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August 8, 2013
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連日猛暑が続きますが皆さんはお元気でしょうか。
今日は佐藤賢一さんが書き継いでいらっしゃる小説フランス革命の最新巻を紹介します。

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小説フランス革命11 徳の政治
La Politique de la sertu
佐藤賢一

美しい国を作りたい、とかつて述べた人がいた。“美しい”何と善い言葉だろう。“徳”という言葉もやはり善い言葉だ。紆余曲折を経たフランス革命の指導者ロベスピエールが、「民主主義的で人民的な政府」の基礎原理を支え、それを動かす不可欠の力として求めたのは徳だった。 徳は気品、意志、温情、理性、忠誠、勇気、名誉、誠実、自信、謙虚などを持つ人間に備わるものとされている。これらの美点を備えた徳のある人々によって為される政治は、この上なく素晴らしいものになるはずだった。それなのにロベスピエールが為したことといえば、かつての盟友を次々と断頭台へ送る恐怖政治だった。なぜ“徳”という善い言葉が、人の命を奪う大義名分となりうるのか?

 佐藤賢一氏はロベスピエールの右腕となったサン=ジュストの言葉を借りて、この矛盾を解き明かす。「共和国は(中略)支配する者も、支配される者も、皆が等しく市民である。であれば、どうして人の上に立てるのか。どうして国家を指導できるのか。つまるところ、どうして人を殺す資格があるのか。徳あるゆえ。それが究極の答えだった。徳あればこそ、余人の上にも立てれば、国家も指導でき、はたまた人の命も奪うことができる。自分を後回しにして、公の善を考えているからだ。その決断に邪な汚れが混じることなどないからだ。」徳や公の善という善い言葉には誰も勝てない、私利私欲を持つ世俗の人々はいずれもだ。同じように、ロベスピエールには誰も勝てなかった。清廉、真面目、質素、誠実…数々の美点を持つ彼を止めるものは、そうして、誰もいなくなった。

 ダントンが彼に問う。「ひとを愛するってことは悪なのか。女を愛すること、友情を重んじること、ひとを好きになるということは、革命家には許されざる悪なのか」革命家のロベスピエールはこれらを自分の人生から閉め出すが、そうして残ったもののなかに、彼個人の幸せはない。そんな彼は、権力の頂点に立ったにもかかわらず、彼が断罪するダントンやデムーラン、そして下ネタ爆発のエベールよりも、あろうことか不幸に見える。恐怖政治の立役者」「非情な独裁者」はここにはいない。自ら手を放した友に憐れまれ、たった一人愛した女性に去られ、革命という魔物に取り憑かれた孤独な男がいるだけだ。

美しすぎる言葉には、その言葉を発する人をも雁字搦めに縛り、その名のもとに何でも許してしまう毒がある。







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最終更新日  August 9, 2013 08:57:23 AM
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