時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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October 3, 2008
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「毒草師  QED Another Story」 だ。

「毒草師」(高田崇史 :講談社)



 どのような人物か、作品中に書かれていることを要約してみよう。

「長身で漆黒の黒髪が肩まで垂れ、白い顔は、能面か蝋人形のように無表情。広い額に細い眉、冷やかな目と赤く薄い唇。顔立ちは整っているが、不気味なほど表情がない。」

 ファッションについてもこんな感じだ。

「長めの白衣のようなオフ・ホワイトのコート、その下には真っ黒なタートルネックと黒いパンツ。両手に真紅の手袋。」
 もちろん、性格の方も、とびっきりの変人である。しかし、彼の名誉のため、間違っても変態ではないことだけは付け加えておこう。でも、こんな人物が、近くにいたら、ちょっと怖い。

 今回の舞台は、浅草にある旧家の鬼田山家。この家では、先先代の当主であった俊春が、一つ目の山羊を見て以来、いまわしい出来事に見舞われている。俊春の妻香苗が最初に死産した子は、一つ目であった。そして、先代当主壮次郎と後妻の久乃との間にできた子供もやはり一つ目で、死産であった。

 その、壮次郎は、後妻とした久乃との浮気が原因で、先妻の志麻子と離婚していたが、12年前に、「一つ目の山羊を見た」と言って、鬼山田家の離れに立てこもってしまった。その挙句行方不明になり、隅田川で死体となって発見されている。そして、数年前、先妻の志麻子が亡くなった後、こんどは、壮次郎と志麻子の間に生まれた、志子が、「一つ目の鬼を見た」といって、離れに籠ったまま行方不明に。その数日後には、志子の妹の麻子も失踪。さらに、久乃も離れに籠ったまま行方不明になり、家政婦の間宮静子が、「一つ目の生き物を見た」と証言する。離れは密室である。そこから忽然と行方が知れなくなったのだ。鬼にでもさらわれたか、なんとも、不気味な話である。



 このシリーズのほかの作品のように、本作でももちろん、現在の事件に絡めて、歴史上の謎も解き明かされる。解き明かされるのは、伊勢物語の謎。なぜ、題名が、内容に関係のない「伊勢」なのか。そして在原業平の次の歌の謎。

「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」 

 こちらの方も、なかなか興味深い論を展開している。

 それにしても、御名形史紋の強烈な個性の前に、これまでに登場人物も霞んでしまった。次の「白蛇の洗礼」も御名形が主人公だし、このまま主役の位置に座ってしまうのか。

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「自家製薬秘辞典」



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Last updated  October 25, 2008 03:49:18 PM コメント(12) | コメントを書く
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