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March 26, 2016
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カテゴリ: 文化
米倉 久邦

温暖湿潤な環境が有利に

日本は森林大国で、古来、衣、食、住、燃料のすべてに木を利用してきました。そのため人の手が入っていない森はないといってもよいほどです。だから森の個性というのは、人間の生活とどのような関りを持ってきたかという点になるのです。それは、どのような過程を経て今の森が成り立ってきたかということにも通じます。
そんな特徴的な森を取り上げ、自然と人が織りなす森の成り立ちについて、今回『森の森列伝』(ヤマケイ新書)としてまとめました。
インダス文明、メソポタミア文明など古代文明は、大河と森林によって繁栄してきました。住居を建て、家具を作り、パンを焼く。衣服も植物の繊維から。また、青銅器などを作るために膨大な薪が燃やされました。この樹木を伐り尽くした時に文明は姿を消したのです
日本でも同じように、森林の利用が進められてきました。ただ、違ったのは気候です。温暖湿潤な気候によって200年も経てば自然に再生します。日本の森林率は70%。先進国の中でこれほど森林率が高い国はありません。日本が世界に誇れる資源というのは、人と森なのです。ただ問題なことに、それを使うことができない。特に樹木の利用は計画的に行われていないため、伐り出すのが難しい状況です。

特徴的な12の森を紹介

拙著の中で紹介した12の森は、ほとんどが自然の森です。そこには、自然と人が作り上げてきた多様な姿が見られます。
例えば立山(富山)の巨大スギ「タテヤマスギの森」。幹周囲6メートル以上が147本。巨樹の定義とされる3メートル以上では200本にもなりますこれほど高密度に天然スギの巨樹が密生しているのは、縄文杉で有名な屋久島にもありません。

魚津(富山)にも、異形の天然スギがあります。市街から南東の山岳地帯に向かうと現れる「洞杉の森」です。巨大な花崗岩(かこうがん)にまとわりつくように根が絡み、太い幹がうねるように伸びています。雪に覆われるため気温の変動が少なく、湿度が高い。このような気候だと、100年ぐらいまでは、わずかした育ちません。年輪の幅は1ミリ以下。他木だと枯れてしまうのですがスギだけはジッと生き延びているのです。

一つの生態系を作り上げる

山を歩くと、必ず目にすることができます。でも、興味の先は人それぞれ。一番注目されるのは、きれいな花でしょうか。樹形についても面白いかもしれません。まっすぐな木ばかりでなく、独特な姿をした樹木も多い。日本には多くの森がありながら、人は森を見なくなって来ているのではないでしょうか。
森は一つの生態系をなしています。その中ですべてが循環していけるのです。かつて人間も森から多くの恩恵を受け、生態系の一部としての役割を担っていました。ところが科学の進展とともに、森から離れて生活していけると勘違いしているように感じます。
簡単に考えても、森は二酸化炭素を吸収して、多くの酸素を作り出します。森がなくても生きていけるというのは大きな誤解なのです。また、森林浴や森林セラピーに利用されるように、私たちの心身にも大きな影響を与えます。
森に出掛け、気に触れて、流れる空気を吸い、川のせせらぎを聞く。そんな森のすばらしさを、五感のすべてを使って楽しんでもらえればと思っています。
(森林インストラクター)

【文化】聖教新聞2016.2.17





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Last updated  March 26, 2016 05:56:10 AM
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