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今月20日前後に手賀沼沿岸にオオジュリンが姿を現す時期になります。その渡りについて興味深い報告がありますので、提供をさせてもらいます。山階(2024)は、北海道と本州北部で繁殖し本州以南で越冬するオオジュリンは、本州から九州に渡った個体を標識調査で個体識別をした結果、南下するにつれて雌の割合が増加し最も南の鹿児島県出水市では雄は20%だったと報告しています。みなさんのフィールドでは、雌雄の割合はどのような具合でしょうか。(前記の山階が報告内容は、平成15年度鳥類標識鳥報告書に記載されている「北に行くほど雄の割合が高く、南の地域ほど雌の割合が高くなる傾向があった」(中略)「宮城県では79.3%が雄だったのに対し、鹿児島県で29.8%、出水はわずかに18.9%」との内容のエッセンスを紹介したものです)(雌雄の識別のポイント)野鳥がどのように生きていたかを知り、飛来地の環境の保全を考えるためには、飛来した個体の年齢と性別を正確に記録することが出発点となります。(1)成鳥雄頭上が黒色で腮が黒から黒味がかっています。一枚目は2022年1月28日に茨城県稲敷市で撮影した個体です。二枚目は、2018年3月24日に印旛沼沿岸で撮影した個体です。(2)成鳥雌頭上が一様に褐色で、小雨覆は雄に比べて赤褐色が弱い印象があります。三枚目は2025年2月28日牛久沼で撮影した個体、四枚目は2016年3月27日印旛沼沿岸で撮影した個体です。(3)雄第一回冬羽頭上には灰色味があります。小雨覆は赤褐色、下面が淡色で顎線が目立ちます。(4)雌第一回冬羽頭上は灰色味があります。胸から脇にかけて褐色の斑があります。五枚目は2024年3月29日手賀沼沿岸で撮影した個体です。(引用)山階鳥類研究所.2003平成15年度鳥類標識鳥報告書.p20-29.山階鳥類研究所.2024.雄か雌か?成鳥か幼鳥か? 性別・年齢と標識調査.足環をつけた鳥が教えてくれること.p132-135.山と渓谷社.
2025.10.12
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先月22日に手賀沼沿岸でノビタキを観察しました。どうしているかと現地を訪ねました。台風23号が太平洋を通過している影響で時折5m程度の風が吹き抜けていましたが、ノビタキは健在でした。外来種ヒレタゴボウ、セイタカアワダチソウなどの近くの草などに止まり昆虫をフライキャッチする個体、強い風をさけてフラットな農道で餌探しをする個体と実にさまざまでした。草などに止まっている姿を観察していると、脚の上部についている筋肉で腱がぴんとはられ指は閉じています。このため、強い風が吹いても飛ばされることがありません。(地上で立っている時は腱が伸びて指は開いています)今日訪ねた際には、上空にハヤブサが登場した際には、上空を注目し今は飛び立たない方が得策と判断したのか、草むらの中に潜みました。アップしたノビタキの写真は、喉が白いこと、腰が赤褐色、体下面が濃い橙褐色であり、雌第一回冬羽と思われました。それ以外も強風を避けて畔近くで羽を休めていたのは、トビ、ヒバリ、アオサギでした。(本日観察できた鳥類)コブハクチョウ、カルガモ、キジバト、カワウ、ダイサギ、コサギ、トビ、コチョウゲンボウ、ハヤブサ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヒバリ、ヒヨドリ、ノビタキ、スズメ(写真)2025年10月13日撮影
2025.10.13
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春・秋の渡りの時期、行動を共にするオオメダイチドリとメダイチドリは、ゴカイ類、貝類、甲殻類、昆虫類などを捕食する食性もよく似ています。メダイチドリの群れにオオメダイチドリが混じっていることが多い印象があり、干潟では一羽ずつ嘴の長さ、足の長さ、足の色を確かめていくしかありません。8月から9月に出会うことが多い個体について復習してみました。(1)幼鳥について一枚目の写真は2016年8月7日に三番瀬で観察したオオメダイチドリ幼鳥です。羽先は尖り気味で、メダイチドリの羽先が丸いのとは違いがあります。また、羽縁は太いのが特徴です。なお、幼鳥の羽縁は太く淡い茶褐色ですが、それは見当たらず幼鳥から若鳥に換羽している個体の可能性があります。二枚目の写真は2020年9月5日三番瀬で観察したメダイチドリ幼鳥です。上面各羽に淡色の羽縁があり、わかりにくさがありますが、羽縁の内側に褐色のサブターミナルバンドがありました。(a)体の大きさで識別できるか図鑑によってはメダイチドリはオオメダイチドリより体が小さいと解説しているものも見受けますが、メダイチドリは数亜種が飛来していると言われており、オオメダイチドリより体の大きいものに遭遇することがあります。(b)嘴の長さについてオオメダイチドリの嘴は長く(嘴基部から眼の後端までの長さと同長かそれ以上)で、メダイチドリは嘴が短く(嘴基部から眼の後端までの長さと同等かそれ以下)点との違いがあると解説している図鑑類が多いのですが、真横からでないと長さの把握は難しいので注意が必要です。(c)足の色についてオオメダイチドリの足の色は黄緑色のものが多いですが黒っぽい個体も存在します。メダイチドリの足は淡色から黒っぽいものまで存在します。(2)若鳥について三枚目の写真は2016年8月7日三番瀬、四枚目は2013年8月24日三番瀬で観察したオオメダイチドリ若鳥です。翼の羽縁が白いのが特徴です。(3)第一回冬羽について五枚目の写真は2016年7月31日に谷津干潟で観察した第一回冬羽です。体がほっそりした印象で上面の羽縁が白いのが特徴です。なお、若鳥のほうが羽縁の白さが目立ちます。(4)夏羽が冬羽に換羽中六枚目の写真は2020年8月21日に三番瀬で観察した夏羽が冬羽に換羽中の個体です。胸の橙色が残っており、背や頭に赤褐色味があり換羽中の個体と思われました。
2024.08.12
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秋の渡りの途中に立ち寄る小鳥の姿とカモがそろそろ飛来する時期に入ったので印旛沼を訪ねました。房総のむらでは、アカゲラが鳴きながら林の間を移動する姿を観察。このほか、坂田ヶ池では、上面や脇の羽に丸みのある軸斑が見られ、羽縁が白色のオナガガモ若鳥が水面を移動する姿を見つけました。その後、移動して探索した印旛沼では、ヨシガモ、トモエガモ、ハシビロガモが水面を移動する姿がありました。ヨシガモ雄エクリプスは頭部と上面が暗色で、一見しただけでは種類が識別しにくさがあります。しかし、頭部が一様に暗色で、肩羽に横斑があること、飾り羽が灰色で雌と異なる点を観察できれば雄個体とわかりました。ヨシガモが水面を移動する姿を目で追っていると、上空からヒドリガモ、マガモ、上面が全体的に明るい色調のハシビロガモ生殖羽が降り立ちました。房総のむら隣接する坂田ヶ池で観察したハシビロガモとは趣の違った羽衣でした。このほか、ヨシガモを撮影した一コマにトモエガモが記録されていたのを帰宅後みつけました。印旛沼では、前記のほか、遊歩道近くの葦原にゴイサギ家族の姿、いつもの船着き場にはモモイロペリカン、モズ雄が高鳴きをしテリトリーを主張している姿を目にして探索を終了しました。(写真)2025年10月8日撮影
2025.10.08
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都内水元公園を訪ねました。最寄り駅JR金町駅からバスで桜土手で下車し、メタセコイヤの森周辺までの間を探索しました。ごんぱち池でヒドリガモが採餌している姿を観察し、金魚展示場、花菖蒲広場前、水元大橋までの水域でヒドリガモ、ハシビロガモ、コガモ、カルガモ、カワウ、ダイサギ、チュウサギ、オオバン、カワセミと主だった水辺の鳥、木のてっぺんにツツドリ赤色型が降り立つ姿を観察できました。(水元の自慢はカモの近距離で観察できるところ)カモは江戸川方面から飛翔し小合溜中央部に降り立つことが多く、最初は距離が遠いのですが、待機していると移動し種類ごとの特徴を観察するのにもってこいです。写真一枚目は上空から水面に降り立ったばかりのヒドリガモの群れの一部です。遠目でも雌雄やエクリプスの特徴はわかりますが、待機して撮影したのが二枚目、三枚目の写真です。四枚目、五枚目はハシビロガモです。四枚目は、手前が成鳥雌、奥が若鳥と思われる個体です。成鳥雌は顔が明るめの見え、脇が丸みを帯びています。若鳥は上面が暗色で、顔も暗色です。六枚目はコガモ成鳥雌個体です。下尾筒の両側に白色の線があり、嘴が黒色(飛来当初は基部側面に黄色味がありますが、その後黒くなります)、脇が丸みがあります。(その他の水辺の鳥)小合溜の水面をオオバンが移動し、浅瀬ではダイサギ、カワセミの若鳥を観察しました。また、水元大橋の近くではチュウサギが水草の上を軽快に移動し餌を物色していました。このほか、水元大橋からメタセコイヤの森までの間で、上空をミサゴが飛翔する姿を発見しました。翼角で翼が曲がり、下面の白さと胸に褐色の斑を観察。なお、ツツドリ赤色型は、記録写真を撮影したかったのですが、カラスの群れが飛来して移動してしまいかなわずでした。(写真)2025年10月7日撮影
2025.10.07
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湿度が低く、秋らしくなってきました。先週、ホームグランド手賀沼で出会ったノビタキの姿を再び観察しに出かけました。先週姿のあった熱帯アメリカ原産のヒレタゴボウ周辺ではなく、1年草南米産ホソアオゲイトウ(たとえば1枚目のは写真の背景に写っている褐色がかった)がはえているエリアにありました。しかも、新しい発見だったのがアワダチソウなどの草のてっぺんに止まる時間よりも小さな畑で餌探しをしている時間が長かったこと。あわせて、その足が意外に長いことにもびっくり。ノビタキにくわえて、北柏方面の水面の杭にミサゴ、コガモの10数羽の群れ、サギ類の姿がありました。これからカモの仲間の姿がふえていくので楽しみです。(写真)2023年10月2日撮影
2023.10.02
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今月下旬頃から公園などにカッコウ科の鳥類が姿を見せ始めます。よく見かけるツツドリの成鳥と幼鳥の識別のポイントを紹介します。(1)幼鳥頭部から上面が黒灰色で淡色の羽縁があります。体下面は白くて黒褐色の横縞があります。光彩は暗黄褐色。一枚目の写真は2012年10月6日柏市内、二枚目は2018年10月18日水元公園で撮影(2)成鳥写真は、2015年9月2日千葉県野田市で観察・撮影した成鳥です。頭部は濃い青灰色で黄色のアイリングがあります。虹彩は黄色または黄褐色。嘴は黒褐色で下嘴基部に黄色味があります。(カッコウは基部に黄色味、ホトトギスは下嘴基部に黄色味)
2023.08.11
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柏の葉キャンパス駅近郊の調整池、湿地帯、公園を探索して回りました。2001年に閉鎖された柏ゴルフ場跡地エリアをまず探索。ナラの枯れた木の梢から飛びたち空中で虫を捕食し再び元の枝戻る採餌をしていたエゾビタキ、胸から脇が淡灰褐色(写真では白っぽく見えています)で上面が灰色で下嘴が黄色味のあるコサメビタキの姿を観察できました。コサメビタキは、頭上の枝に一瞬止まったので嘴の形状が二等辺三角形で外側に膨らんでいる形状を記録できるチャンスだったのですが、レンズを向けた瞬間で渡去してしまい次回の宿題となりました。(エゾビタキの嘴は二等辺三角形で内側に凹んでいます)その後、キャンパス駅西口の調整池でカイツブリ、バン成鳥と幼鳥と出会い、東口の調整池に移動しコガモ、長い足をたたんで座った状態で水中の餌探しをしていたコサギを観察しました。水辺で静止し餌探しをしているコサギはよく見かけますが、今朝の状態ははじめて遭遇しました。(写真)2025年9月29日撮影
2025.09.29
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(エゾビタキが観察されるようになったのは近年)今秋、首都圏近郊でエゾビタキを観察した旨の報告が多い印象があります。鳥友から千葉県北西部での動向について質問をもらいました。(手賀沼とその周辺地域で観察されるようになったのは、2005年以降)初めて観察されたのは、柏市布施のあけぼの山公園で2005年9月26日でした。以降、2009年までは同地で9月から10月に観察され、2009年9月に柏市南部で記録とれるようになりました。その後、原因は不明ですが、2010年を境に記録が途絶え、2019年10月26日に柏市南部で再び観察され再度姿を見かけるようになっています。ただし、柏市布施のあけぼの山公園での観察記録は2020年10月5日が最後で、以降姿が見られなくなり、以降は、手賀沼沿岸、柏市北部の公園で記録されるのみです。2020年10月にニュースで桜の落葉が目立つ件が報じられました。梅雨が長引き、梅雨明け直後に急に暑くなり長く続いたため落葉が早くなったとの内容でした。水不足でも落葉することが知られており、柏市あけぼの山公園では桜の落葉が早く、実のなる木も夏バテ気味となり渡来したタイミングとのアンマッチが続き、エゾビタキが立ち寄らなくなった可能性があります。(コサメビタキ、サメビタキが絶滅危惧種に指定)生息地である落葉広葉樹林が失われていること、餌場の減少などが原因と研究者から指摘されています。都道府県のレットデータを確認すると、コサメビタキは31都道府県で絶滅危惧の区分として報告、サメビタキは6都県で絶滅危惧の区分として報告されています。エゾビタキについては、絶滅危惧の区分とはなっていませんが、温暖化の影響で餌の減少の影響を受けた場合に急激に変化することも考えられます。(写真)2枚目とも2025年10月2日柏市内で撮影大雨覆先端と三列風切の羽縁が白いのが若鳥、頬線と顎線に白い黒い線があるのが成鳥です。
2025.10.06
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昨日、印旛沼でヨシガモを観察しました。嘴が水面採餌のカモでは細長く、尾が短めの中型のサイズです。真冬の雄はナポレオンハットとカールした長い三列風切が目立つので多くの探鳥会リーダーが参加者にガイドをすることが多いと思います。ところが、雌についてはリーダーに聞いても齢について説明をしてくれないということを耳にします。そこで、昨日観察した個体、幼羽、時期に追って雌個体の羽色の変化に着目して特徴を整理してみました。(1)昨日観察した個体(一枚目の写真)・頭が一様に暗色で、飾り羽が短く灰白色でした。・肩羽の斑は目立たず一様に暗色でした。・観察個体の三列風切基部が白く、雌幼羽の三列風切は基部まで黒褐色とは異なります。・観察個体の胸から腹は幼羽のように小斑ではなく大きい点で異なっています。上記の点から雄エクリプスと思われました。(2)幼羽(二枚目の写真)写真は、雌幼羽と思われる個体です。三列風切の基部まで黒褐色です。黒褐色なのは雌幼羽のみです。春に三列風切を換羽するまでこの特徴で識別可能です。(3)晩秋から真冬の羽衣三枚目から五枚目の写真は、11月から翌1月に見かけることが多い羽衣です。胸から腹にかけて斑が大きめで幼羽のように整然と並んでいません。三列風切基部は淡色(白色)です。顔は年内いっぱいは暗色の個体が多く、年明けに顔が灰色味に見えるようになる印象があります。(4)幼羽から第一回生殖羽に換羽中の個体六枚目の個体は、大雨覆が黒褐色で、脇の羽も成鳥に比べて丸みがなく、胸の斑も小さめである点から幼羽から第一回生殖羽に換羽中の個体と思われます。(5)雌生殖羽に換羽中の個体七枚目の個体は、三列風切基部が白く、橙褐色斑が見られます。顔は灰色味があり、胸の斑は不均一のように見えました。(写真)一枚目:2025年10月8日、二枚目:2021年10月30日、三枚目:2019年11月2日、四枚目:2020年11月29日、五枚目:2021年1月13日、六枚目:2018年2月25日、七枚目:2021年3月6日いずれも印旛沼で撮影
2025.10.09
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晩秋から冬の楽しみなのが打ち寄せる波と引く波に対して斜めに走りながら餌を捕食するミユビシギです。波が打ち寄せると採食を中断して素早く逃げ、波が引くと再び採食を繰り返す光景は観察していて飽きることがありません。冬羽ですと、ハマシギと似ているので識別について質問をもらうことがあります。ミユビシギとハマシギの動き、ミユビシギの羽衣を整理してみました。(動きの違い)ミユビシギは、打ち寄せる波と引く波に対して斜めに走りながら餌を捕食します。対してハマシギは波の動きに合わせた採餌を何度も繰り返すことはありません。(ハマシギとの違い)ミユビシギのほうが嘴は短くて太く、下面が白いのが特徴です。またミユビシギの翼角は黒く見えることが多い印象があります。(ミユビシギの羽衣)(1)幼鳥肩羽は黒い軸斑と白い斑が目立ちます。雨覆の軸斑は黒褐色で羽縁は太く白い。幼鳥は白と黒のコントラストが強いので成鳥との違いです。一枚目の写真を御覧ください。(2)第1回冬羽に換羽中肩羽の一部に黒褐色の幼羽が残っていますが、多くが灰褐色の冬羽に換羽しています。雨覆と三列風切は褐色で太く白い羽縁があり幼羽です。二枚目の写真を御覧ください。(3)第1回冬羽肩羽に残っていた黒褐色の幼羽も冬羽に換羽し、背・肩羽が一様な灰白色になります。雨覆・三列風切に摩耗した幼羽が残ります。三枚目の写真を御覧ください。(4)成鳥冬羽冬羽は上面が一様に灰白色になり下面の白味が強い。他のシギと混じって行動していてもより体の白さが際立ちます。四枚目の写真を御覧ください。(写真)一枚目:2015年9月19日三番瀬、二枚目:2023年4月24日三番瀬、三枚目:2020年9月5日三番瀬、四枚目2015年9月19日三番瀬で撮影
2025.10.11
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これから関東近郊ではサギの集団繁殖地(コロニー)が形成され、子育てとジュニア誕生の時期を迎えます。毎年、ホシゴイはゴイサギですか?と質問をもらうことがあります。結論を申し上げると、ホシゴイもゴイサギで、写真で示した二枚目のものまでを私はそう呼んでいます。(ホシゴイについていろいろな記述)1年目の若鳥、成鳥になる前のゴイサギの俗称、幼鳥がホシゴイと呼ばれるなどなどとホームページやブログによってホシゴイの範囲もじつに様々です。その背景は、幼鳥の定義はあるものの、若鳥の定義が定まっていないことによります。(ゴイサギの羽毛などの変化)生まれた年のゴイサギの幼鳥は、羽の模様が星に見え、頭はボサボサで冠羽は無く、虹彩は黄色です。2年目に入ると、羽の星模様は消え、冠羽はありませんが、羽毛はかなり整い虹彩は橙色に変化します。その後、3年目になると、上面は紺色、下面は白色で3本の冠羽が出て、虹彩は真っ赤になります。(写真)一枚目:羽の星模様がありますが頭がボサボサのゴイサギ、2014年7月越谷市で撮影二枚目:羽が整ってきて羽の模様が星模様にみえるゴイサギ、2018年7月22日都内で撮影三枚目:第二回目夏羽に換羽しはじまったゴイサギ、2020年6月茨城県土浦市で撮影四枚目:成鳥と若鳥の中間的な個体、2020年6月茨城県土浦市で撮影五枚目:ゴイサギ成鳥、2017年8月茨城県土浦市で撮影(幼鳥と若鳥について)ヒナに最初に生えそろう羽が「幼羽」で、幼羽をまとっている鳥を「幼鳥」と呼びます。たとえば、スズメでは顔の黒い斑が薄い、カワラヒワでは腹に濃い斑点があるといった点で成鳥と異なっていますが、秋までに羽が抜け替わる(第1回冬羽)と成鳥とよく似た姿に変化し、翌年春には繁殖できるようになります。これに対して、繁殖できるまで2年以上かかるツル、サギ、カモメ、タカなどの仲間で、幼羽から成鳥の羽になる途中段階などを「若鳥」と記載している図鑑もありますが、若鳥の定義は定まっていません。(ホシゴイの名前の経緯)平家物語巻第五朝敵揃に記述がある内容は、つぎのとおりです。醍醐天皇が京都二条城近くにある庭園神泉苑での宴の折、池の水際にサギがいたので、六位の者に「あのサギを捕らえよ!」と命じたそうです。命令を受けた人は天皇の命令なのでサギに歩み寄り、天皇のの意向である旨を伝えたところひれ伏して飛び去りませんでした。早速捕らえてくると天皇に献上すると「命令に従ってくるとは、けなげなやつ。すぐに五位の位にせよ」と指示をし、「今日からサギの王」という札を天皇が作りサギの首につけて放鳥したとのことでした。なお、三省堂(1988)には、五位という名は醍醐天皇が神泉苑の宴の折、空を飛んでいたサギが勅命に従って舞い降りたのをたたえ正五位に叙したところ嬉しげに舞った故事にもとづくと記されています。平家物語の訳者によっての解釈が複数あり、記述に違いがあるようです。(引用文献:三省堂コンサイス鳥名事典.p214.1988年刊)
2022.05.16
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今月上旬に松戸市内でルリビタキの姿を目撃したとニュースをもらいました。そろそろ、手賀沼沿岸の林などで姿を見かける時期となりました。図鑑類に四国・本州から北海道にかけての高山や亜高山帯で繁殖するものが、関東地方以南の山地や低地の林で越冬する、本州において高山で繁殖した個体は、低地に降りて越冬するとありますが、渡りのルートの裏付けはどうかと調べてみても限られた標識回収記録が存在するだけでした。文献を紐解いていくと、つぎのようなものを見つけました。参考までに紹介します。佐藤(1994)は、北海道函館山で標識放鳥した調査結果を整理し報告しています。函館山では繁殖も越冬もしないため渡る経路の中継地として積極的に選択し、渡りの時期に多くの個体が函館山を通過していると述べています。また、ルリビタキの秋季渡りは10月中下旬に始まりII月中旬にほぼ終わり、10月下旬~11月上旬が最盛期と記しています。さらに、本種が海岸伝いを東から西に移動しているためではないかと思われるとも述べています。調査結果から秋季の渡りについては日本海側を主経路として渡りをしていると思われ、その移動は、北~南への平行的なものであることを意味していると結んでいます。過去の回収記録はつぎの3例を報告しています。函館山放鳥023-0429581-10-27→82-02-06宮崎県南国市桑の川函館山放鳥1A-1172489-10-21→89-10-28山形県酒田市飛島函館山放鳥28-0681689-11-01→89-12-14愛知県豊田市長根なお、森本(2007)がルリビタキの分布や生息環境の知見を整理し報告している中で、「日本で記録されている亜種ルリビタキ(T.c.cyanurus)は日本、中国、モンゴル、ロシア等で繁殖し、この中でも北方の個体群は越冬期は南下、拡散する」と記しています。また、「北海道などでは夏鳥であるため、北海道を通過する個体群は比較的長距離を移動する」と報告しています。(引用)佐藤理夫.1994.函館市における鳥類の渡りについて.市立函館博物館研究紀要.第4号.p1-23.森本 元.2007.ルリビタキ.Bird Research News Vol.4 No.4.p3-4.(写真)2015年12月12日手賀沼沿岸、2018年1月28日野田市内、2020年1月12日松戸市内、2021年2月8日松戸市内で観察・撮影
2024.11.20
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近頃、手賀沼沿岸の水田でアマサギの姿を観察する機会がないので、水田の中で餌探しをしているその姿を観察しようと茨城県稲敷市の水田、蓮田一帯を探索しました。稲敷市内の水田ではアマサギの餌であるカエル、バッタの数が豊富なのであちこちで餌探しをしている姿を目撃できました。その近郊ではダイサギ、チュウサギ、コサギの姿もあり、サイズの違い、嘴、眼先の色などを観察。その後、蓮田エリアに移動するとコチドリが鳴きながら移動し、セイタカシギが餌探しに余念のない姿、電柱や堤防にはホオジロ成鳥雌雄の姿を見つけました。さらに、甘田干拓地に移動するとコジュリンがあちこちでチュピィチュリチッと囀っていました。気温25度前後と快適な気温で酷暑とは無縁の快適な条件下で楽しい時間を過ごしました。(写真)2025年7月12日撮影
2025.07.12
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今週月曜日にエゾビタキ、コサメビタキと出会った柏の葉キャンパス駅近郊の公園を訪ねました。月曜はナラの枯れた木の梢から飛びたって虫を捕食していましたが、今日はミズキの実がなっているエリアの姿がありました。エゾビタキの姿は最低でも3羽以上でジィと鳴きながら登場。一羽は大雨覆先端と三列風切の羽縁が白い若鳥、別の一羽は頬線と顎線に白い黒い線がある成鳥個体でした。もう一羽は齢は不明でした。ヒトスジシマカを捕食した後、ミズキの実をついばんでいました。ヒトスジシマカに悩まされながら待機していると、ツィと鳴き声と同時にコサメビタキが登場しました。雨覆先端と三列風切羽縁が白い帯に見える第一回冬羽個体でした。写真でわかりにくいと思いますが嘴の形状が二等辺三角形で外側に膨らんでいました。(エゾビタキは二等辺三角形で内側にへこむ)このほか、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロが混群で移動し、時折地面に降りて昆虫を捕食する姿を観察しました。小鳥たちとの出会いを楽しんだ後、柏の葉公園に移動し、桜の広場、県民プラザ前の調整池を探索。トケン類が木の中に入る姿を目撃したものの種類は特定できず。調整池でマガモ(雄エクリプス)、カルガモ、アオサギ、ダイサギの姿がありました。帰り道、スズメバチが捕獲したカマキリを運搬している姿を観察。(写真)2025年10月2日撮影
2025.10.02
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秋の渡りの時期、カッコウ科の鳥類が公園、霊園などに立ち寄る姿を見かけます。識別ポイントは、鳴き声、大きさ、上面の色、体下面の横斑、下尾筒の色と横斑、初列風切の横斑、虹彩の色です。(1)腹の横斑カッコウ科のジュウイチ、カッコウ、ツツドリ、ホトトギスのうち、腹の白地に黒色横斑があるのはカッコウ、ツツドリ、ホトトギスです。カッコウの黒色横斑は細い11~13本、ツツドリは間隔の広い太めの横斑が9~11本、ホトトギスは太めで間隔のある黒色横斑が7~9本です。なお、ジュウイチには横斑はありません。なお、カッコウは後頭に白斑があります。一枚目の写真は昨日八柱で観察したツツドリ、二枚目の写真は2022年9月7日に都内で観察・撮影したツツドリです。三枚目、四枚目は2017年9月2日野田市で観察・撮影したカッコウです。(2)下尾筒の横斑と色下尾筒に注目してみると、ジュウイチ、ホトトギスには横斑は見えず、カッコウ、ツツドリには黒色横斑があります。また、カッコウでは白地に細かい黒色横斑、ツツドリでは淡いバフ色にはっきりとした黒色横斑があります。一枚目も二枚目のツツドリと三枚目、四枚目のカッコウを比較してみると、違いがおわかりいただけるものと思います。
2023.09.06
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多くのウォッチャーの人気の高い体の形状や色彩ともに際立つ持つオシドリのエクリプスと雌個体について違いを案内させてもらいます。ご参考となれば幸いです。(エクリプスと成鳥雌個体)一枚目の写真は、2015年10月25日に佐倉市で観察したオシドリのエクリプスです。羽衣は雌に似ているものの、嘴は赤いのが特徴です。二枚目の写真は2022年10月23日に同地で観察した成鳥雌個体(写真手前)ですが、嘴は黒く、嘴基部がうっすらピンク色です。脇には丸い淡色斑があります。三枚目の写真は、2016年11月3日に観察した個体で、嘴は黒く基部がピンク色ですが、脇には丸い淡色斑はまだ目立っていません。雌幼羽が生殖羽に換羽中の個体の可能性があります。(成鳥雌の上嘴がピンク色の個体)四枚目の写真は、2022年10月23日に観察した個体です。脇に淡色斑があり雌とわかりますが、上嘴の半分程度がピンク色でした。
2024.08.31
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9月に入ると、公園などにヒタキの仲間が次から次に飛来します。今日は、キビタキとオオルリの画像を比較し復習していました。一枚目からニ枚目はキビタキです。上面にオリーブ色がある成鳥雌、頭から上面は黄緑褐色、喉は黄色っぽくバフ色の翼帯があるなどから若鳥が冬羽に換羽している途中の個体です。三枚目と四枚目は2016年10月に撮影したオオルリです。キビタキよりも喉から胸に褐色味があり腹部は白い個体、頭は雌のように見えるけれど上面の青色が残っている雄個体です。なお、図鑑によっては、オオルリの雌は、キビタキと比べると枝に垂直に止まると記載しているものがありますが、記録した画像の個体は水平に止まっていました。むしろ、キビタキのほうが垂直に止まっていたという結果です。
2019.09.06
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松戸市千駄堀に飛来しているキビタキ、ヒタキ類をもう一度観察したいと思い、21世紀の森と広場に出かけました。森に立ち寄る前に千駄堀池を見渡すと、複数のカルガモ、コガモの姿を発見。コガモは嘴基部側面に黄色味と雨覆に灰色味のある雄幼羽(写真2枚目の手前の個体)、嘴が黒く上面が黒っぽい若鳥と思われる個体(写真2枚目奥の個体)、頭頂から過眼線までがヘルメットを装着したように一様に濃く見えるエクリプス個体を含む群れが水面を移動する姿を観察しました。このほか、池の岸辺をゆったりと移動していたアオサギ若鳥の姿を見つけました。(ガマズミの実を食べに飛来したキビタキ、エゾビタキ)次にキビタキ、エゾビタキなどのヒタキ類の姿を探しに森林エリアに移動。ガマズミの実を食べに複数のキビタキ、エゾビタキが飛来する姿を目撃しました。キビタキは上面が黒く橙色味のある眉斑があり、喉がオレンジ色で腹が黄色の雄成鳥個体と上面が褐色で黒味が少し入っている雄第一回夏羽個体と思われる2羽、若鳥と思われる2羽の合計4羽が登場しました。雄個体では、上面が褐色で黒味が少し入っている個体が成鳥個体に追い払われていました。成鳥雄同士ですと熾烈な闘争となりますが、褐色味のある個体は攻撃性が低いように思えました。(耳羽周辺が汚白色で過眼線がないハクセキレイを目撃)帰り道、カラスが水路で水浴びしていたエリアのすぐ近くで耳羽周辺が汚白色で顔に黄色味があり、過眼線のない亜種ホオジロハクセキレイと思われる個体を観察しました。(写真)2025年10月3日撮影
2025.10.03
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山階鳥類研究所(2020)が報告しているように、2000年代にイソヒヨドリが都会のビル街に進出しました。営巣場所は鉄道駅のそば、大規模量販店、マンションを選ぶことが多いと報告されています。オフィスのある柏市を通っているJR常磐線沿線の金町駅、松戸駅、馬橋駅、新松戸駅、南柏駅、柏駅、我孫子駅、取手駅、近郊の武蔵野線の三郷駅、吉川美南駅、吉川駅近くでその姿を目撃しています。ところが2025年9月以降に南柏駅近郊の住宅地でその姿を見かけるようになりました。今年は酷暑が続き、いままで使ってきた営巣場所では高温で使う条件として無理があり移動したか、周囲で餌(*)が捕獲できなくなったのかなどの要因が考えられます。前記の駅近郊では同様の傾向なのか興味のあるところです。(*)伊澤・松井(2011)が「ヒナに親が運ぶ餌の種類は、鱗翅目幼虫、ゴキブリ類が多く、甲虫目、コオロギやバッタなどの直翅目、ミミズ類、ムカデ、ヤモリ、アオカナヘビ、カエル、クワやガジュマルの実など」と報告しています。(引用)伊澤雅子・松井 晋.2011. イソヒヨドリ Bird Research News Vol.8 No.8.p4-5.山階鳥類研究所.2020.ビル街に進出した“磯ひよどり.山階鳥研NEWShttps://www.yamashina.or.jp/hp/kankobutu/news/news_2020.html#202005(写真)2022年4月7日柏市、2018年12月3日浦安市で撮影
2025.10.10
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鳥友よりカワセミの構造色について質問をもらいました。構造色について、基本情報を整理したものを提供します。なにかの参考となれば幸いです。(1)鳥の色を決定している要素光が当ったときに吸収されなかった色が反射して見える色素と細かい構造により強調された色が見える構造色によるものです。おもにメラニン(黒・茶色系)とカロテノイド(黄・赤系)で構成され、青や紫などのそれ以外の色は、ほとんどが構造色によって見えているとされています。(2)鳥の青色カワセミのようにキラキラ光る虹色の構造色と、コルリやイソヒヨドリのように非虹色のものがあることが知られています。近年、電子顕微鏡を使った構造研究と光の研究結果から、青色の構造色の場合にも羽毛の羽枝や小羽枝にある構造の種類によって色々なパターンがあることがわかってきました。カワセミの青色の羽毛は、スポンジ構造によって青色が強調されていること、カラスやハト類の首に見える金属光沢はケラチンが形づくる膜によって干渉されることでそう見えることが研究で判明しています。(参考文献)バードリサーチ.2007.バードリサーチニュース.vol4.no2.pp6.(写真)2022年3月13日松戸市で撮影
2022.03.14
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(体型の違い)オジロトウネン、トウネンは胴長短足のずんぐりとした体型です。これに対してヒバリシギは頸・足が長くほっそりした体形で違いがあります。(足の色)ずんぐり体型のオジロトウネンとトウネンは、足の色で違いがあります。オジロトウネンの足の色は黄緑色、トウネンは足が黒く、違いがあります。なお、足が黄緑(黄)色のシギ冬羽には、オジロトウネンのほか、ヒバリシギ、アメリカヒバリシギの3種をあげられます。この3種では軸斑が一番太いのがヒバリシギ、アメリカヒバリシギは頸と足が短く軸斑は細めです。オジロトウネンは頸、胸も含め上面は一様に灰褐色で違いがあります。(嘴について)オジロトウネンはトウネンに似ていますが、ヒバリシギよりも太いので違いがあります。(ヒバリシギは嘴が細めに見えます)(写真)オジロトウネン:2022年7月24日浮島、2018年12月24日浮島、ヒバリシギ:2011年8月11日茨城県八千石、2010年8月11日茨城県古河林、トウネン:2011年8月30日葛西で撮影
2022.07.27
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9月半ばすぎというのに連日酷暑が続いていますが、手賀沼にオシドリが飛来しました。手賀沼の東端からスタートし、稲刈が終了したエリアにノビタキの姿から探索しました。しかし、まだその姿を見つけることはかないませんでした。沼の比較的水深の浅い場所でダイサギ、アオサギ、岸辺の葦原近くでコサギが小魚を物色している姿を観察している際、遠目に小型のカモ3羽を発見しました。嘴は汚れた印象のある赤みのある色、胸は白っぽく、アイリングは白くその線が後頭に伸びていたなどの特徴から雄幼羽と思われました。このほか、沿岸でもモズの高鳴きを初認、褐色味の強いホオジロ雄、嘴が淡色のスズメ若鳥などの姿を見つけました。(写真)2023年9月18日撮影
2023.09.18
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(今シーズンからチョウゲンボウのマイホームは新しい場所へ移転)千葉県北西部に姿のあるチョウゲンボウを見に出かけました。2001年から一昨年まで22年間、使ってきた換気口に姿はなく、周囲を探索しました。北方向の商業ビルの屋上階にその姿を見つけました。巣があると思われる箇所にハシボソガラス、ハシブトガラスが接近すると猛スピードで追い払っていました。巣があると思われる箇所は、下から見上げるように観察するしか方法がなく、雛が孵化しているか、成鳥の様子を確かめることがかないません。(イソヒヨドリ雄のソングポスト周辺の攻防)帰り道には、チョウゲンボウの姿を目撃した隣駅の商業施設の最上階で子育てを目撃しているイソヒヨドリの姿を見に立ち寄りました。雄1羽で、羽繕いをしたり、羽毛の膨らませたりして比較的リラックスしている様子。しかし、今季は雄の姿を複数目撃しており、ソングポスト周辺に接近した雄を激しく追い払う行動を見せたり空中で蹴り合うような行動を目撃しています。複数の雄は、それぞれ高層建築物の一番高いところで囀っていることから、高い位置での囀りが縄張りの主張と防衛に欠かせない要素になっているような気がします。野外での出会いは、発見の連続です。(写真)2025年6月1日千葉県北西部で撮影
2025.06.01
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鳥友から秋の三番瀬で見かけるオオソリハシシギは、若鳥が多いがどうしてかと質問をもらいました。(オオソリハシシギは、成鳥が越冬地に向かった後に幼鳥が出発)シギ・チドリは秋では繁殖を終えた成鳥が越冬地に向かって渡り始め、その後幼鳥が旅立つ言われています。しかも、幼鳥と成鳥の渡りルートが違うとも耳にしています。これに対して、オグロシギは成鳥と幼鳥の比率も偏りが少なく、渡りのルートが違うということはないと考えられています。(オオソリハシシギとオグロシギ幼鳥について)オオソリハシシギは、嘴が長く、上に反っていることから識別は容易と思われる方がいらっしゃいます。しかし、嘴の反りに個体差があり、オグロシギ似で嘴が真っすぐに見える個体を見かけることがあります。オグロシギとの識別に注意が必要です。(1)オオソリハシシギオオソリハシシギ幼鳥は、全体に淡い灰褐色を帯びて胸・腹部に褐色の縦斑があります。また、肩羽や三列風切の軸斑の先は尖り、上面各羽の羽縁はオグロシギ幼鳥より白味が強い印象があります。(成鳥では翼羽縁は先端が尖った笹の葉状ですが、幼鳥ではオグロシギのように先端が丸くなっています)(2)オグロシギオグロシギ幼鳥は頭部から背、頸から胸・腹部に橙色味を帯びます。肩羽の黒褐色の軸斑はオオソリハシシギ幼鳥に比べて黒味が強く、軸斑の先は尖らず丸味があります。また、羽縁も橙色味を帯び、雨覆・三列風切に黒褐色斑と橙色斑の模様があります。(写真)オオソリハシシギ、一枚目、二枚目:2013年9月21日三番瀬、オグロシギ、三枚目:2018年9月22日茨城県稲敷市、四枚目;2018年10月6日茨城県稲敷市
2025.09.09
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オフィス近くの公園でコゲラ、ヤマガラ、シジュウカラ、エナガの混群が鳴きながら移動する姿を観察したと報告しましたら、鳥友から混群の鳥に共通する形態、行動の特徴などについて教えてほしいと質問をもらいました。(小鳥の混群の基礎的なこと)小鳥の混群では個体数が多く群れの中核をなし他の種類を引きつける中核種、中核種についていく追随種の存在があります。混群の構成は変化することがあり、中核種になったり、追随種になったりすることがあります。和田(2017)が「東日本でのカラ類の研究では、多くの場合中核種はエナガ」と研究者の論文を紹介しています。(混群を構成する鳥たちの飛翔の秘密)枝から枝に移動する鳥たちに共通しているのは、エナガを除いて扇翼である点です。翼の長さは長くありませんが、羽ばたきによって肩の負担が少なく素早い羽ばたき、狭い場所でも飛び回れる特徴を持っています。エナガは円翼ですが、体重が軽く翼面荷重(翼の単位面積にかかる重量が軽く長い尾が枝の間をすり抜けて飛翔する時のバランスをとるのに最適なので混群に加われるものと思われます。(混群の居場所の違い)混群を観察しているとエナガのジュリジュリという特徴的な声が梢のほうからまず聞こることが多い印象があります。移動速度が速いので先発の役割をはたしているようです。その後、最も個体数の多いシジュウカラが登場します。その後、エナガは細い枝先、シジュウカラは枝、地面、ヤマガラは太めの枝、コゲラは幹に姿があります、混群で行動するといってもお互いの食事の邪魔をしない程度にいる感があります。(シジュウカラのコミュニケーション能力)近藤(2024)は群れの個体との鳴き交わしについて、エナガは群れのすべての個体と内側の個体と鳴き交わしていますが、メジロは群れの外側の個体とも頻繁に鳴き交わしていると報告しています。混群を率いるうえで群れの個体と意思疎通をする能力が中核種になるこつが多い秘密ではないかと思われます。和田(2017)が紹介している東日本での混群の中核種は主にエナガと述べている点は、移動速度がほかの種よりも早く、いち早く獲物の位置を補足できる能力にたけているからとも考えられます。(引用)和田岳.2017.身近な鳥からの鳥類学.第35回カラ類の混群に混じる鳥.むくどり通信.2017年1月号.p9.日本野鳥の会大阪.近藤雅也.2024.バードリサーチ調査研究支援プロジェクト.第4回バードリサーチ賞 受賞調査研究プラン.(参考)斎藤安行.華麗なる野鳥飛翔図鑑.pp191.文一総合出版.(写真)コゲラ:2025年9月25日柏市、ヤマガラ:2020年10月25日柏市、シジュウカラ:2025年9月26日都内、エナガ:2023年12月23日柏市メジロ:2025年3月15日柏市で撮影
2025.09.27
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春の渡りのシギ・チドリもいよいよ最盛期となっています。印西市と柏市の境界からスタートし、手賀沼最西端までを探索して歩きました。印西市の水田では、ムナグロ22羽、キョウジョシギ4羽、チュウシャクシギ3羽、手賀沼の東側の水田地帯では、ムナグロ58羽、ハマシギ1羽、キョウジョシギ2羽、チュウシャクシギ29羽、コチドリ1羽の姿がありました。くわえて、印西市下手賀川ではコブハクチヨウと行動をともにしているコハクチヨウ1羽の姿も見つけました。特に怪我をしている様子もないので渡りそびれた個体と思います。このほか、手賀沼の最西部のエリアではコガモがまだ滞在しているのも観察しました。(写真)2021年5月9日撮影
2021.05.09
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今週に入って三番瀬にオバシギの姿を観察したと鳥友から情報をもらいました。例年ですと、8月に入ってから飛来することが多いのでが、少し早い時期の渡来です。そろそろ、干潟でコオバシギとオバシギの姿を見かける時期となります。コオバシギの羽色のいろいろを復習し、オバシギの羽色との復習をしてみました。皆さんの参考となれば幸いです。一枚目は2019年8月に出会ったコオバシギ夏羽です。夏羽は頭部から胸にかけて赤褐色ですが、8月は胸から腹のみ赤褐色です。二枚目は2015年9月に出会った幼羽です。白い羽縁が目立ち黒くて細かいサブターミナルバンドがありました。三枚目は2013年9月に出会った幼羽ですが、二枚目と比べると大雨覆が黒く変化しています。四枚目と五枚目はオバシギです。四枚目は2020年8月に観察した成鳥夏羽で肩羽に赤褐色の羽があり、胸の黒班がはっきりしています。足は黄色味がかった褐色に見えました。(図鑑によって足は淡い黒と記載されているものがありますが、三番瀬で出会った個体ではそうは見えません)五枚目は、2019年8月に観察した幼羽です。胸が黒褐色の模様が密で上面の羽は黒い軸斑が目立ちます。
2021.07.30
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大掃除、おせちの用意でなかなか野外に出かけるのがかないませんが、合間に我が家の庭のセンリョウの実を食べにメジロ、ヒヨドリ、キジバト、ジョウビタキなどの鳥たちが次々へと飛来しています。今日も赤いセンリョウの実を食べにメジロが複数飛来していました。センリョウは、赤い実は幸運のシンボルで、物事が実を結ぶ縁起物です。6月~7月になると茎の頂点からまばらに花茎を出して黄緑色の小さな花をたくさんつけます。花には花びらがなくあまり目立ちませんが、花粉が風で運ばれる風媒花です。ご近所のセンリョウ実を鳥たちが丸呑みして排泄した種がふえて実をつけたと思われるものともともとあったものと両方です。市販のものを求めると、高価なのでネットをかぶせる方も多いのですが、我が家では鳥たちが運んできた縁もあるので正月飾りとして使うものを確保した後は鳥たちに任せています。このため、厳冬期にはいろいろな鳥たちが姿を見せてくれます。(写真)2021年12月29日撮影
2021.12.29
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9月に入りはじめてホームグランド手賀沼とその沿岸を訪ねました。スタート地点の柏市側の水面の杭にミサゴが止まっている姿を発見、また入江になっている葦原の中に復数のゴイサギの姿を見つけました。その後、手賀沼大橋から東寄りの水面と沿岸を探索すると、浅瀬で餌を物色して歩いていたアオアシシギを発見しました。上面が褐色がかり各羽縁が角張っいる印象があったのでアオアシシギ若鳥と思われました。さらに水田との縁を探索すると、バッタやイナゴなどの餌を探すダイサギ、コサギ、電線に翼帯1本の小鳥の姿と電柱にはチョウゲンボウの姿がありました。小鳥は、お腹が黄色っぽく、翼帯は1本。田んぼのすぐ脇の電線に止まっていたこともあり、横顔だけ見ているとえっなんの種類だろうと思いましたが、シジュウカラと判明。(写真)2022年9月13日撮影
2022.09.13
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午後、短時間ですが、ホームグランド手賀沼とその沿岸を探索しました。到着し観察と撮影ツールを整えていたら、すぐ脇の田んぼからコミミズクがカラスに追尾されて飛び立ち、ふわふわと飛翔し移動していきました。このほか、沼の浅瀬ではコサギが中国武術の舞いのように水面を移動しながら餌の魚を追尾している姿、水面の工作物に餌の魚を持ったミサゴがカラスと睨んでいる光景、浅瀬で弁足を披露しながら移動するオオバンの姿を観察しました。(写真)2022年11月28日撮影(なお、コミミズクは2021年2月撮影もの)(備考)2021年冬まで手賀沼沿岸に滞在していたコミミズクを巡って地元の農家の皆さんと撮影者の間でのトラブルがあった模様で、現在は沿岸の水田地帯への車両侵入ができなくなっています。このような関係で本日の観察箇所については、お問い合わせをいただいていもおこたえをいたしかねます。あしからず。
2022.11.28
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久しぶりにつくば市にある公園を訪ねました。お目立ては、ヤマシギ、トラツグミ、ルリビタキ。到着し林縁の湿地帯に注目すると地面の嘴を突っ込んで進むヤマシギを発見。尖った頭、頭にある黒くて太い横斑は1番目と2番目はほぼ同じ太さで目立つこと、長い嘴、上尾筒の赤褐色が素敵でした。続いて、毎年ルリビタキが複数飛来するポイントを覗いてみました。植え込みの中に足踏みしながら上下動している小鳥を発見。目が大きく、虹彩が黒いこと、うろこ模様の黒い模様、頭部から上部の黄色味の強さを確認でき、トラツグミと判明。さらに、ルリビタキが出現するポイントで待機していると、ルリビタキ雄成鳥、雄第一回冬羽が登場し地面に降りて昆虫類や植物の実をついばむ光景を何回も目撃しました。(写真)2023年1月28日撮影なお、観察地は非公開としお問い合わせがあったもおこえしかねます。あしからず。
2023.01.28
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この時期、あちこちで渋柿の実が柔らかくなり、ヒヨドリやメジロ、ヤマガラが次から次に飛来してついばんでいます。柿は、熟すまでは渋みのあるタンニンで鳥たちから食べられるのを防いでいますが、タンニンが不溶性に変わると渋さが抜け鳥たちが大好きな甘い柿に変化します。調査のきっかけは、サルが熟した柿を食べ、野鳥が赤色の木の実を食べていた光景を目撃したことにあったと記されています。さて、調査は2018年に6種類の木の実を対象とし、その色と糖度を調査しサルや野鳥が食べたかどうかを報告しています。調査結果では、野鳥もサルも柿は赤に近い色のもの、糖度の高いものを食べたとしています。(引用)早川小学校.2018.鳥は木の実を色で選ぶのか味で選ぶのか.BEANSレポート.pp11.(BEANSレポートは、早川北小学校で取り組んでいるBEcome A Nature Scientists「自然科学者になろう」の野外自然観察活動で学んだ内容を報告しているものです)(写真)2023年11月30日、2022年11月9日、2021年12月5日いずれも柏市内の谷津田で撮影
2023.11.30
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筑波山麓の神社を起点とする林道を探索した後、山麓にある建物に営巣しているコシアカツバメを観察しに出かけました。林道では、ウグイス、キビタキ、ホトトギスの夏鳥の鳴き声を聞き、山麓の建物ではコシアカツバメが飛翔する姿を観察しました。営巣場所の巣を観察すると、入口がとっくり型をした巣、入口の間口が広いタイプ、造巣したのにスズメに乗っ取られている巣といろいろのタイプを目撃しました。また、コシアカツバメを観察していた際に頭が小さく、下雨覆、下面が暗色で尾羽、初列風切の横斑が細いタカを目撃ました。ピェーという鳴き声は確認できなかったもののハチクマ成鳥暗色型と思われました。(写真)一枚目、二枚目は2024年5月26日撮影、その他は2025年5月26日撮影コシアカツバメの営巣場所は、撮影者が殺到すると市民の方に支障があることから地名などは非公開とさらてもらいます。
2025.05.26
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鳥友からカイツブリの尾羽の有無について質問をもらいました。都内の公園でカイツブリを観察した折、尾羽がわかなかったとの内容でした。いくつかの文献を調べてみたので情報提供します。風間(2018)は、日本産鳥類308種、外国産鳥類201種を対象として尾羽の枚数を調査をした結果を報告しています。(日本産鳥類の尾羽の枚数)風間(2018)は、12枚が一番多く147種、順に10枚(15種)、18枚(14種)、16枚(11種)、14枚(8種)、20枚(2種)、22枚(2種)、8枚(1種)、34枚(1種)と報告しています。(カイツブリの尾羽について)風間(2018)は、カイツブリ科の尾羽について「尾羽と他の体羽との違いが明確に判断できず、その扱いが困難である」と述べています。また、吉井(1988)が「尾羽は退化している」と指摘している点、黒田(1980)が「尾羽は短い綿羽からなり、上尾筒との区別が困難」と記していることをとりあげています。さらに、鳥類標識マニュアル(改訂第11版)(山階鳥類研究所鳥類標識センター 2009)にはカイツブリ目の尾羽の枚数は0と記述している」と記しています。このほか、叶内(2011)は、「ほとんどない」とし、桐原(2000)は、「尾は非常に短い」と記しています。(尾羽が退化しているならばどうやってブレーキをかけるのか)尾羽は、飛行中の安定を保つ、ブレーキをかける働きをしていると言われています。斎藤(2024)がカイツブリについて「高速飛行に適した尖翼で中腕の翼を羽ばたかせて長距離飛行ができる」、「北海道のカイツブリの一部は冬期本州へ南下するが、最近実際に津軽海峡上空を夜間飛行する姿が撮影された」と報告していますが、果たして降り立つときにどうやってブレーキをかけているのかと気になりました。(引用)桐原政志.2000.日本の鳥550水辺の鳥.p22.文一総合出版.叶内拓哉.2011.山渓ハンディ図鑑 日本の野鳥.p22.山と渓谷社.風間辰夫・土田崇重.2018.日本産鳥類308種と外国産鳥類201種の尾羽の枚数について.鳥類標識誌.第30巻.p80-116.斎藤安行.2024.華麗なる野鳥飛翔図鑑.p53.文一総合出版.(写真)1枚目:2023年6月13日都内、2枚目:同左、3枚目:2025年5月9日都内、4枚目:2024年7月22日柏市、5枚目:2016年8月13日都内、6枚目:2014年6月30日都内1枚目から3枚目の写真では短い尾羽が存在していることがわかります。4枚目の雛の写真では成鳥よりも長い尾羽が存在してるのがわかります。5枚目、6枚目の写真では、尾羽の存在がわかりません。
2025.07.14
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オホーツク高気圧がせり出している影響で、気温が昨日と比べてぐんと下がる朝。直観的にこういう日は手賀沼沿岸でノビタキに遭遇できるチャンスです。外来種ヒレタゴボウの黄色の花が咲いている田んぼエリアに足を運びました。ひたすら待機するしかないと思っていたら、到着直後に登場。(水田エリアで探索する時のポイント)スズメより小さく細くて短い嘴と長い跗蹠(嘴峰長の約2倍)がノビタキの特徴です。くわえて、尾羽を上下に振る動作が目立ちます。広大な水田を見渡すときには、これらの特徴を持つ小鳥が動いていないかをまず探します。続いて、ノビタキは採食で2種類のタイプがいますので、見通しの良いところからフライキャッチを行なって昆虫を食べている鳥がいいないか、地面を歩いて地面を這う鳥はいないかを探します。今日は同じフィールドにモズの姿がありましたが、ノビタキよりも大きいこと、尾羽をゆっくり回す動作をするので違いがあります。(ノビタキの羽衣のいろいろ)ノビタキ成鳥は繁殖後の8-9月に全身換羽を行います。これに対して幼鳥は体羽の部分換羽を行なうとされています。したがって幼鳥、第一回冬羽は集中して観察する必要があります。(幼鳥:嘴が淡褐色で口角に黄色味があり額、頭、背にバフ褐色の斑がある)一枚目の個体:頭上、顔に黒味がなく、下面は淡い橙色、背と肩羽に黒斑があったことから雌冬羽と思われました。二枚目、三枚目の個体は、頭上は黒くなく、下面は淡い褐色などから幼鳥から第一回冬羽に換羽中の個体ではないかと思われました。四枚目の個体は、五百沢(2000)が報告しているように、初列雨覆先端に白い幼羽が残る第一回冬羽です。五枚目から七枚目は、頭上が褐色で、薄い眉斑があり、喉が白いなどから雌冬羽と思われました。(写真)2025年9月22日撮影(8枚目はモズ)(引用)五百沢日丸.2000.日本の鳥550 山野の鳥.p170-171.文一総合出版.
2025.09.22
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10月に入りはじめて吉川美南駅近郊の調整池を探索しました。天気予報ではほぼ全日曇りでしたが、青空が広がり真夏並の蒸し暑さ。最初に西口の中央公園前の調整池を訪ねましたが、水かさが相変わらずふえたままで池の調整池の表面には藻が発生しており、浅瀬もほとんどありませんでした。カルガモ、セグロセキレイ、ハクセキレイの姿を認めたのみでしたので、東口の第一調整池に移動しました。東口調整池ではエクリプスで生殖羽でもないハシビロガモサブエクリプスの姿、水路にオナガガモ(全体的に褐色味のない目立たない色で胸から腹の斑がまばらな印象のある雌)、嘴基部が黄色味を帯び頭上が褐色でベレー帽をかぶったような雄エクリプス、上面が黒っぽく見える幼羽個体の姿がありました。このほか、アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、水路をチィーと鳴きながら直線的な飛び方で移動していったイソシギと出会えたりと楽しい時間を過ごしました。駅にむかう帰り道、造成中の区画でチョウゲンボウがネズミらしき獲物を捕獲し、電柱に運搬しついばんでいた姿を見つけました。このほか、すぐ近くでは、モズ雌個体が盛んに高鳴きをしてテリトリーを主張していました。(写真)2025年10月5日撮影
2025.10.05
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9月に入りエゾビタキが飛来したとニュースが届く時期となりました。その識別での参考資料を提供します。(若鳥と成鳥の識別)エゾビタキは、胸から脇腹にかけて縦斑があります。太くてより明瞭なのが若鳥、太くないのが成鳥です。一枚目の写真は、2021年9月8日成田市で観察・撮影した若鳥です。二枚目の写真は、一枚目と同地で観察・撮影した成鳥です。(嘴の形状で近似しているサメビタキ、コサメビタキと比べてみる)エゾビタキの嘴の形状を下から見ると、二等辺三角形で内側に凹んでいます。あいにくエゾビタキの写真しかありませんが、サメビタキは嘴が短く正三角形をしています。また、コサメビタキは二等辺三角形で外側に膨らんでいます。三枚目、四枚目の写真はエゾビタキを下方向から見たものです。(嘴の形状に関する引用文献)渡辺修.2003.考える識別・感じる識別.Birder.第17巻.第5号.p105.文一総合出版.渡辺修.2015.夏から秋に見られるヒタキ・ツグミ類識別ポケットガイド.Birder.第29巻.特別付録.
2023.09.02
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そろそろホームグランド手賀沼沿岸やさいたま市内にノビタキが飛来する時期を迎えます。今シーズンは、初列風切先にバフ色のスポットが見られる第一回冬羽と成鳥雌個体を探してみてはいかがでしょうか。第一回冬羽個体では、初列風切先にバフ色のスポットがあります。一枚目の写真に矢印をつけましたが、初列風切が幼鳥の証しで成鳥にはない特徴です。一枚目から三枚目の写真はいずれも第一回冬羽です。これに対し、四枚目の個体には、顔に黒味がありません。また、眉斑が淡褐色で、雌第一回冬羽と思われます。なお、若鳥から第一回冬羽に換羽中の個体の内側大雨覆には、白斑があります。(写真)一枚目・二枚目:2014年9月20日さいたま市内で観察・撮影三枚目:2015年9月30日さいたま市内で観察・撮影四枚目:2018年10月7日手賀沼沿岸で観察・撮影
2023.09.10
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一週間ぶりに八柱霊園内を探索して歩きました。お目当てのエゾビタキは2羽の姿があり、木々のてっぺんにとまり移動していました。上面の黒褐色、下嘴が黒色で下面にはっきりと縦斑があり、成鳥と思われました。このほか、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、メジロ、コゲラが20羽ほどの混群となり、木々を鳴きながら動き、餌を物色していました。また、エゾビタキ、カラ類の混群が移動していた林から離れたエリアで、ツツドリの姿を発見。黄色のアイリング、黒褐色の嘴、お腹には太めで間隔の広い横斑、頭部から上面にかけて黒っぽさがあり、ツツドリ幼鳥と思われました。(写真)2023年10月3日撮影
2023.10.03
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かつて水戸街道の宿場町として賑わった街の橋梁で長年チョウゲンボウが営巣・子育てをしています。今シーズン、はじめて現地を訪ねました。雌雄1ペアの姿があり、巣の中に何度か入ったりペアリングも複数回目撃しました。ただし、複数のカラスがペアを追い回したり、逆にチョウゲンボウ雄が追い払う行動を見せたりなかなか落ち着かない様子でした。このほか、ノスリ、トビが上空に登場したり、低木の枝にホオジロが止まり囀りを披露していました。さらに、近くを流れる河川の水面にはキンクロハジロ、ホシハジロ、カイツブリの姿がありました。今後、チョウケゲンボウの飛来は続くものと思います。例年のように複数の個体が飛翔したり、給餌する姿が見られるのも近々と思われます。(日本で多く見受けられる集団営巣)本村(2012)は、チョウゲンボウの生態や知見を整理し報告しています。その中で、単独営巣とともに集団営巣を行うことが知られていると記しています。集団営巣は、スペイン、ドイツ、日本、ノルウェー、ロシアで記録されているが密度が最も高いのは日本であると考えられていると述べています。またその要因は、安全な営巣環境、採餌環境、集団で防衛する必要などを上げることができるが解明されていないと記しています。(写真)2024年3月3日撮影(引用)本村 健.2012.チョウケゲンボウ 日本でのみ多く形成される集団営巣.Bird Research News Vol.9 No.8.p4-5.
2024.03.03
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6月16日にオフィス近くでコチドリ成鳥ペアの雛(以下幼羽)4羽が孵化しました。19日以降はカラスに襲撃されたのか2羽が見えなくなりましたが、幼鳥は2羽、成鳥雌雄各1羽の4羽が7月6日現在畑地で過ごしています。コチドリの親子、畑地のオーナー、周囲の住民の皆さんに感謝。(コチドリ幼鳥の羽衣)1日齢:コチドリ成鳥の跗蹠は約25cm程度と聞いていますが、雛も同程度の印象がありました。長い跗蹠の上にボディが乗っているといった印象でした。目の周りに白いアイリングが見えており、外胸に黒襟が見えました。上面は少し羽毛が存在するエリアがあるという印象でした。4日齢:幼鳥単独で畑地を不安定ながら移動する姿が観察されました。成鳥が里芋の葉の日陰に来るように呼び、駆け寄ってきていました。上面の羽毛は1日齢と比べると、増えてきました。側胸の黒襟もよりはっきり、尾羽が少し発達したのがわかりました。5日齢:2羽の幼鳥には生育に差があり、一羽は細身、もう一羽は丸っこい体形です。6枚目は細身の個体(上面の羽毛は成鳥並み、側胸の黒襟は大きく細い過眼線がわかりました。7枚目は丸っこい体形(上面の羽毛は綿状で、頭上の羽毛は僅か)です。6日齢:8枚目の写真は、幼鳥のうち細身の個体です。動きが活発で広範囲を移動していました。15日齢:9枚目から11枚目の写真は幼鳥のうち、まるっこい個体の姿です。6日齢以降その姿が記録できずいきなり15日齢の記録となりました。正面から見ると額周辺からアイリングにかけて白いのが印象的です。後方から見ると、上面の羽毛が増えたこと、尾羽が発育しているのがわかりました。18日齢:12枚目の写真は、まるっこい個体の正面の姿です。下嘴が少し赤くなってきました。(成鳥の行動の変化)里芋の日陰で成鳥がピピピと鳴いて幼鳥を呼び寄せて一緒に休むようになったのは18日齢、20日齢になると幼鳥の行動範囲が広く、成鳥は畑地の中の小高いブロックの上で幼鳥たちの行動を観察、21日齢を迎えた今朝は熱波をさけるために里芋の日陰に入った幼鳥たちを畑地のど真ん中の杭に止まり鳴き声を出して招集する成鳥の姿を観察しました。
2025.07.06
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朝から猛烈な夏の光が注ぎ、木陰で観察できる手賀沼沿岸を訪ねました。一ヶ所目の谷津田ではサシバ若鳥が単独で田んぼの縁で餌探しをしている姿、隣接する水田ではダイサギが長い首を伸ばして餌探し、林のてっぺんにはトビの姿がありとそれぞれが谷津田を頼りにして集まってきました。また、小道の脇の草地で子育てをしているセグロセキレイ成鳥が幼鳥たちの行動圏をサポートする姿を見つけました。その後、二ヶ所目の谷津田に移動すると、木のてっぺんのサシバ成鳥雄が周囲を見張っている姿を見つけたと思ったら、近くの上空を成鳥と幼鳥と思われる個体が上空を旋回。巣立った幼鳥が親鳥から飛行術を会得しているような様子でした。このほか、下面の一部と下尾筒が赤茶色の亜種アカハラツバメ(Hirundo rustica saturata)とツバメの交雑と思われる個体が電線に止まっているのを見つけました。(写真)2025年7月10日撮影
2025.07.10
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松戸市千駄堀にある21世紀の森と広場に出かけました。9月下旬から10月にかけて実のなっている林にヒタキ類などの小鳥が立ち寄ります。ミズキの実を食べに小鳥が飛来。動きが速いので捕捉できない時間が続きました。目が慣れてきた頃、枝に止まった鳥に注目。上面は黄緑色で、喉と下尾筒が黄色味かがった白色、虹彩は褐色、嘴は黒色、嘴基部にピンク色がかる突起のように見える部分、上尾筒から尾にかけて褐色、目の上に不明瞭な眉斑のように見える部分がありました。一見するとメジロなのですが、白いアイリングはなく、嘴は長く感じません。その後、キビタキと思われる鳥が登場。撮影できた個体の上面はオリーブ色、下面は汚白色、喉と腹中央あたりが黄色味を帯び、雌成鳥と思われました。残り2羽と詳細の特徴を確認できずに終わりました。帰り道、千駄堀池を探索すると、カルガモ、アオサギの姿を見つけました。アオサギは2羽とも頭上が黒く、上嘴が黒色、下嘴が褐色の若鳥でした。池周囲の黄葉がはじまっていました。秋の深まるにしたがい景色の変化を実感できるフィールドです。(写真)2025年9月30日
2025.09.30
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今日から10月、秋に見られる鳥たちの齢を識別するには、どんなところを観察したらよいかと質問をもらいました。(秋に見られる第一回冬羽と成鳥冬羽)当年生まれの第一回冬羽と成鳥冬羽が秋には見られます。近年、冬鳥が少ないととりあけげられることが多くなりました。冬鳥の中にどの程度の当年生まれの鳥が含まれるのかを把握することで、繁殖の成否、渡りの成否が成鳥と当年生まれでどのように違うのかが解明されることにつながります。(身近な環境でじっくり観察可能なシロハラの第一回冬羽と成鳥冬羽)比較的身近な環境で出会うことの多いシロハラは、吉井(1988)が述べているようにアムール川下流域やウスリー地方で繁殖し、中国南部、日本で越冬するヒタキ科の鳥類です。(1)第一回冬羽の特徴大雨覆の外側数枚に幼羽が残り先端に白く見える斑(淡色斑)があります。一方、成鳥冬羽にはこの白く見える斑はありません。(2)成鳥冬羽前記で述べたように大雨覆の外側数枚に幼羽が残り先端に白く見える斑はありません。尾と翼の黒味が強い印象があります。さらに、雄成鳥冬羽で背の褐色味が強い個体と背が褐色の個体と2タイプ見かけます。前者は夏羽、後者は冬羽です。(シロハラと同様に大雨覆先端に白斑がある種類)マミチャジナイ第一回夏羽、アカハラ第一回冬羽、ノビタキも同様に大雨覆先端に白斑があります。(そもそも第一回冬羽と成鳥冬羽をフローにしてみると)孵化→幼綿羽→幼羽→幼羽後換羽→第一回冬羽→春の渡り→第一回夏羽→繁殖→繁殖後換羽→秋の渡り→成鳥冬羽→繁殖前換羽→春の渡り→成鳥夏羽→繁殖→繁殖後換羽→秋の渡り→成鳥冬羽 と整理することができます。・幼羽後換羽が始まり、生え揃った段階が第1回冬羽と呼ばれます。・換羽は多くの場合、頭や体は換羽しますが、翼や尾羽の一部、あるいは全部に幼羽を残しているので部分換羽と呼ばれます。・渡る前に換羽を終え第二回目冬羽となりますが、スズメ目では幼羽の全てが脱落し、換羽する完全換羽となります。第二回冬羽、第三回冬羽は区別がつかないので成鳥冬羽と表現されます。(引用)吉井正.1988.コンサイス鳥名事典.p280.三省堂.(写真)1枚目:2020年12月23日さいたま市、2枚目:2017年12月18日柏市、3枚目:2013年1月28日柏市、4枚目:2023年12月18日都内水元、5枚目:2022年1月12日市川市で撮影
2025.10.01
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昨日10月3日松戸市千駄堀の21世紀の森と広場で耳羽周辺が汚白色で顔に黄色味があり過眼線のないように見えた亜種ホオジロハクセキレイと思われる個体を観察しました。(ホオジロハクセキレイ雄第一回冬羽と考えた根拠)・耳羽周辺が汚白色、頭上から背が灰色で黒色がかっています。この点が永井(2014)が掲載されている亜種ホオジロハクセキレイと図示、解説されている個体と似ていたことによるものです。(ホオジロハクキレイの特徴と照合)・文献を閲覧してみると、過眼線を欠いたハクセキレイや交雑個体が存在するとの報告があるので他の特徴をさらに調べてみました。結論からいえば、ホオジロハクセキレイと同定できる材料がすべてそろっておらず、ホオジロハクセキレイ似の個体ということになるとの結論です。(胸の黒色部)撮影画像には記録できなかったが胸の黒色部は小さく見えました。ただし、この点は幼羽では黒色部がない個体の存在が指摘されています。再度確かめる必要があります。(大雨覆の模様)観察個体では雨覆に黒帯は認められられませんでした。ホオジロハクセキレイの内弁側に大きな暗色斑があり、ハクセキレイ成鳥の場合は全体が白いのに対して、ホオジロは内弁側に大きな暗色斑があると記されているものがあります。昨日は翼をたたんでいたのでこの点は確認にいたらず。雨覆については、あらためて観察する必要があり、ホオジロハクセキレイと同定するだけの材料が不十分との結論です。(初列雨覆、初列風切、次列風切の白色部の広さ)ホオジロハクセキレイは成鳥、幼羽とも大部分が暗色、成羽の白色部は幼羽よりも僅かに広いが、初列雨覆先端や縁、初列風切次列風切内弁に白色部がある程度とあります。(引用)永井真人.2014.比べて識別野鳥図鑑670.p170-171.文一総合出版.(写真)2025年10月3日撮影
2025.10.04
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千葉県市川市中国分にあるじゅんさい池公園は、中心部に池があり、いろいろなカモや水鳥が羽を休める大好きなフィールドです。2年ぶりに現地に立ち寄りました。池の周囲はすっかり秋色となり、散策だけでもリッチな気分になりました。水生植物園よりの水面を鳴きながら飛翔するカワセミを発見。その行方を注目していたら待機している場所の近くの枝に飛来しました。カワセミの紅葉、餌を狙うのにとまる枝とカワセミ、素敵でした。このほか、ヒドリガモ、カルガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、カイツブリの姿が水面にありました。カモ類の個体数はおおよそ200羽前後。アップした画像は、白い斑が目立つ肩羽のあるオナガガモ雄幼羽が第一回生殖羽の換羽している個体、オナガガモ雌幼羽、全体に暗色なハシビロガモ雄のエクリプス羽、白い雨覆が印象的なヒドリガモ雄のエクリプス、キンクロハジロ、カイツブリ、池周囲の景色です。(写真)2021年11月2日撮影
2021.11.02
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昨日の曇天から一転して青空が広がり、再び酷暑となりました。一昨日、八柱にツツドリが渡来したと鳥友からニュースをもらい現地に出かけました。餌のモンクロシャチホコがいる桜、今日のように直射日光が差し込んだ際の退避ポイントとなる松の木をぐるっと見て回っていた時、シジュウカラ、エナガ、キジバトが飛翔する姿の中に少し大きいサイズの鳥が松の中にに入りました。双眼鏡で見てみると、松の枝にツツドリの姿を発見。最初は背中しか見えず、光線の具合もあり種類が特定できずでしたが、その後、腹に太目の間隔の広い横斑が9本、下尾筒に淡いバフ色に黒い横斑が見えました。(写真)2023年9月5日撮影
2023.09.05
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柏市内の小さな谷津田を探索しました。その一角に縄文時代から食べられてきたオニグルミがあります。オニグルミには「オメガ3脂肪酸」という物質が多く含まれることが知られています。地区の古老に聞くと、クルミ餅、クルミ味噌を作ったのだとか。さて、出会った蝶の仲間ではコミスジ、クロアゲハ、ジャコウアケゲハ、ヤマトシジミ、モンシロチョウ、キチョウ、外来種アカボシゴマダラ、トンボの仲間ではシオカラトンボ、オオシオカラトンボを見かけました。なお、希少なオニグルミなどの植物や猛禽類が生息しているので観察地は非公開です(写真)2023年9月12日撮影(蝶のコミスジ、クロアゲハ、ジャコウアゲハは撮影はかなわず)
2023.09.12
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(モズとカケスが物真似をした野鳥)モズとカケスは、ほかの鳥たちの鳴き声を真似上手として知られています。蒲谷(1996)は、文献に報告されているモズ、カケスが物真似をした種類を報告しています。それによると、モズはコジュケイ、オオジシギ、セグロセキレイ、ミソサザイ、ヒヨドリ、ウグイス、コヨシキリ、オオヨシキリ、キビタキ、オオルリ、サンコウチョウ、エナガ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、ノジコ、カワラヒワ、イカル、コムクドリを物真似をしていたと記しています。また、カケスについては、クマタカに似た声、猫に似た声、アカゲラに似た声、ウグイス、フクロウ、クロツグミの声を真似していたと報告があると述べています。(モズとカケスの物真似の違い)加藤(1981)は、モズとカケスの物真似の対象に違いがあることを指摘しています。カケスの場合、自分の恐れる天敵の声が多いが、モズは自分より弱い小鳥の真似が多いと述べています。俗説では、小鳥を呼びよせて捕えるためだというが、実際モズは近くに現われた小鳥を襲撃することは多いが、モズの物真似にさそわれて近よって行く小鳥は見たことがないと述べています。(引用)加藤昌宏.1981.神戸の野鳥観察記.神戸市教育委員会.蒲谷鶴彦.1996.日本野鳥大鑑.下巻.p29、p145.小学館.
2023.09.22
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