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December 18, 2014
カテゴリ： 日本のミステリー小説
本当に毎日寒いですね。ニュース映像で名古屋の積雪を見たときはびっくりしました。本当に寒いですね。
東京も氷点下いきましたよ～。寒い寒い。
最近めっきり新作を見なくなってしまいましたが、好きな作家さんの一人です。
ベートーヴェンな憂鬱症 森雅裕
森氏が好んで取り上げる歴史上の人物は、主に2人。
日本では土方歳三で、西洋ではベートーヴェン。
ベートーヴェンにおいては、第31回江戸川乱歩賞受賞作「モーツァルトは子守歌を歌わない」に次いで本作、そして3作目の「マンハッタン英雄未満」では土方歳三と共演させ、森作品では最多出場の探偵。よっぽど好きなんでしょう。
で、ベートーヴェンですが、悪い人ではないんです。ただ無愛想で、人に媚びるのが大嫌いで皮肉屋。いきおい「好人物」とは程遠く、愛する女性に対しても、もう意地を張りまくる、張りまくる。そんな彼に対抗するヒロイン、貴族の令嬢ジュリエッタも、皮肉を言われて泣き寝入りするタイプなどでは、もちろんない。その上を行く毒舌を返して、こちらもやっぱり意地っ張り。
その皮肉の応酬を二人で楽しんでいる風さえある…などと外野が言おうものなら、「どこが!?」と二人がこちらを向いて反論するのさえ見えるようだ（くすくす）。
「曲をプレゼントして」とねだっていたジュリエッタが、彼との関係を利用して利を得ようとするしたたかな女性に変貌する一方で、名声は上がっても、世渡り下手と頑固さだけは変わらないベートーヴェン。結ばれるはずのない二人の恋愛は、「ほろ」なんてもんじゃない、おもいっきり苦くて強い酒の味。一献傾けてベートーヴェン先生言うことにゃ、「あの頃は裏切りの痛みさえも薔薇の香りがした」
思わずこちらは爆笑モードに。だってそれは、魔夜峰央氏漫画の「パタリロ！」に出てきた台詞。
シリアスな所で落としてみせる展開や、ひとしきり笑った後で、ほろりとくるような筋書きも「パタリロ！」にあったはず。
で、最後の最後で悪人になりきれないという愛すべき（？）キャラもまた
パタリロそのもの、なんですな。
森氏は魔夜峰央氏のファンですからね、むべなるかな。
「ウィーンのパタリロ」こと（本人は否定するだろうが）ベートーヴェンは
正義を求めて（もっと否定するか？）今日も行く。
さて今回の演目は、
ベートーヴェンとチェルニーとの運命的出逢い（？）が描かれる
「ピアニストを台所に入れるな」
ある映画を想起させる「にぎわいの季節へ」。
BGMは「田園」か、はたまた「皇帝」か。
皆様のお好みのままに。
かくしてヨーロピアン・ミステリ、開幕とあいなります。
お気に召したら、どうぞ、アンコールの拍手をば。
[単行本]【中古】【メール便可】ベートーヴェンな憂鬱症 / 森雅裕 写楽堂
東京も氷点下いきましたよ～。寒い寒い。
最近めっきり新作を見なくなってしまいましたが、好きな作家さんの一人です。
ベートーヴェンな憂鬱症 森雅裕
森氏が好んで取り上げる歴史上の人物は、主に2人。
日本では土方歳三で、西洋ではベートーヴェン。
ベートーヴェンにおいては、第31回江戸川乱歩賞受賞作「モーツァルトは子守歌を歌わない」に次いで本作、そして3作目の「マンハッタン英雄未満」では土方歳三と共演させ、森作品では最多出場の探偵。よっぽど好きなんでしょう。
で、ベートーヴェンですが、悪い人ではないんです。ただ無愛想で、人に媚びるのが大嫌いで皮肉屋。いきおい「好人物」とは程遠く、愛する女性に対しても、もう意地を張りまくる、張りまくる。そんな彼に対抗するヒロイン、貴族の令嬢ジュリエッタも、皮肉を言われて泣き寝入りするタイプなどでは、もちろんない。その上を行く毒舌を返して、こちらもやっぱり意地っ張り。
その皮肉の応酬を二人で楽しんでいる風さえある…などと外野が言おうものなら、「どこが!?」と二人がこちらを向いて反論するのさえ見えるようだ（くすくす）。
「曲をプレゼントして」とねだっていたジュリエッタが、彼との関係を利用して利を得ようとするしたたかな女性に変貌する一方で、名声は上がっても、世渡り下手と頑固さだけは変わらないベートーヴェン。結ばれるはずのない二人の恋愛は、「ほろ」なんてもんじゃない、おもいっきり苦くて強い酒の味。一献傾けてベートーヴェン先生言うことにゃ、「あの頃は裏切りの痛みさえも薔薇の香りがした」
思わずこちらは爆笑モードに。だってそれは、魔夜峰央氏漫画の「パタリロ！」に出てきた台詞。
シリアスな所で落としてみせる展開や、ひとしきり笑った後で、ほろりとくるような筋書きも「パタリロ！」にあったはず。
で、最後の最後で悪人になりきれないという愛すべき（？）キャラもまた
パタリロそのもの、なんですな。
森氏は魔夜峰央氏のファンですからね、むべなるかな。
「ウィーンのパタリロ」こと（本人は否定するだろうが）ベートーヴェンは
正義を求めて（もっと否定するか？）今日も行く。
さて今回の演目は、
ベートーヴェンとチェルニーとの運命的出逢い（？）が描かれる
「ピアニストを台所に入れるな」
ある映画を想起させる「にぎわいの季節へ」。
BGMは「田園」か、はたまた「皇帝」か。
皆様のお好みのままに。
かくしてヨーロピアン・ミステリ、開幕とあいなります。
お気に召したら、どうぞ、アンコールの拍手をば。
[単行本]【中古】【メール便可】ベートーヴェンな憂鬱症 / 森雅裕 写楽堂
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