♪ 立春の光をまとふ裸木に空の巣ひとつぽつねんとあり
階段を走って上る。110段目あたりで足が上がらなくなるも、残り8段をどうにか登り切る。丁度真っ赤な夕日が沈んでいくところで、ムクドリの集団がすぐ近くまでやって来ている。
傍の竹藪が塒(ねぐら)になっていることは分かっている。どうやら塒に行くにはまだ早いらしく時間つぶしをしているらしい。さっさと行けばいいものを、”薄暗くなるまでは進入禁止”の決まりでもあるかのよう。電線の上でピーピーキャーキャーと喧しい。幼稚園の傍の、あの黄色い騒音を連想させる。
学生が自転車で下を通りがかり、パンパンと手を打った。奴らが驚いて飛び立つのを楽しんでいるらしい。反対側からも帰宅途中の女学生がやって来て、同じように手を打った。いつもの行動らしく、淡々とした態度で通り過ぎて行く。
飛び上がったムクドリはそれでもまだ塒には入らない。神社に繁っている木の枝に飛び移っては、相変わらず賑やかに囀っているばかり。
ウォーキングはまだ序盤で、ここで暗くなってしまってはその後が辛い。仕方なくその場を離れた。多分、薄暗くなるのを見計らって、一斉に塒に突入するのだろう。そして、そこでひとしきり就寝前の狂騒的お喋りをし、ようやく眠りに就くのだろう。
パークロードには何本かの欅があり、その1本に鳥の巣を発見。いつも歩いているのに気づかなかった。
初夏の葉が繁る中での営巣は分からないが、冬には自然がその本質をさらけ出す。欅の枝ぶりはスッスと天に伸び、実直で迷いのない潔さを思わせてとても好きだ。
その枝の途中に、血脈にある異常増殖部分のような鳥の巣。空とな骨だけの巣。
折しも、新月から三日目の月が姿を現し西の空に輝いている。朝8時に上った月が、日没と共に姿を現したのだ。
日没直後のジェット機の尾も、飛行機雲を残すことなく瞬時に消えてしまったとても乾燥したクリアな空。
この世が、昼と夜のあわいに見せる真実のような空だった。
◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。。◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
★ 「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)
☆ 短歌集 「ミソヒトモジ症候群」 円居短歌会第四歌集2012年12月発行
● 「手軽で簡単絞り染め」
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