何と言ってもニール・アームストロング船長といえば、アポロ計画を推進したケネディ大統領の演説「We choose to go to the moon. We choose to go to the moon in this decade and do the other things, not because they are easy, but because they are hard, 我々は月へ行く。月へ到達し、そして更なる次の取り組みを行うことを選ぶ。それは、容易だからではなく、困難だからである」と並ぶ「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍であるThat's one small step for man, one giant leap for mankind.」という言葉が有名だ。
スタート地点から人と異なる長所を持つ人間が偉業を成し遂げる課程を描くかと思ったが、若干斜に構えた撮り方をしているようだ。彼の初登場シーンは難病に苦しむ娘を妻と眺めるシーンであり、ラストシーンもまた、月からの帰還後ガラスで隔てられた妻とETばりのコンタクトを取る所で静かに終わる。“選ばれた”というより、宇宙飛行士の乗る順番があって偶々11号の乗組員になったという印象で、彼以外の宇宙飛行士、夫や父を事故で亡くした妻子の哀しみ、苦悩を共に分かち合ってきたことがわかる。アームストロング個人の軌跡と共に描かれるのは、先行していたソ連に追いつき、追い越せと必死だった若き大統領に引っ張られた米国、ある意味ソ連を仮想敵国としたことで、国自体は一つになっていたかに見せていた米国の姿、そして地上の争いに関係なく無音でどこまでも広がる宇宙空間だ。国の威信や使命を脇に置いてでも一目見てみたいと思わせる神秘的な時間を共有できるなら、息子に「帰ってくるの?Do you think you're coming back?」と深刻な声で聴かれても「使命にはリスクもあるが自信もある。きっと帰ってくるWe have real confidence in the mission, and there are some risks, but we have every intention of coming back.」と言い放ってでもあの空間に飛び込んでいきたくなる。