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工業デザイナーである主人公の家が放火に遭った。幸いにして全焼は免れたが親の頃からの家の一部と資料が燃え、更にその晩は最愛の女性が家に来ていた。手掛かりも無くその事件のほとぼりも冷めないうちに第二の事件が起きた。 そしてその発端は主人公がまだデザイナーではなかった十四年前の出来事にあった・・・んー、若いですね。 ハードボイルドを書こうという気負いのようなものを受け止めるだけの文章を書き切れてないようなもどかしさを感じました。若さからくる(?)勢いと熱さはあるのでそういう若々しい作品が好きな人ならどうぞ。
2001年11月30日
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独特のノリが面白い西原理恵子のエッセイ&4コマ&一部1コマ&漫画集です。 構成が行き当たりばったりな気もしますがある意味それもサイバラらしく、豪快で小心でお下品で暖かい雰囲気で読んでいてつい百面相してしまうような作品です。こじーん的にエッセイというものはあまり好んでは読まないのですが、これは数少ない例外の1つですね。
2001年11月29日
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胃にやさしい食べ物、お肌にやさしい石鹸、足にやさしい靴、など最近良く耳にするようになった“やさしさ”という言葉に対する意識の違いに焦点を当て、なぜ“やさしさ”がもてはやされるようになったのか、“やさしさ”とは何なのかをつきつめた作品です。親の見栄のためにお小遣いを貰ってあげるやさしさ、好きかどうかよりもやさしさで結婚を考える若者、やさしそうな人とやさしい人、ぬいぐるみこそが究極のやさしさ・・・様々な例をあげて昔のやさしさと最近のやさしさを考えてゆく展開は非常に興味深く読むことができました。昔は相手のことを親身になって考えるような、いわば“ホット”な感情がやさしさだったのに対し、最近は相手の気持ちには踏み込まないよう、気持ち良い雰囲気だけを共有する“ウォーム”な感情がやさしさの定義になっているという見方は納得のゆくもので、それによる影響も良く考えられていると思いました。オススメ。
2001年11月28日
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前社長の方針で温情経営を続けていた音響映像機器メーカーのエンパイヤだったが、アメリカを視察して合理化やコストの切り下げを考えた副社長は独断で秘密裏に成績の悪い管理職をピックアップさせ、肩叩きのような形で指名解雇に乗り出した。とは言え特に会社の業績が落ち込んでいるわけでもなく、また、ここ数年成績が悪いだけで過去に大きく会社に貢献した人材や、能力はありながら配属の問題で力を出し切れていない人材、定年間際を中心にした人選に加え、正月を控えた年末という時期のせいで強い反対の声が起こり、指名解雇を強行しようとする副社長側との対立が深刻な問題を引き起こしていく。終身雇用という日本色の強いシステムの長所短所や会社と社員の関係について考えさせられました。最近は日本の会社でもリストラや転退職が増えてきていますがそれによる影響というのは数字に出ている以上に大きなものかも知れませんね。かくいう私も転職を考える日々ですが・・・(笑)
2001年11月27日
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ドールズの続編で江戸時代の人形師の人格を持つ八歳の少女が様々な事件を解決(?)してゆく短編集です。殺された女性の傍に落ちていた折り紙の蜻蛉の謎を描く「紙の蜻蛉」、影絵のトリックを使った「お化け蝋燭」など、昔の文化を上手く利用した題材が興味深く読めました。 庶民的な京極夏彦という雰囲気かな。
2001年11月26日
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のんびりして楽天的な性格のためなかなか受験勉強を始めず、当然のごとく受験に失敗した主人公はとりあえず予備校に通うことにした。しかし目的意識も意志も弱いも主人公の周りには変な人間ばかりが集まり、面白くも肝心の勉強は一向に捗らない日々が続いてゆく・・・私は幸いにして浪人経験は無いものの、色々と考えさせられる内容ながら清水義範らしい軽い文体が暗さや重さを感じさせず読み易かったです。浪人というだけで楽しみの多くを犠牲(?)にすることを強いられる風潮を上手く使った内容も良かったです。続編も読んでみたいところ。
2001年11月25日
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海洋生物学者である父とフィジーの小さな島で暮らす主人公はある朝海辺で不思議な生き物を発見した。胴の割に大きな4本のヒレと長い首・・・それは、遠い昔に絶滅した恐竜の一種プレシオサウルスの特徴そのものであった。主人公はまだ生まれたばかりらしいその生き物を持ち帰って父と相談した結果、いずれ海へ帰そうと人目につかないよう育てることにした。ところがフィジーで核実験を計画していたフランスの諜報機関がその存在に気付き、実験反対の口実にされないよう秘密裏に軍を動かして生き物を含めた全ての証拠を抹殺しようとしてきた。フィジーでの生活と生き物を守る為、主人公父子はささやかながらも強固な抵抗を始めた。自然の中での動物と人間との交流というのが題材的にちょっと狙い過ぎてあざとい印象も受けますが、たぶん私がひねくれてるだけで良い作品だと思います。絶望的な状況でも諦めずに立ち向かった末の最後のシーンは圧巻だと思いました。へそまがりでない人にはお薦め(笑)
2001年11月24日
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勇猛と智謀を兼ね備えた武将として名高く、徳川家康が数万石を以って遇しようとしても受けず豊臣家への忠誠を貫いて大阪夏の陣で壮絶な戦死を遂げた真田幸村の生涯を描いた作品です。・・・が、歴史を忠実に追おうとしていると言うよりも実子大助の母は忍びで彼自身も優れた忍者だったり、豊臣秀頼を国外の新天地へ導こうとさせたりとかなり物語、講談色の強い仕上がりとなっています。十勇士はともかく実在の人物をメインに使っているのが同著者の「眠狂四郎」などとはまた違った面白さですね。
2001年11月23日
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好きな作家の新刊が古本屋の100円コーナーで発見されると嬉しいような悲しいような微妙な気分・・・「罅・街の詩」に続くシリーズの2作目で、体を張って何かを掴もうとしている探偵をを描く短編集です。このシリーズに限らず北方謙三の作品は生物学的な意味ではない“男”と“女”や老い、誇りを主題とした作品が殆どなのですが、それでこれだけ多彩な作品が描けるというのは凄いことだと思いました。ある意味ワンパターンと言ってしまえばそれまでかも知れないけど、なぜか何度読んでも気持ちが昂ぶってくるような一殺ですね。
2001年11月22日
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持ち前の行動力と大胆なアイディアで独自の顧客層を開拓し、成績を伸ばしてきた主人公だったが気の緩みからか信じられない失敗をやらかしてしまった。幸い大事には至らなかったものの、仕事に自信を無くした主人公は転職を考え、辞表を提出しようとした。しかし彼の能力を買っていた上司は説得を重ねて翻意させ、会社に残った主人公は様々な商品や企画を考え出して大きな業績を残すことになる。武田信玄ではないけれど、人が会社を作っていることを感じさせられる作品ですね。 どんなに才能のある人間でも、上司に恵まれなければ埋もれたり辞めたりしてその力を発揮することなく終わる可能性は高いし、逆に上司に恵まれれば思っている以上の力を出せることもある。 一度は辞めることを考えた主人公が持ち直して大きな仕事を成した裏で力になった人々の描写と、主人公の力強い考えに励まされる一殺です。
2001年11月21日
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牢医者である主人公が職業柄接する罪人達から頼まれたり、興味を持って調べるうちに様々な事件に巻き込まれてゆく顛末を描いた短編連作集です。正義漢というよりも人の良い主人公ならではのどこか親しみやすい雰囲気が庶民的(?)な事件の内容と良く合っていると思いました。罪人と言っても別に特殊な人間ではなく、普通の人が様々な事情やきっかけから罪を犯してしまうというのが伝わってきて読後感も悪くないですね。ちょっとご都合的な展開は時代物ならではってことで。
2001年11月20日
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日清、日露戦争が避けられないものとして迫り、きな臭い空気の漂う明治24年、網走から旭川にかけて巨大な道路を建設しようという計画が持ち上がった。発案者は伊藤博文、名目は日露戦争に備えた北海道の整備ということで労働力には1000人の囚人たちがあてられることになった。しかし、道路の巨大さに比べて工期は短く、加えて労働環境、食事、居住などの劣悪さに囚人達は次々と病み衰え、倒れていった。 そんな彼等を支えていたのは道路が完成したら恩赦があり、土地を与えられて北海道で暮らすことができるという約束であった。工事の過酷さに300人もの命が失われたが、遂に道路は完成し、生き延びた囚人たちは土地を与えられて北海道の各地に散っていった筈だが・・・・・史実と現在の状況から不審な点を発見し、それを膨らませることで非常に読み応えのある作品に仕上がっていると思いました。 小説ながら歴史の側面や違った見方の手引きになる1殺ですね。
2001年11月19日
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7歳の少女が轢き逃げにあって入院した。ところが彼女は事故のショックか口がきけなくなり、また、高血圧や喫煙、不気味な人形への興味など信じられないような症状を現すようになった。調べていくうちに、彼女の中には中年男性らしい人形師の人格が居るということが判明し、彼の出自と本当の人格を取り戻すための調査が始まった・・・多重人格や前世の記憶に人形を組み合わせた題材は興味深く読むことができました。 内容的にも重いばかりでなく様々な人間関係を使うことで読み易く、ミステリィやホラーは苦手という人でも比較的抵抗が少ないような気がします。ただ、最後はちょっと軽すぎて個人的には違和感を覚えました。 次回作を考えてのことかも知れませんが。
2001年11月18日
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映画化もされたらしい癒し系(?)の名作です。小学生の仲良し3人組は、1人の祖母が死んで葬式に行ってきたという話から死というものや死者というものに興味を持ち、学校の近くに住んでいる老人が死なないか観察しようという話にまで発展した。実際に観察を始めた3人だったが老人は特に死ぬ気配も無く、しかも観察に気付いて3人をからかうようになり、不思議な交流が始まった・・・小学生と老人という取り合わせは時折使われますが、その中でもこの作品はキャラの強さが良く生きていて引き込まれました。 徐々に心を通わせていく展開も上手く、読んでいて心地良かったです。 オススメ。
2001年11月17日
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原因不明の奇病で16歳にして頭髪が殆ど抜け落ちてしまった主人公は、そのことを馬鹿にされた怒りで大名の息子に暴行を働いてしまった。すぐに取り押さえられて土蔵に押し込められ、良くて切腹、悪くて斬首を覚悟していたところ状況その他を考慮され、屋敷で謹慎ということでこの件は落ち着いたかに見えた。ところが今度は頭のことで許嫁の家から婚約解消を言い出され、しかも顔を見て笑ってしまった許嫁を斬ろうとしてしまい、またも取り押さえられるという事件を起こしてしまった。今度こそ・・・と観念した主人公だったが何故か監禁されるだけでそれ以上の沙汰は無く、無為に日々を過ごしていた彼の出生には実は大きな秘密があった。題材が面白いですね。 若くして頭髪を失ってしまった主人公の悲哀と周囲の反応が上手く描かれており、人間見た目ではないというのが伝わってくるタイトルも良かったです。 チャンバラ系でない時代物の中では結構オススメです。
2001年11月16日
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中学生になった主人公は小学校の頃の友達が同級生をいじめているのを見かねて口を出したが逆にそのことで自分がいじめられるようになってしまった。 助けたはずの同級生もいじめに加わり、事勿れに徹する教師や見て見ぬふりの同級生にも理不尽さや失望を感じていた主人公は、あるきっかけで1人のホームレスと知り合い、彼の不思議な人柄に接するうち、いじめに向き合っていこうと決意する。迷いながら成長していく少年の心理が柔らかい文体で描かれていて清々しい読後感がありました。やや短いせいか一部の展開が活かしきられていないような気がするのが残念。
2001年11月15日
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歴史上でも屈指の美女、そして悲劇の主人公として名高い楊貴妃の一生を描いた作品です。義父である皇帝に見初められて後宮へ入った後寵愛を一身に受け、親族が重用される中での様々な権力争いの模様、そして安禄山の反乱で都を落ちる途中に楊一族の専横に反発する者達によって死へ追いやられるという波瀾の生涯が様々な文献や人名を多用することで淡々と綴られているのが印象的でした。読み物としての小説を期待していると拍子抜けかも知れませんが、堅くない歴史文献のような感じで読めば悪くないのではないでしょうか。
2001年11月14日
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検疫所に勤める主人公は汚染食品の横流しに関する調査を行っていた。 そんな折、ジャーナリストとして汚染食品の検査の穴を記事にし、新たな事件を追っていた友人が車で海へ飛び込み重態という事件が起きた。警察は様々な状況から自殺との見解を出したが信じられない主人公は更に調査を続けるうちに横流しなどとは比べ物にならない大掛かりな組織の実体と信じられない真犯人へと迫ってゆく。最後の最後でどんでん返しに次ぐどんでん返しという展開はミステリィの常套手段ですが、かなり意外な犯人で面白く読めました。ちょっと強引な部分もあるけど題材も興味深く、色々と考えさせられる一殺ですね。
2001年11月13日
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映画化もされ大ヒットした表題作を含め、奇跡をモチーフとした短~中編集です。廃線間際の駅長を務める老人の前に現れたどこか懐かしい少女とは・・・という表題作の他、日本に滞在するために籍を貸しただけで顔も見たことのない妻からの手紙を題材にした「ラブ・レター」、新しい女のために自分を捨てた父を描いた「角筈にて」など、寂しい中に優しい奇跡を感じさせる雰囲気が非常に良かったです。北村薫や湯本香樹実が好きな人には特にお薦め。
2001年11月12日
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タイトル通り会社再建に賭ける男達を描いた作品です。海外部門での不振が響き、1000億円以上もの負債を出して会社更生法の適用を申請した小川商事。しかしその負債の大きさや商社であることから更生法適用の可能性は低く、再建は難しいだろうという周囲の意見を押し切って保全管理人を受けた宮野弁護士は冷静な判断と強固な意志、それに理解のある協力者に恵まれ苦難の末に会社を再建することに成功する。多少、順調すぎる気もしましたが実話を元にしているということで説得力はあり、人事を尽くせば天命もそれなりのものが出るというのは内容的にも明るくて良かったです。どろどろしがちな企業物の中では読み易い一殺。
2001年11月11日
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極端なヤクザを題材に極端な展開を描くことでその本質や根底にあるものを感じさせる短編集です。相変わらずの内容は良識人には読ませられませんが毒好きなら読んでおきたい(?)1殺ですね。最近殺伐としたのばかり読んでるからそろそろ柔らかいのも読もうかな・・・
2001年11月10日
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新宿鮫の2冊目で先日読んだ「屍蘭」の前の作品です。順番逆だけど話は繋がってないので問題なす。台湾で凄腕の殺し屋として恐れられている“毒猿”、その雇い主の1人が脅されて毒猿の住み処を吐いてしまったため彼の愛人が殺され、復讐の鬼と化した毒猿は愛人を殺した組織を壊滅させた後、知り合いのやくざを頼って日本へ逃亡した雇い主を殺すため新宿へ潜入した。その毒猿の正体に目星をつけ、休暇を取って日本へやってきた台湾の警部と知り合った新宿鮫は彼の熱意に動かされ、捜査を共にすることにした。ストーリー自体は特に目を引く部分はありませんが新宿という都市の特異性を生かした描写や展開が上手いと思いました。内容は暗いもののしっかり纏まっている一殺。
2001年11月09日
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人間離れした健脚と人付き合いの不得手で無口な人柄から“単独行の加藤文太郎”と呼ばれ、昭和初期のまだ山というものが裕福な人々の楽しみであった登山界に多大な影響を与えた男の生涯を描いた長編です。人物伝というよりも新田次郎なりに作り出した加藤文太郎という主人公の小説という感じで、淡々と事実や記録を綴るだけでなくキャラクタの心理や小さなやりとりなど様々な味付けが読み物としても楽しむことができました。造船技師としても優秀な業績を残しながら登山でも単独行で驚異的な踏破記録を作り、ただ一度パーティを組んだ山で遭難して31歳の若さでその生涯を閉じるという人物像も興味深く、オススメ。
2001年11月08日
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もう何度読んだかわからないくらいの作品です。本が尽きたわけではありません。北方謙三が読みたくなっただけです(笑)世界を狙える二輪レーサーだったが事故でパートナーを喪い、自分も重傷を負って引退し、父親が残した岬の小さなホテルで静かに暮らしていた主人公のもとに引退後に別れた女から手紙が届いた。それをきっかけに不審な人物が主人公に接触してくるようになり、心の奥に押し込んだ何かが主人公の中で目を覚ましてゆく・・・これぞ北方謙三です。 誰かのためではなく自分が自分であるために何かをやり通す。結果も効率も関係ないその行動理念は私には真似出来ないだけに憧れます。最後の文章も素晴らしく、最も好きな作品の1つですね。
2001年11月07日
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ん~~~~~、作りの甘い星新一かな。所謂SFショートショート集です。石油ショックでテレビの深夜番組が放映されなくなったことで、それまでテレビに依存していた人々が時間を持て余して考えた解決策とは、という表題作や宇宙人、幽霊を扱ったもの、人間の虚栄心や愚かさを皮肉ったものなど題材も無難なところを押さえており、それなりに纏まってもいるのですが、どうしても同ジャンルの星新一と比較すると見劣りしてしまうのが惜しまれます。 SF短編好きなら。
2001年11月06日
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ある製薬会社の研究所でウイルスの漏洩事件が起こった。しかもそのウイルスの感染者は左腕が変形し、独立した生命体として心臓ごと本体から抜け落ち、死亡率は9割を超えるという恐ろしいものであった。研究員の大半は死亡したが研究中のホルモンで辛うじて発症を抑えている主任は研究続行のために感染モデルを要求し、それが受け入れられなければウイルスを外へ垂れ流すと脅迫し、新薬の実験としか説明されないまま2人の一般市民が研究所へ送り込まれた・・・ホラーとしては雰囲気があってなかなか良いと思います。内容的にも興味深く、先を読ませる力はあるのですが若干話を広げすぎてケリのついていない部分があるのがちょっと気になりました。 ミステリィ好きで細かい部分にも突っ込みを入れてしまう人には向かないかも?
2001年11月05日
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昭和3年、関東軍は満州への軍事的介入の口実のため奉天軍元帥である張作霖が乗る列車を爆破し、それを蒋介石率いる国民党軍ゲリラの仕業に見せかけることで両軍の衝突を引き起こそうと計画した。爆破によって張作霖が死亡したことでこの計画は成功したかに見えた。 ところが爆破実行犯をでっち上げる工作を総領事館の少女が通りかかって見てしまった。事が露見することを恐れた関東軍は少女を見つけ次第抹殺するよう通達を出し、しかも事件に不審を抱いて衝突を避け、動向を窺っていた奉天、国民党両軍は証言を得るため少女の身柄を確保しようと動き出した。ある用事で総領事館に滞在していた主人公は総領事の依頼を受け、少女を無事に日本まで送り届けるという危険な仕事を引き受けることになった。 英国石油会社の極東総支配人から借り受けた名車デューセンバーグと運転手と共に中国の大地をひた走る一行の運命は!?景山民夫にしては珍しい歴氏を題材にした長編冒険小説ですが、緊迫感に富んでいてとても面白かったです。運転手がアメリカ人でキャラも良く立っていたのが景山民夫らしいと思いました(笑) おすすめ。
2001年11月04日
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会社への情熱と攻めの経営で絶大な人気と力を得て日本最大の紡績会社のワンマン社長として君臨してきた主人公がクーデターのような形でその座を追われた。しかし後任の問題で社内がもめ、結局彼が再び社長の座につくことになる。 しかし攻めの経営が会社の現状に合わないと考える彼の腹心は独自に会社のためと思えることを実行してゆく。 そして・・・会社に対する考え方の違いや社員の受け止め方、それぞれの信念に基いた行動などが力のある文体で描かれていて考えさせられながら読めました。紡績という題材はやや古いけどおすすめ。
2001年11月03日
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4年間で9本もの番組をコケさせたためディレクターを下ろされたが、その異能(?)を買われてテレビ局内部のトラブルを秘密裏に処理する仕事を与えられている主人公を皆はトラブル・バスターと呼びできるだけ近寄らないようにしている・・・そんな彼の活躍(?)を描いた短編連作集です。良くも悪くも人間臭さの強い内容は少しやり過ぎな気がするところもありますが、人情味と痛快感と適度な笑いでテンポ良く読み進められました。軽い読み物としては悪くないですね。
2001年11月02日
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大沢在昌の名シリーズ、新宿鮫の3作目です。新宿で小さなコールガール組織の元締めをしている男が不審な死を遂げた。 職業はともかく正義感が強く、女のためなら体を張ることも辞さないその男に好感を持っていた凄腕の警官、新宿鮫は独断で調査に乗り出した。 その結果、元締めは組織の女の1人が妊娠し、産むつもりだった胎児を病院の手違いで堕胎されたことに憤り、談判に行っていたことが判った。件の病院の近辺を洗っていくうちに浮かび上がってきた異様な殺人者とその動機とは・・・・・所謂、刑事物というジャンルですが主人公のキャラの強さと犯人の特異さで興味深く読めました。内容もさることながらタイトルも特徴的です。
2001年11月01日
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