高田崇史によるQEDシリーズは、桑原崇、棚旗奈々、小松崎良平が中心となって活躍する、蘊蓄系の人気ミステリーである。現在の事件に、歴史上の謎を掛けて、解き明かしていくというのがこのシリーズの魅力だ。このシリーズの本来の主人公は、やたら蘊蓄を語る薬剤師の桑原崇である。これもなかなか変わりもので印象に残る人物なのだが、11作目の「QED 神器封殺」から、もっと変わりもので強烈な個性の人物が登場してくる。その名を「毒草師」御名形史紋という。あまりの個性で、完全に他の登場人物を食ってしまったかのようで、とうとう彼を主人公にした作品までできてしまった。それが今日紹介する「毒草師 QED Another Story」だ。