
ところが、パンタレオンは何らかの負債を負ったようで、追われる身となってしまった。そして、メルゼブルクの教会の牧師のもとにかくまわれることとなった。そのような事情から、しばらくメルゼブルクでの隠遁生活がつづくことになった。
メルゼブルクはライプツィヒの西、 ヘンデルの故郷ハレ
の真南、ザーレ川沿いに位置する、中部ドイツで最も古い歴史を持つ町である。とりわけ”メルゼブルクの呪文書(Merseburger Zauberspruche)”という古文書の出所として知られている。古くは神話や迷信のさかんな町であったらしい。ちなみに「メルゼブルク」の町名はローマ神話に出てくる戦いの神「マース」に由来していると言われている。
10世紀のはじめ、メルゼブルクの伯爵の娘ハーテブルクが東フランク王国の国王ハインリヒ一世と政略結婚したことから、この町にも砦が建設された。当時、このあたりはハンガリーから度々攻撃を受けていたのである。実はハインリヒはしばらくしてマティルデという美女に一目ぼれし、前妻ハーテブルクのほうは離別してマティルデを娶ることになるのだが、依然としてメルゼブルクには塁が築かれていた。
さて、パンタレオン・ヘーベンシュトライトであるが、ある資料によれば彼はメルゼブルク付近の村に隠れ住んでいた、とある。それがどこなのかは全くわからないが、メルゼブルクの教会の牧師の家と言うから町の中心からさほど離れてはいなかったであろう。PR
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