しあわせのかたち

しあわせのかたち

2004/11/23
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 「 戯曲」という文学の一分野がある。

 「小説」、「評論」、「紀行文」などと並んで確立された文学体系もしっかりとあったりするのだけども、ハッキリいって現代ではあまり人気はない。
 世の中に本好きは山ほどいるけれども、そのなかのさらなる変態を抽出しようと思ったら、「戯曲、好き?」と聞いてみよう。あいや、「好きだ」と答えたらすなわち可、というわけではない。むしろ「嫌いだよ。だってシェイクスピア以降、戯曲の発展というのは英国における劇場型観賞性の終焉と映画の登場によるアウラの消失によってドータラコータラ」などと語り始めたとしたら、そいつはクロだ。真っ黒だ。「本好き」のなかでもさらにやっかいな「文学好き」というやつである。

 個人的には、あまり深いつき合いをしないほうがいい、と忠告しておく。精神の根っこのほうに病を抱えている可能性が強い。ああ私とかねよく言われるようん余計なお世話。

 さて、そんな戯曲の分野では、健全な一般市民である皆さんも名前は聞いたことがあるであろう、 ウィリアム・シェイクスピア というオッサンが第一人者として知られている。信じられないことではあるが、ハリウッドを抱える米国劇作家陣たちは、「ただシェイクスピアを生み出した」というだけで英国に敬意を持ち、また、英国は英国で「ただシェイクスピアが英国人だったから」というだけで、世界中の劇作家界に対して威張り散らすことができているのである。

 そんな偉大すぎるシェイクスピアの話はここではいったん置いといて。
 戯曲界に圧倒的な権勢でもって君臨するシェイクスピアの作品群に対して、ほんの一時期ではあるが、「シェイクスピアを超えた」とされる人気を獲得した作品があったりする。
 それが 『ゴドーを待ちながら』

 演劇界では知らない人はいないほどの有名な作品なれど、内容に関しては驚くほど知られていないので、以下にザッと紹介する。

<開幕>
 2人の男がベンチに座っている。男達は「ゴドー」という人物を待っている。するとそこに少年がやってきて、「ゴドーさんは来られないって」と告げる。
「じゃあ行くか」
「ああ、行こう」
<ここで第一幕終了>

<第二幕>
 再び男達がゴドーを待っている。
 また少年がやってきて、「ゴドーさんは今日も来られないって」と告げる。
「じゃあ行くか」
「ああ、行こう」


 これだけ。
 なんか自分で書いててもムチャクチャ退屈で不条理な気がするが(実際不条理劇なわけなんだけども)、原作がそうなんだから仕方がない。近代劇作家たちはこの退屈な作品に、「どうやって待っているか」、「何を待っているか」という2点にアレンジを加えることによって、さまざまなかたちでこの作品を盛り上げていった。

 カンのいい方ならばもう気づいているかもしれないが、この
「何かを待ち続ける」という行為における、
「その【何か】とはなにか?」

 という2点を問い、描くことは、まさに「人生」を描くことに繋がるのだ。

 多くの作家たちは「ゴドー」を「ゴッド」と意訳し、神を待ち続ける人々の心象風景に着目した。またある人々は「行こう」と言いながら幕が下がるまで動かない2人の男に着目し、人は待ち続けることしかできない、と理解した。
 日本ではいとうせいこうという天才が『ゴドーは待たれながら』とゴドー側の心理と葛藤を舞台にし、鴻上尚史という天才は作中で「ゴドーはやってまいりました」(それも2人も!)と、あえてゴドーを登場させてこの物語にケリをつけてみせた。(それはどちらの作品も、「待つことの手段を浪費し尽くした現代」への強烈なオマージュだった)


 貴方は何を、どういうふうにして待っていますか?


 探し物は「待つ」ことで見つかるのかどうか思案中。
 最近になって、サミュエル・ベケットは第二次大戦中、ナチから身柄を隠すために屋根裏で2年以上、友人と2人で「待ち」続けていたことが判明したそうだ。彼が待っていたものが判明したことで、『ゴドーを待ちながら』への関心は少し和らいだという。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2004/11/23 06:38:42 PM


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Comments

PTW@ ★おいしい遊び★ 信頼感がちがう!実績のある有名出会い! …
PTW@ ★おいしい遊び★ 信頼感がちがう!実績のある有名出会い! …
qigmdqxdvd@ qigmdqxdvd Wow, cool man, big thanks! <a href…
淑子@ 久しぶりに… 私のサイトを更新しました。サイトをオー…
人妻みさこ@ 私の私性活を覗いてみませんか? 結婚して数年、旦那とのアレはなくなりま…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: