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山あいにある小さな足湯で、気がつけばずいぶん通っている。
もともとは足首を捻挫したのがきっかけだった。
温めると楽になる気がして通い始めたのだけれど、捻挫なんてとっくに治っている。
それなのに今のほうが行く回数は多い。
たぶん足首のためというより、自分のためなのだと思う。
湯に足を入れると、じわじわと温かさが上がってくる。
山の空気は街より少しだけ涼しくて、風が吹くたびに木の葉が擦れる音がした。
誰かが来ては帰り、また別の誰かがやって来る。
話し声は聞こえるけれど、みんな長話はしない。
そのくらいの距離感がちょうどいい。
先日来たとき、白い花が咲いていた場所がある。
今日見ると、そこに赤い実がなっていた。
木苺だろうか。
近くまで行って眺めてみたけれど、よくわからない。
花だったものが実になっている。
当たり前のことなのに、少しだけ得をした気分になる。
季節はちゃんと進んでいるらしい。
帰り道、道の駅に寄った。
少し迷ったけれどソフトクリームを買う。
節約生活を始めてから、こういうものを買うと少しだけ罪悪感がある。
頭のどこかで「我慢できたんじゃないか」と考えてしまう。
けれど、最近は頑張りすぎもあまり良くない気がしている。
数百円で気分が少し良くなるなら、それも悪くない使い方だろう。
ソフトクリームは思ったよりサッパリとしたミルク味で、暑さのせいもあってすぐに溶け始めた。
慌ててテラス席に座る。
山のほうを見ると、雲がゆっくり流れていた。
足湯に入って、ソフトクリームを食べて帰る。
それだけの一日。
それだけなのに、帰る頃には少し気持ちが軽くなっていた。
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