラビアが作り、そのサウジアラビアやアラブ首長国連邦の傭兵に支配されている。アンサール・アッラーが事実上のイエメン政府なのだ。 そのアンサール・アッラーは要衝モカを制圧した後、バブ・エル・マンデブ海峡の最も狭い場所にあるマイユーン島(ペリム島)を制圧。そして東西石油パイプラインが破壊されたわけである。バブ・エル・マンデブ海峡の通過も困難になり、供給の逼迫は避けられない。 こうした事態になった理由は、サウジアラビアの王位継承者で事実上の統治者であるムハンマド・ビン・サルマンがアンサール・アッラーを過小評価し、自国の実力とアメリカの後ろ盾を過大評価した結果だと言えるだろう。 アメリカのニュース・サイト「Axios」によると、アメリカ中央軍(CENTCOM)が主催、イスラエル、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、カタール、ヨルダン、エジプト、そしてサウジアラビアの軍参謀長らがドイツで秘密会議を開き、イランとの戦争のほか、イエメンとサウジアラビアの軍事衝突に対するイスラエルの支援について協議したという。 アンサール・アッラーとの戦闘で圧倒されているサウジアラビアはアメリカに支援を要請して断られたと伝えられているが、イスラエルでの放送によると、アメリカの要請を受けてイスラエルがアンサール・アッラーに関する情報をサウジアラビアに提供するようになったという。サウジアラビア、トルコ、パキスタンの相互防衛協定についてイスラエルの治安当局は「紙切れほどの価値もない」としているようだ。 イランの攻撃でイスラエルのテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が攻撃されたほか、カタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが破壊された。 そこでアメリカ軍が西アジアから撤退するのではないかと言われているが、CENTCOMのチャールズ・クーパー司令官は会議の席上、撤退の意図はないと強調していたというが、バーレーンにあった第5艦隊の基地はアメリカ海軍の艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、ここが破壊されたことから補給が困難になり、活動が困難になった。 イランからの攻撃を受け、アメリカ軍はヨルダンの基地へ移動したのだが、イランのIRGC(イスラム革命防衛隊)はヨルダンのムワファク・サルティ空軍基地などを攻撃、ロイターによると、ムワファク・サルティ基地に対する攻撃で1機のA-10サンダーボルトIIが翼を失うなどの損傷を受け、約8機のF-15が軽微な損傷を受けたという。アメリカ軍基地はヨルダンを守るどころか、攻撃の標的になっている。しかもヨルダンは国内に不安定要因を抱えている。人口の推定55から70%はパレスチナ系であり、昨年の失業率は21.4%だ。西アジアの情勢が短期間のうちに安定化する可能性は小さい。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.17
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シリアやイラクで劣勢になっているダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)はマレーシアやフィリピンなど東南アジアにエネルギーを集中させるように呼びかけている。今年1月14日にインドネシアの首都ジャカルタで何回かの爆破と銃撃戦があったが、ダーイッシュが攻撃を認めているようだ。 この地域にはワッハーブ派/サラフ主義者のネットワークがあり、アメリカの手先として破壊活動を行ったこともある。例えば、インドネシアでは1965年9月30日に小集団の若手将校が6名の将軍を誘拐のうえ殺害してジャカルタの主要箇所を占拠、それを鎮圧するという名目でスハルト将軍が率いる軍隊が出動、スカルノ政権を倒し、親米政権を作り上げたが、その際にもイスラムが登場している。 このクーデターではコミュニストと見なされた人など30万人から100万人が虐殺されているが、その黒幕はアメリカの支配層。コミュニストと手を組み、外国資産の国有化を始め、非同盟運動に参加していたスカルノを排除することが目的だった。 まずプロパガンダで攻撃を始め、1957年にCIAは秘密工作を始めている。訓練基地、あるいは兵站基地として工作の拠点になったのはフィリピン、台湾、シンガポール、そして沖縄。1958年にスカルノが日本を訪問すると、軍事蜂起を仕掛ける。その際にアメリカ軍が支援したが、失敗した。 その一方、アメリカの支配層は貴族階級の若者に目をつける。フォード財団はそうした若者をアメリカに留学させて訓練した。このプロジェクトに協力した大学にはカリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、コーネル大学などが含まれていた。訓練を受けた若者は「バークレー・ボーイズ」とか「バークレー・マフィア」と呼ばれている。(スーザン・ジョージ著、小南祐一郎、谷口真里子訳『なぜ世界の半分が飢えるのか』朝日選書、1984年)スハルトのクーデターには留学生だけでなく、イスラム教徒も参加、その背後にはスポンサーとしてサウジアラビアがいた。 この出来事に関する議論をジョコ・ウィドド大統領は支援しているのだが、リャミザルド・リアクドゥ国防相は公開討論に反対、アメリカ支配層の意向を受けて中国との軍事的な緊張を高めようとしている。1965年のクーデターはまだ「歴史」になっていない。 クーデター当時、アメリカへ留学していたひとりにロロ・ソエトロという人物がいる。ハワイ大学で学んでいたのだが、そこで知り合ったアン・ダンハムと結婚した。このアンは1961年8月に子どもを産んでいる。バラク・オバマだ。インドネシアで虐殺が行われていた1966年にソエトロは帰国、翌年にはアンと子どもが後を追う。アンはインドネシアでフォード財団やCIAと関係の深いUSAIDの仕事をしている。
2016.06.26
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早い段階から「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」によって脳がダメージを受けると言われていた。脳へウイルスが入り込んだ様子はないにもかかわらず、ダメージを受けている。 脳には「血液脳関門」があり、必要な物質を血液中から選択して脳へ供給する一方、そうではない物質は移行を妨げられている。薬物やウイルスの侵入を防いでいるのだが、この関門を「COVID-19ワクチン」はすり抜けているということだろう。 LNP(脂質ナノ粒子)が「mRNAワクチン」を脳内へ運び込んでいる可能性がある。脳細胞が細胞障害性Tリンパ球に攻撃されることも懸念されているようだ。アメリカの情報機関は1980年代にイスラエルの機関と手を組んで秘密工作を行っていたが、その一環として免疫システムについて研究、「細胞障害性Tリンパ球」を注目していた。当時流れていた情報によると、この件で彼らは日本の学者や大手企業、そして広域暴力団と接触している。 コロナウイルスの表面にはスパイク・タンパク質と呼ばれる突起物があり、「mRNAワクチン」はそのスパイク・タンパク質を体内で製造して抗体を作らせ、免疫を高めることになっている。 しかし、抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と感染を防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させ、ADE(抗体依存性感染増強)を引き起こすと考えられている。その結果、人間の免疫システムに任せておけば問題のない微生物で深刻な病気になる。 そのスパイク・タンパク質が病気の原因になっている可能性があるとソーク研究所は今年4月に発表したが、脳へこのタンパク質が侵入して障害を起こしている可能性もある。酸化グラフェンか水酸化グラフェンが入り込んでいることも否定できない。 放射線障害でも脳へのダメージが問題になった。ロシア科学アカデミー評議員のアレクセイ・V・ヤブロコフたちのグループがまとめた報告書『チェルノブイリ:大災害の人や環境に対する重大な影響』(日本語版)によると、1986年から2004年の期間に事故が原因で死亡した人、あるいは生まれられなかった胎児は98万5000人に達し、癌や先天異常だけでなく、心臓病の急増や免疫力の低下が報告されている。放射線は脳にもダメージを与えるが、特に発育過程の胎児の脳は影響を受けやすく、知能低下も指摘されていた。同じことが「COVID-19ワクチン」でも生じる可能性があるだろう。 リスクが高いため情報が隠されている「ワクチン」の接種はロックダウン、言動の監視、デジタル・パスポートなどに利用されている。「ワクチン接種」に従わない人びとを収容所へ入れる国も出てきた。戒厳令状態、あるいはファシズム化とも言えそうだ。 この「感染症」の実態は明らかにされていない。実態が明らかでない「感染症」の「爆発的な感染拡大」を人びとに信じさせる道具がPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査である。この検査によって「無症状感染者」なるものを作り出して感染の拡大を演出したのだ。 PCR検査で使われている技術は分析のために特定の遺伝子型を試験管の中で増幅することを目的としている。増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、その遺伝子が存在するかどうかを調べることができるが、定量分析には向かない。 増幅サイクル(Ct)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性が増えていく。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だった。つまり医学的には無意味な検査だった。 壮大なイリュージョンが世界規模で展開されている。そのイリュージョンは人類を地獄へ導いているようにしか思えない。
2021.12.21
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ボストン大学の研究者チームが致死率80%というSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2、いわゆるSARS2)の変異種を作り上げたという。SARS2は2002年から03年にかけて南部中国に出現したSARS(いわゆるSARS1)と同じで、人工的に作られたと考える人は少なくない。ありふれたコロナウイルスから致死性の高い病原体が作られたというわけで、倫理的にどうかはともかく、今回のようなことが行われても不思議ではない。その一方、SARS2の幻影も作り上げたということである。 例えば、医学雑誌「ランセット」のCOVID-19担当委員長を務めたジェフリー・サックスは5月19日、SARS-CoV-2は人工的に作られたと指摘し、独立した透明性のある調査を行う必要性を訴えている。6月にはスペインのシンクタンク、GATEセンターで彼はアメリカの研究施設から病原体が漏れ出た可能性を指摘した。 2014年2月にバラク・オバマ政権はウクライナでネオ・ナチを使い、クーデターを仕掛けてビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。アメリカを支配する私的権力は昔から自分たちの利権にとって邪魔な政権や体制を破壊してきたので、珍しいことではない。 クーデターを拒否する国民も少なくなかったが、特にヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部では反発が強く、ドンバス(ドネツクやルガンスク)では内乱になった。その反クーデター派を潰すためにアメリカ/NATOは兵器を供給、戦闘員を訓練、自国の特殊部隊員や傭兵会社の戦闘員を送り込んできた。そして2月24日のロシア軍による軍事作戦につながるわけだ。 ロシア軍はまずミサイルや航空兵力を利用してウクライナの軍事施設や生物化学兵器の研究開発施設を破壊、重要文書を回収している。3月7日にはロシア軍の核生物化学防護部隊を率いるイゴール・キリロフ中将がウクライナの研究施設で回収した文書について発表、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると発表した。 そうした研究施設があることは知られていたが、ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。 3月8日にはアメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官が宣誓の上で証言している。その中でマルコ・ルビオ議員はウクライナにおける生物化学兵器について質問、ヌランドはアメリカの研究施設には兵器になるほど危険な病原体の資料やサンプルが存在、それがロシア側へ渡ることを懸念すると述べた。 こうした研究では遺伝子操作の技術が使われるが、世界的な大手化学会社であるバイエルで重役を務めるステファン・ウールレヒは2021年10月、「WHS(世界健康サミット)」の集まりでmRNA技術を使って製造する「ワクチン」は「遺伝子治療」の薬だと語っている。要するに遺伝子操作を行う「新薬」だということだ。 この新薬に「ワクチン」というタグをつけた理由のひとつは、安全性を確認するために定められた正規の手順を経ずに緊急使用を認めさせるためだが、別の理由もあるようだ。ウールレヒによると、遺伝子操作だと告げると95%の人が拒絶するというのだ。当然だが、タグを取り替えるだけで大多数の人は未知の新薬を体に入れた。 mRNAを利用した「COVID-19ワクチン」を製造している会社はBioNTech/ファイザーとモデルナだが、モデルナの説明を読むと、彼らはmRNA技術を使い、コンピュータのオペレーティング・システムと同じようなプラットフォームを作るつもりだ。 同社の最高医療責任者のタル・ザクスが2017年12月にで行った講演の中で、癌を治療するために遺伝子を書き換える技術について説明したが、これがmRNA技術。つまり遺伝子操作の技術である。 ジョー・バイデン大統領は今年9月12日、バイオ技術の導入を促進するための行政命令に署名した。それを正当化する理由として「COVID-19パンデミック」でバイオ技術が使われたことが挙げられているのだが、この経験は人類にとってバイオ技術は危険だということを再確認させただけである。そうした危険な遺伝子操作をWHO(世界保健機関)は強行するべきだとする報告書を2021年に出している。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ナチスが政策に取り入れた優生学は19世紀にイギリスで始まり、支配層の中に広まった。その思想はアメリカへ伝わって政策に取り入れられ、それに魅了されたのがアドルフ・ヒトラーであり、ナチズムと結びつく。優生学の祖はチャールズ・ダーウィンの従兄弟であるフランシス・ゴルトンだとされている。アメリカで優生学を支えたのはカーネギー財団、ロックフェラー財団、そしてマリー・ハリマンらで、優生学に基づく法律も作られた。 19世紀のイギリスを動かしていた大物として、セシル・ローズ、ネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、アルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)らが知られている。 前にも書いたことだが、その中でも特に重要な役割を果たしたといえる人物がローズ。彼はロスチャイルドをスポンサーとし、南部アフリカ侵略で巨万の富を築いた人物だが、1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に書いた『信仰告白』は興味深い。そこにイギリス支配層の思想が反映されている。 ローズはアングロ・サクソンを最も優秀な人種だと位置づけ、その居住地(支配地)が広がれば広がるほど人類にとって良いのだと主張している。領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務だというのだ。アメリカの先住民、いわゆる「アメリカ・インディアン」を虐殺して土地や資源を奪うことを彼らは当然だと考えていたが、優生学はそれを正当化する根拠になっている。 先住民の虐殺は徹底したもので、1864年には講和を結ぶためにコロラドのフォート・リオンへ向かう途中のシャイエン族約700名がサンド・クリークで約750名のアメリカ兵に襲撃され、老若男女を問わず、全体の6割から7割が虐殺されている。この出来事に基づいて「ソルジャー・ブルー」というタイトルの映画が1969年に制作されている。 1890年12月にはサウスダコタのウンデッド・ニー・クリークにいたスー族をアメリカの騎兵隊が襲撃し、150名から300名が虐殺された。虐殺を正当化するため、ある種の人びとは先住の民は悪魔の創造物だと主張、ある種の人びとは劣等な種だと主張している。 1904年にアメリカのセントルイスでオリンピックが開催されているが、その際、並行して「万国博覧会」も開かれた。1903年までアメリカの民族学局に所属していたウィリアム・マギーは「特別オリンピック」を企画、人種の序列を示している。トップは北ヨーロッパの人びとで、最下位はアメリカ・インディアンだ。アパッチ族のジェロにもが「展示」されたのもその時である。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021) 優生学の背後には自分たちが神に選ばれた人間だという考えがあるのだろう。そのカルト的な考え方を正当化する「科学的」な根拠が優生学だ。優生学の信奉者は「優れた種」をアングロ・サクソンに限定せず、ドイツ系、北方系人種が優秀だと主張、劣等な種を「淘汰」するべきだと考える。ウクライナのネオ・ナチもその神話を信奉している。 優生学的な信仰は「劣等な種」を家畜化する、あるいは絶滅させるという考えだけでなく、遺伝子操作を利用して「超人」を作り出すという考え方につながる。
2022.10.19
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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が7月22日にアメリカを訪問、24日には連邦議会の上下両院合同会議で演説した。イスラエル軍がガザで続けている住民虐殺を正当化するために作り話を延々と続け、議員たちは何度も立ち上がって拍手喝采するという茶番劇が繰り広げられたのである。 証拠を示さずに敵を「悪魔化」して見せるだけでなく、ハマスが「赤ん坊を生きたまま焼き殺した」、ハマスが「1200人を虐殺した」といったすでに嘘だということが明確になっている話も堂々と主張、それをアメリカの議員は受け入れたわけだ。先住民であるアメリカ・インディアンを虐殺、生き残りを「居留地」へ押し込めて建設されたアメリカの議員だけある。 ちなみに、昨年10月にハマスがイスラエルを攻撃した際、約1400名のイスラエル人が殺されたとされたのだが、その中にハマスと交戦したイスラエルの軍人や治安機関員が含まれていると指摘されて1200名に訂正された。その1200名の大半がイスラエル軍に殺害されたことをイスラエルのハーレツ紙が伝えている。敵に人質になる可能性があるイスラエル人は殺して構わないという「ハンニバル指令」が出たという。 同紙によると、イスラエル軍は侵入した武装グループを壊滅させるため、占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊したとしていた。ハーレツの記事を補充した報道もあるのだが、西側の有力メディアはそうした報道を無視する。 イスラエル軍によるガザでの虐殺を西側は支援しているが、中東だけでなく「グローバル・サウス」と呼ばれる国々はイスラエルとその支援国に対して厳しい姿勢を示している。 中東ではサウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、ヨルダンなどアメリカの影響下にあり、イスラエルと友好的な関係を結んでいる国もあるのだが、イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はイスラエルやアメリカなど、イスラエルへ物資を運ぶ船舶を攻撃攻撃、イスラエル経済は破綻しつつある。 7月19日にイエメンはテル・アビブにあるアメリカ領事館の近くをドローンで攻撃、それに対してイスラエルは20日にフダイダ港を攻撃したが、イエメンは報復を宣言、軍事施設と治安施設を標的にするとしている。紅海を迂回する陸路や空路を提供している「一部のアラブ国」、つまりヨルダンへの報復も示唆している。 そのヨルダンにNATOは連絡事務所を設立することを決定したと今月、発表したが、すでに約3000名のアメリカ兵をはじめとする西側の部隊が駐留、軍事インフラも存在している。 イエメンに続き、昨年10月8日からイスラエルを攻撃しているのはレバノンのヒズボラ。イスラエル北部の軍事施設にミサイルを発射、北部に住むイスラエル人入植者8万人が自宅から逃げ出した。 ヒズボラには2500人の特殊部隊員、訓練を受けた2万人の兵士、3万人の予備役、さらに5万人がいると言われている。つまり兵力は10万人を超え、イラク、アフガニスタン、パキスタンの反帝国主義勢力、そしてイエメンのアンサール・アッラーの戦闘員がレバノンへ派遣される可能性もあり、戦闘陣地とトンネルが縦横に張り巡らされ、15万発以上のミサイル(その多くは長距離)が準備されている。こうした勢力と戦い、勝利する力をイスラエルは持っていない。アメリカの支援頼みだと言えるだろう。 昨年10月に戦闘が始まった直後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスチナ人虐殺を正当化するため、「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用している。 「アマレク人」を家畜ともども殺し、その後に「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたと旧約聖書では記述されている。アメリカやイスラエルの傭兵として活動しているダーイッシュ(IS、ISISなどとも表記)が中東の遺跡を破壊した理由もそこにあるかもしれない。 アマレク人は歴史の上で存在が確認されていないが、この民族をイスラエルが敵視している勢力に重ねて見せた。パレスチナ人が生活していた歴史を破壊で消し去るということだろう。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだというのだ。 ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民だ」としたうえで、イザヤの預言を理解しなければならないと主張する。「われわれ」とはイスラエル人、「彼ら」とはパレスチナ人、イスラム教徒、あるいはイスラエル以外の人びとを指しているのだろう。 ネタニヤフはリクードの政治家だが、同じようにこの政党に所属する元国会議員のモシェ・ファイグリンはガザをドレスデンや広島のように破壊するべきだと主張している。実際、破壊されたガザの様子は両都市を彷彿とさせるものがある。 リクードはウラジミール・ヤボチンスキーが1925年に結成した「修正主義シオニスト世界連合」の流れの中から生まれた。彼は第1次世界大戦でイギリス軍の「ユダヤ人部隊」に参加している。イギリスと「ユダヤ人」の関係はヤボチンスキーに限らず、武装組織のハガナや情報組織のニリもイギリス軍に協力していた。 その後、1933年にドイツではナチスが国会議事堂放火事件を利用して実権を握るが、この年の8月にシオニストはナチス政権とユダヤ系ドイツ人をパレスチナへ移住させることで合意した。「ハーバラ合意」である。 ナチスの「ユダヤ人弾圧」によってユダヤ系の人びとをパレスチナへ向かわせることができるとシオニストは考えたようだが、ユダヤ教徒の多数派はパレスチナへ移住しない。ヨーロッパでの生活に慣れている人びとの多くはオーストラリアやアメリカへ向かった。1938年11月にドイツではナチスがユダヤ系住民を襲撃、多くの人が殺され、収容所へ入られ始めるが、この「水晶の夜」以降もユダヤ教徒はパレスチナでなくアメリカやオーストラリアへ逃れた。つまり、ユダヤ人の行き場を作るためにイスラエルが必要だったわけではない。 アメリカへ亡命していたヤボチンスキーは1940年にニューヨークで心臓発作のために死亡、後継者に選ばれたのは後に首相となるメナヘム・ベギン。アメリカでヤボチンスキーの秘書を務めていたベンシオン・ネタニヤフの息子、ベンヤミン・ネタニヤフは現在、イスラエルの首相である。 リクードが力を得る切っ掛けは1967年6月の第3次中東戦争だ。イスラエルがエジプト、シリア、ヨルダンを奇襲攻撃したのだが、戦争勃発の直前、5月30日にイスラエルの情報機関モサドのメイール・アミート長官がアメリカを訪問している。 戦争の最中、6月8日にアメリカ政府は情報収集船の「リバティ」を地中海の東部、イスラエルの沖へ派遣。この艦船をイスラエル軍が沈没寸前まで攻撃している。この攻撃についてリンドン・ジョンソン大統領はすぐに報告を受けるが、ロバート・マクナマラ国防長官は第6艦隊に対し、救援のために離陸した戦闘機をすぐに引き返させるようにと叫んでいる。救援のために戦闘機を空母から向かわせたのは、しばらくしてからだ。 リバティ攻撃はジョンソン政権の意向だという疑惑がある。この政権で秘密工作を統括していた「303委員会」において、1967年4月に「フロントレット615」という計画が説明されたという。リバティを潜水艦と一緒に地中海の東岸、イスラエル沖へ派遣するというもので、実際、後にリバティや潜水艦は派遣されていた。 この計画の中に含まれる「サイアナイド作戦」はリバティを沈没させて責任をエジプト、あるいはソ連に押しつけて戦争を始めようとしたという推測がある。これが事実なら、ジョンソン政権はトンキン湾事件の再現を狙ったということになるだろう。 リバティの近くにいたアメリカの潜水艦アンバージャックが潜望鏡を使って見ていたとする証言もある。リバティの乗組員も潜望鏡を見たとしている。ただ、記録したはずのデータは見つからない。存在していたとしても破棄されてしまっただろう。 第3次中東戦争をアメリカでは「六日戦争」と呼ぶが、それだけ短期間にイスラエル軍は勝利したのだ。ベトナム戦争で苦戦していたアメリカ軍に苛立っていた人びとがイスラエル軍に飛びついたのだ。 アメリカのキリスト教系カルト、いわゆる「聖書根本主義者」はアメリカ軍を「神の軍隊」だと信じていた。彼らの教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じる。その際、再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。 ジェリー・フォルウエルなど有名なテレビ説教師の大半がこの説を信じていたのだが、そのォルウエルを政治の世界へと導いたのはエド・マクティールなる人物。彼はフォルウエルをロナルド・レーガン、ジェシー・ヘルムズ上院議員、そしてジョージ・W・ブッシュ政権で司法長官を務めたジョン・アシュクロフトなどに引き合わせている。それ以降、ヤボチンスキーの後継者をキリスト教系カルトが支えるという構図が出来上がった。(Ken Silverstein & Michael Scherer, "Born-Aain Zionist", Mother Jones, September/October, 2002) 1972年に行われたアメリカの大統領選挙には戦争反対を明確にしていたジョージ・マクガバン上院議員が民主党の候補として選ばれたのだが、これは民主党の支配層にとって衝撃だった。党の内部ではヘンリー・ジャクソン上院議員を中心にして、反マクガバンのグループが出来上がる。CDM(民主党多数派連合)だ。 ジャクソン議員のオフィスにはリチャード・パール、ポール・ウォルフォウィッツ、エリオット・エイブラムズ、ダグラス・フェイス、エイブラム・シュルスキーなど後にネオコンの中核グループを形成する人々が在籍していた。 こうした工作もあり、マクガバンは共和党のリチャード・ニクソンに敗れる。ニクソンはアレン・ダレスに近く、平和的な人物とは言えないのだが、それでもデタント(緊張緩和)を主張する。そこで好戦派は送るのだが、その中にはネオコンも含まれていた。 そのニクソンは1974年8月にウォーターゲート事件で失脚、副大統領だったジェラルド・フォードが昇格、この政権でネオコンは台頭してくる。 新政権でデタント派はパージされ、ドナルド・ラムズフェルド、リチャード・チェイニーなどネオコンがホワイトハウスの主導権を握ったのだ。ポール・ウォルフォウィッツがCIAで反ソ連プロパガンダを行なっていたグループ「チームB」に入ったのもこの時だ。こうした人びとはロナルド・レーガン政権で要職に就く。 チームBの活動には国防総省内のシンクタンクであるONA(ネット評価室)が協力したと言われているが、その室長だったアンドリュー・マーシャルはネオコンに戦略を提供してきた人物。ラムズフェルドはこの人物に心酔していた。またマーシャルの師と言われている人物がバーナード・ルイス。ルイスはサミュエル・ハンチントンと同じように「文明の衝突」を主張、シオニストを支持している。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005) イスラエルの強さはアメリカのキリスト教系カルトの支援を受けているためだけではない。世界の有力者を脅す材料を握っていると言われている。 イスラエルの電子情報機関、8200部隊は少なからぬ「民間企業」を創設し、電子技術を利用して情報を収集しているが、それ以外にも脅迫のための仕組みが存在する。 有力者の弱みを握り、操り、自分たちの利益を図る人たちは昔からいた。そのひとりが禁酒法時代に密造酒で大儲けしたルイス・ローゼンスティールだと言われている。ローゼンスティールと「親子のように」親しく、犯罪組織ガンビーノ・ファミリーのメンバー、例えばジョン・ゴッチの法律顧問にもなっていたのがロイ・コーンなる弁護士だ。 コーンはコロンビア法科大学院を卒業後、親のコネを使ってマンハッタンの地方検事だったアービン・セイポールの下で働き始めたが、この検事はコミュニストの摘発で有名。1950年にソ連のスパイとして逮捕されたジュリアス・ローゼンバーグとエセル・ローゼンバーグの夫妻の裁判でコーンが重要や役割を果たしたことも知られている。 コーンは1950年代にジョセフ・マッカーシー上院議員の側近として活動、反ファシスト派の粛清でも重要な役割を果たした。この粛清劇は「マッカーシー旋風」や「レッド・バージ」とも呼ばれている。マッカーシーの黒幕はFBI長官だったJ・エドガー・フーバーで、コーンはマッカーシーとフーバーの間に入っていた。 化粧品で有名なエステイ・ローダーもコーンが親しくしていたひとりで、エスティの息子であるロバート・ローダーはドナルド・とペンシルベニア大学時代からの友人。ベンヤミン・ネタニヤフと親しく、「世界ユダヤ人会議」の議長だ。1973年にコーンはトランプの法律顧問になり、AIDSで死亡する85年までその職にあった。 このコーンの後継者ではないかと疑われているのが2019年7月に性犯罪の容疑で逮捕され、同年8月に房の中で死亡たジェフリー・エプスタイン。自殺とされているが、その刑務所の事情に詳しい人はありえないとしている。 ロバート・ローダーの前に「世界ユダヤ人会議」の議長を務めたエドガー・ブロンフマンも密造酒の家系で、父親のサミュエル・ブロンフマンはローゼンスティールの仲間。エドガーの弟、チャールズが1991年に創設した「メガ・グループ」はイスラエル・ロビーとされているが、イスラエルの情報機関と緊密な関係にあると言われている。エドガー・ブロンフマンの関係でイスラエルの情報機関へ引き込まれたひとりがエプスタインだ。 エプスタインは未成年の女性と有力者を引き合わせ、ふたりの行為を盗撮し、それを利用して後に恫喝の材料に使っていたと言われている。そのエプスタインは2011年にビル・ゲイツと親しくしていたとニューヨーク・タイムズ紙が伝えたのは2019年10月12日のことだった。 エプスタイン、彼と親密な関係にあったギスレイン・マクスウェル、そして彼女の父親はイギリスのミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルはいずれもイスラエルの情報機関のために働いていたと言われている。マクスウェルはエプスタインをイランとの武器取引に加えようとしていたようだ。 イスラエル軍の情報機関ERDに所属、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経験のあるアリ・ベンメナシェによると、3名ともイスラエル軍の情報機関(AMAM)に所属していた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) ギスレインとエプスタインは1990年代に知り合ったとされているが、ベンメナシェによると、ふたりは1980年代に親しくなっている。ニューヨーク・ポスト紙の元発行人、スティーブン・ホッフェンバーグによると、ふたりはあるパーティで知り合ったという。 ロバート・マクスウェルがAMANのエージェントになったのは1960年代だとも言われ、ソ連消滅でも重要な役割を果たしたと言われいるが、ソ連消滅の前の月、つまり1991年11月にカナリア諸島沖で死体となって発見されている。
2024.07.27
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スーミからロシアのクルスクへ軍事侵攻を試みたウクライナ軍はクルスク原子力発電所を目指していたと推測されている。8月11日に同軍は南東部にあるザポリージャ原子力発電所の冷却塔をドローンで攻撃、火災が発生したという。原子力発電所は安全保障上、大きなリスクだと言えるだろう。アメリカの命令で中国やロシアとの戦争を準備している日本には原発が乱立している。 ロシア政府との交渉を有利にするためだとも言われているが、ロシア政府はアメリカ/NATOが約束を守らないと悟り、話し合いで問題を解決できないと腹を括っているはずだ。そこで原発を攻撃するという一種の「原子力恫喝」を試みたのかもしれない。 アメリカ政府は核による恫喝を交渉で使ったことがある。例えば、ドワイト・アイゼンハワーは1953年に大統領となった直後、泥沼化した朝鮮戦争から抜け出そうと考え、中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。休戦は同年7月に実現した。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) その後、アメリカは矛先をインドシナへ向けるのだが、そうした中、1958年8月から9月にかけて台湾海峡で軍事的な緊張が高まる。1971年にベトナム戦争に関する国防総省の秘密報告書を有力メディアへ流したダニエル・エルズバーグによると、1958年の危機当時、ジョン・フォスター・ダレス国務長官は金門島と馬祖に核兵器を投下する準備をしていた。 ウクライナ軍は3個旅団程度でスーミからロシアのクルスクへ軍事侵攻を試みたものの、約5キロメートルほどロシア領内へ入ったところでロシア空軍の攻撃で大きなダメージを受け、撤退したようだ。現地の住民によると、ER GMLRS(GPS誘導に対応したMLRS)はすべて迎撃された。 それに対し、ウクライナ政府は自国軍がロシア領内深くへ侵攻したと主張、それを西側の有力メディアは垂れ流しているが、現地へ入ったジャーナリストの報告を見ても、ウクライナ軍は見当たらない。アメリカ国務省のベーダント・パテル副報道官によると、アメリカはウクライナとロシアの軍事基地を攻撃するために長距離ミサイルATACMSを使用する可能性について協議しているというが、ロシアの軍事基地が攻撃されたという話は聞こえてこない。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.08.14
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ドナルド・トランプ米大統領が5月13日に北京へ到着、歓待を受けたのだが、11日に北京入りしたタジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領ほどではなかった。中国とタジキスタンは12日、北京の人民大会堂で恒久善隣友好協力条約に署名、習主席は「一帯一路(BRI)」構想の枠組みの下で開発戦略を深く連携させ、互いの開発目標達成を支援しようと呼びかけた。トランプ大統領はそのBRIを破壊しようとしている。アメリカがイスラエルと共同でイランを奇襲攻撃した理由のひとつはそこにある。 トランプ大統領は今回の中国訪問で「勝利」を演出しようと目論んでいると見られているが、少なからぬ人が指摘しているように、スタッフによる事前の準備をしていない。トランプ大統領が望んでいるのは表面的なイメージにすぎず、中身のある交渉を行うつもりはない。中国はトランプの演出に付き合うのも悪くないと考えているのだろうが、何かを期待しているとは思えない。 そのトランプが距離を置こうとしているウクライナの戦況に変化はない。夏に向かってロシア軍が攻勢を強めるとも見られている。キエフ政権側は兵士の不足が深刻で、街中での拉致は続いているが、住民の抵抗が強まり、最近では農村での拉致が指摘されている。 国外へ逃げたウクライナ人男性を帰国させようという動きもあるが、それでも足りないためヨーロッパ各国だけでなくラテン・アメリカからも「傭兵」が集められている。ラテン・アメリカの場合、相当数が犯罪組織のメンバーだと言われ、帰国時には戦闘技術を身につけているだけでなく、武器も持ち出している。その戦闘技術と武器で政府軍と戦うことになる。 こうした状況からも分かるように、キエフ体制の敗北は決定的だが、ロシアとの戦争を始めたことでEU諸国は経済が麻痺、社会は崩壊しつつある。NATO軍がロシア軍と戦うという宣伝も聞くが、ロシア軍に勝てるとは思えない。 そうした中、ウォロディミル・ゼレンスキーの報道官だったユリア・メンデルがタッカー・カールソンのYouTubeチャンネルに登場した。彼女の話はすでに言われていたことだが、ゼレンスキーの周辺にいた人の発言という意味は軽くない。 彼女はゼレンスキーが2022年、ドンバスを放棄することに同意していたと話している。実際、ロシア政府とウクライナ政府は停戦で合意、仮調印し、ウラジミル・プーチン露大統領は善意の印としてキエフ北部の地域を支配していた戦車部隊を3月31日から撤退させるようロシア軍に命じた。こうしたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。 その合意を壊すため、イギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンは4月9日にキエフへ乗り込み、戦争を継続するようキエフ政権に命令した。イギリスは今でも他のEU諸国と一緒に戦争を継続するようウクライナに命じている。(ココやココ) メンデルによると、ゼレンスキーはマネー・ロンダリング計画を容認し、ナチ党でプロパガンダを指揮していたヨーゼフ・ゲッベルスのようなプロパガンダ活動」を行うよう要求。政敵だけでなくゼレンスキーを批判する人物を前線へ送っていたという。戦場の最前線へ送られれば、数週間で死亡する。また、ゼレンスキーがコカインを常用していることは公然の秘密だとしているが、その通りだ。 ウクライナい国民は強制的な動員、政府の汚職、停電、そして戦争などに対する不満は高まっているが、ゼレンスキー体制による処罰を恐れて沈黙、EU諸国はこうした実態を知りながら沈黙するどころか戦争の継続を要求している。アメリカの国防総省はウクライナで生物兵器の研究開発を実施、マネーロンダリングも行われてきた。その一方、ロシアとの戦争を始めたことからEUの経済は破綻、社会は崩壊しつつある。 EUは2022年2月以降、ウクライナ政権を支援するために約2000億ユーロを投入、さらに900億ユーロを融資しようとしている。そうした資金は凍結されているロシアの資産から盗ろうとしているが、ロシアが黙っているとは思えない。 西側からウクライナへ流れこんだ資金の一部は同国支配層の懐へ入り、オフショア市場の銀行口座へ沈んでいるが、相当部分は兵器の購入代金として西側諸国へ還流、EU支配層を潤してもいる。戦争が終わると戦争中の犯罪行為が露見するだけでなく、戦争で維持している経済は立ち行かなくなる。カネ儲けを続けるためにはウクライナ人が死に絶えても構わないと彼らは考えているとしか思えない。**********************************************楽天ブログにアクセスしにくい場合は下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.14
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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は読売新聞が行ったインタビューの中で弾薬や戦闘機を含む兵器をさらに供給するように訴えたようだ。戦闘が続いているドンバスでの戦況は「良くない」と大統領は認め、ロシア軍は連日ウクライナ軍の約3倍の弾薬を発射していると語っている。ロシア軍は武器弾薬が枯渇し、旧式の戦車を引っ張り出しているとする西側の有力メディアの宣伝をあっさり否定した。武器弾薬が供給されなけれは「反撃」は不可能だというわけだ。 アメリカ/NATOは2014年からウクライナの戦力を増強するために兵器を供給したり兵士を訓練し、東部などに地下要塞を建設してきた。当初からアメリカはHIMARS(高機動ロケット砲システム)を、イギリスはM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)を、フランスをカエサル155mm自走榴弾砲を提供してきたが、大半はロシア軍に破壊されたと言われている。 ここにきてアメリカ/NATOはドイツ製戦車「レオパルト2」数十両とイギリス製戦車「チャレンジャー2」を提供、アメリカ製の「M1エイブラムズ」は数週間後に届くという。イギリスはチャレンジャー2で使える劣化ウラン弾も供給、ウクライナ兵に扱い方を説明している映像をイギリス国防省は流している。 アメリカが提供した、あるいは提供を予定しているブラッドリー装甲戦闘車両やM1エイブラムス戦車はいずれも劣化ウラン弾を発射できることから注目されていたが、イギリスはすでに劣化ウラン弾を引き渡したわけだ。アメリカ軍はイラクのファルージャを攻撃した際に劣化ウラン弾を使用、放射能障害の原因になったとも言われている。劣化ウラン弾は小型核兵器のカモフラージュに使われたという噂もあった。 劣化ウランは比重が鉄の2.5倍、鉛の1.7倍あり、貫通力が大きい。そこで対戦車用の砲弾としてアメリカはイラクで使ったのだが、単に重いだけでなく、放射線を出す一種の核兵器でもある。環境を汚染することは確実。穀倉地帯を核汚染することになる。 ロシア軍は暗視装置、熱線暗視装置、射撃統制システムなどが装備されている改良型のT-72戦車のほか、新型のT-90Mを既に投入済み。さらに最新型戦車のT-14を準備中だとされている。こうした戦車を劣化ウラン弾で攻撃するためには射程圏内にターゲットが存在、そのターゲットを正確に砲撃して破壊しなければならない。そのためには戦車の性能と乗員の技量が問題になる。 キエフではロシア軍が旧型のT-54/55を引っ張り出さざるをえない状況になっていると主張しているようだ。キエフ側のレオパルト2、チャレンジャー2、M1エイブラムズがロシア側のT-54/55による戦車戦が展開されるかのように宣伝しているのだが、ロシア軍はチェチェン戦争以来、T-54/55を大砲として使っている。 また戦車は航空兵力の支援なしに戦うことはできない。ゼレンスキー大統領がF-16などの戦闘機を欲しがっている理由のひとつはそこにあるかもしれないが、ロシアはすでにMigG-31やSu-57がウクライナとの国境近くに配備されているようだ。これらが搭載できる極超音速ミサイルR-37Mは200キロメートル以上離れた航空機を撃墜した実績がある。 ウクライナの内戦は2014年2月にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチが排除された直後に始まった。2010年の大統領選挙で勝利したヤヌコビッチの支持基盤は東部と南部で、7割以上が彼に投票していた。 クーデターを仕掛けたのはアメリカのバラク・オバマ政権で、手先として使われたのはネオ・ナチだ。ロシアの影響をウクライナから一層するという点で両者の思惑は一致していた。かつてシオニストがパレスチナで行ったようなことをウクライナで実行しようとしたわけだ。 キエフでネオ・ナチが行っている残虐行為を知ったクリミアの住民は2014年3月16日の住民投票を経てロシアと統合する道を選ぶ。80%を超える住民が投票に参加して95%以上が加盟に賛成したのだ。 それに対し、4月12日にCIA長官だったジョン・ブレナンがキエフを極秘訪問、22日には副大統領だったジョー・バイデンもキエフを訪問する。そして5月2日、クーデター軍が制圧していたオデッサでは反クーデター派の住民が労働組合会館の中でネオ・ナチの右派セクターによって虐殺された。 5月9日にはクーデター軍がドネツクのマリウポリへ戦車部隊を突入させ、住民を殺している。デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にキエフ政権はルガンスクの住宅街を空爆している。このマリウポリは内務省の親衛隊がドンバス支配の拠点にし、要塞化するのだが、親衛隊の主力はネオ・ナチにほかならない。 その間、ドンバス(ドネツクやルガンスク)でも自治(ドネツク)や独立(ルガンスク)の是非を問う住民投票が5月11日に実施され、ドンバスでは89%が賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が賛成(投票率75%)している。これが住民の意志であり、クーデター体制と戦うことになった。 それから8年かけてアメリカ/NATOはクーデター体制の戦闘力を増強させるが、そのための時間稼ぎが「ミンスク合意」だったことは本ブログでも繰り返し書いた。 そして2022年2月21日にロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバスの独立を承認、2月24日にウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃しはじめた。部隊がドンバス周辺に集まっていたこともあり、短期間にキエフ政権側は大きなダメージを受け、そして停戦交渉が始まる。 その交渉を仲介したのはイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットだ。そのベネットをインタビューした5時間近い映像が2月4日に公開された。話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたようだ。 2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ。 4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出した。 そうした中、4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。 ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官とサマンサ・パワーUSAID長官は今年2月23日にCNNタウン・ホールでスピーチ、その中でサリバンは「ロシアはすでに(ウクライナでの)戦争で負けている」と主張、パワーはウクライナでの戦争をアメリカとロシアによるもので、アメリカが支持されていると語っている。 言うまでもなくサリバンの主張は嘘で、ウクライナでの戦闘でロシア軍が勝っていることは確実。ゼレンスキー政権は崩壊しつつある。ウクライナを舞台にした戦争でアメリカが支持されているわけではなく、この点、パワーの主張は正しくないが、アメリカとロシアの戦争だと言うことは事実だ。 ロシア軍のミサイル攻撃が始まって間もない段階でゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始めていたが、その交渉はアメリカやイギリスによって壊された。両国はロシアを疲弊させ、最終的には破壊しようとしているわけで、ウクライナが破壊されてもウクライナ人が殺されても気にかけない。そこで「玉砕攻撃」が続くわけだ。今でもウクライナ兵はロシア軍のミサイル攻撃で殺されている。
2023.03.31
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イスラエル軍は8月10日、住民が避難しているアル-タバインの学校を3機のミサイルで攻撃、100人以上が殺され、数十人が負傷したと伝えられている。このミサイルの爆発は強力で、遺体は全て肉片になっているため、誰なのかを確認することが困難なようだ。 昨年10月に戦闘が始まって以来、イスラエル軍は病院や学校をターゲットにしてきた。国連児童基金(ユニセフ)によると、イスラエル軍はガザの避難民が暮らす学校の50%以上を直接爆撃したという。「ハマスは学校や病院などを拠点にしている」という口実でイスラエル軍はガザの住民を根絶やしにしようとしている。 開戦当初、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」と口にした。「旧約聖書」の申命記25章17節から19節にそう書かれているのだ。「アマレク人」を家畜ともども殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたという。彼はパレスチナ人をアマレク人とみなしている。パレスチナ人を皆殺しにするだけでなく、歴史から消し去ると言っているのだ。 彼はサムエル記上15章3節の話もした。そこには「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。これこそがガザでイスラエルが行っていることだ。またギラド・エルダン国連大使は10月8日に安全保障理事会で「これはイスラエルの9/11だ」と演説、ヨアブ・ギャラント国防相はパレスチナ人を「獣」だと表現した。 イスラエルはそうした宣言通りのことをしている。「ハマス」は彼らにとって口実に過ぎない。パレスチナ人を根絶やしにしようとしているのだ。それが「イスラエル」なる国の歴史でもある。そうした残虐行為を繰り返しているイスラエルをアメリカやイギリスをはじめとする西側の国々は支援している。アメリカ民主党の大統領候補、カマラ・ハリス副大統領も例外ではない。 アメリカ軍と同様、イスラエル軍は非武装の人びと、特に子どもや女性を虐殺しているが、ハマスに勝つことができないでいる。8月12日にはヒズボラが30発以上のロケット弾でイスラエル北部と西ガリラヤを攻撃、Xなどで流れている映像を見ると、防空システムのアイアンドームは突破されたようだ。 ヒズボラは司令部をベイルートから移動させたと言われ、大規模な攻撃を準備しているのではないかと言われている。すでにイスラエル国内では人びとの間に動揺があり、国外へ脱出する光景も見られる。 アメリカの情報機関は大統領と国家安全保障チームに対し、イランは怯えており、何らかの重大な報復措置を講じる可能性は低いと説明しているという。ネオコンは何度間違えても「脅せば相手は屈する」という教義から離れられないようだが、元CIA分析官のラリー・ジョンソンはその見方を否定している。彼によると、イランはイスラエルとは異なって感情に流されて行動することはなく、ロシアと強力な情報、監視、偵察能力の支援を受け、次の行動を計画している。 イスラエルでは、イスマイル・ハニヤ暗殺に対する報復を行うかどうかイランは決めかねていると伝えられている一方、情報機関の評価として、イランは報復としてイスラエルを直接攻撃する準備を整え、数日以内に攻撃する可能性が高いとしている。 学校にたいすミサイル攻撃は挑発という側面もあるのだろう。ヒズボラどころかハマスにも自力で勝てないイスラエルとしては状況を悪化させてアメリカをイランとの戦争へ引き込もうとしている可能性がある。
2024.08.13
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アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ウォロドミル・ゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問した際、イギリスの対外情報機関MI6(SIS)のリチャード・ムーア長官を非公式に訪問、会談している。その訪問はジャーナリストに察知され、撮影された。その事実からゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はムーア長官だと推測されている。会談後、ゼレンスキーの警護担当者はウクライナ人からイギリス人へ交代になったという。ゼレンスキー政権はMI6政権だということもできる。MI6は歴史的にシティ(ロンドンを拠点とする金融資本)と関係が深い。 降伏か「総玉砕」かという状況に陥っているウクライナでの戦争継続に意味を見出せないドナルド・トランプ米大統領はウラジミル・プーチン露大統領と交渉を開始、今月下旬にはサウジアラビアで会うと言われている。ロシアとの交渉を進めたいなら、アメリカはロシアの要求を相当部分呑む必要がある。バラク・オバマ政権が2013年11月に始めたウクライナのクーデターで獲得した利権の相当部分を手放さなければならなくなるだろうが、それをトランプはウクライナのクーデター体制から回収しようとしている。ロシアにとってウクライナの戦争は祖国防衛が目的であり、ミンスク合意や戦闘の凍結のようなことでNATO諸国に時間を稼がせるつもりはないはずで、トランプ大統領にとっては厳しい会談になると見られている。 しかし、和平へ向かうことをネオコンやその配下にあるヨーロッパ諸国の政府は焦っていることだろう。そうした状況の中、イギリスのキール・スターマー政権は2万5000人の部隊を編成、フランスと連携してウクライナへ派兵する話が流れている。日本でもこうした欧米の好戦派に同調した主張をしている政治家もいる。アメリカが楽勝すると思い込んでいたであろう人びとは慌てているはずだ。 ソ連を消滅させることに成功したアメリカの好戦派は21世紀に入ってロシアが再独立した後、ロシアの再制圧を目指している。2004年から05年にかけて「オレンジ革命」や2013年11月から14年2月にかけてのキエフにおけるクーデターもその一環だ。アメリカは暴力によって縄張りを東へ移動させてきた。そうした侵略行為にロシアは耐えていたのだが、「やりすぎ」てロシアを怒らせてしまった。怒ったロシアをなだめることは至難の業だ。。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2025.02.18
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ジェフリー・エプスタインの友人として知られる富豪のロバート・クラフトはアメリカン・フットボールNFLのニューイングランド・ペイトリオッツを所有していることでも知られている。そのクラフトが「パレスチナを解放しろ」とエド・シーランのコンサートで発言したラッパーのマックルモアを主催者に排除させたことは前回にも取り上げた。 この言論弾圧でクラフトはNFLのオーナー仲間であるアーサー・ブランク(アトランタ・ファルコンズ)、デビッド・テッパー(カロライナ・パンサーズ)、ジェフリー・ルーリー(フィラデルフィア・イーグルス)と共同で行なったと伝えられている。国家による言論弾圧を批判する人の中には私的権力者による言論弾圧に寛容な人は少なくない。富豪が築き上げた私的権力のネットワーク、いわゆる「ディープ・ステート」の言論弾圧にシーランは屈したのだが、彼に対する批判は収まらない。 ポッドキャスト「チャポ・トラップ・ハウス」のホストを務めるウィル・メナカーはマックルモアの排除をプロモーターの決定だと弁明したシーランを嘲笑、彼は「その気になればプロモーターに対して『くたばれ』と簡単に言い放てるほどの大物アーティスト」であり、「卑劣で臆病な人間」と批判。評論家のカイバン・シュロフはシーランの「政治色を出さない」というスタイルについて、「親イスラエル派の億万長者に自身の政治的スタンスを決めさせた」のであり、「会場を所有する億万長者に問題を解決させてしまったのだ」としている。しかも、2022年にはウクライナのネオ・ナチ体制を支援するための資金集めコンサートをシーランは躊躇なく行なった。 クラフトたちによる言論弾圧に対する批判が広がる中、イスラエルを擁護する人びとはマックルモアが過去に反ユダヤ主義的な言動を繰り返してきたという主張を展開しているが、その根拠とされている出来事は2014年にシアトルのEMP博物館で行われたサプライズ・ショー。変装し、正体を隠してイベントに行えば面白いだろうということで、つけ鼻を着用したのだ。 マックルモアによると、付け髭をいくつか選び、日本ツアーで使ったウィッグも使うことにしたのだが、コスチューム・ショップで売られていた付け鼻に適当なものがなく、結局、魔女のような大きな鼻を使うことになったのだが、この変装が反ユダヤ主義だとされ、ADL(名誉毀損防止同盟)のジョナサン・グリーンブラット会長はマックルモアが「長年にわたり、反ユダヤ主義的な比喩表現を広めてきた」と主張する。 一貫してパレスチナ人への支持を表明、イスラエルによる大量虐殺を非難してきたマックルモアは2024年に「ヒンドのホール」という曲を発表した。ヒンドとは、ガザでイスラエル軍に殺された5歳のパレスチナ人少女の名前、ヒンド・ラジャブを指している。彼女は殺された親族の遺体に囲まれながら車内に取り残され、イスラエル軍の銃撃によって殺されたのだ。 ピンク・フロイドを創設したひとりであるロジャー・ウォーターズはマックルモア排除の件について、マックルモアが「正しいこと」のために立ち上がったのに対し、エド・シーランは単なる商業主義的な「卑劣な奴」に過ぎないと言い放った。 公民権運動の指導者として知られるマーチン・ルーサー・キング牧師は1967年4月4日、ニューヨークのリバーサイド教会で開かれた「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」主催の集まりに参加した。 主催者の発表した声明の冒頭部分に書かれていた「沈黙が背信である時が来ている」という主張にキング牧師は賛成、「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」というタイトルで演説している。イスラエルのパレスチナ人虐殺に沈黙することも背信だ。 ところが、ロン・ポール元下院議員によると、キング牧師の顧問たちは牧師に対し、ベトナム戦争に焦点を当てないよう牧師に懇願していたという。そうした発言はリンドン・ジョンソン大統領との関係を悪化させると判断したからだが、牧師はそうしたアドバイスを無視、「リベラル派」とされる人々と対立することになる。 キング牧師が暗殺されたのはリバーサイド教会での説教から1年後の1968年4月4日のことだ。ダニエル・エルズバーグは宣誓供述書の中で、キング牧師を暗殺したのは非番、あるいは引退したFBI捜査官で編成されたJ・エドガー・フーバー長官直属のグループだと聞いたとしている。(William F. Pepper, “The Plot to Kill King,” Skyhorse, 2016) テト攻勢の後、ロックの世界でもベトナム戦争に反対する声が高まっていた。その中心にいたひとりがローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズだが、1969年7月3日にプールで死亡した。ジョーンズの親友で、ギネス家のニコラス・フィッツジェラルドとその友人は彼がプールで殺されるところを目撃したと証言している。 フィッツジェラルドによると、目撃した直後、藪の中からひとりの男が現れ、「ここから立ち去れ、フィッツジェラルド、さもないと次はおまえだぞ。」と言われたという。一緒に目撃した友人は行方不明になったとも語っている。(John L. Potash, “Drugs as Weapons Against Us,” Trine Day, 2015) マーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺されたことを知ったロック・ギタリストのジミー・ヘンドリックスはブラックパンサーなどを支援するようになり、FBIから監視されるようになった。彼のマネージャーを務めたマイク・ジェフリーはイギリスの対外情報機関MI6の元エージェント(情報機関に「元」は存在しない)だとされている。ヘンドリックスの麻薬スキャンダルはジェフリーが仕組んだと疑われている。 ヘンドリックスはジェフリーを解雇しようとするが、1969年に犯罪組織がヘンドリックスを誘拐、それをジェフリーが彼のマフィア人脈を利用して救出するという出来事があった。 それでもヘンドリックスは1970年9月16日にジェフリーを解雇、その翌日にヘンドリックスは死亡する。ロンドンのアパートで昏睡状態になっている彼を恋人のモニカ・ダンネマンが発見、すぐに救急車で病院へ運ばれたが、彼女によると、発見時にジミーはまだ生きていた。ロンドン警視庁は診断したジョン・バニスター医師の証言として、ジミーは病院へ到着した段階で死亡していたと発表しているが、救急隊はそれを否定している。 反戦コンサートに参加する計画を立てていたジャニス・ジョプリンは1970年10月4日に死亡した。高濃度のヘロイン摂取によるショック死だとされている。 戦争に反対する意思を明確にしていたジョン・レノンは1975年から音楽活動を休止していたが、1980年に活動を再開。それから間もない同年12月8日に射殺された。1979年12月にNATO理事会は83年にパーシング2ミサイル572基をNATO加盟国に配備することを決定、核戦争を懸念する声が世界的に高まっていた。 ロック・バンドのイーグルスが1977年に発表した「ホテル・カリフォルニア」に、ワインを持ってきて欲しいとホテルの人間に言うと、「そんなスピリットはここにはない。1969年からね」という部分が歌詞の中にある。言うまでもなく「スピリット」は魂とか精神を意味している。1969年にはウッドストック・フェスティバルが開催され、ロックはビジネス度が高まり、精神は消えていく。 そしてシーランのような人物が「スター」として売り出されていくのだが、彼のような人物は政治やメディアの世界にも少なくない。目立つのは「左翼キャラ」や「右翼キャラ」、つまり「キャラ族」ばかりであり、本物の左翼や右翼は見当たらない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.19
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キエフの暫定政権はネオ・ナチを中心とするグループを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒し、誕生した。その背後に「西側」、特にネオコンがいたことも今では明確になっている。暴力的な制圧は行わないという縛りを「西側」にかけられたヤヌコビッチ大統領は正直に約束を守り、国を追われることになった。 そのクーデターを最前線で指揮していたのがアンドレイ・パルビー。ネオ・ナチの「ウクライナ社会ナショナル党(スボボダの旧党名)」を仲間と創設し、「オレンジ革命」を率いたひとり。アメリカの特殊部隊ともつながり、現在は暫定政権で国防省や軍を統括する「国家安全保障国防会議」の議長を務めている。その副議長はやはりネオ・ナチで、右派セクターを率いるドミトロ・ヤロシュ。 そのヤロシュと同じように右派セクターのリーダーだったアレキサンダー・ムージチコ(別名サーシャ・ビリー)が3月24日に死亡した。警察は自殺だと主張、内務省は銃撃戦で射殺されたとしているが、ウクライナ議会のアレキサンダー・ドニ議員は暗殺、あるいは処刑されたのだとしている。つまり、ムージチコの乗った自動車が2台に自動車に止められ、後ろ手に手錠されて心臓へ2発の銃弾を撃ち込まれたのだという。 ムージチコは自分が命を狙われていることに気づいていたようで、その辺の事情を説明する映像を残し、10日前にYouTubeへアップロードしている。検事総長室や内務大臣が彼の処分を決定、殺害するか、捕まえてロシアへ引き渡し、全ての責任をロシアの情報機関になすりつけて非難する段取りになっているとしている。 右派セクターはアルセン・アバコフ内務大臣が殺害を命令したと主張、大臣の解任と殺害に関与した特殊部隊員の逮捕を要求していたのだが、すぐ静かになってしまった。当初は報復を口にしていたヤロシュもおとなしく、本部はキエフから東部の都市、ドニプロペトロフシクへ移動したという。東部や南部の反クーデター派を制圧する作戦に参加するためだろうが、キエフから追放されたようにも見える。 ムージチコはチェチェンでロシア軍と戦い、その残虐さで有名になった人物で、イスラム教スンニ派の武装勢力(アル・カイダ)とも関係がある。クーデター後には検察官事務所に押しかけてスタッフに暴力を振るったり、武装解除を求めてきた暫定政権の人間を恫喝している様子がインターネット上に流れ、その粗暴さで広く知られていた。そうした粗暴さを嫌った「西側」がムージチコを排除したという見方もできるのだが、別の情報も流れている。原子力発電が関係しているというのだ。 原発は事故が起こると生態系を破壊、規模によっては人類の存続さえ危うくする存在。政府も東電もIAEAも情報を隠しているが、事故を起こした東電福島第一原発は今も危険な状態が続いている。すでに相当数の作業員が死亡したと噂されているが、住民の間で死者が出ていると双葉町の井戸川克隆元町長は語っている。 ウクライナでもソ連時代に大きな原発事故があった。1986年4月にチェルノブイリ原発で起こった事故だ。住民も放射性物質の怖さを知っているはずだが、「オレンジ革命」以降、ウクライナでは原発を動かすためにアメリカのウエスチングハウス製燃料を使っているようだ。無謀としか言いようがない。2年前には事故寸前という事態になったともされている。 それだけでなく、暫定政権は秘密裏に「西側」と協定を結び、EU加盟国の放射性廃棄物をウクライナに貯蔵するつもりだとも言われている。この秘密協定を知ったムージチコは暫定政権を脅そうと計画、それを察知したアバコフ内相は彼を殺させたという見方(原文)もある。ロシアとNATOが軍事衝突する前にウクライナは死滅するかもしれない。
2014.04.30
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国連の決定には関係なく、ICC(国際刑事裁判所)はシリアのバシャール・アル・アサド大統領の起訴を目論んでいるのだという。 シリア軍による多くの残虐行為を目撃したというムスリム同胞団の某家族による訴えに基づき、人類への犯罪で起訴するのだという。シリアがICCに加盟していないことは無視されている。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ、当初はトルコやカタールがリビアやシリアへの侵略に参加、その手先としてムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を主力とする傭兵が使われてきた。シリアで住民を虐殺しているのはこの勢力だ。 シリアより1カ月前から侵略戦争が始まったリビアでもICCの名前が出てきた。侵略を正当化するため、「人権擁護団体」、西側の有力メディア、アメリカバラク・オバマ政権などは政府が兵士にバイアグラを配布り、レイプさせているという偽情報を流していたのだが、ICCのルイス・モレノ・オカンポ主任検察官も同じ主張をしていたのだ。 しかし、このときはリビア情勢を担当する国連人権調査団のシェリフ・バッシオウニ団長からすぐに批判された。反カダフィ派が制圧しているリビア東部を訪れた際にそうした主張を耳にしたが、首都トリポリでは政府側の人びとが同じことを話していたが、そうした話を裏づける証拠は何もないとしている。「人権擁護団体」も被害者を見つけることができなかった。 話はこれで終わらなかった。オカンポ自身がオフィスで女性をレイプしたことが判明したのだ。ただ、検察官には起訴されない特権があるため、罪に問われていない。また、起訴した相手を脅してカネを要求していたともいう。 オバマ大統領はイスラム諸国での政権転覆を実行するため、2010年8月にPSD-11という指針を出したが、今回、アサドを訴えたムスリム同胞団はその主力と位置づけられていた。 カダフィ体制が倒され、カダフィ自身が惨殺された後、侵略勢力は戦闘員と武器/兵器をシリアへ移動させるが、その工作の拠点はベンガジのアメリカ領事館やCIAの施設だった。 その領事館が2012年9月11日に襲撃され、リビア駐在のアメリカ大使だったクリストファー・スティーブンスが殺されている。その前日に大使はCIAの担当者と会談、襲撃当日は海運会社の社員と会っていたとジャーナリストのシーモア・ハーシュは主張している。オバマ政権がムスリム同胞団を重用することへの反発からサラフィ主義者が襲ったとする説もある。 ムスリム同胞団とサラフィ主義者との間に対立はあるようだが、シリア人から見れば両方とも侵略者にほかならない。その侵略勢力は崩壊状態。一部はアメリカの軍や情報機関が救出、保護したり次の工作地へ運んでいるようだ。ICCはそうした勢力に替わってアサド政権を倒すつもりなのだろうか?
2019.03.17
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ウクライナ情勢だとしてハリウッド的な話が西側では流れているが、そのウクライナでは広告会社がプロパガンダ戦を展開している。この戦いに参加している会社の数は150社以上だという。イギリスのBBCは3月17日、ロシア軍が16日にマリウポリの劇場を空爆したと伝えたが、それを伝えたオリシア・キミアックは広告の専門家だ。 そのマリウポリから脱出した住民はカメラの前で、劇場を破壊したのはアゾフ大隊だと語っている。産婦人科病院への攻撃についても、その前に医師や看護師などスタッフ、そして患者は追い出され、戦闘員が入って要塞化されていたとしている。 病院についてはオンライン新聞の「レンタ・ル」もマリウポリから脱出した別の人物から同じ証言を得ている。その記事が掲載されたのは現地時間で3月8日午前0時1分。マリウポリからの避難民を取材したのだが、その避難民によると、2月28日に制服を着た兵士が問題の産婦人科病院へやってきて、全ての鍵を閉め、病院のスタッフを追い払って銃撃ポイントを作ったとしている。 ロシア軍が攻撃目標を軍事施設に集中しているとする指摘がアメリカ軍の内部から聞こえてくる。例えばニューズウィーク誌によると、軍の情報機関DIAは長距離ミサイルが攻撃しているターゲットは軍事施設だと説明し、住民が狙われているとする話を否定している。 また、ウクライナでもアメリカ政府はシリアと同じように生物化学兵器による「偽旗攻撃」が宣伝されているが、アメリカ国防総省の高官はロシアによる化学兵器や生物兵器の攻撃が差し迫っていることを示す証拠はないと語っている。 バラク・オバマ政権がネオ・ナチを使い、ウクライナでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチを倒したのは2014年2月のこと。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はロシア語を話す人が多く、クーデター勢力と対決したり、ロシアに助けを求める人も少なくない。マリウポリもヤヌコビッチの支持基盤で、住民はロシアに親近感を抱いていた。 そのマリウポリへキエフのクーデター勢力は5月9日に戦車部隊を突入させ、銃撃で住民を死傷させている。その際、住民が逃げずに集まり、兵士に抗議、その様子は携帯電話で撮影され、世界に発信されたが、西側では住民を助けようとせず、大多数の人びとは沈黙していた。 その後、マリウポリを拠点にしたのが親衛隊の中核である「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」。親衛隊はネオ・ナチを中心に編成された内務省の武装組織である。クーデター後に西部地域から移住した人でなければ、住民が恐れているのは親衛隊だろう。 戦争にプロパガンダはつきものだが、アメリカが広告会社を盛んに使い始めたのは1990年代以降だろう。例えば、1990年8月にイラク軍がクウェートへ軍事侵攻した際、アメリカ下院の人権会議でイラク軍の残虐性を涙ながらに少女「ナイラ」は訴えた。 しかし、この少女は駐米クウェート大使の娘。現場にはいなかった。アル・イダー病院でイラク兵が赤ん坊を保育器の中から出して冷たい床に放置、赤ん坊は死亡したという話は真っ赤の嘘だったのである。この「証言」を演出したのがPR会社のヒル・アンド・ノールトンだ。 1999年3月にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃、破壊と殺戮を展開し、国を解体する。その前にセルビア人を悪魔化するための宣伝が繰り広げられた。その仕事を請け負ったのはルダー・フィン・グローバル・コミュニケーションという広告会社。1991年に「民族浄化」を行ったクロアチア政府がこの会社と契約している。 1999年にはアメリカのメディアにとって重要な出来事があった。アメリカ陸軍第4心理作戦群の隊員が2週間ほどCNNの本部で活動したのである。「産業訓練」というプログラムの一環で、編集に直接はタッチしていなかったというが、心理戦の部隊を受け入れると言うこと自体、報道機関としては許されない行為だ。その後、CNNはプロパガンダ機関色が濃くなる。アメリカ軍の広報担当、トーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。(Trouw, 21 February 2000) 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された際にも有力メディアは政府の宣伝機関として動き、侵略戦争に合意するよう人々を誘導した。リビアやシリアでも嘘のオンパレードだったことは本ブログでも繰り返し書いてきた。 日本でも広告会社が政治に果たす役割が高まっているようだ。
2022.03.27
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アメリカのネオコンが仕掛けたロシアとの戦争をイギリス政府だけでなく、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランドの政府はそれを継続しようとしている。ドイツの新首相、フリードリヒ・メルツは選挙公約を投げ捨て、ロシアとの戦争を続けるために多額の負債を国民に追わせることを決めた。 勿論、こうした国の他にもロシアとの戦争へ向かっている国がある。そのひとつが2023年4月にNATO加盟国になったフィンランド。フィンランドのNATO加盟に対抗するため、ロシアはレニングラード軍管区を編成した。 当時、同国の大統領だったサウリ・ニーニストはロシアに対する敵対的な発言をしている事で知られているが、現大統領のアレクサンデル・ストゥブは「国際法の範囲内」という条件付きで、西側諸国から提供された武器でウクライナ軍がロシア領土を攻撃することに問題はないと語る。そのストゥブはウクライナへの武器供給政策の拡大を提唱している。フィンランドという国自体が反ロシアになっているように見える。EUの外務安全保障政策上級代表を務めるエストニア人のカヤ・カラスもロシアとの戦争を望んでいる。 ところで、メルツはアンゲラ・メルケルのライバルだった政治家だったが、2004年にはメイヤー・ブラウン法律事務所の上級顧問に就任した起業弁護士でもある。2009年には政界から身を引き、大企業の重役を務めているのだが、そうした会社のひとつがブラックロック・ドイツ。2016年から20年にかけて監査役を務めている。 ブラックロックは「闇の銀行」のひとつ。「闇の銀行」とは銀行のような規制は受けない巨大金融機関で、メディアやシリコンバレーのハイテク企業を含むアメリカの主要500社の9割近くを支配している。 ブラックロックを率いるラリー・フィンクはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも関係が深い。ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである可能性が高いことは本ブログでも書いてきた。MI6はシティ、つまりイギリスの金融界と関係が深い機関だ。 ウクライナは兵器のほか「復興資金」を西側政府から提供されているが、その資金の使い道に関してアドバイスしているのがブラックロックだという。ゼレンスキーはブラックロックのほか、JPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にあることを明らかにしている。メルツはこうした金融資本の手先であり、2021年に政界へ舞い戻った。 メルツもアンナレーナ・ベアボックと同じようにドイツを破壊しようとしている。2013年11月から14年2月にかけてウクライナで実行されたクーデターでロシアから天然ガスをヨーロッパへ運ぶパイプラインがアメリカに抑えられ、2022年9月にはウクライナを迂回してロシアからドイツへ天然ガスを運ぶ「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が爆破された。ジョー・バイデン政権の犯行だった可能性が高い。 クーデターによってビクトル・ヤヌコビッチ政権は2014年2月、ネオ・ナチによるクーデターで倒された。そのネオ・ナチを操っていたのはアメリカのバラク・オバマ政権にほかならない。ウクライナにネオコンの傀儡国家を築き、その傀儡国家をNATOが飲み込むことでロシアを軍事的に威圧すると同時にヨーロッパとロシアを分断しようとしたのだ。 ヨーロッパとロシアは天然ガスで結びつきを強めていた。安価なロシア産天然ガスはヨーロッパ経済を支えていたのだ。ロシアからヨーロッパへ天然ガスを輸送するためにパイプラインが使われているが、その多くがウクライナを経由していたのだ。 アメリカのネオコンはウクライナを制圧することでドイツから安価な天然ガスの供給元を潰し、ロシアからヨーロッパという巨大マーケットを奪う予定だったと見られているが、ロシアは中国との関係が強化されて今では戦略的な同盟関係にある。またロシア国内から外国資本が撤退したため、国内産業が成長している。苦境に陥ったのはヨーロッパである。 それだけでなく、ドイツでは軍がアメリカの命令通りに動いている。ロシアのメディア、RTのマルガリータ・シモニャン編集長はドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監や作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将、そして連邦軍宇宙本部の2名による会話を録音した38分間の音声記録を公開している。その会話は2024年2月19日に行われたという。宇宙本部の人間は2月21日にウクライナを訪れ、ロシア本土への攻撃準備についても話し合ったとされている。 その4名はクリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋(ケルチ橋)の爆破について話し合っている。ドイツ国防省は会話がどのように記録されたかを調査を開始、ドイツ国内で録音を聞けないようにブロックしていることから音声は本物である可能性が高い。この話し合いは長距離ミサイル「タウルスKEPD 350」のウクライナへの供給に絡んで行われたものだ。ドイツ軍はネオコンの命令に従い、ドイツの社会や経済を破壊しようとしている。 ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンもロシアとの関係を強め、2015年9月にはロシアで年間15万基のエンジンを生産する能力がある新工場を始動させた。ロシアとの関係を断てというアメリカから命令を無視したのだ。そのフォルクスワーゲンが排ガス規制を不正に回避するためのソフトウエアを一部の自動車に搭載させたとアメリカの環境保護局はその直後に発表した。 昨年10月、フォルクスワーゲンの経営者は従業員代表に対し、ドイツ国内の少なくとも3工場を閉鎖する意向を伝えたという。すでにアメリカがドイツの自動車メーカーを呑み込もうとしているが、中国の自動車会社もドイツの工場に興味を示しているようだ。 フランスの経済界もロシアとの関係を維持しようとしていた。例えば大手石油会社トタルもアメリカからの圧力を押し返し、ロシアとの取り引きを拡大していた。キエフでのクーデターから5カ月後には、トタルの会長兼CEOだったクリストフ・ド・マルジェリが石油取引をドルで決済する必要はないと主張、ユーロの役割を高めれば良いとしていた。その3カ月後の2014年10月、ド・マルジェリはモスクワ・ブヌコボ空港で事故死している。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2025.03.22
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ウクライナでの戦乱はアメリカの軍事と外交を支配してきたネオコンによって始められたのだが、現在のアメリカ大統領、ドナルド・トランプはウクライナから距離を置き、ロシアへ接近している。 そこで浮上してきたのがベーリング海峡の下に天然資源を輸送するためのトンネルを建設し、アメリカ大陸とユーラシア大陸を結ぶという話だ。RDIF(ロシア直接投資基金)のCEOを務めるキリル・ドミトリエフはこの構想を打ち出している。 アメリカはロシアとの関係を強化し、ロシアと中国との関係を壊そうとする可能性があるが、ロシアはアメリカと手を組んで中国と対峙するつもりはないと明言している。 これに対し、EU/NATOの現リーダーは反ロシア感情が強く、戦争でロシアを疲弊させると主張しているのだが、ロシアは疲弊せず、ヨーロッパ諸国の経済は壊滅的なダメージを受け、社会は崩壊しそうだ。いずれの国でも政府に対する国民の怒りは高まっている。 ウクライナではアメリカを後ろ盾とするNABU(ウクライナ国家汚職対策局)とSAPO(特別反腐敗検察)が汚職捜査「ミダス作戦」を進めているが、この捜査で法務大臣を名乗っていたヘルマン・ハルシチェンコとエネルギー大臣を名乗っていたスビトラーナ・グリンチュークはすでに辞任、国防大臣を務めていたルステム・ウメロウは7月に辞任を表明し、11月に入って国外へ脱出、カタールにいると言われている。コメディアン時代からゼレンスキーと親しいテレビ制作会社共同オーナーのティムール・ミンディッチはイスラエルへ逃亡したという。 アメリカの国防総省はウクライナで生物兵器の研究開発を進めていたが、それだけでなく、資源や耕作地の略奪、マネーロンダリング、人身売買、臓器売買などさまざまな犯罪行為の舞台になっている。ゼレンスキーの周辺が不正な蓄財をしているだけでなく、西側諸国の政治家などへのキックバックが相当額に上ると噂されている。 ウクライナにおける資金の動きをコントロールしているのは巨大金融機関のブラックロックやJPモルガン。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。なお、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。 西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯を狙っているが、2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配している。 カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。 ウクライナの利権、あわよくばロシアの富を盗もうとしていた西側の巨大資本にとって現在の戦況は良くない。停戦でNATOに戦力回復の時間を与えるつもりのないロシアは攻勢を強めている。8年かけて築いた要塞線はすでに崩壊、ロシア軍の進撃速度についていけず、取り残されたNATOの軍幹部も少なくないようだ。 時間の経過に伴って西側の置かれた状況は悪くなると判断したアメリカはロシア政府の要求を呑み、経済関係の改善と発展へと舵を切ろうとしているのかもしれないが、ネオコンに操られてきたEUの現指導部は戦争を長引かせようと必死だ。ゼレンスキーやその周辺が資金の流れを話し始めたなら、彼らは破滅だろう。ロシアとの戦争を始めた勢力は、戦争でウクライナやロシアの富を手に入れられるという前提で計画を書き上げていたように見える。 ウクライナにおける現在の戦争はアメリカのバラク・オバマ政権が始めた。2013年11月から14年2月にかけてキエフにあるユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクーデターを開始、合法的に選ばれていたビクトル・ヤヌコビッチ大統領は排除されるのだ。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部ではクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化し、ドンバスでは武装抵抗を始めて内戦になった。 内戦は反クーデター派が有利な展開になったが、その理由のひとつは軍や治安機関の約7割のメンバーが離脱、一部はドンバスの抵抗組織に入ったことにある。そこで2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」と呼ばれる停戦合意で武装抵抗を弱め、NATO諸国は年少者を集めて軍事訓練する一方で兵器を供与し、地下要塞を中心に要塞線を建設した。そうした作業は2022年2月まで続く。キエフのクーデター政権は停戦合意を守らなかった。 2014年6月から19年5月までウクライナの大統領を務めたペトロ・ポロシェンコも反ロシア感情の強い人物だが、その背後にはアメリカが存在していた。歴史的にロシアとウクライナは一体だったこともあり、親戚が両国にまたがっていることが少なくない。西側諸国やウクライナの「エリート」とは違い、ウクライナ人の多くはロシアとの友好的な関係を望んでいた。 そうした気持ちを利用して2019年の大統領選挙で勝利したのがウォロディミル・ゼレンスキーだが、その翌年、彼がイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである疑いが強まった。イギリスを公式訪問した際、秘密裏にMI6の本部を訪れ、MI6長官だったリチャード・ムーアと会ったのだ。そこで、そのムーアがゼレンスキーのハンドラー(工作員を管理する担当オフィサー)だと見られている。 このようにイギリスと関係が深いゼレンスキーだが、ウクライナの戦況は圧倒的にロシアが優勢。イギリスの内部にもゼレンスキーを排除したがっている人たちがいる。そうした人たちがゼレンスキーの後継者と考えられているのはバレリ・ザルジニー元軍最高司令官だ。ザルジニーは2024年5月から駐英大使を務めている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.15
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ロシア軍によるキエフへの攻撃が続いている。イスカンデルM弾道ミサイル、ジルコン極超音速ミサイル、KH101巡航ミサイル、カリブル巡航ミサイルのほか自爆ドローンや朝鮮製のKN23弾道ミサイルが使われたようだ。 こうした攻撃によって軍事施設、主要インフラ、製造工場などが破壊され、ポーランド、ドイツ、フランスなどから派遣された技術者も死亡したと伝えられている。ロシア国防省は声明で、ロシア軍がキエフ周辺の輸送インフラ施設と物流センターを攻撃したと発表している。ロシア軍は兵站を重要な攻撃目標にしていると言えるだろう。 攻撃された工場の中にはデュポン、モンサント、カーギルなど食糧ビジネス企業が含まれているが、ウクライナの耕作地はこうした企業が所有、穀物はヨーロッパへ運ばれてきた。すでに壊滅状態のウクライナ軍では兵士が飢餓で苦しんでいるのだが、今後、ヨーロッパも飢饉に襲われる可能性が高い。 ウクライナでは徴兵担当官が街頭で男性を拉致、軍事訓練をほとんどしないまま最前線へ送り込み、「バンザイ突撃」を強いられている。そのため戦死者が増えているが、それだけでなく脱走も増加、ウォロディミル・ゼレンスキー政権は男性だけでなく女性も徴兵対象にすると言い始めている。 ロシア軍がウクライナの海上輸送を封鎖する前、ウクライナ/NATOは「ウクライナ製の水上ドローン」でロシアの艦船、潜水艦、タンカーに対抗していた。表向きはウクライナ企業のUforceが開発したとされてが、この会社はロンドンが拠点。この水上ドローンはイギリスで設計され、製造されている。開発にはF1のイギリス人エンジニアが関与しているとも言われている。 2014年2月にウクライナで対ロシア戦争を始めたアメリカのバラク・オバマ政権にとって、ウクライナもロシアもスラブ系の国。スラブ系の人びとを互いに殺させ、空いた土地を自分たちが盗むという筋書きだったのだろうが、ロシアは疲弊せず、ヨーロッパ諸国が崩壊しつつある。 複数のターゲット国を互いに戦わせ、共倒れにさせるという手口はイギリスの得意技だが、それをアメリカのネオコンは真似してウクライナで戦争を始めた。西アジアではシーア派、スンニ派、ユダヤ教徒などの対立を煽り全域を支配しようとしている。そのための「航空母艦」がイスラエルにほかならない。アメリカ、イギリス、イスラエルはひとつの国だと考えるべきだ。 東アジアでは明治維新以降、日本を操り、戦乱で地域を破壊、財宝を奪ってきた。ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ体制を倒すためにイギリス、フランス、アメリカ、日本は軍隊を派遣して干渉戦争を展開したが、その際、日本軍はロシアから金塊を持ち帰ったことが判明している。 また1937年7月の「盧溝橋事件」で日本と中国は全面戦争に突入、同年12月に日本軍は南京を制圧するが、その際の作戦が不味かったこともあり、虐殺事件を引き起こしている。この攻略戦を上海派遣軍の司令官として指揮したのは昭和天皇の叔父にあたる朝香宮鳩彦だ。 この攻略戦で日本軍は組織的な財宝略奪を始める。「金の百合」だ。この作戦を指揮したのは秩父宮雍仁、その補佐役は竹田宮恒徳。財宝は一旦フィリピンへ運び、そこから日本へ運ばれる仕組みが作られたのだが、途中で戦局が悪化して輸送が困難になり、相当部分がフィリピンに隠された。運び出しに成功した金塊は東京にあるスイス系銀行、マカオにあるポルトガル系銀行、あるいはチリやアルゼンチンの銀行に運び込まれたという。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003) 日本が降伏すると、アメリカ軍のエドワード・ランズデール大尉(当時)は1945年10月中旬、財宝の隠し場所を日本軍の捕虜から聞き出すことに成功する。当時、ランズデールはアメリカ軍のG2(情報部)に所属、そのトップはチャールズ・ウィロビー少将だが、本当の所属は情報機関OSSだった。 そのランズデールの下にいた情報将校のセベリーノ・ガルシア・ディアス・サンタ・ロマーナも日本軍が隠した財宝に関する情報を持っていたが、その愛人がイメルダ・ロムアルデス。ロマーナはこの女性をフェルディナンド・マルコスに紹介、ふたりは結婚した。 回収した金塊をフィリピンから国外の銀行へ移す作業はDNPエンタープライズが中心になって行われ、そのネットワークの中にはウォーレス・グローブスも含まれていた。 グローブスが所有するカジノを経営していたのはユダヤ系ギャングでCIAと手を組んでいたメイヤー・ランスキー。このギャングはイタリア系のラッキー・ルチアーノと少年時代からの友人で、このふたりはユダヤ系ギャングのアーノルド・ロステインの配下に入っていた。 ランズデールは財宝に関する情報を東京のダグラス・マッカーサー元帥、ウィロビー少将、そしてGS(民政局)のコートニー・ホイットニー准将に報告、さらにワシントンDCへ行き、ジョン・マグルーダー准将に説明している。ランズデールをフィリピンへ行かせたのはこのマグルーダーにほかならない。 マグルーダー准将はウィリアム・ドノバンOSS長官の部下。マグルーダー准将の指示で、ランズデールはハリー・トルーマン大統領の国家安全保障を担当していたスタッフにも会っている。 金の百合の回収が進められていた頃、ヨーロッパでは「ナチ・ゴールド」が回収されていた。ジョン・ロフタスとマーク・アーロンズによると、ナチがヨーロッパで略奪した資金はドノバンのWCC(世界通商)でロンダリングされ、戦後にタイへ運ばれたという証言もある。(John Loftus & Mark Aarons, “The Secret War against the Jews”, St. Martin’s Press, 1994) 閑話休題。ロシア軍はオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃、沈没させることで黒海に面した港を封鎖、そこでウクライナ/NATOはドナウ川を利用して物資を輸送しているのだが、ロシア軍はウクライナとNATO加盟国を隔てるドナウ川に面したレニ港やイズマイル港を攻撃した。ドナウ川を利用できなくなると、ウクライナ/NATOの兵站は危機的な状態になった。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.23
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イスラム革命防衛隊(IRGC)がアメリカ海軍の空母とミサイル駆逐艦に対して弾道ミサイルを発射したと同隊は9月5日に発表した。イラン側によると、アメリカの空母と駆逐艦は損傷を受けて撤退したという。同時にIRGCはホルムズ海峡の「非認可ルート」を航行していた石油タンカー3隻攻撃とアメリカに関連する別の3隻を攻撃したしたという。それに対し、CENTCOM(アメリカ中央軍)は同日、イランの原油タンカー3隻を攻撃したと発表した。 CENTCOMはタンカーに対する攻撃について空母と駆逐艦に対する攻撃への報復だとしているが、その前、8月30日にアメリカ軍はドローンでララク島を攻撃している。 イランはオマーンと3週間にわたってホルムズ海峡の通航管理を誰が担うかについて水面下で交渉、航行の管理や通航船舶からのデータ収集を行う「共同調整センター」の設置について両国は合意に近い段階にあったとされているが、その管理システムにおいてララク島は中心的な役割を果たすことになっていた。そのララク島をCENTCOMは攻撃したのだ。 それ以外にイラン人を怒らせる攻撃をアメリカは実行した。アメリカ軍は8月30日に結婚式場を爆撃、式に参加していた市民のうち少なくとも5名が殺され、70人以上が負傷したと報じられている。目撃者によると、結婚式に参加するため数十人の住民が集まっていた。 IRGCによるのアメリカ海軍の空母やミ駆逐艦に対する攻撃はそうしたアメリカ軍による攻撃を受けて実行されたわけで、報復だと言える。イランの原油タンカーに対する攻撃に対する報復も不可避だ。 アメリカの政府や軍は強硬発言を繰り返しているが、口先だけだ。少し前、空母「エイブラハム・リンカーン」の劣悪な食事や生活環境が問題になったが、これは西アジアに派遣されているアメリカの艦船全般に言えること。艦船のシャワーはカビだらけで、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえに食事は悲惨な状態だ。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。その結果、乗組員5000人の精神衛生も悪化、海への飛び込む人が少なくないとされている。その原因はアメリカ軍の兵站拠点の崩壊にある。 2月28日にアメリカ軍はイスラエル軍と共同でイランを騙し討ちにして最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害したのだが、それでもイランの体制は倒れず、すぐにイスラエルの主要都市や西アジアにあるアメリカ軍基地に対する報復攻撃が開始された。 イランの標的にはアメリカ軍が使っているカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが含まれる。イスラエルのテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺なども攻撃された。 バーレーンの第5艦隊基地はアメリカ海軍の艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、アメリカの艦船は補給が困難になった。今ではミサイルや食糧を補給するため、インド洋の中央部にあるディエゴガルシア基地やシンガポールまで行く必要がある。 アメリカ軍はイラン軍との戦争で劣勢にあること明白だが、「無敵のアメリカ」を演出したいドナルド・トランプ大統領は攻撃とプロパガンダで乗り切ろうとしているが難しそうだ。そうした演出はアメリカの置かれた状況をさらに悪化させている。 アメリカのシオニストは責任をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に負わせて逃げようとしているが難しそうで、トランプ大統領の周辺には「戦術核」を選択肢と考える人びとがいると伝えれている。いうまでもなく、「戦術核」という概念には意味がない。核兵器を使えば容易に「戦略核」へエスカレートする。 トランプ政権はウクライナでも窮地に陥っている。すでにウクライナのクーデター体制は崩壊状態にあり、NATOが前面に出つつある。アメリカ政府の特使であるスティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーはモスクワからキエフへ向かったが、一旦ポーランドのジェシュフへ向かい、そこで航空機から列車に乗り換えてキエフ入りしている。NATOがウクライナへ軍事物資を運ぼうとしていたことからロシア軍がキエフの空港を爆撃、損傷していたからだとも言われている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.07
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ハマスを含むパレスチナ系武装グループが2023年10月7日にイスラエルを攻撃した。「アル・アクサの洪水」である。その攻撃に関する情報をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は事前に把握、しかも隠蔽していたとイスラエルのハーレツ紙は報道した。 同紙によると、ネタニヤフ首相は攻撃の1週間半前、アラブ首長国連邦のハンマド・ビン・ザイード大統領から電話で警告されていたのだが、何も行動を起こさなかったという。ビン・ザイードの電話会談は45分間にわたり、その中でハマスのガザ地区指導者がイスラエルに対する大規模な作戦を計画していると警告したのだが、その警告を首相は安全保障当局者へ伝えなかったというのだ。またイスラエル政府はエジプトの情報機関からもハマスによる攻撃が迫っていると警告されていたとハーレツ紙は伝えている。 この攻撃で約1400名のイスラエル人が死亡したとされているが、当時のハーレツ紙による報道によると、イスラエル軍は侵入した武装集団を壊滅させるため、選挙された建物を人質と一緒に砲撃で破壊したという。イスラエル市民をイスラエル軍は殺害したということだ。そしてイスラエル軍はハマスの攻撃を口実にしてガザ住民の大量虐殺を始めた。 ネタニヤフ首相は攻撃の直後、「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出した。聖書の中でユダヤ人の敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねてみせたのだ。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたとされている。これこそがガザやレバノンでイスラエルが行ってきたことだというわけだ。 ネタニヤフ首相はハマスによる攻撃を事前に知っていただけでなく、イスラム教徒を挑発していた。イスラムの聖地であるアル・アクサ・モスクに対して冒涜的な行為を繰り返していたのだ。 例えば今年4月1日、イスラエルの警察官はイスラム世界で第3番目の聖地だというアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺、4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクに突入し、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/今年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃、そしてユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。ユダヤ教徒の一部はアル・アクサ・モスクを破壊し、「第3神殿」を建設するべきだと主張していた。 その後、イスラエルはガザで民族浄化作戦を展開したが、その犠牲者がどの程度は明確でない。多くが瓦礫の下に埋もれ、それをイスラエル側は運び去っているが、これは事実を隠すことが目的だろう。 ネタニヤフ首相はウラジミール・ジャボチンスキーが1925年に結成した「修正主義シオニスト世界連合」の流れを汲む。ジャボチンスキーは1940年にアメリカで心臓発作のために死亡したが、アメリカ時代に彼の秘書を務めていたベンシオン・ネタニヤフはベンヤミン・ネタニヤフの父親にほかならない。その後、ジャボチンスキー派は1970年代に福音派キリスト教徒、キリスト教原理主義者、あるいは聖書根本主義者と呼ばれているグループに支援されて勢力を拡大させた。 ガザでの推定犠牲者数はいくつか示されている。医学雑誌「ランセット」は2023年10月7日から24年6月30日までの間にガザで外傷によって死亡した人数は6万4260人で、そのうち女性、18歳未満、65歳以上が59.1%だと推計する論文を発表した。 また、「ハーバード大学学長およびフェロー」のウェブサイト「データバース」に掲載されたヤコブ・ガルブの報告書では、イスラエル軍とハマスの戦闘が始まる前に約222万7000人だったガザの人口が調査時点では185万人に減少、つまり37万7000人が行方不明になっているとしている。死亡者の約4割が子どもであり、女性を含めると約7割に達するという推計を採用すると、殺害された子どもの数は15万人になる。 2023年10月7日にイスラエルと攻撃したハマスは1987年12月にシーク・アーメド・ヤシンらによって創設された。ヤシンはムスリム同胞団の一員としてパレスチナで活動していた人物で、イスラエルの治安機関であるシン・ベトの監視下、1973年にムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を、そして76年にはイスラム協会を設立。そしてハマスは1987年にイスラム協会の軍事部門として作られた。 イスラエルがハマスを創設した目的は、PLO(パレスチナ解放機構)の中心的な組織、ファタハ(パレスチナ民族解放運動)を率いていたヤセル・アラファト対策のためだ。アラファトのライバルを育て、内部対立させることで運動を弱体化させようとしたのである。 しかし、時間が経過するにつれ、ハマスの内部にパレスチナ解放を目指そうというメンバーが増えてくる。元々のメンバーはカタールで保護されているが、パレスチナ解放を目指すメンバーはレバノンなどへ移動させられているようだ。 それでも、シーモア・ハーシュによると、2009年にネタニヤフは首相へ返り咲いた際、PLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした。そのため、ネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。イスラエルとハマスとの関係は切れていないということだろう。 2019年3月にクネセト(イスラエル議会)のリクード党議員との会合でネタニヤフは「パレスチナ国家の樹立を阻止したい者はハマスを支援し、ハマスに資金を送金することを支持しなければならない」と語ったと伝えられている。 ネタニヤフはパレスチナで民族浄化を実行するだけでなく、「大イスラエル構想」も持っている。西アジア全域からイスラム教徒を追い出してイスラエルにしようと考えている。この計画はジャボチンスキーたちだけのものではなく、アメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンの支配者たちのものでもある。彼らは北アメリカやオーストラリアで先住民を虐殺し、自分たちが望む人びとを移住させ、自分たちの国を作り上げた。ウクライナでも先住のスラブ人が殺されているが、ロシアの反撃でアングロ・サクソン系の支配者は苦境に立っている。 アメリカ軍とイスラエル軍は「大イスラエル」を実現するため、2月28日にイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師やアブドルラヒム・ムサビ参謀総長を含むイランの要人を殺害、態勢を転覆させて国を乗っ取ろうとしたが、失敗した。 外部の意向を受け、ウクライナにおける対ロシア戦争や西アジアの対イラン戦争をドナルド・トランプ政権内で指揮しているのはスティーブン・ミラー大統領次席補佐官と行政管理予算局のラッセル・ボート局長だと言われている。ネタニヤフが指揮しているわけではない。ウクライナやイランで敗北した責任を彼らはウォロディミル・ゼレンスキーとネタニヤフに負わせようとしている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.14
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露軍のウクライナに対する攻撃がさらに激化 ロシア軍のウクライナに対する激しい攻撃が続いている。オデッサをはじめ黒海に面した港をミサイルやドローンによる攻撃で封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊して兵站線を断ち切った。ウクライナは武器弾薬を受け取れることができず、ヨーロッパ諸国は食糧を確保できない状態。キエフではNATOの地下司令部を含む施設が破壊され、ウクライナのネオ・ナチや外国人傭兵も死傷しているが、その中にはイギリス軍の将校も含まれていると伝えられている。 昨年までロシア軍はウクライナを手加減しながら攻撃、軍の内部だけでなく、国民の間でも不満が募っていた。そうした姿勢が今年に入ってから大きく変化したのだが、その一因は昨年12月28日から29日にかけてのモスクワ北西部に対するドローン攻撃だったと言われている。 ノブゴロド州にある大統領公邸に向けて91機のドローンが発射されたのだが、それらをロシア軍は撃墜、そのドローンの航法装置をロシア軍は調査し、飛行計画を含むファイルを取り出すことに成功した。攻撃の最終目的地はロシア大統領官邸内の施設の一つであったのだ。つまりウラジミル・プーチン露大統領の命を狙ったのだ。その後、ロシア軍による攻撃は激しくなり、NATO軍の将校が死傷したとする話をよく聞くようになった。この攻撃はアメリカの情報機関CIAやイギリスの情報機関MI6がウクライナに情報を提供するなど支援しなければ不可能だ。 したがって、このプーチン暗殺計画ではジョン・ラトクリフCIA長官が重要な役割を果たしたはずだが、この人物が8月25日にアメリカ軍のC-17A輸送機(RCH4555)でモスクワのブヌーコボ空港へ到着した。この訪問でラトクリフはプーチン大統領やセルゲイ・ラブロフ外相には会えていない。つまり相手にされなかった。イギリス海軍のスティーブ・ジャーミー代将は、ロシアが収容していたCIA工作員の遺体を引き取りに行ったのではないかと推測している。スロビキン上級大将 ロシア軍の攻撃が激しくなる中、同軍のセルゲイ・スロビキン上級大将が話題になっている。この人物はロシアの傭兵会社ワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンやミハイル・ミジンチェフ上級大将と親しかったと言われているが、この会社はロシアの情報機関によって創設され、ロシア軍参謀本部の第1副本部長を務めているウラジーミル・ステパノビッチ・アレクセーエフ中将が背後にいたと言われていた。 スロビキンは2022年10月からドンバス、ヘルソン、ザポリージャの戦闘を指揮していた軍人であり、ミジンチェフはマリウポリを解放した作戦の指揮官。スロビキンが指揮するようになった頃からロシア軍は戦闘を本格化させ、ウクライナ軍を粉砕し始めた。 プリゴジンは2023年5月、セルゲイ・ショイグ国防相(当時)やワレリー・ゲラシモフ参謀総長を公然と批判しているが、ウラジミル・プーチン政権の姿勢が甘いという批判でもある。 アメリカのバラク・オバマ大統領はネオ・ナチ勢力を利用してキエフでクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、軍や治安機関の約7割はクーデター体制への従属を嫌って組織を離れ、一部は反クーデター軍に合流したと言われている。 そこでNATO諸国はクーデター体制の戦力を増強するために時間が必要になり、ドイツやフランスが仲介する形で停戦が決まる。2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」だ。西側諸国の話し合いとは戦闘態勢を立て直すための時間稼ぎにすぎないとブリゴジンたちは考えていたのだろう。 NATO/ウクライナ軍は2022年3月にドンバス(ドネツクとルガンスク)に対する侵攻作戦を開始しようとしていたことが後に判明するが、そうした動きを察知したロシア政府は同年2月、ウクライナに対するミサイル攻撃を開始した。 プーチン政権に不満を持つブリゴジンは2023年6月に部隊を率いてモスクワへ向かうものの、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介で騒動は治った。 そして同年8月23日にモスクワ北西部でビジネス・ジェットが墜落。乗員乗客10名全員、その乗客名簿にプルゴジンの名前があったことから、彼も死亡したとされているが、真相は不明だ。その後、ワグナー・グループはロシア軍に吸収された。ショイグは2024年5月に安全保障会議書記へ移動、副首相を務めていた経済を専門とするアンドレイ・ベローゾフが後任に選ばれている。 プリゴジンをめぐる騒動後、スロビキンは北アフリカで活動していたと言われている。その任務が終了、今はモスクワにいて新たな任務につく、あるいはついたという。この推測とウクライナに対するロシア軍の攻撃激化を結びつける人もいる。 プリゴジン騒動から間もない2023年秋までにウクライナ軍は壊滅状態になり、イギリスのベン・ウォレス前国防大臣は同年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。 今年8月28日に放送された番組の中で元GUR総局長のキリロ・ブダノフ大統領府長官は、ウクライナ軍の戦力を維持するためには少なくとも毎月3万人を動員しなければならないと語った。つまりウクライナ軍は毎月、その程度の兵士が死傷して戦線から離脱していることを認めたのだ。今ではウクライナ国内から男性の姿が消え、女性を徴兵すべきだとする主張まで出ている。NATOの対ロシア戦争 NATOの対ロシア戦争は2014年2月にオバマ政権がキエフでネオ・ナチを利用したクーデターでヤヌコビッチ政権を倒したところから始まると言って間違いではないが、アメリカの対ロシア戦争は2008年8月から始まるという見方もできる。ジョージアが南オセチアを奇襲攻撃したのだ。これは北京オリンピックの開催に合わせて実行された。 この軍事侵攻を仕掛けたジョージアのミヘイル・サーカシビリ大統領は西側にとって都合の悪い政権を倒すため、2003年11月に実行された「バラ革命」を経て登場してきた人物。2002年5月から05年8月にかけてジョージア駐在アメリカ大使を務めていたのはクーデターの仕掛け人とも言われているリチャード・マイルズ。トビリシの大使館で彼はサーカシビリ陣営をコーチしていた。(Guardian, November 26, 2004) 2003年の選挙前、CIAの工作資金を扱っているUSAIDは選挙の信頼度を上げるためだとして投票のコンピュータ化を求め、150万ドルを提供。コンピュータ化によって投票数の操作が容易になることはいうまでもない。コンピュータ化を求めたのはアメリカが不正選挙を目論んでいたからだと推測する人もいる。 サーカシビリは1992年に国立キエフ大学を卒業しているが、そこでペトロ・ポロシェンコなる人物と親しくなっている。2014年2月にウクライナではアメリカ主導のクーデターがあったが、その後にポロシェンコはウクライナ大統領に就任した。 サーカシビリは1994年にアメリカのコロンビア・ロー・スクール(法科大学院)で学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学ロー・スクールに通っている。その後、彼はニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働き、そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたという。 ジョージアが南オセチアを奇襲攻撃する約8時間前、サーカシビリ大統領はロシアとの関係強化を求める南オセチアの分離独立派に対話を訴え、油断させていた。奇襲攻撃の開始は23時35分だ。(The Times, August 8, 2008) その当時、南オセチアに駐留していた平和維持部隊は軍事的な能力は低く、アメリカやイスラエルの軍事訓練を受けているジョージア軍の前になす術がなかった。そこでロシア軍は戦闘車両150両を送り込むなど即座に反撃、ジョージア軍に対する空爆も開始。ロシア軍はイスラエル軍に貸されていたふたつの基地も攻撃、航空機を着陸させてジョージア軍を攻撃したと言われている。イスラエル軍を含めてロシア軍は粉砕してしまった。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Progressive Press, 2019) この奇襲攻撃の背後にアメリカ政府がいたことをうかがわせる出来事もある。攻撃の約1カ月前の7月10日にアメリカの国務長官を務めていたコンドリーサ・ライスがジョージアを訪問していた。奇襲攻撃の直後、8月15日にもライスはジョージアを訪問、サーカシビリと会談している。 また、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズは元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣、「アフガニスタンに派遣される部隊」を訓練しているが、それ以上に重要な役割を演じたのはイスラエルだ。 イスラエル軍のガル・ヒルシュ予備役准将が経営する「防衛の盾」は2001年から予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士を教官としてジョージアへ送り込み、ロシアとの戦争に備えて武器を提供、それと同時に軍事訓練を行った。軍事訓練の責任者はヒルシュのほか、イスラエル軍の退役将軍イースラエル・ジブ。イスラエルは「イラクでNATO軍を助けるため」に訓練していることになっていたのだが、実際はオセチアやアブハアーズへ派遣される兵士だった。(Ynet, August 16, 2008) アメリカのタイム誌によると、訓練だけでなくイスラエルから無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどの提供を受けている。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008) 当時、ジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたり含まれていた。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣で元イスラエル人のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりはテムル・ヤコバシビリだ。腐敗するウクライナ イギリスの対外情報機関MI6のエージェントだと言われているウォロディミル・ゼレンスキーが率いるウクライナ政権が腐敗していることは以前から指摘されてきたが、2019年から21年までゼレンスキーの報道官を務めたユリア・メンデルはタッカー・カールソンのYouTubeチャンネルに登場、ゼレンスキーを「薬物を乱用する独裁者」だと批判、情緒不安定な人物だと話している。彼女は欧州議会でもウクライナの実態を証言する予定だったが、立ち入りを拒否された。彼女に証言されると困るヨーロッパのエリートは少なくない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.20
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エジプトでホスニ・ムバラク体制に反対するグループと賛成するグループが衝突し、投石合戦になっている。ムバラク派のグループには治安当局の人間が含まれ、棍棒で武装しているほか、ラクダや馬に乗って反対派に襲いかかっているようだ。 この衝突が起こる前、「懐かしい名前」が聞こえてきた。フランク・ウィズナーである。勿論、アメリカで破壊活動(テロ)のために組織されたOPC(後にCIAの内部に潜り込んだ)の初代局長、そしてアレン・ダレスの側近だったフランク・ウィズナーは1965年に死亡している。 今回、登場してきたのはその息子で、元駐エジプト大使(1986年から91年)の「フランク・ジュニア」である。このジュニアはムバラクときわめて親しい間柄にあるという。親ムバラク派の襲撃はフランク・ジュニアから、つまりアメリカ政府から承認されていると推測している人が少なくない。混乱を煽り、軍隊が押さえ込むというシナリオもありえそうだが、そうなると動乱が続くことになる。
2011.02.02
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危機的な財政状況であるにもかかわらず、アメリカ政府は戦争を継続し、大企業/富裕層を優遇する政策を継続しているが、共和党の中から外国への援助を止めるべきだという議員が出てきた。ランド・ポール議員である。話題になっている理由は、イスラエルへもカネを出すべきでないと発言したからである。 アメリカが支援している国は、アメリカにとって都合の良い体制の国であり、独裁体制のことが多い。アメリカからの支援は独裁者の懐に入るだけだという指摘は正しい。西側の巨大金融機関にしてみると、西側政府の支援や金融機関の融資は欧米の銀行へ「預金」として還流するので、都合が良いのだ。 しかし、こんな仕組みを維持できなくなりつつある。アメリカは日本と中国から資金を借り、ドル紙幣を刷りながら、かろうじて存在している国にすぎない。日本の支配層は、そうしたアメリカの前に平伏しているのだから恐れ入るが。 現在、北アフリカでは市民が立ち上がりつつある。チュニジアから始まり、エジプトに波及(約6分のあたりに注意!!)しているのだが、サウジアラビアやヨルダンなど親米/親イスラエルの独裁国家は戦々恐々としていることだろう。そうした波がアメリカや日本へ押し寄せないとは言い切れない。
2011.01.28
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