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January 11, 2015
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みなさん、こんにちは。昨日も今日も晴れていますね。成人の日も天気が良いといいですよね。
さて、今回はとんでもない冒険に巻き込まれた青年の話です。

プリーストリー氏の問題
Mr.Priestley's Problem
A・B・コックス
晶文社


どうやら大英帝国のジェントルマンたる者は、「冒険願望があってしかるべき」らしい。
アガサ・クリスティーの作品に登場する、よろず相談引き受け人、パーカー・パイン氏の元には、毎日の単調な生活に嫌気がさした男が、冒険を求めてやって来ていた。しかし本編の主人公プリーストリー氏には、一向に冒険願望がない。三十六才にして友人からは「ペポカボチャ」「カサガイ」呼ばわりされるが、本人にとっては馬の耳に何とやら。このまま平穏な一生を送るかと思われたが、ある夜ピカデリーで見知らぬ女性に助けを求められるという、かつてない事態に遭遇する。うら若く美しき女性の願いを断れないジェントルマン、プリーストリー氏は求めに応じるが、なぜか彼女と二人、手錠につながれ殺人犯として追われる身に…。

さてここで、「いくら何でも冒険しすぎじゃないか」とは読者側は思わない。全てを見渡す「天の視点」を与えられている読者には、もう一つの情報が与えられているからだ。彼をカボチャ呼ばわりした友人とその仲間達が、ある実験について話し合っていた事、その被験者にプリーストリー氏を選んだ事。なぁんだ、これは一種のお芝居だ。ならいくら話が広がってゆこうと、最後はおさまる所におさまるさ。そう楽観する。


それでも、仕組んだ側は所詮素人。犯罪のプロ、警察が乗り込んでくれば、
あっという間にからくりが暴かれ、お灸を据えられておしまいさ。

そうかそうか、その手があった。
ところが、事件を担当するコッティンガム警部は、話を聞いて「まるで鉄道旅行で読む扇情的な三文小説」を思い出したと言いながら、事の真相に気づかないお間抜けぶりだし、唯一の目撃者であるフォスター氏は、現場で聞いた「皇太子」という言葉に反応し、「第二のサラエヴォだ!」と興奮状態(あぶないってば)で、どんどん妄想を膨らませていく。

「美女」「巻き込まれ型犯罪」「恋愛」とくれば、これはヒッチコックの十八番。プリーストリー氏と美女の『或る夜の出来事』の双方の勘違い会話シーンなんて、スクリューボールコメディの第一人者、プレストン・スタージェスの映画のワンシーン。更に、装画担当が映画『舞台よりすてきな生活』のチラシのイラストを描いている上杉忠弘さんなので、この物語、映画の匂いがぷんぷんする。登場人物達も、清廉潔白は一人もいないのだが、妙な所で弱気だったり良心に立ち返ったり、果ては勘違いに興奮したりと愛すべき人物ぶりを披露してくれる。
さすが、ロジャー・シェリンガムの生みの親、アントニイ・バークリー。

解説にある彼の著書『The Family Witch:An Essay in Absurdity』『The Professor on Paws』も是非読んでみたい。ちなみに前者は
「幽霊のついているような一家と縁を結びたい」と言う婚約者の父親に「幽霊はいないけど魔女はいます」と答えるトボケた男の話だし、後者は雌猫に教授の脳が移植されてしまうという、弓月光の漫画『ボクの初体験』をほうふつとさせる設定の話である。







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最終更新日  January 11, 2015 01:40:13 PM
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