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朝から真夏の日差しが照り付け、木陰で観察できる手賀沼沿岸を訪ねました。育雛中期に入りサシバ成鳥がカマキリを捕食し巣に運搬する目撃していますが、今日はシマヘビのようなものを成鳥雄が捕食し足にぶらさけて巣に向かいました。巣にいる幼鳥が独立できるように再び動物食を与えているものと思われました。林の中からは、幼鳥の鳴き声が聞こえましたが、餌を運搬した後は、雌雄それぞれが巣から離れた電柱や木のてっぺんに止まり、巣に入ることはなく過ごしていました。アップした写真は、成鳥雌と思われる個体と過去に観察した幼鳥の写真です。幼鳥は、前頚から腹に暗褐色の縦斑があり、顔と目は褐色でバフ色の顕著な眉斑があります。なかなか姿を目撃する機会の少ない羽衣です。前回、手賀沼沿岸でセグロセキレイの成鳥と幼鳥が草むらから姿を現したので、再びその現場近くで待機しました。成鳥2羽、幼鳥3羽が地面を移動しながら蜘蛛、甲虫りのようなものを捕食していました。(写真)2025年6月30日撮影、サシバ幼鳥は2016年7月撮影のもの
2025.06.30
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久しぶりに柏の葉キャンパス駅近郊の調整池と周辺を探索しました。国道16号の東側にある調整池では5月以降草丈が高く鳥の姿が見つけづらい状態が続いていましたが、草刈りが行われ鳥たちが餌さがしで次々降り立っていました。湿地を餌を求めて移動していたアオサギ、ドジョウと思われる餌を捕獲しぐいっと丸呑みをしていたダイサギ、湿地の縁で昆虫類を探していたコチドリの姿を見つけました。これらのほか、泥玉を作る泥を採取にきていた複数のツバメを観察できました。採取では嘴を思い切り土の中に突っ込んでたくさんの土を持ち帰ろうとしていました。その後は、国道西側の調整池に移動し、探索。バンのペアが二回目の巣作りが終わり、産卵後に抱卵に入っているようでした。猛暑の中で抱卵をしている成鳥は、さすがに暑い模様で嘴を思い切り開けて熱を発散。成鳥1羽は池の縁で抱卵を担当している相手用の餌探しで移動していました。このあと、近くの商業施設の巣で誕生した若鳥たちの様子を観察しました。成鳥のあとについて飛行の練習をした後、池を見渡せるフェンスに止まり一休み。3羽の幼鳥のうち1羽は、下面の一部が赤茶色で亜種アカハラツバメ(Hirundo rustica saturata)とツバメの交雑個体と思われる個体でした。(写真)2025年6月29日撮影
2025.06.29
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鳥友から都内の公園に飛来しているササゴイを見に行ったが、上面に褐色味かある個体を観察した。近くにいた方に質問をしたが成鳥ではないけれど齢はわからないとしか答えてもらず、図鑑をいろいろ見たがわからなかったと質問をもらいました。ササゴイの羽衣のいろいろを整理してみました。(1)成鳥一枚目の写真の個体は、成鳥夏羽です。額から後頭と頬線が青みがかった黒色です。後頭に長い冠羽があります。虹彩は黄色で、喉から前頚、胸の中央に白線があります。二枚目、三枚目の個体も成鳥です。額から頬線は青みがかっています。後頭に長い冠羽があります。喉から、胸の中央に褐色がかった線があります。虹彩は黄褐色に見えました。夏羽になる前の羽衣と思われます。(2)成鳥婚姻色四枚目の個体は、成鳥婚姻色個体です。上面と足の色とが橙色がかっていました。虹彩は、黄色です。(3)第一回夏羽五枚目、六枚目の個体は、第一回夏羽(生まれた翌年春に換羽で得られる羽衣)です。成鳥とほぼ同様ですが背に褐色味があります。虹彩は黄色、下嘴に黄色味がある点は成鳥との違いです。鳥友から質問があったのはこの羽衣だと思われました。(4)若鳥七枚目の個体は。成鳥と同じように頭上が青みを帯びています。しかし、下嘴基部付近に白斑があり、顔から胸にかけて褐色の縦斑があります。八枚目、九枚目の個体は、頭上が褐色がかった個体と青みのある個体です。顔から胸にかけて褐色の縦斑があります。七枚目の個体に移行する前と羽衣と思われます。十枚目の個体は、頭頂部に産毛(*幼綿羽)が残っています。幼鳥は全身が黒褐色で、胸に縦斑があります。(写真)一枚目:2018年7月1日、二枚目・三枚目:2017年6月28日、四枚目:2016年6月25日、五枚目:2017年6月28日、六枚目:2022年6月27日、七枚目:2019年7月7日、八枚目:2021年7月5日、九枚目:2022年6月27日、十枚目:2025年6月18日都内で撮影
2025.06.28
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6月16日に柏市の畑地でコチドリが誕生し、以降その成鳥ぶりの観察を続けています。誕生してから11日目となりました。4羽誕生しましたがカラスに捕食されたのか19日以降はヒナ2羽の姿のみとなりました。2羽のヒナの動きは活発で、鳴き声はすれど姿がなかなか探せない状態です。それでも成鳥2羽の動きと鳴き声でほぼヒナがどこのあたりにいるのかが把握できます。一枚目の写真は、成鳥雄がヒナが落ちる恐れのある溝の前に立ちはだかっている姿です。このときには雄の視線の近くにヒナの姿がありました。二枚目の写真は、成鳥雌がカラスが畑地に降り立ったときの姿で、このときはヒナは成鳥雌の後方の草陰に隠れていました。三枚目から五枚目の写真は、ヒナを撮影したものです。ヒナ2羽のうち1羽は、体がスリムで、もう一羽は丸い体型が特徴と思えました。六枚目は活発に動く2羽のヒナの動きに視線を集中されていた成鳥雄の姿です。七枚目は、畑地に降り立ったハシボソガラス2羽のうち1羽の姿。端から端まで移動していたので、コチドリ成鳥2羽は擬傷行動でその視線を引き付けている姿を何度も目撃しました。(写真)2025年6月27日撮影###先日、張(2000)が報告しているコチドリの日齢と各器官のサイズを再録します。観察したサイズは、12日齢とほぼ同じとすると、成鳥比で体重は73%、嘴峰73%、跗蹠89%、尾長39%、翼長38%ということになります。文献では、16日齢で活動範囲が拡大とありますが、今日の様子はまさにそのレベルに達しているような印象です。21日齢で独立生活に入ると言われていますので、観察できるのもあと僅か。(コチドリの日齢とサイズ)1日齢では体重7.4g、体長42mm、嘴峰7.1mm、跗蹠18mm、尾長5.2mm、翼長19mm、2日齢では体重9.8g、体長70mm、嘴峰8.9mm、跗蹠22mm、尾長10mm、翼長20mm、5日齢では体重13.2g、体長82mm、嘴峰9.2mm、跗蹠23mm、尾長16mm、翼長37mm12日齢では体重22g、体長100mm、嘴峰9.5mm、跗蹠25mm、尾長25mm、翼長45mm16日齢では体重27g、体長126mm、嘴峰10mm、跗蹠26mm、尾長31mm、翼長76mm21日齢では体重30g、体長130mm、嘴峰12mm、跗蹠27mm、尾長40mm、翼長90mm成鳥は体重30g、体長172mm、嘴峰13mm、跗蹠28mm、尾長63mm、翼長118mm(*)嘴峰(しほう):嘴の先端から基部、跗蹠(ふせき):鳥の脚のまん中にある後ろ向きの関節から趾が分かれる場所の関節までをつなぐ跗蹠骨の長さ、尾長(一番長い羽の先端)、翼長(たたまれた翼の全長)(引用)張青霞ほか.2000.コチドリの繁殖習性.動物学雑誌.第35巻.第5号.p1-2.
2025.06.27
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台風から熱帯低気圧にかわった影響で朝方まで小雨が断続的にふり、湿度90%前後のムシムシの暑さの日となりました。こんな日は、手賀沼沿岸の谷津田の木陰でサシバや山野の鳥と出会うのが一番です。到着すると、林の中からウグイスの囀りとキビタキがピッピッジッジッと地鳴きを披露した後にピックルピックルと声を出しているのが聞こえました。その後、電柱の上にサシバが降り立ち、直下の畑の縁を低空で飛翔し獲物を捕獲。別に電柱に止まった時に獲物はカマキリと判明しました。田んぼの草丈が高くなり、カエルが捕獲しずくなったのも一因と思われます。育雛期中期から後期には昆虫類の採食割合が高まると先日申し上げました。谷津田の一ヶ所のペアの巣では育雛中期、後期に入ったことがわかります。採餌行動から巣の中の雛の様子に思いをはせるのも醍醐味です。参考としてカナヘビを捕獲した光景、四枚目はモグラを捕獲した光景の写真をアップしました。このほか、谷津田の一角で下面の白い縦斑が目立たない成鳥がポストに止まり巣の見張りをしていると思われる姿、さらに草むらからセグロセキレイ成鳥2羽、若鳥1羽が登場し、地面を移動しながら餌の昆虫類探しに大忙し。その後、電線に移動し、高い場所から餌の動きをじっと凝視する姿を観察しました。(写真)サシバ三枚目、四枚目、セグロセキレイ若鳥を除き2025年6月26日撮影
2025.06.26
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5月以降、高原や北日本で見られるモズは、色の淡い高原型モズと呼ばれます。羽縁の摩耗と退色によって全体に灰色味が強いのが特徴です。従来は、高原モズは、繁殖の終わった後に高地へ移動した個体と説明されていました。(高原で観察した高原型モズ)一枚目の写真は、日光市戦場ヶ原で2015年7月13日に観察した高原型モズです。上面の灰色味が目立ち、過眼線が褐色で、高原型モズ雌個体と思われました。(平地で観察した高原型モズ)2021年4月11日柏市手賀沼沿岸、同年6月30日にさいたま市彩湖で高原型モズを観察しました。彩湖で観察した個体は、頭から上面の灰色味が強く、過眼線が黒くて下面に鱗模様はないので高原型モズ雄個体、手賀沼沿岸で観察した個体も上面の灰色味が目立ち、過眼線が黒いので高原型モズ雄個体と思われました。(西日本のモズは渡り型と留鳥型のふたつが存在)日本鳥学会2021年度大会で「高原モズのGPS 渡り追跡から探る部分渡り性の進化」と題する講演で西日本のモズの渡り性について調査結果が報告されました。内容は、「2019年9月から2020 年4 月にかけて大阪で越冬・繁殖のためになわばり形成したモズの雄11 個体にGPS ロガーを装着し、2020 年12 月に5 個体を再捕獲できた。そのうち2 個体のロガーから3 か月以上の移動データを抽出できた」「1個体は大阪府での繁殖後に岐阜県へ渡った「渡り(漂鳥)型」だったが、もう1 個体は大阪に留まった「留鳥型」であった」というものでした。大阪のモズは「渡り型と留鳥型が同所的に越冬・繁殖する」という形式の「部分渡り性」であるという世界初の報告でした。渡り型と留鳥型が異所的に繁殖(もしくは越冬)するとされてきた見解を覆すものとなりました。(関東では渡り型と留鳥型のモズが存在するか)前記で報告したように、2021年4月、6月に千葉県柏市、埼玉県さいたま市で高原型モズを観察しました。身近な環境に姿がないか注目しています。(引用)青木大輔・西田有佑・髙木昌興.2021.日本鳥学会2021年度大会講演要旨集p59.
2025.06.25
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変りやすい天気で昼前後に雨が降り出すとの予報でしたが、鳥友から三郷市内でシラコバトを目撃したとニュースをもらい、14年(*)ぶりの再会を期待し探索しました。しかし、その姿を見つけることはできず、水田地帯に姿のあったアオサギ、ダイサギの行動を観察するのに切り替えました。観察していると、ダイサギは歩きながら頻繁に小さな餌生物を採食し、アオサギは待ち伏せをして少ない機会に餌生物を採食するのに気がつきました。かつて、アオサギは繁殖期には東北・北海道に分布していましたが、1990年前後から南下し、千葉県、埼玉県、茨城県等の水田や湖沼で姿を見かけるようになりました。両種とも魚類をはじめ甲殻類、カエル類、昆虫類を採食するので、採食環境は競合しています。研究者の報告(*)では、ダイサギが小型のタニシを多く採食するのに対し、アオサギはより大きなドジョウやアメリカザリガニを多く採食する傾向がみられたと記されています。しかし、今日探索した水田では、ダイサギはドジョウのようなものを複数回採食していました。これは、周囲に複数のダイサギの姿があり、アオサギは単独だったことが影響しているのかもしれません。サギ類のほか、オオヨシキリの行々子の鳴き声、複数のハクセキレイが芝生の上を餌を探して歩き回っている姿を観察し、現地を後にしました。(採食環境が競合するアオサギとダイサギの文献)濱尾章二・秋葉 亮・棗田孝晴.2013.採食環境が競合するアオサギとダイサギにおける餌生物および獲得食物量の比較.Bird Research Vol. 9, A23-A29.(*千葉県北西部でのシラコバトの観察記録)シラコバトは、2011年5月8日に柏市内で観察以来、姿を観察しておらず、再会したい鳥のひとつです。柏市内では1979年4月に姿を目撃して以来、1983年6月、1992年2月から8月、1993年4月、1994年5月、7月、1995年3月から6月、1996年6月から9月、2009年3月から8月、2011年5月に姿を観察しています。小峯(2016)が「埼玉県東部を中心に極めて局所的に分布する」「留鳥として人家近くの垣根、庭木、防風林等に営巣(中略)雑木林の奥深く入り込むことはない。周囲に畜舎がないところでの記録は少なく、畜舎に依存せずに自立している個体は少ないと思われる」と報告しています。しかし、柏市での観察は、住宅街と雑木林において見かけたもので、畜舎に依存しない環境でのものでした。(写真)シラコバトは2011年5月柏市内で撮影、それ以外は2025年6月24日撮影
2025.06.24
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蒸し暑さにくわえて南南西の風5m以上の風が吹き抜ける朝となりました。15日には換気口かに幼鳥3羽、先週20日には2羽、今朝は1羽顔を出していました。次々と巣立ちとなり、20日には時折親鳥が餌を運搬して帰還するものの、ほとんど姿を見なくなりました。先日、研究者の報告に記されている親鳥が餌となるスズメなどを営巣場所に持ってこなくなったのは巣立ちの約7日前、体の大きさは親鳥とほぼ同じで羽を頭上付近まで大きく持ち上げることが可能になった個体が巣立ちが可能であると紹介しました。今朝、観察した個体は、頭頂部に産毛(*幼綿羽)が残るものの、巣立ちの条件はすでに満たしており、巣立ちは目前と思われます。(本日観察した幼鳥の特徴)・頭頂部は褐色で斑があり一部に幼綿羽が残っていました。・閉じた翼の下に隠れている胸側から脇上部にかけての羽毛の連続で現れる模様に着目すると、幼鳥は太い縦斑つながって太い線に見えるとされていますか、この点は確認できず。(写真)2025年6月23日撮影
2025.06.23
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鳥友から九州以北に夏鳥として飛来するヨタカについて質問をもらいました。図鑑には、夜行性で横枝に止まって休むと解説があるが、営巣、産卵の環境はどんなものかとの内容でした。ヨタカは、夜行性であることから直接観察する機会が少ないことから生態に関する報告が少ない種類です。しかし、近年、環境省レッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されてから注目されるように変化しています。これまで、わからなかった生態のいろいろが情報共有されることが期待されています。(地上に産卵する)2年前日本鳥学会2023年度大会で、各地の研究者が集い研究と成果について報告が行われました。報告資料には富士山麓において「ヨタカの巣は二次草地の中でも堆積地ではなく溶岩台地の上でのみで発見」と記されていました。このほか、多田(2018)が文献で記されている内容を整理し報告している中に、「ヨタカは巣材を使わず地上に直接産卵する」、「下草が密に生える林床や草地には営巣しない」「抱卵場所は水捌けのよい環境」「上空から巣へのアプローチが困難な林内には営巣していない」「巣の近くに藪や林がある」といった環境に営巣していると述べています。また、TAKAO 599 MUSEUM(2025)が「巣らしい巣はつくらないで、林の中の開けた腐葉土におおわれた地面に2~3個の卵を産み、ヒナを育てる」、植田(2025)も「巣は作らず地上に直接白い卵を2個産卵する」と述べています。(観察に際する留意すること)腐葉土に覆われた地面に産卵している可能性があり、観察路以外には立ち入らない等の注意が必要です。(引用)多田英行.2018.ヨタカ.Bird Research News Vol.15 No.4.p1-2.日本鳥学会.2024.日本鳥学会2023年度大会自由集会報告.https://ornithology.jp/new sletter/articles/1343/TAKAO 599 MUSEUM.2025.鳥類図鑑.ヨタカ.https://www.takao599museum.jp/植田睦之.2025.日本の野鳥さえずり・地鳴き図鑑.p82.メイツ出版.(写真)2012年9月9日千葉県松戸市で撮影
2025.06.22
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6月16日に柏市の畑地でコチドリが誕生し、以降その成鳥ぶりの観察を続けています。今朝、雛の様子を観察したら、かなり羽毛がふえていました。(1)孵化時に羽毛が密集しているのに驚き誕生する2日前には親鳥がずっと座り込んでいたので孵化直前だったものと思いました。16日に現地に立ち寄ると、密集した状態の羽毛が整っているのにびっくり。一枚目の写真が16日の観察した幼鳥です。目がぱっちりと開いており、研究者の文献を見ると、目がわずかに開いているとありますがまん丸い目がしっかり開いているにのはびっくり。(2)コチドリの器官の発達張ほか(2000)がコチドリの繁殖習性と題する観察報告の中に、「走ったり採食するための器官として跗蹠、嘴峰の発育が早く(中略)体駆その他の付属器官は遅れて発達する」と記されています。(3)コチドリの日齢による発育張(2000)は、コチドリ雛の各器官計測と行動の特徴について報告しています。1日齢では体重7.4g、体長42mm、嘴峰7.1mm、跗蹠18mm、尾長5.2mm、翼長19mm、2日齢では体重9.8g、体長70mm、嘴峰8.9mm、跗蹠22mm、尾長10mm、翼長20mm、5日齢では体重13.2g、体長82mm、嘴峰9.2mm、跗蹠23mm、尾長16mm、翼長37mm12日齢では体重22g、体長100mm、嘴峰9.5mm、跗蹠25mm、尾長25mm、翼長45mm16日齢では体重27g、体長126mm、嘴峰10mm、跗蹠26mm、尾長31mm、翼長76mm21日齢では体重30g、体長130mm、嘴峰12mm、跗蹠27mm、尾長40mm、翼長90mm成鳥は体重30g、体長172mm、嘴峰13mm、跗蹠28mm、尾長63mm、翼長118mm行動では、1日齢では羽毛が乾くと巣を離れ、5日齢では羽毛が豊かになり、12日齢では体色が帯灰色、16日齢では活動範囲が拡大、21日齢で独立生活に入ると述べています。(4)チドリ類の体温をさげる行動奴賀(2015)は、南スペインで行われた研究結果を紹介し、シロチドリの腹濡らしについて報告しています。コチドリが行っている腹濡らし(水浴び)に行って自分の体温の上昇を抑える行動は、高温によるストレスを受けている親鳥の体温を下げると述べています。コチドリでは、腹濡らしの行動を目撃したことはありませんが、湿地周辺で子育てをしているコチドリは柏市内でも観察していることから注意深く注視していきたいと思います。(写真)一枚目6月16日に観察した雛、二枚目2025年6月19日里芋の木陰で休む雛、三枚目6月21日移動する範囲が広くなってきた雛、四枚目6月21日里芋の木陰で休む雛五枚目:6月21日上面の羽毛が増えてきた雛(紹介した文献にある5日齢程度)六枚目・七枚目:2025年6月21日撮影、行動範囲が広くなった雛を見守る成鳥(引用)張青霞ほか.2000.コチドリの繁殖習性.動物学雑誌.第35巻.第5号.p1-2.奴賀俊光.2015.シロチドリの腹濡らし.バードリサーチニュース2015年9月
2025.06.21
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手賀沼とその沿岸約8キロを探索しました。複数の谷津田でサシバの姿を観察しました。そのうちの一ヶ所ではカエルをめぐりサシバとハシボソカラスが攻防を展開していました。ほか、トビのペアが春先より同じ林に春以降姿があり繁殖している可能性が高いと思われますし、今シーズンは谷のどこかの草地で繁殖したと思われるセグロセキレイ若鳥が登場し、電線に止まっては地面に降りて餌を物色している姿を目撃しています。さて、サシバが巣に運搬する獲物は、柳沢(2013)が報告しているように、両生類(カエル類)42%、爬虫類(ヘビ)32%、哺乳類(ネズミなど)8%、昆虫類(カミキリ)6%、その他7%という内訳です。このうち、頻繁に捕獲し巣に運搬しているのがカエル類です。谷津田で稲作が長年継続して行われているので、安定して生息しています。東(2007)がサシバの獲物について「渡来直後から育雛期初期にかけて水田周辺で主にカエル類を採食するが、育雛期中期から後期にかけて採食場所がしだいに雑木林に移行し、それにともない昆虫類の採食割合が高まる.このように,季節の進行にともない採食場所を変えながら、その時期に採食しやすい獲物を狩る」と報告しています。(引用)東淳樹.2013.サシバ Bird Research News Vol.4 No.5.p4-5.柳沢紀夫.2013.春を告げる里山の武者サシバ.生きものノートシリーズ.トヨタ自動車.Toyota Technical Center Shimoyama(写真)2025年6月20日撮影
2025.06.20
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柏市のオフィス近くの畑地にコチドリのペアが飛来し、6月16日に雛が誕生しました。連日の猛暑が続いており、どうしているかと現地を訪ねました。3日前は小さいコットンボールのようでしたが、体のパランスがよくなり畑を猛スピードで移動しても危なさがなくなりました。ところが、気温32度まで上昇しており直射日光を浴びると20度程度高いことが知られています。畑のコチドリ雛には50度程度の負荷がかかっているものと思われます。成鳥雌雄の親鳥は、そのあたりは抜かりがありません。成鳥雌が里芋の葉の下の日陰に移動し、ピッピッと鳴き声を出し雛を招集すると、すぐに移動してきて、一緒に涼むのかと思ったら成鳥のお腹に入り、避暑。その後、成鳥がビゥ、ピィーと短く警戒する声をあげたと思ったら、畑の真ん中を白黒の猫が闊歩して通過。通過が終わると、成鳥のもとに雛が駆け寄ってきて何か囁いているような仕草を観察。また、別の雛は畑に置かれたプラスチックケースの中に入り、猫の視線から外れるような行動をとっていました。(写真)2025年6月19日撮影
2025.06.19
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先月8日に訪ねて以来、久しぶりに都内の公園を訪ねました。お目当てのササゴイ。スタート地点からカイツブリが、遊歩道脇の水面をエスコートしてくれササゴイの繁殖場所のひとつの小島の前まで。到着して水際を見ると、頭頂部に産毛(*幼綿羽)が残る幼鳥がじっと水面を凝視していました。幼鳥は全身が黒褐色で、胸に縦斑があります。直射日光をさけるのに島のクスノキの木陰で涼み、しばらくすると水際に出てきて水面を凝視する光景を繰り返していました。成鳥は、公園全体を移動したり、近郊の川に出かけて餌であるカエル、ザリガニ、ドジョウなどを捕獲しキューと甲高い声を出して小島に帰還します。帰還すると、幼鳥たちは即座に集合し餌を受け取ります。見ていると、成鳥は必ず1羽は残っている模様でした。カラスによる雛の捕食からの防衛だと思われました。(写真)2025年6月18日撮影ササゴイ成鳥:4枚目、6枚目、8枚目(小島のクスノキに入っていく光景)ササゴイ幼鳥:2枚目、3枚目、5枚目、7枚目、9枚目、10枚目1枚目:カイツブリ、11枚目アオサギ、12枚目ハシボソガラス(*)幼綿羽:幼鳥には、頭頂部に幼綿羽が残っています。特に頭のてっぺんに3本の毛が見えることもあります。
2025.06.18
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吉川市吉川美南西口と東口の調整池とその周辺を探索しました。西口にある中央公園前調整池は昨日までの降雨の影響で水位が高く、カワウ、オオヨシキリ、ツバメの姿はあったものの、昨年観察できたヨシゴイの姿も見つけられずでした。しかし、葦原でキョキョキョとだんだん早く鳴いていたヒクイナと出会えました。その後、東口の第一調整池に移動し、探索を続けました。造成工事が続き探索できる範囲が限られていますが、水田でダイサギ、チュウサギ、草地でオオヨシキリの成鳥と若鳥の姿、頭部は緑色が強く上面の一部がグレーに見えるカワラヒワ、電線に止まり羽繕いをしていたバランス抜群のスズメとの出会いを楽しみました。(オオヨシキリ幼鳥と成鳥)オオヨシキリ幼鳥は、成鳥に比べて嘴が短く見え、嘴の淡色部が広く見えました。帰宅後、写真上で成鳥の嘴先端から後頭までのサイズに占める嘴の割合は約30%、幼鳥の嘴先端から後頭までのサイズに占める嘴の割合も約30%でほぼ同じでした。観察した個体の角度によって短く見えたか、それとも嘴のサイズは齢による差がなく、観察した個体は雄幼鳥と思われました。(成鳥雌では嘴は華奢で眉斑も不明瞭と聞いています)(写真)2025年6月17日撮影(オオヨシキリ成鳥は2025年5月29日同地で撮影)
2025.06.17
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柏市のオフィス近くの畑地で今シーズンもコチドリのペアが飛来しました。5月23日に畑地に座り込む時間がほとんどとなり、産卵したものと思われました。以降、雨、低温の日もペアで卵を抱き続けました。今朝、畑の前を通り過ぎようとしたら、親鳥のほかにコットンボールのような物体が動くのを見つけました。確認すると、体の割に足がとても長いコチドリ雛でした。コチドリ成鳥の跗蹠は約25cm程度と聞いていますが、雛も同程度の印象があり長い跗蹠の上にボディが乗っているといった印象でした。鳥友からコチドリの雛のサイズは親指程度の40mm程度と聞いたことがあります。成鳥並みの跗蹠のサイズとなると、かなり腰高ということになります。雛は、誕生後数時間で巣を離れるとされていますが、親の腹の羽毛の中で休息する姿も何度となく目撃しました。雛を招集する時は、親鳥がピッピッピと声を上げている姿、カラスなどが接近すると親鳥が警戒の声を出している間は、ヒナたちが地面に腹ばいになっている姿も目撃しました。(写真)2025年6月16日撮影一枚目:成鳥雄、二枚目:雛、三枚目:成鳥雌、四枚目:成鳥雄の腹部に雛が入った光景、五枚目:雛
2025.06.16
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千葉県北西部に姿のあるチョウゲンボウを見に出かけました。前回、2001年から使ってきた換気口に姿がなく、巣を移転したと報告しましたが、今日現地を訪ねると3羽の幼鳥が換気口から姿を現しました。早合点したことを反省。3羽のうち、1羽は他の2羽より体が大きく、頭に綿羽(*)が残り、上面は暗色で褐色斑が太いことから雌個体と思われました。他の2羽は上面の色が確認できず性別は不明でした。周囲にハシボソガラスの姿が複数あり、体の大きな幼鳥はキイキイと鳴き声をあげて警戒している模様でした。ただし、一番大きな個体でも頭上付近まで羽を上げる動きは観察できませんでした。帰宅後、研究者に巣立ち可能なひなの大きさ、親鳥がヒナに給餌しなくなる時期について問い合わせをしました。すると、東京都と神奈川県にまたがる玉川学園で、ヒナの巣立ち時の行動について27年間観察した結果を報告している文献を紹介してもらいました。早速、紹介してもらった田淵(2013)の内容を見てみました。(巣立ちの日)1987年から2013年の平均では6月24日、最も早かったのは6月20日、最も遅かったのは6月25日と記されていました。(親鳥がヒナに給餌しなくなる時期)いずれの年においても親鳥が餌となるスズメなどを営巣場所に持ってこなくなったのは巣立ちの約7日前であることが明らかになったと報告されていました。(ヒナのキイキイとの鳴き声)キイキイと鳴きながら周囲のカラスを追い払う行為を繰り返していたとあり、ところは違っても同じ内容でした。(巣立ちが可能なヒナの大きさ)巣立ちが可能なヒナの大きさは、親鳥とほぼ同じであり、茶色をしていて羽を頭上付近まで大きく持ち上げることが可能になったヒナに限られると述べていました。(引用)田淵俊人.2013.玉川学園におけるチョウゲンボウのヒナの巣立ち.日本野鳥の会神奈川支部研究年報 第20集.p1-7.(写真)2025年6月15日撮影(*備考:綿羽と羽衣)雛の第一綿羽は白く、短くてまばらです。また、第二綿羽は長くて密であり、約8日齢で現れて上面は灰褐色で、下面は淡色です。若鳥は第2暦年で完全換羽してで成鳥の羽衣を獲得します。このため、若鳥の羽衣はないとされています。なお、第2回冬には体と翼の一部に幼羽を残しているのでこの点を観察できれば第2回冬を迎えた個体とわかります。
2025.06.15
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(各地の川が生物のゆりかごになっている)6月5日に新聞で国土交通省が実施した河川水辺の国勢調査の結果、河川の自然度を示す指標と調査対象16河川のうち、14河川でコチドリが継続的に確認されたと報じられました。国土交通省の資料を確認すると、コチドリは、平成3年から平成7年は80.2%、平成8年から平成12年は92.4%、平成13年から平成17年は95.9%、平成18年から27年では93.5%、平成28年から令和5年では97.2%で確認したと報告されています。日本各地の川が生物多様性を支える重要な生き物のゆりかごであることが浮き彫りになったと記されています。(コチドリは河川環境をほとんど利用しない)笠原(2020)は、日本に春に渡ってきて河川の砂礫地で繁殖するを対象に、GPSロガーを用いて年間の移動経路と利用環境を把握した結果を報告しています。春の渡りではフィリピンの越冬地を出発後、秋の渡りを逆になぞるように台湾や中国を経由して日本に戻ってきたと報告しています。報告で注目されたのは、「繁殖地のような河川環境を移動していくのではという予想に反して、水田での記録が圧倒的に高い割合を占めた」「7月以降、コチドリたちが水田で採食することは知られています。しかし、河川環境の利用がほとんどないという結果は衝撃でした」「繁殖場所となる河川等の砂礫地は、植生遷移や外来植物の侵入などによって全国的に減少しており、将来的な個体数減少のリスクを抱えています」と述べている3点です。(内陸部、柏市を選んで繁殖しているコチドリ)柏市とその周辺では、砂礫地のある環境はほとんど見かけません。しかし、1975年から2025年の間でコチドリが継続して観察され、水田、畑地、住宅地で繁殖が認められています。多くの図鑑類が「砂礫地や埋立地の地上に営巣し、住宅地の空き地に営巣することもある」と解説をしていますが、柏市内では、身近な環境で造巣、産卵、子育てをしており、都市環境を選んで飛来しているとも表現することができます。河川、水田、そして都市環境それぞれの保全に多くの皆さんが関心をもってくださったら幸いです。(1)水田での観察記録春と秋の時期に柏市曙橋で2005年以降、柏市片山新田で2007年以降、柏市水道橋で2007年以降観察されています。水道橋では秋期最大35羽の姿が記録されています。(2)畑地での観察記録市内の畑地で繁殖期に観察されています。(3)住宅地での観察記録1999年6月以降で柏市南部の複数の駐車場で記録され、繁殖が認められます。(4)湿地での観察記録柏市北部の湿地で2018年4月以降、ほぼ通年観察され、繁殖期に幼鳥、若鳥が確認されていることから繁殖している可能性が高いと思われます。(引用)笠原 里恵.2020.どこからきてどこへいく?日本で繁殖するコチドリの渡り 報告編.Bird Research Water Bird News.p2-3.(写真)一枚目、二枚目:成鳥、雌2025年6月7日、三枚目:成鳥雄、2025年6月13日柏市内で撮影
2025.06.14
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手賀沼沿岸の谷津田を訪ねました。そのうち、トビ、サシバ、ノスリの姿を観察できるエリアがあり、木陰で登場を待ちました。一番手はトビのペア。うち一羽は全身褐色で腹部が赤っぽい色で成鳥雌個体と思われました。もう一羽の腹部の色は確認できず。(雄は白っぽく見えるので雌との識別が可能)二番手は、サシバ。頭部に灰色味があったので雄個体と思われました。三番手でノスリが谷津田上空を飛翔しましたが、距離が遠く、翼角の黒班はわかるものの腹部の褐色斑の幅までは判別できず性別まではわからず。そのあと、隣接する水田で餌を物色していたサギ類と畔で休むカルガモを観察。口角の食い込みが目の下を超える亜種チュウダイサギ、口角の食い込みは目の下を超えないチュウサギの姿を見つけました。このうち、チュウダイサギは嘴のもとに近い部分が黄色味が残る個体でした。カルガモは羽色全体の色が淡い雌、黒っぽさと褐色味のある雄でした。その後、再びサシバと遭遇したポイントに戻ると、セグロセキレイ成鳥と若鳥(頭が淡い色の頭巾状)でが電線に止まっている姿を見つけました。これまでもセグロセキレイをほぼ通年観察していたのできたので造巣、産卵、子育てが行われたいた可能性もあります。羽田・篠田(1969)が「巣は建築物、石のかげ、ブリキカンの中、草本のかげ、木の根元など多様」と述べていることから次のシーズンに注視したいと思います。(引用)羽田健三・篠田忠彦.1969.セグロセキレイの繁殖生活史について.山階鳥研報1969年5巻6号 p. 602-622.(写真)2025年6月13日撮影
2025.06.13
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5月24日以来、20日ぶりに野田市のコウノトリの里を訪ねました。到着した12時30分頃、水田で餌を物色しているコウノトリを発見しました。その直後、電柱のてっぺんに移動し、クラッタリングをして巣にいる個体に合図したかと思ったら巣台に移動しました。巣にいた成鳥は渡去し、抱卵を担当。足環を確認すると、右 黄色・黄色、左 黄色・黒なので成鳥雄のヤマト(J0155)と判明しました。渡去した個体は、成鳥雌ひなた(J0424)と思われました。その後は、水田管理の日で草刈り機械が畔に複数台入ったのでコウノトリが水田に降り立つ機会はありませんでしたが、水田で餌探しをしていたチュウサギ、葦原で行々子と囀っていたオオヨシキリ、管理棟の軒下で二回目の産卵・抱卵に入っているツバメとの出会いを楽しみました。(写真)2025年6月12日撮影(足環情報:愛称の次は上部、下部の順)ヤマト:右 黄色・黄色、左 黄色・黒、ひなた:右 青・黄色、左 緑・緑
2025.06.12
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雨続きの日が続き、鳥友有志で新刊「身近な鳥の素顔名鑑」(SB Creative、pp207)の読書会を催しました。馴染の場所で暮らす鳥たちにスポットを当てて身体能力、行動、地域による違い、人との関わり、不思議な進化といったトピックを紹介しています。複数の鳥友からクイナの関する章について関心を持ったと意見が出されました、文中に「クイナはずっと歩いていて飛ぶところはほとんど見かけません」、「クイナは季節によって生活場所を変える鳥。まさか歩いて移動しているとは思えません」と記されている部分です。手分けをしてクイナについて文献を調べて情報を交換し合いました。いろいろ調べてみると、クイナは歩いて移動するだけでなく、渡りをして移動していることもわかりました。翼はオオバンと同じタイプで水面を助走して飛び立つ可能性を想像しながら読書会を終えました。(フユクイナを卒業した時代)吉井(1988)は、クイナについて「日本では全国に分布し、北海道と東北一部の一部では繁殖し、本州以南では冬鳥。(中略)本州中部以南では冬鳥であるためフユクイナともいう」と述べています。主な図鑑類も同様の内容を記しています。手賀沼とその周辺地域での観察記録を振り返ると、1975年から2022年までは10月から翌年春までの間、葦原の中を移動する姿や鳴き声、餌を物色する姿が目撃されました。それが2023年5月17日に「キュイーッ」という鳴き声を観察し、翌年2024年春にも同様の声と堆積している水草の上を移動する姿を観察、8月にも鳴き声を観察しました。(クイナの繁殖分布の変化)鳥類繁殖分布調査会(2021)は、記録メッシュ数は増加しているが、比較可能な現地調査地点での記録数は変化していないと報告しています。ただし、茨城県について繁殖の可能性がある地点が増加していることを図示しています。この点に注目し茨城県(2021)の報告に目を通してみると、クイナについては、2005年から2006年にかけては生息は確認されたものの繁殖についてはなんとも言えないとの評価が大半だったものが2016年から2021年の間で繁殖の可能性がある調査地が増えたことを記しています。(クイナの飛翔)齊藤(2024)は、「水路を横断するときなどの短距離飛行が見られるくらいだが、夜間上空を飛んで海峡を渡る姿も確認されている」と述べいます。原(2021)は、津軽半島で2021年、2022年に夜に渡る鳥について調査をした結果を報告しています。その中にクイナが9月27日に初認、ピークは10月19日、10月21日に終認だったと記されています。(引用)吉井正.1988コンサイス鳥名事典.p187.三省堂.鳥類繁殖分布調査会.2021.全国鳥類繁殖分布調査報告 日本の鳥の今を描こう2016-2021年.p47.茨城県.2021.茨城県鳥類繁殖分布調査報告 2016-2021.p原 星一.2021.夜に渡る鳥の目視による種別カウント調査.pp12.バードリサーチ調査研究支援プロジェクト.(写真)一枚目:2024年4月2日手賀沼、二枚目:2024年2月1日手賀沼、三枚目2023年1月7日埼玉県、四枚目:2022年9月17日手賀沼で撮影
2025.06.11
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繁殖時期、湖沼の葦原の上をヨシゴイが頻繁に飛翔するを観察した鳥友から、ヒナはどんな餌を与えられているのか、雌雄の識別について質問をもらいました。(ヨシゴイ雛の餌内容)上田(1992)は、埼玉県で行った調査結果を整理し報告しています。報告によると、餌種のほとんどは魚類(82.9%)とカエル類(13.6%)で、無せきつい動物はアメリカザリガニ、コモリグモ科のクモ、せきつい動物はドジョウがもっとも多く、モツゴ、アマガエル、トウキョウダルマガエルとダルマガエル、フナの順と記されています。まとめとして「食物は基本的に水中及び水辺に棲む魚類・両生類・エビ類・昆虫類などと思われるが,原島(1991)によるヒナの吐出物調査では,小魚、ザリガニ、エビ、オタマジャクシ、ヤゴ、その他の昆虫類以外にカナヘビのみを給餌していた巣もあった」と報告されています。(ヨシゴイが餌を落とさない嘴の構造)佐原(2013)が「ピンセット状のクチバシの外縁には細かな突起が並んでおり、いったんくわえた獲物は滅多に落とさない」と述べています。どんな突起なのか一度観察してみたいと思っています。なお、鳥類の中でハヤブサ、モズの嘴にある嘴縁突起(*しえんとっき)は、捕えた獲物をいち早く砕く仕組みと考えられています。(*上側の嘴には突起があり、下の嘴にはその突起を収める欠刻がある)(引用)原島政巳1991.サギ類の見分け方.日本の生物1991年5月号.p4-11.文一総合出版.上田恵介.1992.ヨシゴイIxobrychus sinensisのヒナの餌内容.山階鳥研報第24巻.p13-17佐原雄二.2013.ヨシゴイ 分類と生態.Bird Research News Vol.10 No.1.p4-5.(写真と雌雄識別)一枚目、二枚目:成鳥雄:2013年7月13日越谷市で撮影頭頂部が黒い。前頚から胸にかけて縦斑があります。なお、縦斑は中央の1本しか見えない場合もあります。三枚目、四枚目:成鳥雌:2014年6月29日、2018年6月17日越谷市で撮影頭上が赤褐色、前頚から胸にかけて5本の淡い色の縦斑があります。五枚目、六枚目:2025年6月6日上州で撮影。頭上が黒く、前頚から胸に縦斑があります。
2025.06.10
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海岸に群れをなして飛来するアオバトが海水を飲む行動が、そろそろ見られる時期です。鳥友から海水を飲んでいる姿を観察したが、何を食べているのかと質問をもらいました。(アオバトは樹上で果実を採餌する)こまたん(1992)が神奈川県大磯町で調査した結果では、桜の実、ミズキの実、クマノミズキの実を食べていたことを述べています。このほか、文献にマツ科モミ、ツガの実、アカガシ、ツクバネガシ、ミズナラ、コナラ、シイの実および新芽、クリの花、エノキの実、ヤマグワの実、マツグミの実、テリハノイバラ、ヤマザクラ、ナナカマドの実、ウメの花、ダイズ、タンキリマメの実、ニセアカシアの実、ユズリハの実、ガンコウランの実、ソヨゴの実、ツルウメモドキの実、マユミの実、ミツバウツギの実、ヤマビワの実、ノブドウの実、ヒサカキ、サカキの実、ナワシログミの実、ハリギリの実、ミズキ、クマノミズキ、ヤマボウシの実、カキの実、イワトコの実、エゾニワトコの実、ミヤマタニタデの芽を採餌していた事例が記載されていると記しています。その上で、キジバトが地上で採餌するのと対照的な採餌方法と報告しています。(昆虫、ミミズ類も採餌している可能性が高い)漆谷(2019)は、広島県茗荷谷鉱泉で調査した結果を報告しています。報告では、飛来個体の中に総排出腔から白色紐状物体をぶら下げている個体を観察し、採取に成功し、観察した結果、条虫と判明したと述べています。さらに、「条虫の多くは、まず中間宿主となる昆虫やミミズなどの無脊椎動物の体内で、約1~4週間で虫卵が孵化した後、感染期幼虫へと発育し、次に終宿主となる鳥の体内において約2週間で成虫へと発育する。このたびの観察から条虫がアオバトを終宿主として寄生している可能性が高いことがわかった。すなわち、本種が新芽や果実以外に条虫の中間宿主である昆虫やミミズ類などの無脊椎動物を摂食している可能性が高い」と記しています。これまでは、こまたん(1992)が述べているように、「キジバトは果実も食べないわけではないが穀物類も摂取し昆虫類や腹足類などの動物質も少量は摂取する。アオバトの食性はここが違う」と考えられてきました。アオバトと出会った際、飛来個体の中に総排出腔から白色紐状物体をぶら下げている個体がいないか注目してみる必要があります。(引用)こまたん.1992.大磯町照ヶ崎海岸におけるアオバトの生態.かながわ野鳥ライブラリー1.日本野鳥の会神奈川県支部.p32.漆谷光名.2019.条虫を排出するアオバトの観察.山階鳥学誌第51号.p116-121.(写真:いずれも神奈川県大磯町)一枚目:2014年7月21日、二枚目:2016年7月17日、三枚目:2017年7月17日、四枚目:2019年8月3日撮影
2025.06.09
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水戸街道の宿場町として賑わった街の橋梁で長年チョウゲンボウが営巣・子育てをしています。4日に訪ねた際には、巣から外に顔をみせてくれたジュニアが限られた個体のみでしたので再び現地に出かけました。草地の中を移動する影があったので注目していると、キジ、成鳥雌、成鳥雄、成鳥雌の順で姿を現しました。隣接する草地の中へと入っていきました。さて、チョウゲンボウの様子ですが、今日は複数の巣からジュニアたちが顔を出し、違う巣の成鳥が自分の巣に餌を運搬してくる度に鳴き声をあげている姿、成鳥の動きを目で追う姿を観察できたりで時間を忘れる楽しさでした。近々に巣立ちを迎えるものと思いますが、巣立ち後は2週間程度を巣の近くで過ごしその後繁殖地を離れます。ジュニアの姿を観察できる機会もあとわずかとなります。(チョウケゲンボウジュニアの個体のいろいろ)ジュニアの姿を見ていくと、頭部に綿羽(*)が残っているもの、顔は成鳥並みの表情となつているもの、体下面の縦斑も多数あるものとそうでない個体と実にいろいろ。(成鳥の共同監視)今日、確認できた5か所の巣にはそれぞれ若鳥の姿または鳴き声が確認できました。観察していると、成鳥雄が3か所の巣に接近するカラスを追い払う行動を見せていました。集団で防衛しているのではないかと思われました。(写真)2025年6月8日撮影(*)綿羽についてチョウゲンボウの第一綿羽は白くてやや短くてまばらとされています。また、第2綿羽は長くて密であり約8日齢で現れ、上面は灰褐色で下面は淡色とされています。
2025.06.08
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ツミのペアが抱卵している林を訪ねました。5月10日に雌が巣で座り込み時間が長くなってきた光景を観察して以来、28日目。今週はじめに巣に姿のある成鳥雌の目の周りが黒っぽく変化していました。くわえて、雌の下腹部周辺に白い羽毛が動いているように見えました。なお、目の周りが黒く変化しているのは、性ホルモンの働きではないかと思われます。5月12日に撮影した成鳥雌の写真を参考までにアップしました。一方、成鳥雄の動きですが、朝一番で獲物を捕獲し巣にいる雌にプレゼントしたようで、巣とは別の林の枝にとまり、カラス、オナガが巣に近づかないか四方を見渡している姿を観察しました。今朝、観察した白い羽毛が動くように見えたのが雛だとすれば、1日3回程度だった獲物の運搬が雛の成長とと共に飛躍的に増加していきます。これからの楽しみでもあり、巣に接近するカメラマンがいないかなどの見守りを強めていかなくてはいけない時期となります。(写真)2025年6月7日撮影(三枚目は5月12日撮影)
2025.06.07
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鳥友から教えてもらった上州自慢の遊水地にヨシゴイを観察に出かけました。ガマやカヤツリグサに注目しているとすーとヨシゴイが舞い降りてくれるのが素晴らしいフィールドです。頭上が黒っぽく、前頚から胸にかけて黒い縦斑が数本あった成鳥雄、上面に縦斑があり、前頚から胸らかけて黒い縦斑があった若鳥雄と思われる個体を観察できました。抽水植物の茎につかまりながら忍者のように移動する姿、遊水地の隣りのある水田に降り立ち餌探しをしていた光景も観察できました。このほか、バン、オオバン、カイツブリ、オオヨシキリの姿も楽しめました。(写真)2025年6月6日撮影
2025.06.06
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手賀沼沿岸の複数の谷津田を訪ねサシバの様子を探索しました。一箇所目の谷で飛翔する2羽、二箇所目の谷では巣に接近したトビを追い払っていた1羽、三箇所目の谷では雄が巣に近いボイントで周囲の監視をしながら狩りを行い、少し離れた木のてっぺんに若鳥雌を目撃しました。サシバの繁殖ステージのうち、巣内育雛期(*)では孵化してしばらく雌が雛を抱き続けますが、孵化後18日前後経過すると日中は雛を抱かずに雌も狩りに参加するとされています。三箇所目のペアはこのステージに入っているものと思われます。サシバのほかは、谷津田の林の中でサンコウチョウの鳴き声を観察、田んぼで採餌していコサギ、水路ではコブハクチョウの親子連れの姿を観察できました。(*)サシバの繁殖ステージ求愛期(3月~4月にかけて雌雄連れ立って行動しディスプレイフライトなどが見られる)、造巣期(雄が巣材運搬と造巣、雌は産座づくり)、抱卵期(例年は4月末頃)、巣内育雛期、巣外育雛期(巣立ち後2週目までの幼鳥は成鳥からの給餌を受けながら過ごし、3週目以降は狩りをはじめ、以降遠くまで移動して独立)の4つのステージから構成されています。(写真)2025年6月5日撮影一枚目、二枚目:正面から見ると嘴基部がピンク色に変化していたコサギ三枚目:トビ:翼下面は褐色で外側初列風切基部に白斑があり、成鳥と思われます。四枚目から七枚目:サシバ若鳥雌:眉斑がはっきりし、下面に縦斑があります。眉斑は黄色でした。八枚目:成鳥雄:眉斑はほとんど認められず、胸に褐色味がありました。九枚目、十枚目:コブハクチヨウ
2025.06.05
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水戸街道の宿場町として賑わった街の橋梁で長年チョウゲンボウが営巣・子育てをしています。ジュニアたちが巣から顔を出す頃なので現地で出かけました。到着直後、カッカッカッと音かしたので、振り向くと早足で移動するキジ成鳥雄。なんでと思うと、草原からケーンケーンと鳴き別の成鳥雄が姿を現しました。なわばりに侵入した雄がなわばりのオーナーから追い出されたものと思われました。さて、お目当てのチョウゲンボウですが、複数の巣から若鳥の声が聞こえ、近くには餌を運搬する成鳥雄の姿が複数ありました。若鳥たちは、巣で獲物を受け取っているものが大半でしたが、待ちきれず巣の外に出て成鳥が帰還するとその後を飛翔しているものもありました。獲物は成鳥が羽毛をむしっていたのが見えましたが、種類までは特定できず。このほか、地面でミミズを捕食するスズメ、桑の実をついばんだ後に囀っていたホオジロの姿も観察できました。青空が広がり、気温も急上昇となったので、昼前で観察を終了としました。(写真)2025年6月4日撮影
2025.06.04
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昨日、甘田干拓地と浮島でコジュリンを観察した旨をリポートしました。1977年以来、コジュリンを観察していますが、いくつか気がついたことがあります。ひとは、雄だけが見られる時期があること、雌雄番いで見られる時期があること、囀りが雄が草はらの突出した部分で行われていることの3つです。これらのことは、中村(1981)が長野県霧ヶ峰での調査報告で「年によって違いがあるが、ほぼ4月下旬より5月下旬までは雄だけが見られる時期である。この間に雄はしばしば小群をつくっている」、「6月中旬より雄と雌の番いでいるものが目立って来る」、「雌はソングをしない。雄のソング活動は草原に突出したものの上で行なう」と同様のことを述べています。このほか、中村(1981)は、番いとなった雄と独身雄の行動圏について興味深い報告を記しています。「番い雄のソング活動はソングエリアの中の一部に集中する傾向がある」、「独身雄個体は広範囲を動くにもかかわらず、主要活動地は限られたソングエリアの中である」との内容です。独身雄は勝手気ままに動き、雑然として動きをするということになります。甘田干拓地と浮島で観察個体と距離が遠いこともあり、ソングエリアでの活動を確認できていないので今後の宿題となっています。(コジュリンの個体識別)1枚目、2枚目:2025年6月2日撮影、成鳥雌、耳羽や頭上が黒褐色で眉斑などの部分が汚白色3枚目:成鳥雄、頭は黒い頭巾で後頸も黒色、背は赤褐色、嘴は黒色4枚目:雄第一回夏羽、淡褐色の眉斑があり、写真ではわかりませんが頭上は黒褐色。
2025.06.03
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茨城県稲敷市甘田干拓地、浮島にコジュリン、オオセッカなどの夏鳥たちを探しに出かけました。スタート地点の甘田干拓地の一角では、ヒバリが子育てで大忙し。蜘蛛や青虫を捕獲し何度も巣で待つジュニアたちに運搬していました。そうかと思えば、道路上に降り立ち日光浴をする姿も目撃。その際、鈴のようなチリリリという声を出している個体を複数発見しました。囀りの末尾でそのような声を聴いたことがありますが道路上での遭遇ははじめてでした。ヒバリのすぐそばでは、口内が赤色のオオヨシキリ成鳥、オレンジ色の若鳥の姿もありました。ただし、若鳥の写真記録はかなわずでした。その後、複数のコジュリンが囀っているエリアに移動し、耳羽や頭上が黒褐色で眉斑などの部分が汚白色の成鳥雌個体を発見しました。以前から姿を見かけていたものの、写真記録ははじめてでした。(写真)2025年6月2日撮影(七枚目は前回観察・撮影したコジュリン雄)
2025.06.02
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(今シーズンからチョウゲンボウのマイホームは新しい場所へ移転)千葉県北西部に姿のあるチョウゲンボウを見に出かけました。2001年から一昨年まで22年間、使ってきた換気口に姿はなく、周囲を探索しました。北方向の商業ビルの屋上階にその姿を見つけました。巣があると思われる箇所にハシボソガラス、ハシブトガラスが接近すると猛スピードで追い払っていました。巣があると思われる箇所は、下から見上げるように観察するしか方法がなく、雛が孵化しているか、成鳥の様子を確かめることがかないません。(イソヒヨドリ雄のソングポスト周辺の攻防)帰り道には、チョウゲンボウの姿を目撃した隣駅の商業施設の最上階で子育てを目撃しているイソヒヨドリの姿を見に立ち寄りました。雄1羽で、羽繕いをしたり、羽毛の膨らませたりして比較的リラックスしている様子。しかし、今季は雄の姿を複数目撃しており、ソングポスト周辺に接近した雄を激しく追い払う行動を見せたり空中で蹴り合うような行動を目撃しています。複数の雄は、それぞれ高層建築物の一番高いところで囀っていることから、高い位置での囀りが縄張りの主張と防衛に欠かせない要素になっているような気がします。野外での出会いは、発見の連続です。(写真)2025年6月1日千葉県北西部で撮影
2025.06.01
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