『良家の人々A House of Gentleforks』 ひどく不名誉な状況でオックスフォード大学を退学になったヴォーンに、ある仕事が舞い込む。それは、さる公爵の孫息子の大陸遊学に、チューターとして1年ほど同行するというものだった。どうせぶらぶらしているし、悪い話ではない。そう思い引き受けたヴォーンだったが…。
『ラヴデイ氏のちょっとした遠出Mr.Loveday’s Little Outing』 自殺を図った父を精神病院に見舞いに来て、その世話係をしているラヴディ氏の事が気になった娘は、「できたらいいなあと思うことが一つあり、それが出来たら死んでもいい」という彼の願いを叶えようとする。ところがその願いとは…。 などの「狂気と正気の境目ってなんだろう?」と言うテーマが多く扱われている。特に『ラヴデイ氏のちょっとした遠出』は女性ファッション誌「ハーパーズ・バザー」に掲載予定になっていたが、あまりの不気味さに断られてしまったといういわくつきの作品だ。
他『<ザ・クレムリン>の支配人The Manager of “The Kremlin”』『不況期の恋Love in the Slump』『お人好しToo Much Tolerance』『現実への短い旅Excursion in Reality』『アザニア島事件Incident Azania』『ベラ・フリース パーティを開くBella Fleace Gave a Party』『ディケンズ好きの男The Man Who Liked Dickens』『昔の話Period Piece』『見張りOn Guard』『イギリス人の家An Emglishman’s House』『気の合う同乗者The Sympathetic Passenger』『戦術演習Tactical Exercise』などブラックユーモアと皮肉が炸裂する15篇厳選。初訳4篇ほかすべて新訳、自筆の挿絵6点掲載。挿絵はヘタウマっぽい。