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2006.07.20
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カテゴリ: その他の読書録
断筆宣言への軌跡

光文社。1993.10.25

 1970年から1933年の断筆宣言にいたる過程。
 教科書に「無人警察」にかんして日本てんかん協会から抗議されたことがきっかけに断筆宣言をしたのだが、それにいたるまでに言葉狩りや異端の排除、文芸協会にまつわる騒動などがあったのだ。
永山則夫 が文芸協会への入会を希望したこと、協会がそれを拒否したことなど、1990年のことなのに全く覚えていない。「無人警察」騒動は覚えているのだが。
 著者の言うことは、考えてみればもっともなことで、ほとんど言いがかりとしか思えないような抗議に振り回されるのはもういやだ、という気になるだろう。
 これは送り手の問題だけでなく、受け手の問題なのだ。
 そのことにもふれており、「しかも虚構の自立」ということを、今ほど子供に理解させておかねばならぬ時代はない。」「虚構と現実をより接近させようとするメディアや作品の影響をもろに受けた大人や子供は、今でもたくさんいる。いれはいたで面白いのだが、迷惑がかかります。」(p77)と述べている。

 もちろん、送り手にも筆鋒を向ける。
 「自分の中にひそむ悪への想像力」(p102)の欠如については、繰り返し怒っている。
 「まかりまちがえば自分だっていつ人殺しをするかわからないという想像力すらない人間が小説など書くべきではない」(p108)と言い切っている。

 ほとんどが怒りに突き動かされての執筆なので、感情的になっているようにも見えるが、そう見せているのだろう。
 喫煙者として、反喫煙運動に怒っているのだが、「喫煙者はだいたいにおいておとなしく、禁煙と書かれたところでは煙草を喫わない。」(p95)などと書いているのだが、実際には禁煙と書かれていても平然と喫煙する人が大勢いることを知っているはずで、あえてこう書いて挑発しているのだろう。
 小説を音読して録音するボランティアについて触れたところで「そのテープを難聴者に貸し出したい」(p152)と言ってくるとあるが、「視覚障害者」ではなかろうか。難聴者でも字は読めるはず。この文では、最後にまた「難聴者にわるいことをしたような気がして」とある。雑誌掲載後指摘を受けたのだろうが、直さずそのままにしたのかもしれない。
 なお、自分のしていることにのめり込んで社会的常識を失ってしまうことによる迷惑はよくわかる。


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Last updated  2006.07.20 09:00:36 コメントを書く
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