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August 15, 2014
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みなさん、こんばんは。ちょっと雨が降って涼しくなりました。今日はお盆ですね。
電車が空いていて行きも帰りも坐れました。

今日紹介するのは、以前紹介したファンタジー小説の続編です。ある使命を帯びた王女の成長物語でもあります。


白金の王冠
The Crown of Embers
作レイ・カーソン
訳杉田七重

結婚はしたものの愛情を抱く間もなく死別した夫から、国の後継者と未来を託され、女王となったエリサ。しかし幼い後継者と他国から嫁いだ妃の治める治世は足元がおぼつかない。街に出れば暗殺者に狙われ、有力貴族からは結婚を迫られる。とんでもないと跳ね返したいところだが、ゴッド・ストーンで敵を倒したとはいうものの、その使い方を全てマスターしているわけではないので、彼女自身にも未だ絶対の自信がない。そんな中で第一作ラストで彼女が「やめないで」とすがった“あの人”との間に恋が…。

 いや、まさか“あの人”がここまで大きなキャラになるとは意外だった。単純に「支えてくれる友くらいの立ち位置なのかな?」と思っていた“あの人”への、エリサののめりこみが尋常ではない。彼が上着を脱いで鍛え抜いた逞しい筋肉を見せれば唾をごくんと飲み込んだり、侍女から「もしもの時に」と“あるもの”を貰ったり(ちなみにその事を聞いた相手は赤面してました。さぁ何でしょう(笑))、しまいには「何度やるんだ」と思ったくらいのキスシーンがこれでもかと登場。ついこの間まで本の虫だったとは思えないくらい大胆になってもうびっくり。今回は戦いのシーンが殆どなくて、ハーレクインを読んでいるのかと思いましたよ、まったくもう。そういえば、ハーレクインでは決まって姫君を騎士が救いに行ったものだったが、今回はその逆。ファンタジー上の登場人物でありながら、エリサは随分と現代的なキャラクターに設定されている。

 さて、本作はヒロインの成長物語でもあるので「理想の君主」像を彼女が模索するシリアス(?)な側面もある。例えば、嵐に向かっていく事を皆に宣言するシーンは「何かを手に入れるためには困難を避けるのではなく立ち向かっていくことで成し遂げる」ことを厭わない彼女の勇気を表している。また、第一作に引き続き周囲の人の死に立ち合ったエリサは、彼等の代償の上に女王としての自分がいることを噛みしめる。ところが、彼等の犠牲に心を痛めながらも「その代わりに自分が良い君主になる」と犠牲を受け入れてきた彼女が、この考えから一歩離れる。そしてそれは、常に彼女を「わが空」と呼んできた彼女の支配からの脱却だった。支える者を自ら手放したのは、ここからは自分で考えるという自立宣言。大切な人を連れ去られた彼女が、新たに出逢った仲間達とどうやって内憂外患をおさめ、愛する人を奪還するのか大いに期待している。敵対していた者から、エリサの信じていたこの国の歴史が全く違っていた、という指摘を受けたり気になる引きを残して、いよいよ次作は三部作のラスト「The Bitter Kingdom」へ。「Bitter」というので、単純なハッピーエンドではないでしょうね。


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最終更新日  August 15, 2014 12:10:04 AM
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