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May 14, 2013
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みなさんは、何か一つのことにのめりこめていますか?
もし、そうでない人は、のめりこんでいる人を、羨ましいと思いますか?
これはイギリスの話なのですが、のめりこんでいく人を、ちょっと皮肉っぽく見て描いています。ラストがブラックなので、読む人を選ぶかもしれませんね。


EXLIBRISウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン/ポール・トーディ/小竹由美子【もれなくクーポンプレゼント・読書家キャンペーン実施中!】 ブックオフオンライン楽天市場店

ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン
The Irresistible Inheritance of Wilberfoece

ワインのヴィンテージになぞらえて、ある男性―ウィルバーフォース―の年代が、過去に遡って語られる。2006年に初登場した彼は、高級レストランで札びらを切って貴重なワインを皆の注目の中で味わう。そこまでは良かったのだが、自分でも意識せずに鼻歌を歌って店から追い出されてしまう。「近頃では、まえに食事したところへまた行くといつも、何か問題があるみたいなのだ」というコメントがあり、彼が酩酊しては外でトラブルを起こしていることが窺える。そして、かつて彼に妻がいたが事故で亡くなったこと、そして彼を親身に世話する医師の友人がいることなど、彼の境遇が少しずつ明かされる。ああそうか、妻を亡くした悲しみで彼はワインに溺れ、ただ死を待つ身となってしまったのか。きっとこれから、彼がとても幸せだった頃の事が語られ、「人をそこまで愛することが出来るなんて」と、心優しき読者は彼に同情せずにはいられない。ところが、そんな定石通りの読みを、とことん嘲笑うような苦いワインが待っていた。
 この作品の先を読み進む作業を“気の重い答え合わせ”と書いた評者がいたが、なるほどその通りだった。読み進んでも読み進んでも、彼―ウィルバーフォース―に心からの同情を寄せる要素が見つからないのだ。妻が亡くなった時も、彼を心から信頼していたパートナーと袂を分かった時も、ウィルバーフォースよりも相手の方に同情したくなった。なぜ彼はそうなのだ?ワインが好きなのはいい。しかし、彼は、人間のことをどう思っているのか?
 ワインは開けなければその美味しさが味わえない。しかし、開けたとたんに美味しさはどんどん損なわれていく。ウィルバーフォースもワインと同じだ。新世界への蓋をぽん!と開けて「友情」「恋愛」「二つとないワインという存在との出会い」という喜びを存分に味わったかわりに、彼と出会った時に他人が感じた輝きは少しずつ損なわれていく。それでも再び生まれ変われば、彼は同じ選択をするような気がしてならない。そうなって欲しくはないのだが。
 とことん主人公に底意地が悪く、とても重い話のはずだったが、実は読み味はすこぶる軽かった。どうやら悪酔いはせずに済んだらしい。






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最終更新日  September 16, 2016 03:29:20 AM
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