南北戦争後、仲間を率いて強盗や殺人など無法の限りを尽くしたジェシー・ジェームズは、戦勝軍である北軍側政府の圧政に苦しむ南部州民からは抵抗の象徴として次第に英雄視されていく。そして、最初の強盗から15年あまりが過ぎた1881年。長い逃亡生活で神経をすり減らすジェシーは、兄フランクと新たな列車強盗を企てようとしていた。そんな彼の前に、ジェームズ一味のメンバー、チャーリーの弟で、ジェシーを人一倍崇拝する小心者の青年ロバート・フォードが現れる。「何か凄いことをやる運命にある I honestly believe I'm destined for great things」と豪語した彼は、ジェシーの暗殺犯として名を残すのだが…。
DVDタイトルの表紙に前面に出ているピットが、この演技でベネチア国際映画祭男優賞を受賞。しかし、映画の本当の主役は、彼の後方に映っている男、COWARD=臆病者ロバート・フォードだ。共通点が多いとはしゃぎ、彼に関する記事を残らず集めるロバートは、ジェシーに純粋に憧れる若者だ。自分のやっている事や未来を深く考えもせず、ただ英雄と一緒に行動できることを喜んでいる。だから、「俺みたいになりたいのか?それとも俺になりたいのか?Can't figure it out: do you want to be like me or do you want to BE me?」と問われても、明確に答えられない。そんな彼が、ジェシーに対する憧れと恐れで揺れながら、頼りない兄をむしろ主導する形でジェシー暗殺に向かってゆく過程が、丁寧に描かれる。ケイシーは、未熟な青年を演じた冒頭から中盤ま、暗殺犯として毀誉褒貶にあう終盤と、一人の人間の変化を自然な演技で表現している。
ロバートからみたジェシー像もまた、既存映画のように絶対的な自信に満ちたヒーローではない。家族を愛し近親者で回りを固めるが、銃を手放さず、暗殺者を気にして夜も眠れない。本気とも冗談ともつかぬ挑発をして、仲間の真意を探ろうとする。ロバートの言葉通り、「ただの人間に過ぎないHe's just a human being. 」一人の男として描かれる。そんな彼の虚像と実像を、身近に接して知っていたロバートだからこそ、暗殺を実行できたとも言える。