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September 16, 2016
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みなさん、こんばんは。評伝って聞くと堅苦しいイメージを想像しませんか?
でも群ようこさんの場合は、とっても読み易いんですよ。
たとえば、こんな本はどうでしょう。

飢え
群ようこ

「ヒヨコの猫またぎ」「一葉の口紅 曙のリボン」等々、群氏は、「オリガ・モリソヴナの反語法」の著者・米原万里氏と並び、優れたタイトルをつける名人だ。本のタイトルは、家の門のようなもの。
森光子氏の舞台「放浪記」の存在しか知らない私は、首をひねり、次にこう言った。
「ようし、開けてみよう。」

 門の中には、今まで見た事のない果実のなった木があった。聞いた事はあるので、興味はあるが、表面が堅そうだ。ふと見ると、手前に煎れたてのコーヒーがある。このコーヒーは、以前試した事があるので、保証済みだ。よし、なら大丈夫。片手にコーヒーカップを持ち、もう一方の手に持った果実を、かぷ、と噛んでみる。コーヒーの名は群ようこ、果実の名前は林芙美子。



 ところで、林氏がパリに向けて旅に出たのは1931年11月12日。シベリア経由 で、シベリア鉄道に乗ったのだ。冬に向かう季節にシベリア鉄道に乗る。昔は、暖房設備が充実していたとも思えない。女性の一人旅としては、肉体的にかなりきつかっただろう。おまけに同じ年の9月には満州事変が起きている。今なら外務省が危険度のかなり高いランクをつける。長距離の旅行は初めてだというのに、付き人がいた風にも見えない。よくもまあ、思いきったものだ。彼女は、乗り合わせた人々と、進んでコミュニケーションを取る。食事も日本料理に固執しない。彼女は、正に旅行向きの人だ。私が編集者だったら、盛り沢山な内容の、面白い旅行記を書く彼女に、どしどし旅行に行ってもらっただろう。そして彼女は、来る仕事全部を受けただろう。自分の飢えを満たすために。

 食べ物がない。金がない。物質の飢えは、精神にも影響を与える。何かを楽しむ余裕も、愛情も、 プライドもすり減る。つまり精神的にも飢えてゆく。物質的飢えは目に見える物で満たされるが、精神的な飢えはそう簡単ではない。再び失う恐怖、過去に蔑まれた記憶、見えないものにおびえ続けるからだ。時に「うんざりする」と評される彼女の上昇志向は、飢えを満たそうとする思いの副産物だ。可哀想だな。そう思っても、決して彼女に告げない。それはきっと、プライドをいたく傷つける。彼女が精神的飢えと戦う時に、楯として身につけたプライドを。そして彼女を「飢え」させなかった唯一のもの、母の愛。彼女に「どんなに私の思想の入れられないカクメイが来ようとも、千万人の人が私に矢をむけようとも、私は母の思想に生きるのです。」とまで言わしめた、この愛をエネルギーに、
プライドを楯に生きた彼女に瞠目し、一礼して門を閉じた。


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最終更新日  September 16, 2016 02:05:33 AM
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