森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.01.21
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カテゴリ: 最新の脳科学
筑波大学の征矢英明先生と有田秀穂先生の対談です。

征矢先生は、ある実業団のランニング選手のコミッショニングに携わって5年くらいになります。
選手の中に、駅伝の中心選手で、精神的に強く、パーフォーマンスがもっともよかった女子マラソン選手がいました。

ところが、ある試合をきっかけにして、走れなくなったそうです。
うつ状態になり、最終的にはうつ病になりました。
ジョギングさえもできなくなって、内科、外科的な治療をやりましたけれども、まったく効果がなかったです。
その後、この選手は幸いにも、三環系抗うつ病薬がよく効いて治りました。

非常にパラドキシカルですけれども、トレーニングがうまくいっていたときはセロトニンによって頑張れたわけですね。
しかし、その後なぜだか分からないうちに、元気がなくなり、競技成績もガクッと落ちてきたのです。

そのために回復するのに何年もかかったりします。

どうしてそのようなことが起きるのか。不思議な気がします。
一般的には、セロトニン神経系を活性化させることは良いことだといわれています。この常識を覆すことになるのではないか。
良かれと思って取り組んでることが裏目に出てくるのですから納得できません。

この問題について有田秀穂先生は、次のように説明しておられます。

オーバートレーニング状態は、まず乳酸が蓄積されていることが考えられます。
乳酸に加えて、その他ストレス関連物質、そういうものがセロトニン神経の本来持っていた役割を落としてしまうわけですね。

それと、もう一つ考えられるのは、 セロトニン神経の特徴として、自己調整機能がある のですね。
セロトニンが過剰になると、オートレセプターに回収されてしまうのです。
セロトニンが不足しているのではないのです。


リズム性のトレーニングを始めた人や坐禅の呼吸法を始めた人たちが、「トレーニングを始めてしばらくすると、逆にうつ状態になってしまう」と言われることがあります。
ここで慌ててしまうのですが、この状態を通り過ぎると、普通は以前よりも良くなるのです。そういうメカニズムが働いていることは留意しておくべきでしょう。
(セロトニン呼吸法 有田秀穂 高橋玄朴 地湧社)

脳科学を学習すると、セロトニン神経系を鍛えることが大事なことがよく分かりました。
しかしこれも程度問題で、やりすぎると、再吸収が促進されてしまい、逆にセロトニン不足を招いてしまうという仕組みがあるようです。


セロトニン神経系は、報酬系神経系や防衛系神経系の暴走を抑制していることが分かっています。それ以外にも大切な役割を果しています。
このブログでは、セロトニン神経を鍛える方法をいろいろと紹介してきました。
しかし、セロトニンのこの特徴を考えてみたとき、過度にのめり込むことは禁物です。

例えば、ウォーキングがよいといって、毎日一万歩以上をノルマにして歩く。
長時間太陽の光を浴びるといったようなことです。
やりすぎは弊害が出ることを、肝に銘じて、 ムリなくゆっくりと、継続的に取り組む ようにしたいものです。
ここでもほどほどにやることが肝心だということです。
そうすれば、問題が解消して、体も心も元気になると思います。
セロトニン神経の鍛え方については、2022年2月13日の記事をご参照ください。





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Last updated  2023.01.21 06:20:06
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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