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明治大学大学院教授 青 山 佾
突然の東京都知事選挙に至る過程で顕著になったのは市民意識の変化である。舛添前知事の公私混同や政治資金の不適切な支出は必ずしも違法ではなく、従来なら辞職には至らなかったかもしれない。しかし国民・都民の批判は燃えさかる一方で、結局辞職に至った。従来の法律やルール、あるいは価値観が急速に通用しなくなっている。
現在において国民は政治家に対して自分たちと同じレベルの生活をすることを求めている。庶民と生活感覚を共有することを要求している。この点を理解できないで特権意識を持ち続ける政治家が出現すりとまた同じ騒ぎが繰り返されるだろう。
この間、メディアの過熱もあったインターネットの炎上も極端だった。現代のメディアは多様化している。新聞・テレビ・ラジオという従来のメディアに加えて人々はインターネットを通じて情報を得るし自分たちも発信主体となる。テレビのチャンネルも増えている。 BS 放送などがニュース番組に時間を割いて詳細に情報を伝える場合も多い。情報の流通量が飛躍的に増えているから政治家に関する情報も詳細かつ具体的に伝えられる。
都知事選挙の選挙期間は 1000 万人を超える有権者がいる選挙としては 17 日間と短いが、多様化したメディアから伝えられる情報によって候補者の日々の変化や進歩、政策の具体化が有権者に伝わっていく。
駅頭や街頭あるいは演説会という従来の選挙パターンとはかなり異なった選挙活動が行われるようになった。候補者は日々、市民と接し、支持者から政策の要望や提案を受け、発言が日々進化していく今日ではそういう候補者の変化が市民に伝わる情報手段も多様化している。
このような時代の変化を政治家もそして市民の側も十分に意識して多様化した情報手段をいい方向で活用すれば日本の民主主義がさらに進歩する。度重なる都知事選挙には関係者にとっても都民にとっても負担だったがこの教訓を生かすべきである。
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