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2009.07.08
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カテゴリ: その他の読書録
展転社。1996.12.23

 副題は「日本人の新しい・セルフイメージを求めて」。

 日本文明というのはどのようなものかを歴史から探るというものなのだろうと思って手に取った。
 プロローグの後に「本書の「かなづかひ」について」という文章があり、歴史的仮名遣いで表記するということを断っているのだが、「ただし、ふりがなは「現代かなづかい」にした。不統一な点はおゆるしいただきたい。」と書いてある。その理由がわからない。不思議だ。

 著者は1957年生まれで、若い人ではないのだが、「わが国ではわりと早くから」(p225)という書き方をしている。正しくは「わりに」。

 第一章の1は『「花づな」列島の誕生』で、「花づな」とはなんぞやと思ったら、日本列島の形が、
細いひもに花を結んで作った花飾りにも似てゐるところから、花綵《はなづな》(festoon)列島とも呼ばれる。いつごろ、誰がつけたのか知らないが、何ともロマンチックな呼び名だ。(p13)

とあった。
 「花綵列島」などという呼び名は初めて聞いた。日本列島の形が知られてからの呼び名だろうし、「花綵」という言葉自体一般的なものではないから、最近誰かがちょっと言ってみただけなのではないか。
 いったいどこの誰に「呼ばれる」のだろう。そう呼ばれている実例を挙げてもらいたいものだ。

 「紀元節」の制定経過について。

同年一〇月一四日、あらためて二五〇〇年あまりさかのぼって、辛酉の年の一月一日を太陽暦に換算して「二月一一日」と決定。(p98)

とある。なぜ二五〇〇年あまりさかのぼったのか、ということにも、なぜ辛酉の年なのかということにも触れていない。
 何の根拠もないことを読者に知られては具合が悪いのだろうか。

 読んでいるうちに、とにかく日本を持ち上げたいという思いがあることはわかってくるのだが、中国を意識しすぎていて、何かというと中国との関係を持ち出す。
 いづれにせよ明治維新によって日本は、欧米以外の地域ではじめての近代-工業国家になつた。
 第二次文明の段階に突入したのだ。
 それにより東アジアにおける日本とシナの地位が逆転した。(中略)
 ここに日本は古代以来のシナの「周辺文明」的位置を完全に脱却できた。日本が東アジアの第一人者《チャンピオン》になつたのだ。(p329)


 立場が逆転したかどうかというのは相対的な問題であって、日本文明がどのようなものであるか、ということとは関係あるまい。
 欧米並みであることにもこだわりがあるようだ。
 日本はいつてみれば「先進工業国クラブ」の正式会員《レギュラーメンバー》だ。「優秀会員」といつてもよい。ただほかのメンバーがみな西ヨーロッパ出身なのに、こちらはひとりだけ東アジアからの参加。(p333)


 「先進工業国クラブ」の正式会員ではない国を見下そうとする態度が現れている。

 本は、上部三分の二が本文で、下部に注がある作りになっている。
 なぜかp334に、『いぬいと(エスキモー)は「異質」か』という文と、エスキモーの写真が載っているのだが、本文では全く触れていない。
 何を意味するのか理解できない。

 不思議な本だった。

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Last updated  2009.07.09 22:39:15
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