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December 24, 2013
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みなさん、メリークリスマス!駅地下を通ってきたら人が凄かったです。景気がいいってことなんでしょうか?そうは実感できないけれど…。

さて、今日は幸運と不運が極端だった作家の短編集を紹介します。

いなごの日/クール・ミリオン: ナサニエル・ウエスト傑作選
The Day of the Locust,A Cool Million And Two Short Stories
 「いなごの日」は古代エジプトで奴隷状態にあったイスラエル人を救出するため、神の伝言を伝えたモーゼが告げた災厄の一つだ。

 ならば主人公はモーゼのような民衆を率いていくヒーローなのかと思えばそうではない。むしろいなごの災厄に右往左往して逃げていく群衆の一人だ。冒頭、主人公トッドの前を、軽騎兵、近衛兵、フランス兵、スコットランド兵が通過する。時代を遡った物語になるのかと思いきや、脇からメガホンで男の怒号が飛ぶ。そう、これは全部虚構だ。ここはハリウッド、映画の都。ところがトッドにはここにいる人達はみな「カリフォルニアに死にに来た」ように見えている。

 本作の評価があまり芳しくないのは読者が感情移入しやすいキャラクターがいないからだ。主人公のトッドもハリウッドを批判的に見ながらも去る気はなく、気になる女性フェイが女優を目指しながらも生活のために身を持ち崩していくのをただ見ているだけで、あろうことか「金は出すから」と関係を迫ったりするのでヒロインを救うヒーローにもなり得ない。また、わかりやすい悪役も登場せず、対立図式を作りにくい。

 そこへいくと「クール・ミリオン」は“アンチアメリカンドリーム”というはっきりしたテーマがあるので読者も白黒つけやすい。突如家が抵当に取られてしまうことになった若者レミュエル・ピトキンは元大統領で町の有力者でもあるウィッブル氏に助けを求める。金を貸してくれるかと思いきや、彼はまず自助努力を求める。
「アメリカは機会の国だ。正直で勤勉な者をこの国は支えてくれるし、人がその両方の徳を持つ限り決して見捨てはしない。これは見解の問題ではなく、信条の問題だ。アメリカがこのことを信じるのをやめる日は、アメリカが失われる日だ。」



 ナサニエル・ウェストは本名ではない。ネイサン・ワインスタインという苗字からわかるようにユダヤ人である。高校で既に落ちこぼれだったが成績証明書を偽造して名門大学に入学。そこでも学業がふるわず退学。別の大学に行くには優秀な成績が必要だが、偶々ネイサン・ワインスタインという同名の生徒が同じ大学にいたために、彼の取得単位を借用してまんまと名門大学にスイッチでき卒業までこぎつけた。

 運を学生時代に使い果たしたらしい。我々が彼の作品を知らなかったのもそのはず、流行作家が輩出された1920年代に遅れること十年で、出版社が倒産したために絶賛された作品も日の目を見ることがなかった。自動車事故で、もっと早く救急車が来ていたら助かったかもしれないのに、救急車が異様に少ない地域(何だそれは)だったためになかなか来ず、亡くなってしまう。作家となってからはとことん不運だった。

 2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。

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いなごの日/クール・ミリオン ナサニエル・ウエスト傑作選 / 原タイトル:THE DAY OF THE LOCUST 原タイトル:A COOL MILLIONほか (新潮文庫 むー6-10 村上柴田翻訳堂)[本/雑誌] / ナサニエル・ウエスト/〔著〕 柴田元幸/訳 ​​ CD&DVD NEOWING ​






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最終更新日  October 13, 2019 12:05:24 AM
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