森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.08.01
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カテゴリ: 神経質の性格特徴
欲望が大きくても不安に振り回されない人で神経症にならない人がいっぱいいる。
それはなぜなのか。という疑問を持っている人がいた。
この質問は、神経質性格を持っている人でも神経症にならない人がいる。
それは何故なのか。という質問と同様であると思う。この質問について考えてみたい。

これは、神経質性格を持ち、ちょっとしたことにとらわれやすい人は、神経症に陥るのが宿命のように思っておられるのだろう。
神経質性格は、心配性である。注意が自己内省的に向かいやすい。こだわりやすい。生の欲望は強い。自己中心的である。観念的である。依存性が強い。などの際立った性格特徴を持っている。
このように列記すると、神経質性格はマイナスの面ばかりだと思われるかもしれない。
この考え方は誤りである。正確には、これらのマイナス面が強く出た時は、神経症に陥りやすいと言うべきであろう。
反対に、これらがプラスの面が強く出た時は、仕事や勉強や家事、育児など、大きな成果をあげる。


例えば、私の以前の同僚に、 500名の営業マンの中でも常に10番以内に入るような営業マンがいた。
その営業マンは、毎年優秀営業マンの表彰を受けていた。
副賞として、長期休暇を与えられ、海外旅行の特典を与えられていた。
彼はアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アジア各国、ヨーロッパなどをくまなく回っていた。まだ行っていない所は南アメリカとアフリカぐらいだと言っていた。
その人は多くの女子社員から「あんなに神経質な人はいない」と言われていた。
立派な神経質性格の持ち主だったのだ。とにかくやたらと細かい。
気が付いたことは何でもかんでも女子事務員に連絡してきて色々と指示をしたり、苦言を呈していた。
ある意味ねちねちと細かいことを言われるので、彼の担当の女子社員も閉口していた。
周りでは「あの2人は犬猿の仲だ」と言われていた。
しかし、お互いに惹かれるところがあったのかいつのまにか結婚した。
あんなに口喧嘩ばかりしていたのに、結婚すると聞いた時はみんな唖然とした。

その女子社員は外交的な性格の人で、神経質性格の持ち主の彼にはぴったりだったのかもしれない。

彼の風貌はお世辞にもよいとは言えない。
頭は禿げあがり、身長も低い。そのうちスキンヘッドにした。
仕事以外で異性と話するときはいつもおどおどしていた。
ところが、得意先の女性と仕事上の話をするときは実に堂々としていた。

会社に帰ると、多くのメモを取り出して机の上に並べて、一つ一つ丁寧に処理していたのが印象的である。
それも1つのことを頼まれれば、それにプラスアルファをつけて依頼事項を処理していた。
これをいつも心がけていた。至れり尽くせりで、他の営業マンの見本であった。
彼は神経質性格を活かした営業スタイルを確立していたのだ。
その効果は絶大で、彼の営業エリアから同業他社はいなくなってしまった。
彼の独壇場となったのだ。そうなれば、自由自在である。
同業他社からは、ヘットハンティングの誘いも舞い込むようになった。

その彼は社内で優秀営業マンをライバルとして頭の中に持っていた。
その営業マンに勝ちたいという意欲が半端ではなかった。
出張営業の時は、その日にやり遂げると決めていたことは、どんなに遅くなってもその日のうちにやり遂げるというやり方だった。土日には次の週の訪問計画を綿密に立てていた。
その際訪問する目的を明確にしていた。販売予算もしっかりと立てていた。

彼の場合は、ちょっとしたことが気になるという神経質性格を仕事に活かしていくというやり方だった。
常に気持ちは外向きであった。
自分に与えられたノルマを大幅に超えて達成することが生き甲斐となっていた。
言われたことだけをやるのではなく、どうすればもっと相手に喜んでもらえるのかということを日ごろから考えて実行していた。
彼を見ていると、神経質性格というのは、その良い面を仕事に生かしていけば好循環が生まれてどんどん良くなっていくことがわかる。

反対に、私のように神経質性格をネガティブに捉えて、 1つのことにとらわれて精神交互作用で格闘していたものは、観念と行動の悪循環を招き神経症でのたうち回ってきたのである。
私の場合は、森田理論を学ぶ自助組織に参加して、何とか乗り越えることができた。
そして、神経症で苦しんだおかげで、これから先の生きる指針を見つけることができた。
これはこれで良かったのだと思っている。神経症に陥ることが悪いとは言えない。
今現在神経症で苦しんでいる人は、神経質性格というかけがえのない性格特徴を持っているのである。
その活かし方を是非とも森田理論学習によって習得してもらいたいものだと思う。





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Last updated  2024.06.03 11:19:46
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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