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2000.06.14
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 いわゆる「雑文集」だが、読み応えがある。
 宮崎市定のものは、どれも、文章がわかりやすく、また、緻密で説得力があり、非常に勉強になる。
 何といっても、決して感情的にならず、冷静で論理的なのがいい。

 例えば、中国は何でも日本よりスケールが大きい、と、中国を持ち上げるようなことを書いていても、スケールが大きいことがいいとは限らないと述べ、「いま日本の政界にはやっている汚職は、中国の歴史上にも絶えず存在したが、そのスケールはすこぶる雄大なのである。」(p113)と書いている。文章のうまさもさることながら、対象を冷静に客観視しているのがよくわかり、感心する。
 この本が最初に出版されたのは一九七一年で、文化大革命の真っ最中。
 当時の報道を見ると、中国は、文革一色に染まっていたかのようにみえるのだが、著者は、「全部の学生が紅衛兵になってしまったのではない。」「あるいは小さい声ながら反対を叫んでいる勇士もないとは限らない。しかしそんな声は多勢の声にかきけされて外部へは洩れてこない。」(p121)という。
 共産主義や、中共軍に対しても否定的で、日本での学生運動にも否定的だが、それが冷静で論理的で、説得力がある。ただ感情的に、共産党はダメだ、マルクスなど通用しない、とわめいているのとは違う。
 東洋史、という点では、持論である、宋代以降が近世、という論調が見られるのは当たり前。
 内藤湖南についての文章で、後から生まれた学派ほど、その祖を古い時代に求める、という説を紹介しているところが、他人の説の解説であるせいもあって、わかりやすく、説得力があり、まさに蒙を啓(ひら)かれた思いだ。(p290に詳しい説明がある)





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Last updated  2005.04.01 20:50:59
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