hongming漫筆

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2007.09.11
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カテゴリ: その他の読書録
 2007年7月15日。第1刷。
書名だけ見ると、「これを読めばあなたにも筆跡鑑定ができる」という内容かと思ってしまうが、筆跡鑑定について触れている部分は少ない。
 それよりも、なぜ筆跡鑑定が可能なのか、ということを説明することに意を注いでいる。
 そのために、漢字や仮名の歴史、それがどのようにして現在の形になってきたかも説明している。
 明朝体というのは、正方形に合わせて作られた字形で、本来の字形と異なることがある。
 その例として「天」や「喜」が上げられている。
 「天」は上が短いのが本来の形と知っていたが、「喜」は第3画の方が第1画よりも長いのが本来の形らしい。
 また、かなも、明治になって標準的な字形が決められたとき、
何でも簡明ならばいいというのではなく、正方形に納まる字形、つまり活字化するにあたって極力《きょくりょく》都合のいい字で揃えられた。(p147)

のだそうだ。


 脳の働きが指先に影響を与えて字を書くのである。
 したがって、遺伝もある。
 著者も、
生まれながらにして字がうまい人とまずい人、字のうまい家計や兄弟姉妹のあることを誰もが認めている。(p19)

と述べている。
 実際には「誰もが認めている」のではなく、特に、字のうまい人は、「丁寧に書けばきれいな字が書けるはずだ」などと暴言を吐くことが多い。

 また、字を書くことが脳の訓練にもなるわけで、「筆跡医療士の確立」(p27)を求めている。

 わたしは生来の悪筆で、「きれいに書きなさい」「丁寧に書きなさい」という言葉にずいぶん苦しめられてきた。
 気持ちの問題ではなく、脳の問題だと気づくまでにずいぶん長い時間がかかった。
 それだけに、著者の主張には理解できる点が多い。
 また、筆順によって画と画の接点が異なり、それが鑑定に役立つことなど、話が具体的である。
 書道の先生らしく、何を使って書くか、どのように書くか、という面から考えている。


 印鑑よりもサインの方が、証明には役立つ、ということが冒頭に述べられている。
 まさにその通りなのだ。よほど珍しい姓でなければ、100円ショップで印鑑が買えるのに、今でも印鑑重視なのは不思議だ。かといって、花押を書けと言われても困るわけだが。
 サインというと思い出すのは、アラン・ドロンの「 太陽がいっぱい 」だ。
 他人のサインを練習し、ついには同一のサインが書けるまでになる。


 最後の第6章「筆跡をコンピュータで鑑定する」は、別の大学院生が書いている。
 Q&Aの形式になっていて、これが面白い。
 コンピューターを使って筆跡を鑑定する具体的な方法について説明しているのだが、おそらく、実際にこんなことを質問されているのだろうと思わせる。
 その一部。
 「デジタルって、何ですか?」「カラーモードとは何ですか?」「ソフトのインストールとは、何のことですか?」
 用語の注釈もあって、「クリック」という語も説明している。

 気になったところ。

 中国の卒業証書の写真を提示し「中国では大学は普通高等学校の位置づけ」(p4)と説明している。これだと、中国の大学は日本の高校に相当するように思われかねない。
 日本の中学校に相当するのは「初級中学」、高等学校は「高等中学」で、大学がその上の「高等」学校ということだ。
 また、中国でペプシ・コーラを「百事可楽」と書くことについて「百倍ここちよい」という意味だと述べている。(p140)
 「百事」は「百倍」ではなく、「なんでも」ではないだろうか。

 誤植発見。
 「科捜研の筆跡鑑定に疑問を持たざるをうない」(p108)の「うない」は「えない」の誤植だろう。

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Last updated  2007.10.09 05:53:03コメント(0) | コメントを書く


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